富士通(6702)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 富士通及び子会社245社(うち連結子会社224社)は、日本を含む世界の各地域で事業を展開し、グローバルにデジタルサービスを提供しております。富士通グループの主要な事業は、「サービスソリューション」、「ハードウェアソリューション」、「ユビキタスソリューション」の3つのセグメントにより構成されており、各セグメントの主要な製品及びサービスの内容並びに関連会社(40社)を含めた富士通及び関係会社各社の位置付け(2026年3月31日現在)は以下のとおりです。 なお、富士通は、前連結会計年度より「デバイスソリューション」を非継続事業に分類しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 30.非継続事業」に記載のとおりです。 〔サービスソリューション〕主要製品・サービスの内容: ・コンサルティングサービス(ビジネスコンサルティング、テクノロジーコンサルティング)・クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS等)・システムインテグレーション(システム構築、モダナイゼーション等)・ソフトウェア(業務アプリケーション・ミドルウェア)・ソフトウェアサポートサービス・ビジネスプロセスアウトソーシング・ITサービス(データセンター、ネットワークサービス、セキュリティサービス、車載情報システム等)・マネージドサービス(システム運用管理、アプリケーション運用管理、サービスデスク等)取り扱う主な会社 :富士通(子会社)富士通Japan㈱、富士通ネットワークソリューションズ㈱、富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ㈱、Ridgelinez㈱、㈱トランストロン、Fujitsu Europe Holding B.V.、Fujitsu North America, Inc.、Fujitsu Australia Limited、Fujitsu Asia Pte. Ltd.、GK Software SE 等なお、Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.は、2025年10月1日付で、Fujitsu Europe Holding B.V.に商号を変更しております。 〔ハードウェアソリューション〕主要製品・サービスの内容: ・システムプロダクト(UNIXサーバ、基幹IAサーバ、PCサーバ、OS、ストレージ、メインフレーム、フロントテクノロジー等)・ネットワークプロダクト(モバイルシステム、フォトニクスシステム、IPネットワーク機器等)・ハードウェアサポートサービス(システムプロダクト・ネットワークプロダクトのサポート)・システムサポートサービス(情報システム及びネットワークの保守・監視サービス等)取り扱う主な会社 :富士通(子会社)エフサステクノロジーズ㈱、富士通フロンテック㈱、1FINITY㈱、Fsas Technologies GmbH 等 〔ユビキタスソリューション〕主要製品・サービスの内容:パソコン取り扱う主な会社 :富士通(子会社)㈱富士通パーソナルズ 等 また、関連会社の事業の内容については以下のとおりです。 名称事業の内容富士通クライアントコンピューティング㈱ノートパソコン、デスクトップパソコン等の開発、設計、製造及び販売FLCS㈱情報処理機器、通信機器等の賃貸及び販売 富士通及び関係会社の状況を事業系統図で示すとおおむね以下のとおりです(2026年3月31日現在)。 (持分法適用関連会社)富士通クライアントコンピューティング㈱、FLCS㈱ 等
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において富士通グループが判断したものです。 富士通グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。パーパス実現に向けては、富士通の経営におけるマテリアリティの必要不可欠な貢献分野である地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上の3分野において、重点的に取り組むべき課題を設定し、ビジネスをはじめとする全ての企業活動において取り組みを推進しております。これを通じて、富士通グループの企業価値向上と持続可能な世界の実現を目指しております。 財務資本、人的資本といった資本を投入し、重点戦略に沿ってマテリアリティに取り組み、財務・非財務の両面でアウトプットやアウトカムを生み出し、それをまたインプットとして投じる、これを継続することでステークホルダーへの提供価値の向上を図ってまいります。 <市場環境> 富士通グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、引き続き緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのモダナイゼーションや、クラウド化・デジタル化への投資は、今後も堅調に増えると予測されています。さらには、生成型AI(人工知能)に代表されるAIなどのテクノロジーやデータ分析・活用といった業務の高度化に向けた投資は、社会や企業の成長・発展へのニーズに加えて、社会システムや産業構造の変化に対するニーズも加わることで、今後も拡大すると想定されています。 <2025年度までの中期経営計画について> このような状況のもと、富士通グループは、2023年度から2025年度までの3年間を2030年及びそれ以降の目指す姿の実現に向けて持続的な成長と収益力向上のモデルを構築する期間として位置付けた中期経営計画を定めました。2025年における富士通のあるべき姿と、ステークホルダーへの提供価値の最大化を実現するため、事業モデル・ポートフォリオ戦略、カスタマサクセス戦略/地域戦略、テクノロジー戦略、リソース戦略の4つの重点戦略に沿って施策を推進し、目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。 <2025年度の進捗> 2025年度における4つの重点戦略ごとの主な取り組みは以下の通りです。1つ目は、事業モデル・ポートフォリオ戦略における、Uvanceを中心とするサービスソリューションの拡大及びハードウェアソリューションの基盤強化です。 サービスソリューションでは、売上収益に占めるUvanceの割合が伸長しています。Uvanceの2025年度の売上収益は、当初計画の7,000億円を上回る7,093億円となり、2024年度の4,828億円から47%増と大幅に伸長しました。これにより、サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比は、2024年度の21%から30%に拡大しました。2025年度は、堅調に伸長しているテクノロジー基盤のHorizontal領域の売上収益に加えて、市場をクロスインダストリーでとらえたデジタルサービスを提供するVertical領域の売上収益がデータ&AI領域を中心に大きく伸長し、Uvance全体の売上収益に占めるVertical領域の売上収益の割合が4割を超えました。また、富士通のコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」の拡大に注力し、コンサルティング主導によってお客様経営変革のアジェンダ策定から実装までをリードする商談も生まれております。また、UvanceのオファリングへのAIの適用やパートナーソリューションを組み合わせたオファリングの開発、グローバルでのオファリングの拡充など、商談のリカーリング比率も着実に伸長しました。 ハードウェアソリューションでは、富士通グループ内に分散するハードウェアソリューションに関する研究開発から製造、販売、運用・保守といった一連の機能を集約・分社化することで、グローバルでの競争力強化を図っております。2024年4月に設立したサーバ・ストレージ事業を担うエフサステクノロジーズ株式会社は、製販一体体制により事業効率が向上し、ハードウェアソリューションセグメントにおける採算性の改善につながっています。また、2025年7月には、フォトニクスシステム及びモバイルシステムなどのネットワークプロダクト事業を担う1FINITY株式会社が発足し、事業を開始しました。企業におけるAIの活用が拡大し、今後ますます存在感を増し、欠かせないものとなっていく中、そのデータ活用を支えるハードウェアソリューションも、同じスピードでの進化や実用化が求められています。テクノロジー企業として、今後も各ソリューションの最適な提供体制を検討してまいります。 2つ目は、カスタマサクセス戦略/地域戦略における、モダナイゼーションビジネスの推進及び海外ビジネスの変革です。 モダナイゼーションビジネスは、受注、売上ともに順調に拡大しており、2025年度の売上収益は前期比24%増の大幅伸長となり、当初計画を達成しました。2025年度は、2024年度に引き続き、リソースの効率的かつ機動的なアサインや、富士通でモダナイゼーションマイスターと認定している専門人材の育成のほか、言語の自動変換ツールの整備など、業務の高度化、効率化を図りました。Uvanceにつながるモダナイゼーションとして、UvanceのHorizontalのソリューションを統合した、デジタルトランスフォーメーションの提案を進めました。また、生成AIを活用した開発基盤の整備も行いました。 海外ビジネスについては、2025年度のリージョンズ(海外)セグメントの全体の売上収益は5,752億円、2024年度から約2.5%減となりましたが、事業ポートフォリオ変革や構造改革の効果により、営業利益率は2024年度の4.1%から、5.9%へと改善しました。引き続き、Uvanceを中心とするサービスビジネスの拡大を図っており、全エリアにおいて収益性の向上を図ってまいります。 3つ目は、テクノロジー戦略におけるコアテクノロジーの強化です。AI、コンピューティングを中心に、外部パートナーとの戦略的な提携も行いながら、サービスの差別化につながる技術の強化を行っております。 AIは、引き続き生成AIを中心に強化を進めており、マルチAIエージェントの社内実践やUvanceのオファリングへの実装も進んでおります。量子コンピューティングでは、256量子ビット機を開発し、2025年度第1四半期に提供を開始しました。また、2025年9月に本社であるFujitsu Technology Park(川崎市)に量子コンピュータの専用施設を竣工しました。2026年度には世界最大規模となる1,024量子ビット級の機器を開発し、本施設に設置予定です。 また、パートナーとの戦略的な協業も行いながら、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」の開発を進めております。2025年10月には、富士通CPUとNVIDIA CorporationのGPUを搭載したコンピューティング基盤上で動作する、領域特化型のAIエージェントを組みあわせたAIインフラストラクチャの構築を目指す戦略的協業の拡大について発表し、開発を進めております。 引き続き、新たなテクノロジーの創出と実用化の両方を目指し、研究開発を加速させてまいります。 4つ目は、リソース戦略における、事業と連動した人材ポートフォリオの実現です。富士通は、事業ポートフォリオに連動した人材ポートフォリオの変革を進めており、そのために必要な制度や人材マネジメントの見直しを継続して行っております。グローバルで人材の流動性を高めるために、ジョブ型人事制度に移行しており、2026年4月からは、新卒入社者に対しても、ジョブ型人事制度を適用し、ジョブレベルに応じた処遇を実施しております。2020年度に導入したポスティング制度はキャリア形成の手段として定着し、それに伴い、注力事業領域やキャリア形成に必要なスキルを自律的に学ぶリスキリングも活発になっており、制度や環境の整備が社員の行動変容につながっております。また、2025年10月には、グローバル共通の人事プラットフォームであるOnePeopleが日本で稼働し、順次グローバルに展開していく予定です。今後も、注力事業領域のリソースの強化やコーポレートの効率化、外部転身を含むリソースシフトなどを行いながら、事業成長と生産性の向上に向けた取り組みを継続してまいります。 以上4つの重点戦略に加えて、全社的な取り組みとしてサービスソリューション全体の収益性向上に向けた取り組みを継続して進めてまいりました。オフショアのシステム開発及びデリバリーを行うグローバルデリバリーセンター及び海外の開発拠点を日本側で統括するジャパングローバルゲートウェイを中心にデリバリーの変革を行い、サービスソリューション全体の収益性の向上に努めました。2025年度は、ジャパングローバルゲートウェイのさらなる活用の拡大や、標準デリバリーモデルの拡充等を進めました。お客様への提供価値に基づくプライシング戦略を拡大し、継続的な収益の増加に取り組みました。これらの施策を進めた結果、2025年度はグロスマージン率が2%改善しました。また、生成AIを活用した開発の効率化・標準化として、セキュアな状況で活用できる生成AIを用いた開発環境を整備し、まず日本国内のSE約3万人及び富士通の協力会社に対し提供、2025年度下期からは海外36カ国への提供も開始しました。 <2025年度までの非財務面での取り組み> 富士通グループは、非財務の領域においても、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において2025年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいりました。環境でのKPIとして温室効果ガス削減量を定めており、2020年度と比較しScope1・2では富士通グループで59.2%削減、Scope3(Category11)ではサプライチェーンで42.8%の削減を達成する見込みです。お客様については、お客様NPS®において2022年度比で20ポイント上昇を目指し、2025年度で27.4ポイントの上昇となりました。生産性については、従業員1人当たりの調整後営業利益において、2022年度比40%の上昇を目指し、2025年度で89%の上昇を達成する見込みです。人材では、従業員エンゲージメントについて、グローバルでのスコア75の達成を目指し、全従業員を対象としたサーベイの結果などをベースに様々な施策を進め、2022年度から2ポイント改善し2025年度はスコア71となりました。また、ダイバーシティリーダーシップの指標として、グローバルでの女性幹部社員比率を2022年度の15%から2025年度で20%に拡大することを目標としておりましたが、2025年度は17.5%となる見込みであり、いずれも目標達成には至らない見込みです。また、2024年度に引き続き、非財務面での取り組みが財務面に対しどのように寄与するかについての定量的な分析を進めました。 (注)1.お客様NPS®:お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS®)の略。お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標。 ※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。 2.従業員エンゲージメント:会社の向かっている方向性・パーパスに共感し、自発的、主体的に働き貢献したいと思う意欲や愛着を表す指標。 <2025年度までの3年間の振り返り> 2025年度までの3年間で、事業及び人材のポートフォリオ変革及び経営基盤の強化をグローバルで進めた結果、収益力が着実に向上しております。調整後営業利益は、全社連結で4期連続過去最高益を更新しました。同じく、中核となるサービスソリューションにおいても、調整後営業利益は金額、率ともに着実に改善しており、2020年度からの中期経営計画の期間も含めて6期連続での伸長となりました。このように、本業での利益拡大に加えて運転資本の効率化によりコア・フリー・キャッシュ・フローはスタート地点となる2022年度と比較して1.8倍となり、キャッシュ創出能力が大きく改善されました。また、本業での改善に加えて、新光電気工業株式会社や株式会社富士通ゼネラル(現 株式会社ゼネラル)、FDK株式会社などノンコア事業のカーブアウト等の施策を行った結果、フリー・キャッシュ・フローは2022年度と比較して2.7倍まで改善し、今後の成長投資に向けた基礎体力が向上しました。 <中長期経営ビジョン2035> 富士通では、2023年度から2025年度までの中期経営計画の期間を持続的に成長できる企業となるための基盤づくりを行う準備期間と位置づけ、事業及び経営基盤において、そのための変革に取り組んでまいりました。2026年度以降は成長の期間と位置づけ、これまでの変革によって整えた環境を最大限に活用し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。これまでは、3か年のサイクルで経営計画を策定し、目標達成に向けて取り組んでまいりましたが、2026年度からの新たな経営計画は、2035年度をゴールとする10年での中長期ビジョンとして策定いたします。昨今、社会情勢は予測が難しい速さ、複雑さで変化しており、3か年での中期経営計画では、計画の策定時とゴールとなる3年後で戦略立案の前提としてきた事業環境が大きく変わり、施策や目標が実際の状況に沿わなくなること、また、将来の成長につながる新規ビジネスと現状からの拡大及び効率化に取り組む既存ビジネスは時間軸を分けて投資や施策の検討及び実行を行う必要があることから、10年後の富士通のあるべき姿を定め、そこに向かって1年ごとに目標を定め、軌道修正しながら少し先の目標に向かう方針としました。 2035年度に向けて、富士通の強みであるAI、コンピューティングといったTechnology-drivenでの価値創造を進めてまいります。信頼できるテクノロジーをコアに、スピードと規模を一層追求し、お客様や社会と共に成長する企業となることを目指してまいります。また、AI-driven経営の支援を成長の柱として、施策の検討及び実行を進めてまいります。富士通の顧客基盤は、公共分野を含む全産業分野に及び、50年以上にわたって業務アプリケーション開発やその運用保守に携わってまいりました。AIをはじめとするテクノロジーの社会実装には、現在の業務やそれを支えるITの理解を通じての新たな業務設計や新技術の適用・実装が不可欠です。多様な業種・業務のお客様の経営から現場まで届く知見や対応能力をもって、Technology-drivenの顧客業務や社会の変容をリードすることを目指してまいります。 富士通では、2035年に向けて対応が迫られる社会課題と、そこに対し富士通がどのように貢献できるかを整理しました。今後AIやクラウドなどの技術への依存度が高まる一方で、その技術に関する主権のリスクが増大します。また、高齢化や労働人口の減少に伴い、生産性や産業競争力が低下していきます。特にものづくりの分野では、生産性の低下に加えて、熟練技術者のノウハウや暗黙知が継承されず、断絶していく懸念があります。そして、年々甚大化する自然災害が常態化することで、社会への被害も拡大していきます。これらの課題に対し富士通は、よりエネルギー効率の高い安心安全なコンピューティングパワーを提供するSovereign Platform、ロボットと人が協調し自律的に進化していくPhysical AI、そして、大規模データをデジタルツインで分析し施策の高度化を行うIntelligent Societyの3つの領域を中心に、課題解決に向けたソリューションの開発及び提供に注力してまいります。そして、これらの3つの領域で、新たな事業を創出してまいります。 <2026年度の取り組み> 2026年度は、サービスソリューションにおいて、引き続きUvance及びモダナイゼーションビジネスによる拡大に注力してまいります。また、これまでのリージョンごとのマネジメントから、業種軸でのマネジメントにシフトしてまいります。お客様や業種・業務への理解を深め、それぞれの課題に対しお客様と共に解決に取り組むビジネスモデルをグローバルで展開し、そこからクロスインダストリーでの社会課題解決への取り組みにつなげることを目指してまいります。採算性の向上では、開発プロセスの標準化や生成AIの活用拡大などの取り組みにより、引き続きグロスマージン率2%の改善を目指してまいります。また、大規模言語モデル「Takane」や、AI Platform Kozuchiを活用したAI技術、1万量子ビットを超える超伝導量子コンピュータの開発、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」等の先進的研究を中心に、投資をさらに強化してまいります。1年ごとの目標を着実に達成していくことで実績と信頼を積み上げ、テクノロジーによって新たな事業を創出しながら、2035年のビジョンに沿った施策を推進してまいります。 <2026年度以降の非財務面での取り組み> 富士通グループは、非財務の領域においても、引き続き、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において、経営の非財務指標を定めました。下記の図の通り、2026年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいります。 (注)1.お客様NPS®:お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS®)の略。お客様との信頼関係=顧客ロイヤリティの客観的な評価を可能とする指標。 ※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。 2.従業員エンゲージメント:会社の向かっている方向性・パーパスに共感し、自発的、主体的に働き貢献したいと思う意欲や愛着を表す指標。なお、従業員エンゲージメントスコアは、中長期的に75以上の達成を目標としています。 <富士通の企業価値向上ストーリー> ※本スライドは、検討中(2026年6月時点)のものであり、変更される可能性があります。 富士通は、持続的な企業価値の向上を実現するため、これまで培ってきた強みとそれを支える無形資本(人的資本、テクノロジー・知的資本、社会関係資本)を起点として、社会的価値と経済的価値を一体的に創出するための価値創造モデルを策定しております。本モデルでは、2035年までの中長期経営ビジョンで設定された2035年の目指す世界及び富士通の2030年のありたい姿を念頭に、足元で遂行すべき重点戦略等の事業活動を踏まえ、持続的な成長に向けて解決すべき重要課題としてのマテリアリティが存在します。 本モデルの特徴は、非財務活動を企業価値の向上を支えるドライバーとして位置づけ、財務指標との関係性を構造的に整理している点にあります。具体的には、従業員エンゲージメントやお客様NPSの向上が生産性改善に繋がり、提供価値や顧客接点の拡大等を経て、売上成長へと接続する構造を可視化しております。また、温室効果ガス排出削減等の取り組みについても、社会的責任の成果を明示し、持続可能な事業運営を支える重要な活動として位置づけております。 富士通は、事業戦略と連動した人材育成、テクノロジーの研究開発、パートナーシップ構築等の無形資本への投資を計画的に実行するとともに、これらを通じた持続可能な価値創出を実現するため、無形資本を基盤とした事業活動の成果を財務指標のみならず、非財務指標からも可視化・モニタリングすることで、価値創造基盤の強化を進めております。本モデルに基づき、社会的価値と経済的価値を同時に創出し、その成果を再投資することで、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。 <財務非財務の関係性分析> 富士通は、企業価値向上ストーリー(価値創造モデル)に基づき、非財務活動を企業価値向上の主要ドライバーとして成長モデルを構築しております。また、非財務活動が財務指標に与える影響について、因果関係分析を通じて定量的かつ体系的に整理しております。例えば、従業員が機会の均等や充実感を感じることが、社員一人ひとりの自律的な行動変容やデジタルツールの積極的な活用を促し、業務効率及び業務品質の向上につながっていると考えられます。さらに、これらの変化が、顧客との対話機会の増加や提案活動の高度化を通じたパイプライン強化につながり、最終的に受注額を押し上げる関係性も確認しています。もっとも、本分析で得られた結果は、富士通内の一部の事業領域における財務・非財務データに基づき、一定の仮定を元に実施したものであり、その結果が普遍的に適用されることや将来にわたり同様の効果が得られることを保証するものではありません。今後は、指標の整備及びデータ蓄積の進展を踏まえ、その有効性について継続的に検証を行うと共に、顧客に対するアクションの質・量に効果的な変化をもたらす、リスキリング・アップスキリングやAI・デジタルツール活用といった従業員の具体的な行動を把握するため、分析の高度化を進めていく予定です。 富士通グループは、引き続きデータを活用して迅速な意思決定を行いながら、デジタルテクノロジーと、これまで培った多様な業種への実績・知見を活かし、安心・安全で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】 [方針・推進体制] 富士通グループは、事業継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を実現することを目標とし、その実現に影響を及ぼす不確実性をリスクと捉え、これらのリスクに対処するために、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、取締役会に直属し、グループ全体のリスクマネジメント及びコンプライアンスを統括する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長を委員長として業務執行取締役等で構成しており、富士通グループに損失を与えるリスクを常に評価、検証し、認識された事業遂行上のリスクについて、未然防止策の策定等リスクコントロールを行うとともに(潜在リスクマネジメント)、リスクの顕在化により発生する損失を最小限に留めるため、顕在化したリスクを定期的に分析し、取締役会等(独立役員会議含む)へ報告を行い、再発防止に努めております(顕在化したリスクのマネジメント)。 内部統制体制におけるリスク・コンプライアンス委員会の位置づけ また、リスク・コンプライアンス委員会は、グローバルな地域に基づく業務執行体制の区分であるリージョンごとに、下部委員会としてリージョンリスク・コンプライアンス委員会を設置し、国内外の部門(第1線)やグループ会社、リージョンにリスク・コンプライアンス責任者を配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。 さらに、グループ全体のリスク管理機能強化のため、事業部門から独立した代表取締役社長直下の組織である全社リスクマネジメント室(第2線)にリスク・コンプライアンス委員会事務局機能を設置し、CRMO(Chief Risk Management Officer)の下、リスク情報全般の把握と迅速かつ適切な対応を行うとともに、代表取締役社長主導によるリスクマネジメント経営を徹底し、リスク・コンプライアンス委員会を毎月開催することで、施策実行の迅速性と実効性を担保するよう努めております。 なお、リスクマネジメント・コンプライアンス体制について、毎年、監査役監査、監査部門(第3線)による内部監査を行い、体制が正常に機能していることを確認しております。 [潜在リスクマネジメントプロセス]・グループにおける重要リスクの抽出・見直しリスク・コンプライアンス委員会事務局(全社リスクマネジメント室、第2線)にて、富士通グループを取り巻く環境変化を踏まえて、富士通グループにおける重要リスク(16項目)の抽出・見直しを随時実施。重要リスクごとにリスクシナリオを定義。純粋リスクと経営リスクに区分。・リスク管理部門(第2線)の選出重要リスクごとに当該重要リスクにおける責任を持ち統制を行う所管部門であるリスク管理部門を選出。・グループにおける評価毎月、リスク管理部門・部門・グループ会社において、各重要リスクの影響度、発生可能性、対策状況等を評価。・重要リスクのランキング化・マップ化グループにおける評価内容を踏まえ、重要リスクのランキング化及びリスクマップの作成を実施。リスクマップでは4象限にプロットすることで重要リスクの選好度を4段階に評価(回避/移転/低減/保有)。評価結果及び顕在化したリスクの状況から、重要度を評価し年度の重点対策リスクを選出。・リスク・コンプライアンス委員会及び取締役会への報告グループにおける評価結果を踏まえた分析を実施、重要リスクの対策方針等を議論・決定。・部門・グループ会社への是正指導グループにおける評価結果を踏まえ、随時、部門・グループ会社にフィードバックを実施し、改善を指示。・部門・グループ会社におけるリスクモニタリング部門・グループ会社において毎月リスクモニタリングを実施し、リスク対策の状況確認と低減を実施。 [顕在化したリスクへの対応] ・リスクマネジメントに関する規程に基づき、リスク・コンプライアンス委員会への迅速なエスカレーションの実施等のルールを義務化し、従業員に周知。 ・リスクマネジメントに関する基準やリスク・コンプライアンス委員会へのエスカレーションルールを基に、部門・グループ会社におけるエスカレーションルールを定め、リスクが顕在化した際には、迅速な対応を実施。 ・リスクの分析・横展開を行うとともに必要に応じて取締役会報告等を行い、再発防止に努める。 このようなプロセスを繰り返し実行するとともに、毎月、リスク管理部門・部門・グループ会社による確認を行うことで、グループ全体のリスクの低減と顕在化した際の影響の最小化に努めています。 リスクマネジメントプロセス [重要リスク一覧]潜在リスクアセスメントの評価結果に加え、実際に発生したリスクである「顕在化したリスク」の状況を踏まえたうえで、富士通グループの事業戦略及びビジネス目標達成への影響を鑑み、重点的に取り組むリスクを「重点対策リスク」として選定しております。昨今の富士通及び富士通グループ会社の情報セキュリティインシデントやシステム品質に関する問題により、当期における「重点対策リスク」を以下2つの重要リスクと定め、リスク・コンプライアンス委員会を中心に取り組んでおります。 ・セキュリティに関するリスク・製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2026年6月26日)現在において富士通グループが判断したものです。なお、以下の内容は、富士通グループのすべてのリスクを網羅するものではありません。また、各リスクにおける対策の実施にもかかわらず、すべてのリスクの発生を未然に防止できない可能性があります。また、富士通グループは経営目標の達成に向けて「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、これらの施策に影響を与える可能性のある主なリスクとその対策を、経営方針・経営戦略との関連性も考慮したうえで、以下に記述しております。 [重点対策リスク](1)セキュリティに関するリスク[リスクの概要と影響]昨今、サイバー攻撃の手口は日々高度化しており、富士通グループに限らず、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等により、お客様システム、社内ネットワーク・システムの運用停止や情報漏洩、不正利用等を完全に防ぐことは困難です。万一、情報漏洩により個人の権利・利益を侵害した場合やお客様情報が漏洩した場合には、富士通グループの信用は低下するとともに、個人情報保護法やGDPR(General Data Protection Regulation)等の法令違反による罰金や制裁金が科されるおそれがあります。さらに、近年のAI技術の急速な進展に伴い、生成AI等を悪用した攻撃の高度化・巧妙化や、自律的に判断・行動するAIエージェントの普及により、従来のセキュリティ対策では想定しきれない日々進化するサイバーリスクが顕在化しています。これらのリスクは富士通グループのサプライチェーン上でも発生する可能性があり、委託先におけるセキュリティリスクが顕在化した場合、お客様や富士通グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、敷地・建物・フロアの3層において物理セキュリティ環境を構築していますが、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を完全に防ぐことは困難です。このようなリスクが顕在化した場合、機密情報漏洩や企業ブランド価値毀損、ビジネス機会喪失等、富士通グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。[対策]お客様、お取引先、または富士通グループの機密情報や個人情報の保護については、情報保護マネジメントシステム運用の強化を図り、社内規程の制定、従業員教育、現場点検、監査、業務委託先を含む指導等を実施しております。また、すべての組織・プロジェクトが守るべきルールである規程にセキュリティ検査制度を明示し、グローバルな情報セキュリティ基準に基づくセキュリティ対応計画の策定・実行を徹底することで堅牢なシステム構築を実現しております。富士通では、経営層・現場層・CISO組織(統制層)が一体となって経営課題としてセキュリティ対策に取り組むため、客観性の高いセキュリティリスクの把握と可視化及び的確な是正を軸とした「全社セキュリティリスクマネジメントスキーム」を構築、情報管理ダッシュボード等を導入し、情報システムの残存脆弱性や情報の不適切管理等のリスクをデジタルに可視化し、確実な是正を実施しています。富士通グループの重要な事業活動基盤の1つである社内ネットワークにつきましては、ゼロトラストを前提に、IT基盤特性に合わせた対策を講じています。