東京地下鉄(9023)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】東京地下鉄グループは、東京地下鉄及び東京地下鉄の関係会社(うち連結子会社14社、非連結子会社2社、持分法適用関連会社4社))で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次のとおりです。なお、各区分は、セグメント情報の報告セグメントと同一です。また、当連結会計年度から、組織改正及び一部業務移管を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。これに併せて、流通事業はライフサービス事業に、広告事業はアドバタイジングサービス事業に、情報通信事業はコミュニケーションサービス事業に名称変更しています。 (1) 運輸業東京都区部を中心に、9路線からなる地下鉄ネットワークを保有し、鉄道の運行及び運営並びに鉄道施設等の保守管理を行っています。 事業の内容主な会社名鉄道事業東京地下鉄鉄道駅の清掃及び運営管理㈱メトロセルビス(鉄道駅の清掃等)、㈱メトロコマース(鉄道駅の運営管理)鉄道施設等の整備及び保守管理㈱メトロステーションファシリティーズ(駅設備関係)、メトロ車両㈱(車両関係)、㈱メトロレールファシリティーズ(土木構築物・建築物関係)、メトロ開発㈱(土木構築物関係)、東京メトロ電気メインテナンス㈱(電気設備関係)海外都市鉄道運営・維持の支援ベトナム東京メトロ(VIETNAM TOKYO METRO ONE MEMBER LIMITED LIABILITYCOMPANY) (2) 不動産事業鉄道事業とのシナジー効果が発揮できる事業展開を基本とし、東京地下鉄路線の沿線において、渋谷マークシティ、渋谷ヒカリエ、東急プラザ原宿「ハラカド」など、オフィスビルやホテルを中心とした不動産の賃貸を行っています。 事業の内容主な会社名不動産の開発東京地下鉄不動産の賃貸東京地下鉄、東京メトロ都市開発㈱不動産の管理東京メトロ都市開発㈱投資法人の資産運用東京メトロアセットマネジメント㈱ (3) ライフ・ビジネスサービス事業東京地下鉄資産などを活用し、東京地下鉄路線の駅においてEchikaなどの商業施設の運営を行うライフサービス事業や、主として駅構内や車両内の広告を取り扱うアドバタイジングサービス事業、携帯電話通信サービスの営業許諾などを行うコミュニケーションサービス事業等を行っています。 事業の内容主な会社名商業施設の開発東京地下鉄商業施設の運営㈱メトロコマース(駅構内売店等の運営)、メトロ開発㈱(高架下商業施設の運営)、㈱メトロプロパティーズ(Echika等駅構内及び駅周辺における商業施設及び飲食店舗の運営)アドバタイジングサービス事業㈱メトロアドエージェンシーコミュニケーションサービス事業東京地下鉄 (4) その他「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、東京地下鉄施設の管理運営事業等を含んでいます。 事業の内容主な会社名福利厚生施設の運営㈱メトロライフサポート人事・経理・システムサービスに関する事務㈱メトロビジネスアソシエ施設の清掃㈱メトロフルール 以上の企業集団の状況について、事業系統図を示すと次のとおりです。 (注) 1 上図は、東京地下鉄及び子会社15社の概要図です。 2 ※は非連結子会社です。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、東京地下鉄グループが判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針東京地下鉄グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念(ミッション)である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。 <東京メトログループ理念> 東京を走らせる力 私たち東京メトログループは、 鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、 都市としての魅力と活力を引き出すとともに、 優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、 東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 東京地下鉄の基幹事業である鉄道事業においては、通勤・通学需要、東京都心部の開発進展やインバウンド旅行者の増加を背景に、旅客運輸収入は好調に推移しています。一方で、労務費・資材価格の高騰により、修繕費・外注費を中心としたコストは中期経営計画策定時の想定を大きく上回っており、加えて労働人口減少、鉄道における安全・安定性の維持に対する社会的関心の高まり等、東京地下鉄を取り巻く経営環境は大きく変化しています。さらに、足許では中東情勢の悪化等を背景としたエネルギー価格の上昇や資材調達環境の不安定化、金融資本市場の変動に伴う物価上昇圧力が強まっており、今後の事業運営への影響が懸念されます。このような状況を踏まえ、東京地下鉄の信頼の根幹である安全・安定輸送の確保を前提に、鉄道設備の修繕・更新を適正なタイミングで実施すべく、必要な修繕費を計画的に確保するとともに、インフレを見据えたコスト構造の見直しに取り組んでいきます。また、人的資本経営の更なる推進による人財確保及びエンゲージメント向上に努めるとともに、労働人口減少への対応として、新技術の開発・導入を推進していきます。これらの取組により、鉄道事業の持続性を強化していきます。さらに、お客様の利便性向上に資する設備投資を通じて中長期的な成長を実現する基盤を構築するため、経営努力を前提とした、加算運賃等各運賃改定制度の適用可能性や、制度を適用する場合に対象とする事業等について検討を進めていきます。不動産事業においては、リノベーション等により物件の価値向上を図るとともに、東京メトロプライベートリート投資法人等へ物件売却することで、資産効率性の高いフロー型ビジネスも強化していきます。ライフ・ビジネスサービス事業においては、様々な事業パートナーとの連携を強化することで、新規ビジネス開発の推進等により、中長期的な成長の実現を目指していきます。加えて、新たな成長ドライバーの創出に向け、出資・M&Aを実施すべく、2026年度より専任組織を新設するとともに、新たに投資枠を設定することにより、成長投資を強化していきます。そのほか、各種事業戦略及びコーポレート戦略に基づく具体的な施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。 (東京地下鉄グループ中期経営計画「Run!〜次代を翔けろ〜」に基づく取組について)(1)運輸業① 鉄道事業の安全性・利便性向上トンネル中柱の補強工事や脱線検知装置の搭載、駅出入口の浸水対策等の推進により、激甚化する自然災害への備えを進めるとともに、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化を進めていきます。また、構内のバリアフリー化の一環として、エレベーターによる1ルート・複数ルート・乗換ルートの整備を進めていきます。② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進鉄道ネットワークの強化を通じた臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線・まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化への貢献及び新規鉄道需要の開拓を目的として、十分な公的支援を前提に、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の工事等を推進していきます。③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化 日比谷線及び半蔵門線において、高い遅延回復効果を得ることができるCBTCシステムの導入に向けた取組を推進していきます(日比谷線は2026年度導入予定)。また、労働人口の減少を踏まえ、安全性の確保を前提に、必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等により、輸送システムの変革を目指していきます。また、故障予知や劣化予測を行う状態基準保全(CBM)の推進と鉄道運営ノウハウの外販により、事業運営能力の向上・事業領域拡大を図っていきます。④ 鉄道需要創出の促進メトポを中心に東京地下鉄グループの保有する各種データを効果的に活用することでマーケティング機能を強化し、お客様一人ひとりのニーズを的確に捉えた情報・サービスを提供していきます。また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2026年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスと東京地下鉄を含む関東の鉄道事業者11社局での同サービスの相互利用の浸透を図っていきます。⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。鉄道の運行管理、メンテナンス又はその両方を受託するO&M事業について、2025年5月から開始した英国のElizabeth line(エリザベス・ライン) の運営事業を着実に実施し、同路線のオペレーションとサービスの質の一層の向上に取り組んでいきます。また、更なる事業拡大に向けて、案件の選定や協業パートナーとの連携を深度化し、更なる事業拡大を目指していきます。 (2)不動産事業① 不動産開発、まちづくりとの連携強化東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、有楽町線延伸部をはじめとした東京地下鉄沿線において、子育て世代やシニア世代に選ばれるまちづくりに貢献することで、人々の快適な生活環境の形成に寄与するとともに、沿線価値の向上を目指していきます。② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上これまでの不動産事業は、不動産賃貸業を主軸とするストック型事業モデルでありましたが、今後は東京メトロプライベートリート投資法人等への物件売却を通じ、資産効率性の高いフロー型事業モデルも強化していきます。また、事業パートナーとの連携強化を図るとともに、ホテル経営・運営事業への参画の具体化を進めていきます。③ 新たな領域への挑戦都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに東京地下鉄が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画に向けて準備を進めていきます。 (3)ライフ・ビジネスサービス事業① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。② 既存アセットの有効活用改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、東京地下鉄グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。③ 新たな分野への挑戦事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを東京地下鉄グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスの更なる展開等により、事業の拡大を加速させていきます。 (4)その他(新たな取組)①コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動の強化2025年3月から開始したCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を通じ、東京地下鉄グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。②事業領域拡大に向けた投資戦略の推進持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、専任組織として「出資・事業投資担当」を新設し、新たに投資枠を設定することにより、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。 (5)サステナビリティ(ESG)の取組① 環境への取組鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、東京地下鉄グループ全事業が排出するCO₂量について、「2030年度目標△53%(2013年度比)」、「2050年度実質ゼロ」を目指しています。また、国の削減目標に基づき「2035年度△60%」、「2040年度△73%」の目標値を新たに設定することで、更なる推進を図っていきます。② 社会とのつながり強化各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。③ ガバナンス体制の充実社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。なお、東京地下鉄社員に対する不適切な言動による取締役の辞任を踏まえた再発防止策として、役員登用時の資質チェックを導入するとともに、役員向けコンプライアンス研修を拡充し継続的に実施していきます。 (6)人財戦略人的資本経営の更なる推進・人事施策人的資本経営を推進するにあたり、「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財確保及び社員一人ひとりの最大活躍を実現することにより、経営戦略の実現を図っていきます。奨学金の返済支援や社外副業制度の導入により、多様な働き方・キャリア支援制度等、各種人事施策を拡充していきます。また、老朽化に伴う職場環境の改善を図るため、2026年夏に本社オフィスを一時移転し、業務内容やプロジェクトに応じて働く場所を選べるABW(Activity Based Working)を実現し、社員エンゲージメント向上を図っていきます。 (7) デジタル戦略データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組んでいきます。また、デジタルリテラシーの底上げを図るため、全社員を対象とした「デジタル利活用人財」の育成強化に取り組んでいきます。 東京地下鉄グループは、ビジョン(実現したい未来)として掲げた「次の『あたりまえ』と『ワクワク』を」の実現に向け、今後とも様々な施策を通じて持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。 (3) 目標とする経営指標 東京地下鉄グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は東京地下鉄グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。 経営指標2028年3月期末目標連結ROE(注1)7.7%連結営業利益930億円連結EBITDA(注2)1,740億円連結純有利子負債/EBITDA倍率(注3、4)6.3倍(新線除く 5.2倍) (注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。 2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。 3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。 4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。 「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。回次第21期第22期決算年月2025年3月2026年3月営業収益(注)2(百万円)407,832422,414 運輸業(百万円)372,500386,618 不動産事業(百万円)14,66314,694 ライフ・ビジネスサービス事業(百万円)25,75726,388 その他(百万円)3,7433,994 調整額(百万円)△8,832△9,281営業利益(注)2(百万円)86,94289,588 運輸業(百万円)74,21776,189 (営業利益率)(%)(20)(20) 不動産事業(百万円)4,2004,399 (営業利益率)(%)(29)(30) ライフ・ビジネスサービス事業(百万円)8,2598,527 (営業利益率)(%)(32)(32) その他(百万円)152349 (営業利益率)(%)(4)(9) 調整額(百万円)112120EBITDA(注)3(百万円)159,042163,509 運輸業(注)4(百万円)142,627146,265 不動産事業(注)4(百万円)6,6926,901 ライフ・ビジネスサービス事業(注)4(百万円)9,4859,892 その他(注)4(百万円)168358有利子負債残高(百万円)1,086,8121,071,499現金及び現金同等物(注)5(百万円)73,76268,280純有利子負債(注)6(百万円)1,013,0491,003,219連結ROE(注)7(%)7.88.1純有利子負債/EBITDA倍率(注)8(倍)6.46.1 (注) 1 第22期の期首より、一部業務移管及び組織変更を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。なお、第21期のセグメント毎の営業収益、営業利益及びEBITDAは、変更後のセグメント区分により作成したものを記載しています。2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。3 営業利益+減価償却費により算出したものです。4 セグメント毎の営業利益+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益の調整額は含めていません。5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。7 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】東京地下鉄グループでは、東京地下鉄グループを取り巻くリスクについてリスク評価を実施し、その重要度に応じて、各リスクの軽減に取り組んでいます。具体的には、東京地下鉄グループ全社を対象に実施したアンケート・ヒアリング結果等を基に、東京地下鉄グループにとっての影響度及び発生可能性を踏まえて、当該リスク自体の重要度(固有リスク)と、それぞれのリスクに対する対策(統制)の導入・実施後も残存するリスク(残存リスク)について専門家の知見を得ながら分析・評価し、重要度の高いリスクを特定しています。その結果を踏まえて年度計画を策定の上、それに基づき東京地下鉄グループ全体でリスクマネジメントに取り組んでおり、取組の進捗状況についてコンプライアンス・リスクマネジメント委員会で定期的に確認するとともに、経営会議・取締役会に報告することによりリスクマネジメントの実効性を確保しています。また、上記のリスク評価の結果において重要性が認められたものを中心に選定した結果、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が東京地下鉄グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクとしては、次のようなものがあります。 それぞれのリスクの具体的な内容及びリスクに対する対策は次のとおりです。なお、東京地下鉄グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や蓋然性、リスクの性質等に応じて、分類しています。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において東京地下鉄が判断したものです。また、以下のリスクは東京地下鉄グループの全てのリスクを網羅したものではなく、予想される主なリスクを例示したものです。 (1) 東京地下鉄グループの経営環境に関連するリスク① 人口動向等について東京地下鉄グループは、東京都区部及びその周辺地域で鉄道事業を中心に事業を展開しています。我が国における経済的中心地である東京都区部に強固な基盤を有することは、高い営業収益力を保つ上で東京地下鉄グループの強みの一つであり、この営業基盤の特性を最大限活用していきます。しかしながら、首都圏の人口動向については、中長期的には減少傾向となることが予想されています。また、首都圏における就業・就学人口の減少、高齢化の進展等による人口構造の変化や、テレワークやウェブ会議の進展・定着とこれに伴う通勤・移動需要の減少等の社会構造の変化が進んだ場合、さらには今後、首都圏における経済情勢の大きな変化、大企業の本社機能又は政府機関の東京都区部からの移転等が生じた場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループとしては「Tokyo Subway Ticket」「Tokyo City Pass」等の企画乗車券の発売やメトポを活用した施策、クレジットカードのタッチ決済及びQRコードを活用した乗車サービス等を中心としたマーケティングを推進するとともに、不動産・ライフ・ビジネスサービスといった都市・生活創造事業を強化し、事業の多角化を図ることで需要変動の平準化を図り、沿線地域との連携によって沿線価値を高めていきます。さらに、持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。 ② 電力料金、原材料価格及び労務費の高騰について東京地下鉄グループは、列車の運行等に際し多大な電力を消費するほか、継続的な設備投資やトンネルをはじめとした鉄道設備の維持補修等を行っていることから、国内外の情勢の変化、労働需給のひっ迫等により電力料金、原材料価格及び労務費が高騰し、それが長期にわたって継続する場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、東京地下鉄グループとしてはグループ全体で将来を見据えたコスト削減に努めており、環境配慮型車両の導入等による省エネ、調達チャネルの多様化、市況変化への対応等を行っています。 (2) 自然災害、感染症、気候変動等に関連するリスク① 自然災害・事故等について地震・洪水・台風等の自然災害、大規模停電又は電力の使用制限、国際情勢の変化に伴うサプライチェーンの混乱、エネルギー供給、保守部品等のリソース供給不足や重大な犯罪行為やテロリストによる攻撃等により、東京地下鉄の路線の運行に支障を来す事態、東京地下鉄の路線において重大な事故等が発生した場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、東京地下鉄グループは、安全の確保を常に念頭に置き、技術面からの更なる安全性向上に向けた取組を実施するとともに、安全管理規程に基づく安全マネジメント体制の運用等制度面からの取組も推進し、安全の確保を目指しています。首都直下地震や大規模浸水等に備えた鉄道事業における自然災害対策として、施設の耐震性の強化、帰宅困難者対策、洪水等による浸水対策等の諸課題への取組を強化するとともに、危機管理機能の強化を推進しています。加えて、サプライチェーンの混乱への備えとして、鉄道事業運営への影響を最小限に収めるため、在庫管理を徹底し、必要な物品等の確保に努めています。また、事故等の対策として、異常時対応能力を向上させるため、異常時総合想定訓練等の全社的な訓練を実施しています。 ② 感染症について新型インフルエンザ等の感染症が東京地下鉄沿線地域において大規模に流行し、外出自粛等により通勤・通学・業務・私事利用を問わず鉄道利用者が大幅に減少した場合、世界的な流行に伴い訪日外国人が大幅に減少した場合や、列車運行等の事業運営に支障を来す場合等には、東京地下鉄グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループでは、当該リスクへの対応策として、新型インフルエンザ等対策計画や事業継続計画(BCP)に基づき、必要な対策用品の備蓄をはじめとする感染対策を行うことで、お客様や役職員の安全確保を図るとともに、適切な輸送を確保するため必要な措置を講じていきます。 ③ 気候変動について近年、気候変動は大きな社会経済リスク及び機会をもたらす要因の一つであり、世界中の政府や企業において脱炭素化の動きが広がっています。鉄道事業を中心に事業展開する東京地下鉄グループは、自然災害による事業リスクに加え、電力を大量消費する事業特性を有することから、今後、政策・法規制の見直しやエネルギーミックスの変化による電力料金の上昇や、豪雨の激甚化による鉄道施設の損傷・沿線地域の被災等が生じた場合や、ステークホルダーの皆様から気候変動に関する情報開示が不十分であると判断され、東京地下鉄グループの社会的信用の低下等が生じた場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このような状況を踏まえ、東京地下鉄グループはサステナビリティ経営戦略を推進することを目的に、取締役会の決議により選任されたサステナビリティ責任者を委員長、執行役員及び各部の長をメンバー、社長を議長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に沿って気候変動問題に関する取組を進めています。また、東京地下鉄グループはTCFD提言に賛同しており、主要事業である鉄道事業への気候関連リスク/機会を特定し、段階的に開示を進めています。加えて、長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、東京地下鉄グループ全事業で排出するCO₂量について、「2030年度 △53%(2013年度比)」、「2050年度 実質ゼロ」の達成を目指し、バーチャルPPAをはじめとした再生可能エネルギーの活用やエネルギー効率に優れた車両の導入等の省エネ施策に取り組んでいます。また、国の削減目標(NDC)に基づき「2035年度 △60%」、「2040年度 △73%」の目標値を新設し、さらなる推進を図っています。 ④ 人権について日本国内における労働力人口減少や働き方改革等といった雇用環境等の変化が生じる中で、東京地下鉄グループの事業活動に関わる人的資本は多様化しており、社会的、国際的に人権意識が一層高まっていることも踏まえ、人権問題に対して、より多面的に対処する必要性が高まっています。このような状況において、事業活動を通じて東京地下鉄グループ内、あるいは取引先、事業パートナー等を含む国内外のステークホルダーにおいて人権を侵害する行為が発生し、東京地下鉄グループの社会的信用の低下等が生じた場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、東京地下鉄グループは、人権問題に対してより多面的に対処する必要性を踏まえ、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に「人権の尊重」を掲げ、「東京メトログループ人権方針」を制定・公表するとともに、各ステークホルダーにおける人権への負の影響を特定し、その防止又は軽減に取り組むために影響調査を継続的に実施しています。また、「東京メトログループ調達方針」及び「東京メトログループ調達ガイドライン」を制定し、東京地下鉄グループの取引先を含めたサプライチェーン全体での「人権の尊重」に関するパートナーシップの強化を図っています。さらに、人権侵害を含むコンプライアンスに反する行為等を通報できるよう、グループ内の窓口である「企業倫理向上窓口」に加えて、取引先向けの窓口である「お取引先様コンプライアンス通報窓口」を設置しています。 (3) 東京地下鉄グループの経営に関連するリスク① 法的規制等について鉄道事業においては、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより、経営しようとする路線及び鉄道事業の種別について許可を受ける必要があります(同法第3条)。収益の中心となる運賃面においては、上限運賃を設定するときは国土交通大臣の認可を受けなければならず、上限運賃の範囲内で運賃を改定する場合にも、事前に国土交通大臣に届け出ることとされています(同法第16条)。東京地下鉄が現在取得しているこれらの国土交通大臣の許可及び認可には期間の定めは無く、東京地下鉄の現在の運賃は、2019年9月5日に変更の認可を受けたものです(2019年10月1日より改定後の運賃を適用)。なお、運賃の改定を施行するに当たっては、所定の手続を経る必要があることから、機動的な運賃の改定を行うことができない場合等には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、2021年12月に軌道法施行規則(大正12年内務省・鉄道省令)及び鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令第6号)の改正により創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」に基づき、バリアフリー設備の整備費等に充当するための料金を定める場合には、バリアフリー整備・徴収計画を作成の上、事前に国土交通大臣に届け出ることとされています(鉄道事業法第16条第4項)。鉄道駅バリアフリー料金は、第二次交通政策基本計画(2021年5月8日閣議決定)に基づき、利用者に過度の負担感を与えないものとする必要があるとされており、また、その総徴収額はバリアフリー整備・徴収計画における総整備費を超えない額とすることとされています。東京地下鉄は2023年3月18日から、運賃に加算して鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始していますが、法令又は運用の変更等により、バリアフリー整備・徴収計画に定めたとおりに料金の徴収ができない場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。鉄道事業を休廃止する場合には、事前に(廃止の場合は廃止日の1年前までに)国土交通大臣に届出を行うこととされています(同法第28条、第28条の2)。また、鉄道事業法、同法に基づく命令、これらに基づく処分、許可・認可に付した条件に違反した場合、正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しない場合、同法第6条に定める事業許可の欠格事由に該当することとなった場合などの際には、国土交通大臣は事業の停止を命じ又は許可を取り消すことができるとされています(同法第30条)。仮に、国土交通大臣より事業の停止や許可の取消しを受けた場合には、事業活動の継続に支障を来すこととなりますが、現在、同法に抵触する事実等は存在せず、事業活動の継続に支障を来す要因は発生していません。東京地下鉄は鉄道事業法に加えて、東京地下鉄株式会社法(平成14年法律第188号)や安全、環境、バリアフリー等の規制に関する様々な法令の適用を受けており、これらの法令が改正され又はその運用が変更された場合、その内容によっては東京地下鉄の事業活動における柔軟性の減少、費用の増加等を招き、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、東京地下鉄株式会社法の概要は以下のとおりですが、この法律においては、国及び同法附則第11条の規定により営団から株式の譲渡を受けた地方公共団体は、特殊法人等改革基本法に基づく特殊法人等整理合理化計画の趣旨を踏まえ、この法律の施行の状況を勘案し、できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする旨規定されています(東京地下鉄株式会社法附則第2条)。また、2021年4月2日に開催された、第3回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会において、国土交通省が配布した資料には、「東京メトロが完全民営化(政府が株式を全て売却)した場合には、JR本州3社・JR九州の例を踏まえると、現行の東京メトロ法に基づく監督規定は廃止される一方、引き続き、鉄道事業法等の規定に基づき鉄道事業を運営することとなる。」旨記載されています。(ⅰ) 制定趣旨・目的等 東京地下鉄株式会社法は、東京地下鉄の設立について定めるとともに、その目的、事業に関する事項について規定しています。同法は、鉄道事業法に加えて東京地下鉄を規制するとともに、商号の使用制限等の特例措置を定めています。 なお、東京地下鉄株式会社法に基づく政府の規制は、東京地下鉄の経営の自主性の確保を前提とするものであり、毎事業年度の開始前に事業計画を国土交通大臣に提出することは求められているものの、事業計画の認可、関連事業の実施についての認可等は不要とされています。(ⅱ) 概要ア 国土交通大臣による認可を必要とする事項(ア) 発行する株式又は新株予約権を引き受ける者の募集等の認可(東京地下鉄株式会社法第4条第1項) 会社法(平成17年法律第86号)第199条第1項に規定するその発行する株式若しくは会社法第238条第1項に規定する募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換若しくは株式交付に際して株式、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。(イ) 代表取締役等の選定等の決議の認可(同法第5条)代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査等委員である取締役若しくは監査役の選任及び解任又は監査委員の選定及び解職の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じません。(ウ) 定款の変更等の認可(同法第7条)定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く)、合併、分割及び解散の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じません。イ その他の規制事項国土交通大臣への事業計画及び財務諸表の提出義務(同法第6条、第8条)、国土交通大臣の監督・命令権限並びに報告指示及び検査権限(同法第9条、第10条)が規定されています。ウ 特例措置(ア) 商号の使用制限(同法第2条)東京地下鉄でない者は、その商号中に東京地下鉄株式会社という文字を使用してはなりません。(イ) 一般担保(同法第3条) 社債権者は、東京地下鉄の財産について、民法の規定による一般の先取特権に次いで優先弁済を受けることができます。東京地下鉄グループとしては、前述の法令等の規定に則り関係者と連携しながら、引き続き持続的な鉄道事業の運営に向けた取組を進めていきます。 ② 鉄道事業に関する道路占用料について東京地下鉄の路線は、主として道路の地下を運行しているため、道路法(昭和27年法律第180号)第39条第1項の規定により、道路占用料徴収の対象となっていますが、有価証券報告書提出日現在、指定国道以外の道路における出入口等の地上施設を除く地下施設については、各種法令・条例等の減免措置の適用により、道路占用料の全額を免除されています。しかしながら、指定国道以外の道路について、今後、現行の各種法令等の改正により、減免措置が受けられなくなった場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、指定国道における出入口等の地上施設を除く地下施設の道路占用料については、他の第三セクターの地下鉄事業者と同様、道路法施行令(昭和27年政令第479号)で定める金額の10%とされており、2025年度から徴収が開始されています。東京地下鉄の完全民営化後の指定国道の道路占用料の取扱いについては、現時点では取扱いを決めず、完全民営化の時期が具体化した段階で改めて協議するとの方針が示されています。しかしながら、指定国道の道路占用料について、今後、徴収率が変更された場合や、将来における東京地下鉄の完全民営化後の取扱いの内容によっては、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループとしては、各種法令等が改正された場合においても、減免措置が引き続き受けられるよう、継続して関係先と調整及び交渉を行っていきます。 ③ 中期経営計画について東京地下鉄グループは、2025年度から2027年度までの新たな中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」を2025年4月に公表しました。本計画においては、自然災害対策やバリアフリー化を含めたさらなる鉄道の安全・サービス向上、新線建設の着実な推進に取り組むほか、自動運転等の新技術の開発・推進や鉄道需要の創出に加え、まちづくり・鉄道成長にも寄与する都市・生活創造事業の拡大、新たなビジネスの取組を推進することとし、資本効率性、収益性、財務健全性を踏まえた経営目標値を設定しました。しかしながら、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載された事項を含む様々なリスク要因により本計画に掲げる取組が計画どおりに進捗しない可能性や、本計画を策定するための各種の前提が変化する可能性があります。このような場合には、東京地下鉄グループは、かかる状況や変化に対応した成長戦略又は事業運営を立案又は実行するよう努めますが、適時に成長戦略や事業運営を変更し、又は改善することができないなど様々な要因により、本計画で掲げた経営目標について、当初計画した期間内に又は当該期間経過後においても達成できない可能性があります。東京地下鉄グループとしては、経営層による業績動向の早期把握と迅速な意思決定・モニタリングを徹底するとともに、財務規律を維持し、事業の多角化により需要変動の平準化に努めていきます。 ④ 他事業者との競合等について東京地下鉄グループは、運輸業において一部の鉄道事業者及びタクシー、バス等の交通機関と競合関係にあるほか、自家用車等の他の交通手段の利用の多寡にも影響を受けます。したがって、他事業者による新線開業や、他事業者同士による相互乗り入れ等の新しいサービスの提供は、東京地下鉄の路線の輸送人員を減少させ、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、東京地下鉄は他事業者との相互乗り入れ等により、東京地下鉄の利用者の利便性向上及び輸送人員の拡大を図っていますが、自然災害や事故、停電又は電力の使用制限その他の理由により相互乗り入れ等のサービスを提供できなくなった場合には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループとしては、交通の結節点としての機能を維持しつつ、定時運行の安全性・定時性のさらなる強化を図ります。また、他事業者との直通運転中止などの異常時においても迅速に対応できる指令体制を整備し、お客様への情報提供のスピード向上に努めていきます。 ⑤ 長期債務について東京地下鉄は、前身の営団時代から地下鉄ネットワークの整備拡充に努め、その建設資金の多くを財政融資資金法(昭和26年法律第100号)に基づく財政投融資による政府からの借入金及び交通債券等の長期資金にて調達してきました。また、東京地下鉄は、これら債務の償還や鉄道事業を中心とした継続的な設備投資のために、社債の発行や借入金により長期資金を調達しています。さらに、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)、南北線延伸(品川・白金高輪間)及び豊洲駅の改良事業(以下、「有楽町線、南北線延伸事業等」といいます。)に充当するため、2023年3月30日に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、「鉄道・運輸機構」といいます。)から、1,921億円の長期資金(新線建設推進長期借入金)を調達しており、2026年3月31日現在の社債及び借入金残高は1兆714億9千9百万円となっています。なお、新線建設推進長期借入金による資金は、分別管理を目的として信託を設定しており、2026年3月31日現在の当該長期借入金残高は1,921億円となっています。このような状況において、金融環境の変化等により金利が大幅に上昇した場合や、東京地下鉄の信用格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの増加等を通じて、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、東京地下鉄グループは、債務残高を収益力との関係性において一定の水準に抑制するなど財務規律を堅持し、財務健全性の維持・向上を図っています。 ⑥ 不動産事業及びライフ・ビジネスサービス事業等について今後の人口動向やそれに伴う競争激化等の経営環境の変化を踏まえると、運輸業の拡大には一定の限度があるため、東京地下鉄グループの今後の成長及び収益基盤の強化という観点から、不動産事業及びライフ・ビジネスサービス事業等、運輸業以外の事業分野である事業領域・規模の拡大を追求することが将来的な課題となっています。そのため、今後さらにこれら事業の積極的な展開を促進していきますが、東京地下鉄グループの経営資源の制約や経済環境の悪化等で、期待される収益が獲得できず、又は、新たな事業分野におけるリスクが顕在化した場合等には、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループとしては、市場やユーザー調査及び事業収支の定量管理を行うとともに、案件ごとに事業の進捗状況に応じて段階的に投資判断を実施していきます。あわせて、協業によるリスク分担や撤退ルールの策定・運用を通じて、投資リスクを適切に管理していきます。 ⑦ 都営地下鉄との一元化について東京地下鉄は、東京地下鉄と同じく東京都区部及びその周辺地域における地下鉄道事業を営む都営地下鉄とのサービスの一体化は、東京地下鉄の利用者の利便性向上につながるものと考えており、地下鉄利用者の利便性向上への取組の検討を進めていきます。また、東京地下鉄は国及び東京都との間で、東京地下鉄の完全民営化並びに東京地下鉄と都営地下鉄とのサービスの一体化及び経営の一元化に関して従来から意見交換を行っています。これらの課題について具体的な解決策やサービス向上策の実現に向けて実務的な検討を行うことを目的として、「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」が2010年8月に設置されました。また、2013年7月には都営地下鉄と東京地下鉄とのサービスの改善・一体化を推進することを目的として「東京の地下鉄の運営改革会議」が設置されました。東京地下鉄・都営地下鉄間の運賃の乗換負担軽減策を含むサービスの一体化に関するこれらの協議の結果によっては、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。他方、都営地下鉄については、公営企業という組織形態や累積欠損を抱えていること等を考慮すると、東京地下鉄との経営の一元化を図るために解決されなければならない多くの問題が残されており、仮に経営の一元化を実施する場合においても、相当程度の時間を要することが想定されます。また、経営の一元化を実施する場合には、都営地下鉄の経営状況の改善や東京地下鉄の企業価値向上が図られることが基本と考えますが、経営の一元化の具体的な内容によっては、東京地下鉄グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄としては、都営地下鉄との定期的な協議等を通じて、引き続き都営地下鉄と東京地下鉄とのサービスの改善・一体化を推進していきます。 ⑧ 新線建設について東京地下鉄は、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)(以下「両路線」といいます。)については、沿線の開発状況等を勘案した輸送需要予測の動向を踏まえ、交通政策審議会答申第371号及び国と東京都の合意に基づく十分な公的支援及び東京地下鉄株式の売却が確実に実施されることを前提に、東京地下鉄ネットワークに関連する両路線の整備主体となることがさらなる企業価値向上に資するものと判断し、2022年1月に国土交通大臣に対し第一種鉄道事業許可の申請を行い、同年3月に許可を受け、2023年3月に工事施行認可の申請を行いました。2024年5月に環境影響評価書の提出、同月に東京都都市計画審議会での議決、同年6月に都市計画の決定がなされ、同月に南北線延伸、同年10月に有楽町線延伸における鉄道事業法の工事施行認可を受け、各種協議・手続を経て同年11月に両線ともに着工しました。しかしながら、両路線の新線建設を進めるにあたり、輸送需要を含めた事業環境の変化、想定外の建設スケジュールの長期化や追加コストの発生、公的支援の実施状況等によっては、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。今後も東京地下鉄は、両路線を除き新線建設を行わず、また、新線建設に対する協力を求められる場合には、都市鉄道ネットワークの一部を構成する事業者としての立場から、「東京地下鉄の経営に悪影響を及ぼさない範囲内において行う」という方針で対応していきたいと考えています。なお、1982年1月に免許申請を行った8号線(豊洲・亀有間14.7km)については、半蔵門線(水天宮前・押上間)の開業や輸送需要予測の減少等、免許申請時とは事業環境が異なってきたことから、東京地下鉄としては、整備主体となることは極めて困難と認識しています。 ⑨ コンプライアンスについて東京地下鉄グループでは、法令、社内規程、「東京メトログループコンプライアンス行動基準」などに基づきコンプライアンスの遵守に努めています。しかしながら、これらに反する行為が発生した場合には、法令等に基づく罰則や規制当局による処分、コンプライアンス違反に起因する損害賠償請求等を受けること等により、東京地下鉄グループの社会的信用が低下するとともに、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループでは、コンプライアンス教育を定期的に実施するなどの啓発活動を行うとともに、コンプライアンスに反する行為等を通報できる「企業倫理向上窓口」を設置するなど、コンプライアンス体制の整備・拡充に取り組んでいます。 ⑩ 人財確保について近年、国内の少子高齢化の進行及び人口規模の縮小に加え、働き方や雇用形態の多様化が進んでおり、労働市場における人財の流動性は一段と高まっています。これらの要因により、必要な人財の採用や既存人員の定着がこれまで以上に困難となる可能性があります。こうした人員不足により、安全・安定輸送の確保に支障が生じた場合には、東京地下鉄グループに対する信頼が低下し、お客様や取引先の離反を招くおそれがあり、その結果、東京地下鉄グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、東京地下鉄グループでは、人的資本経営のさらなる推進による人財獲得及び社員一人ひとりの最大活躍の実現に向け人財戦略を策定し、人事制度や福利厚生の見直しに加え、人財育成の強化、健康経営の推進に取組んでいます。また、多様な就労ニーズに対応した柔軟な勤務形態を導入するなど、職場定着率の向上及び安定的な人財確保を図るための施策を講じています。さらに、事業運営の持続性向上を図るべく、DXの活用などにより業務変革を進め、効率的な事業運営体制を構築していきます。 ⑪ 財務大臣及び東京都の東京地下鉄株式保有について有価証券報告書提出日現在において、東京地下鉄の発行済株式のうち、26.73%(議決権比率26.74%)を財務大臣が、23.31%(議決権比率23.32%)を東京都が保有しており、財務大臣及び東京都は引き続き東京地下鉄の経営に重要な影響を及ぼしうることになります。東京地下鉄グループの事業その他に関する政府や東京都の利益は東京地下鉄の他の株主の利益と相反する可能性があり、東京地下鉄グループの他の株主の利益に反する影響力の行使がなされる可能性があります。なお、東京地下鉄株式会社法附則第2条により、「国及び東京都は、特殊法人等整理合理化計画の趣旨を踏まえ、この法律の施行の状況を勘案し、できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする」旨規定されています。また、2021年7月15日に交通政策審議会が答申した「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」(交通政策審議会答申第371号)において、東京地下鉄株式の売却に当たっては、国及び東京都が当面東京地下鉄株式の2分の1を保有することが適切であり、その後の東京地下鉄株式の売却について国と東京都は、これまでの閣議決定や法律において完全民営化の方針が規定されていることを堅持しつつ、その中で、首都の中枢エリアを支える地下鉄の公共性や地下鉄ネットワーク整備の進展を踏まえながら対応することが求められるとの考え方が示されています。さらに、2022年3月28日に財政制度等審議会が答申した「東京地下鉄株式会社の株式の処分について」及び同日に東京都が公表した「東京地下鉄株式会社の株式の処分の基本的な考え方」において、新規公開後の「その後の売却においては、国と東京都の協議を踏まえて対応すること」が適当であるとの考え方が示されています。以上のとおり、今後、地下鉄の公共性や地下鉄ネットワーク整備の進展等を踏まえつつ、国と東京都が保有する東京地下鉄株式の全部又は一部を売却することが想定されており、かかる売却が実施される場合には、短期的に東京地下鉄株式の需給バランスに影響が生じ、東京地下鉄の株価に影響を及ぼす可能性があります。国及び東京都による東京地下鉄株式の売却が行われる場合には、東京地下鉄としては、関係法令及び開示規則に従い、必要な対応を適切に行っていきます。 (4) システム関連のリスク① 情報システムについて東京地下鉄グループの事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークといった情報システムに大きく依存しています。東京地下鉄グループでは、サイバーセキュリティ推進体制の整備や専門機関による定期的なシステム監査の実施等の施策に取り組んでいます。しかしながら、上記(2)①に記載した自然災害・事故等のほか、人為的ミス及びマルウェア感染並びに第三者による妨害行為等により、列車運行や電力供給に関するシステム等に障害が発生した場合には、正常な列車運行その他の事業運営に支障を来す可能性や、これに伴う東京地下鉄グループの社会的信用の低下等により、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、引き続きサイバーセキュリティ対策の強化に努めていきます。 ② 個人情報保護について東京地下鉄グループでは、各事業において顧客情報等の個人情報を保有しているため、何らかの原因により個人情報が流出した場合には、損害賠償等による費用を負担する必要が生じるほか、東京地下鉄グループの社会的信用が低下するとともに、東京地下鉄グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。東京地下鉄グループでは、東京地下鉄グループの「個人情報保護方針」や「情報管理規程」に基づき、個人情報の厳正な管理を行っています。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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