日本ケミコンの企業集団は日本ケミコンと子会社19社、関連会社2社で構成され、電子部品等の製造・販売を主たる業務としております。日本ケミコンの企業集団の事業に係わる位置付けは次のとおりであります。また、各事業毎の会社数は、複数事業を営んでいる会社をそれぞれ含めて記載しております。
(コンデンサ) 国内において子会社であるケミコン東日本㈱、ケミコンデバイス㈱が製造しており、日本ケミコンが仕入・販売をしております。海外では、United Chemi-Con,Inc.、P.T. Indonesia Chemi-Con、貴弥功(無錫)有限公司、他2社及び関連会社1社が製造・販売等をしており、Europe Chemi-Con (Deutschland)GmbH、Hong Kong Chemi-Con Ltd.他5社が販売しております。また、コンデンサ用材料につきましては、日本ケミコンが製造・販売するほか、国内ではケミコン東日本マテリアル㈱、海外ではChemi-Con Materials Corporation 他1社にて製造しており、国内、海外ともにKDK販売㈱が販売しております。
(その他) 国内子会社のケミコンデバイス㈱他1社、海外子会社1社が製造しており、日本ケミコンが仕入・販売しております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
日本ケミコングループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本ケミコングループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
日本ケミコンは「環境と人にやさしい技術への貢献」を企業理念に掲げ、研究開発から生産活動などの企業活動の全域にわたり地球環境の保全に取り組んでおります。
日本ケミコンはこの企業理念のもと、各電子部品の開発・供給を通じてエレクトロニクス産業の発展に寄与することが、企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながると考え、基本方針として推進してまいります。
(2)目標とする経営指標
日本ケミコングループにおきましては、企業価値の向上を図るため資産効率の改善に継続的に取り組んでおり、自己資本利益率(ROE)及び投下資本利益率(ROIC)を重要な指標として位置づけております。
(3)適応力強化による質の高い成長 ― レジリエンス経営の実践
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行やロシアによるウクライナ侵攻など、われわれを取り巻く環境は大きく変化しております。このように、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の4つのキーワードで特徴づけられる「VUCAの時代」が到来する中、2023年4月より、「Create Next Value:次の価値を創造しよう、次世代の価値(企業価値、製品価値、新事業)を創造する」を長期目標とし、「困難な環境・状況に直面してもそれに適応し、乗り越え、自ら成長し、希望をもって将来の目標に対して積極的に立ち向かう力をつけていくこと」を中期基本方針とする第10次中期経営計画をスタートいたしました。
適応力強化による質の高い成長を目標とする「レジリエンス経営」を実践し、第10次中期経営計画の達成のために全社一丸となって邁進してまいります。
重点施策
1. 社会から信頼され求められ続けるためのサステナブル経営の実践
2. 創造性と実践力を兼ね備えた革新的人財の育成
3. マーケットインとプロダクトアウトの融合による顧客潜在要求の提供
4. 最適ポートフォリオ(再構成・標準化)とスマートファクトリーによる生産構造改革
① ESG経営の実践
② 人財戦略の強化
③ 商品企画力強化と技術の連動による収益力の向上
④ 最適な生産体制の構築
⑤ 生産性改善によるコスト競争力強化
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、国内では雇用・所得環境が改善する下で個人消費が持ち直すなど、景気は緩やかな回復基調で推移することが見込まれるものの、世界経済全体では、これまでの欧米地域での金融引き締め政策の影響や、中東情勢・ウクライナ情勢等の地政学リスクなど景気の下振れリスクは依然として存在しており、日本ケミコングループを取り巻く経営環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。加えて、サステナビリティに関する取り組みが企業経営の中心的な課題になる中で、環境面においては、世界的に気候変動リスクへの関心が高まる中、カーボンニュートラルを始めとする環境負荷の低減に向けた取り組みが求められるなど、事業活動を通じた社会課題への貢献が求められております。
日本ケミコングループに関連するエレクトロニクス市場は、車載市場においては、生産台数の増加に加えて、引き続き電動化・電子化が進み自動車1台当たりの部品搭載数の増加による需要拡大が見込まれます。また、ICT市場においては、生成AIサーバーの急成長や従来型サーバーの在庫調整が終息し、パソコン需要も含めて需要の回復が見込まれます。また、産業機器市場においては、省人化投資や半導体製造装置の回復も期後半に期待されます。
このような状況のもと、日本ケミコングループは引き続き第10次中期経営計画の各重点施策を着実に実行に移すことにより、高収益体質への転換を図ってまいります。5つの戦略市場のうち車載市場、ICT市場と産業機器市場を最重要戦略市場と位置づけ、電動車両やAIサーバー等の成長分野に向けてハイブリッドコンデンサを中心とした高付加価値製品の拡販活動を実施してまいります。また、生産工場におけるTPM活動(Total Productive Management)の徹底や生産実行システムの導入等を通じて更なる収益性の向上を図ってまいります。
日本ケミコンでは、リスクマネジメントを経営が関与する最上位の規格に位置づけております。日本ケミコンは「リスクマネジメント基本方針」に基づきリスクマネジメント委員会を設立し、グループのリスクを横断的・総括的に管理しております。現に存在するリスクや将来考慮すべき各種リスクを「戦略リスク」「財務リスク」「ハザードリスク」「オペレーショナルリスク」「気候関連リスク」に分類し、年2回リスクマネジメント委員会でとりまとめ、取締役会及び経営委員会に報告しております。
このようにして特定・報告されたリスクのうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本ケミコングループが判断したものであります。
(1)経済状況について
日本ケミコングループは、コンデンサ及びその他の電子部品の製造・販売を主たる事業としており、事業活動を日本、米州、欧州、アジア等グローバルに展開しております。そのため、日本ケミコングループの製品が販売されている国、地域の経済状況の変動は、日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
日本ケミコングループの製品は日本国内のほか米州、欧州、アジア等の地域に販売されており、連結売上高に占める海外売上高の割合は、2023年3月期80.8%、2024年3月期79.8%となっております。このため為替予約等によりリスクヘッジを行っておりますが、全てをカバーできる保証はなく、日本ケミコングループの業績及び財政状態は為替変動の影響を受ける可能性があります。
また、連結財務諸表を作成するにあたって在外子会社の財務諸表を円換算しておりますが、換算時の為替レートにより、現地通貨における価値に変動がなくても、円換算後の価値が影響を受け、業績及び財政状態が変動する可能性があります。
(3)価格競争
日本ケミコングループの主力製品であるアルミ電解コンデンサにおいて、国内外の競合他社との間に生じる価格競争が日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。日本ケミコングループは、多様な国と市場において事業活動を行っておりますので、そのような国・市場ごとの個別の要因に応じて価格競争リスクに対応する必要があります。国・地域ごとの生産販売コストの変動、材料費の高騰、生産技術のイノベーションなどは係るリスクの要因となります。海外売上比率が高い日本ケミコングループは常に国際的な競争に晒されており、価格競争の激化は収益の押し下げのみならず世界シェアの低下を引き起こす可能性があります。日本ケミコングループといたしましては、材料開発から製品販売まで一貫した生産体制という強みを活かし、生産システムの効率化等によるコストダウンを推進する一方、高付加価値で高収益な製品の開発や重点市場への拡販により競争力強化を図っております。上記の事業戦略を踏まえ日本ケミコングループはリスク対応を実施しておりますが、価格競争の激化は日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料等の価格変動と調達について
足元の急激な円安進行と物流費・人件費の高騰などにより特に日本国内で調達する材料には大きな値上げ圧力がかかっており、アルミ箔や重油をはじめとした原材料等の仕入価格上昇によるコストアップの影響や原材料等の調達困難による製品出荷の停滞等は日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
日本ケミコングループでは、海外製造会社における現地調達の推進や生産性向上等によるコストダウンの継続や複数社からの購買、サプライヤーの定期的な与信管理を行うなど、リスク回避対策に取り組んでおりますが、急激な原材料等の価格高騰と災害等による広範な原材料不足は、日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ウイグル強制労働防止法及びロシア制裁などの米国経済安全保障規制などにより新たな調達リスクが顕在化しております。更には不採算改善などによる製造中止(EOL)も増えており、安定調達を喫緊の課題としてサプライチェーンの強化に取り組んでおります。
(5)製品の欠陥
日本ケミコングループは、世界各拠点で、世界的に認められている品質管理基準(UL規格、AEC-Q200など)に従って製造を行っております。
しかし、将来にわたり全ての製品において欠陥が発生しないという保証はありません。また、生産物賠償責任保険に加入しておりますが、この保険が賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
また、日本ケミコンは全生産拠点にてISO9001、IATF16949の認証を取得し品質管理の強化を図っておりますが、大規模な製品の欠陥の発生は日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、欠陥の発生の際はその影響を最小限に抑えるべく迅速に対応する体制を構築しております。
(6)法令その他の公的規制等に関するリスク
日本ケミコングループが、事業を展開する国内外での進出先における法令その他の公的規制等及びその重要な変更、特に、当該規制等を遵守するための費用負担や当該規制等に違反したと判断された場合における刑事処分、課徴金等の行政処分または損害賠償請求は、日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本ケミコングループの事業は環境法令の適用を受けており、法令等の制定または重要な変更によっては環境責任のリスクを抱える可能性があります。
日本ケミコングループは、アルミ電解コンデンサ等の取引に関して、各国競争法当局からの制裁金に関する決定等を受け、その一部については裁判所における対応等を行っております。また、本件に関しましては、上記のほか、他国において複数の原告との間で、日本ケミコングループに対してアルミ電解コンデンサ等の取引に関する損害賠償等を求める民事訴訟が係属しております。これらの法的手続きにおいて日本ケミコンに不利な判断がなされた場合または和解により和解金額を支払う義務を負った場合、日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、電解コンデンサ及びフィルムコンデンサの取引に関する米国での民事訴訟につきましては、日本ケミコン及び日本ケミコンの子会社であるUnited Chemi-Con, Inc.(以下「日本ケミコンら」といいます)は、集団民事訴訟のクラス原告と既に和解しており、またクラス原告に参加していない複数の原告(個別原告)とも、直前事業年度までに全て和解が成立しております。すなわち、日本ケミコンらは、諸般の事情を総合的に勘案した結果、2023年7月には、Avnet, Inc.及び個別原告3社に対して、和解金として総額125百万米ドルを支払うことに合意し、2023年9月にも、Arrow Electronics, Inc.との間でも、和解金として総額75百万米ドルを支払うことに合意し、それぞれ和解金を支払いました。これにより、米国において日本ケミコンらに提起されていた電解コンデンサ及びフィルムコンデンサに関する米国反トラスト法違反等について損害賠償等を求める民事訴訟は全て終結いたしました。
(7)自然災害や突発的事象発生のリスク
地震等の自然災害や突発的事象に起因する、設備の破損、電力・水道の供給困難等による生産の停止は、日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の拡大・長期化は市場の減退を引き起こす可能性があるだけでなく、各国政府の方針により休業を求められるなど事業継続に影響を及ぼす可能性があります。日本ケミコングループは従業員やステークホルダーの皆様の安全・健康を第一に考え、情報収集や行政との連携に努めながら、在宅勤務やフレックス勤務等各種感染予防対策の実施に加えてリモートワークツール等の活用により、業務遂行の継続に努めてまいります。
(8)気候関連リスク
地球温暖化に由来する気候関連リスクは、日本ケミコングループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現在、主要国において炭素税やカーボンプライシング・排出量取引制度の導入が進められております。係る制度導入により中期的に大きな影響を与える可能性があり、直接的・間接的に追加費用(原材料高騰による追加費用含む)が生じるリスクがあります。また、気候変動への対応に係る顧客要求(環境性能やサステナビリティに係るサプライヤー選定基準等)を日本ケミコングループが十分に満たすことができない場合、製品の市場競争力の低下等により、短~中期的に日本ケミコン売上の減少に影響を与える可能性があります。さらに、自然災害の激甚化や頻度の高まりは、短~長期的にサプライチェーン全体を含む日本ケミコングループの生産活動等の事業継続の中断や臨時の追加費用の発生を生じさせるリスクがあります。係るリスクに対応するため、日本ケミコングループは省エネルギー対策小委員会主導のもと、グループ全体での省エネやカーボンニュートラルに向けたロードマップを基にしたCO2削減に取り組んでおります。また、事業継続計画の見直しや自然災害による事業活動への影響が大きい事業所の防災設備等を優先的に拡充し、さらに調達・研究開発の面からも顧客要求を充足させる取組みを行うこととしております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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