QDレーザ(6613)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


QDレーザ(6613)の株価チャート QDレーザ(6613)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

QDレーザグループ(QDレーザ及びQDレーザの関係会社)は、QDレーザ、非連結子会社QD Laser Deutschland GmbH(ドイツ)、QD Laser America,Inc.(米国)で構成されております。

QDレーザはレーザ(※)技術を用いた製品の開発・製造・販売を行っており、レーザデバイス事業と視覚情報デバイス事業を展開しております。非連結子会社QD Laser Deutschland GmbHは視覚情報デバイス事業における欧州での治験結果の維持管理、事業開発、販売を目的としております。非連結子会社QD Laser America,Inc.は視覚情報デバイス事業における米国での網膜投影製品の販売を目的としております。

QDレーザのコア技術として、下記6点があります。

● 半導体結晶成長・・・MBE法(Molecular Beam Epitaxy法、分子ビームエピタキシー法)を用いて半導体結晶を半導体基板上に一原子層ずつ成長させる技術です。QDレーザレーザ製品はこの半導体結晶から製造されます。

● レーザ設計・・・用途毎に所望の機能を満たす最適な半導体レーザを設計する技術です。例えば精密加工用半導体レーザでは10psの超高速パルスを実現しています。

● 小型モジュール・・・半導体レーザは半導体レーザチップをパッケージの中に実装しますが、そのパッケージのことをモジュールと言います。QDレーザは波長532nmや561nmレーザを実装した世界最小クラスのモジュールを製品化しました。

● VISIRIUM Technology・・・超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接映像を投影する技術です。

● 回折格子・・・半導体レーザ内部に波長を選択するための周期100ナノメートル程度の凹凸を作り込んでおり、これを回折格子と呼んでおります。これによって、レーザ波長の精密制御が可能になり、黄緑(561nm)、橙色(590nm)等の半導体レーザを商用化しました。

● 量子ドットレーザ・・・量子ドットレーザとは、直径約10nm(ウイルスの1/10程度のサイズ)の半導体量子ドットを活性層に用いて、光を増幅、発振する半導体レーザです。この量子ドットレーザは、1)摂氏マイナス40度から120度近辺まで電流無調整で動作する、2)200度以上の超高温でも動作する、3)高信頼で長寿命である、4)シリコンフォトニクスチップに低雑音でレーザ光を導入できる、という優れた特徴を持っています。


 

※ レーザ(Laser)とは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)の頭文字を取ったもので、共振器を用いて電磁波を増幅して得られる人工的な光であり、指向性や収束性に優れ、また波長を一定に保つことができる等の物理的な特長があります。

 

なお、当事業年度より、従来「レーザアイウェア事業」としていた報告セグメントの名称を「視覚情報デバイス事業」に変更しております。この変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

(レーザデバイス事業)

QDレーザのレーザデバイス事業は、結晶成長を自社で実施し、半導体レーザチップ加工及びモジュール実装を、社外協力会社に製造委託する水平分業体制によるファブレス製造を実現し、ハイエンド技術を基にした事業となっております。

QDレーザは半導体レーザの特性を決める活性層成長を担っており、特に量子ドットの結晶成長については他社にはないノウハウを有しております。また、研究機関からの基礎技術の研究開発や、メーカの新規アプリケーションの光源開発を行う開発受託業務も行っています。

 

QDレーザの技術が使われている製品は以下のとおりとなっております。

名称

用途等

 

1240-1310nm量子ドットレーザ


 

 

半導体レーザの活性層(発光部)に量子ドット構造を採用しており、温度安定性に優れ、高温にて動作可能です。この温度安定性により、従来の量子井戸レーザ(※)に比べてレーザの評価や調整を極めて容易に行うことができます。波長1300nm帯でレーザ発振するため、データ通信用の光源として利用されています。

※量子井戸レーザとは、一般に使用される光通信用レーザです。

 

1300nm高温度動作量子ドットレーザ

 


 

 

150℃以上での動作に耐性のある波長1300nm量子ドットFPレーザです。このレーザは砂漠や工場、地中資源探査といった過酷な温度環境下でのデータ伝送やセンシング等様々な応用に適しております。

 

シリコンフォトニクス用量子ドットレーザ


 

 

量子ドットレーザは、1)温度が100℃以上の高温のCPUの近くでも安定して動作する、2)反射戻り光に強いためアイソレータが不要となり低コスト化できる、3)高温度で動作させても長寿命である、という3つの特長があり、シリコンフォトニクス用光源として光コネクタ、チップ間インターコネクトやLiDARなどへの適用・検討が進められております。シリコンフォトニクスチップの設計に合わせて、単一チャネル型だけではなく複数の発光点を持つマルチチャネル型も作製することができます。

 

 

1020-1180nm材料加工・センサ用DFBレーザ


 

 

波長1020-1180nmの単一モードDFBレーザで、連続動作から短パルス動作まで極めて安定に動作します。

単一モード安定性は、精密加工用、LiDAR用、ウエハ表面検査用ファイバレーザの種光、ガスセンシング等様々な応用に適しております。

 

 

640-905nm高出力FPレーザ(モニタPD付き)

 


 

 

波長640,660,785,830及び905nmの高出力ファブリペローレーザで、マシンビジョン、パーティクルカウンター、モーションセンシング、セキュリティ、半導体ウエハ自動搬送機及びレベラー等の様々な産業用途に最適です。

 

532,561,594nm小型可視レーザモジュール

 


 

 

