SUBARU(7270)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】SUBARUおよびSUBARUの関係会社(子会社82社、関連会社6社およびその他の関係会社1社(2025年3月31日現在)により構成)においては、自動車部門、航空宇宙部門およびその他部門の3部門に関係する事業を主として行っており、その製品は多岐にわたっています。各事業におけるSUBARUおよび関係会社の位置付けなどは次の通りです。なお、次の3部門は「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。 [自動車]当部門においては、自動車ならびにその部品の製造、販売および修理を行っています。なお、開発・生産における協力関係のもと、トヨタ自動車株式会社とは、スポーツカー(SUBARUの国内生産拠点である群馬製作所において生産)および電気自動車の共同開発を行っており、また、ダイハツ工業株式会社からは、軽・小型自動車のOEM供給を受けています。 [航空宇宙]当部門においては、航空機、宇宙関連機器ならびにその部品の製造、販売および修理を行っています。 [その他]当部門においては、不動産の賃貸などを行っています。 各事業における主な関係会社については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」をご参照ください。 以上の企業集団などについて図示すると、次の通りです。
有価証券報告書(2025年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、SUBARUグループ(SUBARU、連結子会社および持分法適用会社)が判断したものです。 SUBARUグループは、『“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す』という経営理念のもと、ありたい姿である「笑顔をつくる会社」の実現に向け、提供価値である「安心と愉しさ」を進化させていきます。そして、SUBARUを自動車事業と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドへ持続的に成長させるとともに、すべてのステークホルダーの皆様に事業活動へ共感いただくことを通じてSUBARUグループの持続的な成長と愉しく持続可能な社会の実現を目指しています。 (1) ありたい姿、提供価値、経営理念<ありたい姿> 笑顔をつくる会社 <提供価値> 安心と愉しさ <経営理念> “お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す (2) 基本方針<品質方針> 私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます 1.お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします 2.お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします 3.法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします <SUBARUグローバルサステナビリティ方針> 私たちSUBARUグループ*は、人・社会・環境の調和を目指し、 1.事業を通じて、地球環境の保護を含む様々な社会課題の解決と、持続可能な社会の実現に貢献します。 2.高品質と個性を大切にし、先進の技術で、SUBARUならではの価値を提供し続け、SUBARUグループに関わるすべての人々の人生を豊かにしていきます。 3.国際社会における良き企業市民として、人権および多様な価値観・個性を尊重し、すべてのステークホルダーに誠実に向き合います。 4.従業員一人ひとりが、安全に安心して働くことができ、かつ働きがいを感じられるよう職場環境を向上させます。 5.国際ルールや各国・地域の法令を遵守するとともに、その文化・慣習等を尊重し、公正で透明な企業統治を行います。 6.ステークホルダーとの対話を経営に活かすとともに、適時かつ適切に企業情報を開示します。 *SUBARUグループ:株式会社SUBARUおよびすべての子会社 (3) 新経営体制における方針SUBARUグループは、2023年の新経営体制への移行に伴い、同年8月2日に公表した「新経営体制における方針(以降、「新体制の方針」)」※1において、2030年に向けた電動化計画をアップデートし、2023年から2028年までの5年間を大変重要な期間と位置づけ、「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を目指した取り組みを進めています。100年に一度の大変革期を勝ち残っていくために、これらの取り組みを強力に推進し「安心と愉しさ」を追求し続けていきます。さらに近年の自動車産業を取り巻く非連続かつ従来以上にスピード感のある変化に対しては「柔軟性と拡張性」の観点を念頭に置き、よりタイムリーに対応していきます。 ※1:詳細は2023年8月に公表した「新体制の方針」と2024年5月および2024年11月に公表したアップデートをご参照ください。https://www.subaru.co.jp/outline/about/policy/ (4) 対処すべき課題<経営環境の変化の下での収益確保に向けた取り組み>自動車メーカーとしては決して規模の大きくないSUBARUグループが、厳しい競争環境のなかで稼ぐ力を維持し持続的に成長していくためには、お客様にSUBARUならではの価値を認めていただくことが何より大事であり、また徹底した差別化戦略・付加価値戦略が不可欠です。これまで、SUBARUグループの強みを発揮できる分野や市場にターゲットを絞り、限られた経営資源を投入する「選択と集中」を推し進めることで「付加価値」を高めて、競争力を強化してきました。市場については米国を最重要市場と設定し、商品は日常からアクティブライフまで使い勝手が良く、米国市場を中心にお客様との親和性が高いSUV領域に、開発においてはSUBARUグループの技術の強みを活かすことができる「安心と愉しさ」を追求する領域に経営資源を集中してきました。また、SUBARUグループにとって大事なパートナーである販売店と共に、より良い社会の実現に向けて各地域に寄り添った支援活動「Love Promise」を米国において継続的に進めています。これらビジネスモデルや取り組みに対し、販売店・お客様・地域コミュニティからの共感をいただいており、共にSUBARUブランドを磨き、成長を遂げてきました。その結果、2008年からコロナ禍前の2019年にかけて12年連続で小売販売が前年実績を超え、販売台数は約3.7倍と急成長しました。コロナ禍後も米国市場での堅調さは維持し、2025年3月には米国で販売する自動車ブランドの中で唯一、32か月連続で前年同月超えを記録しました。2025年3月期のSUBARUグループの全世界の売上台数93.6万台のうち、米国における売上台数は66.2万台を占めました。米国売上台数のうち50%強は米国現地生産車となりますが、日本で生産され輸入する車両も半数程度あります。日本から輸入する完成車のほか、米国現地生産車においては一部の国から輸入する部品などが米国の関税政策の影響を受けます。しかしながら、SUBARUグループがこれまで育んできたSUBARUブランドの強さおよびお客様との関係の深さに鑑みると、今後も米国市場を最重要市場と位置付けることが、SUBARUグループにとって最善の選択であると考えています。今後、米国市場で最量販車種である「フォレスター」の生産地を米国に移管することを予定し、米国市場で需要が伸びているストロングハイブリッド車両も生産いたします。また、売上台数の増加・売上構成の改善・販売奨励金の抑制・原価低減・費用圧縮などあらゆる収益機会の創出を行うことにより、収益の確保に努めます。 <大変革期の勝ち残りに向けて>①「柔軟性と拡張性」の考え方のもと「モノづくり革新」と「価値づくり」を推進SUBARUグループは、BEV※2はカーボンニュートラルの実現に向けた有力な選択肢ではあるものの、その移行スピードは不透明であり、ICE※3系商品の需要も一定程度継続すると考えています。先行きの見えない変化に柔軟に対応していくためには、従来の考え方・手法を革新的に変えていく必要があり、2023年8月2日に発表した「新体制の方針」の中で、BEVを切り口に大変革に突き進むことを発信しました。一方で、最終的にどのパワーユニットの商品を選択するかを決めるのはお客様です。そのための選択肢として、BEVだけではなく、ICE系商品も幅広く用意することこそが「柔軟性」であり、それを実現するために「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を狙うという考え方は、方針発表当初から何ら変わるものではありません。その一つの手段として、更地にゼロから生産の構えを構築し、開発の手法・プロセスもゼロからスタートできるBEVに一旦舵を切り、「モノづくり革新」と「価値づくり」を実現し、その成果をICE系商品にも展開します。このようにして市場の変化に対応できる「柔軟性」を身に付けていきます。 ※2:Battery Electric Vehicle(電気自動車)※3:Internal Combustion Engine(内燃機関) (商品ラインアップ)BEVの市場導入については、2026年末までにSUVを4車種、2028年末までにはさらに4車種と合計8車種のラインアップを予定しています。2026年末までに導入を予定する4車種のうち、2022年に市場に導入した「ソルテラ」はトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)と共に両社の強みを持ち寄りつくりあげ、その改良モデルを2025年4月に公開しました。また同時にBEVラインナップの第2弾となる新型「トレイルシーカー」を公開しました。新型「トレイルシーカー」は2026年以降に米国市場への導入を予定しており、SUBARUの矢島工場で生産し、トヨタへの供給も予定しています。また2024年度は、トヨタハイブリッドシステムをベースとし水平対向エンジンと機械式AWDを組み合わせたSUBARUらしい独自のストロングハイブリッドシステムである次世代e-BOXERを開発・公表しました。搭載する国内向け「クロストレック」、国内および米国向けの新型「フォレスター」を発表し、すでに多くの受注をいただいています。今後も市場の動向を見据えながら展開拡大を計画します。 新型「トレイルシーカー」(米国仕様車) ストロングハイブリッドシステム さらに、SUBARUのフラッグシップクロスオーバーSUVとして歴史を積み重ねてきた「アウトバック」をフルモデルチェンジいたします。パワーユニットは、改良された水平対向2.5L直噴NAエンジンと2.4L直噴ターボエンジンを採用し、2026年以降に米国市場への導入を予定しています。このように、市場のニーズに合わせたBEV/HEV※4/ICEそれぞれのラインアップを充実させ、電動化移行期における商品の柔軟性を確保していきます。※4:Hybrid Electric Vehicle(ハイブリッド自動車) (生産体制の再編計画)電動車の生産に向け、SUBARUグループは2022年5月より生産体制の再編計画を段階的にアップデートしてきました。国内では2024年秋に北本工場において、ストロングハイブリッドシステムの基幹ユニットとなるトランスアクスルの生産を当初予定通りに開始しました。また、新型「トレイルシーカー」およびトヨタへ供給予定の新型BEVならびにガソリンエンジン車の混流生産を矢島工場にて計画しており、2025年度はその準備が本格化します。矢島工場にある2本のラインのうち、1本のラインを約半年にわたり生産を止めて工事を行うため、一定数の生産台数の減少を想定していますが、その影響を最小限に抑えられるように進めていきます。大泉新工場は現在、環境規制およびお客様の受容などの動向を踏まえながら、「段階的」な立ち上げ準備をしています。またバッテリーの生産工場は、パナソニックエナジー株式会社とともに大泉新工場の近接地への建設を予定しています。群馬県太田市を中心に近距離圏内に工場が位置するメリットを活かし、お取引先様および部品物流まで含めたサプライチェーンのさらなる「高効率化」を図ります。段階的な立ち上げおよびロケーションメリットの活用などにより、「合理的な生産」の実現を目指すというこれまでの方針に変わりはありませんが、昨今の経営環境を踏まえ、投資の実行のタイミングはこれまで以上に精緻かつ柔軟に判断いたします。 (モノづくり革新)モノづくり革新を通じて、小回りの利く「SUBARUの規模だからこそできる」製造・開発・お取引先様領域まで含めたサプライチェーンが一体となった“ひとつのSUBARU化”を進めることで、高密度なモノづくりを推進する―この考え方を軸に、「開発手番半減」、「部品点数半減」、「生産工程半減」を実現し、世界最先端のモノづくりを成し遂げます。開発を含むこれまでの「モノづくり」は、お客様ニーズの多様化やクルマの複雑化などにより対応領域が多岐にわたり、個々の領域の専門化およびお取引先様も含めた分業が一気に進みました。結果として、前工程の手離れを待つリレー式のモノづくりを定着させてきました。この形は、時代の変化に適応しながら成長する過程において発生した制約に対し、でき得る範囲で効率的かつ効果的に対応してきた結果であると評価しています。一方で、従来とは大きく車両構造の異なるBEVという「新しい商品」を企画・開発し、更地にゼロから建設する「新しい工場」で生産を始めるということは、「モノづくり」のアプローチやプロセスを大きく変えるチャンスであると捉えており、これらを起点に合理的で高密度なモノづくりを推進し、徹底的に極めていきます。お取引先様と共に集い、開発・生産など様々な検討を行う「大部屋活動」では、「ひとつのSUBARU化」を推し進め、モノの流れである「サプライチェーン」と開発の流れである「エンジニアリングチェーン」を一体化した「アジャイル」なモノづくりの検討を進めています。高密度な工場ロケーションやサプライチェーン網、それらを基盤とした物流システム確立などの「高効率なパッケージ」と合わせて「開発手番半減」、「部品点数半減」、「生産工程半減」を実現します。「新しい工場」では「生産ラインのモジュール化」および「柔軟なサブラインの構築」、そしてSUBARUが長年突き詰めてきた「変種変量短生産」の考えに基づく「高効率」な混流生産手法をさらに進化させていきます。更地にゼロから建設する「自由度」を十分に活かしながら、敷地および建屋空間の最大活用も視野に入れて効率化を図っていきます。同時に、ラインで流れるBEVを始めとした「新しい商品」に関しても開発初期段階での「車両構造」および「仕様」のシンプル化による部品点数の大幅な削減を進め、「生産工程半減」へつなげます。これらの取り組みに加え、ストロングハイブリッドシステムの基幹ユニットとなるトランスアクスルを製造する埼玉県の北本工場を含めた各工場のロケーションメリットを最大活用し物流効率を極限まで高めることにより、リードタイムの大幅な短縮につなげていき、従来以上にお客様のニーズにお応えする商品をより早くお届けすることを目指します。 (価値づくり)米国では販売子会社であるスバル オブ アメリカ インク(SOA)と全米の販売店が一体となった「Love Promise」という活動が実を結んでいます。SUBARUの商品を核として、販売店・お客様・地域社会の人と人そしてSUBARUを強固につなげるこの取り組みこそが、SUBARUの「社会と未来への価値貢献」であり、これを守りさらに取り組みの輪を拡げていくという想いは、この先の大変革期や電動化時代においても決して変わるものではありません。そしてSUBARUは、フォーブス誌の「社会へ良い影響をもたらす企業ランキング」において、米国内3,000を超えるブランドの中で、2023年と2024年は2年連続で2位に、2025年には3位に選ばれました。これは、商品だけでなく、SUBARUの理念や取り組みに対する総合的な評価ですが、その根幹は「安心と愉しさ」という不変の提供価値を具現化するために追求し続けてきた「テクノロジー」にあると考えています。例えば、運転支援システム「アイサイト」は、30年以上にわたる開発の過程で「安心」という「価値」を磨いてきました。今後も究極の安全を目指し、お客様にあらゆる運転環境下においても絶対的な安心を感じていただくために、SUBARUの強み領域におけるテクノロジーの進化を加速させていきます。商品や機能を核とし、お客様には「安心」、「挑戦」、「いつでも新しい」というような「SUBARUと共に過ごすことでの色褪せない情緒的な価値」を感じていただけると考えています。電動化が進むことにより、「今まで以上にお客様の人生に寄り添うSUBARU」を目指していきます。テクノロジーの進化に向けた取り組みのポイントは、2つあります。1つ目のポイントは「協業の深化」です。特にBEVでは新たな領域の「価値づくり」が必要であり、従来のお取引先様との関係を越えて、いかに協業のカタチをより深化させるかが大切です。2つ目のポイントは、「知能化」です。SUBARUらしい「安心と愉しさ」の強化はもちろん、BEVならではの「シームレスでストレスフリー」といった新たな価値を加え、そしてそれらをICE系商品にも展開していきます。 協業の深化2024年1月に稼働を開始した群馬県太田市の開発拠点「イノベーション・ハブ」では、SUBARU従業員とお取引先様が垣根なく集い、開発・生産など様々な検討を行う「大部屋活動」を推し進めています。軽量・コンパクトな次世代電動車両用e-Axleは株式会社アイシンと共同で開発しています。単なる共同開発の枠に留まらず、調達・生産の領域まで踏み込むことにより両社の強みを活かした競争力のあるe-Axleを実現するために、共に歩みを進めています。 互いに100年を超える歴史を持つパナソニック エナジー株式会社とは、「次の100年をつくり上げるために、互いの技術と知見を持ち寄り、世界最先端の性能とコストを実現する」という大義のもとで、バッテリー供給に関する協業を進めています。新設するバッテリー工場のロケーションメリットやコスト視点も踏まえた両社の様々な知見の活用など、競争力を高める取り組みを進めています。世界的な半導体メーカーであるAMDとは、「2030年死亡交通事故ゼロ」の実現に向けて、アイサイトとAI推論の融合に関わる協業を行っています。その協業により実現する最適化されたSoC※5は、「ADAS※6」のみならず「車両運動」領域などを制御する「統合ECU」の重要な構成要素を担います。これらの「協業の深化」により、世界最先端の「安心と愉しさ」の実現を目指していきます。 ※5:System on a Chip ※6:Advanced Driver-Assistance Systems(先進運転支援システム) 知能化「統合ECU」はSUBARUの強みである安全や走りの領域に絞り込んだ「内製開発」により、コスト競争力を保ちつつ、車両の「頭脳」として、SUBARUらしい高度な「知能化」を実現します。「統合ECU」を活用した制御ノウハウやBEVをつくりあげる過程で得た知見を蓄積するとともに、SUBARUが得意とする内製化のスピードをさらに高め、ICE系商品への活用および実装も踏まえて検討を深めます。SUBARUグループは、この100年に一度と言われる大変革期の中、「モノづくり革新」と「価値づくり」を推し進めます。開発・生産の工程はもちろん、事業活動全体の効率化・生産性を突き詰め、商品競争力を磨き、SUBARUらしいアフォーダブルな商品として提供することで「お客様に感じていただける価値の最大化」に取り組みます。2030年以降に向けてそれらを実現することにより、「業界高位の収益力」を維持し、勝ち残っていきます。 ②脱炭素社会に向けた取り組みSUBARUグループは脱炭素社会に貢献するため、商品(スコープ3)および工場・オフィスなど(スコープ1および2)に関する長期目標(長期ビジョン)を2050年とし、それを補完する中期目標(マイルストーン)を設定しています。これらの目標は非連続かつ急速に変化する事業環境に応じて随時見直されており、2023年には、工場・オフィスなどの中期目標を「2035年度に2016年度比60%削減」に引き上げました。SUBARUグループのバリューチェーン全体のCO2排出量は販売した商品の使用によるものが大部分を占めるため、前述の通り自動車の電動化に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要です。また、SUBARUグループが直接排出するCO2(スコープ1および2)の削減にSUBARU自らが率先して取り組むことは、バリューチェーン全体での削減活動をより充実させていくものと考え、再生可能エネルギーの利用や高効率な設備への更新などに取り組んでいきます。なお、商品および工場・オフィスに「素材部品」、「輸送」、「廃棄」を加えたバリューチェーン全体の脱炭素社会に向けた取り組みは、各領域でのCO2削減を目的とした会議体にて管理され、最終的には環境委員会にて全体統括されています。 <人財づくり>SUBARUが目指す世界最先端の「モノづくり」「価値づくり」は「真の競争力をもった人・組織」により実現されると認識しており、その強化に取り組んでいます。SUBARUでは「真の競争力をもった人・組織」とは、「人財それぞれの異なる能力が最大発揮されている」、「本質業務に注力し成果創出までのスピードが速い」、「全体最適の意識を持ち、組織の壁を容易に越えながら動ける」、「挑戦・応援できる風土がある」状態と捉えており、その実現に向けた各種施策を実施しています。「個の成長」に向けた人財育成では、自律的なキャリアプランの形成を職場や上司がサポートする仕組みをベースに、さらにチャレンジを加速する施策として「公募型ジョブローテーション」や従業員が学びの機会を自ら探し出し会社から全面支援を受けることができる制度などを導入し、推進しています。ほかにも全従業員が自身のレベルや目的に応じて選択できる多様な研修プログラムを整備し、個々に応じたキャリア開発が実現できうる仕組みづくりを進めています。「個の成長」を後押しする仕組みの整備や様々な施策の継続により、自律的な人財の育成が着実に実を結びつつあります。「組織の成長」に向けて、直接部門では全員参加の現場主権による現場力強化活動を、間接部門ではDX推進による業務の効率化・機械化の推進を基軸として生産性向上を図り、成長につなげていきます。IT・AI活用の領域においては技術部門で構築済の「ソフトウエア人財育成プロジェクト」に加え、すべてのSUBARU社員を対象とした「ITアカデミー」を設立しました。また、さらなる成長を目指す観点では、「つながりの強化」を最重要項目に位置付け注力していきます。経営として目指す姿と従業員一人ひとりの取り組みのつながりの深化、部署間の連携や協働の強化、全社のチャレンジを支援・応援できる仕組みづくり、従業員同士の接点増加などを通じて、個々のチャレンジをより大きな成果につなげるとともに、挑戦に向かう人財創出スピードを向上させていきます。一例として全役職者約4,000名を対象に「組織の壁を越え、組織の力を強化する」手法を学ぶ大規模研修を進めています。自律した人財一人ひとりが持つ熱意や個性を最大限に活かし、「ひとつのSUBARU」として持続的に最大限の成果を創出できるよう、「真の競争力をもった人・組織」の実現に向けた取り組みを強力に推し進めていきます。 <資本コストや株価を意識した経営>SUBARUは持続的な成長に向けて「資本コストや株価を意識した経営の実現」が不可欠だと考えています。SUBARUの直近の資本コスト(WACC ※CAPMベース)は7%半ばですが、ROEは12.8%と資本コストを上回る数値で推移しております。自動車業界の大変革期においても、世界最先端の「モノづくり」「価値づくり」を着実に実行し、競争力のあるSUBARUらしい商品を市場へ導入することで2030年を見据えた長期的目標として、「業界高位の収益力」「ROE10%以上」を追求していきます。2025年3月期は、足許のキャッシュの状況および株価の水準などを踏まえ、より一層、株主の皆様に報いる趣旨から安定的・累進的な配当を目指し、DOE(親会社所有者帰属持分配当率)の考え方を取り入れた株主還元方針に変更いたしました。一方、PERについては、現状6倍前後とプライム市場平均PERに対し低位で推移し、また、PBRは1倍を下回っています。米国における関税政策など自動車産業の不確実性を背景に期待が醸成されづらい状況であることが要因と捉えており、今後より一層のIR活動の強化に取り組み、「モノづくり革新」「価値づくり」の着実な実行の進捗開示などを通して、SUBARUグループへの期待値向上へつなげていきます。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】SUBARUグループでは緊急事態発生時の対応だけでなく、日々の企業活動において重大な影響を及ぼす様々なリスクに対し、リスク発生時のダメージを最小化するためのリスクマネジメントの実践を経営の最重要課題の一つとして推進しています。 自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えており、グローバルに事業を展開するSUBARUグループは、世界情勢の変化に素早く対応し、経営の持続性の確保と経営基盤の強靱化を図りつつ、人的、社会的および経済的損失の最小化にこれまで以上に取り組んでいく必要があります。このような環境のなかで事業活動を行っていくうえで、グループ全体での戦略的なリスクマネジメントの推進が不可欠であり、SUBARUグループをリスクに強い体質にし、企業価値の向上を図ることが重要であると考えています。 SUBARUグループのリスクマネジメント体制SUBARUは、グループのリスク顕在化と拡大を防止するため、取締役会が選任したCRMO(最高リスク管理責任者)が、SUBARUグループのリスクマネジメント・コンプライアンス活動を統括し、活動状況などを取締役会に報告するとともに、重要な案件については取締役会の審議を経て意思決定しています。具体的な推進体制として、各部門に本部長クラスのリスク管理責任者を置き、CRMOを委員長、リスクマネジメント・コンプライアンス室および法務部からなるリスクマネジメントグループを業務執行責任範囲とする執行役員を副委員長とする「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」(以下「リスコン委員会」という)において、重要事項の審議・協議、決定および情報交換・連絡を行い、重要度に応じて取締役会に上程しています。CRMOは、リスクマネジメント・コンプライアンス室や法務部などのコーポレート部門の専門的見地からの支援を受けつつ、各事業に横断的な役割を担う経営企画部や各部門・カンパニーと密接に連携し、グループを通じたリスク管理の強化を推進しています。さらに、監査部が各部門および各子会社の業務遂行について計画的に監査を実施しています。 リスクマネジメントの取り組み2024年度は、平時の取り組みとして、リスコン委員会において、グループ全体の「リスクマネジメント方針」と各部門の「リスクマネジメント行動指針」のもと、各本部の重要リスクの洗い出しを実施、影響度の大きな課題を優先的に対応し、日常業務としてリスクの抑制を図る活動を推進しました。2023年8月2日に公表した「新体制の方針」の実現をより確実に進めていくために、各本部の重要リスクに加え、外部変化や足元の環境を踏まえた経営レベルの議論を通じて策定したリスクマップを活用するなどリスクマネジメントの一層の強化を進めています。これに加えて、最適なリスク管理とその実効性向上のためのリスクマネジメント研修会を実施、リスクリテラシー向上と委員会活動の活性化を図りました。さらに、SUBARUグループの重点リスク低減に向け、それぞれのリスク分野を担当するリスクオーナー主導のもと「サイバーインシデント訓練」の実施、「関連企業の適正取引」の徹底推進、SUBARUの「自然災害におけるBCP体制」の充実などに取り組み、リスコン委員会で定期的なフォローによる実効性の向上を図りました。加えて、海外の重要な子会社との直接的なリスクマネジメント活動を推進しています。具体的には、定期的なリスク評価の実施、リスク軽減策の共有、そして現地の法規制や文化に対応したリスクマネジメントの強化を図っています。また、定期的に「安否確認システム」の訓練などを実施することで、SUBARUに影響を及ぼすおそれのある災害発生時の情報共有に備えています。 主要な事業等のリスクSUBARUグループの経営成績および財務状況、キャッシュ・フローなどに数百億円以上の大きな影響を与え、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事業等のリスクと対応策は以下の通りです。 なお、文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在においてSUBARUグループが判断したものであり、SUBARUグループに関するすべてのリスクを列挙したものではありません。 米国の関税政策SUBARUグループは、米国を主要市場とした自動車事業を行っており、米国の関税政策により主に米国販売子会社が日本から輸入する完成車や、米国生産拠点の現地生産車について一部の国から輸入する部品などが関税の対象となります。現在、各拠点や日米間で関係部門が密に連携し、情報の収集や対応策の検討を行っています。引き続き、関税政策の影響を最小化すべく、売上台数の増加・売上構成の改善・販売奨励金の抑制・原価低減・費用圧縮などにグループ一丸で取り組むとともに、2026年3月期は複数のSUBARUらしい魅力的な新商品をお客様に提供し収益の確保に努めていきます。しかし、関税政策の長期化やそれにもとづく為替や金融市場の大きな変動ならびに需要が減少した場合は、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 経済・金融環境の変動に関連するリスク (1) 主要市場の経済動向SUBARUグループの主要な市場である国および地域の経済情勢は、SUBARUグループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。国内はもとより、SUBARUグループの売上収益の約8割を占める北米における景気の後退や需要の減少、価格競争の激化などが進むことにより、SUBARUグループの提供する商品・サービスの売上収益や収益性に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (2) 為替の変動SUBARUグループにおいて北米売上収益は約8割を占め、売上収益、営業利益、資産等のなかには、米ドルを中心とした現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しています。通期の業績見通しなどにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面ではSUBARUグループの売上収益と財務状況はマイナスに作用し、円安局面ではプラスに作用する可能性があります。SUBARUでは為替リスクを最小限にすべく、状況に応じ為替予約などによるヘッジを実施していますが、期末日に極端な為替変動が生じた場合、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (3) 金融市場の変動SUBARUグループは、事業活動の資金を内部資金および金融機関からの借入や社債の発行によって確保しています。また、十分な手元流動性を確保するために、一定額の現金および現金同等物残高の確保を行っています。しかし、経済・金融危機などの発生により金融市場から適切な条件で資金調達が出来なくなった場合、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。また、SUBARUグループは市場性のある証券や債券などの金融資産を保有しており、金融市場の影響により公正価値や金利などが著しく変動した場合、金融資産の減損および年金資産の減少による従業員給付債務の増加により、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (4) 原材料価格の変動 SUBARUグループは、原材料を多数のお取引先様から適時適切な量で調達していますが、特定の原材料およびお取引先様に依存している場合があります。原材料の調達においては、持続的な競争力を確保するために、お取引先様との共存共栄に根差した生産性改善・品質改善等に取り組んでいます。一方、地政学リスク、需給の逼迫、環境規制などの要因による原材料価格や物流費、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇等によるコストの増加に対し、原価改善努力やSUBARU製品価格への転嫁等でその影響を吸収しきれない場合、SUBARUグループの経営成績と財務状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、米国の関税政策により、米国生産拠点の現地生産車について一部の国から輸入する部品の調達コスト増加の影響があるため、原材料や部品調達への影響を注視するとともに、お取引先様と一体となり最適な調達を行うことで引き続き原価改善に取り組んでいきます。 業界および事業活動に関連するリスク (5) 特定の事業および市場への集中SUBARUグループは、主に自動車と航空宇宙の2つの事業により構成され、“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、選択と集中を進め、限られた経営資源を最大限活用することで高収益なビジネスモデルを展開しています。自動車事業の売上収益が9割以上を占め、販売市場は主に北米を中心とした先進国です。主要生産拠点は国内の群馬製作所および米国のスバル オブ インディアナ オートモーティブ インク(SIA)の2拠点となり、主にSUV(多目的スポーツ車)を中心とした生産と販売を行っています。このため、自動車事業に関わる需要や市況、同業他社との価格競争などが予測し得る水準を超えて推移した場合、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (6) 市場における需要・競争環境の変化SUBARUグループの主力事業である自動車業界は大きな環境変化を迎えており、モビリティサービスの普及に伴う異業種からの参入や環境対応に伴う電動化へのシフト、シェアリングや自動運転普及に伴う移動手段の多様化によって、お客様の価値観や嗜好ニーズはさらに多様化していくことが予想されるなど、SUBARUを取り巻く環境は非連続かつ急速に変化しています。このような状況のなか、SUBARUグループは2023年6月に経営体制を刷新し、同年8月に「新体制の方針」として、2028年までの5年間を大変重要な期間と位置づけて、「モノづくり革新」と「価値づくり」の2つに強い決意をもって取り組んでいくことを発表しました。2024年4月には、これら2つの取り組みを加速させることを主眼に、全社組織の横串機能強化と執行責任の明確化ならびに具現化していく体制(自動車事業 5つのCXO(Chief X Officer、の新設※1など)、2025年4月には、更に2つのCXO※2や組織改編(カスタマーファースト推進本部の新設・営業部門再編)を実施、核心的重点テーマへの取り組みのスピードアップと全体最適化の実現を目指します。このように、常に市場環境や需要動向を捉え、お客様ニーズに基づく商品企画を行い、適切なタイミングと価格で新商品を開発・製造し、市場に導入することに努めています。このような取組みの一方で、SUBARUグループの新型車や新商品が販売計画に満たない場合、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 ※1:CMzO(最高モノづくり責任者)、CBBO(最高バッテリービジネス責任者)、CDCO(最高デジタルカー責任者)、 CCBO(最高コネクトビジネス責任者)、CCIO(最高コスト改革責任者)※2:CLO(最高物流責任者)、CHRO(最高人財責任者) (7) 商品ならびに販売・サービスに関する責任SUBARUグループは、品質の高さをSUBARUブランドの大事な根幹、付加価値の源泉であると位置づけ、「品質改革」の3つの切り口である「品質最優先の意識の徹底と体制強化」「つくりの品質の改革」「生まれの品質の改革」に取り組み、着実な成果を生んでいます。今後もこれらの改革を加速させるとともに、電動化など新技術対応を含めた開発最上流から、生産、物流、そしてアフターサービスなど、様々な接点でお客様に価値を感じていただける品質を確保します。そのために、厳格な完成検査体制を維持して確かな品質で商品をお届けするとともに、万が一不具合が発生してしまった場合には、お客様へのご迷惑を最小限にするとともに、迅速な解決を最優先とした業務プロセスの改革に取り組みます。さらに、お客様視点に重点を置いた啓発活動を全社で展開することで、従業員全員の品質最優先の意識の徹底を図っていきます。このように品質改革に取り組む一方で、大規模なリコールなどが起こった場合、多額のコストとして品質関連費用などが発生することに加え、ブランドイメージの毀損などにより、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (8) サプライチェーンの分断SUBARUグループは、自動車や航空機などの製造にあたり、多数のお取引先様から部品や材料を調達しています。定期的にお取引先様の品質保証力や供給能力のチェックを行うとともに、必要に応じお取引先様の経営状況のチェックも行い、安定調達に努めています。物流については、2025年4月から、CLO(Chief Logistics Officer:最高物流責任者)ならびに物流本部を新設し、ドライバー不足などサプライチェーンを取り巻く環境変化に、迅速かつ柔軟な対応を進め、今まで以上に安全で効率的な物流の実現に向けた取り組みを行っていきます。また、有事が発生した際は、平時より整備をしている「サプライチェーン情報データベース」に基づき、影響を受ける可能性のあるお取引先様や部品を早期に特定することにより、生産継続に必要な在庫数の確認や代替品の生産検討、さらには生産設備の復旧支援を行うなど、サプライチェーン分断の影響を最小限に留める対応を取っています。しかしながら、大規模な地震や台風などの自然災害、工場火災やサイバー攻撃被害、地域紛争などによりサプライチェーンの分断や需給のひっ迫、物流網の混乱が発生した場合、安定したコスト・納期・品質で調達の維持や商品の出荷が出来ず、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (9) 知的財産の侵害SUBARUグループは、製品やサービスを通じてお客様に「安心と愉しさ」という価値をお届けするために必要な技術・ノウハウなどを知的財産として保護し、SUBARUのブランド価値の維持・向上に努めています。しかしながら、第三者がSUBARUグループの知的財産を不当に使用した類似製品を製造した場合や、知的財産に関わる訴訟などが生じてSUBARUに不利な判断がなされた場合には、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (10) サイバーセキュリティSUBARUグループは、製品の開発・生産・販売など、事業活動において情報技術やネットワーク、システムを利用しています。また、製品では電子部品を搭載し、ソフトウエア制御しています。これらの資産を守るためにサイバーセキュリティ基本方針を定め、サイバーセキュリティ部門が中心となりセキュリティマネジメントシステムを構築し、これに基づく活動をサイバーセキュリティ会議の運営を通じて行っています。また、セキュリティインシデントの未然防止やサイバーセキュリティ対策の一層の強化に向けて、セキュリティに関する外部専門家の知見も取り入れITガバナンスの強化や技術的な対策を講じています。具体的には従業員の意識向上に向けたセキュリティ教育や監査を定期的に実施するとともに、セキュリティ防御システムの増強も行うことで日々進化するサイバー攻撃からのリスク低減を図っています。これに加え、サイバー攻撃検知の迅速化を図るための監視とセキュリティインシデント発生時のSIRT(Security Incident Response Team)体制も整備しています。データのバックアップについては、SUBARUデータセンター内の自社運用ならびにクラウド環境において、複数箇所に分散しバックアップが取れる体制を整えており、局所的な災害などにおいても、事業継続や復旧の早期化に向けた対策を講じています。SUBARUグループの情報技術やネットワーク、システムは、安全対策が施されているものの、サイバー攻撃、不正アクセス、マルウェアによる攻撃、人為的なミスによる個人・企業情報の漏洩、大規模な停電、火災などが発生した場合、重要な業務やサービスの中断、データの破損・喪失、機密情報の漏洩などが発生し、ブランドイメージの毀損やSUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (11) コンプライアンスSUBARUグループは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つと位置付け、法令・社内諸規程などの遵守はもとより、社会規範に則した公明かつ公正な企業活動を遂行することを役職員一人ひとりに浸透させるべく、コンプライアンス体制・組織の構築および運営、ならびに各種研修等の活動を行っています。コンプライアンスリスクの回避または最小化に努めているものの、SUBARUグループおよび委託先などにおいて重大な法令違反や役職員の不正・不適切行為などが発生した場合、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下などによるブランドイメージの毀損が事業基盤に重大な影響を与え、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (12)訴訟など法的手続きSUBARUグループは、事業活動を行うなかで、お客様、お取引先様や第三者との間で様々な訴訟そのほかの法的手続の当事者となる可能性があります。現在係争中の案件や将来の法的手続においてSUBARUグループに不利な判断がなされた場合、ブランドイメージの毀損やSUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (13)ステークホルダーコミュニケーションSUBARUグループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーから満足と信頼を得るために、コーポレートガバナンスガイドラインを定め、コーポレートガバナンスの強化を経営の最重要課題の一つとして取り組んでいます。また、ディスクロージャーポリシーに基づき、フェアディスクロージャーに努め、法令に基づく開示を行っています。さらに、経営戦略や事業活動などSUBARUグループを深く理解していただくために有効と思われる会社情報を、迅速、公正公平、適正に開示しています。また、SUBARUグループの持続的な成長に向けた発信として、2023年8月に公表した「新体制の方針」の各取り組みの進捗や、電動化・人的資本・知的財産・ガバナンスなどのESG情報、および資本コストや株価を意識した経営について株主・投資家等と建設的な対話を図るとともに、社内関係者へのフィードバックを行うなどステークホルダーコミュニケーションの向上に努めています。しかしながら、株主との建設的な対話やステークホルダーとのコミュニケーションが不十分な場合、インサイダー取引などの不公正取引や虚偽記載などの法令違反行為による巨額の課徴金支払いなどが発生した場合は、株主や投資家をはじめとしたステークホルダーからの信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下などによるブランドイメージの毀損が事業基盤に重大な影響を与え、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (14) 人権尊重SUBARUグループは人を第一に考え、「人を中心としたモノづくり」を行っています。「一人ひとりの人権と個性を尊重」することを、SUBARUの重要な経営課題と捉え、SUBARUグループの「人権方針」を策定するとともに、同方針をもとに、ビジネス上の人権リスクを特定し、その対応策を策定、実行する「人権デュー・ディリジェンス」を実施しています。そのなかで明確化したSUBARUグループにとって特に重要なリスクについての対応策を着実に進め、継続的にリスク軽減を進めています。また、サプライチェーンを含め、事業に関連するビジネスパートナーやそのほかの関係者にも、本方針に基づく人権尊重の働きかけを行い、人権尊重の取り組みを推進しています。それにもかかわらず、SUBARUグループおよび上記関係者において、労働環境・労働安全衛生上の問題、様々なハラスメント、労働者の権利・機会の侵害、人権上の問題のある調達などを行った場合には、関連法規への抵触に加え、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下によるブランドイメージの毀損、販売の低迷、人財流出、資材・資金の調達難などが事業基盤に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (15) 人財の確保と育成SUBARUは、従業員一人ひとりがSUBARUグループの持続的な成長と持続可能な社会の実現の両立を担う原動力となるべく、「真の競争力をもった人・組織」の実現を目指すとともに、自身のキャリア形成を考え、チャレンジする風土づくりや多様な人財が活躍できる環境整備を進めています。「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を目指すべく、電動化対応、先進安全技術、IT分野の強化などの専門領域における人財確保に向けて、積極的な採用を行っています。2020年12月にIT企業の集積地である東京都渋谷区に新たな開発拠点として「SUBARU Lab(スバルラボ)」を開設し、これまでAI開発に必要な人財の採用に取り組んできました。2025年2月には拠点を拡張し、その機能をソフトウエア全般の開発に広げイノベーションの創出につなげていきます。また、独自の価値創造を実現し続けるため、様々な個性や価値観を持つ従業員が個々の能力を十分に発揮できるよう、性別・国籍・文化・ライフスタイルなどの多様性を尊重した登用を行うとともに働きやすい職場環境の整備に努めています。特に安全衛生については、重要な経営課題と位置づけ「安全衛生はすべての業務に優先する」ことを基本理念とし、労働災害防止、疾病予防、労働環境向上に向けた取り組みを全社的に進めています。今後、労働市場のひっ迫、異業種も含めた人財獲得競争の激化、コンプライアンス事案につながるような労務問題により人財の確保ができない場合、安全衛生への対応が不十分な場合、あるいは人財の流出が続いた場合は、SUBARUグループの事業活動や経営に影響を及ぼす可能性があります。同様に、人財の育成が不十分な場合や、従業員の多様性が尊重された誰もが活躍できる職場環境が実現できない場合においても、SUBARUグループの事業活動などに影響を及ぼす可能性があります。 (16) 気候変動SUBARUグループは、気候変動に関連する「政策・規制」、「技術」、「市場」などの移行リスクに関して、各専門部門が広く情報を収集し、将来予測から不確定な気候変動リスクの認識に努めています。また、気候変動の物理的なリスクに関わる浸水などの自然災害に伴う操業リスクに関しては、BCPの一環として、リスクマネジメント・コンプライアンス室が中心となり関連規程類の整備を進め、緊急時のSUBARUグループ全体にわたる情報を一元的に掌握するとともに、その対応を統括管理する体制を整えています。