アコム(8572)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


アコム(8572)の株価チャート アコム(8572)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

アコムは、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下「MUFG」)の連結子会社となっており、MUFGはアコムの「親会社」にあたります。
 アコムグループは、アコム、子会社6社及び関連会社1社で構成され、[ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業、債権管理回収事業]を主な事業の内容とし、事業活動を展開しております。
 アコムグループの事業における位置付け及びセグメントとの関係は、次のとおりであります。
 なお、次の4事業は「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項]」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

区分

会社名

主な事業内容

ローン・クレジットカード事業

アコム

ローン事業及びクレジットカード事業

GeNiE株式会社

無担保ローン事業

信用保証事業

アコム

信用保証事業

エム・ユー信用保証株式会社

海外金融事業

EASY BUY Public Company Limited

タイ王国における無担保ローン事業及びインストールメントローン事業(個別信用購入あっせん事業)

ACOM CONSUMER FINANCE CORPORATION

フィリピン共和国における無担保ローン事業

ACOM (M) SDN. BHD.

マレーシアにおける無担保ローン事業

債権管理回収事業

アイ・アール債権回収株式会社

債権管理回収事業(サービサー事業)

その他

エム・ユー・
コミュニケーションズ株式会社

コンタクトセンターの請負及び人材派遣業務等

 

 

 

事業の系統図は次のとおりであります。

 


 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

アコムグループは、創業の精神である「信頼の輪」及び企業理念である「人間尊重の精神とお客さま第一義に基づき、創造と革新の経営を通じて、楽しく豊かなパーソナルライフの実現と生活文化の向上に貢献する」を普遍的な価値観・信念として掲げ、これらを具体化した「ビジョン」に基づき、「全てのステークホルダーの期待に応えつづける」べく活動してまいりました。


 

(2) 目標とする経営指標

アコムグループが目標とする経営指標は、株主価値の向上と安定した経営を持続していくため、自己資本当期純利益率(ROE)、総資産当期純利益率(ROA)、1株当たりの当期純利益、自己資本比率に加え、総資産に信用保証残高を加算して算出した自己資本比率を重視しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

アコムグループを取り巻く経営環境については、少子高齢化をはじめとする社会構造の変化や、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活様式の変化に加え、競争環境の激化が続く見通しであります。

このような環境下、アコムグループは、これまで培ってきた国内外のコンシューマーファイナンスビジネス、業務の集中化などローコストオペレーション等のノウハウをベースに、ローン・クレジットカード事業においてはエンベデッド・ファイナンスによる業容の拡大、信用保証事業においては事業会社との保証提携実現、並びに海外金融事業においてはアジア地域での金融事業の規模拡大などに注力いたします。また、次に掲げる中期方針に基づき、ステークホルダーとの相互信頼を深めるとともに、ダイバーシティや健康経営の推進等、SDGsで掲げられた社会課題の解決に向けて取り組み、社会とともに発展していくことを目指してまいります。


 

(4) 対処すべき課題

2025年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を策定するにあたり、「ビジョン」の見直しを実施しステークホルダーごとへの約束をより明確化するとともに、ビジョンの実現に向け取り組むべきことを「中期方針」として定めました。各事業の領域拡大に向け重点的に取り組むべき事項に注力するとともに、企業価値の向上に取り組んでまいります。

なお、アコムは、社会課題の解決と企業価値の向上を両立させることを目指し、サステナビリティ基本方針を策定しています。また、アコムが企業活動を行う上で、最も大切にすべき普遍的価値観である企業理念と、社会課題への取り組みに対するステークホルダーからの期待を踏まえ、アコムだから出来得る課題の解決や社会の発展に貢献すべく、5つのマテリアリティ(重点領域)を選定しております。

 

[マテリアリティ(重点領域)]

 


当連結会計年度においては、持続可能な社会の実現に貢献する経営を推進するため、経営企画部の下部機構である「サステナビリティ推進室」を中心に、マテリアリティに基づく取り組みの拡充を図るとともに、ホームページ等による情報開示も積極的に努めてまいりました。なお、サステナビリティに関する考え方や取り組みについては、「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」をご参照ください。

今後も、アコムに求められる社会的責任と使命を果たし、社会とともに成長する企業となるべく、企業価値の向上を図ってまいります。

2025年3月期を最終年度とする中期経営計画におけるグループ全体の事業残高の目標は、国内市場においては、ローン・クレジットカード事業残高9,842億円、信用保証事業残高1兆3,194億円、合計で2兆3,036億円、海外市場においては、タイ王国のEASY BUY Public Company Limitedのローン事業残高573億タイバーツ、フィリピン共和国のACOM CONSUMER FINANCE CORPORATIONのローン事業残高31億フィリピンペソとしており、グループ全体で2.5兆円を目指してまいりましたが、当連結会計年度においては、グループ全体の事業残高は2兆5,229億円となり、1年早く目標を達成することができました。引き続き事業残高の拡大に努めてまいります。

なお、目標等の将来に関する記述は、アコムが現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成をアコムとして約束する趣旨のものではありません。アコムが想定していない外部環境の変化などの影響により、実際の業績等は異なる可能性があります。

 

 中期経営計画の最終年度となる2025年3月期においては、引き続き事業の拡大に努め、以下の課題に取り組んでまいります。
 

(ローン・クレジットカード事業)

ローン・クレジットカード事業においては、急速に変化しているデジタル環境を的確かつスピーディーに捉え、既存のお客さまとの取引拡大、新規集客の強化及び債権内容の健全性維持などを推進し、さらなる業容の拡大に努めてまいります。また、従来からの取り組みに加え、GeNiE株式会社において、着実にエンベデッド・ファイナンスの開始を実現し、エンドユーザーを有する事業者とパートナーシップを組むことにより、パートナーのサービスを利用しているお客さまへ新しい体験となる金融サービスを提供してまいります。加えて、日本中の誰もが「はじめたいこと」に挑戦できる社会を実現するために2021年11月に開始した「はじめたいこと、はじめよう!PROJECT」やその他の社会貢献活動などによるブランド力の向上に努めてまいります。

 

(信用保証事業)

信用保証事業においては、カードローンのニーズのあるお客さまにサービスを提供している事業会社との保証提携実現や金融機関との新規保証提携による業容の拡大を推進するとともに、既存提携先との深度あるコミュニケーションを通じてさらなる連携強化に取り組んでまいります。提携先金融機関ごとの、より高度化するニーズに応えるため、アコムの強みであるローン・クレジットカード事業で培ったノウハウを最大限活用し、サービス機能の強化、向上に注力するとともに、適正な審査に努め、お客さまの健全な資金ニーズに応えてまいります。

 

(海外金融事業)

海外金融事業においては、タイ王国のEASY BUY Public Company Limitedの事業の拡大と債権内容の健全性維持に取り組むとともに、フィリピン共和国のACOM CONSUMER FINANCE CORPORATION及びマレーシアのACOM (M) SDN. BHD.を海外金融事業における第二、第三の収益の柱とすべく注力してまいります。

その他アジア諸国についても、新規進出の実現に向けた調査・分析活動を着実に推進し、海外金融事業の拡大を目指します。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

[アコムのリスク管理体制]

アコムを取り巻く経営環境の変化に伴い、管理すべきリスクも複雑化・多様化しております。このような状況の中、リスクを十分に認識し、経営の健全性維持と安定的な収益性、成長性の確保を図るためにリスク管理体制を充実・強化することが経営上の最重要課題の一つであると認識しております。アコムでは、「リスク管理規程」において定められた管理すべきリスクについて、担当部室がリスクの特定・評価・制御を行っております。また、コンプライアンス・リスク統括部において、リスクを統合的に管理しております。業務執行におけるリスク管理活動においては、リスク管理報告会で協議・報告がなされ、リスク委員会は、リスク管理に関する重要事項の審議を行うとともに、リスク管理状況等をモニタリングし、結果を取締役会へ提言・報告しております。

 

[体制図]


アコムは、リスクシナリオの蓋然性と業務への影響度に基づき、その重要性を判定しており、アコムを取り巻く経営環境において、事業に重要な影響を与える可能性があると経営が認識したリスクをトップリスクとして選定しております。トップリスクに対しては、リスクの高まりや予兆等の評価を行い、必要な対策を講じることでリスクの抑制等を図っております。

また、リスクが顕在化した場合においても、迅速に対応する体制を整備しております。なお、トップリスクは毎期、リスク委員会において審議され、経営会議にて決議しております。

 

 

[トップリスク]

リスク事象

リスクシナリオ

事業収益の低下

・ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業における収益の低下

・お客さまのニーズに適したITサービスが提供できないことによる競争力の低下

与信費用の増加

ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業における貸倒関連費用の増加

外的要因により影響を及ぼす事態の発生

感染症、自然災害、テロ等により、業務遂行に重大な影響を及ぼす事態の発生

ITリスク

・重要なシステム案件の企画及び開発の遅延により事業継続に影響を及ぼす事態の発生

・サイバー攻撃による顧客情報の漏洩、及び顧客サービス等の停止

・システム障害による顧客取引への重大な影響を及ぼす事態の発生

利息返還金の動向

想定を超える利息返還金による利息返還損失引当金繰り入れの発生

コンダクトリスク

消費者保護や市場の健全性維持等の観点において、ステークホルダーに重大な影響を及ぼす事態の発生

資金調達環境の悪化

市場金利の上昇、アコムの業績悪化、格付の低下等による資金繰りの悪化

人材の不足

必要な人材の不足による競争力の低下

 

 

アコムグループの事業等のリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 事業収益の低下について

アコムグループは、ローン・クレジットカード事業、信用保証事業、海外金融事業を中核3事業と定め、事業収益を安定的・持続的に拡大させるべく、各種の施策に取り組んでおります。2024年3月期の営業収益は2,947億3千万円(前期比+7.6%)であり、そのうち、ローン・クレジットカード事業収益は1,560億3千6百万円(前期比+7.5%)、信用保証事業収益は707億8千7百万円(前期比+6.8%)、海外金融事業収益は618億9千2百万円(前期比+9.5%)となっており、中核3事業で連結営業収益の98.0%を占めております。

各事業における収益低下のリスクについては、以下のとおりです。

 

① ローン・クレジットカード事業について

ローン・クレジットカード事業収益は、顧客口座件数の増減や顧客口座1件当たりの残高の増減、顧客から受領する約定金利等に伴って変動することから、これらに関連する様々な外的要因により、アコムの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、顧客のニーズに適したITサービスが提供できないことにより、競合他社との競争力が低下し、アコムの業績に影響を及ぼす可能性があります。

外的要因の例としては、消費者金融業界に係る司法判断や法的枠組みの変更、競合他社との競争環境激化や新たな企業の参入、大規模な事故・災害・感染症拡大等に伴う個人消費の減退等が挙げられます。

なお、ローン・クレジットカード事業は、営業収益全体の52.9%を占めており、当該事業の収益が低下した場合の影響は大きいことから、新規集客の増加、商品・サービス機能の向上等に取り組んでおります。

また、営業貸付金利息の計画比推移等を定期的に管理・分析し、各種対策を含めリスク管理報告会やリスク委員会等へ報告する態勢により、適切にリスクコントロールを実施しております。

 

② 信用保証事業について

信用保証事業収益は、保証口座件数の増減や保証口座1件当たりの残高の増減、提携先から受領する保証料率等に伴って変動することから、これらに関連する様々な外的要因により、アコム及びエム・ユー信用保証株式会社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

外的要因の例としては、銀行等金融機関に係る司法判断や法的枠組みの変更、大規模な事故・災害・感染症拡大等に伴う個人消費の減退等が挙げられます。

なお、信用保証事業は、営業収益全体の24.0%を占めており、当該事業の収益が低下した場合の影響は大きいことから、アコム及びエム・ユー信用保証株式会社は、信用保証事業において、提携先との連携強化に取り組み、適正な審査を継続するとともに、債権内容や広告の効果等に関する分析結果の提供、及び提携先の業績向上や安定成長に向けた各種支援を行っております。

また、信用保証事業収益の計画比推移等を定期的に管理・分析し、各種対策を含めリスク管理報告会やリスク委員会等へ報告する態勢により、適切にリスクコントロールを実施しております。

 

③ 海外金融事業について

海外金融事業収益は、顧客口座件数の増減や顧客口座1件当たりの残高の増減、顧客から受領する約定金利等に伴って変動するため、これらに関連する様々な外的要因により、タイ王国のEASY BUY Public Company Limited(以下「EASY BUY」)及びフィリピン共和国のACOM CONSUMER FINANCE CORPORATION(以下「ACF」)、2023年9月に事業を開始したマレーシアのACOM (M) SDN.BHD.(以下「ACM」)の業績に影響を及ぼす可能性があります。

外的要因の例としては、国家間対立やこれに起因する経済制裁等の影響、進出国における司法判断や法的枠組みの変更、競合他社との競争環境激化、大規模な事故・災害・感染症拡大等に伴う個人消費の減退、為替レートの変動等が挙げられます。

なお、海外金融事業は、営業収益全体の21.0%を占めており、当該事業の収益が低下した場合の影響は大きいことから、EASY BUY、ACF及びACMの3社において、新規集客の増加、商品・サービス機能の向上等に取り組んでおります。

また、海外金融事業における最大の連結子会社であるEASY BUYの営業収益の計画比推移等を定期的に管理・分析し、各種対策を含めリスク管理報告会やリスク委員会等へ報告する態勢により、適切にリスクコントロールを実施しております。

 

(2) 与信費用の増加について

アコムグループは、総資産の大半を占めている営業貸付金・割賦売掛金・求償債権について、貸倒費用(貸倒引当金繰入額及び債務保証損失引当金繰入額の合計額)を計上しておりますが、今後の経済情勢、市場環境、社会構造の変化や、法制度の改正等により、顧客の信用力が低下し返済金の支払遅延が増加するおそれがあり、その結果、貸倒費用の増加等、アコムグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、顧客の信用力について定期的にモニタリングを行い、債権の健全性維持に努めております。

 

(3) 外的要因により影響を及ぼす事態の発生について

アコムグループは、首都圏等事業基盤が集中している地域において地震・噴火・風水害等の自然災害や紛争・テロ・感染症等により、施設・設備の損害、顧客・従業員への人的被害等があった場合、アコムグループの業績や事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

こうした不測の事態に備えて事業継続計画を定め、コールセンター・基幹システム等のバックアップ体制を構築しております。

また、災害発生時における対応について、災害用備蓄品の適正数の確保や教育・訓練等の定期的な実施により実効性を確認し、重要な業務を継続できる態勢の整備・強化を図っております。

 

(4) ITリスクについて

アコムグループは、大規模なコンピュータシステムを保有しており、各拠点をはじめ、顧客や外部接続先等のシステムと通信ネットワークを使用の上、個人情報等の情報を処理し、適切な保管、取り扱いに努めております。

しかしながら、重要なシステム案件の企画及び開発の遅延、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、災害等の外生的事象等を起因としたシステムの停止・誤作動又は不正使用、あるいは電子データの改ざん・漏洩、又は通信会社及びコンピュータシステム事業者のサポート停止等を完全には防止できない可能性があります。

このような場合、顧客サービスの提供やアコムグループの営業に支障を来し、アコムグループへの信頼が損なわれ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

アコムグループは、システムの安定稼動のため、システム計画・開発及び運用の面からモニタリング等を行い、システム障害等の未然防止に努めるとともに、リソースの再配分、不測の事態に備えた体制や手順の整備、訓練等の対策を講じております。

 

(5) 利息返還金の動向について

アコムのローン事業においては、2007年6月17日以前に契約締結したローン商品の貸付金利等は、「利息制限法」の上限金利を上回るものがあります。

「利息制限法」の上限金利の超過部分については無効とされておりますが、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行される前の利息制限法の下では、債務者が当該超過部分を任意に支払った時は、その返還を請求することはできないとされ、また、完全施行前の貸金業法附則第13条においても、一定の要件を満たしていれば、有効な利息の債務の弁済とみなすとされておりました。

しかしながら、2006年1月13日の最高裁判所判決において、約定利息の返済が遅れた場合に期限の利益を喪失する契約条項が付されたケースでは、利息制限法超過部分の支払を強制することになるため、任意性を要件とする「みなし弁済の要件」が充たされていないとの判決が下されたことを理由として、消費者金融事業を営む各社に対し、支払金等の返還を求める訴訟が複数提起されており、このような請求を認める判決も複数下されております。

アコムの顧客が、貸付金の減額や過剰支払金等の返還を求める場合、アコムは貸付金の放棄や支払金等を返還することがあります。

また、これによる貸付金放棄額や支払金等返還額(以下「利息返還損失」)は、着実に減少しているものの、引き続き、返還請求件数等の状況を注視しております。今後、利息返還損失の発生状況や利息返還損失引当金の計上、及び利息返還を求める訴訟において、アコムを含む貸金業者にとって著しく不利となる司法の判決等が、アコムの業績に影響を及ぼす可能性があります。

利息返還損失は、最も多かった2011年3月期以降、毎期減少し続けていることを鑑みると、今後、利息返還損失が急増する可能性は限定的であると考えられるものの、外部環境の変化等の影響を受けやすいことから、引き続き動向に留意する必要があります。

また、利息返還損失については、予め四半期末ごとに基準値を設定しており、利息返還損失における実績と基準値との乖離状況について管理・報告する態勢により、適切にリスクコントロールを実施しております。

 

(6) コンダクトリスクについて

役職員の不適切な行為や社会規範から逸脱した行為等が原因で、顧客及び消費者金融市場からの信用失墜により、アコムグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

アコムグループでは、コンプライアンスを実践していく上で自覚すべき「基本的な価値観や方針」、それを実践していくために遵守すべき「行動基準」を定めた「アコムグループ倫理綱領・行動基準」を制定し、役職員に対する研修等を通じて、正しい行動を実践するカルチャーの醸成に努めております。

また、法令違反や社内・社外の不正行為を未然に防止するために対策を講じ、顧客保護等を目的とした消費者啓発活動、与信業務の厳格化や取引モニタリング等に取り組んでおります。

 

(7) 資金調達環境の悪化について

アコムグループは、営業活動と債務の返済のために必要な資金については、金融機関等からの借入金と、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等による資本市場からの資金調達を行っております。

しかしながら、既存の主要借入先が金融グループの再編成、又は、それ以外の要因により、アコムグループに対する貸出政策を変更する可能性があることに加え、資本市場が将来的にも依拠できる資金調達源として利用ができなくなる可能性があります。

また、市場金利の急上昇、アコムの業績悪化、信用格付の変動等、資金調達環境が悪化した場合、金融費用の増加や資金調達額に制約を受け、アコムグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、アコムグループは、一定程度の手元流動性を確保した上で、調達金利の固定化、長短調達比率の維持、借入金返済額の平準化、調達手段の多様化等、調達環境に柔軟に対応し、適切にリスクコントロールを実施しております。

なお、アコムは資本市場から円滑な資金調達を行うため、本有価証券報告書提出日現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債AA⁻、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債AA⁻・コマーシャル・ペーパーJ-1の格付を取得しております。

 

(8) 人材の不足について

労働人口の減少や人材の流動化といった外部環境により、必要な人材が十分に確保できない場合、アコムグループの持続的成長に影響を及ぼす可能性があります。

アコムグループでは、企業理念に基づくダイバーシティの推進により、多様な人材の能力・アイディア・価値観等を尊重し、社員が「働きがい」「働きやすさ」を実感できる社内環境の整備に注力しております。

具体的には、基本給の引き上げや副業・兼業等の各種人事制度、福利厚生の充実、ビジョンの浸透への取組、自己啓発の支援等により、働きがい・働きやすさの向上を図っております。

また、新卒及び中途採用活動を通じて優秀・有望な人材の確保を行うとともに、人材育成方針に基づき、選抜教育やデジタル人材育成等、研修体系を充実させることで、人材の育成に取り組んでおります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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