半導体DFBレーザと非線形光学素子PPLN(周期的分極反転ニオブ酸リチウム)を組み合わせた波長変換技術により、低消費電力を実現しております。DPSS(半導体励起固体)レーザと異なり、100MHzまでのパルス変調動作やピコ秒での動作が可能です。顕微鏡、フローサイトメータ、セルソータ、分光及びセンシング等のアプリケーションに使用されています。

 

高品質エピタキシャルウエハ

 


 

 

様々な光デバイス・電子デバイス用途に、カスタマイズした分子線エピタキシー(MBE)装置を用いたGaAs基板上の高品質エピタキシャルウエハです。量子ドットウエハには、テレコム/データコム用温度安定レーザや、220℃までの高温度環境で動作するレーザで、世界最高水準の量子ドット技術が適用されております。

 

 

Lantana

 


 

 

波長532,561,594 nmの小型可視レーザとドライバを内蔵したオールインワン型のユニットです。超小型ながらプラグアンドプレイが可能で、シリアル通信制御の単一波長光源のため、バイオメディカル用装置の小型化や設計自由度の向上に貢献いたします。

 

 

 

上記製品を搭載している主な製品機器の一例として、次のようなものがあります。

1.光通信・シリコンフォトニクス(※1)

名称

用途等

製品特性・概要

 

シリコンフォトニクス

 


 

 

シリコン基板上に光機能素子を集積し、低コストで高性能な光回路を実現する技術です。現在は量子井戸レーザが使用されていますが、量子ドットレーザを用いたデータ通信、ボード間・LSIチップ間通信やLiDAR等の開発が進められています。

 

量子ドットレーザを使用することにより、温度が100℃以上の高温のCPUの近くでも安定して動作する、反射戻り光に強いためアイソレータが不要となり低コスト化できる、高温度で動作させても長寿命である、という3つの特長があります。

 

 

 

2.バイオ系検査装置

名称

用途等

製品特性・概要

 

フローサイトメータ(※2)

(細菌検査装置)


 

細胞の測定装置で、細胞の浮遊液や懸濁液を細管に通し、細胞数の計測、蛍光や散乱光の測定等を、短時間で多量に行います。分子生物学、病理学、免疫学、植物生物学、海洋生物学等各種分野にて応用されております。

 

世界初の緑・黄緑・橙半導体レーザです。

1μm帯DFBレーザ技術と波長変換技術を組合せた小型モジュールになります。黄緑・橙色は直接半導体では発光できない波長帯で、独自の技術をもって実現しております。

小型・低消費電力特性を活かし、フローサイトメータ(細胞検査装置)やバイオメディカル用顕微鏡光源として採用されております。

 

蛍光顕微鏡


 

 

蛍光タンパク質や蛍光抗体を標識に用いて、細胞やタンパク質を生きたままで観察できる顕微鏡で、生物学・医学における研究、臨床検査、浸透探傷検査等に使用されております。

 

 

3.精密加工

名称

用途等

製品特性・概要

 

ファイバレーザ(※3)


 

 

固体レーザ(※4)の一種ですが従来の固体レーザに比べ、繰り返し周波数の自由な設定が可能、ビーム品質が高い、小型軽量で電気-光変換効率が高い、長寿命といった特長があり、金属やセラミック、ガラス等のマーキング、微細加工、溶接、切断等に使用されます。

 

1064nm帯短パルスレーザを使用することにより、結晶成長技術、グレーティング設計技術、半導体レーザ設計技術により1064nmDFBレーザのナノ秒、ピコ秒の短パルス動作を実現しております。

ナノ秒・ピコ秒の短パルス特性を活かし、ファイバレーザの種光として、多くのファイバレーザメーカに採用されております。

 

 

4.各種センサ

名称

用途等

製品特性・概要

 

パーティクルカウンター(※5)

 


 


 

 

マシンビジョン(※6)

 


 

 

空気中や液体中にある塵・ホコリ・異物・ダスト等をカウントする計測器で、工業用クリーンルームと医薬品・食品及びバイオテクノロジー分野向けとして、主に空気中の浮遊微粒子や微生物を制御・管理したクリーンルームやクリーンベンチの管理目的で使用されます。

 

640,660,785,830及び905nmでレーザ発振する半導体レーザで各種センサ、マシンビジョン、パーティクルカウンター、水準器、血液検査計、距離計、半導体ウエハ自動搬送機等の産業用途にレーザを提供しております。

 

光電センサ


 

 

物体の有無や表面状態の変化等を検出するセンサで、工場等での外観検査、自動搬送器、駅のホームドア等幅広い用途に使用されます。

 

半導体ウエハ自動搬送機

 


 

 

半導体工場内のウエハ自動搬送機に搭載されたレーザを照射し、他機との距離を検出することで衝突を回避します。

 

 

 

 

名称

用途等

製品特性・概要

 

距離計

 


 

 

スマートフォンのイヤホンジャックに挿して電源を入れ、計測ガイド(測定点を表示するガイド)用のレーザを照射させ、部屋の壁面等2点間の距離を測定します。

 

同上

 

 

(視覚情報デバイス事業)

視覚情報デバイス事業は、レーザ網膜投影技術を使ったメガネ型ディスプレイや非メガネ型網膜投影製品の製品開発・ファブレス製造を行っています。

ファブレス製造とは、製品の企画、設計を自社内で行い、部品及び最終製品の製造及び組立てを協力会社に依頼しているものです。QDレーザからは、部品及び最終製品の製造・調整に必要な製品仕様、部品リスト、部品仕様書、回路図、実装図、プリント配線板製造データ、組み立て指示書、検査指示書、ソフトウエアを協力会社に供給し、製品製造・検査を委託しております。

また販売に関しましては、一般顧客向けには販売パートナー(代理店、メガネ店、通販業者)を通じ販売し、法人顧客向けには直販及び代理店経由での販売を行っております。

網膜走査型レーザアイウェアは、超小型レーザプロジェクタから、VISIRIUM Technologyにより網膜に直接画像を投影し、装着者の視力やピント位置に影響を受けることなく(フリーフォーカス)、カメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せることができる製品となっております。2022年度に発売した非メガネ型の網膜投影機器は、フリーフォーカスに加えて網膜への投影範囲を大きく拡大し、その周辺部にまで明るくはっきりとした映像を届けられる製品です。

 

 

 

網膜走査型レーザアイウェアの仕組みは以下のとおりとなります。

 


 

網膜走査型レーザアイウェアは、メガネ型民生用機器、医療用機器、非メガネ型民生用機器を販売しておりましたが、医療機器に関しては2024年度に販売を終了しました。

 

メガネ型民生用機器は、「RETISSA Display」を2018年7月に販売を開始しました(現在は販売終了)。後継機として「RETISSA DisplayⅡ」を2019年12月に販売を開始しております。2021年8月からはRETISSA DisplayⅡ向けの専用のアクセサリカメラ「RD2CAM」の販売を開始しましたが、2024年11月の中計において生産中止を発表いたしました。ただし、販売は継続しております。

 

名称

用途等

 

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA DisplayⅡ」

 


 

「RETISSA Displayシリーズ」のフリーフォーカスの特性は、見ることが次第に困難となってきた高齢者の見え方を助けることができます。さらに、装着者に対して完全な拡張現実(Augmented Reality: AR、現実の視界に情報を重ね合わせて表示すること)を実現できるため、組み立て作業中に手順書を見ることや医師が手術中に画像診断情報を見ること等の作業支援用途や、スポーツ観戦や観劇において、解説情報や多言語対応の情報を見せる等の情報支援用途にも応用が可能となっております。
視力0.8相当の高解像度とレーザディスプレイならではの高い色再現性によって、美しい映像をご覧いただけます。

 

 

医療用機器は「RETISSA メディカル」を2021年3月に日本国内で販売を開始しております。眼鏡フレームの中央にカメラを内蔵した網膜走査型レーザアイウェアで、カメラで撮影した画像をリアルタイムに装着者の網膜に投影します。

日本においては2018年10月に治験を終了し、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得いたしました。

ヨーロッパでは2018年8月に治験を開始、2019年10月に終了し、2021年6月にフォローアップを含めて完了いたしました。2024年10月をもって販売は終了いたしました。

名称

用途等

 

不正乱視向け視力補正機器

網膜走査型レーザアイウェア

「RETISSA メディカル」

 

 

 


カメラで撮影した画像を網膜に投影することによって、次の3つの効果が期待されます。

①遠くを見る視力の向上

②読書の速度の向上

③読書で文字を読むときの視力の向上

出典:前眼部疾患に起因する低視力患者を対象とした網膜走査型レーザアイウェアの検証的試験 治験総括報告書第1.0版

医療機器承認番号:30200BZX00025000

使用目的:本品は、不正乱視によって視力が障害された患者(既存の眼鏡又はコンタクトレンズを用いても十分な視力が得られない患者)に対し、視力補正をする目的で使用されます。

 

 

2022年度にはレーザ網膜走査の技術を利用した非メガネ型民生用機器が加わりました。

名称

用途等

 

「RETISSA ON HAND」

 


 

利用シーン:公共空間(図書館、美術館・博物館・劇場・サッカースタジアムなどでの読書、文化芸術鑑賞、スポーツ観戦等)で来館者が使用する手持ち型機器

 

民生機器「RETISSA ON HAND」はレーザ網膜走査技術を応用・発展させて、公共の場所で、誰もが手軽に本や書類を読んだり、書類に記入や署名できることを目指して開発しました。この「RETISSA ON HAND」は、網膜投影の効果によって、本の見開き全体を見て、書類全体を素早く把握したり、書きたい文字を書くことができることから、各自治体で認知され始めています。図書館、市町村区役所、病院、学校、等の各行政機関で使って頂けるよう、都・県議会、市区町村に働きかけ、行政サービスへの採用検討が進んでいます。現在は、東京都庭園美術館での鑑賞時貸出や、東京文化会館でのオペラ鑑賞時の鑑賞支援機器としての利用が開始されたり、サッカースタジアムでのスポーツ観戦に利用されるなど、文化・芸術施設やスポーツ施設への導入、利用が進んでおります。

民生用新製品「RETISSA ON HAND」は、2023年3月に発売いたしました。代理店を通じて販売中です。2024年3月には米国でも販売を開始しました。

 

 

「RETISSA NEOVIEWER

 


ロービジョン者の行動・見えるの範囲を拡張するデジタルカメラ・ビューファインダー

 

民生機器「RETISSA NEOVIEWER」はレーザ網膜投影の画角をレーザアイウェアの26度から60度まで広げた、デジタルカメラ用ビューファインダです。網膜投影の効果によって画面全体を一度に把握できるため、最適なフレーミングが可能であるだけでなく、老眼や近視等、使用者自身の眼のピント調整機能の影響を受けずに撮影できます。さらに、デジタルカメラの高倍率光学ズームを併用することによって、網膜症を含むロービジョンの方々の最善の視機能支援手段となり得ます。

民生用新製品「RETISSA NEOVIEWER」は、ソニー株式会社のコンパクトデジタルスチルカメラとのセット"DSC-HX99 RNV kit"としてソニー社より2023年3月に発売され、全国5店舗のソニーストアで販売中です。2023年7月からは米国でも販売しています。

*従前の名称「SUPER CAPTURE」から変更しました。

 

「RETISSA MEOCHECK」


民生機器「RETISSA MEOCHECK」はレーザ網膜投影技術を応用した、眼のルフチェックができる小型装置です。

機器の販売に加え、「眼のセルフチェックサービス」を実施するサービスビジネスも実施しております。

ただし、「MEOCHECK」および「眼のセルフチェックサービス」の判定結果が受診勧奨にあたることが判明し、自主回収とソフトウェアの改修を進めております。法令に適合した製品を市場に投入できるまでは全ての営業活動は停止しております。

 

 

QDレーザの事業構造につきましては、下記のとおりとなっております。

(レーザデバイス事業)

独自技術を駆使した半導体ウエハを作成し、協力会社に当該ウエハを組み込んだ半導体レーザチップの作製及びモジュールの実装を委託し、QDレーザで品質基準への適合性を検査した後、お客様に製品をお届けしております。

 

(視覚情報デバイス事業)

網膜走査型レーザアイウェアをはじめとする網膜投影製品を製造しております。一般顧客の場合、販売パートナーを通し、法人顧客からはQDレーザが直接及び代理店経由にて受注しております。製造は協力会社に対して、QDレーザが供給した仕様書に基づき、パーツや最終製品の製造及び組立を委託し、QDレーザにて検査を行った後に販売パートナーまたは直接お客様へ製品をお届けしております。

 

QDレーザの「レーザデバイス事業」及び「視覚情報デバイス事業」の事業系統図は以下のとおりとなります。

なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 


 

本項「3.事業の内容」にて使用しております用語の定義について以下に記します。

 

No

用語

用語定義

 

 

シリコンフォトニクス

 

 

シリコンフォトニクスとは、 LSI(大規模集積回路)やIC(集積回路)に使用されるシリコン基板上に、光集積回路を作製し、様々な光機能をシリコン上に作製する技術です。

 

 

 

フローサイトメータ

 

 

 

フローサイトメトリーと呼ばれる分析手法に用いられる分析装置です。主に細胞を個々に観察する際に用いられます。フローサイトメトリーとは、細胞を含む流体にレーザ光を当てて、その散乱光や蛍光検出により細胞を特定する手法です。

 

 

 

ファイバレーザ

 

 

 

ファイバレーザとは、希土類を添付した光ファイバを増幅媒体とするレーザの一種です。光ファイバ、種光、励起光で構成されております。ビーム品質が高い、小型化可能、長寿命と従来の固体レーザに比べてメリットが多いです。

固体レーザ

固体レーザとはYAG結晶等の絶縁性固体材料を増幅媒質とするレーザです。

 

 

 

 

 

 

 

パーティクルカウンター

 

 

 

 

 

 

 

パーティクルカウンター(Particle Counter)とは、空気中や液体中にある塵・ホコリ・異物・ダスト等をカウントする計測器のことで、日本では微粒子計と呼ばれることもあります。
 パーティクルカウンターは、一般にICR(Industrial Clean Room)と呼ばれる工業用クリーンルームと、BCR(Biological Clean Room)と呼ばれる医薬品・食品及びバイオテクノロジー分野向けとして、主に空気中の浮遊微粒子や微生物を、制御・管理したクリーンルームやクリーンベンチの管理目的で使用されております。

 

 

 

 

 

マシンビジョン

 

 

 

 

 

マシンビジョン(Machine Vision, MV)とは、産業(特に製造業)でのコンピュータビジョンの応用を意味し、自動検査、プロセス制御、ロボットのガイド等に使われます。

コンピュータビジョン(人間の視覚システムをコンピュータが代替する技術)とは、ロボットの目の役割(様々な自動機械が画像認識をする)を果たすものです。

 

 

回折格子形成

 

 

半導体レーザにおいて単一波長で発振するレーザを、DFB(Distributed Feedback)レーザと呼んでおります。波長を選択するためにレーザ内部に周期的な凹凸を形成しますが、それを回折格子形成と呼びます。

 

 

 

クラッド再成長

 

 

 

半導体レーザ用結晶の成長においては、まず半導体レーザの発光層となる量子ドットや量子井戸を形成します。その後、波長を選択する回折格子を形成します。その上部に光を閉じ込める層であるクラッド層を形成します。この層を形成する工程をクラッド再成長と呼びます。

 

 

電極プロセス

 

 

半導体レーザ作製には、クラッド再成長後に光を導波させるためのメサ構造や、電流を注入するための電極形成が必要になります。それらの工程を総称して電極プロセスと呼びます。

10

 

端面コート

 

半導体レーザをレーザ発振させるために、チップ前後に光を反射させる膜を形成する必要があります。この膜形成の工程を端面コートと呼びます。

11

 

チップ選別検査工程

 

協力会社にて作製した半導体レーザチップを、QDレーザにおいて光出力や波長を検査する工程をチップ選別検査工程と呼びます。

12

 

 

 

光学調整

 

 

 

網膜投影製品では、光の三原色であるRGBの半導体レーザの光が精密に設計された光学系によって導かれ、画像を投影します。光学系に関わるパーツでは、投影の品質や安全性が担保できるよう、あらかじめ定められた基準に従った調整を行います。

13

 

光学・外観検査

 

完成した製品は、消費生活用製品安全法やあらかじめ定められた基準に適合していることを確認するために検査されます。

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、提出日現在において、QDレーザが判断したものであります。

(1)経営方針

人間と物があらゆる情報とつながり始めたこの世界において、高機能汎用技術である半導体レーザ技術の有用性はますます高まってきております。QDレーザは「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもとに、世界の人々の生活を安全で豊かなものにし、幸福と平和に貢献する企業を目指すことを経営方針としております。

経営方針に基づく重点施策として下記の5点を掲げております。

● 業界をリードする新製品の開発と安定量産化

● 納期遵守による顧客満足度の向上

● 顧客要求を充足する信頼性の確立

● 製品検査レベルでの品質向上

● 従業員の継続的スキル向上

QDレーザの属する「半導体レーザ」業界の経営環境は、世界的にもニーズが高まり、光通信・インターコネクト、ディスプレイ、バイオセンサ、スマートフォン顔認証、自動運転レーダ、精密加工、プリンタ、照明等、順調に市場は伸長しております。その市場の中でシェアを獲得するために以下のような経営戦略を立案し、推進しております。

① ファブレス製造

自社内においては半導体レーザの最も要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみを行い、それ以外の工程は協力会社の生産ラインにて行っております。このため、生産設備保有による固定費や資金流出が抑えられるとともに、需要の変動に柔軟に対応した生産を行うことが可能となり、低コストで顧客満足度の高い生産体制を実現しております。

 

② 幅広い波長領域のレーザの開発、量産化

532nmから1064nm、1310nmまでの幅広い波長領域をカバーする製品をラインナップしております。これにより、通信機器、精密加工装置、生命科学機器、計測センサ機器、ディスプレイ機器等の多様なアプリケーションに対応する製品を開発、量産することが可能となっております。

 

③ 量子ドットレーザ量産技術のシリコンフォトニクス展開

光通信とインターコネクトに用いられる波長1300nmにおいて、量子ドットレーザの量産技術を有しております。この量子ドットは、高温度動作(200℃以上)、温度安定動作(-40℃から125℃)、極低ノイズ特性(既存光通信デバイスと比較して)によって、シリコンフォトニクス光源として適しており、シリコンフォトニクスによる高速光デバイスの超小型化・低消費電力化が期待されます。現時点で、世界のシリコンフォトニクスベンダー各社とシリコン融合量子ドットレーザの共同開発を進めており、光コネクタ、チップ間インターコネクトへの適用が検討されております。また、シリコンフォトニクスと量子ドットデバイスを組合せてロボティクス、セキュリティ、自動運転用のLiDAR用光源の共同開発も行っております。

5G時代の到来で世界規模のデータ量増加とそれに伴う消費電力の増加が見込まれ、世界のデータ総量は2018年33ZBが2025年175ZB、消費電力は2016年1,170TWhが2030年42,300TWhと予測されていることが、シリコンフォトニクスが求められる背景です。(IDC「Worldwide Global DataSphere IoT Device and Data Forecast」、国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響」より抜粋)

 

④ 最終製品展開

「人の可能性を照らせ。」を具現化するため、従来の部品事業にとどまらず、半導体レーザ技術を応用した消費者向け製品事業を展開しております。そのひとつが、網膜投影技術VISIRIUM(ビジリウム)テクノロジーを採用した製品、RETISSA(レティッサ)シリーズであります。この技術は人間の水晶体のピント調節能力やピント位置に依らず、投影の端部まで鮮明な画像を網膜に描画できるという画期的な特徴を有しております。従来より販売しておりました装着型の網膜走査型レーザアイウェアに加え、様々な使用シーンに向けた3つのレーザ網膜投影機器を上市しました。そのうちの1つである「MEOCHECK」は、自身の見え方やその変化を手軽に把握する事ができる全く新しいデバイスです。これまでのハード販売に加え、ソフトウエアを含めたサービスビジネスとして市場に訴求いたします。今後も世の中に光の可能性を提案する製品開発を行ってまいります

 

⑤ 眼の健康維持(ビジョンヘルスケア)領域への展開

網膜走査型レーザアイウェアのピント合わせ不要という画期的な特徴を眼科医療機器に展開し、ロービジョンの方の生活の質の向上と就学、就業機会を実現する視覚型ロービジョン支援機を開発してまいりました。その成果の一つが2021年3月に販売開始した網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA メディカル」であります。日本における医療機器としての臨床試験を2018年10月に終了し、2019年2月に製造販売承認申請を行い、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得したものです。ロービジョンの方の支援については、民生機器である「RETISSA Display Ⅱ」や新しく発売した網膜投影型拡大読書器「RETISSA ON HAND」、さらには網膜投影型ビューファインダー「RETISSA NEOVIEWER」を通じて継続して取り組んでおります。

これに加え、眼疾患の早期発見が可能な新しい機器を目指した製品開発も進めております。眼の健康チェックを簡便に実施できる「RETISSA MEOCHECK」の開発・発売に加え、医療機器を想定した眼底撮影装置や新しい検眼機などを、大学との共同研究などを通じて開発しております。

さらに、網膜走査型レーザアイウェアについては作業支援やエンターテインメント等の分野において大きな潜在需要を見込んでおります。そのため、次世代レーザアイウェアの核となる技術開発を継続してまいります。

 

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等

企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、QDレーザは売上高総利益率を最も重要な経営指標として採用しております。現時点では数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及びQDレーザの業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。事業別の指標としては、レーザデバイス事業は、これまでは認定顧客数の増加率で管理しておりましたが、各アプリケーションにおいて主要なお客様に認定されていることから、今後はお客様内での認定製品の数を増やすことに重点をおき、認定製品数毎年10%増加を指標といたします。レーザアイウェア事業は、ロービジョンエイド分野での国内外の共同プロモーション企業数、次世代レーザアイウェア分野での部品・設計開発・製造に関わるグローバルなエコシステムの参加企業数を増やすことが重要との認識でおりますが、その数値指標は未定であり、客観的指標としては眼の健康チェックサービス事業において、サービス導入社数毎年100%増加(倍増)とチェック実施人数毎年50%増加といたします。

