日本証券金融は、連結子会社2社および持分法適用関連会社2社を含む日証金グループの中核企業です。
日本証券金融グループの事業は、次のとおりであります。
証券金融業………日本証券金融は貸借取引を核としたセキュリティ・ファイナンス業務(金融機関等に対する資金・有価証券の貸付業務)を中核事業としています。貸借取引は、制度信用取引に必要な資金や株券を証券会社に貸し付けることで、株式の円滑な流通や適正な価格形成に寄与しています。セキュリティ・ファイナンス業務のうち、債券レポ・現先取引は、現金や株券等を担保として受入れ、国債を貸付ける業務です。このほか、金融機関等が保有する株券を担保として受入れる代わりに現金を貸し付ける株券レポ取引や、株券等を機関投資家から調達して、主に売買取引などに必要とする証券会社に貸し付ける一般貸株取引などが主力業務です。
貸借取引については金融商品取引法第156条の24の規定により内閣総理大臣の免許を受け、その他の業務については兼業業務として届け出ています。また、有価証券等管理業務および国債等現先取引業務の登録金融機関業務を行っており、当業務については金融商品取引法第33条の2の規定により内閣総理大臣の登録を受けています。
信託銀行業………連結子会社の日証金信託銀行株式会社は、証券会社などに求められる顧客資産の分別管理信託をはじめとした管理型の信託銀行業務を中核事業としています。
不動産賃貸業……連結子会社の日本ビルディング株式会社は、主に日本証券金融グループが所有する不動産の賃貸・管理を行っています。
持分法適用関連会社の日本電子計算株式会社およびジェイエスフィット株式会社は情報処理サービス業を行っています。
以上の日本証券金融グループ企業について図示すると次のとおりであります。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
日本証券金融株式会社(証券金融業) ・貸借取引業務(融資・貸株) ・セキュリティファイナンス業務 (債券レポ・現先取引、株券レポ取引等、一般貸株、一般信用ファイナンス、 リテール向け証券担保付貸付) |
|
|||
|
(連結子会社)日証金信託銀行株式会社(信託銀行業) …顧客分別金信託、有価証券信託等の信託業務および銀行業務 (連結子会社)日本ビルディング株式会社(不動産賃貸業) …日本証券金融グループ所有の不動産の賃貸・管理
|
|||||
|
|
|
|
|
|
|
|
(持分法適用関連会社)日本電子計算株式会社 …情報処理サービス、ソフトウェアの開発・販売 |
|||||
|
(持分法適用関連会社)ジェイエスフィット株式会社 …情報処理サービス、ソフトウェアの開発・販売
|
|||||
1.企業集団の主要な事業内容
日本証券金融グループは、日本証券金融、連結子会社2社(日証金信託銀行株式会社、日本ビルディング株式会社)および持分法適用関連会社2社で構成され、証券・金融市場のインフラを支える公共的役割を強く意識しつつ、貸借取引業務を核とするセキュリティ・ファイナンス業務を中心に、証券界・金融界の多様なニーズに積極的な応え、様々な証券・金融関連サービスを提供しております。また、貸借取引業務が市況変動等の影響を大きく受けることを踏まえ、引続き収益源の多様化に向けて努力し、各事業においてこれまで以上に資本効率の向上を意識しつつ経営目標の達成に取組んでおります。このような考え方の下、日本証券金融グループは、貸借取引を核とするセキュリティ・ファイナンス業務、有価証券運用業務、信託銀行業務、不動産管理業務からなる事業ポートフォリオにより、目指す将来像の実現を図っています。
<第7次中期経営計画>
[日本証券金融が目指す企業としての将来像]
日本証券金融は、日本証券金融が掲げる企業理念の下で、証券・金融市場のインフラ機能を支える証券金融会社として、高い財務の健全性維持と、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現する機動性・柔軟性に富んだ特色あるユニークな企業を目指す。
[経営方針]
①証券金融会社としての社会的責任を常に認識し、堅固なガバナンス体制のもとでコンプライアンス、企業統治および経営リスクの管理を徹底することにより健全な業務運営を実践し、揺るぎない社会的信頼を確立する。
②証券・金融市場のインフラ機能を支える証券金融会社として求められる経営の安定性および財務の健全性を確保するため、強固な自己資本を維持しながら企業価値の向上を図るとともに、株主への利益還元を引き続き充実したものとしていく。
③証券金融会社の根幹である貸借取引業務をより強化し、あわせて日本証券金融・グループ会社が提供する金融・証券関連サービスの拡充・強化に務め、ビジネス基盤を一層拡大し堅固なものとする。
④経営環境の変化に機動的かつ柔軟に対応するため、迅速かつ効率的な業務運営体制を構築するとともに、人材力の基盤強化を図り、企業活力と組織変革力を向上させる。
[戦略]
①証券市場のインフラとしての貸借取引業務の強化
株式市場を取り巻く環境変化に適切に対応し貸借取引業務の安定的な運営および利便性向上を図る。また、市場参加者の取引ニーズの的確な把握などにより、貸借取引の利用促進を図るための施策を検討するとともに、制度信用・貸借取引にかかる情報発信を強化し、貸借取引業務の基盤強化に努める。
②セキュリティ・ファイナンス業務の拡充・強化
日本証券金融がこれまで培ってきた資金取引や有価証券取引のノウハウを有効に活用し、内外の金融商品取引業者等との多様な取引に積極的に対応するとともに、取引先や対象通貨・有価証券等の拡大により、セキュリティ・ファイナンス業務を強化・拡充し、収益機会の拡大を図る。
③グループ連結経営の強化
グループ会社との間で、営業、リスク管理、業務管理などの各分野で、より連携を推進するなどグループ連結経営の強化を図る。
④有価証券運用による安定的な収益確保・資金調達手段の拡充
外部環境の変化に対し、適切なリスクコントロールの下、機動的にポートフォリオの見直しを実施することで、有価証券運用による安定した収益を確保する。また、取引先の多様なニーズに応えるため、外貨を含め安定的な資金調達手段の拡充を図る。
⑤新規業務開発の推進
証券金融会社としての特長を活かし、内外の関係先やグループ会社との連携の下で、長期的視野に立った新規業務開発に取組み、具体化を図っていく。
⑥業務管理体制の強化
日本証券金融に求められている社会的要請に積極的に対応し、企業理念を実現していくため、コンプライアンスを経営の前提と位置付けていることをあらためて確認する。
日本証券金融に対する揺るぎない社会的信頼を確立するため、内部監査の実効性を確保し、金融業務に付随するリスクの多様化・複雑化に対応してリスク管理の一層の充実を図る。
⑦効率的な業務運営による競争力の基盤強化
取引量の増加や業務の複雑化が進む中、業務プロセスの見直しやデジタル技術の積極的な活用などにより、効率的な業務運営体制の構築に努め、競争力の基盤強化を図る。
⑧人材育成の強化とエンゲージメントの向上
多様性の確保と専門性、主体性の強化を軸に、人材育成の強化と人材ポートフォリオの再構築に努めるとともに社員エンゲージメントの向上を図ることにより、企業活力と組織変革力を向上させる。
⑨サステナビリティの推進
証券・金融市場のインフラとしての機能を安定的に果たせるよう、業務継続体制の更なる強化に努めるほか、気候変動・環境保全への対応など、サステナビリティに関する重要課題についても、着実に取組む。
2.2023年度(2024年3月期)の日本証券金融の取組み
(1)現状分析
・日本証券金融は第7次中期経営計画のもと、証券・金融市場のインフラを支えるプライム市場上場企業として、コーポレートガバナンスの強化とともに、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しております。具体的には、ROEを、2025年度末までに株主資本コストを上回る5%とする経営目標を掲げ、収益性と資本効率の向上に経営努力を傾注してきました。
・こうした取組みの結果、2023年度のROEは5.73%となり、ROE5%目標を想定よりも2年前倒しで達成しました。
・また、株式市場における日本証券金融に対する評価も上昇基調であり、PBRは1倍近辺で推移し、株主総利回り(TSR)もTOPIXを有意に上回る水準で推移するなど、着実に向上してきております。
・以上の目標設定や実績評価の基礎となる日本証券金融の資本コストについては、客観的な長期時系列データを用いて複数の方式により計測した結果であり、足許の市場環境を踏まえても4%台半ばとの基本認識に変化はありません。日本証券金融は、証券金融会社としての免許を受けており、法令上、財務の健全性維持を求められるとともに業務範囲に制約が設けられております。このため、財務上のリスクや事業戦略リスクが相対的に低く、これがリスクプレミアムに反映されると考えられることから、日本証券金融の資本コストの水準としては自然なものと考えております。
(2)2023年度の取組み
(「日本証券金融が目指す経営の長期的展望」の策定・公表等)
①日本証券金融が目指す長期的展望
・日本証券金融は、2023年11月に「日本証券金融が目指す経営の長期的展望」(以下「長期的展望」と言います。)等を策定・公表いたしました。これは、日本証券金融取締役会としては、2023年度においてROE5%目標を想定よりも2年前倒しで達成する見込みとなったことから、これまでの日本証券金融の経営努力が一定の成果を挙げ、節目を迎えたと考えられることを踏まえ、今後の日本証券金融経営に関する考え方を改めて整理することが適当と考えたことによるものです。取締役会における累次の議論の結果、①まず、日本証券金融が目指す経営の長期的な展望を整理し、②その長期的展望を踏まえて、具体的な事業戦略に基づく中期経営計画や株主還元方針を策定するという二層建てで今後の経営を考え、それらを公表することが適切との結論に至りました。なお、2021年11月19日に策定・公表した「中期的な経営方針」については、その役割を果たしたものと評価できることから、今般策定した長期的展望等に発展的に吸収することとしました。
・長期的展望は、長期で見た場合の日本証券金融の目指す将来像やありたい姿を展望したものです。まず「日本証券金融の目指す将来像」について、証券・金融市場のインフラ機能を支える我が国唯一の証券金融会社として、証券・金融市場の発展に貢献することを通じて、高い財務の健全性維持のもとで持続的な成長・企業価値の向上を実現する、機動性・柔軟性に富んだ特色あるユニークな企業を目指すことを改めて確認しました。
・次に、コーポレート・メッセージ「Be unique. Be a pioneer. 唯一をつくる、開拓者であれ。」を制定いたしました。これは、我が国唯一の証券金融会社として、不断に変化する環境の中で、金融テクノロジーの進化を取り入れながら、証券・金融市場の参加者の取引ニーズに機動的かつ柔軟に対応し、市場ひいては日本証券金融の未来を開拓していく、日本証券金融の在りたい姿を表したものです。
・「長期的な経営の方向性」は、次のとおりです。
―今後とも、証券・金融市場の参加者の取引ニーズに機動的かつ柔軟に対応し、市場の発展に貢献することを通じて、高い財務の健全性維持のもとで持続的な成長・企業価値向上に向けてグループ企業の総力を結集して取り組む。
―今後も資本コストを意識しながら、着実な収益基盤の強化と資本効率の安定的かつ着実な向上に努め、ROEについては8%の水準を意識しながら、今後も着実な向上に向けて取り組んでいく。
―株主還元については、第7次中期経営計画期間中は総還元性向100%を維持し、その後も株主還元の充実に努めていく。
―こうした経営の取組みを通じて、PBRについても1倍超の市場評価の定着を目指す。
―指名委員会等設置会社の機関設計のもと、取締役会・各委員会審議の実効性の一層の向上や情報開示の更なる充実、厚みのある人的資本の形成に注力しつつサステナビリティ課題にも取組み、コーポレートガバナンスの強化に努めていく。
②第7次中期経営計画の経営目標の修正
・上記の長期的展望および2024年3月期の業績を踏まえ、第7次中期経営計画の経営目標を次のとおり上方修正いたしました。
<ROE>
安定的に5%を上回る水準を維持するとともに、さらなる向上を目指す。
<連結経常利益>
安定的に100億円超を維持するとともに、さらなる向上を目指す。
なお、この修正に伴い、日本証券金融役員の業績連動報酬(賞与および株式報酬)の参照指標および反映方法の基本的な構造については変更せず、株式報酬の進捗見込みに基づく基準値について所要の変更を行いました。
(その他の取組み)
①情報開示の充実(統合報告書の改訂)
・株主をはじめとした様々なステークホルダーの皆様に日本証券金融についてより深くご理解いただくため、情報開示の充実に積極的に取組んでおります。その一環として、2022年度から統合報告書を作成しております。統合報告書では、日本証券金融のビジネスモデル、経営方針、コーポレートガバナンス、サステナビリティ課題への取組みなどについて記載しております。
・2023年度の統合報告書では、上記長期的展望についてのその内容、検討の経緯や考え方、新たに策定したコーポレート・メッセージについて、幅広くご理解・ご認識いただくために記載を充実させております。第7次中期経営計画関連では、重要施策の一つである「人的資本ポリシー」について記載しております。
・また、前年度版の公表以降、ステークホルダーの皆様から頂いたご意見を踏まえて、記載内容の充実を図っております。具体的には、コーポレートガバナンスに関して「日本証券金融経営陣の選任とこれを展望した内部人材育成の考え方」を掲載し、経営陣の選任にあたっての手続き面の情報だけではなく、実際の指名プロセスにおいて社外取締役を中心とした取締役会・指名委員会が具体的にどのような働きを果たしているかについても記載しております。また、近年の日本証券金融の成長を牽引しておりますセキュリティ・ファイナンス業務について、業務の内容、注力している取組みおよびリスク管理について特集を組んでご説明しております。
