稲畑産業(8098)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


稲畑産業(8098)の株価チャート 稲畑産業(8098)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

稲畑産業グループ(稲畑産業及び稲畑産業の関係会社)は、稲畑産業(稲畑産業㈱)、子会社70社、関連会社12社で構成されており、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂、その他の各分野における商品の販売及び製造を主たる業務としております。また、法人主要株主1社に対して商品の販売及び製品の購入を行っております。

  稲畑産業グループの事業内容及び稲畑産業と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(情報電子事業)

 稲畑産業が直接商品を販売するほか、子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.、TAIWAN INABATA SANGYO CO.,LTD.、INABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.、INABATA AMERICA CORPORATION及びINABATA EUROPE GmbH他を経由して販売するとともに一部の商品を購入しております。

 また、子会社INABATA SANGYO (H.K.) LTD.及びINABATA PHILIPPINES,INC.他を経由して商品を販売しており、子会社INABATA KOREA & CO., LTD.及び関連会社アルバック成膜㈱他から商品を購入しております。

(化学品事業)

 稲畑産業が直接商品を販売するほか、子会社INABATA AMERICA CORPORATION及びINABATA EUROPE GmbH他を経由して販売するとともに一部の商品を購入しております。その他に、子会社INABATA THAI CO.,LTD.、INABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.及び稲畑ファインテック㈱他を経由して商品を販売しており、子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.他より商品を購入するとともに一部の商品を販売しております。

 また、子会社HI-TECH RUBBER PRODUCTS CO.,LTD.は子会社INABATA THAI CO.,LTD.より原料を購入し製品を販売しており、子会社SHANGHAI INABATA FINE CHEMICAL CO.,LTD.は子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.を経由して製品を販売しております。

(生活産業事業)

 稲畑産業が直接商品を販売するほか、子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.及びINABATA FRANCE S.A.S.他より商品を購入するとともに一部の商品を販売しております。その他に、子会社INABATA AMERICA CORPORATION他を経由して商品を販売しており、子会社DNI GROUP, LLC他を経由して商品を販売するとともに一部の商品を購入しております。

 また、子会社DNI GROUP, LLCは子会社稲畑ファインテック㈱を経由して商品を販売しております。

 

(合成樹脂事業)

 稲畑産業が直接商品を販売するほか、子会社INABATA PHILIPPINES,INC.、PT. INABATA INDONESIA、INABATA THAI CO.,LTD.及びSHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.他を経由して販売しております。その他に、子会社TAIWAN INABATA SANGYO CO.,LTD.及びINABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.他を経由して販売するとともに一部の商品を購入しており、子会社太洋プラスチックス㈱他に原料を販売し、製品の一部を購入しております。

 また、東南アジアを中心に、子会社IK PLASTIC COMPOUND PHILS.INC.、PT. S-IK INDONESIA、SIK (THAILAND) LTD.、SIK COLOR (M) SDN. BHD.及びSIK VIETNAM CO.,LTD.他を生産拠点とし、子会社INABATA PHILIPPINES,INC.、PT. INABATA INDONESIA、INABATA THAI CO.,LTD.、INABATA MALAYSIA SDN. BHD.、NOVACEL (THAILAND) CO.,LTD.及びINABATA VIETNAM CO.,LTD.他を経由して樹脂コンパウンド事業を展開しております。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

(注)上記事業の区分は、セグメント情報における事業区分と区分内容は同じであります。ただし、一部の関係会社については取扱商品が多岐にわたるため区分表示しておりませんが、セグメント情報では各セグメント別に振り分けております。

無印 連結子会社

※ 関連会社で持分法適用会社


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて稲畑産業グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。

 

(1)社是・経営理念

 稲畑産業は、「愛」(I)、「敬」(K)を社是と定め、「人を愛し、敬う」という人間尊重の精神に基づき、社会の発展に貢献することを経営理念としております。グローバルに事業を展開する商社グループとして、高い専門性や複合機能を活用して、顧客や社会のニーズに応えることで価値ある存在として常に進化を続けることを目指しています。

 

 

(2)長期ビジョン「IK Vision 2030」

 この経営理念や目指す姿を踏まえ、2030年頃の稲畑産業グループの「ありたい姿」として、長期ビジョン「IK Vision 2030」を公表しています。この「IK Vision 2030」において、稲畑産業の根本が商社であることを再確認するとともに、創業以来、長年培ってきた専門知識を持つ人材、商社業のツールとなる製造・物流・金融機能、そして海外19カ国約70拠点で展開する拠点網などの経営資源を最大限活用することで商社機能の複合化と高度化を図り、顧客への付加価値の提供を更に進めて参ります。

 

長期ビジョン「IK Vision 2030」

連結売上高

1兆円以上を早期に実現

複合機能の高度化

商社機能を基本としつつも、製造・物流・ファイナンス等の複合的な機能の一層の高度化を図る

事業ポートフォリオ

情報電子・合成樹脂以外の事業の比率を1/3以上に

海外比率

70%以上

 

(3)中期経営計画「New Challenge 2023」

 稲畑産業グループは、長期ビジョン「IK Vision 2030」に向けた中期経営計画の第2ステージとして、2024年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「New Challenge 2023(以下、「NC2023」)」に取り組んでまいりました。「NC2023」の最終年度となる2024年3月期の目標数値・指標は、以下のとおりです。

 

■ 中期経営計画「NC2023」

 ● 最終年度の目標数値・指標

目標数値・指標

2024年3月期

売上高

8,000億円

営業利益

205億円

経常利益

215億円

親会社株主に帰属する当期純利益

225億円

ROE

10%以上

ネットD/Eレシオ

0.5倍以下

自己資本比率

概ね40~50%

想定為替レート

120.00円/USD

 ※1 目標数値・指標は、2022年5月10日公表。

 ※2 ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本

 

 ● 主要重点施策

1.

主力ビジネスの更なる深掘りと成長分野への横展開

2.

将来の成長が見込める市場への多面的な取り組みと確実な収益化

3.

将来の成長に向けた投資の積極化

4.

グローバルな経営情報インフラの一層の高度化

5.

保有資産の継続的見直しと資金・資産の更なる効率化

6.

人的資本活用に向けた取り組みの強化

 

 ● 株主還元の基本方針と政策保有株式の縮減方針

株主還元の基本方針

NC2023の期間中、

一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)

総還元性向の目安としては概ね50%程度とする。ただし、政策保有株式を売却し、相当程度のキャッシュインが発生した事業年度においては、今後の資金需要や会社の財務状況、株価、マーケットの状況などを総合的に勘案し、上記の総還元性向の目安には必ずしもとらわれずに、株主還元を実施する。

 

政策保有株式の縮減方針

・ NC2023期間中の3年間で政策保有株式の残高を2021年3月末残高に対して50%削減する。

・ 中長期的に政策保有株式の縮減を更に進め、2027年3月末までに2021年3月末残高に対して概ね80%削減する。

 

 

(4)「NC2023」の達成状況

当連結会計年度は「NC2023」の最終年度となりました。定量目標の達成状況については、以下のとおりです。

 

 ● 最終年度の目標数値・指標

 

2024年3月期

実績

目標数値・指標

売上高

7,660億円

8,000億円

営業利益

211億円

205億円

経常利益

213億円

215億円

親会社株主に帰属する当期純利益

200億円

225億円

ROE

10.5%

10%以上

ネットD/Eレシオ

0.06倍

0.5倍以下

自己資本比率

46.8%

概ね40~50%

想定為替レート

144.59円/USD

120.00円/USD

 

 定量面では、売上高がやや未達となりましたが、営業利益は目標を達成し、売上高、営業利益とも3期連続で過去最高を更新することができました。

 定性面では、自動車向け樹脂や再生可能エネルギー関連、リサイクル樹脂など環境負荷低減商材の売上拡大など、主力ビジネスが総じて順調に進捗しました。また、米国におけるリチウムイオン電池関連材料の新会社設立や、うなぎなど農水産加工品の製造・販売を主業とする食品関連企業の子会社化などを実施し、今後の収益拡大に向けた準備を進めました。

 

(5)新中期経営計画「New Challenge 2026」

 稲畑産業グループは、長期ビジョン「IK Vision 2030」に向けた中期経営計画の第3ステージとして、2024年4月より、2027年3月期を最終年度とする3カ年の新中期経営計画「New Challenge 2026(以下、「NC2026」)」をスタートしました。「NC2026」では、「NC2023」から更に成長に軸足を移し、“投資による成長の加速”をメインテーマとしています。「NC2026」の概要は以下のとおりです。

 

■ 新中期経営計画「NC2026」の概要

 ● 最終年度の目標数値・指標

 

2027年3月期

売上高

9,500億円

営業利益

270億円

経常利益

260億円

親会社株主に帰属する当期純利益

190億円

ROE

10%以上

ネットD/Eレシオ

0.5倍以下

自己資本比率

概ね50%前後

※ 想定為替レート:145.00円/USD

 

 ● キャピタルアロケーション(資本配分)

 「NC2026」期間中の3カ年のキャピタルアロケーション(資本配分)計画については、営業キャッシュフロー等による650億円程度のキャッシュインを想定しており、このうち50~60%程度を投資等に、40~50%程度を株主還元に配分する計画です。

 

 ● 株主還元の基本方針と政策保有株式の縮減方針

 株主還元については、以下のとおりです。政策保有株式の縮減方針については、2022年5月に公表した縮減方針にもとづき、着実に実施してまいります。

株主還元の基本方針

「NC2026」の期間中、

・一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)

・総還元性向の目安としては概ね50%程度とする。

政策保有株式の

縮減方針

・中長期的に政策保有株式の縮減を更に進め、2027年3月末までに2021年3月末残高に対して概ね80%削減する。

※当初の方針である「「NC2023」期間中の3年間で政策保有株式の残高を2021年3月

 末残高に対して50%削減する」については既に達成済み

 

 ● 戦略の全体像

 「成長戦略」と「経営基盤戦略(財務、サステナビリティ、デジタル戦略)」に分類しており、それぞれの戦略の概要は以下のとおりです。成長戦略は、長期ビジョン「IK Vision 2030」に沿った形で展開しています。

 

成長戦略

長期ビジョン

戦略

連結売上高

1兆円以上

手段:投資の積極化による収益拡大

事業領域:環境関連ビジネス、食品等生活産業ビジネスの拡大

複合機能の高度化

複合機能(特に製造・物流)強化による差別化・収益性向上

事業ポートフォリオ

主要セグメント(合成樹脂・情報電子)の深耕

主要セグメントに並ぶ収益の柱の確立

海外比率70%以上

成長エリア(従来のアジア拠点に加え、特にインド、メキシコなど米州)の深耕

未開拓エリア(東欧等)への進出

 

経営基盤戦略

経営基盤

戦略

財務

資本効率の更なる向上と累進配当を始めとする株主還元の重視

「資本コストや株価を意識した経営」の実践

(PBR1倍を常態的に超える株価水準の早期達成)

サステナビリティ

全社推進の土台となるサステナビリティマネジメントの整備:

マテリアリティに沿った戦略とKPI・目標の設定及びモニタリング

デジタル戦略

経営情報インフラの高度化とグループ全体のセキュリティ強化

 

 

(6)2025年3月期連結業績予想

 2025年3月期の経営環境といたしましては、一部の地域に弱さがみられるものの、総じて景気回復が続くとみていますが、一方で、物価上昇や金融資本市場の変動、中国経済の先行き懸念、中東地域を巡る情勢など、不透明な状況が続くと想定されます。

 2025年3月期の連結業績見通しにつきましては、足元の経済環境や事業の状況、為替・金利の見通し等を考慮し、売上高830,000百万円、営業利益22,500百万円、経常利益21,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益17,000百万円を予想しております。

 なお、業績見通しの前提となる為替レートにつきましては、1USD=145.00円を想定しております。

 

連結

2025年3月期

売上高

8,300億円

営業利益

225億円

経常利益

215億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

170億円

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

稲畑産業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。当連結会計年度に実施した「取締役会の実効性評価」(第三者評価)におけるリスク評価分析の結果を踏まえ、稲畑産業グループの経営成績等への影響や発現可能性という観点から、重要性が高いと考えられるリスクから順に記載しております。

なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定外のリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。また、この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて稲畑産業グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。

 

(1)海外活動に潜在するリスク

 稲畑産業グループの海外における生産及び販売活動は、東南アジアや北東アジア、北米、欧州と多数の地域に及びます。これらの海外市場への事業進出には、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、人材の採用と確保の難しさ、未整備の技術インフラ、潜在的に不利な税制の影響、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。

 稲畑産業グループは、各国法令、環境法規制、社会情勢・取引先動向等に注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できるよう体制を整備し、それらリスクの低減に努めております。

 当連結会計年度における地域ごとの売上高では、アジア合計が47%であり、最も影響を受ける地域であります。

 感染症流行等の非常時の対策としては、海外の主要な拠点において事業継続計画(BCP)を策定、運用しております。

 

(2)取引先の信用リスク

 稲畑産業グループ事業は国内外の多数の取引先に対して信用を供与しております。稲畑産業グループにおいては海外取引先も含めたグローバルな与信管理を行ってはおりますが、必ずしも全額の回収が行われる保証はありません。従いまして、取引先の不測の倒産・民事再生手続等による貸倒損失や貸倒引当金の計上を通して、稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度末時点において、稲畑産業グループの受取手形及び電子記録債権の金額は31,198百万円、売掛金は175,264百万円、棚卸資産の金額は85,068百万円であり、その合計額は総資産の68%を占めております。重要性が高い与信供与については、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。売掛金及び棚卸資産については、連結グループ各社の残高推移を月次ベースでモニタリング管理しております。

 

(3)事業投資に係るリスク

 稲畑産業グループでは、事業展開をするにあたり、合弁・ジョイントベンチャーなど実際に出資を行い、持分を取得するケースが多々あります。特に連結対象となる関係会社に対する投資については当該グループ会社の財政状態及び経営成績の動向により、稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 稲畑産業グループは、商社ビジネス拡大を主たる目的としたマイノリティー投資を基本としており、マジョリティー投資については、リスク・金額を限定して行っております。

 NC2023では「将来の成長に向けた投資の積極化」を重点施策として推進すると共に、M&Aを行う専門部署を設置しました。重要性の高い新規投資案件については、同部署が営業部門等と連携して定量面・定性面からリスク等の評価・分析を行ったうえで、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。投資実行後、定期的にモニタリングを行い、一定の基準に満たない案件などについては、適宜、対策を講じるよう努めております。

 

(4)事業再構築に係るリスク

 稲畑産業グループは、事業の選択と集中の推進のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の売却・再編による事業の再構築を継続しております。これらの施策に関連して、稲畑産業グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府の規制や雇用問題等によって、事業再構築の計画が適時に実行できない可能性もあります。また、稲畑産業グループが事業再構築の実施により、当初の目的の全部または一部を達成できる保証はありません。なお、撤退検討基準を設けて、該当する稲畑産業グループ会社に対しては審査会議において撤退等の審議を行っております。

 

(5)商品市場の変動リスク

 稲畑産業グループが取り扱う、情報電子材料、ケミカル原料、食品、合成樹脂の多くは商品相場の変動に影響を受けます。そのため市況の変動への弾力的な対応ができなかった場合、稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。各営業部門にて、市場の情報を収集して、価格動向を注視するとともに、在庫管理を徹底しております。

 当連結会計年度においては、生活産業事業における食品ビジネスで在庫取引を行っており、米国市場での水産加工品などの日本食向け商材の価格下落の影響を受けました。

 

(6)為替の変動リスク

稲畑産業グループは、海外の事業展開における製品、原材料の生産と販売活動及び貿易活動を行っております。原則として為替予約等によるヘッジ取引を行っておりますが、外貨建取引等に伴う為替レート変動の影響を受ける可能性があります。また、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

当連結会計年度における為替差損は204百万円となり、為替換算調整勘定は28,541百万円となりました。

 

(7)金利に係るリスク

稲畑産業グループは、営業活動や事業投資等の資金を金融機関からの借入又は社債発行等を通じて調達しております。国内外の金利動向を把握し、固定・変動調達比率を調整することなどで金利リスク管理を行い、支払利息の低減に努めておりますが、金利水準の急上昇等により稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当連結会計年度における支払利息は1,873百万円となりました。

 

(8)人材の育成・確保に係るリスク

商社事業を核とする稲畑産業グループにとって、人材は最も重要な財産であり価値創造の源泉です。持続的な企業価値向上のためには、展開する4つの事業分野のみならず、経営・財務・ITなど経営基盤を支える専門分野に精通した優れた多様な人材の育成・確保が日本及び海外拠点において必要です。

人的資本の育成・強化を重要な経営課題と捉え、社内体制の整備を進め、稲畑産業グループの価値創造を担う人材の育成・確保に努めておりますが、一方で少子高齢化の進行や人材の流動化の影響により必要な人材確保が困難となる場合や、人材育成が順調に進まない場合、稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)環境に係るリスク

稲畑産業グループは、国内外において4つの事業分野で幅広い商材を取り扱っており、これら商材の製造・販売は当該地域の環境規制やエコ商材への変更等の影響を受ける可能性があります。合成樹脂事業においては、脱プラスチック商材への変更の影響を受ける可能性があります。仕入先の分散化に取り組むと共に、脱炭素社会・循環型社会への貢献に向けて、リサイクル商材など環境負荷を低減する商材の販売に各事業において注力しております。

また、気候変動リスクについては、2023年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同すると共に気候変動起因による自社事業活動への影響を適切に把握し、その内容を開示しております。詳細は、コーポレート・ガバナンス報告書(2024年6月24日)をご参照ください。

 

(10)情報システム・情報セキュリティに係るリスク

稲畑産業グループは、商社グループとして事業を展開する上で、取引先の機密情報や個人情報及び稲畑産業グループの機密情報や個人情報を有しています。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が無いように、「情報セキュリティ規程」を制定し、情報管理手続きを定めたマニュアルを整備して、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理と情報セキュリティ強化、従業員教育等の施策を実行しています。規程・マニュアル等については、随時見直しを行い、新たなリスクやテクノロジーに対応するよう努めています。

また、働き方改革の推進等によりリモート環境での業務が増加する傾向にあることを踏まえ、従来のウィルス対策ソフトだけではなく、端末の挙動を監視するエンドポイントセキュリティシステムを導入する等、ゼロトラストの考え方に沿ったセキュリティ強化に努めております。さらには、セキュリティインシデントに対して、迅速かつ正確に対応するために社内に対応チームとしてのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を立ちあげて社内外の情報連携を強化するとともに、外部セキュリティオペレーションセンター(SOC)による24時間/365日の監視を行っております。しかしながら、昨今サイバー攻撃はますます高度化しているため、外部からの予期せぬ不正アクセス等を完全に排除することは困難であり、そのような不測の事態が発生した場合、稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)品質に係るリスク

稲畑産業グループは商社グループでありますが、合成樹脂コンパウンド、プラスチックフィルム、医薬品原料、水産加工品等の製造・加工会社を国内外に有しています。それらで製造・加工する製品については、信頼性や安全性を確保できるよう品質管理に努めております。また、商社として情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の4つの事業分野において取引先より仕入・販売する多様な原料・商材についても、グローバルに変化するそれら原料・商材に係る環境や安全関連の法規制、規格の動向等を把握して、品質管理に努めております。

しかしながら、品質問題を完全に回避することは困難であり、当該問題により生じた損失について、稲畑産業グループが責任を負う可能性があります。その場合、稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害等のリスク

稲畑産業グループが事業を展開する国や地域において、地震、津波、台風等の自然災害、または感染力の強い感染症が発生した場合には、稲畑産業グループの社員・事務所・設備の被害により、稲畑産業事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの災害による、サプライチェーンの分断や稲畑産業グループが取り扱う商材の市場における需給変動等により、稲畑産業グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

これら災害の悪影響に対しては、稲畑産業グループの危機対応の基本方針に基づいた事業継続計画(BCP)を策定し、社員の安全確保を最優先に事業継続を行いますが、全ての被害や悪影響を回避できるとは限らず、将来の稲畑産業グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)法規制に係るリスク

稲畑産業グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。これらの制限を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は稲畑産業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当連結会計年度における海外売上高比率は55%と高く、輸出入規制に大きな影響を受ける可能性があります。そのため、社内に輸出管理委員会を設置し、リスクの軽減に努めております。

 

(14)保有有価証券の時価下落に係るリスク

稲畑産業グループではビジネス戦略上多数の会社の株式等に出資または投資しております。株式市場の動向悪化、または出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損リスクがあります。

当連結会計年度末における投資有価証券の計上額は34,872百万円となりました。また、特定投資株式の保有方針や保有の合理性、銘柄ごとの詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載しております。

 

(15)退職給付債務の変動リスク

稲畑産業グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は計上される債務に影響を及ぼします。また、損益面では、当該影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。また、年金資産には退職給付信託として上場有価証券を信託しているため株価の変動の影響を受けやすく、割引率の変動及び年金資産運用の結果による損益のブレにより稲畑産業グループの年金費用は増減します。株価の下落、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は稲畑産業グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当連結会計年度末における退職給付に係る負債の計上額は2,343百万円となりました。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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