井関農機(6310)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


井関農機(6310)の株価チャート 井関農機(6310)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

井関農機グループは、稲作、野菜作等に関連する農業用機械の開発、製造、販売を主な事業の内容とした事業活動を展開しております。

 

農業関連事業

 

 

農業関連事業に係わる井関農機及び関係会社は、「開発、製造部門」「販売部門」「その他部門」の3部門に関連付けられます。

(開発、製造部門)

主に井関農機で農業機械の開発、設計を行い、関係会社5社で農業機械の製造並びにそれに関連する部品加工を行っております。

(主な関係会社)

㈱ISEKI M&D、㈱井関新潟製造所、PT.ISEKI INDONESIA(インドネシア)

(販売部門)

国内においては、主として販売会社3社を通じて販売しております。また、海外につきましては、関係会社を通じて販売するほか、現地販売代理店等を通じて販売しております。

(主な関係会社)

国内………㈱ISEKI Japan

海外………ISEKI France S.A.S.(フランス)、Iseki-Maschinen GmbH(ドイツ)、
ISEKI UK & Ireland Limited(イギリス)、IST Farm Machinery Co.,Ltd.(タイ)、
ISEKI Europe GmbH(ドイツ)

 

 

事業の系統図は次のとおりであります。



有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

井関農機グループは「農家を過酷な労働から解放したい」という創業の精神を連綿と受け継ぎ、2025年には創立100年を迎えます。井関農機グループの基本理念は、「『お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供』を通じ豊かな社会の実現へ貢献する」としております。また、長期ビジョンを「『食と農と大地』のソリューションカンパニー」とし、これらに関連する課題を解決するとともに、新たな価値を創造するソリューションカンパニーを目指しております。


 

(2)目標とする経営指標

井関農機グループは、事業環境が大きく変化する中で、農業機械総合専業メーカーとして培ってきた知見、経験などをコアに社会課題を解決し、新たな価値を創造するソリューションカンパニーを目指してまいります。2027年までに連結営業利益率5%以上・ROE(自己資本利益率)8%以上・DOE(株主資本配当率)2%以上を達成し、PBR(株価純資産倍率)1倍以上を目指してまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

①経営課題

中期経営計画において2025年までに連結営業利益率5%を達成すべく取り組みを進めてまいりましたが、2024年の計画は1.2%と大きく乖離しており、中期経営計画で目指した「売上高に左右されることなく収益を確実に上げられる筋肉質への体質転換」は未達の状況です。これは激変する環境への対応力が不足していたこと、経営全体としての変革・実行に取り組めなかったことが要因であると認識しております。

また、ROEについても当期純利益率と総資産回転率の低さにより目標とする8%を下回る水準で推移しております。

以上の状況より、井関農機グループの課題を収益性と資産効率と捉え、これらに対して、聖域なき事業構造改革を実行し強靭な経営基盤を構築すべく、2023年11月14日付で「プロジェクトZ」を設置しました。

 

②課題解決に向けた具体的施策

a.プロジェクトZ施策

プロジェクトZでは抜本的構造改革と成長戦略を立案・実行してまいります。抜本的構造改革は、「生産最適化」、「開発最適化」、「国内営業深化」の3テーマを軸に推し進め、2027年までに連結営業利益率5%以上・ROE8%以上・DOE2%以上を達成し、PBR1倍以上を目指してまいります。成長戦略は、選択と集中を深化させ、国内外の成長市場へのリソース集中による更なる発展を目指してまいります。

これらプロジェクトZの取り組みにより収益性改善、資産効率化を図り、成長に向けたキャッシュアロケーションを実行してまいります。


 

 

■抜本的構造改革

・生産最適化

国内外製造所の最適生産体制の構築については、これまでも収益性改善に向けた重点施策として取り組みを進めてまいりましたが、プロジェクトZにより更に加速させてまいります。2024年7月には、㈱井関松山製造所と㈱井関熊本製造所の経営統合を予定しております。人的資源やシステムの集約により業務効率化やコスト削減効果を創出し、製造所の強靭な体質をつくってまいります。


 

 

・開発最適化

商品の成長性や収益性を分析したうえで、機種・型式を30%以上削減するとともに、成長分野へ開発リソースを集中してまいります。また、開発手法についても全地域共通の母体とするグローバル設計を進め、効率化を図ってまいります。開発の効率化とリソースの集中による組織のスリム化に加え、製品利益率改善を短期集中的に実施してまいります。


 

 

・国内営業深化

国内営業の深化を目的として、2025年1月に全国を6地域に分割して事業展開している販売会社の経営統合を予定しております。これにより、重複する間接業務の効率化や、在庫拠点及び物流体制の見直しによる物流費の圧縮、在庫の全国一元管理による圧縮など、資源集約による経営効率の向上を図ります。


 

■成長戦略

井関農機グループの成長の軸は、海外と国内の特定分野にあると分析しております。そのうち、海外は各地域の需要を精緻にとらえ、収益性向上と事業拡大を加速させてまいります。井関農機グループは北米、欧州、アジアの3地域を重点地域とし事業展開をしており、海外売上高は近年順調に拡大しております。今後のさらなる売上高拡大に向けて、北米ではOEM取引先AGCO社との協働によるシェアアップ推進や環境対応等新商品の投入。欧州では電動等環境対応商品拡充やコンシューマー向け商品拡充、在庫一元管理等の推進。アジアではタイ販売子会社であるIST社の販売チャネル強化やインドの業務提携農機メーカーTAFE社の生産機投入、東アジア向け高性能機投入など、各地域で次のステージへの具体策を確立し実践してまいります。

国内は農業就業人口の減少や食料安全保障、環境への配慮などの農業課題がある中で、これらに対応する「大型」「先端」「環境」「畑作」市場が拡大します。販売会社の経営統合による広域的・流動的人材活用により、一部地域では既に先行しているノウハウの全国展開や研鑽に加え、夢ある農業総合研究所で培った農業経営サポート力により、国内事業を更に発展させてまいります。また、同様にメンテナンス(アフターマーケット)や中古事業等の収益事業についても、全国展開による更なる拡大を図ります。

これらを支える開発体制及び知的財産についても、成長市場にリソースを集中投下し、井関農機グループ全体でベクトルを統一し邁進してまいります。


 

b.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

■現状分析

井関農機のPBRは1倍を下回る水準が継続し、2023年12月末時点で0.34倍に留まっております。PBRを構成要素であるROEとPER(株価収益率)に分解し、それぞれの項目について「同業他社との経年比較」及び「井関農機と接点のある投資家からの意見収集」等を通じ、その要因を整理しました。

・ROE

中期経営計画目標数値である8%に届かず、その要因は、当期純利益率と総資産回転率の低さにあると認識しております。当期純利益率は製品利益率や販管費率、総資産回転率は在庫量や設備稼働率などが原因と考えております。なお、現状分析・評価に際し実施したヒアリングにより、日頃接点のある機関投資家が把握する井関農機株主資本コストの水準は概ね8%程度と認識しております。

・PER

2020年以降10倍に満たず、その要因は、成長率の低さや、成長戦略・強み・収益性などの情報開示不足、計画と実績の乖離などが原因と捉えております。

■PBR改善に向けて

現状分析による課題を踏まえ、「プロジェクトZ」の諸施策を着実に進めることに加え、IR活動・ESG取り組み強化により、2027年までにPBR1倍以上の実現を目指します。

■株主・投資家との対話状況

井関農機は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、経営方針の丁寧な説明や、建設的な対話の実施などにより、株主・投資家の皆さまと信頼関係を構築することが重要であると考えております。

対話については、経営管理部門(IR・広報室、総合企画部、財務部、総務部)の担当役員が統轄し、決算説明会をはじめとしたさまざまな機会を通じた積極的な対応に努めてまいります。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

井関農機グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいる所存であります。

なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において井関農機が判断したものであります。

1)

経済情勢及び農業環境の変化

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、農業機械の開発・製造・販売を主な事業内容としております。主な事業基盤である国内農業においては、農業従事者の高齢化、担い手不足による農家戸数の減少等の構造的な課題を抱えています。また、政府による農業政策転換等の影響に加え、天候に左右されやすい農作物の価格次第では農家の購買意欲に影響を及ぼします。

こうした農機市場特有の構造に加え、国内外の景気の低迷等により農機需要が減少した場合、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、国内農業の抱える構造的な課題への対応として、既存の県別販売エリアをさらに分割したブロック単位での営業・サービス力を強化するとともに、ブロック内の拠点や人員を最適配置し、経営効率化を図っております。ブロック内では、中核拠点を中心に営業・サービスを展開し、中核拠点は大規模農家に対応するため大型拠点化を進めております。また、農政が進める「みどりの食料システム戦略」への対応や、脱炭素など地球環境への対策が求められているほか、化学肥料や農薬の削減技術のニーズや有機栽培の作付増加、さらには営農に関するソリューションの需要拡大が見込まれます。井関農機グループでは、センシングデータによる可変施肥機能を搭載した農機ラインナップの拡充や、農薬を使わず雑草抑制ができる有機農業導入に資する商材など新しい技術により環境変化に対応していきます。これらは井関農機グループにとって事業展開の機会でもあると分析しています。

同水準

2)

為替レートの変動

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、海外事業を展開し、当連結会計年度の連結売上高における海外売上高比率は33.5%です。井関農機グループが国内で生産し輸出する事業においては、円高に振れた場合、価格競争力の低下を招く可能性があります。また、井関農機グループの連結財務諸表の作成にあたり、現地通貨で作成される海外関連会社の財務諸表を円換算しているため、現地通貨における価値が変わらなくても、為替レートの変動による影響を受けます。外国為替相場の急激な変動が、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、為替レート変動によるリスクを軽減するため、外貨と円貨の両建てでの輸出取引や原材料及び部品の海外調達を実施しています。また、為替予約の活用により短期的なリスクの軽減を図っております。

同水準

3)

原材料の価格高騰、調達難、サプライチェーンの混乱

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、多数の取引先から原材料や部品を調達しており、調達価格の急激な高騰や、供給逼迫の長期化、サプライヤーからの供給品に起因する井関農機商品の信頼性や評判低下等のリスクがあります。また、生産品の出荷・運搬に際し、輸送用コンテナやトラックの不足等から出荷が停滞するリスクがあります。特に国内では、物流の2024年問題によるトラックドライバーの不足が懸念され、これらのリスクが顕在化した場合、サプライチェーンの停滞等に起因する生産減や出荷の停滞、製造コストの上昇による収益性の低下等が井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、原材料価格高騰部分の価格転嫁を進めるほか、調達及び出荷の両面で取引先を複数とすることや複数の輸送手段等の確保、供給遅延が懸念される部品等の早期発注、安全在庫量の確保等による安定生産・供給体制の構築等を図っております。加えて取引先の信用情報調査や人権尊重を含むCSR調達アンケートの実施等により井関農機商品の信頼性確保に努めております。また、物流の2024年問題への対応として、荷待ち時間の短縮に努めるほか、トラック・船・鉄道コンテナ等の輸送手段の最適化を図っております。

拡大

 

 

4)

特定の取引先、調達先への依存

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループの連結売上高のうち、主要販売先上位3社の占める割合は、当連結会計年度において約18%となっております。また、井関農機製の製品に使用している原材料や購入部品には、調達先が特定されているものがあります。特定の販売先や調達先の方針変更や業績不振、倒産等により井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、OEM供給先も含め、特定の販売先や調達先との取引関係は安定的に継続しており、今後も取引先との定期的なコミュニケーションやトップレベルの関係性強化、販売先の満足する品質の確保等を通じ、良好な関係の維持に努めてまいります。

同水準

5)

他社との競争

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

国内農機市場においては、担い手農家のほとんどがデータを活用する「スマート農業の社会実装」が国の政策目標として掲げられ、先端技術の導入・実証が進んでいます。市場では、スマート農業に対応する高機能製品の開発や、農業資材低減ニーズを受けた低価格化等の面で、知的財産権の獲得を含め競合他社との激しい競争が展開されております。

海外では、地域ごとに環境は異なりますが、多様なニーズや環境意識の高まりなど、事業環境は常に変化しております。

こうした環境や競争に対して井関農機グループがアフターサービスを含めた商品競争力を強化できなかった場合は、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、競合他社との激しい競争に対し、多様なニーズに対応した製品の市場投入や、お客様への商品の販売に併せたソリューションの提案等を実施するなど付加価値の維持・向上に取り組んでおります。また、ICTや自動化等スマート農業関連及びカーボンニュートラルに寄与する電動化技術を含む将来型の開発テーマを増やすことで、市場での競争力向上に資する知的財産権の獲得を図っております。

海外では、環境意識の高い欧州市場向けに電動化商品の発売や、国内と市場特性が類似する東アジアでの大型・先端技術搭載商品の供給等、市場におけるプレゼンスの向上を図っております。

同水準

6)

商品やサービスの重大な瑕疵や欠陥の発生

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループの開発・製造する商品やサービスに重大な瑕疵や欠陥が発生した場合、または井関農機グループ及び井関農機商品への信頼が失われた場合、多額の損害賠償請求等により井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループは、「『お客さまに喜ばれる製品・サービス』の提供を通じ豊かな社会の実現へ貢献する」を基本理念に掲げ、お客さまに満足いただける商品を提供するための品質管理・品質保証体制を構築しております。商品化にあたっては、次のステージへの移行可否審査(デザインレビュー)等、社内で定められたプロセスを厳格に運用し、製品の開発・生産・アフターサービスを行っております。また、万一の品質問題の発生に備え、生産物賠償責任保険の加入等により、財政状態への影響の低減を図っております。

同水準

7)

株式市場の動向

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、有価証券で時価のあるものを保有しており、当連結会計年度末においては6,450百万円となっております。そのため、株価が大きく下落した場合には、減損損失、評価損または売却損等が発生し、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機は有価証券のうち保有目的が純投資目的である投資有価証券は保有しておりません。井関農機が保有する政策保有株式については、毎年、取締役会において個別の銘柄ごとに保有に伴う便益やリスク等について、定性と定量の両面から総合的に勘案のうえ、保有の意義を検証しております。検証の結果、保有意義が希薄となった政策保有株式については、売却検討対象としています。

同水準

 

 

8)

土地及びその他の固定資産の価値下落

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

 

井関農機グループが保有するその他の固定資産等については、経営環境の著しい悪化等に伴う収益性の低下や、市場価格の下落等により減損損失が発生し、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、事業環境については、中期経営計画策定時の想定から大きく変化しており、同計画で目指した「売上高に左右されることなく収益を確実に上げられる筋肉質への体質転換」は未達の状況です。

井関農機グループの連結会社においては、製造・販売の両面で構造改革を進めており、2024年2月14日に「プロジェクトZ」施策を公表いたしました。具体的には、製造拠点では松山・熊本の両製造所の経営統合を予定しており、統合による人的資源やシステムの集約により業務効率化とコスト削減効果を創出し、製造所の強靭な体質を構築してまいります。販売拠点では広域販売会社の経営統合を予定しており、重複する間接業務の効率化や、在庫拠点及び物流体制の見直しによる物流費の圧縮など、資源集約による経営効率の向上を図ります。これらの施策の進捗について、業績管理を担う部門にてトレースし、収益性の低下につながる事象を把握した場合には、適時に対応策を検討しております。

拡大

9)

環境問題等の公的規制や問題の発生

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、事業活動をするうえで大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理、有害物質の排除等に関する国内外の環境規制に対応するために必要な経営資源を投入しています。規制や市場の要求が厳格化した場合のコスト負担や、環境問題発生時の是正措置、訴訟等により、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、生産と生産以外の事業活動の両面から環境負荷の低減に努めております。生産面においては大気や排水に含まれる規制物質等の環境負荷データをモニタリングし、環境負荷低減に資する生産活動をしております。生産以外の事業活動面においては、国内外の環境規制に適合する製品の開発はもとより、環境負荷低減に資する国内での「エコ商品」の販売推進や、国内外の連結会社における廃棄物の取扱いについて法令に従い適切に対応しております。

同水準

10)

国際的な事業活動に伴うリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、アジアをはじめとして海外にも拠点を持ち、また国内の生産拠点においては海外の取引先から原材料や部品を調達して生産し、商品を内外の顧客に供給しています。こうした国際的な事業活動をする上で、各国の税制・法令・貿易政策の予期せぬ変化に加え、米中関係等の国際関係の変化、台湾有事やウクライナ・中東地域などの紛争等により、サプライチェーンや生産・営業活動が制限を受け、顧客への商品供給に支障をきたした場合、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、井関農機グループはアジア地域への事業展開に注力しておりますが、主に同地域における人材確保の困難性、未成熟な技術水準や不安定な労使関係などが、井関農機グループの事業展開を阻害する可能性があります。

井関農機グループでは、各国の税制・法令・貿易政策の変更や雇用情勢等については、現地連結会社からの情報収集と分析、関係先との情報共有を行っております。地政学的リスクについては、報道や官公庁通達のほか、井関農機グループの海外駐在員等がその予兆を察知した場合には、事業継続の可否や対応について事前に検討し、突発的な発生事象については従業員の安全を第一に対応しております。また、これらを通じて得られた情報と分析結果から、必要に応じて操業形態やサプライチェーンの見直し等を行うことにより、事業への影響の低減を図っております。

拡大

 

 

11)

法令違反リスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループの役職員が法令に違反する行為を行った場合、井関農機グループの信用失墜を招くほか、事業活動が制限され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループは、グループ全員が順守すべき「基本理念」と「行動規範」から成る「井関グループ倫理行動規範」を定め、コンプライアンスの徹底に努めております。不正及び不祥事の発生を未然に防止するため、コンプライアンス担当役員が統括管理にあたり、コンプライアンスの徹底においては各本部の統括部門長等で構成するコンプライアンスワーキンググループが中心となって対応しております。

また、企業内部の問題を早期に察知し、不祥事の発生によるリスクの最小化を目的として、「井関グループ内部通報制度(倫理ホットライン)」を設置しており、社内窓口のほか、経営陣から独立した社外の第三者窓口を設置するなど体制を整えております。

同水準

12)

自然災害や予期せぬ事故、感染症の拡大等に関するリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループの国内外の主要拠点において、地震、台風、水害等の自然災害、予期せぬ事故、感染症等が発生した場合、井関農機グループの事業活動に直接的または間接的に影響を及ぼす可能性があります。こうした自然災害や予期せぬ事故の発生、感染症の深刻化の程度によっては、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、火災や風水害の各種保険の付保に加え、耐震工事の実施、取引先との連携強化等により、自然災害等発生時のリスク分散を図っております。また「食」と「農」と「大地」に係るユーザーに必要不可欠な製品・部品・サービスの提供のため、事業継続計画を整備しております。修理メンテナンス、受発注・出荷、仕入・支払など事業継続のための重要業務を遂行できるよう、支援・代替策の確保等の検討を継続してまいります。不測の事態の発生時は、代表取締役社長を本部長として「対策本部」を設置し、情報収集・避難指示・支援指示を迅速に行います。

また、在宅勤務・分散勤務等の勤務形態の弾力化をはじめ、インターネットを活用した会議や行事運営などの継続的な実施により、不測の事態が発生した際の事業活動への影響の低減を図っております。

同水準

13)

他社との業務提携、合弁事業及び戦略的投資

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、必要に応じて他社との業務提携、合弁事業、戦略的投資を行います。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに開発、生産、販売するうえで有効な手段であると井関農機グループは考えております。

しかしながら、業務提携や合弁事業において、財政状態やその他の理由により、当事者間で利害の不一致が生じた場合には、提携を維持できなくなる可能性があります。また、買収等戦略的投資については、事業、技術、商品及び人材などの統合において、期待する成果や効果が得られない可能性があり時間や費用などが想定以上にかかる可能性があります。従って、これらの施策の成否は井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、各地の戦略パートナー等と提携関係を進めるうえで、その効果の最大化を図るため、トップマネジメントから担当者レベルまでの各階層において緊密な連携を図っています。また、業務提携によるオープンイノベーションの展開にあたっては、アーリーステージにあるベンチャー企業等を中心とした出資先候補の評価・選定及び出資後のモニタリングを行う審議機関として出資管理委員会を設置したほか、その内容や金額的重要性に応じ、取締役会・経営会議等による審議や決議をしています。しかしながら、その提携が所期の効果を発揮できないと判断した場合には、提携の解消や結びつきを弱めることもあり、発生し得る経済的影響を最小限とする手段を検討しております。

同水準

 

 

14)

借入金のリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

当連結会計年度末における井関農機グループの借入金の連結貸借対照表計上額は、69,810百万円と、総資産の32.2%を占めており、金融情勢が変化し借入金利が上昇した場合には、借入コストが増加し、井関農機グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。特に、足許では棚卸資産の増加に伴う借入金が増加し、主に海外での借入金利の上昇と併せ借入コストが増加しています。

また、井関農機グループは、取引金融機関とシンジケート・ローン契約及びコミットメント・ライン契約を締結しており、これらの契約に付されている財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済義務が生じる可能性があり、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、収益性改善や棚卸資産の削減等によりキャッシュ・フローの創出力を高めるとともに、資金調達方法の多様化手段の一つとして債権の流動化により、有利子負債の圧縮を図っております。足許で増加傾向にある棚卸資産については、国内広域販売会社の経営統合に伴い、在庫の全国一元管理による効率的な運用等により削減を図ってまいります。また、固定金利等の種々の借入条件を適宜組み合わせることで、急激な金利変動に備えております。

拡大

15)

人材の確保、人材不足

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループが持続的成長と企業価値の向上を果たしていくためには、それを実現する多様な人材が必要です。そのため、事業に必要な人材の確保・育成が進まなかった場合には、長期的に井関農機グループの競争力が低下し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、グループの人材育成方針・社内環境整備方針を定め、従業員エンゲージメント向上の取り組みを強化するとともに、国籍や性別を問わず、多様な知識・能力・経験を有する人材の採用・育成を進めています。採用方法として、キャリア採用、リファラル採用のほか、ジョブリターン制度を導入しております。育成面においても、階層別教育や技術・技能伝承のためのマイスター制度、外部大学院への派遣等の多様な人材育成プログラムに加え、事業戦略に沿ったグローバル人材、DX人材等の育成プログラムも強化してまいります。

また、グループ人材公募制度の運用を開始し、従業員の意思を尊重したキャリア形成を支援するほか、事業戦略に沿ったグループ全体の人材活用と活性化に繋げていきます。従業員とのエンゲージメントについては、タレントマネジメントシステムを活用し、働きやすく健全な職場環境の整備を図っております。

同水準

16)

情報セキュリティのリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループは、業務上必要となる個人情報を含む各種の情報をシステム上で管理しております。サイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等により、情報漏洩及びシステム停止・破損等が発生した場合、井関農機グループの業務の停滞に加え信用の低下を招くなど、井関農機グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、電子情報のセキュリティや情報インフラの管理規程を整備し、サイバー攻撃・コンピュータウイルス対策の実施に加え、データセンタやクラウドサービスを活用したセキュリティ対策の強化に努めるほか、外部からの不正アクセスを常時監視するサービスの導入など、情報セキュリティ管理体制の継続的な改善を実施しております。

また、不測の事態に備えサイバー保険を付保しております。

同水準

 

 

17)

気候変動のリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

前年度からの変化

井関農機グループの事業基盤である農業において、気候変動は、作物体系の変化や農地の減少などによる需給の変動、井関農機グループの商品構成や販売量をはじめ事業活動全般に大きな影響を及ぼし、適切な対応ができなかった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

気温上昇を+2℃未満に抑えるシナリオ(主として移行リスク)においては、脱炭素化に向けた政府等の規制強化による運営コストの増加や脱炭素化の進展に伴う調達コストの増加、脱炭素需要に対応できないことによる事業機会の損失等が、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、気温上昇が+4℃となるシナリオ(主として物理的リスク)においては、風水害の甚大化によるサプライチェーンを含む生産・販売拠点などの被災影響、また、平均気温上昇に伴う米の品質低下や稲作可能地域の減少等を受け、稲作用の農機需要の減少が懸念され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

井関農機グループでは、主に2℃シナリオにおいては、太陽光発電等の再生可能エネルギー活用のほか、液化天然ガス(LNG)への燃料転換、また自家発電設備の排熱をボイラー等で利用するなどエネルギー構造の変更により、気候変動に影響するGHGの排出抑制を図っています。一方、脱炭素化に向けた農業機械や農法の変化は、井関農機グループにとって事業展開の機会でもあると分析しています。例えば、農業機械の電動化や、施肥の最適化など効率的な農作業を実施するスマート農機・ロボット農機の導入促進に加え、農業分野のGHG排出の一定割合を占める水田のメタン排出量削減に資する農法の普及や、化学肥料・農薬を使用しない環境保全型農業の進展が見込まれ、これらに対応するためのソリューションの需要拡大が想定されます。また、井関農機グループは、J-クレジットの取り組みに関する他社との業務提携を通じた推進など、温室効果ガスの削減に貢献し、持続可能な農業の拡大を目指してまいります。

4℃シナリオにおいては、事業継続計画の継続的見直し、商品構成や販売網の見直し等により、影響の抑制を図っています。一方、自然環境の変化に対応するため、ロボット農機による農作業の代替関連技術、AIによる気象データ・生育データ分析の自律化等、持続可能な農業生産基盤の構築に資するソリューションの需要拡大が見込まれ、これらは井関農機グループにとって事業展開の機会でもあると分析しています。

同水準

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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