横河電機(6841)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


横河電機(6841)の株価チャート 横河電機(6841)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 横河電機グループ(横河電機及び横河電機の関係会社)は、横河電機㈱(横河電機)、子会社125社及び関連会社3社により構成されています。横河電機グループの事業内容及び横河電機と関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりです。

 

(1)制御事業

 提供するソリューション及び主要な製品は、プラントの現場から経営レベルまでライフサイクルにわたりお客様価値を最大化する総合的ソリューション、生産性向上のための各種ソフトウエア、生産制御システム、流量計、差圧・圧力伝送器、プロセス分析計、プログラマブルコントローラ、工業用記録計、共焦点スキャナ等です。

 横河マニュファクチャリング㈱、Yokogawa Electric Asia Pte.Ltd.、横河電機(蘇州)有限公司等が製造したものを、日本国内につきましては主に横河ソリューションサービス㈱が、海外につきましては、主にYokogawa Engineering Asia Pte. Ltd.等が東南アジア各地にて、Yokogawa Europe B.V.等が欧州各地にて、Yokogawa Corporation of America等が北米にて、Yokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)等が中東及びアフリカ各地にて、横河電機(中国)有限公司等が中国にて、それぞれ販売、エンジニアリングサービス及びアフターサービスを行っています。共焦点スキャナ等については主に横河マニュファクチャリング㈱等が製造し、横河電機㈱が販売及びアフターサービスを行っています。

 

(2)測定器事業

主要な製品は波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器等です。

 波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器については、横河マニュファクチャリング㈱等が製造したものを、日本国内につきましては主に横河計測㈱が、海外につきましては、主にYokogawa Engineering Asia Pte. Ltd.等が東南アジア各地にて、Yokogawa Europe B.V.等が欧州各地にて、Yokogawa Corporation of America等が北米にて、横河測量技術(上海)有限公司が中国にて、それぞれ販売及びアフターサービスを行っています。

 

(3)新事業他

 主に、産業用IoT(IIoT)のハードウエア、ソフトウエア、クラウド環境を提供するソリューションビジネス等を行っています。その他、横河パイオニックス㈱が不動産関連事業を行っています。

 

 

事業系統図

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

 

 

 

 (注)上図の関係会社のうち、名称の表記されている会社は、すべて連結子会社です。

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

横河電機グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において横河電機グループが判断したものであります。

 

 横河電機グループは、2021年度に社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するために、長期経営構想の抜本的な見直しとともに中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023(AG2023)」を発表し、2030年のYOKOGAWAのありたい姿の実現に向けて、2023年度までの3年間、社会共通課題を軸とした事業構造を確立するための取り組みを進めてきました。

 現在の長期経営構想は、AG2023策定時に抜本的に見直したものであり、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。」とその実現に向けての方向性を示しています。今回は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、2024年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定しました。GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。

 

(1) 経営の基本方針

横河電機グループは、YOKOGAWAのIdentityを以下のとおり整理しました。創業の精神と、それを受け継いだ企業理念は、社会におけるYOKOGAWAの在り方を示すものです。Vision statementは、2030年を見据えてYOKOGAWAが何をしていくかを示し、共有する価値観は行動をするうえでの指針を示しています。Yokogawa’s Purposeは、それら全てを踏まえ、YOKOGAWAが存在する意義を、意思を込めたコミットメント(公約)として示しています。

[創業の精神]

創業にあたり、横河民輔は、日本の計測業界の先駆者として歩み始めた横河一郎(後の初代社長)と青木晋(後の初代技師長)に、「君たちは、この仕事でもうけようなどと考える必要はない。それよりもまず、技術を覚え、技術をみがくことだ。横河電機の製品はさすがに良い、といわれるようにしてもらいたい」と語りました。この言葉は創業の精神として今日まで受け継がれています。

[企業理念]

創業の精神を受け継ぎ1988年に制定された企業理念は、社会に向けてのYOKOGAWAの使命とYOKOGAWA人の価値基準や行動指針を表した、YOKOGAWAの決意表明です。

[Yokogawa’s Purpose]

お客様、市場、社会からの要望や期待に応えるYOKOGAWAのコミットメントであり、社会に存在することの意義を表したものです。同時に組織としての求心力を高め、グループ全社員の変革への志を喚起します。

 

[共有する価値観]

企業文化や風土を醸成し継承していくうえで、YOKOGAWA社員一人ひとりが「大切にすべき」行動の指針と意志をより具体的に示したものです。共有する価値観に根差した行動は新たな価値の創造を実現し、他社との差別化力、競争力をもって社会に貢献し続けるための原動力となります。

[Vision statement]

2030年を見据えた長期経営構想で描くYOKOGAWAのありたい姿、企業としての理想を端的に示したものです。

 

(2) 中長期的な経営戦略

長期経営構想と中期経営計画の全体像

 

[長期経営構想]

<Vision statement>

 YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、

 社会課題の解決をリードしていきます。

<お客様への提供価値>

 世界は今、あらゆるものが複雑につながり合う時代となっています。運用や管理に独立性のあるシステムが連携し、相乗効果と新しい価値をもたらしていく「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界において、横河電機は、効果的な「つながり」を進め、統合化・自律化・デジタル化による「全体最適」の価値を生み出していきます。横河電機は「IA2IA※1」と「Smart Manufacturing※2」によるアプローチでこれを実現し、社会全体が「SoS」となる世界をリードしていきます。

(※1) IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy)

 AI、デジタルツイン、ロボティックスなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)技術を取り込み、Industrial Automation(自動)からIndustrial Autonomy(自律)へと進化させる活動です。

(※2) Smart Manufacturing

 DX(デジタルトランスフォーメーション)やIA2IAによって生産現場、エンタープライズ、及びサプライチェーンにおける自律を実現し、革新的な生産性向上を達成することです。

[中期経営計画 「Growth for Sustainability 2028(GS2028)」]

 GS2028は、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」というYokogawa’s Purposeを起点としており、Yokogawa’s Purposeのもと、中期経営計画の目標達成に向けた「価値創造プロセス」を以下のように定義しました。

 「永年培ってきた、OT(運用技術、Operational Technology)領域におけるお客様起点の課題解決をやり遂げる力と信頼を裏付けとし、人的資本やDXを実現する技術などの基盤を活性化することで、SoS型ビジネスなどにて、より多様かつ高い顧客価値を共創する。その過程を通じて強化したお客様との信頼関係・ノウハウ・人的資本等の経営資本を活用して、事業施策を達成する。」

YOKOGAWAの価値創造プロセス

 

 長期経営構想で定めた2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」の実現と、上記価値創造プロセスを実現するために、2028年度までの5年間で取り組むべきこととして、4つの基本戦略を策定しました。それぞれの基本戦略の概要は以下のとおりです。

 

「Growth for Sustainability 2028」の4つの基本戦略

 

1.System of Systemsの信頼されるパートナーとしての価値提供

 SoSを通じた価値提供を行うため、YOKOGAWAはIA2IAとSmart Manufacturingという2つの側面からアプローチを行います。数多くの製造現場で培ったノウハウ、経験、高度な技術力を活用し、戦略的なコンサルティングとシームレスなインテグレーションという価値を提供することで実現していきます。

 

2.業種対応力の強化と特定業種へ依存しないビジネスの拡大

 さらなる生産の効率化と生産の安定化を追求しているお客様に対応するため、YOKOGAWAはIT/OTの融合を通して業種対応力の強化を図るとともに、品質管理や設備管理といった、業種に関わらない共通の課題を解決するビジネスの拡大にGS2028においても取り組んでいきます。YOKOGAWAが強みをもつフィールド機器や制御システムのレベルから、MESやERPといった上位レイヤーのシステムまでをターゲットに、ソリューションの幅を広げ、お客様のDXをサポートしていきます。

 また、事業環境や市場ニーズの変化に対応するため事業内容を変更するお客様のサポートができるように、ソリューションを充実させていきます。

 

3.無形資本の活用・育成による価値創造

 YOKOGAWAは、人的資本、知的資本、社会・関係資本の3つの活用に注力していきます。これら無形資本には、「価値創造力」、「共感力」、「課題発見力」、「ステークホルダーをつなぐ力」というYOKOGAWAが長年培ってきた見えない強みがあり、これらを成長に生かします。

 

4.経営・事業基盤の強化

 価値創造プロセスを支える経営・事業基盤の強化に取り組みます。

・全社収益性の向上:戦略的リソースの捻出と配分、オペレーションの最適化と、経営基盤の最適化を図ります。

・DX戦略:Internal DXではグローバルなIT基盤のもとで、お客様、パートナー、社員の視点に立って、それぞれの体験価値を向上させるDX施策を進めていきます。External DXではOT分野で培ってきたノウハウを、Yokogawa Cloudのもとで、積極的にアプリケーション化、サービス化し、整備を進め、リカーリングのビジネスモデルへの変革を目指します。

・ガバナンスの強化:監査役会設置会社から、指名委員会等設置会社に移行します。監督と執行の役割分担を明確化し、意思決定プロセスの効率化、経営判断と事業計画の達成に対する責任の明確化、監査機能の強化、効率化を図ります。

 

<資本政策・財務戦略>

 「Growth for Sustainability 2028」では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。

 

[初年度からの3年間 2024年度~2026年度]

成長投資枠

M&A・アライアンス:1,000億円以上

・成長戦略の実現に向けた投資を加速・拡大

・エネルギー/資源の課題対応、DX/OT(Operational technology)データ活用への貢献、業種拡大の加速等を目的

株主還元

安定的・継続的な増配

・配当性向30%以上の確保に努める

・一時的要因での業績悪化時も株主資本配当率を考慮し、安定的な配当を維持

・自己株取得についても、財務状況等を踏まえ柔軟に検討

前提条件:格付けA格維持可能な株主資本水準を確保

 

 

 

中期経営計画「Growth for Sustainability 2028」についての詳細は、横河電機ウェブサイト

https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/

をご参照ください。

 

 

 

(3) 経営環境

横河電機グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、2023年度のセグメント別売上高比率は制御事業約93%、測定器事業約6%、新事業他約1%となっています。

主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、アップストリーム、ダウンストリームを中心に、中東、中国、アセアン諸国などの資源国や新興国で高いシェアを有しています。なお、2023年度の海外売上高比率は約74%となっています。現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があることも特徴です。豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。

2030年を見据えた事業環境のメガトレンドは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で、大きく変化していくと想定しています。Politicsでは、自国主義や法規制の強まり、Economyでは、資源の枯渇や食料・水の不足、Societyでは、高齢化、都市化や気候変動、Technologyでは、AI、IoT、5G、バイオテクノロジーの進歩など、さまざまな変化が予想されます。このような中で、横河電機グループのお客様は、プロセスの変革、持続可能な未来を意識したビジネスモデルへのシフトを進めており、かつ、安全安心、セキュリティなどの観点から人の介在を減らすことの重要性も認識されています。主力事業の制御事業におけるProcess Automation業界では、既存製品の市場が成熟し、ハードウエアのコモディティ化が進んでいると同時に、MES(Manufacturing execution system)やセキュリティ関連のソフトウエア、センサの市場は成長し、サブスクリプションなど新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。また、横河電機グループの成長の糧であるオイル&ガスなどのハイドロカーボン系エネルギーの需要はその社会的役割・位置づけからも急激には失われないと考えられますが、エネルギー活用の多様化、環境規制対応などへの世界的な再生可能エネルギー活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)への世界的な要求も高まってきています。

このように大きく変化する事業環境において、横河電機グループは、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿として定めたサステナビリティ目標「Three Goals」の「脱炭素社会(Net-zero emission)」「循環社会(Circular economy)」「人の命と健康に対する要求の高まり(Well-being)」が事業機会になると捉えています。長期経営構想でも示した通り、「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界の中で、統合化・自律化・デジタル化により複雑につながり合う社会システム全体を効果的に結びつけ、横河電機グループが先駆者として「全体最適」の価値を生み出すことで、3つの事業機会をしっかりと捉え、私たち自身が変革しながら、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。グローバルの競合のみならずIT企業との競合が激化するなど、事業環境は厳しさが増している中で、これまで蓄積・獲得してきた戦略的なコンサルティングとシームレスなシステムインテグレーション(SI)能力を、お客様への提供価値としてさらに昇華させ、社会全体がSoSとなる世界における信頼されるパートナーとなることを目指します。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

[中期経営計画「Accelerate Growth 2023」で目指した経営目標]

横河電機グループは、2021年度に社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するために、長期経営構想の抜本的な見直しとともに中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023(AG2023)」を発表し、2030年のYOKOGAWAのありたい姿の実現に向けて、2023年度までの3年間、社会共通課題を軸とした事業構造を確立するための取り組みを進めてきました。この間、COVID-19感染拡大やロシア・ウクライナ情勢などの影響を受け、また、これらを背景とした生産部品やプロジェクト調達品の調達難に見舞われるなど横河電機グループを取り巻く事業環境は激しく変化しましたが、AG2023の最終年度となる2023年度までには、堅調なエネルギー需要を受けたお客様投資の増加や調達環境の改善、値上げ施策の効果などにより、AG2023で達成を目指した経営指標の数値目標は、為替変動による業績の押上効果を考慮しても、概ね達成することができました。

■AG2023で達成を目指した経営指標・目標値

ROS:売上高営業利益率/EPS:1株当たり当期純利益/ROE:自己資本利益率

 

[資本政策・財務戦略]

「Accelerate Growth 2023」では、持続的な企業価値及びTotal Shareholders Return(TSR:株主総利回り)の向上を実現するために、成長を支える財務基盤の維持、成長投資、株主還元への最適なキャッシュフロー配分を行いながら、将来的かつ累積的なキャッシュフロー創出力を強化すべく、以下の資本政策・財務戦略を掲げました。

● 資本性成長投資(戦略投資)枠を3年間累計で700億円とします。リスク総量、自己資本増減、及びリスク投資実行に伴うリスク量の増加想定を織り込んだ上で最適資本構成を維持します。

● 株主還元方針(利益処分に関する基本方針)は、中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資に優先的に配分していくものの、一定の財務基盤の確保を前提に、積極的な配当による株主還元の向上を図るものです。配当性向による期間利益の一定比率を還元する考え方に加え、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持の考え方を維持します。

上記の目標に対して、営業キャッシュフローの創出は、目標を上回る結果となりましたが、M&A・アライアンス等の成長投資枠700億円については、中長期的な企業価値の向上に向けて、着実に成長投資を実施してきたものの、その額は約250億円となりました。製品ポートフォリオ拡充やSmart Manufacturingの提案力強化のための買収、新事業領域でのパートナーとの新会社の設立などを進めることができたことに加え、複数の企業との協業をスタートさせました。しかしながら、早期にM&Aの効果を創出すること、シナジーを最大化していくこと、そして全社の事業ポートフォリオを見直し効率的なM&Aを実行していくことは、今後も取り組むべき課題です。

AG2023期間中に行った、主なM&A・アライアンスの実績は以下のとおりです。

[買収]

・Insilico Biotechnology AG(2021年、ドイツ)

・PXiSE Energy Solutions LLC (2021年、アメリカ)

・Dublix Technology ApS(2022年、デンマーク)

・Votiva Singapore Pte. Ltd.(2022年、シンガポール)

・Fluence Analytics, Inc. (2023年、アメリカ)

・Adept Fluidyne Pvt. Ltd.(2024年、インド)

[その他]

・合弁会社として、シンクレスト株式会社設立(2023年、日本)

・9件の資本参加を実施

 

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

横河電機グループは、2021年度に社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するために、長期経営構想の抜本的な見直しとともに中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023(AG2023)」を発表し、2030年のYOKOGAWAのありたい姿の実現に向けて、2023年度までの3年間、社会共通課題を軸とした事業構造を確立するための取り組みを進めてきました。この間、COVID-19感染拡大やロシア・ウクライナ情勢などの影響を受け、また、これらを背景とした生産部品やプロジェクト調達品の調達難に見舞われるなど横河電機グループを取り巻く事業環境は激しく変化しましたが、AG2023の最終年度となる2023年度までには、堅調なエネルギー需要を受けたお客様投資の増加や調達環境の改善、値上げ施策の効果などにより、AG2023で達成を目指した経営指標の数値目標は、為替変動による業績の押上効果を考慮しても、概ね達成することができました。

現在の長期経営構想は、AG2023策定時に抜本的に見直したものであり、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。」とその実現に向けての方向性を示しています。今回は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、2024年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定しました。GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。

   長期経営構想及びGS2028で達成を目指す経営目標

1.長期経営構想で目指すサステナビリティ目標(2030年度)

2.GS2028で目指す事業成長・財務目標(2024年度~2028年度)

 

 

長期経営構想及び中期経営計画についての詳細は、横河電機ウェブサイト

https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/

をご参照ください。

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

<リスク管理体制>

 横河電機ではグループにおける効果的なリスク管理を実現するため、リスク管理の統括責任をもつ代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。気候変動を含めた外部環境、戦略、品質、環境、安全衛生、危機管理、企業倫理などのグループの企業価値に影響をあたえる不確実性をリスクと定義し、「外部環境」「戦略」「オペレーション」の観点で分類・管理しています。毎年、グループ各社においてそれぞれのリスクや対策等を洗い出すとともに、経営戦略や経営課題、外部のリスク環境なども踏まえ、リスク管理委員会が重点的に管理すべきリスク(重点管理リスク)を選定しています。その選定にあたっては、リスクの重大度を、影響度及び発生可能性の面から評価しています。影響度の評価では、財務的・人的側面のほか、社会・環境面での影響も(外部機関を通じて得られた外部環境分析結果を含め)考慮しています。重点管理リスクは経営会議で決定し、取締役会に報告しています。

また、内部監査担当部署は、グループのリスク管理プロセスの有効性を評価し、重要な事項は取締役会及び監査役に年に2回報告しています。

 なお、リスクの状況により、必要に応じて代表取締役社長を委員長とする危機管理委員会を開催し対応する体制を採っています。

 

 重点管理リスクについては、対策内容や対策の進捗について四半期ごとに確認するとともに、リスク管理委員会でリスクの状況を評価し、その内容を取締役会に報告しています。また、対策の見直しや改善点の洗い出しを実施し、残余リスクを考慮し、翌年の重点管理リスクの選定に反映させています。

 また、個社においては、洗い出したリスクに対して自律的にPDCAサイクルを回し、リスク管理を行っています。

 なお、2024年6月18日開催の第148回定時株主総会における定款一部変更の承認をもって、指名委員会等設置会社に移行したことに伴い、リスク管理委員会は代表執行役社長の諮問機関へ変更する予定です。変更以降は、重点管理リスクの決定はリスク管理員会で審議のうえ決定し、取締役会へ報告します。また、リスク管理委員会で評価した重点管理リスクの状況等も引き続き、取締役会へ報告していく予定です。

<事業等のリスク>

 横河電機グループ事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しています。

 横河電機グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、横河電機の有価証券に関する投資判断は本項以外の記載内容とあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

 なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在時点において横河電機グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 外部環境に関するリスク

(社会情勢等に係るもの)

 横河電機グループの活動範囲は日本国内のみならず世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等の外部環境変化は、横河電機グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるとともに、業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。

 

  ・各国の政治的または経済的要因

  ・租税や通商制限の影響

  ・各国の商慣習の違い

  ・自然災害(地震、火災、洪水・津波等)、感染症、ストライキ、その他の要因による 社会的混乱

  ・横河電機製品・サービス及び社内インフラへのサイバー攻撃

  ・環境保護を含め、各国規制・制裁・特許などの把握不全ならびに新たな法・規制改正

  ・地政学(戦争、暴動、テロ、主要国間の対立等)による各国の経済制裁措置

 

 これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部機関との契約等を通じ、その予防・回避・影響の低減に努めています。

 

(為替・金利・株価変動に係るもの)

 横河電機グループは、グローバルに事業を展開しており、事業上の取引や事業活動におけるコストとして多数の通貨を使用しています。為替レートの変動に対応するため、為替予約契約の締結等を行っていますが、急激または大幅に変動するリスクがあり、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 横河電機グループが保有する資産及び負債にかかる金利の変動は利息の増減や資産等の価値に影響を与えるリスクがあり、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 横河電機グループが保有している株式等は価格が変動するリスクがあり、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 戦略に関するリスク

(市場・競合環境に係るもの)

 ① コスト競争力

 積極的な事業展開を進める中で、新設や近代化などプロジェクト案件での競争は激化しており、コスト低減要求が益々強まると同時に、資源国・新興国において自国優先的な姿勢が強まり、製品生産や雇用および役務を含む調達の現地化要求が高まっています。コスト競争力強化に取り組んでいますが、これら市場の要求する製品やサービス及び販管費を含めたコスト低減要求に効果的に対応できない場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合は、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ② デジタル技術の利活用による競争力優位性の確立

 デジタル技術を活用したバリューチェーンおよびライフサイクル全般にわたるビジネスプロセスでの飛躍的な生産性向上の実現に対する要求が高まっており、これにビジネスとして応え、競争力優位性を確立していく必要があります。横河電機グループはこれを事業成長の機会と捉え、自社はもちろんのことお客様を中心に幅広い領域でのデジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造の実現に取り組んでいます。新技術に追随できない場合や、これら市場の要求に十分に対応できない場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ③ 市場ニーズに合わせたビジネスモデル変革の実現

 社会の変化、技術革新などにより、新たなビジネスモデルが数多く創造されている中で、横河電機グループのお客様においても、サブスクリプション型ビジネスなど、初期導入コストの低減や導入後の運用・保守の柔軟性に対する要求が大きくなっています。横河電機グループとしても成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスの実現に取組むなどビジネスモデル変革を進めています。今後も多様な変化を見せる新たな市場ニーズに十分に応えられない場合や、横河電機グループの取組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合は、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ④ 気候変動への取り組みによる市場環境の変化

 気候変動への取組みに対する社会の要求が増大しており、横河電機グループのお客様の戦略にも影響を与える可能性があります。主要なお客様であるエネルギー関連における長期的視点でのエネルギーシフト等、お客様は環境変化に対する取り組みの検討を進めていると認識しています。横河電機グループは、このような変化を事業機会と捉え、市場環境の変化への対応を進めていますが、そのようなお客様の変化に対応できない場合や、横河電機グループの取組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会損失や企業価値低下につながるリスクがあります。このような場合は、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(戦略投資に係るもの)

 横河電機グループは、主に新事業・新分野への進出に対する戦略的成長投資を重点的に強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行っています。案件の発掘から投資に至るプロセスの確実な実行と評価・検証精度の向上、投資後の迅速なビジネス立上げに万全の体制で臨んでいます。また、それを支える人財の育成・活用にも取り組んでいます。しかしながら、予期せぬ環境変化等によって想定した成果があがらないリスクがあります。また、取得した資産や機会を十分に活用できない場合も含め投資後のビジネスが迅速に立ち上がらず、想定した成果をあげられないリスクがあります。このような場合は、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(研究開発に係るもの)

 横河電機グループは、計測・制御・情報の基礎研究、先端技術及びIIoTやAI等のデジタル技術開発をもっとも重要な経営課題として位置づけ、将来を見据えた新技術開発を継続的に推進しています。また国際規格や国際標準の変化に適応し、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けた取組みを強化しています。しかし、研究・開発投資が将来市場のニーズや目標に予定通り適合しないリスクがあります。このような場合は、ビジネス機会損失により横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、競争力を維持するための製品技術やサービス革新の研究開発投資も継続的に行っていますが、成長可能性を持った製品やサービス分野の市場動向の把握ができなかった場合、研究開発投資が成功しないリスクがあります。加えて、市場に合致しても研究開発投資が革新的な技術を生み出さない、または想定した成果をあげられないリスク、及び競合他社に技術開発を先行されてしまうリスクがあります。このような場合は、ビジネス機会損失により横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(人財の確保・育成に係るもの)

 横河電機グループの成長の源泉は、最先端の技術を支える人財や、高い品質を支える技能者等の有能な人財によって支えられています。特に、ソリューション提案能力を持つ人財、プロジェクトマネジメント能力とエンジニアリング能力を持つ人財、また、AI、デジタル技術、横河電機が進めている新規事業に関する技術と知見を有する人財の重要性が高まっています。横河電機グループではグローバルに人財採用、採用した人財の教育と訓練による育成を継続していますが、将来において必要人財の確保や育成が計画通り達成できないリスクがあります。このような場合は、横河電機グループの効果的な事業運営に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(人権に係るもの)

 横河電機グループは、人権尊重についてその方針を定めるとともに国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、ここで謳われている人権の方針と国際的な人権規範を尊重しながらその取組みを進めています。サプライチェーンにおける人権への取組みについても、強制労働・非人道的な扱い・児童労働・差別の禁止、適切な賃金、労働時間の法令順守や従業員の団結権についての指針を示し、国際的に求められている人権を支持して人権尊重に取り組んでいますが、予期せぬ事態により横河電機グループで人権問題が発生した場合、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(保有資産の価値低下に係るもの)

 横河電機グループが保有している事業資産について、時価下落及び収益性低下等に伴い資産価値が低下するリスクがあります。このような場合は、減損損失が発生するなど、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) オペレーションに関するリスク

(製品の品質・供給に係るもの)

 横河電機グループは、長年にわたる技術及びノウハウの蓄積と厳格な品質管理体制の展開により、お客様に対して高い信頼性を備えた製品及びサービスを提供していますが、横河電機グループの製品あるいはサービスに欠陥が内在する、また、その欠陥に起因して損害が発生するリスクがあります。このような場合には、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があるとともに、横河電機グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があります。

 また、主要な電子部品等の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期等の管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進めるなど、リスクの低減に取り組んでいますが、外部環境変化に起因するサプライチェーンの混乱により電子部品等の調達や重要製品の製造が困難な状況となった場合、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあります。このような場合、横河電機グループの生産活動をはじめとする事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(プロジェクトマネジメントに係るもの)

 横河電機グループの事業において、特に製品・エンジニアリング・ソリューション・サービス・他社製品を一括してお客様に提供する形態であるプロジェクト型のビジネスでは、プロジェクトマネジメントの確実な実行が求められます。受注に至る過程での採算見積りや納期までの採算管理の精度の向上、生産・品質管理の徹底など、不採算案件の発生を防止する取組みを行っていますが、想定した見積りからの乖離や、採算・生産・品質等の管理において問題が発生した場合、サプライチェーンの混乱により製品の調達や供給が困難となった場合、予期せぬ原価の発生や納期遅延等に伴う賠償責任を課されるリスクがあります。このような場合は、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(知的財産権に係るもの)

 横河電機グループは、自社製品及びサービスの開発の中で知的財産権の保護と他社の権利の侵害防止に万全な管理体制を展開していますが、横河電機グループの知的財産権が第三者から侵害を受け、期待した収益が得られない場合及び見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされた場合は、重要な技術が使用できない不利益に加え、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(情報セキュリティに係るもの)

 横河電機グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあります。横河電機グループでは、これらの情報管理に関する管理体制と教育、システムのセキュリティ対策を展開していますが、予期せぬ事態(サイバー攻撃を含む)により情報が流出した場合、また、それを悪用された場合には、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、横河電機グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

事業等のリスクやサステナビリティ全般に関するリスク管理に関連するもののうち、特に重要な「気候変動への取り組み」、「TCFDへの賛同」、「人権尊重」についての考え方や取り組みは、サステナビリティレポート及びYOKOGAWAレポートにその詳細を掲載しています。

サステナビリティレポート: https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/report/

YOKOGAWAレポート    : https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/shiryo/annual-ja/

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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