キヤノン(7751)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP>関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


キヤノン(7751)の株価チャート キヤノン(7751)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】 キヤノンは米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。 キヤノングループ(2025年12月31日現在、キヤノン及びその連結子会社321社、持分法適用関連会社8社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。 なお、キヤノンは、第125期より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、インダストリアルビジネスユニットにおけるグループ間取引の業績管理方法を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。 開発については主としてキヤノンにおいて、生産についてはキヤノン及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。 販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。 また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、キヤノンに対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。 セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。セグメントの名称主要製品主な生産会社プリンティングデジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓キヤノンキヤノン電子(株)キヤノンファインテックニスカ(株)キヤノン化成(株)キヤノンプレシジョン(株)長浜キヤノン(株)大分キヤノンマテリアル(株)福島キヤノン(株)キヤノン・コンポーネンツ(株) Canon Virginia, Inc.(米国)Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)佳能大連事務機有限公司(中国)佳能(蘇州)有限公司(中国)Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)メディカルCT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューションキヤノンメディカルシステムズ(株)キヤノン電子管デバイス(株)キヤノンメディカルダイアグノスティックス(株)Quality Electrodynamics, LLC(米国)イメージングレンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器キヤノン大分キヤノン(株)長崎キヤノン(株)宮崎キヤノン(株) 台湾佳能股份有限公司(台湾)Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)インダストリアル半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダーキヤノンキヤノンマシナリー(株)キヤノンアネルバ(株)キヤノントッキ(株)キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)その他及び全社ハンディターミナル、ドキュメントスキャナーキヤノンキヤノン電子(株)キヤノン・コンポーネンツ(株)キヤノンプレシジョン(株) 事業の系統図は次のとおりであります。

有価証券報告書(2025年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 キヤノングループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてキヤノングループが判断したものであります。 (1)経営理念キヤノングループは、企業理念として、世界中のステークホルダーの皆さまとともに歩む「共生」を掲げています。「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすものです。この「共生」の理念のもと、キヤノングループは、世界の繁栄と人類の幸福のため、企業の成長と発展を目指し企業活動を進めています。 (2)中長期経営計画:グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ キヤノングループでは、「共生」の理念のもと、永遠に技術で貢献し続け、世界各地で親しまれ、尊敬される企業を目指し、1996年に5か年計画『グローバル優良企業グループ構想』をスタートしました。2025年を最終年度とする5か年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ」(以下、フェーズⅥ)においては、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4つの産業別グループの強化を進めてきました。各事業領域における着実なマーケットシェア拡大も奏功し、売上高は2025年の目標であった4兆5,000億円を1年前倒しで達成することができました。ただし、キヤノングループの収益基盤は引き続きプリンティングおよびカメラを主とするイメージングが大きな比重を占めており、これらは概ね成熟した市場環境にあるため、事業ポートフォリオ転換のさらなる促進が必要だと認識しています。また、人件費の上昇、物価高、関税等の外部環境の影響もあり、フェーズⅥで掲げた営業利益率12%の目標は未達となりました。このため、成長領域における事業拡大を通じたさらなるポートフォリオの転換と、構造改革による収益性の改善は、キヤノングループにとって重要な経営課題となっています。こうした課題認識のもと、2026年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅦ」(以下、フェーズⅦ)では、「生産性革新を断行し、新たなる成長を実現する」を基本方針として掲げ、2024年から開始した販売改革・生産改革・メディカル事業革新の3つの構造改革を着実に推進します。そのうえで、市場成長性の高いメディカルとインダストリアルの強化を進めるとともに、それぞれの産業別グループにおいても成長領域への軸足のシフトを図ります。さらには、宇宙関連ビジネスへの本格参入やAIプラットフォームを活用した新たなビジネスソリューションの創出を進めていきます。これらの取り組みにより、新たなる成長の実現と企業価値のさらなる向上を目指します。 3つの構造改革(販売、生産、メディカル事業)販売の構造改革は、2024年から米国でスタートし、組織構造の最適化により既に一定の成果が出ております。フェーズⅦでは、2025年から取り組んでいる欧州での組織および直販と間販両方の販売体制の見直しを進め、2028年までの完了を目指します。一方で、経済成長が見込まれる地域におけるビジネスを拡大すべく、アフリカ、中東、インド、インドネシア、中南米などの新興国市場でのシェア拡大にも取り組みます。生産の構造改革においては、自社生産を付加価値の高い製品に絞り、稼働率の低い海外拠点の集約や外部生産委託の活用を進め、資産の圧縮とコストの低減を目指します。ロボットを活用した生産や工場内物流の自動化も進め、競争力のある強靭な生産体制の構築を目指します。メディカル事業の構造改革では、2024年に立ち上げたメディカル事業革新委員会主導のもと、キヤノンが持つノウハウを投入しながら開発、生産、調達、物流などをはじめとしたあらゆるプロセスで改革を進めてきました。その結果、2025年にはその成果もあり、収益性の改善に大きく寄与しています。2026年には関係会社のキヤノンメディカルシステムズをキヤノンに統合し、外部支出費用の削減や赤字事業・子会社の整理、オペレーションの見直しを加速させることで、更なるコスト削減を目指します。 各グループにおける、フェーズⅦの主な戦略は以下の通りです。 プリンティンググループプリンティング市場を概観すると、近年の社会情勢の変化によりペーパーレス化は今後も進行すると考えられる一方で、特定のバーティカル市場や商業・産業印刷市場においては、今後も堅調なプリント需要が見込まれるなど、有望な市場も存在します。