 

(3)対処すべき課題

今後の世界経済につきましては、ロシア・ウクライナ情勢の展開やエネルギー・原材料価格の高騰、欧米各国の金利引き上げ、円安による物価上昇等により、先行き不透明な状況が継続するものと予想されますが、QDレーザにおきましては、「人の可能性を照らせ。」を念頭に、以下の課題に対する諸施策を講じることで、事業の強化を図ってまいります

 

①レーザデバイス事業の成長

加工、センサ領域では、既存製品の受注継続と拡大、新規品開発と製品化、新規アプリケーションへの参入及び高付加価値モジュールの製品化を進め、中長期的に年率10%以上の安定的な事業成長を図ります。通信、LiDAR向けシリコンフォトニクス用量子ドットレーザについては、国内外の顧客からの受託開発、特性改善、低コスト量産化を進め、量産受注案件を増やすことで量子ドットレーザ事業を強化してまいります。

 

②ロービジョンエイド領域での取り組み

レーザアイウェア事業のうち視覚支援領域においては販売拡大が継続的な課題となっております。

国内販売につきましては、公的補助を含めた経済的状況を鑑みると当事者による直接の購入は限定的であると考えられます。このため、施設への導入やイベントの実施などを通じたバリアフリーやインクルーシブ社会の実現を目指し、かつ持続可能な取り組みの構築を進めてまいります。

「RETISSA NEOVIEWER」(DSC-HX99 RNV kit)および「RETISSA ON HAND」を販売している米国を含む海外市場においては、医療機器と誤認されるリスクを避けるためにCSUN技術会議など対面の場におけるPR活動を中心にしています。認知の浸透には相応の時間と費用がかかると考えられますが、パートナーとの関係強化、提携先の拡大、中国を含む市場開拓、事業開発を進めてまいります。

 

③眼の健康維持(ビジョンヘルスケア)領域の拡大

レーザ網膜投影技術を活用した眼の健康チェック機器「RETISSA MEOCHECK」の発売に加え、交通事業者向けのサービスビジネスを立ち上げております。この新たな領域、ビジネスモデルへの取組を着実に進め、事業としての確立・拡大を図ってまいります。また、医療機器としての検眼器等についても提携先と上市に向けて引き続き原理検証・試作を進め、事業化の道筋を明確にしてまいります。

 

④スマートグラス実現に向けた取り組みの継続・拡大

レーザアイウェア事業の飛躍的成長を実現するためには、多くの方が日常的に使うスマートグラスへの技術採用が欠かせない要素です。共同開発を続けるパートナー企業とともに、アイトラッキング機能の開発、低消費電力化、小型化、高精細化といった要素技術の成熟にむけて取り組むとともに、これまで蓄積した知財・ノウハウの収益化を目指してまいります。

 

⑤マーケティングと営業体制、新製品開発力の強化

市場・業界・顧客分析、及び分析に基づく戦略的営業活動をさらに充実させるとともに、従来の定期的な顧客訪問、展示会の有効活用、国内外代理店との密な連携、企業パイプラインの強化と複線化、ウェブサイトの充実、Eコマースサイト活用を継続して、売上増大と利益確保を図ります。また、製品開発、研究開発基盤とマーケティングを連動させ、新製品開発力を強化してまいります。

 

⑥水平分業提携先との協業体制の維持と発展

チップ作製、モジュールアッセンブリ、レーザアイウェア生産提携先と、将来ビジョン、年間計画、各案件のスケジュール連携、結果のフィードバック、定期的な訪問、打合せ等を行い、より一層の関係強化を図ってまいります。

 

⑦高品質・安定した製品の供給

高品質、高性能な製品を市場に供給し顧客満足度を継続して向上できるようISOに準拠した製品開発を行っていきます。また、顧客の性能、品質、価格、納期へのご要求に常に耳を傾け、開発・生産・営業が一体となりスピーディーに対応できる体制の継続的改善を行ってまいります。

 

⑧MBE装置(分子線エピタキシー法による結晶成長装置)の維持管理

QDレーザの技術を支えるMBE装置は事業部の移転に合わせて2026年4月に横浜市戸塚区の新拠点に移設をする予定でありますが、本装置は繊細な管理を必要とするため、移設時及び日々の修繕において、安定的な運用ができるような体制を図ってまいります。

 

⑨適切なコーポレートガバナンスとIR体制強化

開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進するとともに、株主とのコミュニケーションを強化し、株主満足度の高いIR体制を構築してまいります。

 


事業等のリスク

3 【事業等のリスク】

QDレーザを取り巻く市場環境及び事業の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりであります。なお、以下の各事項は、本書提出日現在において、QDレーザが把握している情報等から判断可能なものについて記載したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 市場環境について

QDレーザが参入しているレーザ関連市場は、既存技術の代替や新分野への活用等にて今後の成長、拡大が大きく見込める市場でありますが、今後の更なる技術革新、最先端技術の変化により、レーザに代わる廉価且つ大量生産可能な代替品が市場投入された場合、レーザ関連市場が縮小する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 景気動向について

QDレーザが参入しているレーザ関連市場は、精密加工装置やバイオ系検査装置等の産業用、医療用機器向けを中心に成長傾向は継続するものと見込んでおりますが、国内外の経済情勢や景気動向、それに伴う設備投資意欲の減退等の理由により、市場の成長が鈍化する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 開発受託業務について

QDレーザが展開している開発受託業務は、QDレーザの先端基盤技術に基づくもので、開発費と利益の獲得、基盤技術の高度化、知財の蓄積、新規発想の具現化、新アプリケーション創造と市場の開拓、受託先の量産展開力の活用等、QDレーザの利益に資する重要なビジネスモデルであり、今後も幅広く展開していく方針ですが、受託先の経営方針の変更や経営状態の悪化等により、受注が減少する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 網膜投影製品の販売について

レーザアイウェア事業における各機器は、眼鏡店や医薬品・医療機器メーカー、専門商社などの販売代理店や、代理店が運営するECサイトを通じてエンドユーザーに販売しております。また、QDレーザから機器やパーツ、モジュールを提供し、販売先企業が製品化あるいはパッケージ化して販売しております。

レーザアイウェア事業の販売計画は、こうした企業の販売目標や締結済みの契約を目安に作成しております。こうした販売目標は市場投入前のマーケティング活動等を踏まえて設定されたものですが、網膜投影機器は市場にとってほとんど前例のない製品であり、当初の目標台数よりも販売できない場合、各社の事業方針に変更等があった場合には、QDレーザの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 眼の健康チェックサービス事業について

QDレーザが展開している眼の健康チェックサービス事業は、眼の健康状態が重要視される運送・運輸業界や国民全体の高齢化等により、市場拡大が見込める事業でありますが、顧客企業の経営方針の変更や経営状態の悪化等により、市場の成長が鈍化する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 為替変動について

QDレーザは、国内だけでなく、海外とも仕入及び販売取引を行っております。為替の変動については、リスクヘッジ策を行っておりますが、今後、想定外の為替変動が発生した場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 知的財産権について

QDレーザの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレーム等の問題が発生した事実はなく、現時点において、QDレーザの事業に関し、他社が保有する特許権等への侵害により、事業に重大な支障をきたす可能性は低いものと認識しております。また、技術調査等を継続的に行い、侵害事件を回避するよう努めております。しかしながら、QDレーザの様な研究開発型企業にとって、知的財産侵害問題の発生を完全に回避することは困難であり、今後第三者との法的紛争に巻き込まれた場合には、弁護士や弁理士と協議の上、個別具体的に対応策を検討してまいります。QDレーザの技術が侵害されるケース及びQDレーザが第三者の技術を侵害していると指摘されるケースのどちらとしても、解決に際しては、時間及び多額の費用を要する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 法的リスクについて

QDレーザの様々な事業活動において、国内外を問わず、QDレーザが関与する技術・製品・サービス等について知的財産権に関する係争や製造物責任問題、薬事、商取引、税務等その他事業に関連する法令、慣行を巡って予期しない問題が提起される可能性があります。特に、QDレーザが扱う網膜走査型レーザアイウェア製品の一部には、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)により定められた医療機器があり、有効性、安全性に問題が生じた場合には、製造販売承認が取り消される可能性があります。非医療機器として販売、提供している製品については、関連法規・ガイドライン等の新たな施行・公表や改正等によって医療機器に該当すると判断され、その対応が必要となる可能性があります。その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

⑨ 製造委託先の経営悪化、品質事故等

QDレーザではファブレス製造の方針を採用しておりますので、外部の協力企業に製造を委託しております。それぞれの企業の特性等を考慮し、QDレーザ製品の製造能力に応じて、各社への製造委託品目を決めております。

各社に対しては、QDレーザにて品質検査、経営状態の確認等を実施しております。仮に委託先の経営悪化、品質事故等が発生した場合、容易に委託先の変更は可能ではありますが、新たな生産体制が再構築されるまでの期間、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 部品・部材等の調達及び価格変動について

QDレーザは、生産活動や研究開発活動に必要な部品・部材を外部の取引先から調達しております。それらの調達先からの供給がQDレーザの製造に影響が出る様な供給の不安定化、また、価格の高騰、供給部材の品質劣化等が発生した場合、製品の品質や納期を守る事ができなくなる可能性があり、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 継続的な投資について

QDレーザは継続的な成長のために、新製品又は新技術の開発のための必要な研究開発活動を継続する必要があると考え、これまで積極的に研究開発費に係るコストに投下しており、今後も継続して必要な研究開発活動を行っていく方針であります。

しかしながら、その結果として2024年3月期においても営業損失を計上し、累積損失を抱えており、営業キャッシュ・フローもマイナスとなっております。今後の研究開発活動については、その費用対効果を勘案しながら慎重に行っていく方針ではありますが、研究開発活動の効果が十分に得られない場合や、開発コストの増加等が生じた場合、想定以上の投資に係る費用が発生することが想定され、中期経営計画が達成できない可能性や営業損益等の黒字化に時間を要する可能性があり、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 製品の品質について

QDレーザでは、ISO9001/13485の基準に加えて、外注管理規程、研究開発管理規程及び生産管理規程を設け、当該規程に則り、各種製品の製造、品質の保持向上に努めております。

信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、想定していない理由により、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額のコスト発生や信用の失墜を招き、QDレーザの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。QDレーザでは、引き続き製品の品質向上に努め、特に不具合に対する継続的な改良、不具合の起きにくい製品設計の推進、完成試験の信頼性向上試験の導入を含め、開発時、出荷時の試験を強化し、製品への非常時対策の機能開発の継続、顧客クレーム、故障等の処理プロセス等について強化してまいります。

 

⑬ 研究開発活動について

QDレーザは最先端のレーザ技術を既存製品に流用し、生活を豊かにする研究開発に取り組んでおりますが、QDレーザが業界と市場の変化を十分に予測できず、また、間違った判断をすることで、顧客や市場からの支持を得られる新製品、新技術を提供できない可能性があります。その場合、将来の成長と収益性を低下させ、QDレーザの事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 国際情勢について

QDレーザが製造する製品は、国内外に販売しており、2024年3月期における国外販売比率は54%を占めております。また、製品の製造プロセスの一部を海外のパートナーに委託しています。アメリカ、欧州、アジア等特定の地域に偏重せずに各地域にバランスよく展開しておりますが、各国・地域の法的規制、慣習、国際情勢の変化等に起因する事態が発生する場合には、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑮ 訴訟について

QDレーザは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した製品の不具合等、予期せぬトラブルが発生した場合、それに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、QDレーザの事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 情報セキュリティに係るリスク(情報の漏洩、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等)

QDレーザの主な事業は顧客の個人情報を取得する必要のあるものではありませんが、一部取引には個人情報を取得する場合があり、また、顧客と秘密保持契約を締結した上で技術情報や営業情報を取り扱う業務もあり、想定していない理由により、これらの情報の漏洩が発生した場合にはQDレーザの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、会計、販売管理等コンピュータによる業務処理を実施しており、地震・火災等の災害によるハードウェアやネットワークの損傷、外部からのコンピュータウイルス攻撃におけるシステムトラブルやデータ破壊、情報の盗難、漏洩等が発生した場合には、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業体制に関するリスク

① 小規模組織であることについて

QDレーザは、従業員43名の小規模組織であり、内部管理体制も現状の組織規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大と事務量の増加に備え、従業員の育成、人員の増強及び内部管理体制の一層の充実を図る方針でありますが、人材の増強及び内部管理体制の充実が円滑に進まなかった場合には、適切な組織的対応ができず、QDレーザの業務効率や事業拡大に支障をきたす可能性があります。

 

② 人材の確保及び人件費の高騰について

現在、日本経済全体として労働人口の減少等による人手不足や人件費の高騰が大きな問題となっております。QDレーザでは、QDレーザの欲する人材を採用してきましたが、今後において、人材の供給がQDレーザの要望にかなわずスキルの不一致、賃金の不一致等で安定的に適正な人件費で人材確保ができなくなった場合、QDレーザの業務効率や事業拡大に支障をきたす可能性があります。

 

③ 退職者による技術・ノウハウ流出について

QDレーザのレーザ関連技術について、特許等によりコアとなる技術は保護されている状態を保っておりますが、退職者によって、QDレーザ技術と異なるも近しいレーザ関連技術が他社により開発された場合や、独自性が失われ市場への訴求力が低下するような事態となった場合には、QDレーザの事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 創業者への依存について

QDレーザの創業者である菅原充は2024年6月まで代表取締役社長として、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、QDレーザの主要技術であるレーザ技術に精通しており、事業活動全般において重要な役割を果たしておりました。

QDレーザはノウハウの共有、人材の獲得及び育成等により組織体制の強化を図り、2024年6月28日より菅原に代わって新たに長尾收を社長に選任し、菅原に依存しない経営体制の構築を図りましたが、予測を超えた事態が生じた場合には、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ レーザデバイス事業部拠点の移転について

QDレーザは2024年4月25日公表のとおり、2026年4月にレーザデバイス事業の拠点を横浜市戸塚区へ移転する予定であります。この移転にはQDレーザの技術を支えるMBE装置(分子線エピタキシー法による結晶成長装置)の移設も含まれており、本装置は繊細な管理を必要とするため、移設作業には過去の経験を含めた万全な体制を取る予定ですが、移設後の装置立上げが想定通りに進まなかった場合には、QDレーザの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) その他について

① 配当政策について

QDレーザは、創業以来配当を実施しておらず、本書提出日現在においても、会社法の規定上、配当可能な状態にありません。当面は、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先させる方針であります。一方、株主への利益還元は重要な経営課題の一つととらえており、経営成績及び財政状態を勘案しつつ、配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が予想どおりに進捗せず、今後も安定的な利益計上ができない場合には、配当による株主への利益還元が困難になる可能性があります。

 

② 資金繰り及び資金調達等に関するリスク

QDレーザは、研究開発活動の進捗に伴い、先行して多額の研究開発費が計上されております。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が見込まれます。今後、継続的に財務体質の強化を図ってまいりますが、収益確保または資金調達の状況によっては、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、QDレーザの公募による資金調達の使途に関しましては、レーザ網膜投影製品の製造費用やレーザアイウェア事業及び本社の人件費、賃料、知財費等の運転資金に充当する予定でありますが、急激な事業環境の変化等により、当初予定した資金使途以外に利用する場合があり、投資効果が期待どおりにあげられない可能性があります。また、QDレーザの行使価額修正条項付新株予約権による資金調達の使途に関しましては、主にレーザデバイス事業の生産能力増強やM&Aに充当する予定でありますが、急激な事業環境の変化等により、当初予定した資金使途以外に利用する場合があり、投資効果が期待どおりにあげられない可能性があります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

QDレーザでは、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。2024年5月末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は1,996,900株であり、発行済株式総数41,751,303株の4.8%に相当しております。

 

④ 地震等の自然災害について

QDレーザは製造委託先の製造拠点を国内外に分散しております。また、地震等の災害について事業継続計画に準拠して、非常事態に対応する体制を構築しております。今後も地震等の自然災害が発生した場合、その規模及び地域によって経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー