オムロン(6645)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


オムロン(6645)の株価チャート オムロン(6645)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

オムロングループは、オムロンおよび子会社163社(国内75社、海外88社)、関連会社10社(国内7社、海外3社)により構成(2026年3月31日現在)しており、電気機械器具、電子応用機械器具、精密機械器具、医療用機械器具、およびその他の一般機械器具の製造・販売およびこれらに付帯する業務を中心とした事業を営んでいますが、その製品の範囲は産業用制御機器コンポーネントの全分野およびシステム機器、さらには生活・公共関連の機器・システムへと広範囲に及んでいます。また、オムロングループ全体をモノづくりからソリューションビジネス(モノ+サービス)へ進化させることを目指し、2023年12月にデータソリューション事業本部を新設いたしました。

 

オペレーティング・セグメントごとの主要な事業内容、および主な関係会社は次のとおりです。なお、当連結会計年度より電子部品事業を非継続事業へ分類しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳および内容の説明 Y 非継続事業」に記載のとおりです。

 

(1)インダストリアルオートメーションビジネス(IAB、制御機器事業)

制御機器事業は、「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」をビジョンに、オムロンがこれまでに培ってきた“センシング&コントロール+Think”のコア技術を基盤に、世界中の製造業のモノづくりを先進のオートメーションで革新し、産業の発展に貢献してきました。独自の価値創造コンセプト“i-Automation!”(*)を掲げ、業界随一の幅広い制御機器を軸に、製造業を中心に急激に変化する社会課題を革新的ソリューションで解決し、産業の高度化とともに働く人々の幸せの実現に貢献する社会価値の創出を目指します。

(*)オムロンは、モノづくり現場の課題解決を通じて社会価値を創出する価値創造コンセプト“i-Automation!”を提唱し、モノづくり革新を牽引しながら地球環境との共存と人々の働きがいを実現するサステナビリティに向けたオートメーションの提供を推進しています。“i-Automation!”は、人をより創造的な役割に誘い、現場生産性の最大化とエネルギー効率を両立する「人を超える自働化」、人の可能性を最大に引き出し、人と機械が共に成長・進化する「人と機械の高度協調」、そして製造現場や設備をデジタル空間で再現し、モノづくり現場のDXを加速させ、業務プロセスの革新に貢献する「デジタルエンジニアリング革新」の3つのコンセプトの具現化を目指しています。

 

(2)ヘルスケアビジネス(HCB、ヘルスケア事業)

ヘルスケア事業は、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに、誰でも簡単・正確に測定できる使いやすさと、医療現場でも活用できる精度と品質にこだわった医療機器とサービスを提供しています。「Going for Zero -予防医療で世界を健康に-」を事業ビジョンに掲げ、循環器疾患と呼吸器疾患、日常生活に影響する痛みの分野において、オムロンがこれまで培った技術と知見をいかしたデバイスとサービスをグローバルに提供しています。血圧計や体温計、喘息治療薬を吸入するための機器であるネブライザなど、各国や地域における医療機器認証に適合したデバイスを世界130ヵ国以上に展開しています。また、近年においてグローバルに普及がすすむ遠隔診療サービスの領域では、医師が遠隔で患者が測定した日常のバイタルデータをモニタリングして、よりよい治療につなげる遠隔患者モニタリングサービスを欧州や米国を中心に展開しています。

 

(3)ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(SSB、社会システム事業)

社会システム事業は、「世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造する」ことをミッションに、社会インフラを支える事業を展開しています。蓄電システムや太陽光発電用パワーコンディショナーなどのエネルギー関連製品、自動改札機・券売機に代表される駅務システム、交通管制・道路管理システム、UPS(無停電電源装置)やインフラモニタリングなど、幅広い製品・システムを提供しています。また、エンジニアリングから運用管理・保守メンテナンスまでを一体で提供するM&S(マネジメント&サービス)により、社会インフラの安定稼働に貢献しています。

 

 

(4)デバイス&モジュールソリューションズビジネス(DMB、電子部品事業) (非継続事業)

電子部品事業は、「我々のデバイスとモジュールで、顧客の価値を創造し、地球上の人と社会に貢献する」をミッションとしています。EV・モビリティやエネルギーインフラ、家電製品、産業機器など、幅広い業界の顧客に対して、電気を繋ぐ・切るためのコア部品となる、リレー、スイッチ、コネクターや、さまざまな製品の目や耳になるセンサなどのデバイスやモジュールを、全世界で提供しています。

 

(5)データソリューションビジネス(DSB、データソリューション事業)

データソリューション事業は、「モノの枠を超えるビジネスへ。オムロンを変革し、真の顧客価値を創出する。」をミッションとし、オムロングループ全体をモノづくりからデータを活用したソリューションビジネスに進化させます。デバイスやコンポーネントから得られる各事業の膨大な現場データと、2023年10月にグループに加わった株式会社JMDCのデータマネジメント力、ソリューション開発力を組み合わせることで、SF2030で掲げる3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」を解決し、次の成長事業を創造します。

 

 

 

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 ここでは、(1)経営方針、(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)、(3)「SF2030」における中期経営計画(SF 1st Stage)の変更、(4)構造改革プログラム「NEXT2025」で構成しています。

 

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてオムロングループが判断したものです。

また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。

 

(1) 経営方針

①オムロングループの企業理念

 オムロングループでは、1959年に創業者・立石一真が、社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。その後、社憲の精神を企業理念へと進化させ、時代に合わせて改定しながら受け継ぎ、事業発展の原動力また求心力として数々のイノベーションを生み出し、社会の発展と人々の生活の向上に貢献してきました。この企業理念を社員一人ひとりが実践することで、事業を通じた社会的課題の解決を目指しています。このためには、世界中の社員の誰もが企業理念の考え方を理解し、行動することが重要であり、現在、グローバルレベルで企業理念の実践を強化しています。

 なお、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていくオムロンの経営の根幹は普遍であることを明確にするために、第85期定時株主総会(2022年6月23日開催)にて同企業理念を定款に記載する旨の議案を上程し、株主様の賛成を得て定款の一部を変更しました。

 

 

 

 

②オムロングループの存在意義

 オムロングループの存在意義は、企業理念の実践そのものです。即ち、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」に他なりません。社会価値を創出し、正しく利益を得る、再投資するというサイクルを回すことで社会的課題の解決を拡大再生産できる仕組みを構築することが重要と考えています。

 

 

③企業理念に基づく経営のスタンス

 オムロングループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を宣言しています。それらを「長期ビジョン」「オムロングループ マネジメントポリシー」「ステークホルダーエンゲージメント」の各方針に体系化し、実践しています。

 

 また、この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、オムロングループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。

(サステナビリティ目標値については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)③「SF2030」サステナビリティ重要課題に記載しています。)

 

(参考)企業理念浸透への取組み

 

 オムロングループでは、企業理念を現場に浸透・共鳴させるために様々な活動を行っています。

 

<企業理念の実践を支える主な取組み>

 

 

・企業理念ダイアログ

 経営トップ自らがグローバル各拠点を訪問し、企業理念について世界各地の経営幹部や現場社員と対話を行います。そこでは、日常業務における企業理念の大切さや、経営トップ自らが事業責任者として企業理念を実践した当時の経験など実例を交えた講話が行われます。その後、参加者が互いの理念実践事例を共有・共鳴し合い、そこでの気づきを踏まえ、今後の企業理念実践アクションプランについて議論が交わされます。このように企業理念ダイアログは、各地の経営幹部や現場社員にとって企業理念の実践に向けた行動を加速する機会となっています。

 

・エンゲージメントサーベイ「VOICE」

 グローバル全社員の生の声をエンゲージメントサーベイ「VOICE」により集計し、オムロングループで働く従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を経営陣と社員が一緒に実現する、エンゲージメントマネジメントに取り組んでいます。

 VOICEは2016年から2年に一度実施し、グローバル全従業員に約70問の質問を送り、回答及びフリーコメントを収集しています。前回(2022年9月~10月実施)の調査における回答率は91%、3万8千件のフリーコメントが寄せられました。これらの回答を詳細に分析し、会社の魅力度を測るとともに、経営陣が調査結果から導かれた組織課題についての議論を行い、目標を明確に定めたのちにアクションを推進しています。

 

・The OMRON Global Award (TOGA)

 社員による業務を通じた企業理念実践の物語をグローバル全社員で共有するプログラムです。TOGAは、社員自らが社会的課題の解決に向けた目標を立てることで、企業理念実践にチャレンジし続ける風土の醸成を狙いとしています。日々の仕事や職場における企業理念実践の取組みを全社員で共有し、称えあうことで、企業理念実践への共感、共鳴の輪を拡大しています。

 

 TOGAについての詳細はウェブサイトをご覧ください。

 https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/vision/initiative/#top

 

 

 

(2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)

 オムロングループでは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(略称:「SF2030」)を掲げています。社会が変革期を迎える中、存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めたものです。

 

①「SF2030」ビジョンステートメント

 「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。

 

②オムロンが創出する社会価値

 社会価値の創出に向けて、オムロンは、社会に与えるインパクトが大きく、オムロンの強みであるオートメーションと顧客資産や事業資産を活かす観点から、3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現への貢献」、「デジタル化社会の実現への貢献」、「健康寿命の延伸への貢献」を設定しました。

 カーボンニュートラルの実現を通じて地球温暖化問題へ取り組み、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステム作りに貢献します。

 デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、必要な情報を必要な人が得ることができる状態を作ることが求められています。オムロンは、誰もがその恩恵にあずかることができるデジタル化社会の実現を通じて格差社会から生まれる問題の解決に取り組み、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的でかつ、持続可能な社会を実現するものづくりやインフラ作りに貢献します。

 また、高齢化が進む社会において、健康寿命を延ばすことは、個人はもちろん、家族が幸せな生活を送るためにとても重要なことです。加えて、医療費の抑制といった観点からも重要です。オムロンは健康寿命の延伸のためにあらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで高齢化社会における問題の解決に真正面から取り組んでいきます。

 

   <オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値>

 

 これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて4つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指します。

 

   <4つのドメインが創出する社会価値>

インダストリアルオートメーション

 インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、i-Automation!で、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、i-Automation!をさらに進化させ、生産性とエネルギー効率の最大化による地球環境との共存や、人の可能性を最大発揮できる製造現場の構築や業務プロセスの改善やエンジニアリング領域の業務効率向上を通じて作業者の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築していきます。

 

ヘルスケアソリューション

 ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。

 

ソーシャルソリューション

 ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。

 

デバイス&モジュールソリューション

 デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」に貢献します。オムロンはこれまで、電気を繋ぐ・切る技術で、高い性能と品質を持つリレーやスイッチを顧客の製品に組み込み、グローバルに広く提供してきました。これからは、環境負荷の低いエネルギーの導入によりあらゆる機器が直流化します。この変化を踏まえて、オムロンは、放電を安全に制御する技術や故障タイミングを事前に検知する技術で、火災や感電を防ぎ、機器の安全性を高めるデバイスを創出します。また、高速通信の普及では、耐ノイズ性能を高める技術と、これまで培った微細加工技術を用いた量産化により、「途切れない接続」を可能とする高周波対応デバイスを創出します。

③「SF2030」におけるサステナビリティ重要課題

 オムロングループは「SF2030」のもと、事業の成長とサステナビリティ課題への取組みを一体化して進化させ、推進しています。社会価値と経済価値を生み出すのは、「事業を通じた社会的課題の解決」そのものです。その実現のためには、ソーシャルニーズ創造による新規事業やそれを支える多様な人財づくりが欠かせません。これらは「オムロンの持続的成長」にも繋がります。また、脱炭素・環境負荷低減やバリューチェーンにおける人権の尊重は、「社会の持続的発展」を促すための企業の社会的責任として必須となっています。「SF2030」では、これらの5つのサステナビリティ重要課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指します。

