丸紅(8002)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


丸紅(8002)の株価チャート 丸紅(8002)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

丸紅及び連結子会社は、国内外のネットワークを通じて、ライフスタイル、フォレストプロダクツ、情報ソリューション、食料、アグリ事業、化学品、金属、エネルギー、電力、インフラプロジェクト、航空・船舶、金融・リース・不動産、建機・産機・モビリティ、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメント、その他の広範な分野において、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引のほか、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開しております。

丸紅グループにおいてかかる事業を推進する連結対象会社は、連結子会社338社、関連会社等160社、合計498社から構成されております。(注)1

当連結会計年度より、「情報ソリューション」の一部を「インフラプロジェクト」に編入しております。

丸紅グループのオペレーティング・セグメントごとの取扱商品・サービスの内容及び主要な関係会社名は以下のとおりであります。

オペレーティング・セグメント

      (注)2,17

取扱商品・サービスの内容

主要な関係会社名

ライフスタイル

国内及び海外において、アパレル、フットウェア、生活用品、スポーツ用品、産業資材、繊維原料、タイヤ、ゴム資材等多岐にわたる商品を取り扱い、商品の企画・製造・卸売/小売販売から事業投資・運営まで様々な事業を展開しております。

子会社

 丸紅インテックス、丸紅テクノラバー、

丸紅ファッションリンク、

Viacore Holding

関連会社等

Saide Tekstil Sanayi ve Ticaret

フォレスト

プロダクツ

国内及び海外において、製紙原料・板紙・衛生紙・洋紙・バイオマス燃料等の製造・販売、植林事業への参画及び住宅資材の販売を行っております。

子会社

興亜工業、丸紅フォレストリンクス、

Musi Hutan Persada、

Tanjungenim Lestari Pulp and Paper

関連会社等

Santher - Fabrica de Papel Santa Therezinha

情報

ソリューション

国内及び海外において、ICT分野では、システムソリューション事業、モバイル事業、ネットワーク事業等、物流分野では、フォワーディング事業、物流センター運営事業等、デジタル技術を活用した多様なサービスを提供しております。

子会社

アルテリア・ネットワークス、

丸紅ロジスティクス、

丸紅I-DIGIOホールディングス、MXモバイリング

関連会社等

-

食料第一

国内及び海外において、乳製品、砂糖、加工食品・飲料及びその原料、業務用食材、農水産物等、食に係る様々な商品を取り扱っており、原料調達、高付加価値商品の生産・加工事業、流通機能を活かした卸事業と幅広い事業を展開しております。また、新分野として、フードサイエンス領域での事業構築にも取り組んでおります。

子会社

アトリオン製菓、丸紅シーフーズ(注)3、

丸紅食料、山星屋、Iguaçu de Café Solúvel、Iguacu Vietnam

関連会社等

日清オイリオグループ、Acecook Vietnam

食料第二

国内及び海外において、飼料穀物、大豆、小麦等、穀物・畜産分野に係る様々な商品を取り扱っており、穀物集荷事業から穀物サイロ事業、配合飼料製造事業、畜肉の生産・処理加工・販売事業に至る幅広い事業を展開しております。また、デジタル技術を活用した畜産営農支援、穀物取引の効率化にも取り組んでおります。

子会社

ウェルファムフーズ、日清丸紅飼料、

日本チャンキー、

パシフィックグレーンセンター、

Columbia Grain International、

Creekstone Holding

関連会社等

エスフーズ

アグリ事業

米国、欧州、南米、アジア等の地域において農業資材小売及び卸売事業を展開しております。

子会社

Helena Agri-Enterprises、

MacroSource

関連会社等

片倉コープアグリ

化学品

国内及び海外において、石油化学品等の川上から電子材料、機能化学品の川下に至るまで、多種多様な製品・サービスを提供しております。飼料添加剤や食品機能材といった人口増加に伴い持続的な成長が期待できるライフサイエンス分野での事業展開、AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス分野での新しいビジネスモデルの構築等、これまでの化学品の枠を超えた新たなソリューション提供型ビジネスを推進しております。

子会社

丸紅ケミックス、丸紅プラックス、

Euroma Holding、Olympus Holding(注)4

関連会社等

Dampier Salt

金属

鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源の海外における開発事業、及び鉄鋼製品全般・非鉄軽金属の製造・加工・販売、鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源やセメント関連資材の売買、並びに鉄・非鉄軽金属・EV用バッテリーのリサイクル等を行っております。

子会社

 丸紅エコマテリアルズ、丸紅テツゲン、

 丸紅メタル、Marubeni Aluminium Australia、

 Marubeni Iron Ore Australia、

 Marubeni LP Holding(注)5、

 Marubeni Metals & Minerals (Canada)、

 Marubeni Resources Development

関連会社等

伊藤忠丸紅鉄鋼、パンパシフィック・カッパー、丸紅建材リース

新エネルギー

開発推進部

           (注)2

国内及び海外において、水素・燃料アンモニアの製造事業及びトレード・マーケティング、水素小売事業、SAF/e-メタン等の合成燃料製造事業及びトレード・マーケティング、CCUS事業等、新エネルギー領域において脱炭素の実現に資する事業に取り組んでおります。

子会社

 日英水素、日豪水素、日本CCUS投資

関連会社等

-

エネルギー

国内及び海外において、天然ガス事業(生産、液化、トレード)、石油・ガスの探鉱・開発・生産事業、石油・LPGのトレード・物流・マーケティング事業、原子力事業(ウラン鉱山開発、原子燃料サイクル、関連機器販売・サービス)、環境価値の開発・売買等の幅広い分野に取り組んでおります。

子会社

丸紅エネルギー、

Marubeni Oil & Gas (USA)、MIECO

関連会社等

ENEOSグローブ

電力

国内及び海外において、発電事業並びに電力サービス事業(電力小売事業、分散型電源事業、蓄電池・電力需給調整等を含むエネルギーマネジメント事業等)からなる多彩な電力事業における開発・投資・保守・運営・資産維持管理に加え、発電・送変電機器の納入及び工事請負を行っております。

子会社

丸紅新電力、丸紅洋上風力開発、三峰川電力、SmartestEnergy

関連会社等

秋田洋上風力発電、

Lion Power (2008)、Mesaieed Power

インフラ

プロジェクト

国内及び海外において、エネルギー関連インフラ、交通インフラ、社会インフラ、上下水道・海水淡水化及び脱炭素・低炭素・循環エコノミー関連分野を含む産業プラントの各分野での開発・投資・運営に加え、関連設備の納入・工事請負・運転維持管理を行っております。また、海外インフラ資産を対象としたファンド運営事業を行っております。

子会社

丸紅プロテックス、MM Capital Partners、

MM Capital Partners2号、

AGS MCUK Holdings、Aguas Decima

関連会社等

Southern Cone Water(注)6

航空・船舶

国内及び海外において、航空機・防衛宇宙関連機器等の輸出入、並びにこれら関連商材を取り扱う卸売・小売・製品開発・各種サービス等の分野への事業展開・投融資、また、貨物船・タンカー・LNG船等各種船舶の取引仲介・ファイナンス、保有・運航・管理等の事業を展開するとともに、船舶関連資材の取扱いを行っております。

子会社

スカーレットLNG輸送、丸紅エアロスペース、MMSLジャパン、

Marubeni Aviation Asset Investment、MMSL、Royal Maritime

関連会社等

スイスポートジャパン

金融・リース・

不動産

国内及び海外において、金融・リース分野では、自動車販売金融、航空機・航空機エンジンリース、商用車フリートマネジメント、貨車リース、総合リース及びノンバンク、次世代金融、フェムテック、プライベートエクイティファンド運営、国内企業投資事業等、不動産分野では、不動産開発、REIT及びファンド運営、アセットマネジメント事業等、保険分野では、保険仲介、キャプティブ事業等を行っております。

子会社

丸紅アビエーション(注)7、

丸紅セーフネット、丸紅都市開発、

丸紅リアルエステートマネジメント、

丸紅リートアドバイザーズ、
MAI Holding(注)8、MAI Holding Ⅳ(注)9

関連会社等

みずほ丸紅リース、みずほリース、

MARUBENI FUYO AUTO INVESTMENT(CANADA)

(注)10、

Marubeni SuMiT Rail Transport(注)11、

PLM Fleet

建機・産機・

モビリティ

国内及び海外において、建設機械・鉱山機械・自動車・産業機械・工作機械等の輸出入、並びにこれら多様な商材を取り扱う、卸売事業・小売事業・製品開発・各種サービス等の分野への投融資を幅広く行っております。

子会社

丸紅テクノシステム、MAIHO Ⅲ(注)12、

Marubeni Auto Investment (UK)、

MARUBENI DAGITIM VE SERVIS、

Marubeni-Komatsu

関連会社等

Hitachi Construction Machinery (Australia)

次世代事業開発

医薬品・医療機器、医療サービス、次世代産業基盤、卓越技術、DX・ITサービス、ビューティー、コンシューマーブランド、コンテンツ等、今後飛躍的な市場成長が見込まれ、これまで丸紅として十分な取組みができていない領域において、丸紅が培ってきた成功事業の“勝ち筋”を次世代事業開発の要諦として定め、実践することによって、新たなビジネスモデルの開発・事業構築を推進しております。

子会社

丸紅グローバルファーマ(注)13、

丸紅コンシューマーブランズ(注)14、

Megalopolis Manunggal Industrial Development

関連会社等

ラコステジャパン

次世代

コーポレート

ディベロップメント

成長性の高い東南アジア及び新しいビジネストレンドの発信地である米国を中心にコンシューマービジネスへの規模感のある投資を通じ、その成長性を丸紅グループに取り込むことを目的としたコーポレートディベロップメントの取組みを推進しております。また、革新的な技術やビジネスモデルを有する国内外のスタートアップ企業への投資を行うコーポレートベンチャーキャピタルを運営しており、これらの取組みを通じて、丸紅グループの中長期的な企業価値向上を目指しております。

子会社

 丸紅ベンチャーズ、

 Marubeni Growth Capital Asia、

 Marubeni Growth Capital U.S.、

 MGCA Cafe(注)15、MGCU Holdings、

 MRGB Hold(注)16

関連会社等

-

その他

(本部・管理等)

グループファイナンス及びグループ会社向けの財務・金融業務等を行っております。

子会社

丸紅フィナンシャルサービス、

Marubeni Finance America、

Marubeni Finance Europe

(注)1. 連結子会社及び関連会社の数には、丸紅が直接連結経理処理を実施している会社のみ含めており、連結子会社が連結経理処理している関係会社(367社)はその数から除外しております。なお、関連会社等にはジョイント・ベンチャー(共同支配企業)、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)を含めております。

2. 「新エネルギー開発推進部」(「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」の一部を編入)は独立したオペレーティング・セグメントではなく、その損益等については、オペレーティング・セグメントの「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」にそれぞれ配賦しております。

3. 丸紅シーフーズは、丸紅グループが従来保有していたベニレイが、2024年7月に商号変更したものです。

4. Olympus Holdingは、世界各国において飼料添加剤ディストリビューション事業を展開するOrffa International Holdingの持株会社であります。

5. Marubeni LP Holdingは、チリにおいて銅事業への投資を行う持株会社であります。

6. Southern Cone Waterは、チリにおいて上下水道のフルサービスを提供するAguas Nuevasの持株会社であります。

7. 丸紅アビエーションは、米国において航空機オペレーティングリース事業を展開するAircastleの持株会社であります。

8. MAI Holdingは、米国において自動車販売金融事業を展開するWestlake Services及びNowcomへの投資を行うNowlake Technologyの持株会社であります。

9. MAI Holding IVは、米国においてフリートマネジメント事業を展開するWheels Topcoへの投資を行う持株会社であります。

10. MARUBENI FUYO AUTO INVESTMENT(CANADA)は、北米において商用車レンタル・リース事業への投資を営むThe Driving Forceの持株会社であります。

11. Marubeni SuMiT Rail Transportは、北米において鉄道貨車リース事業等を営むMidwest Railcarの持株会社であります。なお、2025年5月に丸紅グループが保有していた同社全株式を譲渡しております。

12. MAIHO Ⅲは、米国において自動車アフターマーケット関連事業を営むXL Parts、TPH Holdings及びAutomotive Parts and Services Holdingsの持株会社であります。

13. 丸紅グローバルファーマは、中東において医薬品・医療機器販売事業を展開するLunatus Marketing & Consulting等の持株会社であります。

14. 丸紅コンシューマーブランズは、丸紅グループが従来保有していた丸紅フットウェアが、2024年5月に商号変更したものです。

15. MGCA Cafeは、シンガポール・マレーシア・インドネシアにおいてコーヒーチェーン事業を展開するMGCA Cafe SG等の持株会社であります。

16. MRGB Holdは、米国においてライフスタイルブランド運営事業を展開するR.G.Barryの持株会社であります。

 

17. 2025年度より、「ライフスタイル」、「フォレストプロダクツ」、「情報ソリューション」、「食料第一」、「食料第二」、「アグリ事業」、「化学品」、「金属」、「エネルギー」、「電力」、「インフラプロジェクト」、「航空・船舶」、「金融・リース・不動産」、「建機・産機・モビリティ」、「次世代事業開発」及び「次世代コーポレートディベロップメント」としていたオペレーティング・セグメントを、「ライフスタイル」、「食料・アグリ」、「金属」、「エネルギー・化学品」、「電力・インフラサービス」、「金融・リース・不動産」、「エアロスペース・モビリティ」、「情報ソリューション」、「次世代事業開発」及び「次世代コーポレートディベロップメント」に再編しております。

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境

丸紅グループを取り巻く経営環境を見ますと、既成概念のディスラプションにより、経営環境の急激な変化に直面しております。新型コロナウイルス感染症を契機として変容した行動様式の風化、生成AI等の急速な発展による産業変革の加速・ビジネスモデルのライフサイクル短期化、景気後退懸念と金融政策転換の予測困難性の増大、地政学的リスクの続発、経済と安全保障の連環の高まり、環境課題・ガバナンス・人的資本等のサステナビリティ経営への要請等、丸紅グループにとって機会と脅威が同時に到来しております。変化は成長オポチュニティとなる一方で、既存ビジネスモデルは陳腐化リスクにさらされており、これまでのように商品軸をベースとするアプローチだけではもはやソリューションは作り出せなくなると考えております。

 

(2)会社の経営の基本方針

丸紅グループは、前中期経営戦略「GC2021」において定めた2030年に向けた丸紅グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出すべく、中期経営戦略「GC2024」を策定し、2022年度よりスタートしております。

 

<中期経営戦略「GC2024」基本方針>

○既存事業の強化と新たなビジネスモデル創出を重層的に追求し、着実な収益の柱を育成・確立

○「グリーン事業(*1)の強化」、「全事業のグリーン化推進」によりグリーンのトップランナーへ

「グリーン事業の強化」

・強固な事業基盤、高い競争力を有する既存グリーン事業の強化・拡大

・既存の事業基盤・ネットワークの活用、全社横断的な取組みの推進による新たなグリーン事業の創出

(*1)脱炭素・循環経済等、地球環境に対しポジティブな影響を与えるサステナブルな事業、及びそれらの事業が必要としかつ代替困難な原材料等を供給する周辺領域

「全事業のグリーン化推進」

・環境負荷の低減、循環経済への移行を全事業領域において追求

・顧客・パートナーとの協働による持続可能なサプライチェーンの構築

・脱炭素社会への移行に欠かせない取組み(天然ガス・LNG等)

 

<中期経営戦略「GC2024」の定量目標>

中期経営戦略「GC2024」における定量目標及び2024年度見通しは以下のとおりであります。

経営指標

定量目標

2022年度実績

2023年度実績

2024年度見通し

連結純利益

4,000億円

(2024年度)

5,430億円

4,714億円

4,800億円

基礎営業キャッシュ・

フロー(*2)

3ヵ年累計

13,000億円

5,842億円

5,480億円

5,700億円

(3ヵ年累計

約17,000億円)

ROE

(ネットDEレシオ)

15%

(0.7~0.8倍程度)

22.4%

(0.52倍)

15.2%

(0.55倍)

15%程度

(0.6~0.7倍程度)

(*2)調整後営業利益(売上総利益+販売費及び一般管理費)に、営業活動によるキャッシュ・フローのうち、「減価償却費等」、「利息の受取額及び支払額」、「配当金の受取額」及び「法人所得税の支払額」を合計した額。

 

<中期経営戦略「GC2024」の進捗と利益成長イメージ>

「既存事業のオーガニック成長」

・2018年度から2023年度にかけての実態純利益(*3)の推移は以下のとおりであります。

 

2018年度実績

2023年度実績

2018~2023年度

増益額

CAGR(*4)

全社

2,560億円

4,670億円

+2,110億円

+13%

非資源分野

1,970億円

3,070億円

+1,100億円

+9%

資源分野

690億円

1,520億円

+830億円

+17%

(*3)純利益から一過性要因を控除した概数

(*4)年平均成長率

・各事業の競争優位性の強化・拡大と、改善余地の大きい事業の収益性をターンアラウンドにより改善することで更なる利益成長を目指す

 

「成長投資」

・中期経営戦略「GC2024」の成長投資(新規投資・CAPEX等)はこれまで順調に進捗しており、3ヵ年累計の計画1兆円に対し約1.3兆円となる見通し

・案件パイプラインは豊富。財務規律・投資規律を重視しながら、ROE15%の維持・向上に向けて成長投資、資産入替えを行い、利益の底上げを図る

 

「更なる利益成長に向けて」

・既存事業領域の強化により、中期経営戦略「GC2024」において年間4,000~4,500億円の収益基盤を確立

・中期経営戦略期間を経るごとに利益規模を順調に拡大し、中期経営戦略「GC2018」開始以降のCAGRは14%の実績

・既存事業のオーガニック成長と成長投資を通じた戦略追求により次の利益ステージを目指す

 

「資本配分」

・収益力の向上により、中期経営戦略「GC2024」の当初計画と比べ基礎営業キャッシュ・フローが大幅増。また投資の回収もGavilon穀物事業の売却を実現したことにより2倍以上に増加

・これらによって経営資源の追加配分余地を創出。継続的に財務基盤を充実・強化すると同時に、成長投資(新規投資・CAPEX等)と株主還元を強化していく

・当面のネットDEレシオは0.6~0.7倍程度を想定

 

「グリーン戦略」

・営業本部別グリーン戦略を現場主導で実践

・進捗状況はTNFD提言に基づき開示予定(2024年度中)

・GHG排出量の開示を拡充(Scope3全カテゴリー/2024年度中)

丸紅グループのサステナビリティの全体像については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(3)ロシア関連ビジネスへの取組み方針

丸紅グループは日本政府が国際社会と協調するロシアに対する制裁方針を遵守しますロシア関連新規取引については制裁方針の対象とならないケースも含めて凍結とし既存取引についても可能な限り解約を交渉する方針としております

今後も個別案件への対応を含めて情報を収集し状況を精査しつつの安全確保を第一に考えながら政府をはじめとする関係各所とも協議のうえ適切な対応を検討してまいります

 

(将来に関する記述等についてのご注意)

本報告書に記載されている将来に関する記述は、丸紅が当有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

丸紅及び連結子会社の営業活動その他に係るリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しておりますが、丸紅及び連結子会社は広範にわたる事業活動を行っているため、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。なお、本項における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき合理的であると丸紅が判断したものです。

 

(1)リスク管理方針について

丸紅及び連結子会社は、多様な事業活動を営むなかで、マクロ・ミクロ、定量・定性という多面的な視点でリスク管理を行っており、それぞれに関して、リスク管理の基本方針・社内規則を定め、それを遂行するための組織、管理体制、管理手法を整備しております。

個別リスクへのミクロの視点からは、稟議制度に基づき意思決定をした信用供与、投資等の個別案件のうち、重要案件を対象にモニタリングを行い、問題の早期発見と対策立案を徹底しております。経営会議体への定期的な現状報告が行われるなかで、事業の戦略性、成長性、収益性に関する検証を行い、必要な案件については、多角的かつ複合的な要素を勘案し、その方向性について稟議制度のプロセスに従って決定を下す等、リスク管理の強化を図っております。

また、丸紅グループ全般を見渡すマクロの視点からは統合リスク管理を実施しており、丸紅グループが抱える連結ベースのエクスポージャーについて、各資産項目のリスク特性に応じた想定最大損失率を乗じて最大下落リスク額(リスクアセット)を計量し、自らの体力である資本の範囲内に収めることを基本方針としております。

一方で、コンプライアンスリスク等の定量化が困難なリスクについては、コーポレート・ガバナンスの強化、内部統制システムの整備、及びコンプライアンス体制の強化を通じて、リスクの顕在化を未然に防止する体制を整えております。

しかしながら、丸紅及び連結子会社の幅広い事業活動から生じる、又は将来新たに発生する可能性のある多種多様なリスクに対して、丸紅及び連結子会社のリスク管理の枠組みでは十分に対応しきれない可能性があり、その場合には丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)個別のリスクについて

① 世界経済及び産業構造の変化等が丸紅及び連結子会社に与える影響について

丸紅は、日本を含む60ヵ国以上の国々に拠点を置いて事業活動を展開している総合商社です。丸紅及び連結子会社は、日本及び海外の様々な国・地域における、幅広い産業分野において、一次産業の生産・調達や、製品の製造・販売、役務提供等、様々な商業活動及び投資活動を展開しております。

このため、丸紅では、世界経済に影響を与える事象、例えば米中対立、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、気候変動・自然災害が事業活動に及ぼす影響を検討し必要な対応を行っております。また、生成AI等に代表される技術革新や、サステナビリティ、脱炭素化等価値観の変化・多様化による産業構造の変化に対し、既存ビジネスモデルの見直しや新たなビジネスモデルの構築を図っております。世界経済の悪化や低迷、あるいは、産業構造の変化等への不十分な対応は、丸紅及び連結子会社の営業活動、業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 取引先の信用リスクについて

丸紅及び連結子会社は、取引先に対し営業債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、また、営業活動の一環として取引先との間で商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の契約を締結しておりますので、取引先の債務不履行や契約不履行等による信用危険の負担(信用リスク)が生じた場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記の信用リスクの未然防止のため、取引先の信用状態、取引の利益率や戦略的な適合性等を見極めつつ、一取引先に対して供与する信用の最高限度である「信用限度」を設定し、その範囲内にて運用することを丸紅の与信管理の基本としております。

なお、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、丸紅及び連結子会社では取引先の信用状態に応じて判定した社内格付、担保価値、その他一定の前提と見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。

 

③ 投資等に係るリスクについて

丸紅及び連結子会社は、単独又は他社と共同で新会社の設立や既存会社の買収等の事業活動を行っております。これら事業投資の多くは多額の資本を必要とし、丸紅及び連結子会社が希望する時期や方法で撤退できない可能性や、追加資金拠出を余儀なくされる可能性があります。

投資等に係るリスクの未然防止のため、丸紅及び連結子会社は、新規投資等の実施に際して、IRR、回収期間、及びリスク調整後税引後利益であるPATRAC(*)等の社内で定められた投資基準に基づき、リスクに見合うリターンが得られているかの定量面・定性面の検証を含めたリスク管理を徹底しておりますが、これら投資等の価値が低下した場合、あるいは追加資金拠出が必要になる場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(*) PATRAC:Profit After Tax less Risk Asset Costの略。リターンがリスクに対する最低限のリターン目標を上回っているかを計る、丸紅独自の経営指標。以下の計算式に基づき算出する。

PATRAC=税引後利益-リスクアセット(=必要株主資本)×10%(※)

(※)資本コストをベースとするハードルレート

 

④ 資金調達力及び調達コストについて

丸紅及び連結子会社は、資産構成に合わせた最適資金調達と安定的な流動性の確保を重視した資金調達を行っております。しかしながら、国内及び海外の主要金融市場において大きな混乱が生じた場合、あるいは営業活動によるキャッシュ・フローの不足、収益性の低下又は資産及び負債管理の失敗、更には格付会社による丸紅及び連結子会社の信用格付の大幅な格下げが行われた場合には、資金調達が制約されるか、又は調達コストが増加する可能性があり、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 市場リスクについて

当項目内において、親会社の所有者に帰属する当期利益(以下「当期利益」という。)への影響額は、ほかに記載のない限り、丸紅の当連結会計年度の業績を踏まえて試算した翌連結会計年度に対する影響額を記載しております。

(a)各種商品価格の変動について

丸紅及び連結子会社は、様々な商品を扱っており、一部の商品、契約、予定取引については、それらに係る市況変動リスクを軽減するため、商品先物・先渡等の契約を締結しておりますが、食料第二本部が取り扱うトウモロコシや小麦等の穀物、化学品本部が取り扱うエチレンやプロピレン等の化学品、エネルギー本部が取り扱う原油やガス、金属本部が取り扱う非鉄金属、電力本部が取り扱う電力、フォレストプロダクツ本部が取り扱うパルプといった商品は、その価格変動によって丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これら商品を輸送するためにドライバルク船やタンカー等の船舶を利用しておりますが、これら船舶市況も丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、商品売買取引における価格変動リスクに関し、商品ごとに設定したポジション限度の範囲内での取引実施、及び商品ごとのポジションの適時モニタリングを柱とする商品ポジション管理を通じて、各商品市場に対して過大なリスクを負うことのないように管理しております。

これらの商品売買取引における各種商品価格の変動の影響に加え、丸紅及び連結子会社は、資源・エネルギー開発事業やその他製造事業に参画しており、それらの事業を通じて販売する生産物や製品に関連する商品市況の変動が丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、丸紅及び連結子会社が参画する資源・エネルギー開発事業において、主な商品の価格変動の影響は以下のとおりであります。

原油の商品価格が1バレル当たり1米ドル変動した場合における当期利益への影響額は、年間約4億円と試算されますが、生産・操業状況、操業費用、生産坑井掘削及び生産設備の建設等の開発費用、探鉱費用、廃坑費用等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、原油の商品価格のみで単純に決定されない場合があります。

銅の商品価格が1トン当たり100米ドル変動した場合における当期利益への影響額は、年間約14億円と試算されますが、生産・操業状況、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の商品価格のみで単純に決定されない場合があります。

 

(b)為替変動について

丸紅及び連結子会社は、様々な通貨・条件での取引を行っており、主に外貨建取引及び外貨建債権・債務残高等に係る為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ契約を締結しておりますが、為替変動は丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当期利益に占める海外連結子会社、持分法適用会社の持分損益や海外事業からの受取配当金の割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、丸紅の報告通貨が円であることから、為替変動は丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に影響を与えます。米ドルに対して日本円が1円変動した場合における当期利益への影響額は、年間約16億円と試算されます。

 

(c)金利変動について

丸紅及び連結子会社は、金融機関からの借入及び社債等を通じた資本市場からの資金調達により事業資金を手当てしております。変動金利の調達は、その相当部分は変動の影響を転嫁できる営業資産に見合っておりますが、金利変動の影響を完全に回避できないものもあり、金利変動リスクにさらされております。

丸紅及び連結子会社は、Asset-Liability Managementを通じ、投資有価証券や固定資産等の非金利感応資産のうち、変動金利で調達している部分を金利ポジションとして捉え、ポジションの総量や市場動向を注視しつつ、金利スワップ契約等の活用も含めた金利変動リスクへの対応策を決定しております。

しかしながら、これら手段の活用を通じても、金利の変動が与える影響を完全に回避できるものではなく、金利動向によっては、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(d)活発な市場のある有価証券の価格変動について

丸紅及び連結子会社は、関係強化あるいはその他の目的で、活発な市場のある有価証券に投資を行っております。活発な市場のある有価証券は、その公正価値の変動に伴い、本源的に価格変動リスクを有しており、公正価値の下落は丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、丸紅は、過去一定期間の価格変動データをもとに、VaR(Value at Risk)の手法でリスク量を定量化し、統計的に計測した保有銘柄全体の予想最大損失額を定期的にモニタリングしております。

 

(e)退職後給付に係るリスクについて

丸紅及び連結子会社の年金資産には国内外の株式及び債券等が含まれております。その運用にあたっては、社内に設置した年金資産管理運用委員会で定期的なモニタリングを実施したうえで、許容できるリスクの範囲内で常に年金資産の極大化に努めております。しかしながら、丸紅の想定を超える証券市場の低迷等により年金資産の価値が減少した場合、退職給付費用が増加し、年金資産の積み増し等が必要となることがあります。また、確定給付債務の現在価値は割引率や昇給率等につき仮定をおいて算定しておりますが、当該仮定と実際の数値が異なる場合、確定給付債務の金額に変動が生じる可能性があります。これらの場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 長期性資産に係るリスクについて

丸紅及び連結子会社の保有する長期性資産のなかには、不動産・機械装置等の事業用資産に加えて、資源権益への投資や、企業買収時に認識するのれんを含む無形資産、丸紅がマジョリティを持たずに持分法で会計処理される投資(以下「持分法投資」という。)等が含まれております。

丸紅及び連結子会社は、これらの長期性資産について、IFRSに準拠し、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。なお、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。

しかしながら、経済及び業界環境の変化や、事業計画の見直し、保有方針の転換等の理由により、現時点の想定に比べて資産価値が著しく下落した場合には、減損損失や、投下資金の回収不能、撤退時の追加損失等が発生し、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<資源権益への投資について>

当連結会計年度末における資源権益への投資について、商品別のエクスポージャーは以下のとおりであります。

 

商品

エクスポージャー金額

主な内容

約3,900億円

持分法投資(チリ)

鉄鉱石

約1,900億円

持分法投資(豪州)

原料炭

約1,100億円

持分法投資・有形固定資産(豪州)

原油・ガス

約900億円

有形固定資産(米国メキシコ湾等)

LNG

約500億円

持分法投資(パプアニューギニア等)

合計

約8,400億円

 

(*) 概数で表示している関係で、合計値が合わない場合があります。

 

丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある銅事業・鉄鉱石事業・原料炭事業への投資においては、以下の要因により資産価値の変動が生じる可能性があります。

 

銅事業・鉄鉱石事業・原料炭事業

丸紅及び連結子会社が参画する銅事業・鉄鉱石事業・原料炭事業において、銅価格、鉄鉱石価格や、原料炭価格等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、為替変動、地政学的情勢や、感染症の拡大の影響等、丸紅及び連結子会社が管理できない要因により変動する可能性があります。

丸紅及び連結子会社の参画する銅事業の長期性資産の主な内容は持分法投資(チリのミネラロスペランブレス銅鉱山、ミネラセンチネラ銅鉱山、ミネラアントコヤ銅鉱山)であります。鉄鉱石事業の長期性資産の主な内容は持分法投資(豪州のロイヒル鉄鉱山)であります。また、原料炭事業の長期性資産の主な内容は持分法投資・有形固定資産(豪州のジェリンバイースト炭鉱、レイクバーモント炭鉱、ヘイルクリーク炭鉱)であります。

なお、これらの持分法投資・有形固定資産は、第三者から提供されたデータや、市況状況、ファンダメンタル等を考慮のうえで、丸紅及び連結子会社にて策定した価格見通しを使用した事業計画に基づいて評価しておりますが、商品価格や生産量の変動、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出の高騰、事業環境の変化及び電力・水等のインフラに起因するオペレーション上の問題等が生じた場合には、事業計画が修正される可能性があります。

 

<Aircastleへの投資について>

丸紅の持分法適用会社であるAircastleは、全世界のエアラインに対し航空機のリースを行っております。このため、航空旅客需要の悪化、燃油価格の高騰、為替変動、金利上昇等によりエアラインの支払能力が著しく悪化又は倒産した場合、またリース料率の低下や保有する航空機の資産価値が著しく下落した場合に、同社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

航空旅客需要を悪化させる要因としては、戦争やテロ行為、感染症の拡大や自然災害、航空機事故等が想定されます。また、リース先エアラインは世界各国に分散していることから、各国及び国際間の法規制の変更や、経済制裁等の地政学上のリスクの影響を受ける可能性があります。同社への投資にあたっては、中長期的な航空旅客需要の伸びに牽引されて同社が成長を続ける前提での事業計画に基づいて評価をしておりますが、上記のリスク要因による影響が顕在化し、それに伴うリース先支払能力の著しい悪化や、機体価値の下落等による収益率の悪化により、丸紅想定よりも成長が鈍化する場合には、事業計画を修正する可能性があります。

なお、当連結会計年度末における同社向けの投資金額は約1,862億円であります。

 

<事業計画に契約延長を織り込んでいる案件について>

丸紅及び連結子会社の電力IPP事業や、海外インフラコンセッション事業、長期傭船事業等において、一部の事業計画は、策定時における事業環境に鑑み、相応の蓋然性を確認のうえで、締結済みの長期販売契約等の契約の延長を前提としている場合があります。しかし、これらの前提は、事業環境の変化、世界及び地域での需給の不均衡、景気変動等、様々な要因による影響を受けるため、実際には契約の延長を実現できない場合や、延長後の契約条件が当初事業計画における想定よりも悪化する場合があり、それに伴う事業計画の見直しにより資産価値が著しく下落し、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制等について

丸紅及び連結子会社の事業は、日本及び諸外国において、広範な法令及び規制に服しております。それらは、事業及び投資に関する許認可、安全保障上の規制を含む輸出入に関する規制、関税及び各種税法、独占禁止法を含む不公正取引規制、マネーロンダリング規制、汚職・贈収賄防止関連法、個人情報保護法・GDPR(EU一般データ保護規制)、環境保護関連法等の多岐の分野にわたります。例えば、事業及び投資に関する許認可に係るものとしては、日本における主なものとして、ライフスタイル本部では景品表示法等、情報ソリューション本部では電気通信事業法等、食料第一本部及び食料第二本部では食品衛生法及び飼料安全法等、化学品本部では毒物劇物取締法等、エネルギー本部では石油備蓄法等、電力本部では電気事業法等、航空・船舶本部では航空法及び海上運送法等、金融・リース・不動産本部では投資信託及び投資法人に関する法律並びに宅地建物取引業法等が挙げられ、諸外国においても、これらの法令及び規制と同一又は類似のものが存在します。

加えて、丸紅は、法令及び規制の遵守だけでなく、いち企業市民として高い倫理観を持ち、全てのステークホルダーの期待に応え社会的責任を果たすことをコンプライアンスと捉えております。法令及び規制の遵守を含むコンプライアンスの実践のため、丸紅は社長直轄のコンプライアンス委員会を設置しております。コンプライアンス委員会の詳細は、「第4 提出会社の状況」における「4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 <コーポレート・ガバナンスに関する施策の実施状況> ① 会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況(l)内部統制システムの整備の状況」に記載のとおりであります。

しかしながら、丸紅及び連結子会社が事業を行う国・地域によっては、法制度が十分に機能していない場合があり、予期しえない法令、規制、解釈の変更や、規制当局、司法機関等による一貫性のない法令の適用・解釈、運用の一方的な変更等が発生する可能性があること、丸紅及び連結子会社が行う事業(全く新しいビジネスモデルによるものを含む)のなかには法令・規制が十分に整備されていない事業分野も含まれること、丸紅及び連結子会社は、リスクベース・アプローチに基づくコンプライアンスリスク管理を徹底しているものの、丸紅及び連結子会社の行う事業活動が極めて広範であること等から、コンプライアンス違反が生じる可能性があり、丸紅及び連結子会社のコンプライアンス遵守のための負担が増加する可能性があります。このような事態が発生した場合には、事業の中断を含む罰則の適用を受け、又は信用の低下等が発生し、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<税制・税務リスクについて>

丸紅及び連結子会社は、様々な活動をグローバルに展開していることから、日本及び諸外国において納税義務を負っております。そのため、将来的に、各国税務当局による課税が強化され、課税ベースの拡大・税率変更といったルール変更が行われた場合には、丸紅及び連結子会社が納付すべき税額が増加する可能性があります。

また、丸紅及び連結子会社は、必要に応じて外部専門家を活用し、各国の税法に従い適切な税務申告を行っておりますが、各国当局との見解の相違により、予想外の課税を受ける可能性があります。仮に課税問題が発生した場合には、外部専門家を起用し問題解決を図る等の対策を講じますが、追加的な課税が生じる可能性を完全に排除できるものではありません。このような場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 重要な訴訟について

丸紅及び連結子会社の国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続の対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

丸紅はインドネシアの企業グループであるSugar Groupに属する企業(以下「Sugar Group」という。)を相手にした訴訟(以下「旧訴訟」という。)について、2011年にインドネシア最高裁判所(以下「最高裁」という。)において丸紅の勝訴が確定したにもかかわらず、Sugar Groupから、旧訴訟と請求内容が同一である別途訴訟(以下「グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟」という。)を提起され、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟につき2017年に最高裁で丸紅の敗訴が一旦確定しておりますが、丸紅はインドネシア最高裁に対して司法審査(再審理)を申し立てました。このうち、南ジャカルタ訴訟については、丸紅は最高裁再審理決定の決定書を、2020年12月30日に受領しております。当該決定書には、2020年8月24日付で丸紅の司法審査(再審理)請求を認容し、丸紅が2017年5月17日に受領した丸紅敗訴の南ジャカルタ訴訟最高裁判決を取り消したうえで、原告であるSugar Groupの請求を全て棄却する旨が記載されております。他方、グヌンスギ訴訟については、丸紅は、2018年10月8日付で丸紅の司法審査(再審理)申立を不受理とする旨の最高裁再審理決定の決定書を、2020年2月3日に受領しております。丸紅は、2020年5月18日、最高裁に対して2回目の司法審査(再審理)を申し立てましたが、申立書類の提出先であるグヌンスギ地方裁判所(以下「グヌンスギ地裁」という。)は2020年5月20日付で、最高裁再審理決定と旧訴訟最高裁判決間の矛盾の不存在を理由に丸紅の申立を受理せず申立書類を最高裁に回付しないことを決定しました。インドネシア最高裁判所法等関連法令上、かかる判断は司法審査(再審理)の実施機関である最高裁の職責に属する事項であるとされており、グヌンスギ地裁の決定が不当であることは明らかであること、また、上述のとおり丸紅が勝訴した南ジャカルタ訴訟司法審査(再審理)の結果を踏まえて、丸紅は最高裁に対して、改めてグヌンスギ訴訟に関する2回目の司法審査(再審理)を2021年5月31日付で申し立て、グヌンスギ地裁に受理されましたが、2022年7月28日付で丸紅の2回目の司法審査(再審理)申立を不受理とする旨の最高裁再審理決定の決定書を、2024年1月30日に受領しております。丸紅は、1回目のグヌンスギ訴訟の司法審査(再審理)の不受理決定と、丸紅が勝訴した南ジャカルタ訴訟の司法審査(再審理)の決定との間に矛盾があることを理由に、2回目の司法審査(再審理)を申し立てておりましたが、前者については不受理という手続的判断であり、実体審理のうえで判断がなされた後者とは矛盾があるとは評価できないと判断され、司法審査(再審理)の要件を満たさないため不受理とされております。

また、丸紅はSugar Groupの不法行為による丸紅の信用毀損等を原因としてSugar Groupに対し損害賠償請求訴訟を提起しておりますが、これに対し、Sugar Groupは当該訴訟(以下「本訴」という。)の手続のなかで、丸紅に対して当該訴訟の提起が不法行為であるとして損害賠償請求訴訟(以下「反訴」という。)を提起しておりました。先般、第一審及び第二審にて本訴請求及び反訴請求いずれも棄却されたことを受け、丸紅は、2021年11月19日付で本訴につき最高裁に上告していたところ、本訴及び反訴について丸紅の本訴請求につき一部認容するとともに、Sugar Groupの反訴請求を全て棄却する内容の最高裁判決を2022年11月8日付で受領しました。Sugar Groupは当該最高裁判決を不服とし、当該最高裁判決の取消及び反訴請求と同様の損害賠償を求める司法審査(再審理)の申立を2023年3月24日に行い、丸紅は当該再審理申立書面を2023年12月11日付で受領しました。

丸紅に不利な裁定を最高裁が下したグヌンスギ訴訟等Sugar Groupとの一連の訴訟の今後の趨勢や裁判手続次第では、敗訴判決に基づく損害賠償額・金利・訴訟費用の合計金額の全部又は一部について丸紅が負担を強いられ損失を蒙る等、丸紅の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。各訴訟の詳細及び経緯については「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記27 約定及び偶発負債」に記載のとおりであります。

(注)南ジャカルタ訴訟においては被告に丸紅欧州会社も含まれております。

 

⑨ 環境・社会リスクについて

 丸紅及び連結子会社は、グローバルかつ幅広い産業分野に関連する営業活動を行っており、環境や社会、また取引先、従業員等のステークホルダーに対し様々な影響を及ぼします。丸紅は、社長直轄のサステナビリティ推進委員会を設置のうえ、サステナビリティの観点で重要度の高いリスクについて、サステナビリティ推進委員会で管理・モニタリングを行い、リスクの低減に努めています。また、リスク管理の一環として、環境、社会(安全衛生を含む)に関する潜在的リスク評価手法を構築し、投融資プロセス等において運用しております。サステナビリティの観点で重要度の高いリスクの管理については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「(3)リスク管理」に記載のとおりであります。

 

 喫緊の課題である気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、気候変動関連リスクの把握と業績への影響を同提言に基づき分析しています。気候変動により自然災害の激甚化や異常気象の深刻化、降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇や海面の上昇等といった物理的リスクが顕在化した場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、気候パターンの変化による穀物不作や、異常気象の激甚化による物流機能の麻痺、乾燥化や落雷の増加による森林における山火事等が、農業資材ビジネス、植林事業や木質資源供給ビジネスの収益を悪化させる可能性があります。

 

 また、炭素税の導入及び強化等の温室効果ガス排出規制や脱炭素化に貢献する技術の急激な発展等による需要変化の移行リスクは、発電事業や資源権益・販売事業等の化石燃料に関連する事業を中心に、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの気候変動リスクの発生可能性は、パリ協定の枠組みの下での気候変動の進行を防ぐ取組みの状況に大きく左右されます。

 

 丸紅及び連結子会社は、気候変動リスクの低減に努めており、2050年までに事業活動に伴う温室効果ガス排出ネットゼロ(*)の達成を目指すことを基本的方針としております。また、本方針を実効性のあるものとするため、2030年に向けたアクションプラン(行動計画)を策定しております。更に、個別の事業に関しても、以下を中心とした取組み方針を定めております。