プリンティンググループでは、電子写真技術とインクジェット技術の両方を有するメリットを生かして製品プラットフォームを強化することで市場シェアを向上させ、収益基盤の拡大を図ります。また、機器稼働データや自社に蓄積したナレッジをベースとしたスマートサービスシステムを、AIを活用して強化することで、安全・安心・簡単・快適なプリント環境の構築、さらには新たなサービスの創出に取り組みます。アナログからデジタルへのシフトにより今後も成長が見込まれるカタログ印刷等の商業印刷分野と、ラベル印刷やパッケージ印刷等の産業印刷分野では、商品ラインアップの拡充にグループを挙げて取り組み、新たな収益源となる市場の開拓を進めます。また、グループ会社のキヤノンプロダクションプリンティングでは、2024年からオフセット印刷機のリーディングカンパニーであるハイデルベルグ社と業務提携を開始しております。アナログ印刷分野で強固な顧客基盤をもつ同社へのOEM供給を通じて、大きな印刷需要が見込まれる市場での販路拡大を図ります。 メディカルグループ高齢化の進展に伴い医療ニーズの一層の拡大が見込まれる一方で、医療費抑制の必要性も高まっており、医療機関にはコスト削減や経営効率化が求められています。メディカルグループでは、こうした社会変化に対応し、臨床価値および経済的価値の高い機器・サービスの提供を目指しています。今後は画像診断機器を中心に、マルチポジションCTやフォトンカウンティングCT等の投入により、製品性能の飛躍的な向上や新たな臨床価値の創出を通じて、事業競争力を高めていきます。加えて、AI技術を活用した画像診断支援やワークフロー効率化などに繋がるソリューションの拡充を図ります。体外診断事業の領域では、自動分析装置と体外診断薬の一体化開発によるシナジーを活かし事業強化を進めます。さらには将来の事業機会を見据え、iPS細胞の製造装置など再生医療に関する技術の研究開発に取り組みます。これらを通じて、医療の高度化や効率化を支える技術基盤を強化し、新たな臨床価値の創出を図るとともに、さまざまな治療・診断情報を融合して患者個々人に最適な医療ソリューションを提供するプレシジョン・メディシンの実現に貢献していきます。また、米国でのアップストリームマーケティングの強化を担うCanon Healthcare USAの設立、および日米欧におけるトレーニングセンターCanon Medical Academyの開設を通じて、海外を含む販売力を強化していきます。 イメージンググループ近年、カメラ・レンズ市場においては、静止画だけでなく動画も一台の機器で撮影するスタイルが普及しています。また、プロフェッショナル市場では撮影効率向上や機材のダウンサイジングが加速する一方、アマチュア市場ではスマートフォンからカメラへの移行やエントリー機からハイエンド機へのステップアップが進行しています。こうした動きにより広がる多様な撮影ニーズに応えるため、イメージンググループでは、これまで築いてきたカメラと交換レンズの豊富な商品ラインアップをさらに強化していきます。ラインアップ強化と同時に、キヤノングループがもつ最新の光学技術や画像処理技術に加え、AI技術も積極的に活用して製品性能の向上を進め、提供価値の最大化を図ります。ネットワークカメラ市場は、セキュリティに対する需要の増加を背景に拡大を続けています。キヤノングループのネットワークカメラ事業では、世界有数のメーカーであるアクシス社や映像管理ソフトウェアを手掛けるマイルストーンシステムズ社といった優れた技術を持つグループ会社を擁しており、今後も両社がもつ多様な製品とソリューションのポートフォリオを充実させることで、高度化が進む安心・安全へのニーズに応えます。さらに、映像DXや業務効率化といったセキュリティの枠を超えたニーズにも対応し、事業領域の拡大を図ります。 インダストリアルグループ地政学リスクの増大による交易環境の悪化やインフレが継続していますが、半導体市場は浮き沈みを繰り返しつつもAI需要が成長を牽引し、各国で大規模投資計画が進行しています。また、ディスプレイ市場は需給バランスの調整局面から回復に向かっており、今後は車載、IT、大型TVを中心とした有機ELディスプレイへの投資が見込まれています。半導体製造装置においては、i線、KrF露光装置の精度と生産性を高めてシェアを高めるとともにArF露光装置への参入で事業を拡大します。ナノインプリントリソグラフィは、戦略顧客やパートナーとの協業を通じてエコシステムを構築し、パターニング装置および同技術の応用で実用化したウェーハー平坦化装置の両輪で主力事業に育成します。成膜装置は、新プラットフォームAdastraの製品展開を軌道に乗せ、市場競争力と経営効率を高めつつ拡大する需要に応えていきます。急拡大するパッケージ基板市場に対しては、i線露光装置の圧倒的な市場シェアを盤石にするとともに、基板加工装置の新製品投入によりニーズを着実に捉えていきます。ディスプレイ製造装置においては、高機能化、高品位化、大画面化の顧客ニーズを捉えた新製品を提供するとともに、アップグレードビジネスにより収益力を高めていきます。また、オーガニックな成長投資に加え、市場成長と新しいプロセス技術の進展を見据えて、M&Aも活用しながら現行の製造装置以外へ事業領域拡大を目指します。 今後注力していく取組み キヤノングループでは、各事業領域において製品設計にAIを活用するとともに、AIにより機能や性能を高めた製品を多数発売しています。今後はAIにより価値創出を加速するプラットフォームを構築し、散在するデータや現場のノウハウを知的資産としてデジタル化して一元管理し、新たなソリューションの提供を目指します。キヤノングループの製品であるプリンティング機器や医療機器、ネットワークカメラ、産業機器などは、顧客の“現場”において相当数稼働しており、それぞれの領域から得られるデータは膨大なものになります。このデータをAIを使って分析し、顧客の課題解決につながるソリューションを提供します。ハードウェアに強みを持つキヤノングループの特長を生かしつつ、ソフトウェア、サービスの売上を拡大することで収益性を高めていきます。加えて、キヤノングループでは、中長期の新たな成長領域として宇宙ビジネスに注力します。宇宙ビジネス市場はワールドワイドで高い成長が見込まれ、日本においても国を挙げた産業振興が進められている分野です。キヤノングループにおいては、関係会社であるキヤノン電子が既に参入していますが、今後はグループを挙げて宇宙ビジネスの強化に取り組みます。具体的には、これまでキヤノン電子が積み上げてきた人工衛星の知見に加えて、キヤノングループが持つ光学、センシング、機器制御、画像処理等の技術と精密加工におけるものづくりのノウハウを統合することにより、高い品質とコスト競争力を両立したビジネスとして成長を加速させます。人工衛星やそのコンポーネント、さらには撮影データを活用したソリューションビジネスまで視野を広げることで、事業規模の拡大を図ります。(3)中期経営計画連結業績目標 フェーズⅦにおいては、市場シェア拡大と新領域のビジネス拡大による売上高の成長と生産性の徹底的な改善による収益性の向上を効率的な資本配分により実現することを目指し、売上高、営業利益率、株主資本利益率(ROE)の3つの指標を業績目標としております。 2025年実績2028年目標2030年目標選定理由売上高4兆6,247億円5兆円5兆6,000億円成長性を測る指標として選定営業利益率9.8%12.0%15.0%収益性を測る指標として選定株主資本利益率(ROE)9.7%12.0%15.0%資本効率性を測る指標として選定

事業等のリスク

3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてキヤノングループが判断したものであります。 (1) リスクマネジメント体制キヤノンは、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、市場競争環境の変化その他の事業運営上のリスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管するキヤノンの本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。キヤノン各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。  リスクマネジメント体制  リスクマネジメントプロセス (2) 事業等のリスク キヤノングループ(キヤノン及びその連結子会社。以下、当該項目では「キヤノン」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。キヤノンでは、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、キヤノンの経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクはキヤノンに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2026年3月25日)現在において判断した記載となっております。 リスクマップ (注)リスクマップ上の各リスク番号は、キヤノンで各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。 ①事業特有の重要性が高いリスク ①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していくことが予想されます。 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションをキヤノンが十分に提供できない場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、キヤノンはインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。 さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、キヤノンにとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。 ①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が高度化し、撮影行為に対する嗜好も多様化しているため、多様な撮影機器間での価格と性能の競争が生じています。こうした状況により、キヤノン製品と競合製品(スマートフォンメーカーを含む)との機能差が縮小するおそれがあり、キヤノンが競争上の優位性を維持できない場合には、キヤノンの地位が相対的に低下し、結果としてキヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、キヤノンの地位が相対的に低下し、結果としてキヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは光学技術を中核とした差別化を推進するとともに、ディープラーニング等のAI技術を活用した静止画・動画の画質・機能向上に取り組んでいます。プロフェッショナルからエントリーユーザー向けまでの幅広い製品ラインアップの強化を図るとともに、高まる動画ニーズに対応するため、動画を軸とした製品展開も推進しています。加えて、スマートフォンネイティブ世代を中心としたクリエイティブな映像制作をサポートするため、コンパクトデジタルカメラを含む入門機の充実を図っています。また、撮影ワークフローの向上を目的に、ソフトウェア・サービスの拡充も進めています。さらに、ユーザーの表現の幅を広げるため、VR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムのラインアップおよび適用範囲の拡張にも取り組んでいます。 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、AIやクラウドといった技術との融合により、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。キヤノンは市場の変化をいち早く捉え、これまで培ってきた光学技術や映像処理・解析技術にAIを組み合わせ、クラウド・ネットワーク技術と融合させることで、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、映像解析ソリューションを活用したDX市場での事業拡大を進めます。 ①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、昨今の地政学的リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、米国通商政策によるコスト増、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化やがんや循環器疾病の早期発見や医療従事者の負担軽減、医療分野のサイバーセキュリティ対策など市場ニーズに即応できない場合には、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。また、様々な要因によるコストアップ分を付加価値と合わせて適切に価格に転嫁し、利益の維持・拡大を図ります。更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。 また、個別化医療や再生医療が注目される中で、医療の潮流への影響をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。 ①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、キヤノンの半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、キヤノンは競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、キヤノンのビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化がキヤノンの想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。またキヤノンでは、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。 半導体において、中長期的な市場の成長やキヤノン製品のシェア拡大に向けて、新生産工場を建設いたしました。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。 ①-5.販売に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク キヤノンにおいて、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、キヤノンとの関係を制限または縮小する決定を為す場合、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、キヤノンと取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、キヤノンとの関係を制限または縮小する決定を為す場合、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、キヤノンの想定を超える環境の変化が起こる場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。 ②事業横断的な重要性が高いリスク ②-1.サプライチェーンに関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク キヤノンは部品や材料の購入から、製品の生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めております。しかし、キヤノンは重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しており、キヤノンの製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題、あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合、生産活動の中断や製造原価の上昇等を引き起す可能性があります。これに加えて、部品や材料の調達、製品の世界各国・地域へのスムーズな供給において、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、米中対立・ウクライナ紛争・中東情勢等の地政学的リスクや港湾労働者によるストライキ等の労使紛争により物流の混乱や供給停止が発生する場合、高額製品が輸送中の事故により損害を受け、保険で補償が不可能な場合、また、代替製品を顧客に納品できない場合、キヤノンのサプライチェーンに悪影響を及ぼすとともに、販売機会の損失等によりキヤノンの経営成績に悪影響を及ぼし、顧客からの信用を失う可能性があります。さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などがキヤノンのサプライチェーンで発生する場合、キヤノンの社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めるとともに、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理し、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。最適生産システムに関しては、自動化、ロボット化技術等を用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給網の混乱に対する耐性を高めております。品質の向上に関しては、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上活動を推進し、安定的な原材料、部品の調達に努めております。 これらに加えて、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、キヤノンでは人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。キヤノンは、キヤノンが加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステム等に配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーからRBA行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守等の取り組みを促進すべく、RBAに承認されたキヤノン独自の調査票を用いた点検を毎年実施しております。 ②-2.自然災害・感染症に関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク キヤノンの本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといったキヤノンの施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因はキヤノンの営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 感染症の拡大により、世界経済・キヤノンの事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請によりキヤノンの事業活動が制限される事態においては、キヤノンのビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、キヤノン関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームがキヤノンの想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置がキヤノンの予想を下回る事態が発生する場合、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、感染症の拡大は、世界各地のサプライチェーンやキヤノンの生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在するキヤノンの一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、キヤノンの販売活動が悪影響を受ける可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制やガイドラインの整備、訓練等を行っております。さらに、研究開発、調達、生産、品質、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。 また、キヤノンは、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等の緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。 今後も自然災害や感染症の拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。 ②-3.為替・金利変動に関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク キヤノンは、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上などキヤノンの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。キヤノン製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じるキヤノンの資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。加えてキヤノンは、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。☆対応・機会 急激な為替レートの変動に関しては、キヤノンはキヤノン現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。金利変動リスクに対しては、成長投資や将来的なM&Aなどを含む必要な資金需要を満たす一方、外部からの借入は最小限に留めることで金利変動影響を抑制し、強固な財務体質の維持に努めております。 ②-4.国際政治経済に関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク キヤノンは生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。 主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、キヤノンの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米国の通商政策に変化があり、キヤノンの売上において一定の割合を占める米国販売へ影響を与える場合、キヤノンの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主にキヤノンのオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、キヤノン製品の売上が低下し、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、キヤノンが予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。☆対応・機会 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、キヤノンは、キヤノン現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、キヤノンは商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、キヤノンは特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。 ②-5.人材の確保に関連するリスク影響度:中発生可能性:高●リスク キヤノンの将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といったキヤノンの活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、キヤノンの将来の経営成績に影響すると考えております。一方、キヤノンが属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。またキヤノンの製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。☆対応・機会 キヤノンでは、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。 また、キヤノンではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。さらに、キヤノンが2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。 キヤノンの事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。 また、急速に進歩する技術に対応すべく、優秀な技術者を発掘・任用し、支援する「高度技術者認定制度」を制定しました。 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。 (注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(3)「人的資本」に記載しております。 ②-6.情報・製品セキュリティに関連するリスク影響度:中発生可能性:高●リスク キヤノンは、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。キヤノンはこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開するキヤノンの拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、キヤノンネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。 また、キヤノンの製品・サービスは、ネットワークを介してクラウドやスマートフォンと連携し、ますます利便性を高めています。電子データの活用や情報サービスの利用が進む中で、顧客に提供する製品・サービスにおいても個人情報や機密情報の漏洩などのセキュリティリスクは増大しており、インシデントが発生する可能性があります。 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービスなどへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンでは保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。 キヤノンは、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティポリシー」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。 従業員に対しても、業務に使用するソフトウエアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年キヤノン及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。 また、キヤノンは市場での製品セキュリティ問題へ対応するため、社内にPSIRT(Product Security Incident Response Team)を設置しております。PSIRTは、経済産業省の早期警戒パートナーシップの枠組みや外部団体と連携して、つねに脆弱性に関する市場動向に注意を払い、最新の情報を収集しています。また、キヤノンの製品・サービスに関する脆弱性情報を世界中の研究者から受け付ける仕組みを構築すると共に、キヤノンからお客さまへ情報を迅速に開示・掲載するための場所として、外部向けWebサイト(https://psirt.canon)を公開して、世界標準レベルの製品セキュリティ対応に取り組んでいます。 (注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「サイバーセキュリティ」に記載しております。 ②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク キヤノンは、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、キヤノンの成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。キヤノンとその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、キヤノンの事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、キヤノンが貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、キヤノン取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、キヤノンのものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。 ②-8.環境に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク キヤノンは、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、キヤノンは、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を適用される法令に基づき負っております。もしキヤノンが将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合キヤノンに与える影響は大きくなる可能性があります。 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンはグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。 (注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2)「気候変動」に記載しております。 ②-9.AI技術の開発・活用に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 急速に発展するAI技術をキヤノンの製品・サービス向けに開発・活用するにあたり、各国・地域で整備が進むAI関連の法規制を遵守する必要があります。仮に当該法規制に適合していないとの指摘を受けた場合、該当製品・サービスの販売差止めや罰則の対象となる可能性があります。さらに、法規制に該当しない場合であっても、AIの倫理的側面への配慮が求められます。例えば、キヤノンのAI搭載製品・サービスが、意図せず差別的な判断や誤情報の出力、予期せぬ動作を引き起こすことで、利用者や社会に悪影響を及ぼす場合、キヤノンの社会的信頼やブランド価値が毀損され、損害賠償責任が発生する可能性があります。また、生成AIの活用に関しては、生成されたコンテンツが第三者の著作権や商標権を意図せず侵害し、法的責任を問われる可能性があります。加えて、機密情報を外部の生成AIサービスに入力することにより、情報漏洩や不正アクセスにつながるリスクも存在します。これらの事象が発生した場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、独自開発したAI技術を各事業領域の製品・サービスに搭載することで、製品競争力の向上を図っております。これまで、イメージング事業やメディカル事業を中心に、AI技術によって性能・機能を大幅に向上させた製品を展開してきましたが、AI技術の製品搭載をさらに強化し、プリンティング事業やインダストリアル事業を含む全事業グループへ拡大しております。加えて、各事業においてAI技術を活用したサービスを開発・提供することにより、顧客の業務プロセスの変革に貢献しております。また、社内業務においても生成AIを積極的に活用し、業務の革新・生産性向上に取り組んでおります。その中で、AI関連の法規制および倫理的要請を遵守し、安全・安心なAI製品・サービスの提供を実現するため、AIリスクの評価・対応に関する枠組みを全社規則として策定しております。各国・地域の法規制に加え、倫理的観点も含めたAIリスクを網羅するため、独自のAIリスク評価シートを整備し、公平性、透明性、適正利用、安全性・堅牢性、プライバシー・セキュリティ等の評価項目を設定しております。このシートを用いて、製品開発プロセスの適切な段階(計画時、開発完了時等)においてAIリスクを評価し、必要な対策を講じた上で最終承認を得ることで、製品・サービスにおけるAIリスクの最小化を図っております。また、AIリスクに関する専門組織が設置され、品質部門や法務部門と連携して、キヤノングループ全体への展開を進めております。生成AIの活用に関しては、全社横断組織にて利用ルールや教育プログラムを整備し、全従業員に対する研修を通じて、知的財産権および情報セキュリティに関する意識・リテラシーの向上に努めております。