カノークスグループは、鉄鋼卸売業を営んでおり、鉄鋼を製造する高炉メーカー及び電炉メーカー等の「鉄鋼メーカー」、鋼板(薄板)から鋼管を製造する「造管メーカー」、鋼板(厚板)から建材用鋼材を製造する「建材メーカー」等から仕入を行い、それをカノークスグループ内の鋼材加工を担う子会社や外部の委託加工先にて加工、在庫し、自動車業界や建築業界を中心とした各得意先へ販売しております。カノークスグループは、カノークス、子会社5社及び関連会社1社で構成され、鉄鋼販売事業の単一セグメントであります。
カノークスグループが取り扱っている商品は、主に鋼板、鋼管、条鋼、ステンレス等であります。
鋼板類は、主に自動車部品や鋼製シャッター等に使用される薄板を中心に扱い、鉄鋼メーカーから購入した大型コイルを、カノークスの関連会社である㈱空見スチールサービスをはじめとした委託加工先で指定の幅に小割または板に剪断して、得意先へ販売しております。
鋼管類は、主に自動車部品、建築部材等に使用される小中径鋼管、建物の柱として使用される角型鋼管(コラム)を中心に扱い、造管メーカーから購入した長尺材を、主にカノークスの各子会社で指定の長さに切断、穴開け、曲げ等の加工を行い、得意先へ販売しております。
ステンレス類は、主に自動車のマフラー等に使用されるステンレス薄板、ステンス鋼管を鋼板、鋼管類と同様、鉄鋼メーカー及び造管メーカーから購入し、子会社や委託加工先にて加工を行い、得意先へ販売しております。
カノークスグループは、単なる鋼材販売にとどまらず、高炉メーカーから直接鋼材の仕入れを行うことができる一次商としての強みを活かしつつ、受注、発注、加工、品質・在庫管理、タイムリーな小口納入など、一気通貫できめ細かな供給対応を可能とする体制を構築しております。
また、カノークスグループは、大口顧客へ継続して安定的に納品する「紐付販売」が高い割合を占めております。「紐付販売」は、市況による販売単価と仕入単価の変動リスクの影響が相対的に小さく、安定した売上数量・金額の確保ができます。さらにカノークスグループでは、需要や市況を予測し、予め在庫して販売する「店売在庫販売」、あるいは受注した鋼材を他社からの仕入れ、買継ぎをする「店売販売」にも注力、展開しております。
その他の関係会社である㈱メタルワンとは鋼板、鋼管の仕入及び販売を行っております。
㈱メタルワンは鉄鋼商社であり、カノークスと同一の事業を営んでおりますが、鉄鋼流通業界の特徴として商社の立場からその取引商流を主体的に変更することは困難であり、同社グループとカノークスグループの間では商圏及び商流による棲み分けがなされております 。
事業系統図は、次のとおりであります。
※連結子会社 ○持分法適用会社
カノークスグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてカノークスグループが判断したものであります。
(1)経営方針等
a.企業理念
≪社是≫
一.社業を通じて社会に貢献せん
二.和をもって最善をつくさん
三.善意と良識を身上として日々を全うせん
カノークスの企業理念は、社是にあるとおり事業活動を通じて社会生活の向上並びに社会基盤等の整備に貢献することにあり、そのために全役職員が良心に恥じることなく「善意と良識を身上として」事業活動を全うすることであります。また、すべてのステークホルダーや環境との「和をもって」その関係に最善を尽くし、社会の発展に資することを目的としております。
カノークスは1897年の創業以来、一貫として社是の精神で事業活動を行ってまいりました。社会、経済、環境など大きな変革を遂げている現代社会において、この社是の精神をカノークスグループ社員全員の『行動規範』に据えて事業活動を全うしていく所存であります。
≪パーパス≫
「地域社会と地域産業の持続的成長に信頼のサプライチェーンで貢献する」
創業よりカノークスグループを支えて頂いた地域への感謝であり、サプライチェーンを通じて地域社会を元気にしたい、という想いで、その土地やその地域の経済・社会にしっかり根を生やし、一緒になって持続的成長に取り組んでいくことがカノークスグループの社会的存在意義であります。
b. 経営理念
「常にお客様から第一に求められる企業に」
社是の精神によってカノークスグループがお客様の繁栄の礎となり、常にお客様から選ばれ、それも一番に求められる企業になることを目指して、役職員全員が日々の事業活動に精進しております。
(2)経営環境
カノークスグループを取り巻く経営環境は、約3年に及ぶコロナ・パンデミックから抜け出たものの、ウィズ・コロナ社会への対応や、第二次世界大戦後の世界秩序の崩壊、ウクライナ、中東の地政学リスクの増大が、世界経済をより不透明かつ不安定なものにしております。それらの影響として資材高騰と安全保障のあり方など、様々な新たな課題が顕在化している状況です。不透明な環境下だからこそ、カノークスグループを今日まで育ててくれた地域社会・経済に信頼のサプライチェーンで貢献すべく、機能の一層の充実強化と、企業としての持続的成長を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
カノークスグループは、事業活動の成果を示す経常利益を重要な経営指標と位置付け、企業経営に取り組んでおります。また、近年の鋼材価格の大幅な上昇を背景にカノークスグループの運転資金ニーズが増加したことから、有利子負債は大きく増加しております。持続的成長による収益の拡大とともに、安定的、効率的な財務基盤を構築する事が肝要であり、財務的視点からROE、D/Eレシオについても重要な指標ととらえております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①中長期の経営課題
2022年度より新たな3か年計画、第10次中期経営計画がスタートしております。本中計のテーマとして「カノークス第二の創業 ~持続的成長に向けて再起動~」を掲げました。社会全体が大きな変革期を迎えている中、もう一度、原点に立ち帰り、信頼のサプライチェーンを堅持しつつ、大胆に新たな分野への挑戦をグループ一丸となって臨みます。
このような環境下、カノークスグループが対処すべき課題は大きく3点であります。
まず1つ目は、自動車のEVシフトへの対応であり、それが今後加速しても、カノークスグループがなくてはならない存在であるための事業戦略を検討推進してまいります。EVシフトの流れに沿った鉄の需要変化を的確に捉え、現行の鉄鋼製品のサプライチェーンをしっかり堅持するとともに、鉄以外の素材の取扱いを検討し(マルチマテリアル化)、事業領域の拡大に挑戦してまいります。
2つ目は、カーボンニュートラル・脱炭素に向けた事業戦略の展開であります。カノークスグループ独自での環境負荷低減への取り組みに加え、電炉材の取扱いの拡大をしてまいります。主原料となる鉄スクラップを溶かし再利用する電炉材は、鉄鉱石や石炭等の原材料から鉄を作る高炉材に比べ、製造時のCO2排出量が1/5程度である利点があり、脱炭素型鉄鋼製品として電炉材の拡販を積極的に進め、取引先と共にサプライチェーン全体でカーボンニュートラルの促進に取り組んでまいります。
3つ目は、持続的成長SDGsに資する取り組みの充実を図っていくことであります。SDGsと紐付けしたカノークスグループの活動を更にレベルアップさせ推進強化してまいります。地域社会への貢献、人材教育と平等で健康な職場の実現、生産性向上を通じたイノベーションと環境負荷の低減、間接的であれ世界の貧困飢餓の問題解決を支援する活動など、様々な可能性を「Think Global,Act Local」の標語のもと、全社員が共有し、積極的に取り組んでまいります。
②経常利益の拡大
カノークスグループは自前の加工機能を充実させ、受注、発注、加工、品質・在庫管理、タイムリーな小口納入など、一気通貫できめ細かな供給対応を構築してまいりました。
取引に付加価値を付け、鉄鋼メーカーと顧客の間にあって、「なくてはならない存在」になることを目指し、取引によるスプレッド確保に加えて、販売量そのものの増加により経常利益の拡大に取り組んでまいります。
③財務面への対処
自動車関連の減産影響に伴う在庫量の増加は解消してきているものの、近年の鋼材価格の大幅な上昇による運転資金ニーズの増加を受け、有利子負債は大きく増加しております。借入余力の確保とともに新たな資金調達方法の検討、発注・在庫管理の徹底による適正在庫の維持等を通じ、健全な財務基盤の構築を図ってまいります。
④流動性の確保と企業価値の拡大
カノークスは、カノークス株式の流動性の向上に努めることを重要な経営課題と位置付けております。
大株主とはカノークス株式の持分比率を下げていく方針であることを確認済であり、2024年2月1日にはカノークスが設定した株式需給緩衝信託Ⓡを通じて大株主が保有するカノークス株式の一部を取得しており、順次市場への売却を進めております。
2023年3月31日時点において流通株式比率は26.27%、直近の2024年3月31日時点では36.21%であり東証スタンダード市場基準の25%以上を上回っている状況であります。今後一般市場における幅広い投資家の参加を通じ、流通株式比率を30%超とすることをベンチマークとしてカノークス企業価値の向上と積極的なIR活動を展開してまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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