 

  (注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス

          2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・販売

          した製品・サービス等の使用に伴う排出。

 

※「SF2030オムロンの進化の方向性」など、「SF2030」の詳細は、弊社ウェブサイトに掲載しています。

 特設サイト:https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/

 

※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、ウェブサイトをご覧ください。

https://sustainability.omron.com/jp/omron_csr/sustainability_management/

 

 

(3)「SF2030」における中期経営計画(SF 1st Stage)の変更

 オムロングループでは、2022年度から2024年度を中期経営計画(以下SF 1st Stage)とし、「SF2030」ビジョン達成に向け、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置付け、社会構造の変化に伴う成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することにより力強い成長を実現することを目指しました。しかしながら、2023年度は、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化したことに加え、オムロングループの成長を牽引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、業績が大幅に悪化しました。

 このような状況を受け、オムロングループは、当初2024年度までとしていた中期経営計画(SF 1st Stage)を取り下げ、2024年4月1日~2025年9月30日までを「構造改革期間」とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行することとしました。

 なお、次期中期経営計画(SF 2nd Stage)は2026年度~2030年度を予定しています。

 

 

<中期経営計画の変更>

①SF 1st Stage方針と進捗

 SF 1st Stageでは「トランスフォーメーションの加速による価値創造への挑戦」を掲げ、この実現に向けて、3つのグループ戦略を設定しました。1つ目は、事業のトランスフォーメーションです。具体的には、4コア事業(制御機器事業・ヘルスケア事業・社会システム事業・電子部品事業)の進化、顧客資産型サービス事業の拡大、社会的課題起点での新規事業の創出に取り組みました。4コア事業の進化については、それぞれが成長領域を見直し注力事業を設定し、新たな価値創造の実現による売上成長の牽引を目指しました。2つ目は、企業運営・組織能力のトランスフォーメーションです。事業環境の変化に適応しながら価値創造し続けるために、ダイバーシティ&インクルージョンの加速、DXによるデータドリブンの企業運営、サプライチェーンのレジリエンス向上に取り組みました。そして、3つ目は、サステナビリティへの取組み強化です。特に、脱炭素・環境負荷低減に向けた温室効果ガス排出量の削減、バリューチェーンにおける人権尊重の徹底に取り組みました。

 以上の戦略のもと、SF1st Stageでは、財務目標と事業戦略とサステナビリティを融合させた非財務目標を設定しました。

 

 SF 1st Stageの初年度の2022年度においては、上海ロックダウンやグローバルでのインフレ拡大、部材の逼迫などの影響を大きく受ける中でも高水準の受注残に対応すべく供給力強化を加速させたことや、全社で価格適正化等の付加価値率改善に継続するなどしたことで、売上高、営業利益ともに過去最高業績を更新し、ROIC(投下資本利益率)とROE(株主資本利益率)は、ともに10%を超える水準となりましたが、2023年度は、上述のとおり大幅な業績悪化となり、財務目標とした各指標も2022年度比で大幅に悪化しました。

 

 一方で、非財務目標の取組みにおいては、温室効果ガスの排出量について当初目標を達成、人権の取組み状況も計画通りに達成するなど、概ね順調に推移しています。

これらの取組みが評価され、2023年度もDJSI-Worldに継続して選定されています。

 

  <SF1st Stage 財務目標と進捗>

   <SF1st Stageの非財務目標と進捗>

 

 

(注) 1.非財務目標に記載されている数値は、2022年度に設定したSF 1st Stageの当初設定目標

      2.「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高

      3.GHG:温室効果ガス

      4.リージョン:米州、欧州、アジア、中華圏、韓国、日本

      5.2023年4月3日出資完了したオムロンキリンテクノシステムズ株式会社を含む4月20日時点のオムロン及び連結子会社集計値

      6.2022年度のGHG排出量は上海ロックダウン等の一時的な影響を含めた数値

      7.2024年4月20日時点のオムロン及び連結子会社集計値

      8.非財務目標の⑧から⑩は、社員投票で決定した目標

      9.*はJMDC社を含む

 

 

 

 

 

 

 

②JMDC社連結子会社化とデータソリューション事業本部の新設

JMDC社との資本業務提携

 オムロンは、健診やレセプト等の医療データと血圧値等の日常生活下でのバイタル・活動データの突合による予防ソリューションの創出を目的に、株式会社JMDC(以下、JMDC社)と2022年2月22日に資本業務提携契約を締結しました。
 業務提携以降、オムロンのJMDC社事業へ理解と相互の信頼関係の構築は順調に進み、2023年4月には、オムロンヘルスケア株式会社が提供するスマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect」とJMDC社が保険者向けに提供しているPHRサービス「PepUp」間のデータ連携を開始しました。また、2023年6月には、オムロンやJMDC社を含めた代表幹事企業8社(これらに加え会員企業・団体は140団体)により、社員の健康を通じた日本企業の競争力向上と企業健保の持続可能性を目的とした「健康経営アライアンス」(注)を設立する等、両社の協業は加速しました。

(注)2024年4月30日時点では、代表幹事企業9社、これらを含めた会員企業・団体392社が「健康経営アライアンス」に参加しています。

  「健康経営アライアンス」の詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。

    https://kenkokeiei-alliance.com/

 

JMDC社連結子会社化とデータソリューション事業本部の新設

 以上のような状況の下、ヘルスケア領域における更なる協業の加速とJMDC社が保有するデータマネジメント力とソリューション開発力による他領域でのデータソリューション事業の創出を目的に、2023年10月16日に、JMDC社株式を公開買付により追加取得を行い、同社を連結子会社としました。

 また、オムロンの強いハードウェアから得られる膨大で質の高い現場データにJMDC社のデータマネジメント力、ソリューション開発力を組み合わせ、オムロンのビジネスモデルを進化させ成長事業を創造することを目的に、2023年12月21日に、社長CEO直轄組織としてデータソリューション事業本部を新設いたしました。

 

           <データソリューション事業本部のターゲットドメイン>

 

 データソリューション事業本部では、これまでJMDC社と協業で検討してきたヘルスケアドメインにおける拡張に留まらず、インダストリアルオートメーションやソーシャルソリューションなど、他のドメインのデータソリューションの事業機会を特定し、専任組織を設置して事業開発と市場実装を推進します。そして、データソリューションによる社会的課題の解決に貢献してまいります。今後注力する各ドメインにおける主な事業は以下の通りです。

 

・ヘルスケアドメイン:コーポレートヘルス事業

 JMDC社のデータアナリティクスを活用し、企業の生産性向上、健保の財政を改善する事業の創出に取り組みます。また、データを活用し、高血圧リスク予備軍の抽出と重症化予防に寄与するソリューションの開発、女性の健康に寄与するソリューションの開発、従業員のプレゼンティズムを改善し組織の生産性を上げるソリューションの開発を推進いたします。これらをコーポレートヘルス事業の足掛かりとして、関連する事業開発につなげてまいります。

 

・ソーシャルソリューションドメイン:スマートM&S事業

 データ分析・活用を軸に、AI技術、遠隔技術、その他の先端テクノロジー等の活用を通じ、流通小売りやエネルギー、社会システムの価値と効率を高める新たなソリューションを創出します。社会システム事業と連携し、社会的課題の解決につながるビジネスモデルを開発します。

 

・インダストリアルオートメーションドメイン:FAデータソリューション事業

 オムロンの主要事業である制御機器事業のi-BELTと連携したFAデータソリューションプロジェクトをはじめ、今後、第4、第5の新たな事業創出につながる事業テーマを設定してまいります。

 

 

(4) 構造改革プログラム「NEXT2025」

 2024年4月1日~2025年9月末までを実行期間とした構造改革プログラム「NEXT2025」においては、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」の2つの経営課題に取り組み、次の5つの経営施策を実行します。

 

①制御機器事業リバイバルプランの実行
 価値を提供するエリア、顧客に加え、提供価値そのものを顧客起点で再設定します。そして、そのポートフォリオの実現に向け、本社リソースも含めたリソースアロケーションを実施します。この取り組みを通じて、制御機器事業のROS最大化と、SF2030で目指す成長を実現する成長基盤を確立します。

 

②ポートフォリオの最適化
 各事業を取り巻く環境変化に対する耐性の強化と、収益を伴った持続的な成長を実現する事業・製品・エリアの各ポートフォリオの最適化を図ります。同時に、データソリューション事業本部が主導するJMDC社のケイパビリティを活用した制御機器・ヘルスケア・社会システム事業領域でのデータソリューションビジネスの創造を加速します。
 

③人員数・能力の最適化

 変化の激しい事業環境に対しても耐性のある人員・人件費構造の構築に取り組みます。加えて、顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った成長を実現しうる人財ポートフォリオの再構築を通じて、「SF2030」で描くオムロングループ全体の能力の転換を図ります。

 具体的には国内約1,000名海外約1,000名の合計約2,000名を削減することで総人件費の適正化に取り組みます本施策は現地の労働法規則規制に従って実施します

 当施策の詳細につきましては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 Ⅱ主な科目の内訳及び内容の説明 Z重要な後発事象」をご参照ください。

 

④固定費生産性の向上

 グループ全体で固定費生産性の最大化を追求します。具体的には、売上高に対する販管費の比率について中期的に30%未満(JMDC社連結の影響を除き28%未満。2023年度の実績は32.0%)を実現する固定費規律の導入と運用の徹底に取り組みます。

 

⑤顧客起点マネジメントシステムの導入・運用

  経営・事業・本社のマネジメントを顧客起点での思考・行動に変革する施策の導入と運用を行います具体的には財務観点に加えて顧客観点での事業統制とマネジメントの思考・行動を変革させる人事施策の導入・運用の徹底を目指します。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント

 オムロングループでは、統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。

 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。

 「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。

 

(2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制
 統合リスクマネジメントの枠組みは、内部統制システムの下、グローバルリスクマネジメント・法務本部長(GRL長)を推進責任者とし、オムロングループルール(OGR)(注1)「オムロン統合リスクマネジメントルール」にまとめ、グループ経営における位置づけを明確にしています。また、リスクマネージャを本社機能部門、ビジネスカンパニー、海外の地域統括本社、国内外の各グループ会社で任命し(160名)、経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進しています。

 

 主な活動は次の3点です。

・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行うこと

・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとること

・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じること

 

<企業倫理リスクマネジメント委員会体制>

 

 GRL長を委員長、主要なリスクマネージャを構成員とする企業倫理・リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)においては、重要なリスクの発生状況、環境変化、リスク対策の状況について議論・共有するとともに、グループ全体のリスク評価を行っています。また、危機が発生した場合には、速やかに経営報告され、リスクのランクに応じて危機対策本部を通じて対応を行っています。これらリスクマネジメントの活動状況については、適宜、執行会議や取締役会に報告するとともに、内部監査部門による内部監査を受けています。

 

<統合リスクマネジメントのサイクル>

 

(注1)オムロングループでは、公正かつ透明性の高い経営を実現する経営基盤として、グループ共通の「オムロングループルール(OGR)」を制定しています。OGRは、リスクマネジメントの他、会計・資金、人財、情報セキュリティ、品質保証等の主な機能に対し制定されています。環境変化等を適宜・適切にルールへ反映するため、毎年見直しを行っています。

 

(3) グループ重要リスクとその分析

 オムロングループでは、「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、事業ドメインにおける社会価値創出、事業とサステナビリティとの一体としての取組みを行っています。2024年4月から2025年9月については構造改革期間とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行中です。これらを遂行する中で対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。

 リスクのうち、オムロングループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスク(Sランク)および重要なグループ目標の実現を阻害するリスク(Aランク)を「グループ重要リスク」に位置付け、対策の実行状況やリスク状況の変化をモニタリングしています。「グループ重要リスク」に対して適切な対策が講じられない場合、重大な社会的責任が生じたり、事業戦略の失敗につながり、結果的に企業価値が喪失する可能性があります。

 

<2023年度末時点のリスク評価>

 2023年度末に実施したオムロングループのリスク分析に基づくグループ重要リスクのテーマは下表の通りです。事業ポートフォリオや人員数・能力の最適化等「NEXT2025」の実行に伴うリスク、事業スピードの加速や収益性の改善をはかる中でのグループガバナンス・コンプライアンスリスク等については特に注視をしていきます。これらのリスクは、適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン目標の実現、オムロングループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在においてオムロングループが判断したものです。

 

<事業等のリスクの全体像>

 

 

 

<グループ重要リスクへの対応>

①  事業ポートフォリオ

リスクシナリオ

環境認識

オムロングループが解決すべき社会的課題に対する取組みの必要性は高まる一方で、足元では中

国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など経済環境が悪化、今後もボラティリティが高い不透明な状況が続くことが見込まれます。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの各事業における活動エリアや製品展開に大きな影響があります。

 ・制御機器事業における中華圏エリアでの事業展開

 ・ヘルスケア事業における血圧計事業

 ・社会システム事業におけるエネルギーソリューション事業

影響

成長業界・エリアの需要拡大に的確に応えていくことは、新たな社会価値創出、事業機会と

なります。一方、現在依存度の高い中華圏エリアや各事業で成長の牽引役となる事業・製品の事業環境が想定以上に悪化し、環境変化に対応するポートフォリオの最適化が図れなかった場合、売上減少等の業績低迷や、収益を伴った持続的成長が実現しないリスクがあります。

対応

体制

『構造改革プログラム「NEXT2025」』のもと、欧州・米州への事業展開を加速する等、中国

依存を低減する業界・エリアポートフォリオの構築に取り組みます。

※『構造改革プログラム「NEXT2025」』の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)構造改革「NEXT2025」」をご参照ください。

 

 

②  地政学

リスクシナリオ

環境認識

米中関係やロシア・ウクライナ情勢、中東紛争などを巡る各国・地域の政策により、グロー

バルビジネスの環境は複雑さを増しています。特に半導体等重要物資の安定供給や先端技術開発の促進、輸出入や投資への規制等、経済安全保障政策は、多国間枠組みの形成・活用を含め更に進展しています。今後、政治的対立や人権問題、紛争リスクの高まりによる各種措置の更なる拡大や各国での選挙に伴う政策転換の可能性もあり、これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・中国・アジア等の主要工場からグローバル市場への製品供給

 ・米国等におけるロボット等 先端技術に対する投資や事業拡大

 ・経済安全保障政策の対象製品に関わる顧客への販売、金融・交通等 社会インフラに関する事業の推進

影響

グローバルでのサプライチェーン再編等の動向は、新たな社会価値創出、事業機会となりま

す。一方、市場変化への対応が十分でなかった場合、オムロングループへの需要が減少し、また、新たな法規制への対応が適切に行われなかった場合には、輸出規制や制裁違反等が発生する可能性があります。その結果、売上減少・戦略の見直しや重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

事業対応方針については、取締役会や執行会議等の経営会議体にて議論し、決定していま

す。法規制対応については、各主管部門が統括し、例えば、輸出規制はグローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会のもと、グローバルに安全保障取引管理を行っています。

 ・関連OGR:統合リスクマネジメントルール・安全保障取引管理ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・地政学リスク影響を低減する中長期的な生産・研究開発等の体制検討と推進

 ・グローバルの政治・経済情勢や法規制動向のモニタリング、経済制裁等に対する影響分析と対応

[具体的なリスク対応例:ロシア・ウクライナ情勢]

 安全保障取引管理について、グローバルに懸念のある取引を事前審査するプロセスを強化することにより、複雑化する各国の輸出規制や制裁に対する対応体制の整備を進めました。

 

 

 

 

③  IT・情報セキュリティ

リスクシナリオ

環境認識

社会経済活動の急速なデジタル化は、データに基づく経営判断やAI・IoT機器を中心とした新

たな製品・サービスの開発等 企業運営に変革をもたらしています。グローバルにデータ流通の基盤が整備されていく一方で、AIの悪用等によるサイバー攻撃や人財の流動化等に伴う技術情報漏えいのリスクはますます高まり、また、プライバシー保護や経済安全保障の観点から個人データや技術情報等、重要情報の取扱いや移転について各国で規制の強化も進んでいます。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・サプライチェーンも含むグローバルのシステムによる事業運営

 ・新たな経営システムの構築を目的とした「コーポレートITシステムプロジェクト」

 ・データソリューション事業での健康データの活用等「モノとサービス」での新規ビジネスモデルの推進

影響

医療におけるビッグデータ活用等の動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一

方、サイバー攻撃対策や技術情報の管理等の情報セキュリティ対応が十分でなかった場合、オムロングループの事業活動や製品・サービス提供の停止および情報の漏えいといったセキュリティインシデントが発生する可能性があります。また、グローバルの個人データ規制について、特に国外移転対応が適切に行われなかった場合、法令違反が発生する可能性があります。その結果、売上減少や重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

基本方針として「情報セキュリティ基本方針」を新たに制定し公表しています。施策につい

ては、統括担当取締役の監督のもと、情報セキュリティ、製品セキュリティ、個人情報管理の領域ごとに、各本社機能本部長が執行責任者として統制・管理しています。各領域を横断する課題については、統括担当取締役を議長とする「サイバーセキュリティ統合会議」を開催し、解決しています。さらに、経営レベルで推進の方向付けを行うために、社長を議長とする「情報セキュリティ戦略会議」にて優先課題と戦略を議論しています。実行面においても、サイバーセキュリティ統括担当役員として、グローバルビジネスプロセス&IT革新本部長を議長とし、全地域統括本社のIT責任者が参画する「情報セキュリティ推進会議」を通じて施策を推進・管理しています。また、個人データについては、グローバルリスクマネジメント・法務本部長の責任のもと、各国法令動向やオムロングループの状況を把握し、法規制対応の強化を図っています。

・関連OGR:IT統制ルール・情報セキュリティルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・グローバル標準のフレームワークであるNIST-CSF(注1)に準拠した評価と対策の強化

 ・外部専門機関を通じた包括的な脅威情報の収集とグループ内への対策の展開

 ・インシデント対応オフィス(CSIRT)による事故発生時の迅速な報告と被害最小化に向けた対応

 ・高リスクのサプライチェーンのセキュリティ確保のためリスク評価と対応の推進

 ・情報リテラシー向上のための社員教育・サイバー攻撃訓練の実施

 ・Webサイトの脆弱性診断と改善の実行

 ・グローバルでの個人データ規制への対応体制構築

[具体的なリスク対応例:有事を想定した対応体制・プロセスの進化]

 ランサムウエア危機管理手順の整備、経営層向けサイバー攻撃演習訓練、地域統括本社毎のインシデント対応訓練などの活動により、有事における対応力の向上を図りました。

(注1)NIST-CSF:米国国立標準技術研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CST)。

   汎用的かつ体系的 なフレームワークで、米国だけでなく世界各国が準拠を進めている。

 

 

④  品質

リスクシナリオ

環境認識

品質は企業に対する社会的信頼の基盤です。新技術を活用した新規性の高い製品・サービス

においても、高い安全性や正確性の確保が求められ、AI利用や製品セキュリティに対する新たな法規制等も検討・制定が進んでいます。また、人の健康や環境負荷低減に対する社会的要請はますます高まり、有機フッ素化合物(PFAS)等をはじめとする化学物質の含有やリサイクル、表示等に関する規制が各国で厳格化しています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・不具合発生時に火災や事故、設備の停止等につながる制御機器やエネルギーソリューション製品の展開

 ・様々な国の製品安全や化学物質、サイバーセキュリティ等の法規則が適用されるグローバル製品の展開

 ・製造現場のデータ活用サービスi-BELT等「モノとサービス」を組み合わせたビジネスモデルの推進

影響

新たな技術や製品安全等の高い基準にグローバルで対応した品質の確保は、新たな社会価値

創出、事業機会につながります。一方、製品やサービスの設計・検査の不備や、品質不具合発生時等の顧客対応や報告が十分でなかった場合、グローバルの法規制・規格等への準拠が適切に行われなかった場合には、オムロングループ製品の大規模リコール、製品の生産・流通の停止等が生じる可能性があります。その結果、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

社長を最高責任者とする品質保証体制を構築し、「品質第一」を基本とする「品質基本方針」

のもと、グローバル購買・品質・物流本部が推進しています。重大な品質問題が発生した場合は、取締役会の監督のもと、迅速かつ適切に対応を行っています。

 ・関連OGR:品質保証ルール、製品品質リスク管理ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・ISO9001等(ISO13485:医療機器産業、IATF16949:自動車産業)品質マネジメントシステム(QMS)の取得

 ・サービス事業に適合したQMSの適用展開

 ・安全リスクが高い技術(リチウムイオン電池、パワーデバイス等)に関する品質技術確立

 ・製品セキュリティ体制強化(外部からの脆弱性情報収集と対応(PSIRT)・セキュリティ監視活動等)

 ・製品環境や安全関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化

 ・品質相談窓口の設置・運用、品質コンプライアンス研修・現場品質点検の実施

 

 

⑤ 会計・税務

リスクシナリオ

環境認識

適正な財務報告と税務コンプライアンスは企業活動の基本です。企業のグローバル化や取引

のボーダーレス化が加速し、新たなビジネスモデルやサービスが生まれる中で、会計基準も高度化し税制も複雑化しています。また、各国間の協調・連携が進み企業に対する税の透明性に対する要請も高まっています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・グローバルでの顧客との取引・グループ間取引

 ・「モノ」に加え「モノ」と「サービス」の組合せによる多様なサービス展開

影響

グローバルの会計基準への準拠と税務手続きに対する信頼の確保は、新たな社会価値創出、

事業機会につながります。一方、新サービスや事業、構造改革等を行うに際して、資産が適切に管理されなかった場合や、会計処理が適切に行われなかった場合、また、各国の租税法や移転価格税制、関税法、および当局の執行動向に適切な対応が行えなかった場合、決算修正、多額の追徴や和解金の支払い、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、取締役会で承認した「税務方針」(注1)のもと、グ

ローバル理財本部を中心に、会計・税務の適正性を担保するための体制・ルールを整備し、運用しています。

・関連OGR:会計・資金ルール、不正統制ルール、J-SOX推進ルール、関税・通関ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・内部統制の自主点検強化とリスク兆候への重点監査

 ・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応

 ・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直し

 ・現地法人と連携した各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応

 ・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化

(注1)「税務方針」については下記をご参照ください。

https://sustainability.omron.com/jp/governance/tax/

 

 

⑥  事業継続リスク(自然災害等)

リスクシナリオ

環境認識

洪水・豪雨、巨大地震等の自然災害や感染症の発生により、社会が機能不全に陥る可能性が

グローバルで継続しています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

・グローバルの様々な国や地域に存在する仕入先や生産拠点

・緊急時においても継続が求められる社会インフラや人の健康管理に使用される製品・サービスの提供

・防災・減災需要に対するエネルギーソリューションビジネスの展開

影響

企業に対する事業継続の要請や社会のレジリエンスを高める取組みは、新たな社会価値創

出、事業機会となります。一方、予期できない災害等が発生した場合、社会インフラ・経済活動の大規模停止、自社工場の生産停止、重要仕入先からの長期にわたる部品供給停止等により、事業活動の一部停止や縮小等が生じる可能性があります。その結果、売上減少やブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

人身の安全、社会インフラの維持、復興への全面協力等を定めた基本方針のもと、各ビジネ

スカンパニーと本社機能部門とが連携し、生産、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を整備しています。

・関連OGR:統合リスクマネジメントルール・購買ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・有事を想定したシミュレーション・訓練

 ・社員の安否確認システムの運用、リスクに応じた事業所での非常食や飲料水の備蓄対応

 ・仕入先の生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備

 ・緊急時のエスカレーションルート・影響を把握する仕組みの整備

 

 

 

 ⑦ 環境

リスクシナリオ

環境認識

脱炭素・環境負荷低減の実現に向け、気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企

業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築が求められています。また、企業価値評価・投資活動に反映させるため、企業の環境課題への取組みに対する開示要請は年々高まっており、内容の第三者保証を法規制化する動きも進んでいます。一方で、温暖化に起因する洪水や干ばつ等の頻発化により生じる食料・水不足、プラスチック問題、生態系の破壊等は地球レベルでの社会課題となっており、グローバル各国でカーボンニュートラルに向けた政策が加速する中、企業に対する温室効果ガス排出量の削減やトレーサビリティの確保等の要請も拡大しています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・制御機器事業における生産性とエネルギー効率を高める生産現場オートメーションの実現

 ・社会システム事業におけるエネルギー制御技術の進化による再生可能エネルギーの普及

 ・電子部品事業におけるカーボンフットプリント削減に繋がる部品の開発・提供

 ・「循環型社会」実現に向けたグローバル全生産拠点での廃棄物の削減

影響

脱炭素に貢献する製品やサービスに対するニーズの高まりは、新たな社会価値の創出と事業

機会となります。一方、多くの企業が社会課題の解決に挑む中、戦略と実行の成否は事業競争力に直結します。また、販促活動においていわゆるグリーンウォッシングといわれる不適切な開示を行った場合には、社会的信用が失われ、その結果、取引停止・製品の開発中止や戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる可能性があります。

対応

体制

環境課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン環境方針に基づいた

活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長がそれぞれ責任を持って対応しています。

・関連OGR:環境経営ルール、購買ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・Scope1・2、Scope3カテゴリー11ごとに目標を設定した温室効果ガスの削減の加速

 ・回収・リサイクルの拡大、循環型の原材料調達、再資源化率の最大化等による循環経済への移行

 ・TCFD提言に沿った情報を含む環境課題にかかる情報開示

※環境リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組  (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(2)気候変動への対応」をご参照ください。

 

 

⑧ 人権

リスクシナリオ

環境認識

持続可能な社会の実現に向け、人権課題に対して、自社だけでなくバリューチェーン全体を

通じて、企業が責任を果たすことが求められています。一方で、強制労働、児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境、ハラスメント等の是正は社会課題となっており、デューディリジェンスによるサプライチェーンの可視化や人権侵害懸念国・地域からの輸入禁止等により、人権の尊重を法規制で担保する取組みが進んでいます。また、AIの活用等技術革新による新たな人権課題も生じています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・中国・アジアを含めグローバルの事業拠点とサプライチェーン

 ・AIを活用した製品・サービスの研究開発・提供

影響

人権に配慮したバリューチェーンの構築やAIの活用は、新たな社会価値の創出、事業機会と

なります。一方、バリューチェーン上の人権課題に適切な対応を行わなかった場合やAIに対する法規制等に準拠せず製品やサービスを通じて差別などの人権問題を発生させた場合には、社会的信用が失われ、その結果、取引停止・製品の開発中止や戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる可能性があります。

対応

体制

人権課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン人権方針に基づいた

活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長、AIを含むテクノロジーの倫理的な活用については技術・知財本部長、救済メカニズムについてはグローバルリスクマネジメント・法務本部長がそれぞれ責任を持って対応しています。

・関連OGR: HRMルール、労働安全衛生管理ルール、購買ルール

取組

具体的には、企業の人権尊重責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則

(UNGP)」に沿って、以下を含む対策を推進しています。

 ・RBA(注1)アセスメントツールを活用したリスク評価

 ・仕入先に対するサステナブル調達ガイドラインの提示・遵守状況確認

 ・AIに関する情報収集およびAIを事業で活用するための社内ルールの整備

 ・グローバルでの人権救済メカニズムの運用

(注1)RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。

※人権リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(4)人権尊重に関する取組み」をご参照ください。

 

 

⑨  人財・労務

リスクシナリオ

環境認識

グローバルで人財の流動化が進むなか、IT人財をはじめ先端技術を保有する希少な人財の獲

得競争がこれまで以上に激化しています。また、世界的なインフレや人手不足を契機として、賃金水準はグローバルで上昇傾向にあります。このような環境では、人財から選ばれる人的資本経営を実行し、従業員のエンゲージメントを高めることが重要になってきます。加えて、近年は社会から人的資本の情報開示が求められるようになっています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・既存人財に対する更なる能力開発と、必要な能力を有する人財の獲得

 ・ダイバーシティ&インクルージョンの加速

影響

スペシャリティを備えた多様な人財が集い、一人ひとりが主体性を持って能力を発揮し続け

る人財づくり・環境づくりは企業価値向上の原動力となります。一方、構造改革期間での人事施策の効果が十分でない場合は、新たな人財の採用が困難になるだけでなく、希少なスキルや経験を持つ従業員の流出や労務トラブルにつながる可能性があります。加えて、人的資本の情報開示が不適切な場合、投資家からの信頼低下等により、ブランド価値の毀損にもつながる可能性があります。

対応

体制

重要な人財戦略については、取締役会・執行会議にて議論し、決定しています。CHRO(最高人

事責任者)の下、グローバル人財総務本部が中心となり施策を実行しています。

 ・関連OGR:HRMルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・人財ポートフォリオの再構築
 ・執行役員・経営基幹職のマネジメント適正評価、登用・配置
 ・能力転換に向けた人財への投資
 ・社会課題解決の成果を分かち合う取組み・制度(中期連動株式報酬制度等)

 ・企業理念を全社員に浸透させ、共感と共鳴の拡大を促す取組み「TOGA」の実行

※人財・労務リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組  (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(3)人的資本に関する取組み」をご参照ください。

 

 

⑩  知的財産

リスクシナリオ

環境認識

社会課題を解決しながら持続的に企業価値を向上するためには、強みのある知的財産・無形

資産を形成した上で価値創造ストーリーと連結することが必要不可欠となり、また、技術開発やビジネスモデルの構築においてオープンイノベーションやアライアンスが加速しています。一方で、知的財産を巡る企業や国家間の競争や対立も激化するとともに、スタートアップ企業との事業連携における公正取引上の課題も指摘されています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

・ロボティクス、センシング、パワエレ、AI・データ解析等の注力する技術領域

・データヘルスケア、食生産のオートメーション、製造現場のDX支援等の新規事業創造

影響

知的財産・無形資産への投資を促進し競争力の源泉とする動向は、新たな社会価値創出、事

業機会となります。一方、その取得や保護が十分でなかった場合、技術・ノウハウの流出やブランドの模倣等が発生し、事業競争力を喪失する可能性があります。また、特許等の侵害や不正使用に関する紛争が発生した場合、オムロングループの製品・サービスの提供停止や巨額の損害賠償請求・ロイヤリティの支払い等が生じる可能性があります。その結果、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

技術・知財本部を主管として、基本方針に基づく知的財産活動を実行しています。また、知

的財産戦略については定期的に取締役会にて報告・議論されています。

 ・関連OGR:知財管理ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・IPランドスケープを活用して研究テーマの方向性決定や協業先選定の確度を高める取組み

 ・事業や研究開発と連動させた知的財産戦略を策定・実行し、強みのある知的財産権を蓄積

 ・研究開発および設計にあたっての第三者の知的財産権調査

 ・第三者のオムロングループへの知的財産権の侵害に対する分析・評価と権利行使の強化
 ・オンライン取引も含む模倣品摘発活動、悪意を持ったオムロンブランド名と類似した商標権取得の阻止

 

 

⑪  M&A・投資

リスクシナリオ

環境認識

社会課題を解決する手段として、テクノロジーの進化が求められる中、技術力のある企業と

のアライアンス、M&A、出資を通じたイノベーションの加速が期待されています。一方で、投資先の業績・評価の変動に加え、経済安全保障政策による投資規制やIT等新たな分野における独占禁止法の運用強化等の動きもあります。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・ポートフォリオマネジメントのもとアライアンスや事業売却も含むM&A・投資の推進
 ・新規事業の創出等のための、オムロンが捉える社会的課題に共感・共鳴しあえるパートナーとの共創

影響

戦略的なM&A・投資を通じた新たな経営資源の獲得は、社会価値創出、事業機会となります。

一方、計画やデューディリジェンスが不十分であったり、PMI(Post Merger Integration)やM&A・投資先に対するガバナンスが適切に行われなかった場合には、想定したシナジー効果や提携が計画通り進まない可能性があります。その結果、多額の減損や計画の大幅な見直しにつながるリスクがあります。

対応

体制

M&A・投資の方針と実行は、投資規律のもと、経営ルールに定める責任権限に基づき取締役

会等の経営会議体にて議論・決定し、案件ごとに、ビジネスカンパニーと本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームにより推進しています。

 ・関連OGR:経営ルール

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・事業戦略に基づいたM&A・投資候補の探索・評価
 ・対象企業の財務内容や契約内容の確認等の詳細な事前審査・デューディリジェンス
 ・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー(少なくとも年に1回)

[具体的なリスクへの対応例:上場子会社に対する監視・監督]

 出資先であるJMDC社に対してTOBを実施し、23年10月に連結子会社化しました。同社の戦略・事業計画や進捗と課題について、オムロン取締役会にて監視・監督を行い、同社の持続的成長を実現する体制を構築します。

 

 

⑫  グループガバナンス・コンプライアンス

リスクシナリオ

環境認識

気候変動や高齢化等の社会課題に対する取組みはグローバルで加速し、企業の果たす役割が

重要になる中、公正な取引に対する社会的要請も益々高まっています。国際機関や各国政府により反競争法的行為や贈収賄防止等に対する法規制は厳格化するとともに、ITやAI等技術の進化やアライアンス等によるイノベーションの推進等に対応した規制の検討や運用も進んでいます。また、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であったり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。日本では、昨今の円安やエネルギー価格高騰等の影響から、下請事業者に対する保護要請が高まっています。これらの環境変化は、以下を含むオムロングループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。

 ・各国政府の許認可を含む製品・サービスのグローバル展開
 ・様々なビジネスパートナーとの共創による新たな製品やビジネスモデルの開発

影響

グローバルな需要拡大に的確に捉えること、企業のイノベーションに対する期待は、新たな

社会価値創出、事業機会となります。一方、事業スピードの加速や収益性の改善が求められ、各地域やグループ会社における事業運営の自立化も進む中、ガバナンス不全や社内管理の不備により、公正な取引や会計などに関する法規制・コンプライアンス違反が発生した場合には、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。

対応

体制

企業倫理・コンプライアンスを含む内部統制としての対応方針は、取締役会で議論し決定し

ています。「オムロングループマネジメントポリシー」のもと、OGRに基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用、企業倫理リスクマネジメント委員会による活動の展開を行っています。

 ・関連OGR:法人運営ルール、倫理行動ルール、内部監査ルール、購買ルール等

取組

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

 ・各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング
 ・地域統括会社毎のリスクマネジメントにより、エリア特性に応じた重要リスクへの対応
 ・毎年10月のグローバル企業倫理月間等による定期的なコンプライアンス教育
 ・グローバル内部通報制度の運用
 ・リスクアプローチに基づく内部監査と改善指導
 ・購買統括部門における対象事業所に対するモニタリング・下請法研修

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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