②執行役の担当職務の明確化
・日本証券金融は指名委員会等設置会社として、社外取締役を中心とした取締役会が策定した経営方針に基づき、取締役会による実効性の高い監督のもと、代表執行役社長の統率、指揮により執行役が業務執行する体制となっております。
・執行役の担当職務について、ステークホルダーの皆様にとってより分かりやすい表現とするため、指名委員会における議論を経て、2024年度の執行役・執行役員の選任にあたり各執行役の担当職務を改めて定義し、公表いたしました。
③従業員向け自社株インセンティブの付与
・2022年度に引き続き、2023年度においても、日本証券金融業績に応じて従業員に対して日本証券金融株式を付与する従業員向け自社株インセンティブの付与を決定いたしました。具体的な付与は2024年6月に実施いたしました。この取組みの趣旨・目的は、従業員の経営目標達成へのモチベーションや働きがいの向上を図るとともに、従業員が日本証券金融株式を所有することで、企業価値向上への関心をより高め、株主の皆様との価値共有を進めることにより、中長期的な企業価値の向上を図ることであります。
④サステナビリティ課題への取組み
・日本証券金融はサステナビリティ課題についても積極的に取組んでおります。2023年度は主に次の2つに取組みました。
<分散型台帳技術を用いたセキュリティ・ファイナンス取引に関する実証研究>
―日本証券金融と東京大学は、2021年4月以降、レポ取引や証券貸借取引において、分散型台帳技術の活用により、トークン化した有価証券や担保の円滑な取引が可能かについて検証する実証研究を共同で実施し、2023年5月30日にその成果を報告書※として公表しました。(※報告書等は日本証券金融ホームページで公表しております。)
―本研究の成果は、証券分野をはじめとして今後の様々な分野への社会実装への活用が期待されます。また、産学連携の推進により、日本証券金融が認識するサステナビリティに関する重要課題、とくに学術研究活動の推進、証券・金融市場インフラへの貢献の取組み効果が現れたものと考えています。
<インドネシア証券界との国際協力>
―日本証券金融は、持続可能な社会の実現に向けた重要課題の一つとして、海外の証券・金融市場インフラへの貢献・支援活動を進めており、その具体的な取組みとして、インドネシア証券界との国際協力が挙げられます。
―日本証券金融は、我が国証券・金融市場のインフラを支える立場から、インドネシアにおける証券金融会社の設立に向け、同国の証券関係団体に対し、貸借取引業務の実務や管理面のノウハウを提供するとともに、市場活性化のための証券金融の重要性について説明を重ね、2016年末のインドネシア証券金融会社(PT Pendanaan Efek Indonesia)の設立に寄与して参りました。同社設立後もリスク管理や資金調達等の実務的なサポートを続け、2020年8月、同社に対する出資を行っており、2022年以降、配当金を受領しています。
―現在は、日本証券金融、インドネシア証券取引所グループ等の他の株主およびインドネシア証券金融会社で構成される諮問委員会や株主総会への参加等を通じ、同社の経営方針や業務運営に関する議論に積極的に貢献しています。また、ジャカルタや東京で、インドネシア証券界(監督当局、取引所関係者、証券業界等)を対象とするセミナーを随時開催するなどしています。
―今後も、日本証券金融が蓄積してきた証券金融業務に関する知見を一層活用し、同国の経済・金融・証券市場のサステナブルな発展に寄与していきたいと考えています。
3.対処すべき課題
日本証券金融は、前記のとおり、2023年11月に「日本証券金融が目指す経営の長期的展望」等を策定・公表いたしました。
日本証券金融は、今後とも証券・金融市場の参加者の取引ニーズに機動的かつ柔軟に対応し、市場の発展に貢献することを通じて、高い財務の健全性維持のもとで持続的な成長・企業価値向上に向けてグループ企業の総力を結集して取り組みます。
また、今後も資本コストを意識しながら、着実な収益基盤の強化と資本効率の安定的かつ着実な向上に努め、ROEについては8%の水準を意識しながら、今後も着実な向上に向けて取り組んでいきます。株主還元については、第7次中期経営計画期間中は総還元性向100%を維持し、その後も株主還元の充実に努めていきます。
こうした経営の取組みを通じて、PBRについても1倍超の市場評価の定着を目指します。
指名委員会等設置会社の機関設計のもと、取締役会・各委員会審議の実効性の一層の向上や情報開示の更なる充実、厚みのある人的資本の形成に注力しつつサステナビリティ課題にも取組み、コーポレートガバナンスの強化に努めていきます。
第7次中期経営計画については、日本証券金融が目指す経営の長期的展望と2023年度の業績を踏まえ、経営目標を次のとおり上方修正しました。まずROEについては、安定的に5%を上回る水準を維持するとともに、さらなる向上を目指します。また、連結経常利益については安定的に100億円超を維持するとともに、さらなる向上を目指します。
こうした経営目標の実現に向け、貸借取引業務を核とするセキュリティ・ファイナンス業務を中心に収益基盤の強化に引き続き注力します。また、これらの業務を支える内部管理体制の強化についても取り組みます。その一つは、企業価値創造の源である人材力の基盤強化であります。日本証券金融は2023年3月に策定した「人的資本ポリシー」のもと、人材育成プログラムを着実に実行してまいります。
また、日本証券金融の様々な取組みを、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様に広くご理解いただくため、情報開示の充実にも取り組んでまいります。
株主還元については、2025年度までの間、配当および自己株式取得の機動的な実施により累計で総還元性向100%を目指す方針を継続いたします。また2024年度から2025年度までの間、配当については配当性向70%を目安に積極的な配当を行うこととします。
2024年度につきましては、第1四半期に実施予定の日本証券金融子会社が保有する不動産の売却に伴い、一定の規模の特別利益の計上が見込まれることとなりました。本特別利益は、日本証券金融の持続的な成長に向けた努力の過程とは別に発生した一時的な利益であることから、これに対応した株主還元は2024年度中に特別配当金として行うことといたしました。そのため、2024年度の配当予想は普通配当金64円と特別配当金6円をあわせた70円といたしました。また、あわせて株数上限170万株、金額上限26億円とする自己株式取得枠を設定いたしました。これらをあわせた2024年度の総還元性向は99.7%となります。
日本証券金融としては、引き続き、証券・金融市場のインフラ機能を支える我が国唯一の証券金融会社として、証券・金融市場の発展に貢献することを通じて、高い財務の健全性維持のもとで持続的な成長・企業価値の向上を実現する、機動性・柔軟性に富んだ特色あるユニークな企業を目指してまいります。
日本証券金融および日本証券金融グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。
金融のグローバル化やフィンテックに代表される高度化の加速など、日本証券金融グループを巡る経営環境が変化する中、内外の新たなニーズの獲得に向けた取組みを通じて、業務内容の複雑化が進むと同時に、日本証券金融グループを取り巻くリスクも変化しております。
こうした状況を踏まえ、リスクアペタイト・フレームワークの活用を通じて、経理管理とリスク管理を一体的に運営しております。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は当期末(2024年3月31日)現在において日本証券金融が判断したものです。
1.事業環境に関するリスク
(1) 各種法令等に関するリスク
①免許業務について
日本証券金融の主要業務である貸借取引業務は金融商品取引法第156条の24の規定により内閣総理大臣の免許を受けて運営しております。また、子会社では、日証金信託銀行は銀行法および金融機関の信託業務の兼営等に関する法律の免許および認可を受けて信託銀行業務を営み、日本ビルディングについては宅地建物取引業法等の適用を受けております。
現時点では、免許取消や業務停止等の処分を受けるような事由は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、こうした処分等を受けることとなった場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
②業務内容の制限等について
証券金融会社は、金融商品取引法の定めにより、免許業務である貸借取引業務以外で運営可能な業務の範囲が制限されております。こうした規制は、証券市場のインフラである貸借取引業務の安定運営を目的としており、新規業務を起ち上げる際などにおいて必要な承認が得られない場合には、事業機会を逸失するなど、日本証券金融グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③コンプライアンスに関するリスク
日本証券金融は、コンプライアンスを企業経営の前提と位置づけ、コンプライアンス統括部を中心に日本証券金融全般のコンプライアンスを推進しております。役職員に対しては、投資家保護の意識を高め、公正かつ適切な業務運営を行うため、定期的にコンプライアンス研修を実施するほか、随時、業務に即した研修、指導を行うことにより、コンプライアンス意識の徹底を図っております。
また、日本証券金融グループを取り巻く事業環境の様々な変化に対応すべく、既存業務の強化を図るとともに、新規業務の開始による収益源の多様化等に取組む中で、新たなコンプライアンス・リスクが生じる可能性も念頭に、グループ各社の役職員が参加する外部講師による講演会開催や研修など各種啓蒙活動の実施のほか、グループ各社間において情報および認識の共有を随時図ることを通じてコンプライアンス意識の徹底に取組んでおります。
しかしながら、役職員の故意または過失によりコンプライアンス・リスクが顕在化した場合、または法人としてコンプライアンス・リスクが顕在化した場合は、取引先との信頼関係の低下や、損害賠償、行政処分等に直面するおそれがあります。その結果、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④法令等の変更に伴うリスク
日本証券金融グループに関連する、金融商品取引法、銀行法、信託業法、宅地建物取引業法等の法令・規則等が変更された場合には、市場環境の変化等を通じて直接的又は間接的に日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、具体的にどのような影響が発生し得るかについては、将来において決定される法令等の改正の内容によるため、現時点ではその内容等を予測することは困難であり、日本証券金融グループがコントロールしうるものではありません。
(2) 制度信用取引の動向に関するリスク
①制度信用取引残高の変動に伴うリスク
日本証券金融は、証券金融の専門機関として証券・金融市場の発展に貢献することを使命とし、日本証券金融基幹業務である貸借取引業務の強化と、日本証券金融グループが提供する金融・証券関連サービスの拡充・強化により、ビジネス基盤の一層の拡大に取組んでおります。
こうした取組みにより日本証券金融収益基盤の多様化が着実に進む一方で、免許業務である貸借取引業務の重要性は依然として高く、株式市況の動向等の影響から、制度信用取引の主たる利用者である個人投資家の利用減少等により、制度信用取引残高・貸借取引残高が減少した場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②運用スタイルの多様化に伴うリスク
個人投資家の運用スタイルは多様化が進んでおり、株価指数や外国為替の先物取引や、信用取引の中でも自由度の高い一般信用取引の利用が増えています。
日本証券金融では、一般信用取引向けに資金(一般信用ファイナンス)および株券(一般貸株)の貸付業務を展開しているほか、信用取引にかかる解説動画の作成等を通じて制度信用取引・貸借取引の普及活動に取り組んでおります。
しかしながら、こうした地道な取り組みが必ずしも株式取引・信用取引・貸借取引の残高増加に直結するとは限らず、株式市場における取引高が縮小する場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業運営上のリスク
(1)市場リスク
日本証券金融グループは資金を効率的に活用する観点から、ポートフォリオにおける運用資産の多様化・分散投資を推し進めております。
このうち、国内外の債券については、各国中央銀行による金融政策の変更や各国財政政策に対する信認の低下等を要因に国債金利が急騰した場合などにおいて、想定以上の評価損や実現損が発生する可能性があります。同様に、外国為替市場において日本円が上昇した場合には、保有する外貨建て有価証券について評価損や実現損が発生する可能性があります。
また、市場性のある株式を保有しており、株価の下落により保有株式に評価損等が発生する可能性があるほか、非上場投資信託等も保有しており、金融市場の混乱等により、市場において正常な取引ができなくなる場合や通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる可能性があります。
日本証券金融グループでは、市況を注視するとともに適宜デリバティブ取引等によるヘッジオペレーションの実施等により市場リスクの低減に努めておりますが、突発的な市場の急変動等が発生した場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)信用リスク
日本証券金融の貸付業務では、信用リスクの顕在化に備え流動性の高い有価証券を担保として受入れています。さらに資産の健全性の維持・向上を図るため、保有資産について厳格な自己査定を実施しているほか、信用供与先については社内格付により信用リスクを評価するとともに、信用リスクについて計量化による管理やストレステストを実施するなど厳格な管理態勢を整備しています。
また、子会社の日証金信託銀行においては銀行業務の一環として無担保貸付業務を行っておりますが、本邦政府向けが大宗を占めるなど信用リスクは限定的であるほか、厳格なリスク管理およびポートフォリオ管理を行っております。
しかしながら、信用供与先の経営状況の急激な悪化に加え担保として受入れている有価証券の価格が想定を超えて下落した場合は、貸出債権を回収できない恐れがあり、その結果、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)資金および有価証券調達に関するリスク
①資金調達環境の悪化等によるリスク
日本証券金融グループは主として、コールマネーやコマーシャル・ペーパー、銀行からの短期借入金等、比較的短期かつ低利の資金を調達することにより、業務を運営しております。また、外貨を含めた調達手段の多様化、安定した調達先の確保に努めるとともに、日証金信託銀行との緊密な連携を通じた連結ベースでの資金繰り管理を行うなど、厳格な流動性リスク管理を行っております。しかしながら、金融市場の混乱や短期金利の急激な上昇、日本証券金融グループの財務状況の悪化などにより、資金調達コストが上昇したり、取引制限を受ける可能性があり、その結果、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②格下げによるリスク
日本証券金融の主要業務である貸借取引業務をはじめとする各種業務の運営に必要となる資金および有価証券を安定的に調達するためには、高い水準の格付けを維持することが求められます。しかしながら、財務状況の悪化など日本証券金融固有の要因に限らず、日本国債の格下げ等の影響により、日本証券金融格付が引き下げられた場合には、取引条件の悪化を余儀なくされたり、十分な資金および有価証券の確保が困難となり、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)自己資本にかかる規制に関するリスク
日本証券金融は、貸借取引を核とするセキュリティ・ファイナンス業務の安定運営を確保する観点から、日本銀行のオペレーションや決済機構の参加資格を有しており、証券会社と同様に自己資本規制比率200%を維持することが求められております。
また、連結子会社の日証金信託銀行についても、単体自己資本比率を2006年金融庁告示第19号に定められる国内基準である4%以上の水準を維持する必要があります。
これら基準を下回った場合には、日銀オペレーション等の参加資格の全部または一部停止措置を受けることにより、日本証券金融業務の安定運営に支障が生じる可能性や、日証金信託銀行の業務の全部または一部の停止命令を受ける可能性があり、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)金融市場におけるテールリスクの発生
2008年のリーマンショック発生時に連結ベースで最終赤字を計上した経験を踏まえ、日本証券金融による子会社の日証金信託銀行の日次モニタリングや定期的なミーティング開催などを通じてグループリスク管理の強化を推進しているほか、市況が急速に悪化した場合においても業務を安定して運営できるよう、充分な自己資本の維持に努めております。
しかしながら、金融市場におけるテールリスクの発生を予見することは困難であり、そうしたリスクが顕在化した場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)オペレーショナルリスク
①情報システムに関するリスク
日本証券金融は証券市場のインフラとしての貸借取引業務の運営に必要なシステムを始め、様々な情報システムを利用しており、それらシステムの安定稼働に万全を期すべく、ネットワーク・機器類の二重化やメンテナンスの実施等によりシステム障害発生の未然防止に努めているほか、コンティンジェンシープランを策定し、障害発生時においても早期に復旧させる体制を構築しております。また、システム開発・運用を安全かつ効率的に行うため、作業手順を明確化するとともに監視体制を整備しています。これらの対策にもかかわらず不測の要因により業務継続に支障が生じる重大なシステム障害が生じた場合は、日本証券金融の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②サイバーセキュリティに関するリスク
デジタル技術の高度化が加速する中で、日本証券金融グループを取り巻くサイバーリスクが高まっていることを踏まえ、システム面での対応に加え、グループ各社とも連携しながらサイバーセキュリティ態勢の強化にも取組んでおります。
しかしながら、高度化または巧妙化されたサイバー攻撃等により、想定外のシステム障害等が発生し、日本証券金融グループの業務継続に甚大な支障が生じた場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③情報漏洩リスク
取引先の情報等の情報資産の保護については、さまざまなセキュリティ対策を整備するとともにその取扱いを役職員に周知徹底しています。しかしながら、人為的ミスや不正行為、サイバー攻撃を含む外部犯罪等によって重要な情報が漏洩した場合は、日本証券金融の信用力が低下し、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④自然災害等に関するリスク
日本証券金融は、貸借取引業務を最重要業務として位置づけ、証券・金融市場のインフラを支える企業としての責務を果たすべく、大規模災害等が発生した場合においても、業務の継続や早期復旧を図るための業務継続体制を構築しており、大阪支社等を活用したデュアル・オペレーション体制やテレワークの推進などに取り組んでおります。
また、子会社の日証金信託銀行では金融市場において定期的に開催される合同訓練に参加し、日本証券金融との連携確認の実施等に取組むとともに、日本証券金融大阪支社等を活用した業務継続体制の強化を進めております。
同じく子会社の日本ビルディングにおいてもBCP対策委員会を設置し、所有・管理するビルの安全を確保する観点から、業務継続体制の強化に努めております。
しかしながら、想定を大幅に上回る自然災害や停電、戦争、犯罪・テロの発生、各種感染症が流行した場合には、日本証券金融グループの業務運営に支障をきたすリスクがあり、その結果、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.子会社・関連会社固有のリスク
日本証券金融の子会社・関連会社では不動産業務、情報処理サービス業務の事業を展開しており、以下の様な事象が発生した場合には、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)不動産業務
不動産市況の悪化や空室率の上昇等により業績が悪化するリスクがあります。また、周辺地域において再開発が相次ぐなか、所有ビルの資産価値・競争力向上等の観点から、戦略的にビルの建替え等を実施することとなった場合には、一時的な費用の発生や、工期中に賃料収入等が減少する可能性があります。
(2)情報処理サービス業務
日本証券金融の持分法適用関連会社2社は、情報処理サービス業務を営んでおります。取引先企業のシステム投資意欲が減退した場合や提供するシステムおよびサービスにおいて障害等が発生した場合には、日本証券金融グループの持分法投資損益に影響を及ぼすリスクがあります。
4.事業戦略が奏功しないリスク
日本証券金融は2023年11月6日に、「日本証券金融が目指す経営の長期的展望」を新たに策定するとともに、第7次中期経営計画(2023年度~2025年度)の経営目標を上方修正いたしました。日本証券金融は、今後とも証券・金融市場の参加者の取引ニーズに機動的かつ柔軟に対応し、市場の発展に貢献することを通じて、高い財務の健全性維持のもとで持続的な成長・企業価値向上に向けてグループ企業の総力を結集して取り組みます。また、今後も資本コストを意識しながら、着実な収益基盤の強化と資本効率の安定的かつ着実な向上に努め、ROEについては8%の水準を意識しながら、今後も着実な向上に向けて取り組んでいきます。
しかしながら、国内外の経済・金融情勢の悪化、本邦における金利環境の変化等による事業環境の悪化などの影響により、現在取組んでいる各種戦略・施策等が功を奏しないリスクがあり、その結果、日本証券金融グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー