兼松グループは、国内外のネットワークと各事業分野で培ってきた専門性と、商取引、情報収集、市場開拓、事業開発・組成、リスクマネジメント、物流などの商社機能を有機的に結合して、ICTソリューション、電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空を中心とした幅広い分野で、多種多様な商品・サービスを提供しております。
兼松はこれらの事業を、取扱商品・サービスの内容に応じた事業区分に分類しており、兼松グループ全体は、兼松に加え、連結子会社109社および持分法適用会社26社の合計135社(2025年3月31日現在)で構成されております。
なお、2024年4月1日に実施した組織再編に伴い、当連結会計年度より報告セグメントを変更しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記6 セグメント情報」に記載しております。
兼松グループの事業区分ごとの取扱商品・サービスの内容および主な関係会社は、次のとおりであります。
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事業区分 |
主な取扱商品・サービスの内容 |
主要な関係会社名 |
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ICTソリューション (8社) |
インフラ基盤設計・構築・運用サービス、システムコンサルティング、ハイブリッドクラウド、SOC・リモート運用・リモート監視・システム保守サービス、セキュリティソリューション、ネットワークソリューション、DX推進ソリューション他 |
(連結子会社 国内 5社、海外 2社) 兼松エレクトロニクス㈱
(持分法適用会社 国内 1社、海外 0社) グローバルセキュリティエキスパート㈱ |
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電子・デバイス |
電子部品・部材、半導体・液晶製造装置、通信関連機器・部品、電子関連の素材・副資材、携帯通信端末、モバイルインターネットシステム・サービス、産業用プリンター、データ流通事業他 |
(連結子会社 国内15社、海外13社) 兼松フューチャーテックソリューションズ㈱
(持分法適用会社 国内 0社、海外 0社) |
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食料 |
冷凍・乾燥・缶詰フルーツ、冷凍野菜、コーヒー、ゴマ、チアシード、ナッツ、落花生、雑豆、砂糖、蜂産品、ウイスキー、ワイン、畜産原料、畜産加工品、水産物、飼料原料、肥料、大豆、小麦、大麦、米、加工食品、植物肉、調理食品、ペットフード他 |
(連結子会社 国内 7社、海外 3社) |
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鉄鋼・素材・プラント |
各種鋼板、条鋼・線材、鋼管、ステンレス製品、一般鋼材、製鉄・製鋼原料、肥料原料、接着剤材料、溶剤、機能性食品素材、栄養補助食品、医薬品・医農薬中間体、石油製品、液化石油ガス、温室効果ガスの排出権、バイオマスエネルギー、太陽光・風力発電設備、化学プラント、各種ODA案件、船舶および舶用機材、ジオテック、木材加工他 |
(連結子会社 国内13社、海外 5社) 兼松ケミカル㈱ 兼松ペトロ㈱ 兼松サステック㈱
(持分法適用会社 国内 2社、海外 1社) |
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車両・航空 |
車載部品・機構部品、航空機および航空機部品、ヘリコプターおよびヘリコプター部品、宇宙・ロケット関連事業、衛星関連機器・部品、防衛関連製品、自動車・二輪車および関連部品、産業車両、建設機械、汎用機、鍛造品、鋳造品、工作機械、産業機械他 |
(連結子会社 国内 8社、海外15社)
兼松エアロスペース㈱ (持分法適用会社 国内 0社、海外 1社) |
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その他 |
中質繊維板、非鉄金属、保険代理・仲介業、航空・海上貨物代理店業、通関業、不動産管理・賃貸業他 |
(連結子会社 国内 5社、海外 0社)
(持分法適用会社 国内 4社、海外 2社) ホクシン㈱ |
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海外現地法人 |
海外における多種多様な商品の売買、各種サービスの提供 |
(連結子会社 18社) Kanematsu (China) Co.,Ltd. Kanematsu GmbH |
(注)兼松トレーディング㈱については、2025年4月1日付で保有する全株式(100%)を譲渡いたしました。
(1) 経営方針
常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、兼松グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、兼松グループの企業理念として掲げる、兼松創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。
創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」
「われらの信条」
・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。
・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。
・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。
(2) 経営環境および対処すべき課題
① 中期ビジョン「future 135」の達成状況
兼松グループは、当事業年度をもって6ヵ年(2018年4月~2024年3月)の中期ビジョン「future 135」の見直し後の定量目標をすべて達成いたしました。中期ビジョン「future 135」では、基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野での事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を追求する基本方針のもと、デジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)やグリーントランスフォーメーション(以下「GX」という。)の取組みを重点施策に加え、定量目標の達成に向けた取組みを実施いたしました。
中期ビジョン「future 135」は、定量目標の達成のみならず、中期経営計画「integration 1.0」の基盤を築くための期間でもあり、兼松エレクトロニクス㈱と兼松サステック㈱の完全子会社化や、革新的な技術や独自のビジネスモデルを持つ企業へのイノベーション投資などを実行いたしました。
(定量目標)
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「future 135」最終年度(2024年3月期) |
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目標 |
実績 |
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連結当期利益 ※ |
200億円 |
232億円 |
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ROE |
10~12% |
16.1% |
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配当性向(総還元性向) |
30~35% |
32.4% |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度においては、2023年10月1日付で「グループ成長戦略推進室」を新設し、経営資源・無形資産をグループ随所において活用し、グループシナジーを発揮することで、兼松の経営方針である「グループ一体経営」を加速させます。
② 中期経営計画「integration 1.0」
2025年3月期からは中期経営計画「integration 1.0」(2024年4月~2027年3月)を新たにスタートし、より一層の企業の成長を実現するとともに、経営環境における課題の解決を積極的に推進して参ります。
(ⅰ)経営環境の認識と兼松グループの目指す姿
中期経営計画「integration 1.0」の策定の前提においては、兼松グループを取り巻く経営環境における対処すべき課題として、少子高齢化や2024年問題に起因した「労働力不足」、ESG・SDGsなどの倫理・環境に対する社会的な要請による「持続可能性への対応」、目まぐるしく変化する時代において変化を機微に捉え迅速に対応するための「経営のスピード化」、以上の3つを認識しております。兼松グループは、これらの課題を起点に、目指す姿として「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」を掲げます。
(ⅱ)基本方針
兼松グループの目指す姿の実現に向けては、これまでのトレーディングビジネスで培ってきた兼松の強みと完全子会社化した兼松エレクトロニクス㈱の強みを最大限生かすとともに、これまでの延長線上ではない取組みが必要になります。中期経営計画「integration 1.0」においては、以下の6つの基本方針を掲げ、着実に推進することにより、兼松グループのすべてのステークホルダーに対する価値向上の実現とともに、中長期的な株主価値向上を実現いたします。
(a) グループ一体経営の推進
新たな価値(ソリューション)を提供するため、「グループ一体経営」を推進することを目的に「グループ成長戦略推進室」をコア組織として、部門や企業の垣根を超えて事業開発をリードし、部門横断的なシナジー創出や成長戦略を実行して参ります。
(b) 提供価値の拡充
中期経営計画の3年間で「DX」「GX」「イノベーション」の提供価値を重点的に強化し、3つの提供価値を通して、経済・社会が求めるニーズに応えて参ります。
(c) 新たな価値創出に向けた組織能力の強化
新たな価値創出を実現する思考・行動様式の開発・浸透に向けた組織能力を強化するために、2023年10月に社長直轄の「グループ成長戦略推進室」を設置し、目指す姿の実現に必要な思考・行動様式を形式知化、プロジェクトの実践を通じて、個々の部門で培ってきた暗黙知を部門の壁を越えて集結し、グループ全体へ浸透させて参ります。
また、目指す姿の実現に向け、パートナーとの共創を実現するためのエコシステムを形成し、拡大することにより、 最適なソリューション提供に向けて、グループの制約を超えた共創を行う組織能力を増強し、新しい顧客や技術、事業機会の獲得を組織的に実現して参ります。
具体的な戦略や指標及び目標は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性に関する取組み」に記載のとおりであります。
(d) 人的資本の強化
経営戦略と人材戦略を連動させ、目指す姿の実現に向けた価値創造の源泉となる人的資本を強化するために「人的資本委員会」を設立し、「人的資本委員会」と「グループ成長戦略推進室」で連携を取りつつ組織資産・組織能力を蓄積、拡大を目指して参ります。
具体的な戦略や指標及び目標は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性に関する取組み」に記載のとおりであります。
(e) 経営機能の強化:持続的な成長を実現するための経営機能の強化
ICTソリューション事業を各部門へ浸透し一体化することを目的に翌連結会計年度から「ICTソリューション部門」を新設し、適切なマネジメントと成長を実現するためのキーマンを登用することで、各部門のお客様へソリューション提供を行って参ります。
(f) 中長期的な株主価値の向上
以下の取組みにより中長期的な株主価値の向上に努めて参ります。
・資本収益性・効率性の向上
投資効率(ROIC)の高いICTソリューション事業への重点投資を通じた収益性の向上を図ることや、事業成長・株主価値向上に資する最適な事業ポートフォリオを実現することで、業界水準を上回るROE16~18%の維持・向上を目指して参ります。また、ネットDER1.0倍程度を目標とした財務健全性の維持と、適切なレバレッジ水準により効率性を追求して参ります。
・資本コストの低減
低ボラティリティの非資源100%のビジネスポートフォリオを活かし、5つの重要課題(マテリアリティ)を重視した経営による資本コストの低減、ESGディスカウント抑制を目指して参ります。
・期待利益成長率の向上
M&AとオーガニックのICTソリューション事業の成長と、他セグメントへの事業展開による収益の拡大や、サプライチェーンへの新たなる価値提供(ソリューション提供)による、収益源の獲得、人的資本の育成などを通したインタンジブルアセットのバリューアップ、組織の生産性・パフォーマンス向上に努めて参ります。
(ⅲ)定量目標
中期経営計画「integration 1.0」における定量目標は以下のとおりとし、中長期的な株主価値向上の実現へ取り組みます。
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「integration 1.0」 最終年度 (2027年3月期)目標 |
2024年3月期実績 |
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連結当期利益※ |
350億円 |
232億円 |
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ROE |
16%~18%程度 |
16.1% |
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ROIC |
8%以上 |
6.4% |
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ネットDER |
1.0倍程度 |
1.00倍 |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
(資本配分方針)
安定的な基盤事業と成長事業からの営業キャッシュ・フローを基に、更なる株主還元と成長投資を実行して参ります。
キャッシュ・インは、中期経営計画「integration 1.0」の3年累計で、(調整後)営業キャッシュ・フロー(会計上の営業キャッシュ・フロー ± 運転資本増減 - リース負債の返済)1,100億円と資産入れ替えによる調達100億円に対して、キャッシュ・アウトとしては、累進配当による株主還元へ約270億円、ICTソリューションを中心とするDX関連へ約400億円、強みを有する事業分野などへ(GX含む)約200億円、基盤事業の持続的運営と発展へ約330億円を配分する方針としております。
(今後の見通し)
翌連結会計年度においては、各国の金融環境緩和が消費を下支えし景気回復が期待される一方で、中国の景気停滞長期化、中東情勢悪化による地政学リスクの高まりなどが世界景気の下振れ要因として懸念されます。
日本経済は、インバウンド需要など内需は堅調を維持すると見込まれる一方で、先行き不透明な海外経済の減速が下押し圧力となる懸念もあり、景気の回復は緩やかなものに留まると見込まれます。
2025年3月期の業績見通しについては、収益1兆1,000億円、営業活動に係る利益425億円、税引前利益380億円、親会社の所有者に帰属する当期利益250億円を見込んでおります。
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2024年3月期実績 |
2025年3月期見通し |
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連結当期利益※ |
232億円 |
250億円 |
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配当性向(総還元性向) |
32.4% |
33.4% |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
セグメントの業績見通しおよび成長戦略は、次のとおりであります。翌連結会計年度から、中期経営計画「integration 1.0」における「経営機能の強化」として、「ICTソリューション部門」を新設するなど新たな部門編成としたことに伴い、報告セグメントの見直しを行っております。
ICTソリューション
事業拡大や競争力強化を目的としたDXや重要性の高まるサイバーセキュリティ強化など、半導体関連を中心とした企業のデジタル投資需要は旺盛で、引き続き好調に推移する一方で、人的資本の強化を目的とした人件費などのコスト負担を見込むことから、収益は900億円、営業活動に係る利益は137億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は96億円を見込んでおります。
技術革新とビジネスニーズの変化が速いビジネス環境の中で、兼松エレクトロニクス㈱を中心に、成長市場の動向を把握するとともに適切なソリューションを導入することで事業を拡大させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・強固な顧客基盤と技術力に裏打ちされたマルチベンダーとしての強みを活かした、ITインフラ基盤の設計、構築から保守、運用まで一貫したサービスをワンストップで提供。
・「セキュリティ」を中心とした兼松グループ独自の「as a Service」を提供するサービスビジネスの更なる拡販。
・兼松グループの幅広い業種・業態の顧客基盤に対するクロスセルと顧客課題に応じたソリューションの提供。
電子・デバイス
モバイル事業は販路拡大や販売台数の回復により堅調な一方で、踊り場を迎えている半導体製造業向けの半導体装置事業の停滞、一方で納期問題が解決しつつあり堅調に推移する半導体部品事業、中国の景気後退により需要の伸長に欠ける電子材料事業などにより、収益は2,800億円、営業活動に係る利益は87億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は53億円を見込んでおります。
業界再編や法改正による販売体制の変化などの影響を受けるモバイル事業や、高い性能を備えた製品とグローバルな市場展開が求められる半導体部品・製造装置事業などは、複数の要因を受けやすいビジネス環境の中で、高度な技術革新の追求に加え、製品販売のみならずソリューション提供へ発展させることにより事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・全国販売ネットワークを活用し、モバイル関連商品の販売から管理、運用、回収までのトータルサービスを提供するとともに、SaaSなどのリカリングサービス、次世代半導体・次世代電池用の材料提案など、幅広いサービスの展開とソリューション提供。
・半導体装置や半導体製品、電子部品・素材、プリンタ、バッテリーなどを含むエレクトロニクス産業全般において、革新的なソリューションと高度な技術力を組み合わせたグローバルな事業展開。
食料
海外向けの魚粉・魚油などを中心に食糧事業が好調に推移する一方、飲料原料を中心に販売が好調に推移した当連結会計年度の反動を見込む食品事業や、低調な牛肉消費の影響を受ける畜産事業により、収益は4,100億円、営業活動に係る利益は77億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は33億円を見込んでおります。
食品事業は、消費者の人口動態やライフスタイル、健康志向などの価値観の変化、オンライン販売の拡大など、市場ニーズが多様化し、また、海外市場の成長を見込むビジネス環境にあり、マーケットインによるグローバルなアプローチで成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・「食の安全・安心」をテーマに、メーカーの視点で原料の調達から製品加工までの一貫供給体制を構築。
・農産物、水産物、コーヒー、飲料・酒類、調理食品など幅広い商品ラインナップで市場の多様なニーズに対応。
・顧客のニーズを先取りした市場性の高い原料や製品の開発推進や、市場が拡大するインドネシアなどアジア諸国におけるバリューチェーンの横展開を通じたビジネス拡大。
畜産事業は、安定供給を目的とした海外サプライヤーの確保および特にアジアを中心とした海外市場の成長を背景に、国内外のビジネスパートナーとの信頼関係の維持・深化により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・原料から畜産加工品まで幅広い商品群を取り扱い、加工・物流機能を組み合わせ、顧客ニーズに合った付加価値の高い商品とソリューションの提案。
・商品の安定確保を目的とした、国内外のパートナー企業との提携・出資によるバリューチェーン(生産・加工・物流・販売)の横展開と強化。
食糧事業は、年々、世界的な穀物需要は増大する一方、天候リスクや地政学的リスクなどにより安定供給へのリスクが高まっております。これらの課題を機会と捉え、供給においては、産地の多様化、持続的な生産体制の構築、生産性向上のためのデジタル化などを進めて参ります。需要においては、日本市場に加えて中国・アセアン市場への参入を進めて参ります。
また、持続的生産体制の構築において、魚粉・魚油などの水産養殖原料については、近年、特に資源管理や環境負荷に配慮した原料の供給が求められており、各種認証プログラムへの参画を含め供給体制の強化に力を入れております。
鉄鋼・素材・プラント
市況の影響を受ける鉄鋼事業やエネルギー事業により、収益は1,950億円、営業活動に係る利益は74億円を見込む一方で、当連結会計年度に計上した鉄鋼事業の持分法による投資の減損損失の一過性要因の剥落により、親会社の所有者に帰属する当期利益は38億円を見込んでおります。
GXに代表される世界的な環境問題への意識の高まりの影響を受けるビジネス環境にあり、顧客の「脱炭素」への様々な支援により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・社会インフラを支える部門として、幅広い分野において高い専門知識を備えた人材による、GXを中心としたバリューチェーンへのソリューションの提供。
・サーキュラーエコノミーの実現に向けた持続可能な原料・素材や環境配慮商品の取扱い。
車両・航空
航空宇宙事業は、航空業界の需要回復や宇宙・防衛産業の需要の増加を見込んでおります。車両・車載部品事業は、部品需要が堅調に推移する見通しで、工作機械・産業機械事業では、自動車向け工作機械や産業機械の需要に一定の回復が見られます。これらにより、収益は1,200億円、営業活動に係る利益は50億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は30億円を見込んでおります。
次世代モビリティや空飛ぶクルマ、ドローンの普及、モビリティ関連製品全般の軽量化や電動化などの技術革新による脱炭素化の動きも加速するビジネス環境にあり、新たなモビリティ事業の創造で事業を成長させて参ります。また、民間宇宙産業の勃興に伴い、地球低軌道を利用した商用宇宙ステーションの事業開発などにも取り組んで参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・「環境」「安全」「快適」をテーマにし、次世代モビリティや素材、宇宙、データビジネスなどの領域で事業創造を推進。
・幅広い製品ラインナップと様々な機械関連サービス、さらに環境ビジネスから海外進出支援までをカバーし、顧客の多様なニーズにお応えするエンジニアリング・ソリューションの提供。
(業績見通し算定にあたっての前提条件)
・為替レート : 1米ドル=135円
・金利水準 : 円金利:横這い 外貨金利:下落を見込む
(注意事項)
上記の見通しなどの将来に関する記述は、兼松グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を兼松として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
兼松グループは、グローバルで幅広く事業活動を行っているため、市場リスク・信用リスク・投資リスクなど様々なリスクにさらされております。兼松グループでは、それぞれのリスクに対して管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っておりますが、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、兼松グループの財政状態や経営成績が影響を受ける可能性があります。また、兼松グループは、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)を積み上げて財務基盤を拡充することを基本方針としており、個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から、リスクアセット倍率の上限を定めており、リスクアセットに対する自己資本の規模の妥当性を検証し、取締役会および経営会議に定期的に報告しております。
しかしながら、これらのリスクを完全に排除することは困難なため、事業の状況、経理の状況等に記載した事項のうち、有価証券報告書提出日現在において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは、次のとおりであります。
(1) マクロ経済環境の変化によるリスク
兼松グループは、国内外における各種商品の商取引、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業をグローバルに展開しております。このため、日本、米国、中国、欧州およびアジア新興国や世界経済全般の景気が減速した場合、需要の停滞による売上減少や市場価格の大幅な落ち込みなどにより、兼松グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、提出日現在で兼松グループが認識しているマクロ経済環境は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
(2) 市場リスク
兼松グループにおいて、営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引先等との取引条件の中でヘッジしております。あわせて、為替・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、これらの限度を超えた場合には速やかにポジションを縮減する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。これらのポジションの状況については、定期的に経営会議宛に報告され、ポジション枠を超過している場合は、速やかにその内容を分析のうえ、縮減させております。
なお、それぞれのリスクが一定の前提の中で変動した際に兼松グループの経営成績に与える影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (5)市場リスク管理」に記載しております。
① 為替変動リスク
兼松グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。
また、兼松グループは海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は期末日の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により在外営業活動体の換算差額を通じて、親会社の所有者に帰属する持分を増減させる可能性があり、兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利変動リスク
兼松グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。
③ 取扱商品の需給・価格変動リスク
兼松グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・畜産物・石油製品等の取扱いがあります。一部の相場商品は商品先物取引を利用し価格変動リスクの軽減を図っておりますが、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生し、兼松グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク
兼松グループは、取引先との関係強化などの目的で有価証券を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動により、兼松グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 信用リスク
兼松グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあり、兼松グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付けを付与し、取引の内容に応じた与信種別と与信限度を設定のうえ、必要に応じて保険を付保しています。また、通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が与信限度内に収まるよう運営し、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要な保全策を講じることによってコントロールしておりますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。また、取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には兼松グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、兼松グループの信用リスク管理の管理手法およびその予想信用損失の測定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (3)信用リスク管理」に記載しております。
(4) カントリーリスク
兼松グループは、海外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付けを付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付けや案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該事業および取引の継続が困難となり、兼松グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、兼松グループにおける各国・地域に対する外部顧客からの収益および非流動資産の金額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記6 セグメント情報 (4)地域別情報」に記載しております。
(5) 事業投資等のリスク
兼松グループは、中期経営計画「integration 1.0」の資本配分方針において、安定的な基盤事業と成長事業からの営業キャッシュ・フローをもとに、成長投資を実行することを目標に掲げております。
これら事業投資等の実行にあたっては、投資基準を定め強みのある事業分野への投資を主として、投資目的・内容およびキャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析等を踏まえた審議を各職能部門が行い、一定規模以上の重要な案件については案件審議会での審議を行っております。また、事業撤退の基準も定めたうえで、投資実行後も定期的に案件審議会において、その事業性と投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に努めております。しかしながら、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性があります。
また、現地の法令やパートナーなどとの関係において、兼松グループの方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もある中、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあり、兼松グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 固定資産に関する減損リスク
兼松グループが保有する有形固定資産、のれんおよび無形資産は減損リスクにさらされております。対象資産の資産価値が減少した場合、必要な減損処理を行うため、兼松グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、中期経営計画「integration 1.0」において事業投資による成長を掲げており、企業結合に伴うのれんおよび識別可能な無形資産の金額が、今後増加する可能性があります。
対象となる固定資産および使用権資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記9 有形固定資産」および「同 注記10 のれんおよび無形資産」に記載しております。また、認識した減損損失については、「同 注記22 減損損失」に記載しております。
(7) 資金調達に関するリスク
兼松グループは、事業資金を国内外に所在する金融機関からの借入金および社債等により調達しております。金融機関との良好な取引関係の維持およびアセット・ライアビリティ・マネジメントに努め、資産の内容に応じた調達を実施することで流動性リスクの最小化を図っておりますが、金融市場の混乱や格付機関による兼松信用格付けの大幅な引き下げ等の事態が生じた場合、兼松グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。
なお、兼松グループの資金調達の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記15 社債及び借入金等」および「同 注記30 金融商品 (4)流動性リスク管理」に記載しております。
(8) 法令変更等に関するリスク
兼松グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。これらの遵守には最大限の注意を払っておりますが、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 訴訟・係争等に関するリスク
兼松グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、兼松グループにおける訴訟・係争等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記33 偶発債務」に記載しております。
(10) 法令遵守・不正行為に関するリスク
兼松グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対して我が国を含む世界各国で制定、施行されている安全保障貿易管理関連法令など輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に最大限の注意を払って事業を行っております。
各種の法規制や規則遵守に関して、内部統制・コンプライアンス委員会が法令遵守体制の整備・運用状況についての定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報セキュリティに関するリスク
兼松グループは、情報共有や業務の効率化、事業の拡大発展のために情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおります。しかしながら、年々サイバー攻撃の手法が巧妙化し、件数も増加する中、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、更には、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等に関するリスク
兼松グループは、国内外における地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、兼松グループの社員ならびに事業所、倉庫、工場などの設備機器、システム等といった資産が影響を受け、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。また、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しており、これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があります。兼松では、社員の安否確認システムの導入、災害マニュアルおよびBCP(事業継続計画)の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じておりますが、被害の規模によっては兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 気候変動、社会・環境問題に関するリスク
兼松グループは、国内外の幅広い分野で事業活動を行っており、気候変動や人権の尊重など、深刻化する社会・環境問題等の影響を受け、事業の継続に制限を受ける可能性があるほか、兼松グループの事業に起因した環境汚染や労務問題等が発生した場合、事業の停止、汚染除去費用や損害賠償費用の発生、社会的評価の低下につながる可能性があります。
企業活動にあたっては、注力すべき重要課題(市場の変化への対応、地域社会との共生、地球環境への配慮、ガバナンスの充実、人権の尊重、人材育成・ダイバーシティの推進)を設定・周知するとともに、サステナビリティ推進委員会を設置し主体的に課題解決を行う体制を構築しておりますが、予期せぬ事案の発生により、兼松グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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