標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、データ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、巧妙化・多様化・複雑化するサイバー攻撃への対策を実施しております。また、グローバルに展開するお客様向けITシステム及び、社内ITシステムのITアセット管理を一元化・可視化し、グループ全体のセキュリティリスクの特定と是正を速やかに実施しております。AI等日々進化するサイバーリスクに対して、富士通では攻撃手法の分析・検知能力の高度化や、AIエージェントを含む新たなシステム利用に対するセキュリティガバナンスの強化に取り組んでおります。加えて、委託先におけるセキュリティリスクへの対処として、制度・セキュリティ強化の両面からサプライチェーンのセキュリティ強化施策を進めております。また、敷地・建物・フロアの3層において「人的警備」と「機械警備」を組み合わせた物理セキュリティ環境を構築しています。さらに、高度な物理セキュリティ環境を構築するために、なりすましを防ぐことが可能な静脈認証装置を組み合わせたセキュリティゲートを社内展開しています。 (2)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できるネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。システムの受託開発や製品・サービスの運用・保守業務、製品の設計・開発・製造において、お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度が高まり、製品の欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。また、競争の激化による価格低下により、納期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。このような製品・サービスの欠陥、瑕疵や納期遅延等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等が富士通グループの売上及び損益に影響を及ぼします。また、万一、欠陥や瑕疵等への対応過程において判断の誤りや不適切な行為があった場合には、企業レピュテーションは低下し、富士通グループの損益への影響を拡大させる可能性があります。 [対策]富士通グループでは、Fujitsu Wayの大切にする価値観である「信頼」を実践するため、「富士通グローバル品質指針」を定め、グループ共通で守るべきルールとしてのFujitsu Group Global PolicyにQuality Policy(Standard Policy for Quality Management)と、Global Quality Rulesを定めています。また、Fujitsu Group Global Policyの下、国や製品・サービスの特性、お客様のニーズ、法令・規制等に応じた規程・標準類を整備しています。お客様のニーズや期待に応えられる製品・サービスの品質を一貫して提供するためには、企画・計画から開発、製造、試験、販売、運用・保守に至るまで、事業部門、共通部門、ビジネスパートナーなど社内外の様々な組織との連携が必要であり、これら組織が一体となる体制や仕組みが基盤として必要不可欠であるため、製品・サービスに応じて、これらの関連部門と連携しながら品質マネジメントシステム(QMS:Quality Management System)を構築し、運用しています。これら規程類の整備に加え、社長直下に全社的な品質管理組織が置かれ、開発プロセスのエンハンス及びその有効性の監視や品質不良を早期検知できるようにする仕組みの提供、全社横断的に知見やノウハウの共有など、品質改善に努めております。富士通が提供する製品・サービスに対しては、設計・開発・製造において、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の遵守・最新基準への適合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めております。また、運用・保守業務では、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルール等を改善する活動を継続的に行い、品質リスクの低減を図っております。 [重要リスク](3)自然災害や突発的事象発生のリスク① 自然災害・感染症・火災等に関するリスク[リスクの概要と影響]近年、世界的な気候変動により、台風・水害・大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下・南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、被害想定を超えた規模で発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合、事業所の機能停止、IDC(Internet Data Center)機能の停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、部材メーカーからの部品供給不足や遅延、サプライチェーンへの被害等により、富士通グループのクラウドサービスを含むサービス提供や製品出荷が停止し、事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を目的として、全社防災組織を編成し、各種訓練を継続的に実施しております。また、過去の地震対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策や定期点検を強化するとともに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時においても、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質な製品・サービスを安定的に供給するために、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定及び継続的な見直し・改善を行い、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の強化を図っております。さらに、グローバル全従業員を対象としたe-Learningによる教育を実施し、災害対応力の底上げを行っております。また、感染症によるパンデミックの経験を踏まえて、お客様、お取引先、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、お客様への製品・サービスを継続して提供する体制を構築することにより重要な事業を維持し、社会的責任を遂行できるよう努めております。② 紛争・テロ・政情不安等に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域において、紛争・テロ・デモ・ストライキ・政情不安・国家間の対立等が発生した場合、設備の損壊、事業所閉鎖による機能停止、サプライチェーンの混乱・分断等によるサービス及び製品供給の停止、当該地域からの事業撤退などにより、富士通グループの業績及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの事象により、富士通グループの従業員及びその家族が巻き込まれ、安全が脅かされる可能性があります。[対策]富士通グループでは、社内外からの情報収集を通じて、各国・各地域における事業実態に即したリスク評価を定常的に実施しております。評価結果については、海外拠点及び本社関係者間で共有し、連携体制を強化することで、リスク発生時の影響を最小限に抑えるよう努めております。また、各国・各地域における従業員及び従業員家族への対応指針の整備、当該事業におけるBCPの確認と更新、情報入手経路の拡充を進めております。加えて、調達先におけるBCPの推進や、従業員の緊急連絡体制の構築を通じて、従業員の安全確保と事業継続の両立を図っております。 (4)人権に関するリスク[リスクの概要と影響]昨今、欧州を中心に人権に関するデューデリジェンスの義務化等が進展し、人権尊重への取り組みが一層強く求められています。富士通グループは、自社のみならずサプライチェーン上(労働環境、紛争鉱物等)における人権に関するリスクの防止・低減に取り組む必要があります。これらに関して人権リスクが発生した場合、人材の流出やビジネス機会の損失、行政罰等による社会的信用の失墜を招き、富士通グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、欧州をはじめ各国でAIに対する規制法が施行され、急速に普及が進むAI技術を利用したビジネスにおいて人権を侵害する事象等が発生した場合、損害賠償や制裁金等による経済的損失、並びに社会的信用の失墜に繋がる可能性があります。[対策]富士通グループは、Fujitsu Wayにおいて、富士通グループの従業員として厳守すべき事項を行動規範(人権の尊重、法令遵守、公正な商取引等)として定めるとともに、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS:Global Business Standards)をグループで統一的に運用し、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成を図っております。そのための社内体制や仕組みの構築を推進するため、経営層からのトップメッセージの発信や定期的な従業員教育(人権、差別・ハラスメント防止等)を実施しております。また、最新の国際動向を踏まえて、人権に関するリスクを整理し、重要性・事業関連性から優先課題を特定したうえで、その評価に基づき、富士通グループの人権方針である「富士通グループ人権ステートメント」を制定し、富士通グループ及びサプライヤーへの周知をしております。サプライチェーンにおける対策としては、2023年より「富士通グループサステナブル調達指針」を策定・公開し、主要サプライヤーから同意を得ております。AIビジネスにおける対策としては、急速に普及する生成AIやAIエージェントが人権に影響を及ぼす可能性が指摘される中、富士通は従前から「AIコミットメント」を制定し、グループ内へのAI倫理の浸透を図っています。具体的には、e-Learning等による定期的な教育、全AIビジネスに関するAI倫理審査を実施しています。さらに、AI規制法点検、AIセーフティ評価を包含したAIリスクマネジメントを全社ルール化することで、AI品質に起因する人権リスクの最小化に取り組んでいます。これらの取り組みについては、外部の様々な分野の専門家で構成される「富士通グループAI倫理外部委員会」を定期開催し、客観的評価を受けております。 (5)コンプライアンスに関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループは、グローバルにビジネスを展開しており、競争法・贈賄禁止法・輸出管理法等国内外の関連法令・規制等を遵守する必要がありますが、これらの関連法令・規制等に違反した場合、多額の課徴金や損害賠償請求に加えて、お客様からの指名停止やお取引先からの取引停止によるビジネス機会損失の可能性があります。さらに、不正会計等が発生した場合には、監査法人からの監査報告を受領できない、または有価証券報告書の提出ができない、もしくは過去に提出した有価証券報告書の訂正をしなければならなくなる事態に至り、株価の下落や株主からの損害賠償請求に繋がり、富士通グループの社会的信用が大きく損なわれる可能性があります。[対策]富士通グループでは、Global Compliance Programの枠組みの下、最新の法令を踏まえたコンプライアンスに必要な社内ルール・規程の制定と継続的運用を行うことで、業務上、役員や従業員による法令違反が生じないように統制しています。海外拠点においても、各国の法令を踏まえたルールを整備したうえで、各国におけるリスクの評価を行い、評価に応じて本社のコンプライアンス部門が海外拠点のコンプライアンスの支援を行うことでリスクの低減を図っております。また、社長をはじめとする主要役員からのトップメッセージの発信やe-Learningの定期的な実施、職種や担当事業に応じたコンプライアンス教育を行い、従業員のコンプライアンス意識を根付かせる活動の一方、発生したコンプライアンス違反事案を把握できるよう内部通報制度を整備・運用し、コンプライアンス違反事案の調査・対策をしております。不正会計等についても、法令に基づき内部統制評価をしていますが、内部監査部門やコンプライアンス部門との連携による業務プロセス及び経理処理の適正性の確保に努めております。 (6)財務に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループに対して外部の格付け機関が発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様やお取引先と取引する際の信用判断の材料として用いられることがあります。富士通グループの収益計画の未達や財務状況の悪化等により、これらの格付けが引き下げられた場合、資金調達に影響を及ぼすほか、入札や取引先選定において不利となり、事業機会の獲得に影響を及ぼす可能性があります。また、お取引先の経営悪化や経済情勢の悪化等により信用不安等が生じた場合、売掛債権の回収遅延や回収不能が発生し、富士通グループの財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 [対策]富士通グループでは、資金調達に関する対策として、流動性の確保、資金調達計画の策定及び金融市場動向の継続的な分析等を行っており、これらの取り組みを通じて、安定的な資金調達基盤の維持に努めております。また、与信管理に関する対策として、与信管理関連部門による意見交換、及び外部機関が提供する企業信用調査情報等の関連部門間での共有とモニタリング、債権保全に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等を行い、リスクの低減を図っております。 (7)環境・気候変動に関するリスク[リスクの概要と影響] 富士通グループでは、パーパスとして、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを掲げており、環境を含むサステナビリティ課題への対応を経営の最重要事項の1つと位置付けています。しかし、事業活動を通じて環境汚染等が発生した場合、富士通グループの社会的な信用の低下や、浄化処理等の対策費用発生等により、業績及び損益に影響を及ぼす可能性があります。 また、近年、気候変動等により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網の寸断を発生させ、また、気温上昇はエネルギー使用量の増加を招き、富士通グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。現在、世界各国でカーボンニュートラルに向けた政策・規制の強化が進展する中、温室効果ガスの排出量の規制強化や炭素税の導入等に適切に対応できない場合、後発対応によるコストの増加や、企業レピュテーションの低下によるビジネス機会の損失、環境ラベル取得等を条件とする入札への参加制限等が生じる可能性があります。また、お客様・社会のCO2削減、エネルギー需給の最適化、再エネ拡大といったカーボンニュートラルな社会システムへの転換や気候変動適応を支援するソリューションに対する需要は急速に高まっており、富士通グループが省エネ・脱炭素・気候変動の適応に貢献するソリューションを十分に提供できない場合、または競合他社と比較して提供価値が劣後した場合には、ビジネス機会の損失や市場シェア及び利益率の低下に繋がり、富士通グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、環境関連法令・条令等に基づき社内規程を整備し環境負荷の低減や環境汚染の未然防止等に取り組んでいます。エネルギー使用量については、環境パフォーマンス管理システムを活用し、事業所ごとの使用状況を把握するとともに、電力コスト及びCO2排出量等の最適化を図っています。排水・排ガスにおいては、法令基準よりも厳しい自主管理値を設定し、定期的な測定・監視を実施しています。また、富士通グループ工場(跡地を含む)では、土壌や地下水の調査及び浄化活動を行っています。さらに、主要な外部評価の評価基準を分析し、環境経営の評価軸に組み込んだ情報開示及び改善活動を推進しています。気候変動対策としては、科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi:Science Based Targets initiative)よりネットゼロ認定を取得するとともに、顧客や社会のカーボンニュートラルに貢献する環境配慮製品・ソリューションの設計・開発を行うとともに、EPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool)等の環境配慮製品ラベルを取得し、ブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術を活用した環境価値流通プラットフォームの社会実装に向けた取り組み等を進めております。 (8)富士通グループの施設・システムに関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループでは、国内外に事業所・工場・データセンター等の様々な施設を保有・賃借するとともに、他社ベンダーのクラウドサービスを活用しております。これらの施設・システムについて、地震や大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症の拡大、テロ、デモ、ストライキといった社会的現象、並びに施工品質の不足や運用ミス等が発生した場合には、生産ラインの停止や、施設、社内基幹情報システム等の運用停止を招き、富士通グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、社内基幹情報システム等については、24時間365日体制による監視・運用体制を構築するとともに、事業継続計画書の策定、及びそれに基づいた対策の実施や定期的な訓練を行っています。また、いずれの施設・サービスについても、建築基準その他の規制に準拠した独自の安全基準を設け、リスクの低減を図っております。 (9)競合・業界に関するリスク[リスクの概要と影響]ICT業界では、市況の変化や競争激化、技術革新等の進展により、製品・サービスの価格下落が生じる可能性があります。そのため、想定を上回る価格下落や調達価格の大幅な変動が生じた場合には、十分なコストダウンや販売拡大を実現できず、富士通グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。また、ICT業界では、技術の進歩のスピードが速く、新製品や新技術であっても急速に陳腐化する傾向があります。技術開発競争において競争優位性を維持できない場合には、市場シェアや利益率が低下し、富士通グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、市場動向や競争環境を定期的に分析し、技術進歩や競争激化等による製品・サービスの低価格化を前提とした事業運営を行っております。具体的には、社会動向に基づく課題を洞察するとともに、お客様のニーズや競合他社の動向を把握し、競争力のある製品・サービスのラインナップ拡充とコストダウンの両立に取り組んでおります。また、競争力維持のため、富士通独自の先端技術に関する研究開発への継続的な投資を実施することで、富士通グループ事業の強み、競合他社等との差異を明確にし、技術やサービスの優位性を確保するよう、努めております。 (10)経済や金融市場の動向に関するリスク①主要市場における景気動向[リスクの概要と影響]富士通グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業向けに、ICT分野の各種サービスを提供しており、事業ブランドであるUvanceを、グローバル共通の戦略として展開しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアといった主要市場において、景気後退や投資マインドの低下が生じた場合、お客様によるIT投資の抑制、案件の延期・縮小、価格競争の激化等を招き、富士通グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、急激な市場の変化に対応するため、主要市場における経済・市場動向及びお客様の投資動向について、関係部門が連携し、定期的にモニタリングを行っております。これらの情報は、グループ全体の戦略検討や事業ポートフォリオの見直しに反映され、また、事業構造の見直し等の継続的な構造改革を行うことで、リスクの低減を図っております。②為替動向と金利変動及び資本市場の動向[リスクの概要と影響]富士通グループは、グローバルで事業を展開しており、為替、金利及び資本市場の変動は富士通グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、急激な為替変動は、海外に輸出提供する製品・サービスの価格競争力の低下や、海外から調達する部材等のコスト増加を生じさせ、海外ビジネスの売上及び損益に大きく影響します。また、外貨建ての資産・負債等についても、資産等が目減り、または負債等が増大する可能性があります。さらに、有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇により支払利息や調達コストが増加する可能性があります。また、国内外の株式市場の動向は、保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼし、株式市場が低迷した場合、保有株式の評価減や、年金資産の目減りに伴う会社負担が増大するおそれがあります。[対策]富士通グループでは、為替・金利・資本市場を含む金融市場環境について、市場動向のモニタリング及び分析を継続的に実施しています。為替リスクについては、必要に応じて為替予約等のヘッジを実施することで、低減を図っております。また、これらの金融市場リスクに関する情報は、グループ内で定期的に共有され、影響の把握及び対応方針の検討に活用することで、影響の最小化を図っております。 (11)知的財産に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループでは、研究開発活動を通じて創出される技術・ノウハウを、事業競争力及び成長戦略を支える重要な経営資源と位置づけ、知的財産の創出・保護・活用に取り組んでおります。しかしながら、法的・経済的な制約等により、これらの技術やノウハウが、必ずしも知的財産として十分な保護を受けられない場合があります。そのため、他社が富士通グループの技術やノウハウを用いて類似した製品やサービス等を製造・販売することを効果的に防止できず、競争優位性の低下、富士通グループ事業の成長の阻害、利益の逸失に繋がる可能性があります。また、デジタル技術の進展やオープンソースソフトウェア(OSS)の利用拡大に伴い、富士通グループの製品・サービス及び事業活動において、他社の知的財産権を侵害していると主張されるリスクや、オープンソースソフトウェアを含む第三者のソフトウェアの利用形態が許諾条件に合致しないと判断されるリスクが高まっています。これらが顕在化した場合、使用料支払い、設計変更、訴訟対応等の費用が発生し、富士通グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。[対策]知的財産の保護・活用においては、グループにおける統一的な知的財産管理ルールやプロセスを整備し、事業戦略や事業環境の変化を踏まえた継続的な見直し及び周知活動の強化を行い、より効果的な知財戦略を推進しております。また、他社の知的財産権を侵害することのないよう、社内規程や体制の整備、ソフトウェア利用の管理体制の強化、製品・サービスの商品化プロセスにおける他社知的財産調査等を定期的に行っております。 (12)お客様に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高く、また、海外ビジネスにおいては、各国における政府系のプロジェクトが重要な事業となっております。これらのお客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品・サービスの売れ行きの変動は、富士通グループの製品・サービスの需要や価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、お客様との信頼関係や、取引または契約関係が継続できない場合には、富士通グループの売上及び損益に影響を及ぼします。[対策]富士通グループでは、社会的な課題解決を念頭に置いた事業活動を行うとともに、市場動向、技術動向、お客様の状況の変化を注視しており、ICTのライフサイクルにわたるソリューションを提供することにより、お客様との長期的な信頼関係を築くことを目指しております。また、富士通グループは、多様な業種における事業実績、業務理解とデジタルテクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな価値創出に貢献するとともに、特定のお客様に依存しないビジネスモデルへの転換や最新の技術に追従していけるよう努めております。 (13)調達先・提携等に関するリスク①調達に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループが提供する製品・サービスは最先端の技術を使用しており、汎用的ではない部品や希少性の高い原材料等を使用することがあります。そのため、一部の部品・原材料等については、安定的な調達が困難な場合や、代替の調達先を確保できない場合があり、大量に調達が必要な部品・原材料等については、必要な量を十分に調達できない可能性があります。また、お取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、法令違反、経営状況の悪化等が発生した場合は、富士通グループに対する部品・原材料等の安定的な提供が困難になります。さらに、世界中で発生する異常気象やそれに伴う災害、国際情勢の不安定化等、部品・原材料等の安定的な調達に影響を及ぼす事象は増加傾向にあるため、部品・原材料等を十分に確保できない場合、製品・サービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。富士通グループの調達部品等については、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初の見込みを上回り、製品・サービスの利益率の悪化や、値上げによる売上の減少が起きる可能性があります。また、購入品の不良を完全に防げない場合には、納期遅延や製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。 [対策]富士通グループでは、部品単位での製造拠点・お取引先の各対策状況調査や、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の働きかけ、支援の強化、及び適正な在庫の確保、調達のマルチソース化等をすることで、サプライチェーンの維持に努めるとともに、サステナビリティに関するお取引先の遵守事項を纏めた「富士通グループサステナブル調達指針」の働きかけ、お取引先の与信・コンプライアンス・情報セキュリティ対策などの状況を評価・確認する仕組みの導入により、サプライチェーンリスクの低減と、サプライチェーン全体のレジリエンス強化を図っております。また、購入品の品質については、お取引先との契約に条件を盛り込むなどにより、品質確保に努めております。 ②提携・アライアンス・技術供与に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等を通じて、多くの会社と協業を行っております。しかし、提携先の経営・財務状況やその他の要因により、協力関係を成立、または、継続できない場合や、想定した成果を十分に得られない場合があります。富士通グループの製品・サービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後、富士通グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられない場合には、富士通グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、業務提携、技術提携、合弁等で他社との関係を構築する際、厳格な社内プロセスを通してリスクを的確に認識・評価したうえで契約条件等へ反映するとともに、提携後も継続的なモニタリングを実施することで、富士通グループへの影響を最小限に抑えるよう努めております。 (14)投資判断・事業再編に関するリスク[リスクの概要と影響]富士通グループはICT業界における競争力の維持・強化のために研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等を継続的に実施しています。一方で、富士通グループが有望と判断した市場や技術、買収先事業が想定どおり成長しない場合や、需給悪化や価格下落が予想以上に早期に発生した場合には、投資から十分なリターンを得られず、富士通グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、投資判断及び事業再編にあたり、市場動向やお客様のニーズ、富士通グループの技術の優位性、富士通グループの事業ポートフォリオ等を勘案したうえで、投資効率を検証し、評価指標及びプロセスを明確化し、所要変動に応じて投資を複数段階に分けて実行するほか、お客様等と提携することで、リスクの低減を図っております。また、投資判断においては、企業買収を含む投資案件を専門的に支援する体制を整備するとともに、投資実行後のモニタリング体制を構築しています。 (15)公的規制・政策・税務に関するリスク[リスクの概要と影響] 富士通グループのグローバルビジネス展開において、各国・各地域の公的規制、政策、税務法制、運用等の影響を受けます。特に、事業展開する各国・各地域において、事業及び投資の許可、輸出入に関する制限等の規制に加えて、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けております。さらに、昨今の国際情勢は不透明かつ不安定な状況が続き、米国による関税措置等、各国・各地域の経済安全保障政策によるグローバルな企業活動への規制・制約は強化される傾向にあります。このような政策の変更や規制・制約の強化は、富士通グループが対象とするビジネス市場やサプライチェーン等に影響を及ぼし、対応コストの増加やビジネス機会の損失を招く可能性があります。また、強化された規制等への対応が不十分と判断された場合には、制裁金等の負担が発生する可能性があります。富士通グループがソリューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制の影響を受けやすい領域が含まれており、これらに関する規制の動向は富士通グループの事業活動に影響を与える可能性があります。 [対策]富士通グループでは、主要国政府関係者とのコミュニケーション体制を構築し、各省庁や業界団体等からの情報収集及び分析を行うことで、各国・各地域における規制や政策動向を継続して把握するとともに、政策動向や制度変更の兆候を早期に把握し、事業への影響を評価しています。また、経済安全保障分野においては、今後も規制・制約が厳しくなる方向であると捉えており、国内外の規制動向に加えて、政府・企業の動向を注視しながら、関係部門が連携して対応方針を検討・展開する体制を整備しております。 (16)人材に関するリスク[リスクの概要と影響] 富士通グループの成長と利益は、人材に大きく依存するため、経営者、優秀な高度専門技術者等、必要とする人材を採用及び育成するとともに、人材が継続して働くことができる環境を整備することが重要です。人材を採用または育成することができない場合、流出を防止できない場合や重大な労務問題が発生した場合は、富士通グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。[対策]富士通グループでは、マテリアリティの1つとして「人々のウェルビーイングの向上」を定め、社会のあらゆる人々のウェルビーイング向上に貢献するソリューションやサービスを提供するとともに、それを実現する社員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるよう、ウェルビーイング向上のための施策を積極的に展開しています。例えば、高度専門技術者に対する個別処遇やジョブ型人事制度の導入により、競争力ある処遇と役割設計を推進しています。また、ポスティング制度やリスキリングプログラムの拡充、オンデマンド型教育の導入などにより、自律的なキャリア形成(キャリアオーナーシップ)を後押しする施策を積極的に推進し、多様性やチャレンジを尊重する組織風土を醸成するための改革を進めています。Work Life Shiftの推進では、テレワーク勤務を基本としたフレックスタイム制や裁量労働制等の柔軟な勤務形態を積極的に活用することで、適切な労務管理を実現し、優秀な人材の確保と、その人材が活躍できる環境を整備しております。加えて、人材が最も重要な資本であると位置づけ、すべての従業員が心身ともに健康でいきいきと働くことができる環境づくりに向けて、従業員の健康維持・増進に積極的に取り組んでいます。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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