テノ.ホールディングス(7037)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


テノ.ホールディングス(7037)の株価チャート テノ.ホールディングス(7037)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 テノ.ホールディングスグループは、純粋持株会社であるテノ.ホールディングス、連結子会社の株式会社テノ.コーポレーション、オフィス・パレット株式会社、株式会社フォルテ、株式会社ホームメイドクッキング、セーフティージャパン・リスクマネジメント株式会社、株式会社ウイッシュ、株式会社子育てサポート、ウェルファ株式会社、株式会社Yellow Finにより構成されております。

 テノ.コーポレーションが保育事業における認可保育所の運営、受託保育所の運営、認可外保育所の運営、小規模認可保育所(事業所内保育事業)の運営のほか、その他の幼稚園や保育所に対する保育人材の派遣、ベビーシッターサービスの提供、ハウスサービスの提供、テノスクール(tenoSCHOOL)の運営、結婚相談所事業「テノマリ」の運営、プラットフォームサイト「保活アシスト」の運営等、オフィス・パレットが保育事業における認可保育所の運営、その他のベビーシッターサービスの提供、テノ.コーポレーション、フォルテ及びウェルファが介護事業における介護施設(デイサービス)の運営、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の運営、ホームメイドクッキングが生活関連支援事業における手づくり総合教室「ホームメイドクッキング」の運営、セーフティージャパン・リスクマネジメントが生活関連支援事業における少額短期保険業を行っており、ウイッシュ、子育てサポート及びYellow Finが介護事業における障がい福祉施設の運営等を行っております。

 テノ.ホールディングスグループは、「もっと愛情を・・・もっと安心を・・・「手の」ぬくもりまでも伝えたい」という熱い想いを社名である「テノ.」に込めております。

 テノ.ホールディングスグループは、以下を経営理念として、事業展開を行っております。

 「私たちは、女性のライフステージを応援します。」

 「私たちは、相手の立場に立って考えます。」

 「私たちは、コンプライアンスを推進します。」

 「私たちは、事業を通して社会貢献致します。」

 テノ.ホールディングスグループは、“女性”が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、働き続けるためには、「いったい何が必要なのか」を基本に事業展開してまいりました。豊かな社会を築くためには、あらゆる場面でさまざまな発想で多くの知恵を出すことが必要です。そういった「より私らしく」と願う女性たちに対してサービスを提供することを事業コンセプトとしております。

 以下に示す区分はセグメントと同一の区分であります。

 

(1)保育事業

 保育事業は、公的保育、受託保育、その他保育に分類されます。

 公的保育では、主に国の社会課題となっている待機児童解消に貢献することを目的に事業展開を行っております。

 児童福祉法第39条第1項において保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が二十人以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園を除く。)と定義されております。保育所は、児童福祉法第35条第4項に基づき、厚生労働省が定めた認可設置基準の要件を満たし、都道府県知事(政令指定都市については市長)が認可した認可保育所と、認可保育所以外の保育所である認可外保育所に大別されております。

 テノ.ホールディングスグループでは、2024年12月31日現在で、首都圏を中心に認可保育所及び小規模認可保育所66施設(地域別では、首都圏39施設、九州エリア13施設、関西東海エリア14施設。)を直営で運営しております。一部の保育所を除き、「ほっぺるランド」というブランド名で認可保育所を展開しております。また、オフィス・パレットにおいては、認可保育所では「こととも保育園」、小規模認可保育所では「ちいさなおうちえん」のブランド名で展開しております。

 認可保育所の契約形態としては以下のとおりです。

 

[認可保育所]

 受託保育では、女性の就業率が高まる中で、病院や企業等も人材確保のために保育サービスが必要となっております。そこで受託保育では、病院や企業等で勤める従業員の「仕事」と「子育て」の両立支援を目的に事業展開を行っております。以下に、受託保育所と学童保育所、その他の内容を記載しております。

 受託保育所は、病院や企業等が事業所の中で保育所を開設する際にその運営を受託するものであります。その事業所の中には、国や自治体から助成金を得て、保育所を運営しているものもあります。

 学童保育所は、児童福祉法第6条の三第2項において、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校児童に対して、授業の終了後に児童厚生施設等の施設(保育所)を利用して適切な遊び及び生活の場を与えることにより、その健全な育成を図る事業と定められております。各自治体より学童保育指定管理を受託し、運営を行っております。

 また、福岡市放課後等の遊び場づくり事業実施要綱に基づき、放課後等の学校施設を利用して、安心して自由に遊びができる場や機会をつくる「福岡市放課後等の遊び場づくり事業(通称:わいわい広場)」の受託等があります。

 テノ.ホールディングスグループでは、2024年12月31日現在で、受託保育所127施設、学童保育所62施設、わいわい広場33施設(地域別では、九州エリア197施設、関西東海エリア20施設、首都圏5施設。)、合計222施設を受託して運営しております。

 受託保育所と学童保育所の契約形態としては、以下のとおりです。

 

[受託保育所]                  [学童保育所]

 

 

 その他保育では、企業主導型保育施設(認可外保育所)「『保育園テトテ』(やくいん、ひらお、ちはや)」、KDI(Kids Duo International)福岡アイランドシティ(認可外保育所)、地域型保育事業施設等を、2024年12月31日現在、九州エリアで6施設、関西東海エリアで1施設、合計7施設を直営で運営しております。

 

(2)介護事業

介護事業は高齢者介護と障がい福祉に分類されます。

 高齢者介護では、急速に進展する高齢化により介護サービスへの需要が年々増加しております。テノ.ホールディングスグループは、その高まる社会的ニーズに応えること、また家族の介護で悩み働く女性に対して「仕事」と「介護」の両立支援を行うことを目的に事業展開を行っております。介護施設の運営に関しては、利用者との施設利用契約及びサービス契約書、訪問介護計画等に基づき、利用者に対して居室及び食事等のサービスや各種介護サービス等の提供を行っております。

 障がい福祉では、2012年に児童福祉法が一部改正され放課後等デイサービスが新設されて以降、需要は増加基調で推移しております。テノ.ホールディングスグループでは、障害を持つ子どもたちやその家庭に対する支援の強化とサービスの質向上を求める社会的ニーズに応えるべく、2024年12月期より事業を開始いたしました。

 2024年12月31日現在で、高齢者介護では10施設(デイサービス3施設、住宅型有料老人ホーム4施設、サービス付高齢者向け住宅2施設、特定施設入居者生活介護老人ホーム1施設)、障害福祉では児童発達・放課後等デイサービス8施設を運営しております。

 

 介護施設及び障がい福祉の契約形態は以下のとおりです。

 

[障がい福祉]                  [高齢者介護]

 

 

 (3)生活関連支援事業

 生活関連支援事業では、女性のライフステージにおいて子育てや介護以外にもある、多種多様な困りごとの解決や、女性やその家族がより幸福な生活を送ることができるように、幅広く支援することを目的として、料理教室の運営と少額短期保険業の事業展開を行っております。

 料理教室は、手づくり総合教室「ホームメイドクッキング」というブランド名で展開を行っており、パン・ケーキ・ホームクッキング等の多様な料理に関する講座を提供しております。

 テノ.ホールディングスグループでは、2024年12月31日現在で、全国で55校の料理教室を直営で運営しております。

 料理教室の契約形態としては以下のとおりです。

 

[料理教室]

 

 

 少額短期保険業は、不動産賃貸・管理会社等の販売代理店を通して賃貸住宅の入居者に対し、生活の安心を提供する少額短期保険商品の開発・販売を行っています。取扱いの保険商品としては家財保険であり、賃貸住宅に入居中の事故により生じた家財の損害、自己負担した賃貸住宅の修理費用、賃貸住宅の貸主または他人への賠償責任を補償する「賃貸くらし安心保険プラス」を販売しております。

 少額短期保険業の契約形態としては以下のとおりです。

 

[少額短期保険業]

 

 

(4)その他

 上記の事業のほかに、女性の育児・家事・介護を支援する家庭総合サービスとして幼稚園や保育所等に対する保育人材の派遣、ベビーシッターサービスの提供、ハウスサービスの提供、テノスクール(tenoSCHOOL)の運営、結婚相談所事業「テノマリ」の運営、プラットフォームサイト「保活アシスト」の運営等を行っております。

 ベビーシッターサービスでは、生後2ヶ月から12歳までの児童を対象に、保育サービスを提供しております。テノ.ホールディングスグループで働くベビーシッターは、保育士・幼稚園教諭等の有資格者及びテノ.ホールディングスグループが運営する「ベビーシッター養成講座」の修了者に限定しており、品質の高いサービス提供の維持・向上に注力しております。

 また、室内清掃やペットの世話など家事全般のサービスを提供するハウスサービスも提供しております。さらに、「保育士総合講座」や「ベビーシッター養成講座」等を開催するテノスクール(tenoSCHOOL)、結婚相談所事業「テノマリ」を運営しております。

 さらに、これまでのテノスクール(tenoSCHOOL)の運営で蓄積されたノウハウを、テノ.ホールディングスグループ内における人材育成にも活用していることや多くの自治体の研修事業の運営受託を獲得できていることにも繋がっております。2020年7月からはオンラインによる「保育士講座(保育士資格取得支援のための講座)」を開始し、サービス拡充に注力しております。

 2021年11月からスタートした結婚相談所事業「テノマリ」は、「仕事をばりばりこなしながらいい人に出逢いたい。」、「婚活は頑張りたいけど趣味の時間も大切にしていきたい」、「将来は子どもを育てながら共働きで頑張りたい」という皆さまが思い描くライフプランの実現をサポートすることを目的として事業運営を開始しております。

 2022年5月からスタートしたプラットフォームサイト「保活アシスト」は、「保護者さまと保育施設とをつなぐ「場」(プラットフォーム)」であり、保活にかかる負担を軽減し、保護者さま・保育施設の双方の課題解決を目的として事業運営を開始しております。

 

 テノ.ホールディングスグループが運営する保育施設等の施設数推移は以下のとおりであります。なお、テノ.ホールディングス設立前は、テノ.コーポレーションにて運営をしております。

(単位:施設)

 

 

保育事業

介護

事業

生活

関連

支援

事業

施設

合計

公的保育

受託保育

その他

認 可

保育所

認 証

保育所

小計

受 託

保育所

学 童

保育所

わいわい

広 場

小計

2008年2月期末

14

7

21

2

23

2009年2月期末

23

7

30

2

32

2010年2月期末

29

11

40

2

42

2011年2月期末

1

4

5

34

31

65

2

72

2012年2月期末

1

7

8

40

31

10

81

2

91

2013年2月期末

1

9

10

48

32

19

99

2

111

2014年2月期末

2

10

12

60

42

21

123

2

137

2015年2月期末

7

10

17

72

46

24

142

2

161

2015年12月期末

15

10

25

76

48

24

148

2

175

2016年12月期末

28

11

39

77

51

24

152

2

193

2017年12月期末

40

9

49

99

51

24

174

1

224

2018年12月期末

47

6

53

143

32

25

200

5

258

2019年12月期末

49

2

51

141

33

31

205

6

262

2020年12月期末

61

1

62

142

51

32

225

5

2

294

2021年12月期末

64

64

130

56

32

218

5

2

289

2022年12月期末

65

65

130

59

32

221

6

7

56

355

2023年12月期末

66

66

125

69

33

227

6

7

56

362

2024年12月期末

66

66

127

62

33

222

7

18

55

368

(注)1.2015年12月期につきましては決算期の変更に伴い、変則決算(10ヶ月)となっております。

 

(事業系統図)

 

 

 

 なお、テノ.ホールディングスは特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。


有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

テノ.ホールディングスグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてテノ.ホールディングスグループが判断したものであります。

(1)経営方針

テノ.ホールディングスグループは、以下の経営理念を掲げて事業展開を行っております。

「私たちは、女性のライフステージを応援します。」

「私たちは、相手の立場に立って考えます。」

「私たちは、コンプライアンスを推進します。」

「私たちは、事業を通して社会貢献致します。」

テノ.ホールディングスグループは、“女性”が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、働き続けるためには、「いったい何が必要なのか」を基本に事業展開してまいりました。豊かな社会を築くためには、あらゆる場面でさまざまな発想で多くの知恵を出すことが必要です。そういった「より私らしく」と願う女性たちに対してサービスを提供することを事業コンセプトとしております。

 

(2)目標とする経営指標

テノ.ホールディングスグループは、2024年12月期から2026年12月期を最終年度とする「中期経営計画(2024~2026)」の中で、最終年度にあたる2026年12月期における目標計画として連結売上高181億円を掲げております。なお、2024年2月14日に前回公表(2023年2月24日)の中期経営計画のローリングを実施し、新たに2024年から始まる3か年の中期経営計画を策定しております。

 

(3)経営環境

テノ.ホールディングスグループの属する保育業界を取り巻く環境は、長期的には少子高齢化・人口減少の急速な進展が予想されておりますが、こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ」(2023年9月1日公表)によると、2023年4月1日時点で、日本全国の待機児童数は2,680人(前年比264人減)となっております。一方で、保育所等施設の利用児童数は2,717,335人(前年比12,564人減)と減少しております。

2020年12月公表の「新子育て安心プラン」において、2021年度から2024年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿整備が必要であることが示されております。女性の就業率に関してもこれまで80%を目標としておりましたが、82%(2025年まで)へ引き上げることが閣議決定されております(2019年12月「第2期『まち・ひと・しごと創生総合戦略』」より)。

また、2023年4月1日に「子ども家庭庁」の設立がされ、子育てしやすい環境整備へ向けた取り組みが進んでおります。こうした政府の方針を受け、引き続き市場規模の拡大が見込まれるとともに、地域福祉を支える社会インフラとしてテノ.ホールディングスグループが行う事業の役割は、これまで以上に重要性を増すものと考えております。また、女性の社会進出がより進むことによる共働き世帯の増加や働き方の多様化等によって、保育ニーズは今後も高まっていくものと考えております。

テノ.ホールディングスグループが、担うべき役割や果たすべき責任は、今後ますます大きくなってくるものと見込んでおり、社会的な要請や多様化するニーズにしっかりと応えることができる企業集団となっていくことが必要であると考えております。

そのため、2030年12月期のあるべき姿(理想像)として、

「teno VISION 2030」

~時代に求められるサービスを提供するプロフェッショナル集団となり、働き手にとって最も自己実現が可能な家庭総合サービスグループを目指す。~

を掲げ、その実現に向けた取組みを盛り込んだ「中期経営計画」を策定しております。なお数値目標については、経営環境の変化等に柔軟に対応するため原則として毎期改定を行うローリング方式を採用しております。

 

① 「teno VISION 2030」

テノ.ホールディングスグループのボトルネックとなりうる“人材”への戦略的アプローチにより理想的な循環(「人材を持続的に確保・育成できる」→「価値の高い時代ニーズに合ったサービスを提供できる」→「保護者、自治体や企業等から選ばれる」→「グループの総合力が発揮され利益を生み出している」→「働き手にとって最適な環境が整っている」→「人材を持続的に確保・育成できる」→・・・)を実現させることで、テノ.ホールディングスグループのステークホルダーの皆さまから選ばれる企業集団となることを目標としております。

「teno VISION 2030」の最終年度である2030年12月期においては、連結売上高500億円を達成することを目指し、既存事業の拡大、M&Aによる事業拡大、新規事業の創出に注力してまいります。

 

② 「中期経営計画(2024~2026)」

「teno VISION 2030」の実現に向けて「中期経営計画(2024~2026)」においては主力事業の安定成長と新規事業への取組みを基本方針として掲げ、以下の重点施策に取組んでまいります。

イ.保育事業(公的保育・受託保育)における事業拡大(M&Aによる事業拡大も含む)

ロ.「サービス品質」を追求し、選ばれる施設づくりを行う

ハ.人事制度と人材育成制度の一体改革に着手する

ニ.新規事業(保育以外の主力事業へ)を立ち上げる(将来への投資として、多くの種まきを行う)

ホ.介護事業における事業拡大に注力し、保育事業に続く柱の事業へ成長させる

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

テノ.ホールディングスグループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営戦略を立案し、企業価値を最大限に高めることに努めております。テノ.ホールディングスグループが今後より一層の業容拡大を推進し、より良いサービスを実現するためには、様々な課題に対処していくことが必要であり、以下の項目を対処すべき課題として認識しております。なお、最重点課題として人材の確保を掲げ、「teno VISION 2030」の達成に向けて「人材を持続的に確保・育成できる」ことを最初の取組みとしており、テノ.ホールディングスグループが考える理想的な循環実現のために対応してまいります。

 

① 人材の確保

テノ.ホールディングスグループ運営施設の増加に伴い、保育士、調理師、看護師、介護士等の資格を有する優秀な人材の確保が急務となっています。特に保育士の有効求人倍率は依然全国的に高位に推移しており、大都市圏を中心に採用が難しい状況が続いております。このような中、テノ.ホールディングスグループではこれまでの経験者を中心とした採用から新卒者採用に注力しており、また人材紹介会社経由の採用に依存しない採用経路確保に継続して取組んでおります。さらに給与条件の改善をはじめ、研修制度の充実、人事評価制度の見直し等を通じた総合的な処遇改善への取り組みや、保育園と本部が一体となって保育士の働きがいの向上に取り組むプロジェクトとしてチームエンゲージメントセンター(TEC)を立ち上げるなど、優秀な人材の確保に向けた施策を推進しております。

 

② 人材の育成

テノ.ホールディングスグループでは、テノスクール(tenoSCHOOL)の運営を通じて、保育士資格取得やベビーシッター向けの講座、子ども・子育て支援研修制度による自治体主催研修への講師派遣等を通じ、外部人材の育成・教育を実施しております。またテノ.ホールディングスグループ運営施設においては、保育のスキルアップ研修や安全・アレルギー研修等を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人材への継続的な教育投資を実施しております。

テノ.ホールディングスグループが担うべき役割や果たすべき責任は、今後ますます大きくなってくると見込んでおり、社会的な要請や多様化するニーズに対してしっかりと応え続けるべく、人材の育成に継続して努めてまいります。

 

③ 保育の質の維持・向上

テノ.ホールディングスグループの主力事業である保育事業に関して株式会社テノ.コーポレーションが認可保育所及び受託保育所等の運営を、オフィス・パレット株式会社が認可保育所の運営を担っております。事業特性に応じた組織運営によりノウハウの集約を図り、効率的・組織的な管理体制を構築しています。また、研修機会の充実や総合的な処遇改善等による働き方改革の推進により、保育の質の維持・向上に努めてまいります。

重ねて保育の現場では、保育士等の職員がより保育に集中できる環境作りや一人一人の児童に対してしっかりと向き合う機会を作る仕組みの構築に努めております。具体的には、タブレット機器の導入や見守りカメラの設置といった保育施設のICT化(コンピューター技術を活用した保育業務の支援機器等の導入)を推進しております。

 

④ コンプライアンスへの取組み

児童福祉法をはじめ、保育事業を展開するにあたって根拠となる法律・条令等の遵守は、厳格に実施しております。また、テノ.ホールディングスグループが有している施設利用者等の個人情報についても、法律に則った取扱いを徹底しております。これらコンプライアンスへの取組みとして、社内規程の拡充整備を進め、社員研修等により日常的にコンプライアンスへの意識を高め、適正に業務を遂行してまいります。

 

⑤ 安定的な資金調達の確保と財務基盤の強化

今後も継続的に公的保育施設の開設を進めるためには、必要な設備投資資金を安定的に確保することが重要となります。テノ.ホールディングスグループでは、複数の金融機関との継続的取引を通じた安定調達、財務安全性を高める諸施策の実施による財務基盤の強化を進め、安定的かつ機動的な資金調達に努めております。

⑥ M&AとPMIの推進

テノ.ホールディングスグループは、M&Aを推進することで、サービス領域の強化・拡大などに取り組んでおります。今後は、PMIを通じてテノ.ホールディングス水準の経営管理体制を構築しつつ、テノ.ホールディングスグループの成長に寄与する案件の適切な実行を積極的に推進してまいります。

また、PMI以降のフェーズにおいては、経理、総務、人事面の連携によりグループ会社の成長を支援するとともに、グループ会社向けの経営管理部門の体制を強化し、グループ全体での経営基盤をさらに強固にしてまいります。

 

⑦ 事業基盤安定化のための新規事業への着手

テノ.ホールディングスグループの保育事業における公的保育施設の運営につきましては、国及び自治体の保育所に対する政策変更等に大きく影響を受けております。また、受託保育施設の運営につきましても、クライアント企業の業績変動等に少なからぬ影響を受けております。

一方、テノ.ホールディングスグループは、「私たちは、女性のライフステージを応援します。」という経営理念のもと、女性が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、「働き続けるためにはいったい何が必要なのか」を基本にこれまで事業展開しており、ベビーシッターサービス、ハウスサービス、保育人材の紹介・派遣、人材教育を担うテノスクール(tenoSCHOOL)、企業や病院が事業所内保育所を開園するにあたり開園に係るアドバイスを行うコンサルティング事業、結婚相談所事業、保活事業等多様な事業を展開しております。

テノ.ホールディングスグループは、保育事業への上記の課題を踏まえ、事業基盤をより整備・安定化させるために、これら既存事業の一層の拡大に加え、介護事業や生活関連支援事業など経営理念に合致した各種サービス等、テノ.ホールディングスグループの事業ドメイン(コア・コンセプト)を意識した新たな事業を積極的に展開してまいります。

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてテノ.ホールディングスグループが判断したものであります。

 

① 少子化

 テノ.ホールディングスグループは、主に0歳児から5歳児を対象とした保育サービスを提供することで、保育事業(公的保育及び受託保育)を展開しております。少子化が急速に進行し市場が著しく縮小した場合には、運営する施設への入所児童数の減少により、テノ.ホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保

 テノ.ホールディングスグループが提供する各種サービスにおきましては、保育士、調理師、看護師、介護士等の専門的人材が不可欠であります。これら人材を確保するために、人材紹介会社との取引拡大、自社による人材確保戦略の拡充等、人材確保における多チャネル化を進めておりますが、施設数の増加に人材の確保が追い付かない場合、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 保育現場等での事故に関するリスク

 テノ.ホールディングスグループは、保育施設等の運営にあたり、児童及び利用者の安全を第一に考え、万全の配慮をいたしております。しかしながら、重大な事故が発生した場合、当局から営業停止の命令を受けることで、多くの児童及び利用者が退園もしくは退所することも考えられます。この場合、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 法的規制等

 テノ.ホールディングスグループの保育事業において運営しております保育施設につきましては、児童福祉法に基づき許認可等を受けております。保育所の種類は認可保育所等いくつかの種類に分類されますが、いずれの形態の保育所も保育所ごとに許認可権限を持つ行政機関へ保育所設置の申請を行い、審査を経たうえで許認可が付与されます。

 本書提出日現在において、テノ.ホールディングスグループの保育事業において運営している保育所に許認可等取消し事由は発生しておりませんが、何らかの要因により行政機関からの許認可が取消された場合には、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 テノ.ホールディングスグループのその他において、労働者派遣事業及び有料職業紹介事業を、厚生労働大臣の許可等を受け行っておりますが、一定の欠格事由に該当した場合は行政処分を受けることがあります。本書提出日現在において、テノ.ホールディングスグループのその他において当該認可等の取消し、又は事業の停止等となる事由は発生しておりませんが、何らかの要因で当該事業許可等の取消し、又は事業の停止等を命じられるようなことがあれば、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、テノ.ホールディングスグループが現在運営する事業に関連する法規制は、児童福祉法及び食品衛生法が主なものですが、今後、テノ.ホールディングスグループが運営する事業に関連する法規制の制定・改廃等が行われた場合、テノ.ホールディングスグループの事業活動が制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。

 

セグメントの名称

法令名

許認可等

の名称

監督官庁

主な取消事由

保育事業

(公的保育)

児童福祉法

認可

厚生労働省、都道府県及び市町村

・関係法令の規定水準に達しない場合や給付費の請求に関し不正があったとき

・改善命令や事業の停止命令に従わず、違反したとき

保育事業

(受託保育)

児童福祉法

(受託事業者として間接的に適用を受けるものです)

厚生労働省、都道府県及び市町村

・関係法令の規定水準に達しない場合や給付費の請求に関し不正があったとき

・改善命令や事業の停止命令に従わず、違反したとき

 

 

セグメントの名称

法令名

許認可等

の名称

監督官庁

主な取消事由

保育事業

(その他保育)

児童福祉法

企業主導型保育事業に係る助成

厚生労働省、内閣府

・関係法令の規定水準に達しない場合や給付費の請求に関し不正があったとき

・改善命令や事業の停止命令に従わず、違反したとき

介護事業

介護保険法

指定(許可)

厚生労働省、都道府県及び市町村

・関係法令の規定水準に達しない場合や介護報酬の請求に関し不正があったとき

・改善命令や事業の停止命令に従わず、違反したとき

その他

労働者派遣法

労働者派遣事業許可

厚生労働省

・許可の欠格事由に該当するとき(労働者派遣法第6条に定められている条項に抵触した場合等)

・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律もしくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく政省令もしくは処分に違反したとき

職業安定法

職業紹介事業許可

厚生労働省

・許可の欠格事由に該当するとき(職業安定法第32条に定められている条項に抵触した場合等)

・職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく政省令もしくは処分に違反したとき

 

⑤ 食の安全性

 テノ.ホールディングスグループでは、食品衛生法に基づき、厳正な食材管理並びに衛生管理を実施し、食中毒などの事故防止に努めております。しかしながら、何らかの原因により食の安全性に関する重大な問題が発生した場合は、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 感染症の流行

 テノ.ホールディングスグループでは、多くの利用者に安全な保育サービス等を提供するため、感染症について厳重に対応しておりますが、新型インフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルス感染症などの感染症が流行し、利用者が大きく減少し、従事する従業員が多数欠勤し、保育所の運営が困難となる可能性があります。その場合、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 大規模な災害

 テノ.ホールディングスグループは、九州全域また首都圏内において多数の保育所を運営しておりますが、地震、火災、台風等の自然災害等の発生により利用者や従業員、保育所の建物等が被害を受けた場合には保育所の運営が困難となり、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 少額短期保険の引受について

 テノ.ホールディングスグループの少額短期保険事業においては、台風等の自然災害に関わるリスクなど様々なリスクを引き受けております。保険料設定時に想定している経済情勢や保険事故発生率等が、その想定に反して変動した場合には、テノ.ホールディングスグループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。このような場合に備えて、保険業法の定めにより異常危険準備金等を積み立てておりますが、この準備金等が実際の保険金支払に対して十分でない可能性もあります。このような予測を超える頻度や規模で自然災害が発生した場合には、テノ.ホールディングスグループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

⑨ 個人情報の管理

 テノ.ホールディングスグループの保育施設では、数多くの利用者の個人情報を保持しております。これらの個人情報の取扱いは、厳重に管理しておりますが、漏えいするようなことがあった場合、利用者からだけではなく、社会的な信用を失います。その結果、保育所等の新規開設に影響が出る等、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 従業員のコンプライアンス

 テノ.ホールディングスグループは、「私たちは、コンプライアンスを推進します。」を経営理念に掲げ、誠実な企業グループを目指しております。「リスク・コンプライアンス管理規程」をはじめとする規程を定め、リスクを認識し対応を行っております。また、規程に基づいた様々なリスクを統括的に管理するために、毎月「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、リスクへの対策や未然防止に取り組んでおります。しかしながら、法令違反などコンプライアンス上の問題が生じた場合には、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 季節変動

 テノ.ホールディングスグループにおける保育所等は年度初め4月に新規開設されるものが多くなる傾向があります。そのため、第2四半期連結会計期間(4月~6月)において、多額の新規開設費用(売上原価内の経費:主に保育備品や什器設備等、販売費及び一般管理費内の経費:人材紹介料を含む採用費)、補助金収入(特別利益へ計上)、固定資産圧縮損(特別損失へ計上)が計上される傾向にあります。

 

⑫ 資金調達

 テノ.ホールディングスグループの当連結会計年度末の借入金残高は4,763百万円、総資産額に占める比率は50.0%となっております。

 テノ.ホールディングスグループの保育事業及び介護事業におきましては、新規開設に関する設備資金等は金融機関からの借入等により調達することとしておりますが、外部借入への依存度が高く、金利の急激な変動や金融情勢の変化によって計画どおり資金調達ができなかった場合には、新規開設が制約されるなどテノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑬ 固定資産の減損に関するリスク

 テノ.ホールディングスグループの保育事業の業績が今後著しく悪化し、保育設備における有形固定資産の減損処理が必要となった場合には、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。また、テノ.ホールディングスグループは、M&Aにより事業拡大を図ることを成長戦略の一つとして推進しております。M&Aにおいては、将来にわたり安定的な収益力を確保できることを十分に検討しておりますが、将来、計画どおりに収益を確保できない場合にはのれんに係る減損損失が発生し、テノ.ホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑭ 繰延税金資産の回収可能性について

 テノ.ホールディングスグループは、将来の課税所得の予測に基づき繰延税金資産の回収可能性の判断を行っています。しかし、将来の課税所得の予測が変更され、繰延税金資産の一部ないし全部が回収できないと判断された場合は、繰延税金資産を減額することで、テノ.ホールディングスの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ 創業者への依存

 テノ.ホールディングスグループの創業者は代表取締役社長である池内比呂子であります。同氏は、テノ.ホールディングス設立以来の最高経営責任者であり、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、会社の事業推進及び営業施策とその推進において重要な役割を果たしております。

 テノ.ホールディングスグループでは、各業務担当取締役及び部門長を配置し、各々が参加する定期的な会議体にて、意見等の吸い上げや情報共有などを積極的に進めております。また、適宜権限の委譲も行い、同氏に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合、又は、同氏が退任するような事態が発生した場合には、テノ.ホールディングスグループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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