 

・新規石炭火力発電事業には取り組まず、石炭火力発電事業によるネット発電容量を2018年度末対比で2025年までに半減させ、2050年までにゼロとする

・一般炭権益に関して、新規の資産獲得は行わない

 

 しかしながら、これらの取組みが奏功しない場合や今後想定を上回る速度又は規模で気候変動が進行する場合、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(*) 温室効果ガス排出削減を行ったうえで、削減できない残余排出を、自然を基盤とした手段や技術的手段により除去し、大気中への人為的な温室効果ガス排出をネットゼロとすること。なお、ネットゼロの対象範囲は丸紅及び連結子会社のScope1(直接排出)及びScope2(間接排出)に加え、Scope3(Scope 1、Scope 2以外の間接排出・サプライチェーン排出)カテゴリ15(投資)に含まれる持分法適用関連投資先の排出としております。

 

 更に、丸紅及び連結子会社の営業活動により、大気汚染、土壌汚染、水質汚染等による環境汚染等が生じた場合には、事業の停止、汚染除去費用、あるいは住民訴訟対応費用等が発生し、社会的評価の低下につながる可能性があります。これらの環境リスクに対応するため、環境マネジメントシステムを導入(1999年度)したほか、連結子会社並びに仕入先に対する調査を実施する等、環境負荷等の把握と環境リスクの低減に努めております。

 しかしながら、何らかの環境負荷が発生した場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 社会面では、丸紅グループ人権基本方針、サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針を策定のうえ、人権の尊重と持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、連結子会社へのサステナビリティ調査、サプライヤーに対する調査及び改善に向けた働きかけ、人権デューデリジェンス等に取り組んでおります。しかしながら、このようなリスク対策を実施したとしても、丸紅の事業活動により社会に対し負の影響が発生した場合には、事業の遅延や停止、損害賠償等の追加的費用、レピュテーション低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 自然災害等のリスクについて

丸紅及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震、津波、大雨、台風等の自然災害が発生した場合、また新型インフルエンザや新型コロナウイルス等による感染症が流行、拡大した場合、社員・事業所・設備やシステム等への被害及び交通、情報通信、水道・ガス・電力等の公共インフラに機能不全等が発生し、丸紅及び連結子会社の事業活動に支障が生じる可能性があります。

BCP(事業継続計画)の策定、耐震対策、感染症対策、防災訓練、必要物資の備蓄、各種保険への加入等、個々に対策を講じておりますが、自然災害等による被害や影響を完全に排除できるものではなく、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ カントリーリスクについて

丸紅及び連結子会社はグローバルに営業活動を展開しているため、当該活動地域・国における政治状況の変化、戦争・テロ・暴動を含む社会情勢の悪化、経済環境の変化、営業活動に関わる法制度や政策の変更等、様々なカントリーリスクにさらされており、これらの地域・国の事業環境が悪化した場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、丸紅及び連結子会社が活動する国に対し、各国のリスク度を評価して国分類に区分し、国分類又は国ごとのカントリーリスク管理基準を設けております。

この基準の下で、国分類又は国ごとの取組み方針を定め、また各国向けのリスク・エクスポージャーを集計して特定の国分類又は国へのエクスポージャー集中を防ぐ等の管理を行っております。

また、新規投資案件等の検討にあたっては、国分類又は国ごとのカントリーリスクに見合った適正なリターンが得られるのかという観点も考慮した投資基準を設定しております。

更に、案件ごとに必要に応じて、貿易保険や投資保険を付保する、第三国からの保証等を取得する等、適切なリスクヘッジ策を講じるべく努めております。

 

当連結会計年度末における主なカントリーリスクエクスポージャー(*)は以下のとおりであります。

(*) 丸紅及び連結子会社の保有資産のうち、長期与信、固定資産、投資等の長期性資産の金額の合計。

エクスポージャーが1,000億円以上の国を抽出。

 

日本

13,328億円

米国

11,238億円

チリ

4,708億円

豪州

3,959億円

インドネシア

2,687億円

シンガポール

1,971億円

ブラジル

1,777億円

フィリピン

1,190億円

ベトナム

1,084億円

オランダ

1,010億円

 

⑫ 情報システム及び情報セキュリティに関するリスクについて

丸紅及び連結子会社は、情報資産の適切な管理及び高い情報セキュリティレベルの確保を重要事項と認識し、グループ全体のセキュリティリスクの低減を図っております。CIOを委員長とする情報セキュリティ委員会を設け、セキュリティ面での課題把握及び対応方針の策定を行うとともに、セキュリティインシデント発生時にインシデントを統括管理するセキュリティマネジメントチーム(M-CSIRT)にて対応を行う体制を構築しています。また、対策の3つの柱として、① グループ各社が遵守すべき情報セキュリティ全般のグループ共通ITガバナンスルールを整備し、② 当該ルールに準拠したセキュアなグループ共通ITサービスのグループ会社への提供、③ 連結子会社・主要関連会社に対するITガバナンスルール遵守状況の検査(アセスメント)を定期的に実施しております。

しかしながら、サイバー攻撃は年々巧妙化しており、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備・通信障害等による情報システム停止等の可能性を完全に排除できるものではありません。このような場合には、丸紅及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 重要性がある会計方針及び見積りによるリスクについて

丸紅の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりであります。

 

・棚卸資産の評価

・有形固定資産の減損

・無形資産の減損

・関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損

・繰延税金資産の回収可能性

・確定給付制度債務

・引当金

・金融商品の評価

・偶発負債

 

丸紅の経営陣は、これらの見積りは合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、丸紅の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすことがあります。

重要性がある会計方針及び見積りについての詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」の「③ 重要性がある会計方針及び見積り」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。

 

(3)中期経営戦略について

丸紅及び連結子会社は、2022年度より3ヵ年の中期経営戦略「GC2024」をスタートしております。内容については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。

これらの定量目標は、策定時において適切と考えられる一定の経済状況・産業動向その他様々な前提・仮定及び見通しに基づき策定されたものであり、経営環境の変化、上記個別リスクの発現、その他様々な要因により達成できない可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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