セイコーエプソン(6724)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】セイコーエプソンおよびセイコーエプソンの関係会社(以下「エプソン」という。)は、プリンティングソリューションズ事業、ビジュアルコミュニケーション事業およびマニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業などに係る各製品の開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を主な事業としております。エプソンでは、事業部制による世界連結マネジメントのもと、開発活動については先行研究開発や製品開発を主にセイコーエプソン(本社研究開発部門および事業部研究開発部門)で行い、生産活動および販売活動については国内外の製造・販売関係会社を中心に展開しております。各事業の内容と事業に携わる主要な関係会社は、次のとおりです。なお、エプソンの報告セグメントは、「プリンティングソリューションズ事業」、「ビジュアルコミュニケーション事業」および「マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業」の三つとしております。各報告セグメントは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。 (プリンティングソリューションズ事業セグメント)当セグメントは、オフィス・ホームプリンティング事業、商業・産業プリンティング事業から構成されており、独自のマイクロピエゾ技術のほか、ドライファイバーテクノロジーなどの強みを生かし、各製品の開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を行っております。各事業の主な内容は、次のとおりです。 <オフィス・ホームプリンティング事業>当事業では、オフィス・ホーム向けのインクジェットプリンター、シリアルインパクトドットマトリクスプリンター、カラーイメージスキャナー、乾式オフィス製紙機、およびこれらの消耗品などを取り扱っております。 <商業・産業プリンティング事業>当事業では、商業・産業向けのインクジェットプリンター、インクジェットプリントヘッド、POSシステム関連製品、ラベルプリンター、およびこれらの消耗品、デジタル印刷ソフトウエアソリューションなどを取り扱っております。 なお、前記各事業に携わる主要な関係会社は、次のとおりです。事業領域主要製品等主要な関係会社製造会社販売会社オフィス・ホームプリンティング事業オフィス・ホーム用インクジェットプリンター、シリアルインパクトドットマトリクスプリンター、カラーイメージスキャナー、乾式オフィス製紙機、およびこれらの消耗品 等東北エプソン㈱秋田エプソン㈱Epson Portland Inc.Epson do Brasil Industria e Comercio Ltda.Epson Telford Ltd.Epson Como Printing Technologies S.r.l.Epson Engineering (Shenzhen) Ltd.Tianjin Epson Co., Ltd.PT. Epson BatamPT. Indonesia Epson IndustryEpson Precision (Philippines), Inc.エプソン販売㈱Epson America, Inc.Epson do Brasil Industria e Comercio Ltda.Epson Europe B.V.Epson (U.K.) Ltd.Epson Deutschland GmbHEpson France S.A.S.Epson Italia S.p.A.Epson Como Printing Technologies S.r.l.Epson Iberica, S.A.U.Epson Middle East FZCOEpson (China) Co., Ltd.Epson Singapore Pte. Ltd.Epson Korea Co., Ltd.Epson Hong Kong Ltd.Epson Taiwan Technology & Trading Ltd.PT. Epson IndonesiaEpson (Thailand) Co., Ltd.Epson Philippines CorporationEpson Australia Pty. Ltd.Epson India Pvt. Ltd.商業・産業プリンティング事業商業・産業用インクジェットプリンター、インクジェットプリントヘッド、POSシステム関連製品、ラベルプリンター、およびこれらの消耗品、デジタル印刷ソフトウエアソリューション 等Fiery, LLC (ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)当セグメントは、独自のマイクロディスプレイ技術やプロジェクション技術などの強みを生かし、ビジネス・教育・ホーム・イベント向けなどの液晶プロジェクターのほか、スマートグラスなどの開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を行っております。なお、当事業に携わる主要な関係会社は、次のとおりです。事業領域主要製品等主要な関係会社製造会社販売会社ビジュアルコミュニケーション事業液晶プロジェクター、スマートグラス 等Epson Engineering (Shenzhen) Ltd.Epson Precision (Philippines), Inc.エプソン販売㈱Epson America, Inc.Epson do Brasil Industria e Comercio Ltda.Epson Europe B.V.Epson (U.K.) Ltd.Epson Deutschland GmbHEpson France S.A.S.Epson Italia S.p.A.Epson Iberica, S.A.U.Epson Middle East FZCOEpson (China) Co., Ltd.Epson Singapore Pte. Ltd.Epson Korea Co., Ltd.Epson Hong Kong Ltd.Epson Taiwan Technology & Trading Ltd.PT. Epson IndonesiaEpson (Thailand) Co., Ltd.Epson Philippines CorporationEpson Australia Pty. Ltd.Epson India Pvt. Ltd. (マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)当セグメントは、マニュファクチャリングソリューションズ事業、ウエアラブル機器事業、マイクロデバイス事業他、PC事業から構成されており、以下の各製品の開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を行っております。各事業の主な内容は、次のとおりです。 <マニュファクチャリングソリューションズ事業>当事業では、高度な精密メカトロニクス技術のほか、高精度のセンシング技術やソフトウエア技術などの強みを生かし、生産性を革新する産業用ロボットなどの開発、製造、販売などを行っております。 <ウエアラブル機器事業>当事業では、超微細・超精密加工技術や高密度実装技術のほか、高精度のセンシング技術などの強みを生かし、ウオッチ、ウオッチムーブメントなどの開発、製造、販売などを行っております。 <マイクロデバイス事業他>当事業では、小型化・高精度化や低消費電力を特長とする各種デバイスを取り扱うほか、グループ内各事業のニーズに対応したデバイスの開発および製造を行っております。また、金属粉末事業や表面処理加工事業を展開しております。[水晶デバイス]民生機器・車載・産業機器向けなどに水晶振動子、水晶発振器、水晶センサーなどを提供しております。[半導体]民生機器・車載向けなどにCMOS LSIなどを提供しております。[その他]電子部品などの原材料として使用されるさまざまな高機能金属粉末の開発、製造、販売などを行っております。また、幅広い産業分野向けに高付加価値の表面処理加工を提供しております。 <PC事業>当事業では、国内市場において子会社を通じてPCなどの販売を行っております。 なお、前記各事業に携わる主要な関係会社は、次のとおりです。事業領域主要製品等主要な関係会社製造会社販売会社マニュファクチャリングソリューションズ事業産業用ロボット 等Epson Engineering (Shenzhen) Ltd.エプソン販売㈱Epson America, Inc.Epson Deutschland GmbHEpson Italia S.p.A.Epson (China) Co., Ltd.Epson Korea Co., Ltd.Epson Hong Kong Ltd.Epson Taiwan Technology & Trading Ltd.ウエアラブル機器事業ウオッチ、ウオッチムーブメント 等秋田エプソン㈱Epson Precision (Thailand) Ltd.Epson Precision (Johor) Sdn. Bhd.エプソン販売㈱Epson Europe B.V.Epson (China) Co., Ltd.Epson Hong Kong Ltd.マイクロデバイス事業 他[水晶デバイス]水晶振動子、水晶発振器、水晶センサー 等宮崎エプソン㈱Epson Precision (Thailand) Ltd.Epson Precision Malaysia Sdn. Bhd.Epson America, Inc.Epson Europe Electronics GmbHEpson Singapore Pte. Ltd.Epson Korea Co., Ltd.Epson Hong Kong Ltd.Epson Taiwan Technology & Trading Ltd.[半導体]CMOS LSI 等東北エプソン㈱Singapore Epson Industrial Pte. Ltd.[その他]金属粉末、表面処理加工エプソンアトミックス㈱Singapore Epson Industrial Pte. Ltd.PC事業PC 等―エプソン販売㈱エプソンダイレクト㈱ 以上の事項を事業系統図によって示すと、おおむね次のとおりです。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。 (1)経営の基本方針エプソンのあらゆる企業活動の中心にはパーパスがあります。エプソンのパーパス「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」は、エプソンが社会に対してどのような価値を提供する存在であるかを定めるとともに、エプソンならではの存在意義と志を社内外に示したものです。そして、エプソンは、グループの価値観・行動様式を定めた「エプソンウェイ」の普遍的な考え方である経営理念を礎とし、ビジョンによりパーパスを実現することで社会へと新しい価値を提供します。これにより、将来にわたって持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。 (2)前長期ビジョン「Epson 25 Renewed」(2021年度-2025年度)の振り返り①主な成果「Epson 25 Renewed」ではビジョンステートメントを「『省・小・精の技術』とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する」と定めました。このビジョンステートメントのもと取り組みを進め、さまざまな成果がありました。 ●インクジェット技術による成長・中国市場の攻略などインクジェットヘッド外販事業が大幅に成長●新興市場でのビジネスが拡大・大容量インクタンクモデルの売上収益が大きく伸長・インドで製造拠点を開設●構造改革の進展・プロジェクター、ウエアラブルプロダクツの収益性が改善●将来成長に向けた投資・将来成長戦略に向けFieryを買収・ドバイに販売会社を新設、中東・アフリカ地域をさらに強化●先進的なサステナビリティ活動の推進・グローバル全拠点の100%再生可能エネルギー化を達成・サステナビリティに対する取り組みへの高い外部評価 ②財務目標「Epson 25 Renewed」では、2025年度の目標に対して、ROIC(※1)、ROE、ROSとも未達となりました。目標2025年度目標(※2)2025年度実績ROIC7.0%以上5.5%ROE8.0%以上2.2%ROS7.0%以上5.9%※1 税引後事業利益/(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債)※2 2024年4月更新 ③課題と対応「Epson 25 Renewed」では、大きく二つの課題が残りました。一つ目は、資本効率のさらなる改善です。コロナ禍を機に市場供給を優先したオペレーション体制としましたが、それ以降の市場変化に応じた対応が遅れ、資本効率が低下しました。さらに、物価上昇といったコスト上昇圧力等により収益が圧迫されました。二つ目は、成長領域の立ち上げが遅れました。外部環境変化もありましたが、成長期待領域への資源配分が十分でなく、成長も未達となりました。これらの課題も認識したうえで、新長期ビジョンを策定しました。 (3)新長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の考え方エプソンは、2026年3月に、2035年に向けた新たな長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」を策定しました。エプソンは、「省・小・精」の技術・思想を基盤として、精密技術と現場で培った知見を掛け合わせ、最適解を産業と社会に実装していくことを通して、「産業の生産性と信頼性を高め、持続可能な成長を実現すること」「学び・働き・暮らしに新たな価値を創出し可能性を広げていくこと」「人と地球がともに前に進み続けられるよう、社会価値と企業価値を同時に高めていくこと」を、「ENGINEERED FUTURE 2035」で目指す姿と定めています。また、「ENGINEERED FUTURE 2035」では、10年間を三つのPhaseに分けました。2026年度から2028年度までの中期経営計画をPhase 1と定め、成長に向けた事業基盤の変革を進めます。2029年度から2031年度はPhase 2として、Phase 1で構築した基盤をもとに成長モデルへの転換を加速し完了します。 2032年度から2035年度はPhase 3として、成長を生み続ける事業構造を確立します。 (4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題①中期経営計画骨子エプソンは、「Epson 25 Renewed」で顕在化した、資本効率の低下と成長領域への資源配分不足を優先的に対処すべき課題と認識しています。これらの課題に対して、Phase 1においては「収益基盤の変革」と「成長領域への資源集中投下」を実行します。それにより、2028年度までにROIC 8.0%の達成を目指します。 (収益基盤の変革)グローバルオペレーション改革による効率化と、地域戦略・収益モデルの変革を一体で推進します。効率化においては、本社・事業部における投資規律の強化、グローバルでのIT基盤共通化、主要海外製造拠点の間接費削減を進めるとともに、販売体制における人員最適化やバックオフィス機能の集約を推進します。さらに、需要予測・供給計画機能の強化および生産オペレーションの効率化を図り、在庫水準の適正化を進めます。これらの取り組みにより、固定費の圧縮を中心に3年間累計で260億円の収益改善効果を見込むとともに、棚卸資産回転率の約0.5回転の改善を目指すことを通じて、投下資本の圧縮につなげていきます。販売面においては、今後も伸長が見込まれる新興市場や成長余地が大きい国や地域へ積極的に投資を行うとともに、現地パートナーとの連携強化や拠点機能の拡充を図ります。加えて、業界ごとのニーズに最適なソリューション提供を強化していくとともに、継続的な収益が見込めるビジネスモデルを拡大し、収益モデルを変革します。 (成長領域への資源集中投下)成長領域を再定義し、事業セグメントの再編を行うことで、各事業の役割を明確化し、資本効率を重視した経営資源配分を推進します。具体的には、インクジェットソリューションズ事業、マイクロデバイス事業、エプソンアトミックス(微細合金粉末)事業を中核とする「プレシジョンイノベーションセグメント」を成長エンジンと位置付け、積極的な投資により競争優位性の強化と事業拡大を図ります。また、「インダストリアル&ロボティクスセグメント」はPhase 2での本格成長を見据えた戦略領域として位置付け、商業・産業プリンティング事業およびロボティクス事業において事業基盤の強化を進めます。一方、「オフィス・ホームプリンティングセグメント」および「ビジュアル&ライフスタイルセグメント」は、安定的な収益基盤として位置付け、効率化と収益性向上を通じて、成長領域への投資を支える役割を担います。 ②事業戦略<プレシジョンイノベーションセグメント>当セグメントは、Phase 1で特に売上・利益成長を期待している領域です。付加価値の高い産業用途の成長市場における事業群であり、プリントヘッドを中心としたインクジェットソリューションズ事業、タイミングデバイスを中心としたマイクロデバイス事業、微細合金粉末による高機能金属材料の開発、製造、販売を行うエプソンアトミックス事業から構成されます。インクジェットソリューションズ事業は、熱を使わず、材料を必要な場所に必要な量だけ正確に吐出できるエプソンのインクジェット技術であるマイクロピエゾによって、電子部品、太陽光発電装置、バイオなどの幅広い産業プロセスを変革できるポテンシャルがあると認識しています。さらに、ハードウェアとしてのプリントヘッドの提供のみならず、長年の商品開発のなかで培った駆動制御、インク、画像処理といった周辺技術もソリューションとして提供することができます。また、応用領域を拡大するため、自社の取り組みに加えて、出資や共同開発なども積極的に活用することでさらなる成長を目指します。マイクロデバイス事業は、AIや自動運転などのモビリティを中心として大容量・高速演算、高速通信の需要の急速な進展に伴い、大きな機会が生まれています。エプソンは、水晶の製造技術と半導体のロジック設計を組み合わせた高精度なタイミングデバイスを作り出せる強みを持っています。そのため、高精度・低消費電力・小型化をすべて統合設計して実現し、技術進化をさせることが可能です。こうした特徴を生かして市場開拓を進めていきます。 <インダストリアル&ロボティクスセグメント>当セグメントは、競争優位にある商業・産業印刷やロボティクス応用をさらに強化し、需要創出も自らしながら、Phase 2に向かってさらなる成長を期待する領域です。商業・産業プリンティング事業は、完成品として高生産機を中心にラインアップを充実させるとともに、ソリューション提供の強化により、お客様のアナログ印刷からデジタル印刷への転換を後押ししていきます。ロボティクス事業は、エプソンの強みであるセンシングと制御技術に加え新たにAI技術なども統合することで、製造業種にとどまらずさまざまなサービス領域や省人化需要に対して、長くお使いいただけるビジネスモデルを提供します。こうした活動のなかでお客様との緊密な関係を作り上げ、将来の成長につながる事業基盤を形成していきます。 <オフィス・ホームプリンティングセグメント>当セグメントは、効率的な事業オペレーションを追求しながら、安定収益基盤としてエプソンの成長セグメントへの投資を支える領域です。また、当セグメントは、エプソンに大きな三つの強み・資産をもたらしています。・全世界の市場稼働台数をベースにしたB2C、B2Bのお客様基盤・新興市場での成長とエプソンブランドへの信頼・高い生産能力を背景にしたグローバルサプライチェーンの競争力オフィス・ホームIJP事業は、大容量インクタンクモデルを中心としてインクジェットの応用により新たな市場を作り上げた実績をベースに、オフィスや特定用途向けにおいてもインクジェットへの転換を着実に進めています。また、成長余地が大きい国や地域への展開を継続して、新興市場では市場伸長率以上の成長を目指し、シェアを高めていきます。さらに、こうした販売力に加え、現地での企画設計力、ソリューション提案力を磨き、継続的な需要充足のためのビジネスモデルを提供していきます。 <ビジュアル&ライフスタイルセグメント>当セグメントは、独自性の高い技術を生かした収益基盤としての領域です。ビジュアルプロダクツ事業は、市場そのものの成長課題はありますが、教育やプロジェクションマッピングや没入感のある体験などプロジェクション技術が必要とされる領域にさらに特化して需要を開拓することで、高い市場シェアを維持することを目指します。さらに、構造改革を完遂させることで、これまで以上に安定的に利益を創出していきます。ウエアラブルプロダクツ事業はエプソンにとって大切な祖業としての位置付けです。独自性の高い技術力を生かした商品力・ものづくりを磨き上げるとともに、オペレーションを効率化し収益性を向上させていきます。 ③財務目標エプソンは、Phase 1で掲げた事業基盤の変革という目的を踏まえ、2028年度の目標を次のとおりといたします。 目標2025年度実績2028年度目標売上収益14,133億円15,000億円ROIC5.5%8.0%ROE2.2%10.0%ROS5.9%8.0%産業領域事業利益構成比(※3)45%60%※3 4事業セグメント利益合算値に占める同領域の構成比 ④キャッシュ・アロケーションエプソンは、財務健全性を維持しながら成長投資と株主還元を両立させていきます。2026年度から2028年度までの3年間で営業活動によるキャッシュ・フローは約5,600億円(※4)を見込みます。その原資を、戦略投資も含め、プレシジョンイノベーションセグメントやインダストリアル&ロボティクスセグメントといった成長領域へ積極的に投下します。株主還元については、DOE(株主資本配当率)3%を配当の下限とします。また、今後3年間で合計800億円の自己株式の取得を予定しており、積極的な還元を図ります。 ■中期経営計画Phase 1キャッシュ・アロケーション※4 研究開発費控除前 (5)「環境ビジョン2050」の考え方エプソンは、以下のとおり持続可能な社会の前提である環境への取り組みに関するビジョン「環境ビジョン2050」を策定し、2050年に達成する目標と、その実現に向けた取り組みを定めています。 項目内容ビジョンステートメント2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(※5)消費ゼロ」を達成し、持続可能でこころ豊かな社会を実現する達成目標2030年:1.5℃シナリオ(※6)に沿った総排出量削減2050年:「カーボンマイナス」、「地下資源(※5)消費ゼロ」アクション●商品・サービスやサプライチェーンにおける環境負荷の低減●オープンで独創的なイノベーションによる循環型経済の牽引と産業構造の革新●国際的な環境保全活動への貢献※5 原油、金属などの枯渇性資源※6 SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)のクライテリアに基づく科学的な知見と整合した温室 効果ガスの削減目標
事業等のリスク
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは次のとおりです。これらのリスクについては、リスク要因になる可能性があると考えられる事項を記載していますが、すべてのリスクを網羅したものではなく、有価証券報告書提出日現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、今後、エプソンの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、エプソンは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針ですが、係る施策等が成功する保証はなく、効果的に対応できない場合には、エプソンの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてエプソンが判断したものです。 (1)リスク管理体制エプソンは、「内部統制システムの基本方針」に基づき、子会社を含むグループ全体のリスク管理の総括責任者を社長とし、グループ共通のリスク管理については本社主管部門が各事業部門および子会社と協働してグローバルに推進し、各事業固有のリスク管理については事業部長が担当事業に関する子会社を含めて推進する体制としています。リスク管理統括部門は、グループ全体のリスク管理全般をモニタリングおよび是正・調整し、リスク管理活動の実効性を確保しています。これらのリスク管理体制は、エプソングループリスク管理基本規程で定めています。贈収賄・腐敗行為・カルテル等の不正行為に加え、情報の透明性、知的財産の保護、公正な競争、内部通報者の保護、責任ある鉱物調達、プライバシー保護等、RBA(Responsible Business Alliance)行動規範に基づく幅広い倫理的リスクを重要な経営課題と認識しています。これらのリスクは、内部統制フレームワーク「COSO(※1)」やリスクマネジメント国際規格「ISO 31000」を参考にしたリスク評価により優先度を定め、エプソングループオペレーションに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「全社重要リスク」、事業オペレーションに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「事業重要リスク」、また子会社オペレーションに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「子会社重要リスク」として特定しています。その特定した重要リスクに対し、制御計画の立案・実行と進捗状況のモニタリングを定期的に行っています。制御活動の有効性については、「全社重要リスク」は四半期ごとに、「事業重要リスク」「子会社重要リスク」は半期ごとに定期評価を実行していることに加え、常にリスク環境のモニタリングに努め、重大化しうる変化を認識した場合には、リスクを分析・評価し、必要に応じて重要リスクとして扱うよう制御計画を見直し、実効性の確保に努めています。また、社長はリスク管理に関する重要事項を半期ごとに取締役会に報告しています。さらには、株主、顧客、従業員、取引先、地域社会、環境等、グループ内外の多様なステークホルダーに対して説明責任を果たすとともに、リスク管理の透明性と実効性の向上に継続的に取り組んでいます。※1 Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission :ビジネスの倫理観を高め、内部統制を実施し、企業統治等を目的とした組織委員会 ■ リスク管理体制 ■ 重要リスクの選定 ■ 重要リスク制御活動の管理サイクル (2)事業等のリスク①プリンターの売上変動による経営成績等への影響について2026年3月期におけるプリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益1兆295億円は、エプソンの連結売上収益1兆4,133億円の約7割を占めており、そのなかでもオフィス・ホーム市場向けのほか、商業・産業向けのインクジェットプリンターを中心とする各種プリンターと、これらの消耗品が売上収益および利益の多くを占めています。従って、これらのプリンターおよび消耗品の売上収益が変動した場合には、エプソンの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ②他社との競合について(販売における影響)エプソンの主力製品であるプリンターやプロジェクターをはじめとする製品全般について、他社との競合の激化により、販売価格の低下や低価格品への需要のシフトおよび販売数量の減少等の影響を受けることがあります。エプソンでは、これらの状況に対して、各市場での顧客ニーズに対応した製品や高付加価値製品およびサービスの提供に取り組むとともに、設計・開発の効率化やコストダウン等により製造コストの削減に努め、係る販売価格の低下や低価格品への需要のシフトおよび販売数量の減少等に対処していく方針です。しかしながら、今後、これらの施策が成功する保証はなく、エプソンが係る販売価格の低下等に効果的に対応できない場合には、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 (テクノロジーにおける影響)エプソンの販売する一部の製品については、他社のテクノロジーと競合しており、例えば、次のような事例があります。・インクジェットプリンターにおけるエプソンのマイクロピエゾ方式(※2)と他社のサーマルインクジェット方式(※3)との競合・プロジェクターにおけるエプソンの3LCD(三板透過型液晶)方式(※4)と他社のDLP方式(※5)等との競合ならびにエプソンのプロジェクターと他社のFPD(フラットパネルディスプレイ)(※6)との競合エプソンは、これらのエプソンの製品において採用している方式について、現時点では競合他社の方式に対する技術的な競争優位性があると考えていますが、消費者によるエプソンの技術に対する評価が変化した場合や、エプソンの技術と競合するほかの革新的な技術が出現した場合等には、エプソンの技術的な競争優位性が損なわれ、エプソンの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。※2 マイクロピエゾ方式とは、ピエゾと呼ぶ圧電素子を伸縮させて、インク滴をノズルから噴射させるエプソン独自のインクジェット技術をいいます。※3 サーマルインクジェット方式とは、インクに熱を加えることで発生する気泡の圧力により、インク滴を噴射する技術をいいます。なお、バブルジェット方式といわれることもあります。※4 3LCD(三板透過型液晶)方式とは、ライトバルブに高温ポリシリコンTFT液晶パネルを用いる方式であり、光源から出射された光を特殊な鏡を使って赤・緑・青の3原色に分離し、各色専用のLCDで映像をつくった後、無駄なく再合成し投影します。※5 DLP方式とは、表示デバイスにDMD(Digital Micromirror Device)を用いる方式です。DMDとは、ミクロンサイズの微極小な鏡が多数並んだ半導体で、一つの鏡が1画素に対応し光源からの光を反射することで映像を投影します。なお、DLPおよびDMDは、米国テキサス・インスツルメンツ社の登録商標です。※6 FPDとは、薄型・平坦な画面の薄型映像表示装置の総称です。 (新たな競合の発生)エプソンは、現在、高度な技術力、豊富な資金力または強固な財務基盤を有する大企業あるいは市場における認知度、供給力または価格競争力を有する国内外の企業との間で競合関係にありますが、これらに加え、将来、ほかの企業が、ブランド力、技術力、資金調達力、マーケティング力、販売力および低コストの生産能力等を生かしてエプソンの事業領域へ新規参入してくる可能性もあります。 ③経営環境の急激な変化等についてエプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」のもと、各戦略等に基づく諸施策を展開しており、技術的な競争優位性を確立することが競争力を高めるために重要な要素であると考えています。創業当時からの独自の強みである「省・小・精」の技術を源泉とする「マイクロピエゾ」「マイクロディスプレイ」「センシング」「ロボティクス」等の独自のコア技術とデジタル技術等の製品技術およびこれらを支える基盤技術を進化させることにより、顧客ニーズに対応した製品の開発・製造・販売およびサービスの提供を行っています。エプソンが経営資源を集中しているこれらの事業領域における製品の属する市場は、一般的に技術革新の速度が速いとともに製品ライフサイクルが短く、また、世界景気の変動やデジタル化の進展等に伴うエプソンの主要市場における需要・投資動向が、エプソンの製品の販売に影響を及ぼす可能性があるほか、現在推進している長期ビジョンや事業戦略およびこれらで定められた各種の施策が必ずしも実現または成功する保証はありません。このような事業環境のもと、エプソンでは、引き続き各市場や顧客のニーズの把握に努め、製品市場予測による中・長期的な研究開発や投資を行うほか、開発・設計のプラットフォーム化等により、既存製品から新製品への迅速かつ円滑な移行等にも取り組んでいく方針です。しかしながら、今後、市場でのニーズや技術革新の変化に適切に対応できない場合、他社との競争が激化した場合、景気後退等により需要が回復しない場合および主要市場における急激な需要変動に適切に対応できない場合等には、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ④第三者によるインクジェットプリンター用消耗品の販売についてインクジェットプリンターの主な消耗品であるインクカートリッジ等は、エプソンの売上収益および利益にとって重要なものとなっています。インクカートリッジ等のインクジェットプリンター用消耗品については、第三者によりエプソンのプリンター向けに供給される製品が存在しています。これらの第三者による製品は、一般的にエプソンの純正品よりも廉価で販売されており、また、先進国市場と比較して新興国市場においてより流通している状況にあります。エプソンは、こうした第三者によるインクジェットプリンター用消耗品の販売について、純正品としての高い品質の訴求のほか、大容量インクタンクを搭載したモデルの販売等、各市場における顧客ニーズに的確に対応したインクジェットプリンターを提供し、顧客の利便性をさらに高めることにより、引き続きお客様価値の実現を図っていく方針です。また、エプソンが保有するインクカートリッジに関する特許権および商標権の侵害に対しては、適宜、法的措置を講じていく方針です。しかしながら、これらの施策が必ずしも有効である保証はなく、将来において第三者による製品の販売が拡大し、純正品のシェア低下に伴う販売数量の減少や、これに対応するための販売価格の引下げ等により、インクカートリッジ等の売上収益および利益が減少した場合には、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤海外での事業展開についてエプソンは、グローバルに事業を展開しており、2026年3月期の連結売上収益のうち8割以上は海外における売上収益が占めています。エプソンは、中国、インドネシア、シンガポール、マレーシアおよびフィリピン等のアジア地域をはじめ、アメリカやイギリス等にも生産拠点を有し、販売会社も世界各地域に設立しています。また、2026年3月末における海外従業員数はエプソンの全従業員数の7割以上を占めています。エプソンでは、こうしたグローバルな事業展開は地域ごとの市場ニーズを的確に捉えたマーケティング活動を可能とし、また、製造コストの削減およびリードタイムの短縮によるコスト競争力の確保等、事業上の多くのメリットがあると考えています。一方で、海外における製造・販売に関しては、各国政府の製造・販売に関する諸法令・規制、社会・政治および経済状況の変化、輸送の遅延、電力・通信等のインフラの障害、為替制限、熟練労働力の不足、地域的な労働環境の変化、各国における税制改正および税務当局による税務執行の不確実性、保護貿易諸規制、各種地政学的リスク、そのほかエプソンの製品の輸出入に対する諸法令・規制等、海外事業展開に不可避のリスクがあります。 ⑥特定の仕入先からの部品等の調達についてエプソンは、第三者から一部の部品等を調達していますが、一般的に長期仕入契約を締結することなく継続的な取引関係を維持しています。また、エプソンは、部品等に関して複数社からの調達を原則としていますが、特定の部品等については、他社からの代替調達が困難であるため、1社のみからの調達となる場合があります。エプソンでは、品質の維持・改善やコスト低減活動等に調達先と共同で取り組むこと等により、安定的かつ効率的な調達活動を展開していく方針ですが、仮にこれらの調達先からの供給の不足や供給された部品等の品質不良等により、製造・販売活動に支障をきたした場合には、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦品質問題についてエプソンの製品保証の有無および内容は顧客との個別の契約により異なります。エプソンの製品に不良品または規格に適合しないものがあった場合には、エプソンは当該製品の無償での交換または修理等、不良品を補償するコストを負担し、また、当該製品が人的被害または物的損害を生じさせた場合には、製造物責任等の責任を負う可能性があります。このほか、エプソンの製品の性能に関し適切な表示または説明がなされなかったことを理由として、顧客等に対し責任を負う場合や、改良のためのコストが発生する可能性があります。さらに、エプソンの製品にこのような品質問題が発生した場合には、エプソンの製品への信頼性を損ない、顧客の喪失または当該製品への需要の減少等により、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧知的財産権についてエプソンにとって、特許権およびそのほかの知的財産権は競争力維持のために非常に重要です。エプソンは、自らが必要とする多くの技術を自社開発してきており、それを国内外において特許権、商標権およびそのほかの知的財産権として、あるいは他社と契約を締結することにより、製品および技術上の知的財産権を設定し保持しています。また、知的財産権の管理業務に人員を重点的に配置し、知的財産権の強化を図っています。しかしながら、次に想定されるような知的財産権に関する問題が発生した場合には、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。・エプソンが保有する知的財産権に対して異議申し立てや無効請求等がなされる可能性、その結果、当該知的財産権が無効と認められる可能性・第三者間での合併または買収の結果、従来、エプソンがライセンスを付与していない第三者がライセンスを保有し、その結果、エプソンが知的財産権の競争優位性を失う可能性・第三者との合併または買収の結果、従来、エプソンの事業に課せられなかった新たな制約が課せられる可能性およびこれらを解決するために支出を強いられる可能性・エプソンが保有する知的財産権が競争優位性をもたらさない、またはその知的財産権を有効に行使できない可能性・エプソンまたはその顧客が第三者から知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多くの時間とコストを費やし、または経営資源等の集中が妨げられることになる可能性・第三者からの侵害の主張が認められた場合に多額の賠償金やロイヤリティの支払い、該当技術の使用差し止め等の損害が発生する可能性・エプソンの従業員等により発明等に対する報酬に関する訴訟が提起され、その解決のために多くの時間とコストを強いられる可能性、その結果、多額の報酬の支払いが決定される可能性 ⑨環境問題についてエプソンは、国内外において製造過程で発生する廃棄物および大気中への排出物等について、さまざまな環境規制に対応した活動が求められています。さらに、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にて採択されたパリ協定により、世界的な気候変動への対応に関心が高まるなか、企業としてもより高い削減目標を掲げて取り組む必要性が増しています。係る状況のもと、エプソンは、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(※7)消費ゼロ」の達成を目指す「環境ビジョン2050」に基づき、環境負荷を低減した製品の開発・製造、環境技術の開発、使用エネルギー量の削減、使用済み製品の回収・リサイクル・再生利用の推進、国際的な化学物質規制(主に欧州のRoHS指令やREACH規則)への対応および環境管理システムの改善等、多くの側面から環境保全活動に取り組んでいます。GHGの排出削減目標に関しては、2050年のネットゼロ目標とその達成に向けた2030年の総排出量削減目標についてSBTi(Science Based Targets initiative)の承認を受けるとともに、再生可能エネルギー100%活用の維持や省エネ活動等、中長期に向けた削減活動を推進しています。こうした活動の結果、エプソンのGHG排出量は着実に減少しています。詳細な数値は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動(TCFD) ④ 指標及び目標」をご参照ください。なお、2021年11月に完了した国内拠点の再生可能エネルギー転換の維持に加え、2023年12月海外拠点の転換完了により、以降の電力起因によるスコープ2排出量はゼロとなります。エプソンでは、これまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において環境問題が発生し、損害の賠償や浄化等の費用負担、罰金または生産中止等の影響を受ける可能性、あるいは新しい規制が施行され多額の費用負担が必要となるリスクがあり、このような事態が実現した場合には、エプソンの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。※7 原油・金属等の枯渇性資源 ⑩人材の確保についてエプソンの高度な新技術・新製品の開発・製造には、国内外における優秀な人材の確保が重要ですが、これらの人材の獲得競争は激しいものとなっています。エプソンは、役割に基づいた処遇制度の導入、人材育成、ダイバーシティの取り組み、働き方改革と健康経営の推進および現地人材の積極的な登用等により、多様な人材がその能力を発揮できる風土づくりや働きやすい環境づくりを推進し優秀な人材の確保に努めていますが、仮にこれらの人材を十分に採用または雇用し続けることができない場合や、技術等の継承が適切にできない場合には、エプソンの事業計画の遂行等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪為替変動についてエプソンの売上収益の相当部分は、米ドルおよびユーロ等の外貨建てとなっています。エプソンは、海外調達の拡大および生産拠点の海外移転等を進めたことにより、現状、米ドル建ての費用は米ドル建ての売上収益を上回る状況となっていますが、一方でユーロ建ての売上収益は依然としてユーロ建ての費用よりもかなり多い状況にあります。また、これら以外の外国通貨についても、全般的に売上収益が費用をかなり上回っています。エプソンは、為替変動リスクをヘッジするために為替予約取引等を行っていますが、米ドル、ユーロおよびこれら以外の外国通貨の日本円に対する為替変動は、エプソンの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑫年金制度についてエプソンの設けている確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度および退職一時金制度があります。エプソンは、確定給付型の退職年金制度について、年金資産の運用収益率の低下や受給権者の増加といった状況を踏まえ、今後の環境変化に適応するとともに、将来にわたり安定的に維持運営することを目的として2014年4月に制度改定を実施しましたが、年金資産の運用成績の変動および退職給付債務の数理計算の基礎となる割引率の見積り数値の変動等が発生した場合には、エプソンの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑬法規制および関係当局等による調査についてエプソンは、グローバルに事業を展開しており、各国・各地域および各事業におけるさまざまな法規制や関係当局等による調査の対象になる場合があります。例えば、エプソンは、現在、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律等、国内外の独占禁止法令に基づく手続の対象となっているほか、今後、公的機関等を含む新規顧客への営業活動の強化にあたり、これらの活動に関係する各種の法規制やコンプライアンス(法令遵守)への対応が一層求められることがあります。このような状況を踏まえ、エプソンでは従来、コンプライアンスを重要な経営方針の一つとして位置付け、適宜、未然防止・制御活動(RBA(Responsible Business Alliance)加盟による労働者保護や環境保全活動のさらなる促進を含む)を展開していますが、今後も海外の競争法関係当局が特定の業界等を対象に調査または情報収集を行うことがあり、その一環としてエプソンも市場状況および販売方法一般に関する調査等を受けることがあります。また、腐敗防止法規制、広告・表示規制、個人情報保護・プライバシー規制のほか、安全保障貿易管理等において、関係法令等への抵触またはそのおそれが生じることや、より厳格な法規制の導入や関係当局による法令運用の強化が行われることがあります。これらの関連法規の違反があった場合や関係当局による調査・手続が実施された場合には、エプソンの販売活動に支障が生じ、またはエプソンの社会的信用を損なうこと、もしくは多額の制裁金が課されることがあるほか、事業活動に制約が生じるおそれがあるとともに、係る法規制を遵守するための費用が増加すること等により、エプソンの経営成績や今後の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。有価証券報告書提出日現在、エプソンに対する法規制等に基づく調査は、次のとおりです。フランスにおいて販売されるインクジェットプリンター製品に関し、2017年に同国の消費者団体による消費者保護法に基づく申し立てがなされ、当局による調査が開始されています。なお、同消費者団体が主張するような製品の寿命を短くしているという意図はなく、エプソンは、今後とも品質や環境を重視し、お客様のニーズに合わせた設計をしてまいります。現時点において係る調査の進展、結果および終結の時期ならびにそのエプソンの経営成績および今後の事業展開等への影響を予測することは困難です。 ⑭重要な訴訟についてエプソンは、各事業セグメント等に関する各製品の開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を主な事業として、国内外においてさまざまな事業活動を展開しています。その事業の特性上、知的財産権、製造物責任、独占禁止法、環境規制等に関連して訴訟が提起される場合や、法的手続が開始される可能性があります。有価証券報告書提出日現在、エプソンに係争している重要な訴訟は、次のとおりです。セイコーエプソンの連結子会社であるEpson Europe B.V.(以下「EEB」という。)は、2010年にベルギーにおける著作権料徴収団体であるLa SCRL REPROBEL(以下「REPROBEL」という。)に対して、マルチファンクションプリンターに関する著作権料の返還等を求める民事訴訟を提起しました。その後、REPROBELがEEBを提訴したことにより、これら二つの訴訟は併合され、係る訴訟の第1審ではEEBの主張を棄却する判決がなされましたが、EEBはこれを不服として上訴する方針です。現時点において上記の訴訟の結果および終結の時期を予測することは困難ですが、訴訟または法的手続の結果によっては、エプソンの経営成績や今後の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑮財務報告に関する内部統制についてエプソンは、財務報告の信頼性に関する内部統制の構築および運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組んでいます。しかしながら、常に有効な内部統制システムを構築および運用できる保証はなく、また、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合や、財務報告に関する内部統制の不備または開示すべき重要な不備が発生した場合には、エプソンの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 ⑯他社との提携についてエプソンは、事業戦略の選択肢の一つとして、他社と業務提携等を行うことがあります。しかしながら、当事者間における提携等の見直しに伴い、提携関係が解消される可能性があるほか、提携内容の一部変更が行われる可能性があります。また、提携等による事業戦略が必ずしも想定どおり成功し、エプソンの経営成績等に寄与する保証はありません。 ⑰自然災害・感染症等についてエプソンは、研究開発、調達、製造、物流、販売およびサービスの拠点を世界に展開していますが、これらの地域において予測不可能な自然災害、新興感染症の流行、調達先罹災によるサプライチェーン上の混乱、戦争・テロ等が発生した場合には、エプソンの経営成績や事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。これらのうち、特にエプソンの主要な事業拠点が所在する長野県中部は、糸魚川静岡構造線に沿った活断層帯がある等、地震発生リスクが比較的高い地域であるため、エプソンでは、設備の耐震構造強化のほか、防災訓練等の地震防災計画やBCP(事業継続計画)の策定等により、係る災害に伴う影響の軽減に向けた対応を可能な範囲において行っています。また、BCPを適切に維持・改善するためのサプライチェーンBCM(事業継続マネジメント)を推進しています。しかしながら、長野県中部に大規模な地震が発生した場合には、これらの施策にも関わらず、エプソンが受ける影響は甚大なものになる可能性があります。なお、エプソンは、地震により発生する損害に対しては地震保険を付保しているものの、その補償範囲は限定されています。 ⑱情報セキュリティーについてエプソンでは、情報システムにおいてネットワークの利用範囲の拡大や利用頻度の増加が続いており、その重要性が増しています。また、グローバルな事業活動を通じて顧客の個人情報や取引先の機密データを扱っています。セキュリティー上の脅威が年々増しているなか、コンピュータウイルスの感染、顧客データの漏洩、社内重要基幹システムの障害発生、サイバー攻撃、AIの誤用に起因する情報漏洩・第三者の権利侵害、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)における風評被害等が発生した場合には、エプソンの経営成績や事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。これに対しエプソンでは、全従業員に情報セキュリティー教育を実施しているほか、サイバーセキュリティー対策に関する方針を定めたグランドデザインを策定・制定し、各種施策を実施し対策を講じています。また、グローバルでのセキュリティー事故への対応体制の確立、サイバーセキュリティー対策についての対応計画の策定と対策の実施、製品セキュリティーの強化等に取り組んでいく方針です。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー