HOYAグループは、HOYA株式会社及び連結子会社138社(国内5社、海外133社)並びに関連会社14社(国内4社、海外10社)により構成されており、ヘルスケア関連製品、メディカル関連製品、エレクトロニクス関連製品、映像関連製品の製造販売及びそれらに附帯する事業を行っております。(2025年3月31日現在)
各製品は、HOYA及び国内外の関係会社によって製造されております。
一方、販売は、国内については、製・商品の大部分がメーカー、専門店等に対する直接販売方式によっており、輸出については、主にHOYAから各国の関係会社を通じて行っております。
HOYAグループはグローバルベースのグループ連結経営によって運営されております。グループ本社の立案した経営戦略を、ライフケア及び情報・通信を中心とした各事業部門がそれぞれの事業責任のもと遂行いたします。
地域別には、北米・欧州・アジアの各地域の地域本社が、国・地域とのリレーションの強化、法務支援及び内部監査等を行い事業活動の推進をサポートしております。また、グループ全体の財務本部をオランダとシンガポールに置いております。
事業領域別のHOYA及び関係会社(地域本社等4社を除く)の位置づけは次のとおりであります。なお、事業区分(部門)はセグメント情報の主要製品及び役務の分類と同一であります。
分野 |
事業区分(部門) |
主要製品及び役務 |
会社名 |
ライフケア |
ヘルスケア |
メガネレンズ、コンタクトレンズ |
HOYAビジョンケアカンパニー部門、アイケア事業部門 HOYA HOLDINGS N.V. (欧州地域本社) HOYA LENS DEUTSCHLAND GMBH. HOYA OPTICAL LABS OF AMERICA, INC. HOYA LENS THAILAND LTD. その他59社 |
メディカル |
内視鏡、処置具(メディカルアクセサリー)、自動内視鏡洗浄装置、 |
HOYAメディカル事業部門、ライフケア事業部門 HOYA MEDICAL SINGAPORE PTE. LTD. PENTAX OF AMERICA, INC. PENTAX EUROPE GMBH その他40社 |
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情報・通信 |
エレクトロ ニクス |
半導体用マスクブランクス・フォトマスク、FPD用フォトマスク、 |
HOYALSI事業部門、FPD事業部門、 MD事業部門 HOYA CORPORATION USA HOYA ELECTRONICS SINGAPORE PTE. LTD. HOYA GLASS DISK VIETNAM LTD. その他10社 |
映像 |
光学レンズ・光学ガラス材料、各種レーザー機器、光関連機器 |
HOYAオプティクス事業部門 HOYA OPTICAL TECHNOLOGY (WEIHAI) CO., LTD. その他4社 |
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その他 |
音声合成ソフトウェア |
ReadSpeaker Holding BV その他9社 |
事業の系統図は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてHOYAグループが判断したものであります。
(1)経営方針
HOYAグループは、持続的成長と企業価値の最大化に向けて、ビジネスモデルや景気感応度、営業地域等が異なる複数の事業を展開することでリスクを分散し、グループ全体の収益性・安定性・成長性を確保していくポートフォリオ経営を行っております。それぞれの事業が現状どのライフサイクルにあるかを見極め、成長性の高い領域へ経営資源を配分し、また、市場が衰退期にある事業から撤退することで競争力の高い事業ポートフォリオの維持に努めており、現在は、ライフケアと情報・通信という2つの大きな事業分野を柱に据えています。
(2)経営環境
世界的な高齢化の進展や新興国の経済発展による中間所得者の増加等で市場成長が見込まれるライフケア事業と、情報化社会の進展により市場成長が見込まれる情報・通信事業の半導体・HDD関連製品を成長ドライバーと捉えています。また、次の10年、20年の成長を担う新たな成長事業の開発・獲得を重要な経営課題と認識しています。
(3)目標とする経営指標
HOYAグループは、資本に対するコストを上回る利益を生んだとき、企業価値が増大し、すべてのステークホルダーにご満足いただけるものと考えております。その実現のための経営指標としてSVA( Shareholders Value Added )を導入し、効率的な経営に努めております。
(4)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
中長期的な会社の経営戦略
HOYAは継続的な企業価値の増大と最大化を経営方針としており、その実現のため、以下の5つの項目に注力してまいります。
① 市場の変化への迅速かつ柔軟な対応と経営資源の効率的な活用
HOYAグループの事業領域は多岐にわたっておりますが、事業部門に大幅に権限を委譲することで意思決定のスピードを早め、競合に先んじて顧客のニーズに沿った戦略を立案してまいります。また、HOYAグループの経営資源を適切に配分し、設備投資、事業提携、M&A、事業の撤退・縮小といった判断をタイムリーに行ってまいります。
② 新たな事業、技術の創出
HOYAグループは、収益を確保し成長し続けるために、従来とは異なる成長分野において、内部開発やМ&Aなどにより新たな事業や技術を獲得していくことが重要な課題と認識しております。今後も世界に通用する技術や競争優位性の高い事業の内部開発やМ&Aによる獲得、それらを担う人材の採用・育成にさらに力を注いでまいります。
③ 成長市場での事業拡大
デジタルデバイスの長時間使用などによる若年層の視力低下や世界的な高齢化により視力矯正を必要とする人口が増え続けています。医療の現場では医師・患者双方の要求として身体への負担軽減・治療の短時間化が望まれるようになり、低侵襲医療が加速度的に普及しています。また、情報化社会の進展により高性能で省電力な半導体の開発やデータセンターへの投資が進められています。以上のような背景から、HOYAグループは人々の視力や健康、情報化社会の進展をサポートする製品を成長分野と位置づけ、経営資源を積極的に投入し事業の拡大を目指してまいります。
④ サイバーセキュリティへの対応
生成AⅠをはじめとするⅠT技術の進展や各種ⅠTツールの普及に伴い、企業にとってサイバーセキュリティへの対応は重大さを増しています。同時に、サイバーセキュリティに対する脅威は絶えず進化しています。そのような環境に対応すべく、HOYAグループではサイバーセキュリティ強化に継続的に取り組んでおります。
⑤ サステナビリティ(ESG)への対応
HOYAグループは、サステナビリティ/ESGへの対応を重要経営課題の一つと設定しCEOから委任を受けた CSOが中心となってグループ全体のサステナビリティ/ESGに関する活動を推進しています。基本方針や重要施策はグループ本社のESG推進室において起案し、CSOから取締役会へ定期的に報告を行っています。取締役会は、経営に対する監督機能と客観性を担保するため、当連結会計年度では取締役7名中5名を独立社外取締役とし、経営者としての十分な経験や国際感覚に加え、サステナビリティ/ESGの観点からも「人材育成/ダイバーシティー」のバックグラウンドを持ち、そして、気候変動に関してもマネジメントとして重要な意思決定を行った経験を有する人物を配しています。取締役会はサステナビリティ/ESGに関する方針や目標、予算を含む重要事項や定期報告に対して多角的な観点から助言・監督を行っています。
当年度では、執行役の中長期インセンティブ(Performance Share Unit)の指標の一つであるESG目標*1の配分を10%から25%に引き上げ、会社一丸となってESGの取り組みを前進させることへのコミットメントの姿勢を示しています。また、事業部ごとに気候変動への対応や各事業部固有のESG関連目標を設定し、KPIを事業部長の報酬に組み入れることで実効性を高めています。
*1 外部機関による評価および気候変動・人的資本などESGテーマへの取り組み状況により目標を設定
〈中長期 再エネ比率・CO2削減目標〉
2023年2月にRE100*2へ加盟し、2040年までに事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギー(再エネ)由来にすること、そして2021年度比でCO2を100%削減することを目標に定めました。これまでの省エネ活動をより一層推進させるとともに生産拠点での太陽光発電の導入やグリーン電力プランへの切り替え等により再エネ導入を進めることでCO2削減に取り組んでいきます。
*2 企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてHOYAグループが判断したものであります。
(1)執行役への依存
HOYAグループは、経営の効率化、意思決定の迅速化を図るため、全執行役で、グループ全体の経営方針や経営戦略・事業戦略の策定・決定をはじめ、事業化及び事業推進に至るまで、HOYAグループの事業活動上重要な役割を果たしております。このため、HOYAグループでは過度に執行役に依存しないよう、経営体制を整備し、経営リスクの軽減を図ることに努めるとともに、後継者計画の作成を行っておりますが、執行役が何らかの理由により業務を遂行できなくなった場合、HOYAグループの経営成績及び今後の意思決定に影響を及ぼす可能性があります。
(2)国際情勢の影響
今後、為替の大幅な変動、ある地域でヒト・モノ・カネの動きが異常に抑制された場合、また、HOYAグループが事業を行っている国々で、政治・経済又は法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、事故、天災地変、感染症の流行など予期せぬ事象が起きた場合、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
為替変動については、USドル、ユーロなど主要な販売国および生産国の為替レートの変動により円ベースでの売上高と利益の減少をもたらす可能性があります。
このため、高付加価値製品の販売促進や生産性の向上、生産地の多様化に努めるとともに、継続的な営業活動から生じる債権債務の決済を、ユーロ、USドル、円の主要3通貨において、可能な限り同一通貨で行うことで為替変動リスクを抑えています。しかしながら大幅な為替影響が発生した場合、HOYAグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2024年3月期においてそれぞれの通貨が1パーセント円高になった場合の当期利益に与える影響は次の通りでした。
USドル 317百万円減少、ユーロ 64百万円減少、タイバーツ 444百万円減少
HOYAは事業ポートフォリオ経営の考えに基づき、多様な事業を様々な国、地域で行うことでグループ全体業績の安定を図っており、2024年3月期の地域別の売上高はおおよそ日本23%、アジア太平洋35%、米州19%、欧州21%と分散しております。
しかしながら、外部環境の変化がHOYAグループの想定よりも早く進み、対応が遅れた場合、HOYAグループの業績悪化により財務状況が悪化する可能性があります。
(3)小売の規模拡大による価格低下
ライフケア事業において、量販店の規模拡大や共同購買組織の組成、オンライン事業者の台頭が散見され、これらを背景とした製品に対する価格圧力が強まっています。価格低下による影響をコスト削減や高付加価値戦略の推進により吸収を図っていますが、価格低下の進行速度によっては、HOYAグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)生産能力
HOYAグループでは、各製品について、 顧客の受注に応える十分な生産能力の確保に努めておりますが、なんらかの要因により、生産上の問題が発生したり、新規設備の立ち上げが遅れたりするようなことがあれば、HOYAグループの業績への影響のみならず、得意先の生産・販売計画に影響を与え、競合他社のシェア拡大等の恐れがあり、HOYAグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)新規事業の獲得
永続的な成長のために新規事業は重要であり、M&Aもしくは内部開発による獲得を図っています。
M&Aに関しては担当執行役、専任チーム及び事業部門の担当者などで構成される投資委員会において、内部開発については四半期毎の予算会議などにおいて適宜検討しております。
しかしながら、新規事業の獲得が進まない場合、長期的なHOYAグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報管理に関するリスク
HOYAグループでは、事業の遂行において多くの個人情報や顧客情報など様々な機密情報を保有しており、これらの管理については、適切なIT資産の管理や取扱者のトレーニングなど様々な対策を講じております。
しかしながら、万一、情報の流出が発生した場合には、HOYAグループの社会的信用の低下と損害賠償責任が発生する可能性があります。
(7)製品の品質に関するリスク
HOYAグループでは各事業部門の品質基準に基づき、多様な製品を製造しております。メディカル製品を取り扱うライフケア事業においては、各事業部門を統括する規制・品質・政府関連統括部を設置することで社内外の品質基準を厳格に順守しております。また、国際的な品質管理マネジメントシステムであるISO9001(主に情報・通信事業)もしくはISO13485(主にライフケア事業)の認証を各事業主要な生産拠点を中心に取得し、製品安全品質の向上に努めています。
しかしながら、万一、品質問題が発生し、リコールや製造物責任が問われる場合には、回収費用が発生するだけでなく、顧客の信頼を著しく損ない、製品によっては、損害賠償責任が発生する可能性があります。
(8)資材等の調達に関するリスク
HOYAグループの生産活動において、原材料・部品等の一部に、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の代替が困難なものがあります。契約や代替品への切り替えなどで安定調達を常に検討しておりますが、調達先の災害や事故、仕入価格の高騰等で、原材料・部品等の安定的調達が確保できない可能性があります。その場合は、製品の出荷遅延による機会損失等が発生し、HOYAグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)固定資産及びのれんの減損損失のリスク
HOYAグループは、生産能力や品質、生産性向上などのために設備投資を継続的に行っております。また成長加速のためにM&Aを継続的に行っております。
これらに伴い取得した有形固定資産、のれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末において、有形固定資産、のれん及び無形資産をそれぞれ、1,982億円、527億円及び340億円計上しております。
HOYAグループは、設備投資やM&A検討過程において執行役と事業部門マネジメントによる、客観的な数値に基づく、かつ早期の投資回収を目指した議論を徹底して行っています。また、重要な案件については社外取締役の承認を必要としているため、内輪の論理ではなく、一般的な観点からも合理的な案件だけが承認、実行される仕組みとなっています。
しかしながら各連結会計年度末もしくは減損の兆候がある場合に実施する減損テストの結果、想定を超えた市場環境の変化などで、有形固定資産、のれん及び無形資産の帳簿価額が回収可能価額よりも低下した場合は減損損失を認識する可能性があります。
(10)税務に関するリスク
HOYAグループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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