伯東グループ(伯東及び伯東の関係会社)は、伯東、子会社14社及び関連会社1社で構成され、電子・電気機器、電子部品の販売及び輸出入並びに工業薬品の製造・販売を主な内容として事業活動を展開しております。
伯東グループの事業に係る位置付け及び報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、事業区分は報告セグメントと同一であります。
電子部品事業………………伯東が販売するほか、連結子会社Hakuto Enterprises Ltd.、Hakuto Enterprises (Shanghai) Ltd.、Hakuto(Thailand)Ltd.、Hakuto Singapore Pte.Ltd.、Hakuto Taiwan Ltd.、Hakuto Trading(Shenzhen) Ltd.、Hakuto America Inc. 及びHakuto Czech s.r.o. においても販売しております。なお、その商品の一部は上記各連結会社間で売買取引されております。
連結子会社モルデック株式会社は、電子部品の製造販売及び一部の電子部品の加工を伯東より受託しております。
電子・電気機器事業………伯東が販売するほか、連結子会社Hakuto Enterprises Ltd.、Hakuto Enterprises (Shanghai) Ltd.、Hakuto(Thailand)Ltd.、Hakuto Singapore Pte.Ltd.、Hakuto Taiwan Ltd.、及びHakuto Engineering(Thailand)Ltd.においても販売しております。
伯東は、電子・電気機器の一部を関連会社サンエー技研株式会社から仕入れております。なお、その商品の一部は上記各連結会社間で売買取引されております。
工業薬品事業………………伯東は石油・石油化学関連、紙パルプ関連及び化粧品基剤等の製造・販売をしております。
その他の事業………………伯東は太陽光発電事業を行っております。連結子会社伯東A&L株式会社は、業務請負業等を行っております。
事業の系統図は次のとおりであります。
伯東グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において伯東グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
伯東グループは、2021年4月に4ヶ年の中期経営計画「Change & Co-Create 2024」を公表し、エレクトロニクス商社とケミカルメーカーの複合企業として、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、収益力の向上や新規事業の展開などの経営課題に取り組んでまいりました。
ウクライナ情勢や中国経済低迷の長期化、更には米国をはじめとする各国の金融引き締めなど、不透明な状況が続いている中、伯東グループは本計画にて掲げた事業構造改革による効果に加え、主力事業を展開しているエレクトロニクス業界において、自動車向け半導体並びに産業機器向け半導体及び半導体製造装置の堅調な推移により、2021 年度、2022 年度共に当初計画の定量目標である連結営業利益50 億円以上を達成いたしました。そのため、2023年4月に本計画の折り返し地点に際し、成長を維持するため、以下の通り定量目標の見直しを行いました。
(定量目標)
本計画の最終年度となる2024年度(2025年3月期)における見直し後の定量目標は以下の通りです。
経営指標 |
当初計画 |
見直し後 |
連結営業利益 |
50億円以上 |
90億円以上 |
連結営業利益率 |
3.0%以上 |
4.5%以上 |
ROE |
6.0%以上 |
9.0%以上 |
その他の項目は当初に公表した全社戦略、事業戦略を踏襲しており、2023年度の本計画に基づく取り組み状況は以下の通りです。
(中期経営計画の進捗状況)
全社戦略 |
・全社横断的に成長を加速させる事業の創出や市場開拓への取り組み ・事業間連携を通じた情報共有の強化 ・収益性の高い事業への人員シフト ・DX推進強化 ・新人事制度移行 |
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セ グ メ ン ト 別 戦 略 |
半導体デバイス事業 |
IoT等ソリューションビジネスの販売強化とDX推進による収益性の改善 |
電子コンポーネント事業 |
他事業顧客へのクロスセルによる販路拡大と新分野・新商材開拓 |
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電子・電気機器事業 |
新商材開拓と自社ブランド商品の企画・開発強化・販路開拓 |
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工業薬品事業 |
環境ビジネスを中心に外部技術との融合によるコア技術強化 |
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海外事業 |
環境ビジネスを中心に外部技術との融合によるコア技術強化 |
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定量目標 |
連結営業利益76億円、連結営業利益率4.2%、ROE8.0% |
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株主還元 |
配当金総額52億円、総還元性向101.4% |
計画策定時及び前期からの外部環境の変化は、ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ地区情勢などの地政学的リスクにより国際情勢が一段と不安定化しており、中国経済低迷の長期化なども併せて、不確実性が高まっております。
そのような環境下においても、エレクロトロニクス分野では、電子部品の供給体制の正常化により需給逼迫は解消されてきており、自動車向け半導体を中心とする高い需要に支えられ、2023年度も当初の中期経営計画の目標値を上回ることができました。
しかし、中国市場低迷の長期化や顧客の在庫調整、米中デカップリング問題等の不安定要素も存在しています。本計画にて掲げた全社戦略並びに事業戦略の遂行・浸透により、引き続きいかなる環境下においても持続的な成長力と安定した収益力を確保できるよう事業構造の変革に努めてまいります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
伯東グループでは、各事業における存在意義や付加価値の低下、あるいは成長性の鈍化を優先的に対処すべき事業上の課題と認識しております。2023年度は旺盛な半導体需要の継続と円安の影響など外部環境によるプラス効果も加わり、当初の中期経営計画の目標値を上回ることができましたが、中期経営計画における目標は、いかなる環境下においても持続的な成長力と安定した収益力を確保できる企業体質への転換であると考えております。中期経営計画の最終年度となる2024年度は、事業構造の変革を実現するべく、以下の課題に取り組んでまいります。
①収益構造の改革と有望分野への投資
電子部品事業では人的資源の効率的な配置やDX活用によるバックヤードの効率化などの収益改善への取り組みが順調に進行しております。電子・電気機器事業においては2023年7月に熊本に新たにサービスセンターを設置し、半導体関連の堅調な投資ニーズを取り込んでおります。また、2023年度に新設した事業企画室を中心に伯東グループが目指すありたい姿を表したビジョンの策定を行うと共に、全社横断的に成長を加速させる事業の創出や市場開拓に取り組んでまいります。
②資本コストを意識した経営の実践
自社の株主資本コストを概ね7~8%と認識し、ROE8%以上を持続的に達成することを目標としております。業務の効率化、商材の見直しなどにより、収益性の改善と投下資本の削減を図るとともに、電子・電気機器並びに工業薬品の自社ブランド商品の強化や新規事業展開及び外部との協業など、オーガニック、ノンオーガニック双方で成長を実現することで、伯東グループ全体の資本収益性を改善し、企業価値向上に取り組んでまいります。
③サステナビリティ経営の推進
気候変動や人権問題などのESG経営の重要課題については、伯東グループ全体で横断的に対処する体制の整備を進めております。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への取り組みとして、温室効果ガス(GHG)排出削減目標を設定し、持続可能な社会の実現に貢献できるよう努めてまいります。また、2024年4月に「伯東グループ人権方針」を制定しており、実効性のある人権マネジメント体制を構築し、適正な運営に取り組んでまいります。
各事業セグメントにおける優先的に対処すべき事業上の課題、並びに財務上の課題は以下の通りであります。
(電子部品事業)
電子部品事業は、2024年3月期は大手半導体メーカー製品の商流変更の影響等により売上高は減少したものの、過去においては順調に売上高を伸ばしており、伯東グループにおいて最大の売上規模があります。また、セグメント利益も前期に引き続き外貨建て輸出取引の為替影響等の外的要因により、過去最高益であった前期には及ばなかったものの、それ以前と比較すると、伸長しております。同事業の売上高の8割弱を占める半導体デバイス部門は近年車載分野や5G通信分野などにおいて積極的に商権を拡大してきたものの、一方では仕入先・顧客の再編による大規模化により、その間に挟まれる商社の交渉力や役割が低下しているという外的要因に加えて、顧客のニーズを踏まえた提案営業やそれに対応できる組織化及び技術で対価を得る仕組み化の途上であり、また、低採算商権の移管受入などもあり、低収益の要因になっていたものと認識しております。
したがって、同事業における対処の方向性は、従来の単品販売ビジネスから「情報力×技術力×提案力」で対価を得るソリューションビジネスへの進化を志向することにより、存在価値を高めて収益性の向上を目指すこと、また、組織については、半導体ビジネス部門と電子コンポーネント部門間の協業による顧客層拡大をさらに進め、注力市場でのビジネス拡大に注力するとともに、労働生産性改善のためにDX・デジタル化による業務効率化とコスト削減を更に推進し、収益改善を図ることと考えております。
(電子・電気機器事業)
電子・電気機器事業は、伯東グループにおいては電子部品事業に次ぐセグメント利益を生み出している比較的高収益な事業と位置付けており、2024年3月期は真空・理化学関連機器の需要の拡大や前年度受注分の出荷などにより販売が増加しました。しかし、同事業が取り扱う商品群が最先端のエレクトロニクス技術に基づくため、技術革新による商品の競争力の低下や陳腐化の影響を受けやすいという外的要因に加えて、自前主義での成長を探索する中での自社製品の企画・開発強化の遅れや、貿易規制等による海外販路開拓の遅れなども成長性鈍化の要因になるものと認識しております。
したがって、同事業における対処の方向性は、短期的には既存事業領域以外の育成を図ることにより、新規商品・自社ブランド商品の拡充に注力し、長期的には商品ラインの拡大を図ることで、他社と差別化されたバリューチェーンの確立及びポートフォリオの拡大に取り組むことと考えております。
(工業薬品事業)
工業薬品事業は、伯東グループにおいては高収益で特色あるメーカー部門と位置付けておりますが、他のセグメントと比較すると成長性、規模ともに劣後しております。これは、同事業の既存マーケットが主に国内の石油・石油化学産業、紙・パルプ産業であるという外的要因に加えて、メーカーの屋台骨である技術強化投資の不足、環境ビジネスを中心とする新事業展開や海外展開の遅延なども要因になっていたものと認識しております。
したがって、同事業における対処の方向性は、自社技術を活かした新製品の開発に加え、コア技術と外部の技術との融合により事業領域を拡大するとともに、協業を通じた海外の販路・製造・サービス機能の強化により海外事業拡大を進めることにより、新規事業の創出に取り組むことと考えております。
〔参考〕:過去5期のセグメントごとの売上高、及びセグメント利益(金額単位:百万円)
決算期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
電子部品事業 |
売上高 セグメント利益 |
123,708 576 |
134,949 919 |
157,119 3,682 |
197,818 10,462 |
144,287 5,929 |
電子・電気 機器事業 |
売上高 セグメント利益 |
18,286 900 |
19,029 1,770 |
21,609 2,104 |
22,717 1,665 |
26,547 1,777 |
工業薬品事業 |
売上高 セグメント利益 |
11,160 838 |
10,962 890 |
12,300 1,337 |
12,615 849 |
10,788 35 |
注:2022年3月期より報告セグメントの区分を変更しており、2021年3月期以降については変更後のセグメント区分に組み替えた数字となっております。
また、海外事業においては中華圏・ASEANのエリア統括機能を発揮し、拠点の壁を越えて組織を編成することで、新規事業開拓へリソースを重点配置し、事業の拡大と業務の効率化に取り組んでまいります。
(財務上の課題)
伯東グループでは、収益性の向上に加えて、ROE(自己資本利益率)の低位固定化及び運転資本の増大に伴うバランスシートの肥大化への対応なども優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。
そのため、2021年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画「Change & Co-Create 2024」では、計画期間中は配当と自己株式の取得による「総還元性向100%」を目標とした株主還元を実施することにより、資本効率や資本コストを意識した経営を実践することを基本方針としております。また、事業面においては、事業セグメントごとに連結ベースのバランスシートを展開して運転資本とROIC(投下資本利益率)を算出し、各セグメントの特性に応じたベンチマークを設定することにより、売上高利益率や資産回転率などの財務指標の改善とフリーキャッシュ・フローの創出を図ることを対処の方向性としております。
伯東グループではリスクを「グループの収益や損失に影響を与える不確実性」と捉え、複雑化・多様化するリスクに対して適切な対策を行うことにより、リスクの回避や発生時の被害を最小限に抑える予防的活動を含めた取り組みをリスクマネジメントと位置付けております。
こうした考えに基づき、伯東ではリスクを組織的に管理するために必要な基本事項を定め、事業活動におけるリスクを統括的に把握し、適切に管理することを目的として、リスクマネジメント委員会を設置し、リスクの確実な把握と実効性のある予防的活動に取り組んでおります。
伯東グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を受ける可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において伯東グループが判断したものであります。
(外部環境に起因するリスク)
(1)経済、市場動向に関するリスク
伯東グループの業績は、マクロ的経済動向に少なからず影響を受けますが、電子部品事業及び電子・電気機器事業においては、エレクトロニクス業界全体の市場動向に大きく影響を受けます。具体的には民生用、産業用エレクトロニクス製品の生産並びに需要状況、半導体の生産並びに出荷状況、顧客の在庫保有状況、半導体設備への投資及び設備の稼働状況等が挙げられます。特に、近年では自動車技術の高度化や通信機器の高性能化などにより車載用、産業用等の幅広い分野で半導体需要は一定の高さを維持しておりますが、供給体制の改善により在庫のだぶつきも顕著になっています。また、エレクトロニクス業界のグローバル化が進む中、海外子会社を有する伯東グループは、国内のみならず、アジア、欧米を中心とした世界各国の経済、市場動向にも影響を受けます。米中対立の長期化やウクライナやイスラエル・ガザ地区などの国際情勢の影響から、経済安全保障の観点より先端技術の輸出規制がさらに強化されるなど、国外取引先とのサプライチェーンの見直しを余儀なくされる可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、顕在化した場合には、伯東グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対しては、仕入先企業や販売先企業あるいは同業他社の動向等に常に注視し、マクロ経済や世界情勢、業界動向の変化を的確にとらえ経営施策に反映させるよう努めております。
(2)災害並びに感染症に関するリスク
伯東グループは、神奈川県伊勢原市に電子部品事業や電子・電気機器事業の物流・サービス拠点と三重県四日市市に工業薬品事業の生産・研究開発拠点を有するなど、国内外に複数の物流、生産拠点並びに施設があります。これらの施設が地震や火災等により被災し、あるいは施設内において感染症等が発生した場合には、一時的に商品及び製品の出荷が困難となる可能性があります。また、取引先企業において同様の災害や感染症が発生した場合には、サプライチェーンの確保が困難となる可能性があります。
各国において新型コロナウイルス感染症対策による行動制限の緩和が進んでおりますが、今後感染再拡大が発生した場合は、日本においてのみならず、各国の生産・物流動向の影響を受ける可能性もあります。伯東グループでは引き続き感染防止・衛生管理の徹底を行うとともに、取引先企業や地域情勢にも注視し適切な措置を講じてまいります。
(技術・競合に起因するリスク)
(3)技術、開発動向に関するリスク
伯東グループが取り扱う電子部品、電子・電気機器及び工業薬品は、技術革新によって優位性を有する競合品の市場投入により陳腐化し、競争力が低下する場合があります。
また、近年は中国をはじめとする新興諸国企業の台頭により、技術面や価格面で優位性を持つ商品が市場に多く投入されるようになっており、アジア地域を中心にローカルビジネスの強化を重要な成長戦略の1つとして位置付けている伯東グループの阻害要因となる場合があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、顕在化した場合には、伯東グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争並びに競合に関するリスク
伯東グループが取り扱う電子部品、電子・電気機器及び工業薬品は、最終製品を製造販売する国内外の顧客が競争激化や国内市場の縮小等のさまざまな要因により、日頃より厳しい価格競争に置かれているため、常にコストダウンの要求を受けております。
また、電子部品事業においては、半導体デバイス等電子部品のコモディティ化及び低付加価値化の進行に伴い、競合サプライヤーや競合代理店との差別化がより難しくなる中、競合企業間の価格競争がさらに激化することにより、利益面での影響を受け易くなっております。当該リスクに対しては、技術力を活かしたソリューションビジネスへの取り組み等により、競合代理店との差別化を図るとともに、労働生産性改善のためにDX・デジタル化の推進による業務効率の向上に努め利益性の確保に取り組んでおります。
(5)商権の喪失に関するリスク
商社事業の電子部品事業及び電子・電気機器事業では、多くの商権(仕入先との代理店契約による製品販売権)が事業の根幹を形成しております。仕入先との代理店契約には、契約期間や契約解除要件が定められており、その解除権は伯東グループと仕入先の双方が有しております。
近年のエレクトロニクス業界においては、M&Aによる事業再編が活発化しており、エレクトロニクス関連製品を取り扱う販売代理店でも商流の見直しや統廃合の動きが見られます。伯東グループは商権の維持や新規獲得に向けた努力をしておりますが、買収による仕入先企業の消滅、仕入先企業の販売子会社設立及び競合代理店への商流変更等により商権を喪失する場合があります。
当該リスクが顕在化した場合には、伯東グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
(財務リスク)
(6)運転資本に関するリスク
輸入半導体等多くの外国製品を取り扱う伯東グループは、国内企業との商取引習慣の違いによる支払条件のギャップを吸収してキャッシュ・フローの調整を図る金融機能を担っております。近年のエレクトロニクス業界においては、仕入先(半導体メーカー等)と顧客(電機メーカー等)の再編による大規模化、設備投資及び研究開発資金の増大等を背景に、売掛債権の回収と買掛債務の支払いとの間に一定期間の差が生じております。また、米中対立の長期化、自然災害の増大等を背景に、BCP(事業継続計画)の観点から伯東グループが保有する棚卸資産は増加傾向にあります。
その結果、伯東グループのCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を短縮することができず、伯東グループのキャッシュ・フローに影響を及ぼすとともに、運転資本の調達コスト上昇により業績にも影響を与える可能性があります。
さらに、棚卸資産については、市場動向や販売状況及び顧客の在庫保有状況により滞留するリスクがあります。伯東グループでは、顧客企業の生産計画を基に、仕入先企業の生産のリードタイムとの平衡を図ることで、余剰在庫が生じないように努めておりますが、一定の在庫期間を経過し、かつ、受注のない滞留在庫については、収益性がないものとして帳簿価額を切り下げることにより伯東グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
〔参考〕:過去5期のCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル/連結ベース)
決算期 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
棚卸資産平均回転期間(月) |
2.7 |
2.8 |
2.6 |
2.7 |
4.0 |
売掛債権平均回収期間(月) |
3.1 |
3.1 |
2.9 |
2.8 |
3.4 |
支払債務平均支払期間(月) |
1.5 |
1.6 |
1.5 |
1.5 |
1.9 |
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(月) |
4.3 |
4.4 |
4.1 |
4.0 |
5.5 |
※ 棚卸資産平均回転期間=((前期末棚卸資産+当期末棚卸資産)÷2)÷(当期売上原価÷12)
※ 売掛債権平均回収期間=((前期末売掛債権+当期末売掛債権)÷2)÷(当期売上高÷12)
※ 支払債務平均支払期間=((前期末支払債務+当期末支払債務)÷2)÷(当期仕入高÷12)
※ キャッシュ・コンバージョン・サイクル=棚卸資産平均回転期間+売掛債権平均回収期間-支払債務平均支払期間
※ 棚卸資産=商品及び製品+仕掛品+原材料及び貯蔵品
※ 売掛債権=売掛金+受取手形+電子記録債権
※ 支払債務=買掛金+支払手形+電子記録債務
※ 仕入高=当期商品仕入高+当期原材料仕入高
(7)為替動向に関するリスク
伯東グループの事業はアジア地域を中心に各国にまたがり展開しており、取引通貨についても各国の現地通貨に加えて日本円、米国ドル、ユーロなど多岐にわたるため、為替変動によるリスクが存在しております。伯東グループでは、為替相場の変動リスクを回避することを目的として、「市場リスク管理規程」及び「外国為替予約締結マニュアル」に従い、為替予約等によるリスクヘッジ策を実施しております。
為替変動は伯東グループの事業に対して多面的な影響を及ぼすため、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、短期間のうちに急激な為替変動が発生した場合には、伯東グループの業績やキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
〔参考〕:過去5期の伯東単独業績における調達地域別仕入高(原材料費及び外注費を含む)
決算期 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
|
合 計 (百万円) |
127,011 |
120,754 |
150,353 |
176,845 |
140,282 |
|
|
国内調達(百万円) |
58,633 |
51,482 |
59,525 |
89,641 |
92,306 |
海外調達(百万円) |
68,378 |
69,272 |
90,828 |
87,203 |
47,975 |
(8)金利動向に関するリスク
伯東グループは運転資金、及び設備投資資金の一部を金融機関より調達しております。現在の経済環境下では、市場金利が急激に上昇する可能性は低いと見られておりますが、伯東グループの業績悪化など個別の理由により、金融機関からの調達金利が上昇した場合には、業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
なお、伯東グループは金利リスクを回避する目的で金利を実質的に固定化する金利スワップを利用しております。また、ヘッジ会計の要件を満たす取引についてはヘッジ会計を適用しております。
〔参考〕:過去5期の借入金残高及び平均金利(連結ベース)
決算期 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
(短期借入金) |
|
|
|
|
|
前期末残高(百万円) |
7,100 |
17,900 |
12,400 |
15,300 |
22,700 |
当期末残高(百万円) |
17,900 |
12,400 |
15,300 |
22,700 |
15,800 |
平均利率 |
0.3% |
0.3% |
0.3% |
0.3% |
0.5% |
(1年内返済長期借入金) |
|
|
|
|
|
前期末残高(百万円) |
633 |
3,019 |
3,880 |
4,690 |
6,100 |
当期末残高(百万円) |
3,019 |
3,880 |
4,690 |
6,100 |
8,870 |
平均利率 |
0.4% |
0.5% |
0.5% |
0.5% |
0.6% |
(長期借入金) |
|
|
|
|
|
前期末残高(百万円) |
589 |
12,320 |
12,765 |
12,624 |
12,809 |
当期末残高(百万円) |
12,320 |
12,765 |
12,624 |
12,809 |
11,175 |
平均利率 |
0.4% |
0.5% |
0.5% |
0.6% |
0.7% |
(法的リスク)
(9)製造物責任(PL)並びに得意先等からの求償に関するリスク
商社事業の電子部品事業及び電子・電気機器事業では、納期遅延や品質不良等の理由により顧客から求償を受けた場合には、顧客との協議により求償金額を軽減した上で仕入先より補填を受けるよう努めておりますが、常に伯東グループの負担額がゼロになるとは限りません。
また、製造販売業の工業薬品事業では、納期遅延や品質不良に加えて、伯東製品の顧客の設備や周辺環境へ及ぼす影響等の理由により、顧客から求償を受けることがあります。伯東グループでは、品質不良等の製造物の欠陥による損害が発生するリスクに備えて製造物責任(PL)保険及び専門事業者賠償責任(E&O)保険に加入しておりますが、最終的に伯東グループが負担する賠償額の全てを補填できるとは限りません。
当連結会計年度において重要な求償及び賠償の支払いはありませんが、当該リスクが顕在化した場合には、民事賠償責任に加えて、許認可や資格の剥奪、レピュテーションの低下等の間接的損害により、伯東グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制に関するリスク
伯東グループは国内外に拠点を有し事業を展開しており、国内及び外国の法的規制を受けております。これらの法令や規則を遵守できなかった場合、各国当局から事業活動が制限され今後の事業計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。
特に安全保障貿易管理については米中対立の長期化やウクライナやイスラエル・ガザ地区などの国際情勢を受けて、規制措置は強化される傾向にあり、慎重な対応が必要な状況にあります。これに対して伯東では子会社・関係会社を含めた従業員に対する教育を実施し、輸出関連法規の遵守に努め、伯東が販売する製品および設計・製造・使用に係る技術等が、規制される貨物等として直接または間接を問わず規制対象地域等へ輸出されることを防止する取り組みを行っております。
(その他のリスク)
(11)情報セキュリティに関するリスク
伯東グループは、情報資産を保護するため「情報セキュリティ方針書」並びに「情報セキュリティ対策標準書」を策定した上で、「情報セキュリティ委員会」を設置して、情報セキュリティ対策を強化しております。具体的には、会社支給のPC・情報端末への盗難・紛失対策、機密情報の不正持ち出しに対する対策、サイバー攻撃に対する対策等となります。また、近年はサイバー攻撃による情報資産の社外流出リスクが高まっていることから、伯東グループが利用する情報システム及びネットワークインフラについては、外部専門機関によるサイバーセキュリティ診断を実施し、脆弱性の検出とリスクの解消に努めております。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については予測が困難であるものの、事故または故意により伯東グループの情報資産が流出した場合には、刑事責任や民事賠償責任に加えて、復旧費用の発生やレピュテーションの低下等の間接的損害により、伯東グループの業績や今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
(12)人材確保や育成に関するリスク
伯東グループでは持続的な企業成長のためには優れたスキルやノウハウ、豊富な経験を有した人材の採用および育成が重要であると認識しております。事業発展のための必要な人材が採用・育成できなかった場合や想定以上の人材が流出した場合には中長期的に今後の事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
伯東では新卒採用のみならず中途採用においても採用活動の強化に努めるとともに、社員満足度の向上に向けて「人事の透明性」と「キャリア形成」に主眼を置いた新人事制度を運用しております。キャリアコースの増設などにより、社員の多様な働き方を支援し、優秀な人材の確保・育成に取り組んでおります。
(13)海外事業におけるコーポレートガバナンスに関するリスク
伯東グループは、海外子会社を通じて中華圏及びASEANを中心に海外展開を図っており、連結売上高に占める海外売上高の割合は約40%を占めております。今後も海外売上高の比率は高水準で推移することが予想されます。
海外子会社においては、各国の商慣習や法規制などに加え地政学リスクなど、国内とは異なるリスクに晒されることからグループ統制によるリスク管理が重要であると認識しております。グループ統制の不足や連携不十分等により、現地における政治・社会情勢や法律・税制の変化に対する対応の遅れなど管理上の問題が発生する可能性があります。特に海外における訴訟案件や従業員による不適切行為などについては、伯東の業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。伯東では中華圏及びアセアンに地域統括責任者を任命し、現地の管理強化を図るとともにグループ諸規程の整備やコンプライアンス研修の実施など、ガバナンスの強化に取り組んでおります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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