さらに、高度なセキュリティを備えたAIサービスを選定・導入することで、インフラ面のリスク低減にも取り組んでおります。これらの施策により、生成AIの活用における安全性を確保した上で、業務の生産性向上に取り組んでおります。 ③一般的なリスク ③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク キヤノンが提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。 あらゆるキヤノン製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮したキヤノン独自の安全基準を設定しております。 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。 ③-2.新製品への移行に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク キヤノンが参入している業界の特徴として、ハードウエア及びソフトウエアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、キヤノンの製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、キヤノンの収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、キヤノンの収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者がキヤノン製品と類似した新製品をキヤノンより先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。 キヤノンは、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。 (注)キヤノンの研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。 ③-3.有価証券に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク キヤノンの資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来においてキヤノンが実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。 (注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。 ③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク キヤノンは、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。 しかし、現在キヤノンが当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、キヤノンが高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。キヤノンにとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、キヤノンの社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。☆対応・機会 キヤノンでは、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、キヤノンが直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。なお、近年、他企業で発覚が続く品質不正のリスクについては、全社横断的な防止活動を展開し、品質不正を起こさない風土の定着を図っています。 また、キヤノンリスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。 ③-5.知的財産に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク 頻繁な技術革新を伴うキヤノン製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、キヤノンが出願した特許が認められなかったり、キヤノンの知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、キヤノンの知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からのキヤノンに対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。 キヤノンの知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、キヤノンは訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。 またキヤノンは、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、キヤノンのビジネスが影響を受ける可能性があります。 またキヤノンは、ルールや評価システムを設定して、キヤノン従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。 更に、キヤノンの商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことでキヤノンのブランド価値が毀損されるとともに、キヤノンのビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。 上記の要因は全て、キヤノンのビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。 キヤノンの知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。 キヤノンの知的財産戦略の基本方針として、キヤノンはコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、キヤノンの知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。 キヤノンは上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。 (注)キヤノンの知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。 ③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク影響度:中発生可能性:低●リスク 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは繰延税金資産に影響を与えるような、キヤノン及びキヤノン現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及びグローバルミニマム課税制度の導入に関するOECD/IFにおいて合意が形成されました。このうち、グローバルミニマム課税制度は各国で制度化が進められており、日本においても、2023年3月28日に成立した令和5年度税制改正により法制化されました。 こうした国際課税制度の強化が図られる中、キヤノンは、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、キヤノン現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。 ③-7.退職給付会計に関連するリスク影響度:中発生可能性:低●リスク キヤノン及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。キヤノンは、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。☆対応・機会 キヤノンは、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。



※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー