松井証券(8628)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】松井証券は、個人投資家を対象とした株式ブローキング事業を主たる事業とし、オンライン証券取引サービスを提供しております。具体的には、株式及び先物・オプションの委託売買業務、引受け並びに募集及び売出しの取扱、投資信託の販売、FX(外国為替証拠金取引)等のサービスを提供しております。なお、松井証券はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。また、関係会社は重要性が乏しいため記載を省略しております。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、特に断りがない限り、当事業年度末(2026年3月31日)現在において、松井証券が判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針松井証券は、「お客様の豊かな人生をサポートする。」ことを企業理念(MISSION)とし、「個人投資家にとって価値のある金融商品・サービスを提供する。」ことを企業目標(VISION)としています。企業理念、企業目標を実現するうえでは、優位性のある顧客体験価値を提供することが何より重要だと考えています。そこで、強固な財務基盤や安定した取引システムの提供、お客様に寄り添ったサポート体制など、金融機関としてお客様からの信頼に応えること、堅実な企業活動を維持し、発展させていくことが、「投資そのもの、及び証券会社選びの安心感」につながると考え、松井証券の1つ目の提供価値であると定めています。加えて、投資自体が楽しくより身近で魅力的なものに、そしてお客様の人生における発見と成長につながる知的好奇心がわくような体験にしたいという思いから、投資についての多様な「アイデアの提供」を2つ目の提供価値としています。このような考えをコーポレートスローガン「投資をまじめに、おもしろく。」において示しています。そして、コーポレートスローガンを体現するため、お客様からの信頼に応える「安定した取引環境」の提供、投資を始めるハードルを下げ、より多くのお客様へ発見と成長の機会を届ける「様々な顧客ニーズを満たす豊富な商品」、「トライアルバリアの低い商品・サービス」、「シンプルでわかりやすいサービス」の提供、さらに一歩先を行くオンライン証券を目指して、お客様それぞれのニーズに沿ったきめ細やかな対応を実現する「パーソナライズされたサービス」の提供に努めて参ります。なお、松井証券は、経営資源をオンラインベースの事業に集中することで、効率的なオペレーション体制を維持して参りました。オンライン中心のコミュニケーションの広がりを背景に、オンラインベースの事業の優位性は一層高まるものと考え、オンラインベースのビジネスモデルに集中する方針を堅持して参ります。 (2) 経営環境日本国内における株式のオンライン取引サービスは、1998年に始まりました。それ以降、個人の株式等委託売買代金に占めるオンライン証券会社顧客の比率は年々上昇を続け、現在では9割を超えています。一方、個人の株式保有額に占めるオンライン証券会社顧客の割合は、未だ3割程度に留まっていますが、その比率は年々拡大しています。対面型の証券会社からオンライン証券会社への株式資産の流入は継続しており、今後も、オンライン証券会社を通じた個人株式等委託売買代金の拡大余地があるものと考えます。加えて、日本国内のインフレ定着を背景とした資産防衛を目的として、個人による株式、投資信託、不動産、金、外貨建て資産に対する投資への関心が高まっております。2024年に開始した新NISA制度を契機に、株式や投資信託への投資を新たに始める動きも広がっており、証券市場における個人投資家のすそ野はさらに拡大するものと見込まれます。この動きは、オンライン証券業界にとって追い風であると捉えております。オンライン証券業界においては、個人の株式等委託売買代金は松井証券を含む大手オンライン証券会社5社(松井証券、SBI証券、楽天証券、三菱UFJ eスマート証券、マネックス証券)によって占められているほか、各社シェアの順位にも大きな変動はなく、一定の均衡状態が続いていました。ところが、2023年にSBI証券、楽天証券の2社が株式売買委託手数料の無料化に踏みきったことにより、各社は、信用取引、FX(外国為替証拠金取引)、投資信託、ホールセール事業、資産運用業、暗号資産関連事業等への事業拡大に注力するなど、収益源の多様化を進めています。そのような中で、松井証券以外のオンライン証券会社は、いずれも1,000万人以上の顧客基盤を持つコングロマリットの傘下企業であり、グループ各社の顧客基盤と経営資源を相互に活用して事業の拡大、規模の拡大を目指していると推測されます。これは、顧客一人ひとりの資産規模や取引規模は小さいながらも、数多くの顧客にアプローチすることで収益をあげるという、ロングテールのビジネスモデルを目指すものと考えられます。一方で、松井証券は大手オンライン証券5社では唯一の独立系企業であり、投資を楽しみ、投資に能動的に取り組んでいるお客様をコアのターゲット顧客として事業を推進しております。コアのターゲット顧客を効率的に獲得すること、そしてそのようなお客様のニーズを充足する商品やサービスに注力することが、競合他社との差別化を図り、業界における独自のポジショニングを確立し、プレゼンスを高めていくための唯一の方法だと考えています。このように、一部競合他社の手数料無料化を契機に、収益構造の見直し、収益源の多様化が業界共通のテーマとして顕在化し、その結果として、オンライン証券会社各社のビジネスモデル、及び重点的に取り組む分野の違いも鮮明化してきたものと考えます。 (3) 経営目標松井証券は、企業目標を達成するために以下の経営目標を定めております。① 付加価値の高いサービスを提供し、価値に見合う適正な対価を得る。② 経営資源を有効活用し、利益及び株主価値の向上を目指す。③ 株主資本コスト(現状8%)を上回るROEを達成する。当事業年度のROEは19.6%となり、株式等委託売買代金の増加、預託金の収益分配金の増加、FX取引の拡大等を背景に、前事業年度の13.8%から上昇しました。引き続き、上記の目標値を達成しており、今後も中長期的な資本効率の向上に努めます。 (4) 中長期的な会社の経営戦略松井証券は、経営目標を達成するための経営戦略として以下5点を定め、その実現に向けて取り組んでおります。① 大手オンライン証券会社として認知される「強いブランドの構築」② オンライン証券会社として備えるべき金融商品・サービスの「ラインアップの充実」、独自性を意識した「特色のあるサービスの提供」③ 優位性のある顧客体験価値を提供し続ける「サービスクオリティの向上」④ 中長期的な成長機会の創出に向けた「新規事業の探索・事業の多角化」⑤ これらの事業・サービスの提供を支えるための基盤となる「多様性のある自律的な組織の実現」 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題以上に記載の経営の基本方針及び経営目標を踏まえて中長期的経営戦略を実行していく上で、松井証券が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。 (a)強いブランドの構築松井証券は、「金融機関としての信頼性」と「知的エンターテインメント性」を両立した事業展開を推進することが、強いブランドの構築に資するものと考えています。「金融機関としての信頼性」を向上する点については、お客様から安心して取引できる金融機関として認知されるため、強固な財務基盤や安定した取引システムの提供、金融機関としての信頼性の維持・向上に資するコンプライアンス体制の強化、お客様に寄り添ったサポート体制など、堅実な企業活動の維持・発展に努めております。なお、「金融機関としての信頼性」は、認知度によって確立される面があり、長期的な顧客基盤の維持・拡大のために、継続的に認知度の強化に取り組んで参ります。当事業年度においては、俳優の広瀬アリスさんを起用した新CMを全国で放映したほか、プロeスポーツチーム「FENNEL」とスポンサー契約を締結するなど、認知度向上に向けた取組を強化しました。また、松井証券のYouTube公式チャンネルの登録者数は79万人を突破し、総再生回数は1.8億回を超え、金融機関が運営するメディアでNo.1のブランドを確立し、認知度向上にも大いに貢献しております。一方の「知的エンターテインメント性」を推進する点については、商品・サービスの開発、マーケティング活動、投資情報の提供、コールセンターにおけるサポートなどを通じて取り組んで参ります。当事業年度においては、引き続き投資の「おもしろさ」を伝える動画コンテンツを多数公開しております。人気の「資産運用!学べるラブリー」においてはシリーズ初のLIVE配信を実施したほか、様々な分野の有識者同士の対話を通じて投資のヒントを提供する「MATSUI DIALOG」など、継続して新たなコンテンツを提供しました。また、投資情報メディア「マネーサテライト」をリニューアルし、従来の動画によるマーケット情報の解説に加え、テキスト形式による解説記事の配信を開始するなど、投資家のニーズに合わせた情報発信の拡充を行い、顧客にとって発見や成長につながる多様なアイデアの提供に努めました。これらの動画をきっかけに、松井証券を知り、投資に興味を持つ方が増えており、強いブランドの構築に寄与しています。その他、個人投資家に人気のあるIPO銘柄においては、ベンチャーキャピタルとの連携を強化して引受件数の向上に努めた結果、引受参入率は69%となり、IPO銘柄の取扱数において、業界2位となりました。 (b)ラインアップの充実、特色のあるサービスの提供お客様に選ばれるオンライン証券会社になるためには、年齢・志向・資産状況などが異なる個人投資家の多様なニーズに応える金融商品・サービスを提供していくことが欠かせません。松井証券の新規口座開設者の4割以上が30代以下の投資初心者層であることを考えると、金融商品・サービスの多様化によって投資への入り口をより広げるとともに、標準的な金融商品・サービスを取り揃え、お客様が証券会社を検討する際の「非選択理由」をなくす必要があります。当事業年度においては、株式会社ジェーシービーとの協業による「クレジットカードによる投資信託積立サービス」を開始しました。また、証券取引を快適にする銀行サービス「MATSUI Bank」について、近年の金利上昇を背景に、お客様の待機資金により高い収益機会を提供すべく、「証券残高連動 円普通預金ランク別金利プログラム」を導入し、最高で年0.65%という業界最高水準の金利を実現しました。FXビジネスでは、自動売買に適した「ノルウェー/スウェーデン」を含む10通貨ペアの取扱を開始することで合計32通貨ペアの取引が可能となり、取引の選択肢を拡充しました。 (c)サービスクオリティの向上オンライン証券各社が提供する金融商品には大きな差がないため、サービス水準を充実させることや利便性の高い取引・情報ツールを継続的に提供していくことなど、優位性のある顧客体験価値を提供することによって、お客様にとって価値の高い証券会社と認識していただけるものと考えております。また、オンライン証券という業態ではあるものの、お客様からの問い合わせや相談事について、ヒューマンタッチなコミュニケーションの機会を提供することも、顧客体験価値の向上につながると考えています。当事業年度においては、株式ビジネスにおいて、投資をアクティブに行うお客様から好評をいただいている「東証売買内訳データ」をもとにした分析機能をアプリだけでなくPCでも利用可能とし、利便性の向上を図りました。FXビジネスでは、コアタイム制導入による米ドル円のスプレッド縮小や人気通貨のスプレッド縮小など、取引条件の改善に加え、アプリの継続的な機能改善に取り組みました。米国株ビジネスでは、プレマーケット取引への対応と投資情報ツール「マーケットラボ米国株」の提供を開始し、より快適な取引環境を実現しました。顧客サポートにおいては、コールセンターのキャパシティ拡大を通じて、いつでも電話が繋がる受電体制の構築に努めました。セキュリティ強化を目的とした多要素認証の必須化により、一時的に応答率が低下した際には、速やかなオペレータの増員や、休日受付・受付時間拡大により、高水準の顧客対応品質を確保しました。また、「株の取引相談窓口」では、お客様一人ひとりのご希望や投資スタイルに寄り添い、銘柄探しや取引タイミング等の意思決定をサポートし、快適にお取引いただけるサービスを提供しました。その結果、第三者評価機関であるHDI-Japan(ヘルプデスク協会)が主催する「2025年度問合せ窓口格付け(証券業界)」において、最高評価の「三つ星」を15年連続で獲得しているほか、J.D. パワー ジャパンが実施する「J.D. パワー 2025年カスタマーセンターサポート満足度調査SM<金融業界編>」において、ネット証券部門にて2年連続1位を受賞しています。 (d)新規事業領域の探索・事業の多角化中長期的な企業価値向上には、新たな成長領域の探索が不可欠であると認識しています。オンラインベースのビジネスを中核としつつも、お客様起点でのニーズや課題に対応できる最適な金融サービスの提供を目指し、新規事業領域の探索・事業の多角化に取り組んでいます。当事業年度においては、株式会社エージェントIGホールディングスとの資本業務提携契約を締結しました。保険領域において、同社グループが有する専門性の高いファイナンシャル・プランニング・サービスと連携し、お客様のライフプランに基づいた最適な保険商品を提案することで、様々な金融ニーズへの対応を可能としました。 (e)セキュリティの強化セキュリティの確保は、オンライン証券会社の生命線です。お客様が安心して取引することができるよう、口座への不正アクセスやサイバー攻撃といった想定されるリスクへの対策に努めます。当事業年度においては、金融庁のサイバーセキュリティセルフアセスメントへの対応や、サイバーセキュリティガイドラインに準拠するための対応を進めることで、さらなる社内体制の強化を図る上での課題を認識し、改善に取り組みました。また、様々なサイバーセキュリティ演習に参加し、結果を踏まえた社内管理体制やコンティンジェンシープランなどの見直しに取り組みました。お客様向けのサービスでは、不正アクセスの拡大を防ぐことを目的に、ログイン時の多要素認証をすべてのお客様に必須化いたしました。加えて、すべての取引チャネルにおいて、ログイン時の「パスキー」(FIDO2[ファイド2]準拠)を導入し、さらなるセキュリティの強化を図りました。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、特に断りがない限り、当事業年度末(2026年3月31日)現在において松井証券が判断したものであります。 (1) 日本株ブローキング事業への依存度が高いことについて松井証券は、経営資源をオンラインベースの証券取引サービスに集中する戦略をとっており、個人投資家向けの日本株ブローキング事業が当事業年度の純営業収益全体の約7割を占めています。日本株ブローキング事業における主要な収益源は、株式等委託手数料収入及び信用取引顧客への資金や有価証券の貸付け等から得られる金利及び貸株料収入等です。今後、株式市況の低迷等により個人投資家の株式等委託売買代金や信用取引残高が減少する場合や、競争環境の変化によって、松井証券の株式等委託売買代金及び信用取引残高が減少する場合、あるいは、競争上、手数料や金利・貸株料水準を引き下げることになった場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、松井証券は、日本株ブローキング事業を強化すると共に、FX事業・米国株事業・投資信託事業をはじめとするオンラインベースでの商品・サービスの強化に加え、新規事業の探索や事業の多角化を通じた収益源の多様化を積極的に進める方針ですが、対象分野における市場動向や他社との競争環境の変化により、必ずしも見込み通りに業容の拡大が進む保証はありません。 (2) 他の金融機関との競争について松井証券は、個人投資家向けの日本株ブローキング事業を主たる事業としておりますが、同事業を行う競合他社には、松井証券に比べ、資金力、技術力、マーケティング力、サービス面、知名度、顧客基盤等において強みを持つ者が存在し、厳しい競争に晒されています。中でも、顧客獲得のため、無料もしくは、より低価格の委託手数料を提示するオンライン証券会社が多数存在しております。その他、近年は、大規模な顧客基盤を有するプラットフォーマーが金融事業に参入、または強化する動きも見られ、競争環境はこれまで以上に厳しくなることも想定されます。今後、他の金融機関との競争がさらに激化した場合には、松井証券の既存顧客の他社への流出、新規顧客獲得数の減少、顧客獲得に要する広告宣伝費の増加により、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 信用取引等に関するリスクについて①信用取引が自己資本規制比率に及ぼす影響について金融商品取引業者には、金融商品取引法、金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める金融庁告示(以下「金融庁告示」といいます。)に基づき、一定の自己資本規制比率の維持が求められています。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本額の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得るリスク相当額に対する比率をいいます(金融商品取引法第46条の6)。金融商品取引業者は自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければなりませんが(同法同条第2項)、松井証券の自己資本規制比率は、2026年3月末現在、十分な水準を維持しております。金融庁告示により信用取引資産の2%が取引先リスク相当額とされており、信用取引残高の増大は、松井証券の取引先リスクを増大させることから、自己資本規制比率を引き下げる要因となります。今後、松井証券の信用取引残高が増加し続けた場合、自己資本規制比率を維持するためには、自己資本等の調達が必要となります。その際、松井証券が十分な自己資本等の調達が行えなかった場合、松井証券は顧客への信用供与を制限せざるを得なくなります。その場合には、松井証券の株式等委託手数料収入・金利収入において機会損失が発生する可能性があります。また、規制内容が改正され、取引先リスク等の算定方法が変更された場合、自己資本規制比率を引き下げる要因となり得ます。 ②顧客の信用リスクについて松井証券が収益の柱としている信用取引においては、顧客への信用供与が発生するため、市況の変動によっては顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。すなわち、顧客が信用取引等で損失を被った場合、または担保となっている代用有価証券の価値が下落した場合、顧客が預託する担保価値が十分なものでなくなり、顧客の損失を十分に回収できない可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、株価指数先物取引、日経平均株価指数オプション取引(売建)及びFX(外国為替証拠金取引)においても、類似のリスクがあります。 ③資金調達に係るリスクについて松井証券は、信用取引貸付金の原資として、制度信用取引については、自己調達資金に加え証券金融会社からの借入を利用しておりますが、市況の変動により、証券金融会社に差入れた有価証券等の担保価値が低下した場合、追加の担保の差入れを求められることがあり、そのための借入等は松井証券が独自に行う必要があります。また、一般信用取引については、通常制度信用取引に比して証券金融会社からの資金の借入に制約があるため、現在は主に金融機関からの借入等により賄っておりますが、金融市場の動向、松井証券の経営状況あるいは松井証券の格付けの低下等によっては、適切な資金調達が行えない可能性があります。今後、調達費用の水準によっては松井証券の金融収支が悪化する可能性、あるいは必要資金の手当てができない場合、一般信用取引の利用を制限する可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、手数料収入・金利収入において機会損失が発生する可能性があります。 また、金融機関からの借入金の返済等に際して、金融市場の動向、松井証券の経営状況あるいは松井証券の格付けの低下等によっては、借り換えあるいは新規の借入や社債の発行等による資金調達が適切な条件で行えない可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) システムリスク及び事務リスクについて顧客の取引に関する情報を、瞬時かつ大量に処理するオンライン証券取引業務にあっては、システムの安定稼動は重要な要素であり、システムに何らかの障害またはサイバー攻撃による被害が発生し、機能不全に陥った場合には、松井証券の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。システム障害は、ハードウエア、ソフトウエアの不具合及び誤操作・誤処理等の人為的ミスによるもののほか、アクセス数の突発的な増加、通信回線の障害、コンピュータウイルス、コンピュータ犯罪、災害等によっても生じ得るものであります。松井証券が利用しているシステムは、アクセス数の増加を見込んだ上で設計されているほか、システムの二重化等想定される様々なリスクへの対策を講じておりますが、想定を大幅に上回る注文が集中した場合や、その他の要因によりシステムに被害または停止等の影響が生じる場合には、顧客からの注文を適切に処理することができなくなる可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。松井証券は、サイバー攻撃に対するシステムの防御に努めておりますが、それが十分または適切でなく、サイバー攻撃による被害が発生する場合には、システムの機能不全や顧客情報の漏洩等が発生する可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、松井証券は、外部委託先を含む関係者のシステムへの接続について、それぞれの業務に応じて権限を付与するとともに、利用状況をモニタリングしておりますが、それが十分または適切でなく、システムの不正利用等を防げなかった場合には、顧客情報の漏洩等が発生する可能性があります。なお、各種業務において事務処理が適切に行われないことにより、サービスの品質低下やその他の問題が発生する可能性がありますが、その場合においても、システムの機能不全が直接または間接的に影響する場合があります。システム障害やサイバー攻撃、あるいはシステムの不正利用等が発生した場合や、不適切な事務処理が行われた場合には、松井証券が、監督官庁による処分を受ける可能性または損害賠償請求を含む何らかの責任を問われる可能性があるほか、松井証券のシステム及びサポート体制に対する信頼が低下し、顧客離れが生じる可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 顧客口座に対する不正アクセス及び不正取引のリスクについて松井証券は、顧客口座に対する不正アクセスや不正取引の予防及び検知のためのセキュリティ対策の実施に努めておりますが、顧客口座へのログインや取引の実行に必要な認証情報の顧客からの不正取得等(いわゆるフィッシング詐欺やマルウェア被害を含みますが、必ずしもそれに限られません。)により、悪意がある第三者が顧客口座に対する不正アクセス及び不正取引を行う場合、松井証券システムのセキュリティに対する信用が低下し、顧客離れが生じる可能性があるほか、不正取引等に伴う顧客の損害に対する一定の補償を行う必要が生じる可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) 引受業務について松井証券は、新規公開株式等の引受業務を行っておりますが、有価証券の引受けを行う際、松井証券に引受責任が生じるため、引受リスクが発生します。松井証券は、公募・売出残株が生じないよう慎重に引受金額等の決定を行っておりますが、松井証券が引き受けた有価証券を販売することができない場合、公募・売出残株の株価動向によっては、松井証券は損失を被る可能性があります。また、引受業務を行った企業に何らかの不祥事が発生した場合、松井証券に対する信頼が低下し、顧客離れが生じる可能性があるほか、顧客より損害賠償請求等の責任を問われる可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 個人情報等の取扱いについて顧客の個人情報及び個人番号の不正取得や改変等の被害を防止することは、松井証券が事業を行う上で重要であります。松井証券は個人情報等が不正に使用されないよう十分なセキュリティ対策や、社内の管理及び業務委託先に対する監督を行っておりますが、今後、個人情報等の漏洩等があった場合、損害賠償の請求や、監督官庁による処分を受ける可能性があるほか、松井証券の信用が著しく低下する可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、他の証券会社や電子商取引を行う企業のセキュリティや情報管理に対する信頼の低下が、インターネット、さらには、松井証券のシステムの信頼性の低下につながる可能性もあります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 外部事業者との契約について松井証券は、様々な業務に関して、多くの外部事業者と契約を結んだ上で業務を委託しております。特に、松井証券の株式取引システムの開発・運用を委託しているSCSK株式会社は、松井証券の重要な業務委託先であります。また、顧客に提供している自動更新型のトレーディングツール、顧客取引用ウェブサイト、FX(外国為替証拠金取引)・投資信託・米国株の取引システムについて、それぞれの開発・運用を複数の外部事業者に委託しております。松井証券が顧客へ提供する企業情報・市況情報は、外部事業者から提供を受けております。また、札幌センターにおける顧客問合せ対応業務についても、外部事業者から労働者派遣を受けて運営しております。なお、外部事業者への業務委託等は以上に限らず多岐にわたっております。これらの外部事業者が、何らかの理由で松井証券へのサービスの提供を中断または停止する事態が生じ、松井証券が速やかに代替策を講じることができない場合、松井証券の業務に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、SCSK株式会社との契約関係が維持できなくなった場合、または、同社のソフトウエア開発能力の低下等により、松井証券のシステムに問題が生じまたはそれが陳腐化し、顧客の信用を維持することができなくなった場合、松井証券あるいは第三者が新たに代替システムを構築する必要性が生じます。その際、速やかに適切な代替手段を講じることができない場合、松井証券は顧客へのサービスの提供を停止する可能性があり、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外部事業者との契約の改定等により、外部事業者に支払う費用の増額を求められる可能性があり、その場合には同様に、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外部事業者において法令・規則等に対する違反等があった場合、委託元である松井証券が監督官庁による処分を受ける可能性があるほか、松井証券の信用が著しく低下する可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) FX(外国為替証拠金取引)及び米国株取引について松井証券は、顧客に対するFX(外国為替証拠金取引)サービスの提供とそれに伴う利益獲得を目的として、顧客との間で外国為替証拠金取引を行う一方、その為替変動リスクを制御するために、カウンターパーティーと外国為替証拠金取引を行っております。顧客との取引で発生したポジションにつき、カバー取引を行わない範囲については、ポジションを保有するリスクが発生するため、為替変動リスクに晒されておりますが、原則として、各営業日の取引終了時点における顧客のポジションについては、すべてカバーすることとしています。松井証券は、外国為替証拠金取引に係るトレーディングに関して、リスク限度額を社内規程で定めるほか、社内規程等に基づき、原則として事前に設定されたアルゴリズムに基づくカバー取引・マリー取引を行うことで為替変動リスクの制御に努めております。しかしながら、こうした松井証券の方針にも関わらず、予期せぬ為替相場の変動により、アルゴリズムにおける想定を超える為替損失が発生した場合、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、カバー先に差し入れている保証金は松井証券の自己資金で充当しているため、松井証券はカバー先の信用リスクを負っております(顧客の証拠金は、自己の資金とは完全に区分して、信託銀行に預託しています)。今後の経済情勢等の変化により、カバー先の信用リスクが顕在化した場合には松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、米国株取引においても取次先に保証金を差し入れており、その保証金は松井証券の自己資金で充当しているため、松井証券は取次先の信用リスクを負っております(顧客からの預り金等は、自己の資金と完全に区分して、信託銀行に預託しています)。このため、上記の外国為替証拠金取引に関してカバー先へ差し入れている保証金と同様のリスクがあります。なお、米国株取引においても信用取引を提供しております。信用取引のリスクは、「(3) 信用取引等に関するリスクについて」における信用取引及び一般信用取引のリスクの記載をご参照ください。 (10) 法令・規則等の改定による新たな規制の導入について金融商品取引法、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、銀行法、その他の法令・規則等の改定等により、松井証券が行っている業務に対し、新たな規制が導入された場合には、関係業務の収益性が低下する可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 法令・規則等の遵守について松井証券は、金融商品取引法、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、銀行法、その他の法令・規則等に服しており、コンプライアンス体制の強化に努めておりますが、今後、法令・規則等に対する違反等があった場合、監督官庁による処分を受ける可能性があるほか、松井証券の信用が著しく低下する可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、松井証券は、法令・規則等を遵守するよう、役職員等に対するコンプライアンスの徹底を図っておりますが、その対策が有効に機能せず、役職員等による不正や内部者取引等の金融商品取引法その他の法令・規則等に対する違反等があった場合、松井証券の信用の低下につながる可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 自然災害等について松井証券は、自然災害、火災、感染症の流行等によって通常の事業運営が困難となった場合に備え、事業継続計画を策定し、関連マニュアルの整備、定期的な訓練等を実施しておりますが、地震等の自然災害、火災、長期間の停電、感染症の流行、国際紛争、テロ攻撃等が発生した場合、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、松井証券は本社オフィス等の主要な事業所や設備を首都圏に置いていることから、首都圏において自然災害等が発生した場合には、サービスの提供を停止する等の影響が生じる可能性があります。その場合には、松井証券の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) その他当事業年度末現在において、重要な訴訟等は発生しておりません。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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