キヤノンは米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。)によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。)280「セグメント報告」に基づき作成しております。
キヤノングループ(2025年12月31日現在、キヤノン及びその連結子会社321社、持分法適用関連会社8社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。
なお、キヤノンは、第125期より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、インダストリアルビジネスユニットにおけるグループ間取引の業績管理方法を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。
開発については主としてキヤノンにおいて、生産についてはキヤノン及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。
販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。
また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、キヤノンに対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。
セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
主要製品 |
主な生産会社 |
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プリンティング |
デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓 |
キヤノン キヤノン電子(株) キヤノンファインテックニスカ(株) キヤノン化成(株) キヤノンプレシジョン(株) 長浜キヤノン(株) 大分キヤノンマテリアル(株) 福島キヤノン(株) キヤノン・コンポーネンツ(株) Canon Virginia, Inc.(米国) Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ) 佳能大連事務機有限公司(中国) 佳能(蘇州)有限公司(中国) Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム) Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ) Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン) Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ) |
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メディカル |
CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューション |
キヤノンメディカルシステムズ(株) キヤノン電子管デバイス(株) キヤノンメディカルダイアグノスティックス(株) Quality Electrodynamics, LLC(米国) |
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イメージング |
レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器 |
キヤノン 大分キヤノン(株) 長崎キヤノン(株) 宮崎キヤノン(株) 台湾佳能股份有限公司(台湾) Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン) |
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インダストリアル |
半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー |
キヤノン キヤノンマシナリー(株) キヤノンアネルバ(株) キヤノントッキ(株) キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株) Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア) |
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その他及び全社 |
ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー |
キヤノン キヤノン電子(株) キヤノン・コンポーネンツ(株) キヤノンプレシジョン(株) |
事業の系統図は次のとおりであります。
キヤノングループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてキヤノングループが判断したものであります。
(1)経営理念
キヤノングループは、企業理念として、世界中のステークホルダーの皆さまとともに歩む「共生」を掲げています。「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすものです。この「共生」の理念のもと、キヤノングループは、世界の繁栄と人類の幸福のため、企業の成長と発展を目指し企業活動を進めています。
(2)マテリアリティ
キヤノンは、時代とともに変化する社会の動きを捉えながら、企業理念である「共生」のもと、人間尊重、技術優先、進取の気性と言った企業DNAと、自社の強固な財務基盤や豊富な人材、高い技術力など、様々なリソースを有効に活用し、健全なコーポレート・ガバナンスを保ちながら事業を展開してまいりました。
キヤノンのこれまでの取り組みや中長期経営計画に沿った様々な事業活動の中から、キヤノンが取り組むべきと考える重要事項の中で、ステークホルダーの皆さまの関心が特に高い「新たな価値創造、社会課題の解決」ならびに「地球環境の保護・保全」を重要課題(マテリアリティ)として抽出しました。また、さらにこれら2つのマテリアリティに取り組む上で支えとなるテーマを「人と社会への配慮」として集約し、3つ目のマテリアリティとしました。キヤノンでは、ステークホルダーの意見を参考に、マテリアリティの妥当性の確認や見直しを行うほか、社会に対するキヤノンの事業活動のインパクトを分析し、企業活動のより一層の充実を図っています。
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特定したマテリアリティ |
項目 |
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新たな価値創造、社会課題の解決 |
・人々の健康や病気の予防に貢献する医療技術の開発 ・社会の安心・安全に資するセキュリティ技術の進化 ・写真や映像分野における人々の豊かさや楽しさにつながる 製品/技術の開発 |
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地球環境の保護・保全 |
・省エネルギー化の促進/再生エネルギーの活用 ・使用済み製品のリユース・リサイクル ・廃棄物の削減/水域・土壌の汚染防止 |
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人と社会への配慮 |
人権と労働 |
・差別やハラスメントの防止、基本的人権の尊重 ・適正な賃金と労働時間の管理 |
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社会貢献 |
・事業活動を生かした社会貢献活動 ・次世代の育成支援 |
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(3)中長期経営計画:グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ
キヤノンは、「共生」の企業理念のもと、永遠に技術で貢献し続け、世界各地で親しまれ、尊敬される企業を目指し、1996年に5カ年計画『グローバル優良企業グループ構想』をスタートしました。
2021年を初年度とする新5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅥ」(以下、フェーズⅥ)では、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、テクノロジーとイノベーションによって新たな価値を生み出し、コンシューマーの分野ではより豊かな生活を、オフィスやインダストリーの分野ではより快適なビジネス環境を、そしてソサエティの分野ではより安心・安全な社会づくりをめざします。
①産業別グループの事業競争力の徹底強化
キヤノンが保有する多岐にわたる技術や資産を最大限活用することを目的として、2021年に技術的に親和性のある複数の事業本部をプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4つのグループに再編成しました。産業別グループ内では各事業・グループ会社がもつ技術や人材の連携を深めて、将来技術の開発や生産技術の強化など新たなイノベーションを創出し、事業の進化・拡大に取り組んでいます。2023年10月に開催したキヤノンの総合技術展である「Canon EXPO」では、事業ポートフォリオの転換を支える産業別グループの技術とキヤノンが目指す技術の方向性を紹介しました。今後はキヤノンがこれまで培ってきた独自技術に加えてオープンイノベーションやM&Aも活用することにより、時代のニーズに応える新たな価値を創出し、複雑化、多様化する社会課題の解決に貢献することを目指します。
2021年と2022年はコロナ禍や半導体をはじめとした部品不足、物流逼迫への対応を優先しておりましたが、2023年に入りこれらの状況が落ち着きを見せたことから、キヤノンは計画していた成長戦略を再開・加速しています。加えて今後は開発、生産、販売の経費構造を全面的に見直して経費水準を最適化するプロジェクトを進めていくことで、一層の事業競争力強化を目指します。
各グループにおける、フェーズⅥの主な戦略・施策の進捗状況は以下の通りです。
プリンティンググループ
アナログからデジタルへのシフトにより今後も大きな成長が見込まれるカタログ印刷等の商業印刷分野と、ラベル印刷やパッケージ印刷等の産業印刷分野では、プリンティンググループの総力を挙げて商品ラインアップの強化とワークフロー・ソフトの拡充に取り組んでいます。2023年は特に自動化機能を強化したカットシート機の「imagePRESS V1350」を始めとする「Vシリーズ」や、白インクを追加したことでさらに多様なメディアへの印刷を可能にした「Colorado Mシリーズ」が顧客から高く評価され、販売台数を大きく伸ばしました。今後は「Canon EXPO」で反響の大きかったB3サイズ対応インクジェットデジタルプレス機「varioPRINT iX1700」や産業印刷向け水性インクジェットラベル印刷機「LabelStream LS2000」をラインアップに加え、業界の高度な印刷ニーズに応えていきます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展したことでオフィス環境でのペーパーレス化が進みましたが、仕事に関する思考や情報共有において紙がもたらす価値は変わることなく、人間の知的な活動を支えるうえで今後も一定の役割を果たしていくと考えております。コロナ禍を通じてリモートワークが日常となり、サテライトオフィスや自宅など働く場所の分散や働き方の多様化が進みましたが、オフィス、ホームの分野では、働く場所で制約を受けない安心・安全・快適なプリンティング環境・サービスへのニーズが高まっています。プリンティンググループでは、多様なシーンに合わせてどのような環境においても高い生産性、利便性、セキュリティ環境を提供すべく、キヤノン製の複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンターとクラウドを連携したオンデマンドプリンティング環境を提供しています。2023年はオフィスにおける中核のプリンティング機器として、オフィス複合機の需要は底堅く推移しました。キヤノンは高効率と低消費電力の両立に加えてサイバーセキュリティを強化した「imageRUNNER ADVANCE DX C3900シリーズ」などをラインアップに加えました。レーザープリンターとインクジェットプリンターでは、ビジネスから在宅までの幅広いニーズに対応するためラインアップを拡充しましたが、在宅需要のピークアウトに加え中国や欧州での景気悪化の影響を受けて市場が縮小しました。プリンティンググループでは、引き続きお客様のニーズに合わせた商品・サービスを拡充し、オフィス、ホームの分野において世界No.1を目指します。
メディカルグループ
近年、世界の医療を取り巻く環境は技術面でめざましい発展を遂げる一方、医師不足、高齢化社会、医療費の高騰、医療の地域格差などさまざまな課題に直面しています。メディカルグループでは「画像診断事業」、「ヘルスケアIT事業」、「体外診断事業」の分野に特に注力し、優れた製品・サービスを提供することで社会の変化に合わせた医療課題の解決や価値提供を行うことを目指しています。
画像診断事業では、ディープラーニング技術を用いて設計した画像再構成技術や、複雑化する医療従事者の診断ワークフローを支援する自動化技術を搭載した製品を開発するなど、医療従事者と患者の負担の軽減と高品質の画像の提供を目指して製品・サービスを提供してきました。2023年には、ディープラーニングを用いた「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」をさらに進化させた超解像画像再構成技術「Precise IQ Engine(PIQE)」と、先進自動化技術により操作性向上を追求した自動化技術「INSTINX」を搭載し、同時に被ばく線量をさらに低減し、撮像時間を短縮したCTの新製品「Aquilion One / INSIGHT Edition」を発売するなど、さらにラインアップを強化しました。
キヤノンは次世代技術の研究開発にも積極的に取り組んでいます。2019年より、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団との共同研究でiPS細胞の製造に寄与する装置の開発を進めています。2023年11月には、物質を高精度に識別し、カラーで表示できる機能により高い画質性能と被ばくの低減など医療現場にさらなる価値をもたらすことが期待されているフォトンカウンティングCT(PCCT)の早期実用化に向け、広島大学やオランダのラドバウド大学メディカルセンターと共同臨床研究に関する基本合意を締結しました。さらに2023年11月には生物医学研究と臨床ケアに高い専門性を有する米国のクリーブランド・クリニック財団と、医用画像ソリューションおよびヘルスケアIT技術の開発を目指す戦略的研究パートナーシップに合意しました。このように幅広い領域でグローバルな共同研究活動にも積極的に参画しながら、医療に新たな価値を提供できる技術の開発に注力します。
体外診断事業の領域では、2023年に体外診断用医薬品を手掛けるミナリスメディカル株式会社及びMinaris Medical America, Inc.(以下、あわせて「ミナリスメディカル社」と総称)をグループに迎えました。今後はキヤノンが保有する自動分析装置技術とのシナジーを活かしながら、当該事業の強化を図ります。
また、メディカル事業では収益性の向上を図るため、全社組織として「メディカル事業革新委員会」を立ち上げました。開発から生産、調達、物流、企画・管理までの全てのオペレーションにおいて、キヤノンの持つリソース、ノウハウを投入し、収益体質の改善を図ります。
イメージンググループ
スマートフォンの普及によりデジタルカメラ全体の市場は大きく縮小したものの、フルサイズのセンサーを搭載したミラーレスカメラの販売はコロナ禍でも堅調に推移し、高画質の写真に対する需要の底堅さを示しました。世界屈指の光学技術を有するキヤノンは、こうした需要に応えるカメラ・交換レンズを今後も順次市場に投入し、高画質を重視するプロ・ハイアマチュアユーザーを対象の中心に、ミラーレスカメラにおいても世界No.1の地位の確立をめざしてきました。2023年には、「EOS Rシリーズ」より本格的な静止画・動画撮影を手軽に楽しみたいエントリーユーザー向けに「EOS R50」、「EOS R100」といった新製品を発売し、ラインアップのすそ野をさらに広げました。また、近年スマートフォンやSNSを使用した映像コミュニケーションがより一層活発になっており、手軽かつクオリティの高い動画撮影のニーズが高まっています。キヤノンでは従来のカメラ製品の動画撮影機能をより充実化させるとともに、2023年に発売したVlog(ビデオブログ)撮影に特化した「PowerShot V10」など、新しいコンセプトの製品をラインアップに加えることでより幅広いユーザーの期待に応えます。
放送や映像制作の分野では、IPストリーミングの需要が増大を続けていることから、高画質リモートカメラシステムのラインアップを強化します。
ネットワークカメラ事業では、世界有数のメーカーであるアクシス社や映像管理ソフト・ベンダーのマイルストーンシステムズ社、映像解析ソフト・ベンダーのブリーフカム社など、優れた技術を持つグループ会社を擁しております。今後もグループの総力を挙げて多様化するニーズを捉えながらセキュリティ分野におけるプレゼンスを強化します。また同時に、生産現場での検品業務、集配センターでの欠品検知、インフラ点検、店舗や展示会場での混雑具合の検知など、従来のセキュリティ目的を超えて、各種業務に対する映像を活用したDXを提供する製品・サービスの展開を図ります。
近年様々な分野で仮想現実映像、立体映像、360度映像などの利活用が進み、新たな映像体験市場の拡大が期待されています。キヤノンでは、複数の撮影画像から3D空間データを再構成する「ボリュメトリックビデオシステム」、高画質な180°3D VR映像を手軽に撮影できる「EOS VRシステム」、現実世界とCG映像をリアルタイムに違和感なく融合するMR(Mixed Reality:複合現実)製品の「MREAL」などの3Dイメージング技術を用いた製品・サービスを拡充していくことで、新たな映像体験市場の活性化と事業領域の拡大を図ります。
インダストリアルグループ
AI、IoT、電気自動車、5Gなどデジタル化やスマート化が進んだ現代社会では半導体は不可欠のデバイスとなり、今後も半導体とその製造装置に対する需要は多様化し、拡大すると見込まれます。インダストリアルグループは、半導体露光装置の安定供給、半導体メーカーの生産性向上、半導体の性能向上に引き続き貢献します。中長期的な半導体露光装置の需要増加に対応するため、2025年の稼働を目標に宇都宮事業所の隣地に新工場を建設し、半導体露光装置の生産能力を大幅に増強します。顧客の生産性向上に貢献する取り組みとしては、2022年に半導体露光装置ソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」の販売を開始し、半導体メーカーでの歩留まり改善や稼働率向上を支援しています。また、2023年10月にはナノインプリント(NIL)半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売しました。NIL方式は、従来の露光方式と比べて製造工程がシンプルで、最先端半導体デバイス製造での消費電力低減とコスト削減効果が期待されます。今後は半導体デバイス製造用途向けの販売を推進するとともに、国内外の研究機関や半導体メーカーと協力し、NILの長所を生かせるアプリケーションの拡大を図ります。
ディスプレイ製造装置については、液晶では生産性向上と高精細化を進め、有機ELでは今後成長が期待される中型パネルやスマートグラス向け製造装置の開発を加速します。
その他にもキヤノンと子会社であるキヤノントッキ、キヤノンアネルバ、キヤノンマシナリーが持つ超精密位置合わせ、超高精度加工、真空システムといったコア技術を融合して新たな装置を開発し、インダストリアルグループの事業領域拡大を目指します。
②本社機能の徹底強化によるグループ生産性の向上
キヤノンでは事業の競争力の強化と拡大を図るため、人事制度を改定し、より一層の競争原理を働かせることで管理部門の生産性を向上するとともに、キヤノンの事業の付加価値を一層高める先端技術のリサーチ力強化など、本社機能の強化に取り組んでいます。2023年からは、キヤノンの技術を牽引することが期待される技術者を「トップ・サイエンティスト」として任用する「高度技術者認定」制度を設け、新規事業創出に貢献できる人材の確保・育成を推進しています。またキヤノンでは、これまで培ってきたあらゆる技術を活用して材料やコンポーネントなどの領域で事業化を進めるなど、全社横断的な視点での新規事業創出にも取り組み、収益拡大への貢献を目指しています。さらに今後は、自社技術の開発に加えて外部の最先端技術を積極的に取り入れるべく、産学連携、外部企業とのパートナーシップを通じたオープンイノベーションやM&Aを活用し、一層の業容拡大を図ります。
(4)中期経営計画連結業績目標
キヤノンは、フェーズⅥ期間最終年度である2025年度の連結業績目標として、売上ではキヤノン史上最高を記録した2007年を上回る売上高4兆5,000億円以上、利益では営業利益率12%以上、当期純利益率8%以上の達成を目指します。
事業ポートフォリオの転換を評価する指標として、キヤノンでは連結売上高に対する新規事業※1売上高の比率を設定しています。今5カ年計画の3年目となる2023年は、ウクライナ情勢や中東での軍事衝突など不安定な状況が継続しましたが、長期にわたり経済活動を制限したコロナ禍の収束などにより、世界経済は緩やかに回復しました。不安定な状況が続くなかでキヤノンは、製品の供給不足からの回復とメディカルやネットワークカメラをはじめとする新規事業が堅調に推移したことに加え円安が追い風となり、3期連続となる増収増益を達成しました。新規事業の売上高は成長を続けており、2017年と比較すると連結売上高に占める構成比が22%から28%に上昇するなど、事業ポートフォリオの転換の効果が着実に表れています。2025年にかけて、さらなる新規事業売上高の成長をめざします。
またキヤノンは、企業価値向上をより一層加速させるため株主資本利益率(ROE)を重視しております。コロナ禍の2020年に3.2%まで落ち込んだROEはその後の業績回復により改善し、2023年は前年比0.1ptの改善となる8.2%となりました。今後は着実なコストダウン活動や経費の最適化による収益性の向上、棚卸資産の削減や生産拠点の集約等を通じた資産の圧縮、負債・資本の最適バランスの追求といった取り組みを進めることで、2025年にはROEを10%以上に向上させることを目指します。
※1新規事業には、キヤノンプロダクションプリンティング、キヤノントッキ、アクシス、キヤノンメディカルシステムズなど、フェーズⅠ以降に取得した主要な事業会社の事業と、フェーズⅥ期間中の事業化を目指す新規事業を含めています。
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2021年 実績 |
2022年 実績 |
2023年 実績 |
2024年 見通し |
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2025年 目標 |
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売上高 |
3兆5,134億円 |
4兆314億円 |
4兆1,810億円 |
4兆3,500億円 |
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4兆5,000億円以上 |
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営業利益率 |
8.0% |
8.8% |
9.0% |
10.0% |
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12%以上 |
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当期純利益率 |
6.1% |
6.1% |
6.3% |
7.0% |
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8%以上 |
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ROE |
7.9% |
8.1% |
8.2% |
8.9% |
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10%以上 |
現行事業・新規事業売上比率
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてキヤノングループが判断したものであります。
(1) リスクマネジメント体制
キヤノンは、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、品質リスクや情報漏洩リスクその他の主要な事業リスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。
法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管するキヤノンの本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。
キヤノン各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。
リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。
リスクマネジメント体制
リスクマネジメントプロセス
(2) 事業等のリスク
キヤノングループ(キヤノン及びその連結子会社。以下、当該項目では「キヤノン」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。キヤノンでは、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、キヤノンの経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクはキヤノンに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2024年3月28日)現在において判断した記載となっております。
リスクマップ
(注)リスクマップ上の各リスク番号は、キヤノンで各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。
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①事業特有の重要性が高いリスク |
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①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していく可能性があります。 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションをキヤノンが十分に提供できない場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、キヤノンはインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。 さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、キヤノンにとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。
(注)キヤノンの事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しながら、縮小しております。競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、キヤノンの地位が相対的に低下し、結果としてキヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、キヤノンの地位が相対的に低下し、結果としてキヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンはデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質且つ多様化する映像表現へのニーズに応えるため、プロやハイアマチュアからエントリーユーザー向けまで幅広いラインアップのさらなる強化を進めております。また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムを新たに立ち上げております。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化、また、医療現場における対面や接触の回避など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、スマートシティなど新たに活躍する市場を確立し、社会インフラの構築に貢献していきます。
(注)キヤノンの事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、昨今の地政学リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、がんや循環器疾病の早期発見、パンデミックや社会保障制度改革への対応、医療従事者の人手不足、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化や市場ニーズに即応できない場合には、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。 また、今後も部品逼迫等の長期化への対応や地政学的なリスクヘッジなど、各国・地域の市場の変化をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。
(注)キヤノンの事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、キヤノンの半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、キヤノンは競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、キヤノンのビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化がキヤノンの想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。またキヤノンでは、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。 半導体において、中長期的な市場の成長やキヤノン製品のシェア拡大に向けて、新生産工場の建設を進めております。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。
(注)キヤノンの事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-5.販売に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク キヤノンにおいて、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、キヤノンとの関係を制限または縮小する決定を為す場合、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、キヤノンと取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、キヤノンとの関係を制限または縮小する決定を為す場合、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、キヤノンの想定を超える環境の変化が起こる場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。 |
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②事業横断的な重要性が高いリスク |
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②-1.サプライチェーンに関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:高 |
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●リスク キヤノンは原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めておりますが、部品及び材料の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 キヤノンは重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しております。キヤノンの製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、キヤノンの生産活動の中断や製造原価の上昇等によりキヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 製品を世界各国・地域に供給するために、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。 また、ウクライナ・中東情勢等の地政学的リスクにより、物流の混乱、部品及び材料の価格高騰や逼迫が生じた場合、キヤノンのサプライチェーンに悪影響を及ぼします。 さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などがキヤノングループのサプライチェーンで発生する場合、キヤノンの社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めております。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めております。 また、キヤノンではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っております。 さらに、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、キヤノンでは人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。キヤノンは、キヤノンが加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステムなどに配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーからRBA行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守などの取り組みを促進すべく、RBAのSAQ(Self-Assessment Questionnaire)を用いた点検を毎年実施しております。 |
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②-2.自然災害・感染症に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:高 |
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●リスク キヤノンの本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといったキヤノンの施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因はキヤノンの営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症については、日本国内においては5類感染症への移行により法的な制限がなくなり、経済活動への影響が低減しました。日本国外に目を向けても、事業活動が大きく制限されるリスクは軽減されてきました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界経済・キヤノンの事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請によりキヤノンの事業活動が制限される事態においては、キヤノンのビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、キヤノン関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームがキヤノンの想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置がキヤノンの予想を下回る事態が発生する場合、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大は、世界各地のサプライチェーンやキヤノンの生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在するキヤノンの一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、キヤノンの販売活動が悪影響を受ける可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っております。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。 また、キヤノンは、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等、緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。 今後も自然災害や感染症の再拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。 |
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②-3.為替・金利変動に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:高 |
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●リスク キヤノンは、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上などキヤノンの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。キヤノン製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じるキヤノンの資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。加えてキヤノンは、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。 |
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☆対応・機会 急激な為替レートの変動に関しては、キヤノンはキヤノン現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。金利変動のリスクに対しては、外部からの借入を最小限に抑え、金利動向に左右されない強固な財務体質の維持に努めております。 |
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②-4.国際政治経済に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク キヤノンは生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。 主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、キヤノンの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主にキヤノンのオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、キヤノン製品の売上が低下し、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、キヤノンが予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。 |
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☆対応・機会 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、キヤノンは、キヤノン現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、キヤノンは商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、キヤノンは特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。 |
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②-5.人材の確保に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:高 |
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●リスク キヤノンの将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といったキヤノンの活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、キヤノンの将来の経営成績に影響すると考えております。一方、キヤノンが属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。またキヤノンの製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。 |
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☆対応・機会 キヤノンでは、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。 また、キヤノンではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。さらに、キヤノンが2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。 キヤノンの事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。
(注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(4)「人的資本」に記載しております。 |
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②-6.情報セキュリティに関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:高 |
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●リスク キヤノンは、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。キヤノンはこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されております。 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開するキヤノンの拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、キヤノンネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンでは保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。 キヤノンは、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。 従業員に対しても、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年キヤノン及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。
(注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「サイバーセキュリティ」に記載しております。 |
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②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク キヤノンは、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、キヤノンの成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。キヤノンとその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、キヤノンの事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、キヤノンが貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、キヤノン取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、キヤノンのものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。 |
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②-8.環境に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク キヤノンは、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、キヤノンは、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もしキヤノンが将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合キヤノンに与える影響は大きくなる可能性があります。 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、キヤノンのビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンはグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。
(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(3)「気候変動(TCFD提言に即した開示)」に記載しております。 |
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③一般的なリスク |
