アズビル(6845)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 azbilグループは、アズビルと子会社39社及び関連会社1社により構成され、人々の安心、快適、達成感と地球環境への貢献を目指す「人を中心としたオートメーション」を追求し、建物市場でビルディングオートメーション(BA)事業を、工業市場でアドバンスオートメーション(AA)事業を、ライフラインや生活に密着した市場において、ライフオートメーション(LA)事業を展開しております。その事業内容は、以下のとおりであります。BA事業では、ビルディングオートメーションシステム、セキュリティシステムから、アプリケーションソフト、コントローラ、バルブ、センサまでのフルラインナップを自社にて開発、製造し、また計装設計から販売、エンジニアリング、サービス、省エネソリューション、設備の運営管理までを一貫した体制で提供し、独自の環境制御技術で、快適で効率の良い執務・生産空間の創造と、環境負荷低減に貢献する事業を展開しております。AA事業では、石油、化学、鉄鋼、紙パルプ等の素材産業や、自動車、電気・電子、半導体、食品等の加工・組立産業の課題解決に向け、装置や設備の最適運用をライフサイクルで支援する製品やソリューション、計装・エンジニアリング、保守サービスを提供し、先進的な計測制御技術を発展させ、安全で人の能力を発揮できる生産現場の実現を目指すとともに、お客様との協働により新たな価値を創造する事業を展開しております。また、LA事業では、建物市場や工業市場で永年培った計測・制御・計量の技術を、ガス・水道等のライフライン、生活の場に提供し、人々の安全と快適な暮らしに貢献する事業を展開しております。 事業内容及びazbilグループの当該事業に係る位置付け並びにセグメントとの関連は、次のとおりであります。セグメントの名称主 要 製 品主 要 会 社ビルディングオートメーション事業室内用温湿度センサ、天井用温度センサ、室内用温湿度調節器、赤外線アレイセンサ、WP(ワークプレース)センサ、デジタル設定器、マルチエリア対応ユーザターミナル、統合型ユーザターミナル、ビルディングオートメーションシステム、入退室管理システム、非接触ICカードリーダ、空調設備用コントローラ、熱源設備用コントローラ、吹出口ダンパ、流量計測制御機能付電動二方弁 等アズビルアズビルベトナムプロダクション㈲アドバンスオートメーション事業調節弁、グラフィカル調節計、デジタルマスフローコントローラ、計装ネットワークモジュール、差圧・圧力発信器、電磁流量計、スマート・バルブ・ポジショナ、協調オートメーションシステム、プロセス・コントローラ、アジャスタブル近接センサ、光電スイッチ、アドバンストUVセンサ、リミットスイッチ、熱式微小液体流量計、重要プロセス変数変動監視システム、オンライン異常予兆検知システム 等アズビルアズビルトレーディング㈱アズビルノースアメリカ㈱アズビルプロダクションタイランド㈱アズビル機器(大連)有限公司ライフオートメーション事業クラウドサービス、超音波ガスメーター、膜式スマートメーター、マイコンメーター(普及型)、高圧ガバナ、電池電磁™水道メーター、電子式水道メーター、超音波式水道スマートメーター、全館空調システム、全館空気清浄換気システム 等アズビルアズビル金門㈱ その他保険代理業 ソフトウエア開発業務等 (注)上記の4区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 [事業系統図] 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、azbilグループが判断したものであります。(1)経営方針 azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、事業拡大を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献により、継続的な企業価値の向上を図り、社会と社員のWell-beingを実現し、あらゆるステークホルダーと信頼関係を構築してまいりたいと考えております。 2026年5月、アズビルグループの社会に対する提供価値や存在意義を示すものとして、私たちがステークホルダーに共有すべきパーパスを「人と社会の可能性を、技術で解き放つ。」と定めました。人と社会が潜在的に有する多くの可能性を、オートメーションを含む幅広い技術で解き放つことで、“効率から創造へ。不可能を可能へ。”と、お客様の現場での新しい価値創造に繋げていくことを本パーパスで表しています。また、人と社会の可能性を解き放つという表現は、「人を中心としたオートメーション」というアズビルのグループ理念に加え、「人間の苦役からの解放」を目指してきた創業者の想いも込められています。あわせて、本パーパスの追求を通じて、アズビルグループが実現したい具体的な理想像及び目標として、10年後の将来、我々がなりたい将来像を目指す姿として定めました。azbil Group Wayグループの未来に向けて想いを一つにする共通の価値観ブランドステートメント さらにこのパーパス及び目指す姿の実現に向けたアズビルグループの決意を端的に表現するものとして、ブランドステートメントに「Engineering the Impossible」を掲げました。アズビルグループは、技術による革新と新たな可能性の解放、そして、目指す姿に掲げる“不可能を可能へ。”の実現に向け、力強く未来志向の経営を推進してまいります。 (2)目標とする経営指標等 アズビルグループは、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定したうえで段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取組みを行っております。株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、2030年度をゴールとする長期目標※1において、売上高4,200億円、営業利益650億円、営業利益率15.5%、ROE15%を目標としております。この長期目標達成に向け、2027年度を最終年度とする3ヵ年の現中期経営計画(2025~2027年度)※1では、最終年度の売上高3,400億円、営業利益510億円、営業利益率15.0%、ROE14%を達成することを目標としております。 また、ダブルマテリアリティ(環境・社会が企業に与える財務的な影響と、企業活動が環境・社会に与える影響という2つの側面から重要性を評価する考え方)を取り入れ、長期にわたり取り組む重点課題として5分野10項目のマテリアリティを特定しています。これらのマテリアリティに基づき、事業や企業活動に関する7つの項目については、SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)の領域において目標を「azbilグループSDGs目標」として具体的に定めるとともに、企業が社会に存立するうえで果たさなければならない基本的責務である3つの項目については、CSR活動において具体的な目標を定めております。なお、現在、経営環境の変化やパーパスを制定したことを踏まえて、取締役会での議論も経てマテリアリティの見直しの検討を進めています。このようなSDGs及びCSR活動における各目標の達成に向けて様々な取組みを行うことにより、アズビルグループの「サステナビリティ経営」の推進を通じ、持続的な成長を目指してまいります。 ※1 2025年5月13日、長期目標(2030年度)を見直し、中期経営計画(2025~2027年度)を公表いたしました。これらの目標値は、策定時点における日本基準に基づき算定しております。なお、2027年度の計画値については、現時点で変更はいたしませんが、中期経営計画の進捗状況に加えて、現状の不透明な情勢が見通せるようになった段階で見直しを検討いたします。 (3)経営戦略等 2025年度から始まった現中期経営計画は、2030年度の長期目標を見据えた第二期間であるとともに、2026年に迎える創業120周年を超えて、“持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献”に向けた進化、共創を実現する計画と位置付けております。 その初年度である2025年度は、生成AIをはじめとする技術革新やインフレ、地政学的リスクの高まりなどにより、事業環境の変化が激しい一年となりました。このような環境下、アズビルグループは、こうした変化に着実に対応するとともに、価格転嫁を含む収益力強化、業務効率化を推進することで、事業基盤の強化を図ってきました。この結果、営業利益は過去最高益を更新しました。 2026年に入り、中東情勢(米国・イラン間の緊張を含む)の緊迫化を背景に、資源価格、物流、調達面等において、一部で事業環境への影響が顕在化しています。こうした地政学的リスクは不確実性が高く、エネルギー価格の動向等を通じて業績に影響を与える可能性がありますが、アズビルグループでは、状況を注視しながら適切な情勢対応とリスク管理を行い、事業運営への影響を最小限に抑えるべく対応していきます。 azbilグループは今後とも、技術革新及び社会環境の変化に伴う新たな社会課題解決を事業機会と捉え、人的資本強化、商品力強化、DX推進等の投資を着実に実行していきます。アズビルグループの特長である、長年にわたって構築した幅広い顧客基盤(工場・プラント、商業ビル、ライフライン等)との強い関係に基づく「基盤事業」と、半導体等の技術革新やカーボンニュートラルのような社会課題対応を新たな事業機会と捉えた「成長事業」の両輪のサイクルを回す、azbilグループらしい事業モデルを推進しています。 また、基盤事業を中心に、お客様の現場のライフサイクル全体(新設から改修、メンテナンスまで)を支えるビジネスを「ストック事業」として展開しています。ストック事業は、すでに納入した製品を起点としたビジネスであり、グループ全体での収益性の持続的な向上に貢献しております。今後も、「成長事業」・「基盤事業」のサイクルによる成長に加え、「ストック事業」を一層強化することで、不透明な環境下においても売上、利益面での持続的な成長を実現してまいります。 (4)対処すべき課題① 国内事業 ビルディングオートメーション(BA)事業は、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移することが今後も見込まれます。こうした好調な事業環境を踏まえ、今後も人員を含めたリソースの適切な配置、負荷平準化及びDX推進による効率化等を継続するとともに、AIやクラウド等の技術活用を志向するお客様のニーズや、需要が拡大するデータセンター市場への対応を重要な課題と捉え、ソリューション力の強化に取り組んでいきます。そのために、2025年12月には株式会社DATAFLUCTと資本業務提携契約を締結し、AI技術を活用した、より高付加価値な建物運用向けサービスの実現を目指しております。 また、省エネ・CO2排出量削減対策の具体的な取組み事例としては、アズビルと株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービスが、地方独立行政法人広島市立病院機構による「広島市立広島市民病院設備改修PFI事業(ESCO事業※2)」の公募にて、最優秀事業者に選定された事例が挙げられます。病院施設を対象とする官民連携の大規模ESCO事業であり、持続可能な地域医療体制の実現に向けて2026年10月より15年間の省エネルギー保証サービスを開始する予定です。地元企業との協力や雇用の創出等、地域密着型の事業展開で、広島市民病院の医療サービスの維持及び地球環境の負荷低減を目指しています。 ▲広島市立広島市民病院設備改修PFI事業(ESCO事業) スキーム アドバンスオートメーション(AA)事業では、景気の循環による変動影響はあるものの、脱炭素化、サーキュラーエコノミー、生産高度化、安全・安定操業、人手不足対応等の要望に対して、計測・制御分野を中心に貢献できる領域は大きく、更なる事業領域の拡大と事業成長が期待できると考えています。成長戦略として、新たな計測・制御技術需要に対して、MEMS※3センサや自動調節弁関連技術、プラント自律化等のアズビルグループ独自の技術を活用したソリューションを「シン・オートメーション」と定義し、その創造による事業拡大を進めてまいります。あわせて、原価低減、販売価格適正化等の各種収益力強化施策をCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位でのオペレーションを通じて着実に実行してまいります。 シン・オートメーション領域におけるプラント自律化の商品として、AIを活用した最適生産計画立案システム「VIRTUAL PLANNER™ PP」の販売を開始しました。VIRTUAL PLANNER PPは、強化学習によりAIが最適な生産計画を短時間で立案し、生産中の状況変化に応じて自動で計画を見直し、再立案を行うシステムで、生産の高度化とともに多様な働き方を推進、生産計画担当者の負担を軽減しWell-beingの向上にも寄与します。 ▲AI最適生産計画立案システム VIRTUAL PLANNER PPの機能 ライフオートメーション(LA)事業では、ライフライン分野において、主体であるガス・水道メーターの安定した需要を基に、超音波メーターのような新製品の投入や価格転嫁等を通じて収益性の改善に努めています。さらに、ガス・水道メーターのスマート化と、これに通信とクラウドシステムを融合したSmart Metering as a Service (SMaaSTM※4) 事業を推進しています。また、住宅用全館空調システム分野では、既設建物や小規模建物まで、対象建物の拡大により収益性を向上し、長期的にはサービスエンジニアリング力にIoT技術をプラスして現場対応力を強化し、お客様の健康で快適な暮らしに省エネを加えた快適住空間プロバイダーへ事業の拡大を目指します。 新しい水道スマートメーターの商品としては、Kamstrup社(本社:デンマーク)と「次世代超音波式水道スマートメーター」の日本市場における協業を開始しました。同メーターの国内展開、及びスマートメーターで収集したノイズデータを利活用した漏水検知クラウドサービスにより、水道インフラの効率的な維持管理に対する社会的ニーズに応える事業開発を進めてまいります。 ※2 ESCO(Energy Service Company)事業:工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金を顧客が負担し、ESCO事業者が省エネ保証を行う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が資金提供を行い、顧客が省エネ効果を含めたサービス料を支払う「シェアード・セイビングス契約」という2つの契約形態がある。※3 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器。※4 SMaaS(Smart Metering as a Service):従来のメーターの計測機能に加え、データを活用し新たな付加価値をサービスとして提供する事業モデル。 ② 海外事業 アズビルが策定した現中期経営計画において、飛躍的な成長を目指す海外事業については、これまでに構築・蓄積したお客様との信頼関係を基盤に、積極的な事業拡大を図ってまいります。あわせて、地域特性を踏まえた事業推進及び管理体制の強化を進めることで、海外事業の成長を一層加速してまいります。 BA事業では、アジア地域での都市化の進展が継続し、建物市場を中心にオフィスのグレードアップが進むことが見込まれています。国内事業モデルでの強みである省エネルギーのアプリケーション技術、エンジニアリング、サービス力を活用した製品・サービスの提供を推進していきます。特に、成長が期待されるデータセンター市場においては、2025年9月、マレーシアのジョホール州に子会社を設立し、同地区で建設が活況であるデータセンターや、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)における新築建物を重点対象として、アズビルシステムの導入案件獲得を加速するとともに、稼働後の保守・メンテナンス契約をセットで提案することで、ライフサイクルを通じた受注拡大を図ります。 また、AA事業では、中長期的な視点で循環的な景気変動はあるものの、グローバルでの経済成長の継続、更なる生産性改善の要求、設備老朽化への対応、環境規制の拡大、新技術の活用に対する期待等を背景とした生産設備の自動化投資は引き続き拡大が見込まれています。そのような状況下において、脱炭素社会へ向けた産業構造の転換を見据え、新市場向けの拡張製品開発や異常予兆検知・AI設備診断等、シン・オートメーション領域の開拓を進めていきます。2025年10月には国際標準規格IEC60534※5に準拠した新しい調節弁「6000シリーズ」を販売開始しました。継続してグローバル市場における競争力の強化に努めてまいります。▲調整弁「6000シリーズ」 以上のような国内外の事業軸の取組みに加えて、技術探索及び新技術の獲得、事業基盤の強化と事業領域の拡大を目指し、バイオエコノミー実現に向けたバイオ生産次世代化プロジェクト「メトリクスMATSURI」に参画しました。計測と制御を基盤とした「進化」と「共創」を通じてバイオエコノミーを推進し、バイオものづくりにおける生産性向上に貢献してまいります。 ※5 国際標準規格IEC60534:国際電気標準会議(IEC)が公開した国際標準。IEC60534とは、工業プロセス用調節弁の設計、性能、試験、騒音、寸法等に関する一連の標準を定めている。 ③ 生産・開発 海外事業の拡大に向けてグローバル生産体制を構築するとともに、商品力強化に向けた開発投資の拡充を進めてまいりました。国内においては、生産機能の中核拠点である湘南工場と、藤沢テクノセンターにおける技術開発機能との連携を強化するとともに、湘南工場のグループ内マザー工場としての機能整備を進めています。また、2026年4月には、開発力強化領域であるMEMS・センシングデバイス技術、アクチュエータ関連技術、AI技術、クラウド技術を活かし、顧客ニーズに基づいた商品開発力を一層強化するための開発組織体制の再構築を実施しました。 海外では、グローバルな事業拡大にあわせた生産体制の整備を進めています。2025年3月に登記が完了したベトナムの生産子会社アズビルベトナムプロダクション有限会社は、生産能力の増強と競争力向上のためのコスト削減や持続的な製品供給を実現するための適切な生産体制の構築のみならず、近年懸念される地政学的リスクに対応するための強化策と位置付けています。なお国内BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)対策としては、2025年4月に京都事業所内に新たに物流の拠点となる「京都配送センター」を設立するなど、自然災害や不測の事態、感染症の拡大等、生産・物流に関わるリスクを考慮し、国内外の生産体制を構築しています。 また、2025年10月には、計測・制御・システムの分野における研究をはじめ、産官学との連携、情報発信の役割を担う中核的な学会である計測自動制御学会より、「技術賞」及び「新製品開発賞」を受賞しました。今後も、お客様の「安心、快適、達成感」を実現する製品や新技術の開発により社会課題解決に貢献してまいります。 ▲新製品開発賞「サファイア隔膜真空計 形V8」④ 経営管理と人的資本 経営管理面では、事業環境の不確実性が高まるなか、リスクマネジメントの高度化を継続的な課題として位置付け、リスク管理と対応力の向上に取り組んでいます。今後起こりうるリスク事象の影響を最小化すべく、毎年、外部環境の変化を加味して網羅的にリスクを抽出し、シナリオごとの検証を実施しています。そのうえで、リスク発生時の影響金額や発生頻度の定量的な評価基準に基づき、現場部門と経営層の双方から検証した重要リスクに対し、具体的な対策に取り組むことで、不確実性への対応力を強化しております。日々巧妙化するサイバー攻撃に対しても、総合的なサイバー攻撃への対処能力向上や最新のサイバーセキュリティ動向の更なる知見を得るため、2025年5月にはNATO(北大西洋条約機構:North Atlantic Treaty Organization)サイバー防衛協力センターが主催するサイバー防衛演習「ロックド・シールズ2025」に参加しました。アズビル製品・サービスのサイバーセキュリティ強化に活かし、お客様の重要インフラ防衛への取組みに貢献してまいります。 また、2026年度より国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を行うことでグローバル経営の更なる推進及び資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を図るとともに、会計レベルの向上及び内部統制の強化も進めています。 azbilグループでは、人材を持続的成長のための「資本」として捉えており、事業環境の変化に対応できる人材の確保・育成と、長期的な視点での人的資本強化を重要な経営課題として位置付けています。2026年4月には、人事・人材育成の一体運営を目指し、今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に合わせた事業構造の変化に対応するため、長期目標、中期経営計画の達成に向けて必要となる多様な人材の採用、育成を一気通貫で行う組織体制を整備しました。リファラル採用やアルムナイ採用等の様々な手段を活用し、新卒採用・キャリア採用ともに入社時期を問わず、国内外での優秀な人材の確保を図っております。加えて、社員が長期にわたって活躍できるよう人事制度を整えるとともに、事業戦略にあわせて育成を行い、適材適所の配置を進めてまいります。 なお、アズビルグループとして、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも積極的な活動・取組みを進めております。 E(環境)では、地球環境保全への取組みを経営の最重要課題の一つと捉え、持続可能な社会の実現に向けて、気候変動対策、資源循環対策、生物多様性保全対策等、幅広い環境課題への対応とアズビルグループの事業活動の融合を進めております。気候変動対策においては、2050年温室効果ガス排出量ネットゼロの実現を中長期目標として掲げ、その達成に向けた具体的な取組みを推進しています。当該目標に基づき、2025年6月には中国の生産子会社、2026年2月には京都の生産拠点において再生可能エネルギー設備を導入するなど、再生可能エネルギーの活用を着実に進めています。これらの取組みが評価され、2026年2月には環境省が主催する第7回ESGファイナンス・アワード・ジャパンにおいて、「環境サステナブル企業」に4年連続で選定されました。 S(社会)では、2022年よりサプライチェーンにおける人権尊重の取組みを開始し、2024年には、アズビルの事業がステークホルダー全体に与える人権に対する負の影響に関する人権デュー・ディリジェンスを開始しました。さらに、サプライチェーンの上流にあたる二次お取引先様にまで遡ってリスクの判定及び是正について継続的にフォローを行っています。企業活動のグローバル化・多様化により、拡大かつ複雑化している人権リスクに対して、その防止・低減を図ることで、企業の社会的責任を果たしてまいります。また、「azbilグループ健幸宣言※6」を制定し、総労働時間の削減やハラスメント防止といった職場環境改善等の「働き方改革」、一人ひとりの個性を尊重し、その特徴を活かすことができるよう「ダイバーシティ推進」に関わる各種施策を展開しています。 G(ガバナンス)では、監督機能と執行機能の明確な分離、さらに意思決定の迅速さと透明性を高める目的で「指名委員会等設置会社」へ移行して4年が経過しました。2025年度には、取締役会議長に独立社外取締役が就任し、また役員報酬においては、業績連動比率の更なる拡充(賞与・株式報酬の構成割合の拡大)及びKPIの見直しに加え、重大な非違行為等が発生した場合に返還請求ができるよう、クローバックの対象範囲を拡大しました。また、取締役会の実効性を高めるためにアズビル独自の「取締役執行役連絡会」を設置するなどの工夫により、経営戦略や事業ポートフォリオに関する議論、法定委員会活動等につき従来以上に活発な議論を行っています。 2026年度においても、更なる企業価値の向上を目指し、事業課題を通じたESGの観点からの各活動を推進し、持続可能な社会の実現に「直列」に繋がる取組みを継続してまいります。 ※6 azbilグループ健幸宣言(健康で幸せを目指すため「康」の字を「幸」に替えています):健康で幸せ、活き活きとした「働きの場と人」を創る。azbilグループは、社員一人ひとりの健康が企業活動の重要な基盤であるととらえ 、会社で働くすべての人々が安心・安全で、快適に、活き活きと、自分らしく健やかに働き、それぞれが持つ多様な能力を発揮し、公私ともに充実した人生を送ることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考えています。健幸な「働きの場と人」を創るために、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言します。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】 本書に記載の「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、経営者がazbilグループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてアズビルが判断したものであります。 (1)リスクマネジメント体制 アズビルグループでは、スリーラインディフェンスに基づくリスク管理を行っております。azbilグループ全般の活動において、責任を明確にした3つの防衛線を通じて、組織の内部統制・リスク対応機能の向上を図っております。特に第一の防衛線については、確実にリスクを低減するため、リスクごとに担当役員を明確にし、防衛線での自律的管理の強化を図っております。また、リスクマネジメント事務局がリスク管理活動全体の管理と支援を行うなかで、第二の防衛線では、主に各間接管理部門が組織全体で対応すべきリスクに対する対策の展開と管理、支援の責任を果たすことで、リスク管理に対する牽制・支援の役割を担っております。さらに、内部監査部門が第三の防衛線として第一線・第二線によるリスク管理体制の検証・保証を行います。 アズビルグループでは、ボトム(現場部門)の情報をトップ(経営層)が十分に把握し、意思決定を行うことが重要だと認識しており、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを一体としたリスクマネジメントを実施するための体制として、「azbilグループ総合リスク管理部会」、「azbilグループ総合リスク委員会」、「azbilグループCSR推進会議」を設置しております。 「azbilグループ総合リスク管理部会」は部門の責任者等をメンバーとして開催され、主にリスクの抽出と評価に関して現場側の意見集約を行います。なお、リスクの抽出と評価については経営層の意見も別途ヒアリングを行って集約し、経営層と現場部門の意見を統合するプロセスを構築しております。 「azbilグループ総合リスク委員会」はリスク管理担当役員を委員長、経営層をメンバーとして半期に一度開催され、一連のリスクマネジメント活動に対する経営層による状況確認と方針決定を行います。具体的には、「azbilグループ総合リスク管理部会」や経営層へのヒアリングから得られた情報に基づくリスクの対応優先度の決定(azbilグループが優先して対処すべき「azbilグループ重要リスク」とそれ以外の「部門管理リスク」の選定)、リスク対応計画の進捗確認を行います。なお、「azbilグループ総合リスク委員会」での審議結果は取締役会に報告しております。 「azbilグループCSR推進会議」は部門の責任者等をメンバーとして四半期に一度開催しており、リスクマネジメントの推進状況について確認・検討を行っております。リスク対応計画の進捗確認を「azbilグループ総合リスク委員会」よりも高頻度に行うことで、タイムリーな状況変化に対応できるようにしております。 (2)リスクマネジメントプロセスの運用アズビルグループでは、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクの網羅的な抽出と影響度及び発生可能性の評価を行っております。具体的には、経営層に対するヒアリングによる経営目線でのリスクの抽出・評価と、「azbilグループ総合リスク管理部会」での審議に基づく現場目線でのリスクの抽出・評価を行い、結果を統合リスク台帳(抽出されたリスクの内容と評価結果を一覧化した資料)とリスクマップ(リスクを影響度と発生可能性に基づき5×5のマトリックスに配置した資料)に取りまとめます。なお、リスクの評価にあたってはリスク発生時の影響金額やリスクの発生可能性に基づく定量的な評価基準を設定し、評価結果を客観的に比較・統合できるようにしております。上記のアウトプットを参照資料として「azbilグループ総合リスク委員会」にて経営層による審議を行い、「azbilグループ重要リスク」及びそれ以外の「部門管理リスク」を決定し、結果については取締役会に報告します。抽出された各リスクに対しては、期初に年間のリスク対応計画を策定し、期中と期末に行われる「azbilグループ総合リスク委員会」にて計画の進捗報告を行い、計画の遅延や推進上の課題を都度認識・改善することでPDCAサイクルを回しております。「azbilグループ重要リスク」についてはリスクごとに担当役員が直接状況報告を行いますが、「部門管理リスク」については、計画の進捗状況を集約した台帳ベースで確認を行います。また、四半期に一度開催される「azbilグループCSR推進会議」では、より高頻度にリスク対応計画の進捗確認を行っております。 影響度と発生可能性でリスクをプロットすることにより、管理すべき優先順位を視覚的に把握する (3)事業等のリスク 今回選定されたazbilグループ重要リスクに関する詳細は以下のとおりです。 ①品質に関するリスクリスク認識 製品の設計・製造品質の確保不足、あるいは量産工程における教育不徹底や意識不足等によるデータの不備や不適合品等が発生した場合、製品不適合によるリコールが必要となり、多額のコストが事業の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、アズビルの事業上の強みが「高い品質」にあることから、上記の事象が顧客からの評価や信用の低下を引き起こし、影響が重大化もしくは長期化する可能性も考えられます。昨今ではSNSの普及により品質トラブルを含む風評が広まりやすく、当該リスクの影響度及び発生可能性が以前よりも高まっていると認識しております。アズビルは法人向け事業の割合が高く、SNSによる影響は限定的と考えられるものの、経営としては引き続き適切な備えが必要だと考えております。対策 アズビルグループでは、製品の設計・製造品質を確保するための対策として、開発プロセスや安全設計に関する標準の運用や、生産現場の各工程で不適合品を「①入れない②つくらない③出さない」ための手順の標準策定・運用、安全な製品提供のための審査制度、適正な検査作業工程維持のための生産ラインの管理・改善、グループワイドでの業務プロセス点検やISO9001の内部監査を活用した取組みを行っております。また、法規制の変化に対応するため、製品に含有する化学物質規制や製品安全関連の法規制・規格等について、製品開発時や量産段階における確認プロセスを標準化し、厳格に運用しております。 製品品質に関わる重大な問題が発生した場合、市場品質情報として即座にグループ品質保証担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門での共有と必要な対策・情報開示が迅速に行われる仕組みを整備しております。また、発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施、技術・評価基準への反映及び設計知識データベースへの登録をはじめとした技術継承にも繋げる活動を行い、再発防止に努めております。なお、問題発生に際しての備えとして、製造物責任や製品欠陥に起因する損害賠償に対する保険加入等の対策も強化しております。加えて、アズビルの品質に関するレピュテーションに影響を与える可能性が考えられるSNS上の事象を検出する仕組みも強化しております。 品質管理対応に関連する情報は、グループ品質保証担当役員を委員長とした品質保証委員会をはじめとする会議体にて定期的に共有・可視化するよう努めております。 ②情報セキュリティに関するリスクリスク認識 アズビルグループでは、事業上の重要情報及び事業活動の過程で入手した個人情報や顧客、取引先、提携先等の機密情報を保有しております。 近年、国内外において、個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとする情報関連法令の整備・強化が進んでおり、これらの法令を遵守するための体制整備や情報セキュリティの強化が求められております。また、サイバー攻撃の手法が日々高度化、巧妙化している状況を踏まえ、サイバーセキュリティ対策を継続的に強化することも必要であると考えております。 これらに関連するリスクとして、① メールの誤送信、業務用端末の紛失盗難等により、個人情報・顧客情報・機密情報が外部に漏洩するリスク② サイバー攻撃により個人情報・顧客情報・機密情報が外部に漏洩するリスク③ 社内システムや顧客向けクラウドサービスがサイバー攻撃を受け停止し、業務継続ができなくなるリスク等が存在しております。 これらの事象が発生した場合は、法令に基づく罰金や損害賠償の支払いや社会的な信用の低下等により業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 アズビルグループでは2020年度に発生したコンピューターウイルス感染事案を重く受け止め、日々変化する脅威に対応するため、情報セキュリティ対策の強化及び運用体制の継続的な改善に一層努めてまいります。対策 アズビルグループでは、情報セキュリティ及び個人情報保護に関するリスクの低減を目的として、関連法令の遵守、社内規程の整備・運用並びに従業員への教育を継続的に実施しております。 具体的には、業務用端末の暗号化、誤送信防止策の導入、デバイス管理の強化及びアクセス管理等の技術的対策に加え、情報セキュリティ教育やインシデント発生時の対応体制(CSIRT※1)の整備・訓練等、組織的・人的対策を講じております。 また、サイバー攻撃への備えとして、ネットワーク及び端末に対する監視・防御体制の強化、生産設備と業務系ネットワークの分離、並びにバックアップの整備等による対応力の向上に努めております。 さらに、商品・サービスに関しては、セキュリティ専門組織によるリリース前のセキュリティ審査や、リリース後の脆弱性情報の収集・対応を行うことで、セキュリティ事故の未然防止に努めております。 これらの取組みを、azbilグループ情報セキュリティ基本方針のもと、継続的に遂行してまいります。 ※1 CSIRT(Computer Security Incident Response Team):アズビルのセキュリティ事故対応チーム ③技術・商品開発に関するリスクリスク認識 近年急速に進展しているメタバース※2やWeb3.0※3、生成AI※4等といったDX関連の技術革新や、国際標準動向への対応が遅れた場合、商品の陳腐化と顧客離れが進み、市場拡大ができないリスク、市場からの撤退を迫られるリスク、及び事業領域が広がらず縮小均衡に陥ってしまい事業成長できないリスクが想定されます。また、研究開発投資について、現時点では適切なテーマ設定に基づく技術・商品開発プロジェクトへの人的、資金的リソースの投入を行っておりますが、開発テーマを継続的に確保するための対応が不十分な場合、中長期的には開発テーマ不足に至る可能性があり、リニューアル商品、新規商品が不足し、中長期目標の達成が不達になることが考えられます。加えて、製品・技術の研究開発を進めていても、研究開発プロセスの管理不備やリソース不足、開発力自体の低下が生じた場合には、新製品の投入遅延や開発自体の失敗によってマーケットシェアが減少し、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ※2メタバース:一つの仮想空間内において、様々な領域のサービスやコンテンツが生産者から消費者へ提供される場 ※3Web3.0(ウェブスリー):ブロックチェーンによる相互認証、データの唯一性・真正性、改ざんに対する堅牢性を基に、個人がデータを所有・管理し、中央集権不在で個人同士が自由に繋がり交流・取引する世界 ※4生成AI:自らの訓練に使用されたデータを基に、テキストや写真、動画、コード、データ、3D画像等の出力を生成又は作成する人工知能アルゴリズム対策 技術革新に対しては、関連技術動向、競合動向、国際標準動向を各開発組織やマーケティング組織で継続して注視しております。加えて、全社マーケティング・開発横断で実施される技術開発担当役員を議長とした商品力強化会議にて情報の捕捉や課題認識に努め、全社開発検討会では、より具体的なテーマ(重点商品開発テーマ、MEMS、アクチュエータ、AI、クラウド等の領域)について、取組み状況を確認しております。 技術・商品開発の具体的なテーマの抽出においては、ニーズ・シーズマッチング活動※5等により、マーケティング・開発一体でのテーマ創出活動を強化・推進しております。また、外部環境の変化を捉えるため、特に海外開発拠点であるアズビル北米R&D株式会社や東南アジア戦略企画推進室では、海外の技術開発パートナーとの連携によるエコシステム構築への対応も進めております。加えて、“現場で価値を創る”ことを目指した商品提案力強化のため、azbilグループシステム・プロダクト事業ポートフォリオ検討タスクを構成して対応を進めております。具体的な施策としては、保有する技術の競争優位性を高めるためにコア技術としてのセンシング技術領域、アクチュエータ技術領域、クラウド技術領域において、Corporate R&D(全社研究開発部門)及び事業ラインのR&D組織改定を実施し、顧客ニーズに基づいた商品力強化に繋げる体制構築を図っております。 研究開発プロセスの管理不備による開発遅延に対しては、開発プロセス標準の改良(リスク要因の抽出プロセスの設定、リスク検証における管理技術の導入による後戻り防止や遅延リスクの事前検討、伝承すべき技術要素のドキュメント化等)を実施しております。また、技術開発担当役員を委員長とした技術委員会を定期的に開催し、更なる全社での開発の連携強化や人材リソース配置の調整によるリソース確保を実施しております。 中長期的な開発力向上については、開発プロジェクト推進の根幹となる開発人材(マネジメント及びスペシャリスト等)の育成が必要だと認識しております。アズビルグループでは、技術委員会傘下の開発系人材専門部会によるタレントマネジメントシステムの導入・運用等を進めており、開発人材の育成や最適配置に関する企画立案と施策展開を強化しております。また、イノベーションを起こす風土づくりを推進するため、国内外における外部連携(大学やスタートアップ企業等)の拡大や全社研究開発の中核拠点である藤沢テクノセンターの新実験棟に協創エリアの設置等、協創活動をより一層強化しております。 ※5ニーズ・シーズマッチング活動:ニーズ(お客様が求めている必要性)とシーズ(メーカの持っている特別な技術や材料)のマッチングを推進する活動 ④国際情勢変化への対応に関するリスクリスク認識 グローバル事業の拡大に伴い、進出先における政治経済情勢の変化、現地の法律や規制等の改正、自然災害、テロ、ストライキ、戦争、感染症の蔓延の発生や世界各国における紛争や政治的対立による地政学的リスクの増大等、不測の事態に遭遇する危険性が増しております。そのような中、予期せぬ戦争状態の発生や主要国における経済措置等を原因とした対立の激化、それに対する各国の制裁措置等が発動された場合、アズビルのグループ企業の従業員の安全性が損なわれる可能性があることに加え、事業、与信管理も含めた業績及び財政状態に一定の影響が出る可能性があります。 また、国際情勢の変化に伴い、国内外の輸出管理関連法令がアズビルグループの想定しない形で突発的に強化又は変更される可能性があります。これにより、新たに規制当局の許可等が必要となるなど、アズビルグループの事業活動に一定の影響を及ぼす可能性があります。 加えて、急激な為替レートの変動は、売上高、原材料・部品の価格、販管費等の経費に影響し、アズビルグループの業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。 さらに、米国による相互関税措置をはじめとする各国の通商政策の不透明性に加え、中東地域の情勢不安定化により、エネルギー価格や国際物流を含む世界経済の先行き不確実性が一層高まっています。これにより、原材料・エネルギーコストの変動、物流の停滞、調達期間の長期化等を通じて、アズビルグループの業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。対策 国際情勢変化に伴う従業員の安全や事業継続を脅かすリスクに対して、アズビルグループでは、進出先の各国・各地域の地政学的リスクの変化に十分な注意を払い、各国・各地域ごとに情報収集・リスク判断を行っております。また、アズビルグループにとって致命的な影響を及ぼすイベントについては重点的な検討を行い、人命安全マニュアルやBCP(Business Continuity Plan-事業継続計画)等の整備を進め、人命第一の対策を講じております。これら対策の実効性担保のため、専門家への相談、海外現地法人におけるマニュアル整備や本社との通信テストの実施のほか、関連部門で情報共有体制の構築をしております。加えて、既獲得案件については案件単位で状況を把握し、適切に対応しております。 輸出管理関連法令等については、国際情勢及び国内外の関連法規制の変化に十分な注意を払い、常に情報の収集に努めております。法規制の変更があった場合には、社内の運用体制の見直し等を通じて輸出取引審査を厳格化するなど、輸出管理の適正性を担保するための取組みを行っております。また、法規制変更やこれに伴う運用体制の見直しについては、アズビルグループ内の各種会議体において報告や議論を行い、周知徹底するとともに、継続的な改善に努めております。 為替変動に対しては、適切な財務上の為替ヘッジを行いつつ、海外生産の拡大等によるリスク軽減に取り組んでおります。 相互関税の発動を含む通商政策の急激な変化や、中東情勢の不安定化によるエネルギー供給及び物流への影響に対しては、アズビルグループでは各国の政策動向に関する情報収集体制を強化しております。また、特定国への依存を回避する観点から、調達先の分散や複数調達先の確保、柔軟なサプライチェーンの再構築を推進し、国際情勢変化に対する対応力の強化に努めております。 ⑤自然災害に関するリスクリスク認識 アズビルグループのBA事業、AA事業、LA事業の国内拠点(本社、支社等)や、マザー工場として生産機能の中核となる湘南工場及びグループ製造子会社、海外の生産拠点において、地震・津波、噴火といった自然災害や火災・爆発など不測の事態が発生した場合、アズビルのグループ企業の従業員の安全を脅かす可能性があります。これに加え、建屋や生産設備・機械、出荷前の製品等に損傷が生じ、復旧費用が必要となり、業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、アズビルの生産ラインに限らず、社会インフラやサプライヤーにも被害が生じた場合、アズビルの工場生産や事業活動が阻害され、アズビルの製品・サービス提供、業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。対策 アズビルグループでは地震等の自然災害の発生時に生じる損害を最小限に抑えるべく、人員や生産設備等に求められる対応準備を進めております。具体的には、工場等の重要施設や建物における耐震化、非常用電源や非常用通信網の整備、災害備蓄品の配備に加え、社員の安否確認システムの導入や各拠点における安全確保のため初動対応ガイドラインの作成、定期的な防災訓練や初期消火訓練といった対策を行っております。 また、これらの対策にもかかわらずアズビルの建屋等に損傷が生じてしまった場合への備えとして、予想される損害に対する保険加入及び、保険の対象や保険金の適正性の見直しを通して、復旧にかかる財務上の影響の平準化も図っております。 さらに、事業の中断、阻害に対処するためのBCM(Business Continuity Management-事業継続マネジメント)にも取り組んでおり、実効性を確保できるよう継続的に改善を進めております。災害による事業停止に対しては事業継続目標を設定のうえ実行可能性を検証し、そのために必要な資金及び製品や部品の在庫の確保、最優先業務を継続するための代替拠点の設定とその体制の整備をしております。具体的には、本社の代替拠点としての関西・九州事業所の設定、サービス・エンジニアリング機能の拠点間支援体制の整備、国内複数地域、中国、タイ、ならびにベトナムの工場における主要生産品目の生産拠点の分散化、また、物流拠点の京都と神奈川との2拠点体制の設定による相互でのバックアップ可能な体制構築等、重要な機能・業務停止時における代替性を高める対策を進めております。さらに、首都圏の活動制限等のロックダウン相当の事態を想定した生産対応計画を策定しております。 ⑥人材の確保・育成に関するリスクリスク認識 今後の技術発展や社会情勢の変化等に誘発される事業構造の変化、採用競争の激化、あるいは働き方をめぐる社会的議論を背景に、既存の人事施策にとらわれない柔軟かつ適切な人材配置の必要性が高まる可能性があります。 また、少子高齢化や多様性の進展、働き方改革をはじめとした新労働法制の施行等を背景に、労働者の意識や絶対数の変化に加え、事業に必要な人員の質と量にも変化が生じており、従来の人材戦略を継続することでは中長期的な人材不足が発生し、事業のパフォーマンスが慢性的に低下する可能性があります。 加えて、アズビルグループの成長においては海外事業及び新規事業の展開・拡大が不可欠であり、目的に合致した人材の確保やスキル教育等が順調に進捗しない場合には、事業成長目標の達成を阻害する要因となる可能性があります。対策 アズビルグループは、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、「健幸経営」の推進を掲げて各種人事施策を展開しております。 事業構造の変化に対しては、人材のローテーション、再配置、また新しい部署で必要となるスキル・知識のリスキリングの実施により、環境変化に柔軟に対応できる人材の育成・確保と、最適配置の実現に努めております。これらに加えて、DX教育を含む人材育成全般の強化も行っております。 社員の就労観の変化に対しては、オープンチャレンジ制度(社内公募による異動制度)やキャリア意向調査制度を整備・運用し、適材適所の人材配置を計画的に進めております。加えて、特に技術・技能レベルの高いベテランスペシャリストに関しては、技術・技能の継承に向けた個別の後継者育成計画の立案や、DXを活用した技術継承等の施策を行っています。 これらの施策の実効性向上のため社員エンゲージメントサーベイによる検証を行い、一年間に仕事を通じて成長を実感している社員の割合を2030年までに65%とする目標を立てております。現時点での割合は約60%となっており、サーベイの結果を分析し、継続的な施策改善を推進しております。 採用環境の変化に対しては、事業部門と人事・人材開発部門が一体となって策定した人員計画に基づく採用活動の強化に加えて、継続的な処遇の改善、定年延長(雇用延長)、及びライフイベントに応じた柔軟な働き方を支援する勤務制度の導入等を通じて、人材確保・定着を図っております。あわせて、生成AIの活用を含むデジタル技術による業務改革やアウトソースを活用した適正負荷配分等を通じて、生産性の向上を図っております。 海外事業や新規事業の展開に必要な人材の確保に対しては、アズビルグループでは採用手法の多様化を進めるとともに海外事業における採用を強化しております。採用手法としては、即戦力として期待できるキャリア採用の強化に加え、社員による紹介採用(リファラル採用)やアルムナイ採用を実施しております。また、海外事業の人材基盤強化を目的として、新卒採用において海外出身者を10名以上採用する目標を掲げ、海外大学の卒業生を積極的に採用しております。さらに、海外現地法人における採用促進に向けて、本社で培った採用方法やノウハウを各現地法人へ展開しているほか、国内外の大学からアズビルの海外拠点を含む各拠点へのインターンシップ学生の受入れ・派遣を通じて、採用チャネルの拡充に努めております。 ⑦生成AIに関するリスクリスク認識 生成AIの急速な技術進歩と普及はビジネス及び社会全体に多大な影響を及ぼしております。生成AIの利活用により、業務効率化や製品・サービスの新規開発・高付加価値化が期待される一方で、個人情報や営業秘密等の漏洩、知的財産権侵害、誤情報の生成・拡散、意図しないバイアスによる不適切な判断等のリスクが生じる可能性があります。 他方、アズビルが生成AIを活用した製品・サービスを提供する場合においても、上記と同様のリスクに加え、生成AIに関する法規制への不適合や違反に伴うリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、アズビルの社会的信用及びブランド価値の毀損、罰金の支払、損害賠償請求等が発生し、アズビルの事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 生成AIに関する法規制は世界各国において整備が進んでおり、今後の規制強化によりアズビルの業務効率化や製品・サービスの新規開発・高付加価値化に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点では規制対象や適用範囲が流動的であり、その動向及び影響度を合理的に見積もることが難しい状況にあります。 さらに、生成AIを活用した新規参入事業者の登場により、アズビルの事業基盤及び競争力に影響を及ぼすリスクも考えられます。対策 アズビルグループでは、生成AIの利活用に伴うリスクを適切に管理するために、いくつかの具体的な対策を講じております。まず、生成AIの利用に関するガイドラインを策定し、その内容に基づいた利用統制を実施しております。さらに、技術動向、法規制の変化や製品・サービスへの組込みに対応するため、ガイドラインの見直しを継続的に行っております。 また、技術的な対策として、生成AI利用時における機密情報の漏洩防止措置を講じるとともに、万が一漏洩が発生した場合を想定した対応体制を整備しております。さらに、全社員に対する教育研修を実施し、生成AIの利用に伴うリスクへの意識を高め、著作権侵害リスクの回避、安全性と正確性の確保、倫理的配慮等の徹底を図っております。 これらの対策を通じて、法規制の動向を踏まえて必要に応じた対処を実施することで、生成AIの利用に伴うリスクの低減を図っています。また、生成AIを活用した製品・サービスを検討していく中では、新規参入事業者による事業影響を複数の情報源により可視化し、競争優位性を確保する対処を施すようにすることをし、アズビルグループの競争力維持・向上に努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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