このような取り組みの一方、気候変動に対する取り組みが適切に進まない、あるいは異常気象による調達・生産・物流活動の停滞などが生じた場合、さらに現時点での将来予測が極めて困難な移行リスク・物理リスクの影響および発現度により、研究開発費用などの増加、顧客満足やブランドイメージの低下による販売機会の逸失、異常気象による調達・生産・物流活動の停滞などにより、SUBARUグループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性が考えられます。 移 行 リ ス ク規制事業運営全般各国の気候変動に関する目標の見直しにより、ビジネス全般に重大な影響を与える可能性があります。商品各国の燃費規制に合致しない場合、法令違反に基づく追加の費用や損失を被る、あるいは商品の販売機会が制限される可能性があります。生産段階石油などの地政学的な要因によるもののほか、政府のカーボンプライシング制度の対象となり、化石燃料使用に伴うコストが上昇する可能性があります。技術商品電動化は、ライフサイクル全体で収益性を確保しつつ進めることが重要であり、商品の上流・下流を巻き込んだ取り組みが進まない場合、商品のライフサイクル全体でその目的を達成できない可能性があります。生産段階再生可能エネルギー利用が進まなかった場合、スコープ1、2排出量の削減対策が滞る可能性があります。市場商品現時点では電動化に関する予測が難しく、将来、市場との乖離が生じることが予想されます。この乖離は過大な開発投資による損失や顧客満足の低下による販売機会の減退を招き、電動化の進行を遅らせる可能性があります。また、電動化は中長期的に着実に進むものと考えており、ある段階で一気に市場への浸透が進んだ際、適切な技術と商品を備えていない場合、商品の販売機会に重要な影響を与える可能性があります。評判事業運営全般 脱炭素化への取り組みが不十分な場合、ブランド価値の毀損による人財採用や販売での悪影響および資金調達の困難による資本コスト上昇の可能性があります。物理リスク急性事業運営全般気候変動の顕在化に伴う各地での集中豪雨の多発による原材料供給の停滞や工場浸水によ る操業リスクが考えられます。慢性天然資源を使用しているタイヤ、電動化技術に使用する金属資源の調達が困難になる可能性があります。 気候変動に関する認識している主な機会気候変動に対する適切な取り組みにより、新たな市場の開拓や雇用の創出、資本やエネルギーの効率的な活用が期待されます。市場機会商品の環境対応が適切に進み、かつ、世界規模で気候変動の適応・緩和も進んだ場合、SUBARUの主力市場を維持しつつ、安心と愉しさに共感する市場の拡大が期待できる可能性があります。また、気候変動の緩和に貢献することで、SUBARUのブランド価値が上昇し、人財の採用や販売に好影響を与える可能性があります。また、投資家からの資金調達が容易となり、資本コストの低減につながる可能性があります。エネルギー源に関する機会生産段階で消費するエネルギーに関し、費用対効果にも配慮しつつ再生可能エネルギーへ移行することは、化石燃料由来のエネルギーに内在する価格変動リスクから解放され、将来のコスト上昇を未然に防げる可能性があります。 ※リスク・機会に関しては、過去の事実や現在入手可能な情報に基づいたものであり、将来の経済の動向、SUBARUを取り巻く事業環境などの要因により、大きく異なる可能性がある。また、気候変動に適応したSUBARUの商品が貢献できる機会を表したものであり、気候変動の悪化などを期待するものではない。 その他事業活動に影響を与える各国規制やイベント性のリスク (17) 事業活動に影響を与える各国の政治・規制・法的手続きSUBARUグループは、北米を中心に世界各国において事業を展開しています。海外市場での事業活動においては、政治的、経済的要因、法律または規制の変更、課税、関税、その他の税制変更等のリスクが内在しています。当該リスクが顕在化した場合や事業展開をしている国・地域において政治的要因・通商政策の強化、通商紛争などが発生した場合には、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。特に、米国の関税政策により、米国販売子会社が日本から輸入する完成車や、米国生産拠点において一部の国から輸入する部品などが関税の影響を受けています。SUBARUグループでは、今後も動向を注視し、関税政策の影響を最小化すべく様々な対応を行っていきます。また、環境などに関する主な法的規制は、自動車の燃費、排出ガス、省エネルギーの推進、騒音、リサイクル、製造工場からの汚染物質排出レベルに関するもので、これらの規制は、今後、さらに強化される可能性があります。各種規制への対応が不十分な場合、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (18) 地政学・地経学的災害(国際紛争・テロリスク)SUBARUグループは、世界各国において事業展開をしており、統括部門が日々情報収集やモニタリング活動を行い関連部門で情報を共有しています。しかしながら、当該国や地域においてテロ、戦争、内戦、政治 不安、治安不安などが発生し、SUBARUグループの事業活動が妨げられ、原材料・部品の購入、生産、製品の販売および物流、サービスの提供などの遅延や停止が長期化する場合には、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (19) 自然災害と関連する損害SUBARUグループでは、日ごろから事業継続に備えた規程類の定期的な整備とアップデートおよび訓練などを実施しています。さらに、各事業所単位では、重要業務の選定、緊急連絡体制の整備等BCPの強化を図り、全社コーポレート部門と密接に連携しながら事業継続や早期復旧を的確かつ迅速に行うための対応を進めています。しかしながら、大規模な地震、台風、豪雨、関連する火災・洪水等の自然災害や火災などの事故の発生により、SUBARUグループの事業活動が妨げられ、原材料・部品の購入、生産、製品の販売および物流、サービスの提供などの遅延や停止が長期化する場合や、企業機能停止が長期化する場合、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 (20)感染症等の発生SUBARUグループは経営に重要な影響を及ぼしかつ通常の意思決定ルートでは対処困難な緊急性が求められるリスクについて、有事の際に対応できる体制を整備しているものの、感染症やその他未知見な災害(パンデミック等)の発生により、SUBARUグループの事業活動が妨げられ、生産、商品の販売やサービスの提供などの遅延や停止が長期化する場合や企業機能停止が長期化する場合には、SUBARUグループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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