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③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク キヤノンが提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。 あらゆるキヤノン製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮したキヤノン独自の安全基準を設定しております。 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。 |
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③-2.新製品への移行に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク キヤノンが参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、キヤノンの製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、キヤノンの収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、キヤノンの収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者がキヤノン製品と類似した新製品をキヤノンより先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。 キヤノンは、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。
(注)キヤノンの事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。また、キヤノンの研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。 |
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③-3.有価証券に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク キヤノンの資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来においてキヤノンが実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。
(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。 |
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③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク キヤノンは、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。 しかし、現在キヤノンが当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、キヤノンが高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。キヤノンにとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、キヤノンの社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンでは、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、キヤノンが直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。 また、キヤノンリスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。 |
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③-5.知的財産に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク 頻繁な技術革新を伴うキヤノン製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、キヤノンが出願した特許が認められなかったり、キヤノンの知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、キヤノンの知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からのキヤノンに対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。 キヤノンの知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、キヤノンは訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。 またキヤノンは、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、キヤノンのビジネスが影響を受ける可能性があります。 またキヤノンは、ルールや評価システムを設定して、キヤノン従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。 更に、キヤノンの商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことでキヤノンのブランド価値が毀損されるとともに、キヤノンのビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。 上記の要因は全て、キヤノンのビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。 キヤノンの知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。 キヤノンの知的財産戦略の基本方針として、キヤノンはコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、キヤノンの知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。 キヤノンは上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。
(注)キヤノンの知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。 |
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③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:低 |
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●リスク 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、キヤノンの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、キヤノンの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは繰延税金資産に影響を与えるような、キヤノン及びキヤノン現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及び法人税の最低税率の導入に関するOECD/IFにおける合意に基づき、各国・地域での制度化が進められております。最低税率の導入についてはEU主要国や韓国、オーストラリア、ベトナム、タイなどですでに制度化され、また我が国日本においても2023年度税制改正において法制化されました。 こうした国際課税制度の強化が図られる中、キヤノンは、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、キヤノン現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。 |
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③-7.退職給付会計に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:低 |
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●リスク キヤノン及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。キヤノンは、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 キヤノンは、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。 |
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※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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