日本郵船(9101)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 日本郵船グループは、定期船事業、物流事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業、その他事業の6部門に属する事業を行っています。各事業における日本郵船及び関係会社の位置付け等は次のとおりです。 なお、次の6部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。 航空運送事業は、2023年7月10日の取締役会において決議した日本郵船の連結子会社である日本貨物航空株式会社の全株式の株式交換を、2025年8月1日に実施しました。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。 2026年3月31日現在の社名を記載しています。 (定期船事業) 日本郵船及び日本郵船の関係会社が運賃、貸船料、コンテナ関連収益等の収受を目的として、定期船による国際的な海上貨物輸送、コンテナターミナル業、港湾運送業、曳船業を行っています。主な関係会社㈱ユニエツクスNCT、㈱新日本海洋社、旭運輸㈱、郵船港運㈱、日本コンテナ輸送㈱、内海曳船㈱、㈱ホンマ、大分臨海興業㈱、OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD. (物流事業) 日本郵船及び日本郵船の関係会社が倉庫業、貨物運送取扱業、沿海貨物海運業をグローバルに展開し、海・陸・空の総合物流ネットワークを提供しています。主な関係会社郵船ロジスティクス㈱、近海郵船㈱、カメリアライン㈱、YUSEN LOGISTICS (AMERICAS) INC.、YUSEN LOGISTICS (CHINA) CO., LTD.、YUSEN LOGISTICS (UK) LTD.、YUSEN LOGISTICS (BENELUX) B.V.、YUSEN LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD. (自動車事業) 日本郵船及び日本郵船の関係会社が運賃、貸船料、ターミナル利用料等の収受を目的として、自動車専用船等による国際的な海上貨物輸送、自動車物流事業、その他海運事業等を行っています。主な関係会社INTERNATIONAL CAR OPERATORS N.V.、NYK INDIA PVT. LTD.、NYK TDG PHILIPPINES INC.、UNITED EUROPEAN CAR CARRIERS B.V. (ドライバルク事業) 日本郵船及び日本郵船の関係会社が運賃、貸船料、運航受託手数料等の収受を目的として、ドライバルカー等による国際的な海上貨物輸送、船舶貸渡業、その他海運事業等を行っています。主な関係会社NYKバルク・プロジェクト㈱、旭海運㈱、三菱鉱石輸送㈱、八馬汽船㈱、太平洋汽船㈱、SAGA SHIPHOLDING (NORWAY) AS、NYK BULKSHIP (ATLANTIC) N.V.、NYK BULKSHIP (KOREA) CO., LTD.、NSユナイテッド海運㈱、TATA NYK SHIPPING PTE. LTD. (エネルギー事業) 日本郵船及び日本郵船の関係会社が運賃、貸船料、運航受託手数料等の収受を目的として、タンカー等による国際的な海上貨物輸送、船舶貸渡業、その他海運事業等を行っています。主な関係会社NYK ENERGY OCEAN㈱、NYK BULKSHIP (ASIA) PTE. LTD.、NORTHERN OFFSHORE GROUP AB、OKRA SHIPPING NO.1 LTD.、OKRA SHIPPING NO.2 LTD.、共栄タンカー㈱、TAMANDARE OWNING B.V.、MERO 4 OWNING B.V.、KNUTSEN NYK OFFSHORE TANKERS AS (その他事業) 日本郵船の関係会社が不動産の賃貸・管理・販売業、客船事業、機械器具卸売業(船舶用)、その他運輸付帯サービス業、情報処理サービス業、石油製品の卸売業、その他各種事業を行っています。主な関係会社郵船商事㈱、㈱NYK BUSINESS SYSTEMS、㈱郵船商事マリン、郵船クルーズ㈱事業系統図 以上述べました事項を事業系統図によって示しますと、次のとおりです。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 日本郵船グループでは、中長期的な経営方針として、次の経営課題に取り組んでいます。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本郵船グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 日本郵船グループは、存在意義、社会的使命として“Bringing value to life.”を企業理念に掲げています。 (2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標 日本郵船グループは、2023年3月に中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定し、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、その実現を目的とする2026年度までの4年間の行動計画にもとづき事業を進めています。ESGを中核に据えた成長戦略を推進し、経営戦略としては、各事業における機会とリスクを踏まえた事業戦略の方向性(両利きの経営:AX、及び事業変革:BX)を定めるとともに、人的資本の更なる充実・グループ経営の変革・ガバナンスの強化(CX)、デジタル基盤の整備推進(DX)等のコーポレート基盤の強化に加え、脱炭素に向けた取組みの加速(EX)を推進します。事業投資計画としては、中期経営計画策定時点において2026年度までに予定していた1.2兆円規模の事業投資を1.6兆円規模に増額して実施します。当連結会計年度末時点で中期経営計画期間中の投資が決定している案件は約1.3兆円です。 (“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の利益・財務目標) 2025年度実績中期目標(2026年目途)当期純利益2,117億円2,000~3,000億円ROIC6.4%6.5%以上ROE7.1%8.0~10.0% (株主還元策) 日本郵船は、株主の皆様への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置付け、連結配当性向40%を目安に1株あたりの配当下限金額を年間200円として、業績の見通し等を総合的に勘案して利益配分を決定します。配当の詳細については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。 自己株式の取得については、2025年5月8日開催の取締役会決議に基づき、2026年4月30日まで28,779,900株(取得価額の総額 約1,500億円)の取得を完了し、上記取締役会決議による自己株式の取得は終了しました。また、取得した自己株式は全株消却いたしました。 (3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題① 中期経営計画の遂行 地政学リスクの高まりを受け混迷を極める世界情勢の中、エネルギーや生活必需品を世界中に届け、人々のライフラインを守るべく “Bringing value to life.” を企業理念(ミッション)とし、新たに掲げたありたい姿(ビジョン)「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を目指して、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” を進めています。 両利きの経営(AX)と事業変革(BX)から成る「基軸戦略」の下、既存中核事業を深化させると同時に新規成長事業を進化させ、これを「支えの戦略」となる人材・組織・グループ経営変革(CX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)が支えます。 ■中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” 完遂への取組み 経営戦略であるAX~EXの2024年度の主な進捗状況は以下の通りです。2025年度についても「既存中核事業の深化」と「新規成長事業の開拓」を加速していきます。 ◆脱炭素社会実現に向けたアンモニアサプライチェーン構築 アンモニア燃料アンモニア輸送船CGイメージ図 日本郵船グループは脱炭素社会の実現に向けた有力な次世代燃料の一つとしてアンモニアに注力し、製造・輸送・供給を含む燃料アンモニアバリューチェーン全体における事業開発に取り組んでいます。 アンモニア燃料船の開発に関しては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の助成を受ける40,000㎥級アンモニア燃料アンモニア輸送船(Ammonia-Fueled Medium Gas Carrier:AFMGC)の建造が順調に進行しており、2025年にはアンモニア燃料主機と補機の搭載も完了しました。高い環境性能と世界最高水準の安全対策を備えたAFMGCは、2026年11月の竣工後、世界最大級のアンモニアプレーヤーであるYara International ASAのグループ会社であるYara Clean Ammonia Switzerland SAに定期傭船される予定です。 また、商用燃料アンモニア輸送船に関しては、2025年12月には、日本郵船グループのNYK Bulkship (Asia) Pte. Ltd.が株式会社JERAと、アンモニア輸送船2隻に関する定期傭船契約の基本条件合意書を締結しました。本合意に基づき、米国で製造される低炭素アンモニアを、碧南火力発電所(愛知県)へ海上輸送する計画を推進します。本計画は、商用燃料アンモニア輸送として先駆的な取組みであり、日本のエネルギートランジションの実現を後押しします。 日本郵船は、アンモニア燃料船を中核に、将来の燃料供給・輸送需要を見据えたアンモニアサプライチェーンの社会実装を着実に進め、持続的な成長と企業価値向上を目指します。 ◆バイオ燃料の長期使用・保存に関する実証を経て、本格活用の段階へ 日本郵船は、バイオ燃料B24(バイオ由来成分を24%混合)について、複数の船種において長期使用に関する実証を重ね、安定的な運用に向けた知見を蓄積しました。また、その一環として、シンガポールの非営利団体Global Centre for Maritime Decarbonisationと共同で、船上における長期使用及び保存に関する実証を行いました。その結果、技術的な安全性並びに長期運用の実現可能性を確認しました。これらの検証結果を踏まえ、現在は自動車専用船を中心にバイオ燃料の本格的な活用を進めており、使用量を拡大しています。 さらに2026年度には、バイオ由来成分100%のバイオ燃料B100について、酸化劣化や長期保管時の品質安定性への配慮がより重要であることを踏まえ、実運航における約1年間の検証を実施する予定です。 日本郵船は、既存船舶インフラを活用し、バイオ燃料及びLNG燃料を、燃料転換期における現実的かつ即効性のある対応手段として位置付けています。第三者認証により持続可能性及びGHG排出削減効果が客観的に担保された低・脱炭素燃料は、欧州規制対応に活用できるほか、環境価値として分離し、お客様に提供することで新たな価値の創出も可能であり、脱炭素の推進と企業価値の向上の双方に資するものとなります。これらの取組みを通じ、日本郵船は海運業界の脱炭素化を着実にリードしていきます。 ◆洋上風力発電を支える作業員輸送船の建造で3D技術を本格適用 作業員輸送船 本船写真(上)と3Dモデル(下)の比較 日本郵船は、洋上風力発電事業を支える作業員輸送船(Crew Transfer Vessel:CTV)の建造において、設計から建造まで一貫して3D技術を活用する新たな取組みを進めています。 船の構造や機器配置、作業のしやすさを事前に3D上で確認することで、設計変更や手戻りを減らし、効率的で確実な建造を実現しました。 また、建造途中でも3Dデータを活用して品質を確認し、安全性の向上につなげています。さらに、完成後の点検や保守にも活用できる「3Dデジタル完成図書」を整備することで、運航開始後の管理効率向上も期待されます。本取組みを通じて、成長が見込まれる洋上風力分野において、安全で信頼性の高い輸送サービスを支えると同時に、日本郵船の技術力と競争力を強化していきます。 ◆飛鳥Ⅲ就航 新造客船「飛鳥Ⅲ」提供:郵船クルーズ株式会社 客船事業では、34年ぶりの新造客船「飛鳥Ⅲ」が2025年7月に就航しました。 「飛鳥Ⅲ」では日本のクルーズ船で初となる船位保持制御システム、ポッド推進器や陸上電源受電装置、さらに世界の中型客船で数少ないLNG燃料に対応したエンジンを搭載し、環境に配慮したクルーズを実現します。 1991年に就航した初代「飛鳥」が日本におけるラグジュアリークルーズの礎を築き、続いて2006年に「飛鳥Ⅱ」が就航し、客船文化の発展を支えてきました。「飛鳥Ⅱ」、「飛鳥Ⅲ」の2隻体制の始動により、ラグジュアリー市場における競争力をさらに高めるとともに、より多くのお客様に“最幸時間”を提供する体制を強化していきます。 ◆NYKバルクシップパートナーズ株式会社発足 NYKバルクシップパートナーズ株式会社会社ロゴドライバルク船「KEY HUNTER」 NYKバルクシップパートナーズ株式会社は、日本郵船グループにおけるドライバルク船事業の中核会社として、2026年4月に発足しました。 旭海運株式会社、八馬汽船株式会社、三菱鉱石輸送株式会社の3社が事業統合し、長い歴史に裏打ちされた知見と人材を結集することで、ドライバルク輸送分野における競争力の一層の強化を図ります。海上輸送業、船舶管理業、船主業を主な事業とし、日本郵船が100%出資する完全子会社としてグループ戦略と一体で事業を推進します。保有隻数21隻及び船舶管理隻数約90隻を基盤に、安全運航の徹底と高品質なワンストップサービスの提供を通じ、安定的かつ持続的な収益創出と顧客価値の最大化を目指します。 ◆LNG輸送事業を通じた環境負荷低減と企業価値向上の両立 LNG運搬船「QUEST KIRISHIMA」 日本郵船は、クリーンエネルギー需要の拡大を背景に、LNG輸送事業を重要な成長分野の一つと位置付けています。 2025年12月にはノルウェーの大手船主であるOcean Yield ASと協業し、米国の大手LNG生産事業者であるCheniere Energy Inc.の完全子会社であるCheniere Marketing International LLPに複数隻の新造LNG運搬船を長期定期傭船する契約を締結しました。長期輸送契約に基づくLNG船の運航を通じて、安定的な収益基盤を構築するとともに、グローバルなLNGサプライチェーンを支えていきます。 北米を起点とするLNG輸送は、地政学的分散やエネルギー安全保障の観点からも重要性が高まっており、日本郵船は高度な安全運航ノウハウと豊富な実績を活かし、信頼性の高い輸送サービスを提供しています。今後もLNG需要の中長期的な成長を取り込みつつ、環境負荷低減と企業価値向上の両立を図ります。 ◆バルセロナ港に次世代完成車ターミナル建設 日本郵船グループが運営する欧州の完成車ターミナル拠点 2025年5月に自動車物流事業における欧州拠点の強化を目的として、スペイン・バルセロナ港において完成車ターミナルの27年間の運営権を取得しました。2028年に稼働予定の完全自動立体駐車場を建設し、再生可能エネルギー活用により環境に配慮した効率的な自動車輸送を実現します。本事業は、西地中海エリアにおける完成車物流需要への対応力向上を図るものであり、北欧港湾に集中する既存物流の補完的役割を担う拠点として位置付けています。バルセロナ港は、海上輸送に加え鉄道・内陸輸送との接続性を有しており、欧州域内外を結ぶ物流拠点としての利便性を備えています。日本郵船は、完成車物流及びターミナル運営におけるこれまでの知見を活かし、安定的な運営を通じて顧客ニーズへの対応力を高めるとともに、自動車物流事業の基盤強化を進めていきます。 ◆欧州物流企業Waldenグループのヘルスケア物流事業の買収 欧州ヘルスケア物流事業 日本郵船グループは、中核事業と位置付ける物流事業の成長を担う存在として、郵船ロジスティクスグループ(以下、YLグループ)を中心に事業基盤の強化を進めています。 その一環として、2025年12月、欧州物流企業Waldenグループのヘルスケア物流事業を買収し、同事業を担う42社をYLグループ傘下に迎え入れました。 本買収により、欧州12カ国に展開する医薬品・医療機器物流の高品質ネットワークと、YLグループが有するグローバルな物流基盤及び運営ノウハウを融合させることで、温度管理や各国規制への対応が求められる高度な物流ニーズへの対応力を一層高めています。 ヘルスケア物流は今後も着実な成長が見込まれる分野であり、本件はYLグループの一層の成長を通じ、物流事業全体の収益基盤の拡大と付加価値の向上に資するものです。今後も日本郵船グループは、成長分野である物流事業への戦略的投資を継続していきます。 ◆先進のクラウドとプラットフォームの導入による経営基盤の刷新 日本郵船は、グローバル競争の激化や経営環境の不確実性が高まる中、データに基づく迅速な意思決定を根幹としたデータドリブン経営の実現を目的に、クラウド型の統合基幹業務システムや財務・経営管理の統合支援プラットフォームをはじめとした複数の先進的なデジタル基盤を導入し、社内システム基盤を刷新しました。 本取組みでは、本社及び国内外子会社3社と、その他船舶保有のための特別目的会社も合わせた約350社の会計基幹システムをクラウドへ移行し、財務・会計領域の主要機能を統合することで、従来分散していた会計基盤を一元化しました。これにより、業務の標準化と効率化を進めるとともに、経営管理における高度な計画・分析を可能とする体制を構築しています。また、クラウドの特長である定期的な機能更新を活用することで、稼働後も最新技術を継続して取り込める仕組みを整えました。 日本郵船グループは今後も、業務プロセスの標準化とAI活用による定型業務の自動化を進め、より高度な分析・判断・提案を行う業務体制への転換を図ります。中期経営計画の実行を支える基盤として、データドリブン経営のさらなる高度化と企業価値向上に取り組んでいきます。 ◆CX Neo ~海技者の活躍促進プロジェクト~ 矢野美希 機関長 日本郵船は、中核事業の深化と新規事業の開拓を両輪とする基軸戦略を支えるCXの一環として、海技者の活躍促進を目的としたプロジェクト「CX Neo」を推進しています。本プロジェクトでは、安全運航を支える高度な専門性と使命感を備えた人材が、長期にわたり情熱と誇りを持って働き続けられる会社であることを目標に、海技者に求める人物像の再定義を行うとともに、働き方、キャリアの柔軟性、船内環境といった多面的な課題の検討と改善に取り組んでいます。具体的には、船上経験を基礎とした陸上業務との往来を含むキャリアパスの整備や、就労・居住環境の改善を進めています。 また、日本郵船は2004年から女性を海上職として採用しており、現在では30名超が海上・陸上を問わず全世界で活躍しています。2025年4月には、矢野美希一等機関士を機関長に登用しました。140年の歴史を持つ日本郵船で女性の機関長登用は初めてです。今後も、多様な人材が活躍できる職場環境づくりと人材育成を推進していきます。 ② 遵法の徹底 日本郵船グループは、遵法の徹底を最重要事項と位置付け、日本郵船と国内外にある様々な事業を展開するグループ会社を対象にグローバルなガバナンス体制の構築を目指しており、以下の対策を着実に実行し、法令に則った公正な事業の遂行を徹底することに全力を尽くしていきます。・米州・欧州・東アジア・南アジアの各拠点にRegional Management Officeを設置・ベストプラクティスの共有や課題の速やかな解決を図るため、Regional Governance Officerの下に法務担当や内部監査人を配置・国内外グループ会社が制定している行動規準に対する誓約書の取得等の活動を継続・独占禁止法の遵守を徹底すべく、社内各部門・グループ会社にヒアリングを実施し、これらを踏まえた独占禁止法に関する行動指針の作成、研修の実施・コンプライアンス委員会や遵法活動徹底委員会の開催を通じ、独占禁止法対応に加え贈収賄・ハラスメント防止等、包括的な法令遵守体制の整備・強化
事業等のリスク
3【事業等のリスク】日本郵船グループの定期船事業、物流事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業、その他事業の事業活動において、世界各国の経済情勢、政治的又は社会的な要因等により、日本郵船グループの事業や業績が影響を受け、その結果日本郵船グループの株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。日本郵船グループは、リスク管理方針及びリスク管理規則に基づき、リスク管理委員会を年2回実施し、日本郵船グループの事業継続に重大な影響を与えうる最重要リスクと日本郵船の経営に大きな影響を与えうる重要リスクの管理状況の報告と評価を行い、その結果を取締役会に報告します。日本郵船グループは、「日本郵船グループの継続的成長にとって影響を与えうる不確実性」をリスクと定義し、社長を委員長、本部長をメンバーとするリスク管理委員会において各本部からの報告を基に重要リスクを特定し、重要リスク毎にリスク対応の推進役となる本部を決定し、グループ全体のリスク低減活動を推進します。「最重要リスク」には、コンプライアンスリスク、重大事故などのオペレーションリスク、サイバーリスク、自然災害などの災害や気候変動への対応に関するリスクがあります。また、「重要リスク」には、戦略リスクや市況変動リスク、オペレーショナルリスク、財務と会計リスク、人権リスク、感染症リスク、従業員の人命安全危機等があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本郵船グループが判断したものです。 (最重要リスク)(1)コンプライアンスリスクについて 世界的にさまざまなルールの強化が進むなかで、企業にはより一層高いコンプライアンス意識が求められています。日本郵船グループは、コンプライアンスを推進、強化するための体制の整備及び、重要方針に関する事項等を審議・決議するための場として、年2回コンプライアンス委員会を開催しています。また、毎年9月を日本郵船グループのコンプライアンス総点検月と定め、役員・従業員自らの行動・業務プロセスを見直し、コンプライアンス推進活動を実施しています。同活動では、「コンプライアンスDAY」と定めた日にNYK Chief Compliance Officer 自らコンプライアンスについてのメッセージを発信し、また、日本郵船グループにおける知識向上や意識改革のためにテーマを決め、弁護士による研修を行っています。 更に、遵法活動徹底委員会を設置し、独占禁止法、贈収賄関連法令、経済制裁などの特定の法令のみならず、法令全般及び各種許認可等も含めた遵法の徹底を図っています。 しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、日本郵船グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (2)重大な事故等による影響について 日本郵船グループは、「Bringing value to life.」という企業理念のもと、幅広い物流事業を展開しています。船舶の安全運航及び環境保護対策を最重要課題と認識しています。 日本郵船グループの海上運送事業においては、独自の安全規格である「NAV9000 Plus」によるアセスメントを通じた安全品質の向上に努めています。船舶をはじめ各現場での実行状況は、社長を委員長とする「安全・環境対策推進委員会 」で定期的にレビューされ、安全品質レベルを更に向上・改善させるシステムが構築されており、また、緊急事態に際しては、適切な対応ができる体制を整えています。しかしながら、もし不測の事故、特に油濁その他の環境汚染、乗組員、乗客、及び荷役関係者を含む訪船者の死傷、船舶の喪失又は損傷等につながる重大な事故等が発生した場合、また、船内における感染症の発生、感染症の世界規模の蔓延による検疫強化、もしくは海賊・テロ事案等保安事件が発生した場合には、貨物輸送の遅延・不能、運送契約の解除、債務不履行、過料、訴訟、罰金、営業制限、保険料の引き上げ、評判及び顧客関係の悪化といった事態に直面する可能性があり、かかるリスクを保険で適切にカバーできない場合には、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (3)本社及び主要な事業会社(拠点)の事業運営に重大な影響を与える自然災害等のリスクについて 地震、津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業会社(拠点)が被災し、経営体制の本社機能が麻痺するリスクや本社の管理機能が麻痺することによるオペレーション上の事業継続リスクや、主要な事業会社のオペレーション機能が麻痺することによる事業継続リスクがあります。 災害や社会混乱等で被害を受けた際に、重要な事業・機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるように、主要な事業ごとに「事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)」を策定しています。しかしながら、上記のような自然災害や社会混乱等が発生した場合には、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (4)情報システムセキュリティに関するリスクについて 日本郵船グループにおいて情報システムの円滑な運用は今や欠かせない企業基盤となっており、地震・火災等の罹災に際しても、事業継続への影響を最小限に抑えるべく、システムの安全及び安定稼動の確保に努めています。サイバー攻撃に対しても、ゼロトラストセキュリティモデルを念頭においた多層的なセキュリティ対策の強化に加え、被害の最小化及び早期復旧にも重点を置き、定期的な訓練の実施やグローバルにおける情報セキュリティ管理体制の構築・運用を進めています。また、情報システムにAIが組み込まれることによって、法令違反・倫理的問題・技術的な予測限界・プライバシー問題等の点で発生するリスクが生じる可能性があります。日本郵船グループでは、これらのリスクを認識した上で、関連するルールやガイドラインの整備、管理体制の構築、並びに従業員への教育・啓発等を通じて、包括的な管理に向けた取組みをおこなっています。 しかしながら、これらの対策を講じても、サイバー攻撃の高度化・巧妙化により完全にリスクを排除することは困難であり、システムダウンによる日本郵船の業務の一時的な停止、顧客情報の流出、信頼の毀損、損害賠償、監督当局からの指導・制裁、対応コストの発生等により、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (5)気候変動リスクへの対応について 日本郵船グループはサステナビリティ要素の一つである「気候変動」を重要な経営課題の一つとして認識しており、2023年3月に発表した中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の中で経営戦略としてのEX(エネルギー転換)の位置づけを再定義、財務影響を含めた具体的な取組みを策定しました。 この内容を更に補強する形として同年11月に「NYK Group Decarbonization Story」を発表、2050年に向けた脱炭素戦略を公表しました。 最新の科学的知見である1.5℃目標水準に準じた野心的なGHG削減目標を設定、脱炭素社会の達成を目指し日本郵船グループ全体のGHG排出量削減に努めます。 一方、本長期目標を達成するためには、アンモニアや水素等のゼロエミッション燃料の実用化が不可欠であり、そのためには現時点の水準から大きな技術革新が必要です。 大型外航船の使用期間は15年から20年程度であるため、仮に革新的技術が利用可能となったとしても、全世界の船舶に普及するまでには、相当の時間とコストが発生すると見込まれています。 このような認識の下、技術革新と具現化の途上においては、世界の持続的な成長に必要な輸送需要に、その時々において最も環境負荷が低いソリューションで応えつつ、社会に対して相応の負担への理解を得る必要があると考えています。 今後、日本郵船グループが気候変動リスクに適切に対応できなかった場合には、顧客離れ、地域社会との関係悪化や船舶に対する融資が得られないなどの事態が生じ、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (重要リスク)(6)経営戦略に関するリスクについて 日本郵船グループは、中期経営計画に基づき、「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」というビジョン達成に向けた具体的施策に取り組んでいます。しかしながら、事業戦略の遂行や次世代の成長分野への積極的な取組みを実行する際には、以下に記載したリスクがあります。① 投資計画に係る影響について 日本郵船グループは、船隊の整備等に係る投資を計画し、実行していますが、今後の世界経済の状況や海運市況及び公的規制等の動向によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 新造船の発注から竣工までには数年の年月を要し、その間の需要の変化も一つの要因です。造船スケジュールの遅延や、造船所における労働争議、造船所の経営難など造船所自体に関わる要因によっても左右されます。 また、鋼材価格の高騰等により新造船の価格が上昇し、それを適切に運賃等に反映させることができない場合、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 ② 運航船舶等の処分に関する影響と市況悪化による固定資産の減損損失について 日本郵船グループは、海運市況の著しい変動、運航する船舶の新技術開発・導入に起因する陳腐化あるいは安全規制・諸規則の変更等による物理的使用制限等により、日本郵船グループが保有する船舶を売却する場合、又は日本郵船グループが傭船する船舶の傭船契約解約等を実施する場合があります。その結果、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 船舶を売却する際、常に有利な条件で売却できる保証はなく、また売却できない可能性もあります。市況が低迷し、船舶の市場価格が下落しているときに、減価償却が済んでいない船舶を簿価より低い価格で売却しなければならない場合もあり、その場合売却損を被る可能性もあります。また、売却をしない場合でも、市場低迷が回復せず、又は更に悪化した場合、船舶、その他の固定資産の収益性低下により投資額の回収が見込めなくなる場合があります。この場合資産価値が下落して減損損失が発生し、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 傭船契約を解約又はそれに準じる行為を行う場合は、船主と協議の上、違約金等を支払う可能性があります。 ③ 他社との提携戦略について 日本郵船グループは、コンテナ船事業において、他の海運会社との戦略的提携であるプレミア・アライアンスのメンバーとなっています。日本郵船グループは、コンテナ船事業の効率的かつグローバルなネットワークを保つために、かかるアライアンスが必要であると考えています。しかしながら、アライアンスの活動には、均一の安全・運航基準及び管理方針・手続を維持する難しさ、アライアンス統合及び解散の可能性、アライアンスに加盟している会社の撤退又はアライアンスによって必ずしも期待していた結果が得られない可能性、また各国規制等によりアライアンス自体が認められなくなる等のリスクを伴います。日本郵船グループがかかる要因に適切に対処できない場合、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 ④ 長期安定的な収益基盤の維持・構築について 日本郵船グループは、長期の安定契約に重点を置いており、船隊の多くを船舶の保有又は長期傭船により調達しています。しかしながら、その船隊規模に見合った貨物の長期契約が十分に獲得できない場合、それら船舶は短期契約による運航に供することとなり、運賃水準が大幅に下落すると、船舶の運航により得られる収益が、保有船及び長期傭船の固定費用を十分にまかなうことができず、その結果として日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 日本郵船グループのドライバルク事業部門及びエネルギー事業部門においては、取引先との長期契約に重点を置いています。かかる長期契約には、決定された運賃、使用船腹量及び費用調整条項が定められ、市場環境の変化による影響を軽減するのに役立っています。しかしながら、日本郵船グループが長期契約を結んでいる一部の取引先の経営状態等が悪化し、取引先が契約条項の全部又は一部の履行を継続できなくなる可能性があります。一方日本郵船グループは、かかる長期契約上の義務を履行するにあたって、第三者からの傭船によって船舶を調達する場合があります。船主が、傭船期間終了前に日本郵船グループとの契約を履行できなくなる可能性があり、これによって他の船舶を調達するための費用が発生する可能性もあります。今後このような事態が生じた場合、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。なお、長期契約は市況の変動による影響を軽減する効果がありますが、市況の上昇局面においても直ちに運賃に反映できなくなる可能性があります。 日本郵船グループの重要な取引先には、自動車メーカー、製鉄会社、製紙会社、公共事業会社、電機メーカーや小売業者等が含まれています。仮に、重要な取引先との間の取引規模が縮小したり、重要な取引先を失うようなことがあれば、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (7)市況変動に関するリスクについて① 海運市況・荷動き等の変動による影響について 日本郵船グループは、海運市況の変動に左右されない安定的な営業収益の確保に努めていますが、世界の経済動向、国際間の荷動き、競争激化、船腹需給バランス等の影響により、運賃収入及び傭船料収入などが大きく変動する可能性があり、その結果として日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 特に、海上運賃は、船腹需給の不均衡により大幅に変動する傾向にあります。一方、船腹の供給が需要を上回ると、市場における傭船料の水準が下落する可能性があります。 なお、船腹の需要に影響を及ぼす可能性のある要因には、以下のものがあります。 ・世界的、地域的な紛争、政治動向及び経済状況 ・世界的な感染症の蔓延 ・日本郵船グループが輸送するエネルギー資源、原材料及び商品の需要及び在庫水準 ・工場のグローバル化(サプライチェーンの世界規模の展開と国際情勢の変化に応じた再編) ・海上輸送及びその他の輸送方法の変化並びに代替輸送手段の発展 ・環境及びその他の規制の動向 一方、船腹の供給に影響を及ぼす可能性のある要因には、以下のものがあります。 ・新造船の竣工による船腹量の増加 ・老齢船の解撤による船腹量の減少 ・港、運河及び海峡の混雑又は閉鎖 ・環境規制及び船舶の耐用年数を制限する可能性のあるその他の規制の変更 また、フォワーディング等の物流事業においても、海上貨物と同様にスペース供給と需要の不均衡により、運賃が大幅に変動する可能性があります。物流事業での大幅な運賃の変動や取扱貨物量の変動により日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 ② 為替レートの変動による影響について 日本郵船グループの事業においては、外貨建て取引の収入が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える可能性があります。収入と費用の通貨を一致させる施策を進めるとともに、為替予約や通貨スワップ等のヘッジ取引により、為替レート変動の影響の軽減に努めています。また、日本郵船グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外子会社等の財務諸表を円換算しており、為替レートが変動した場合、日本郵船グループの財務状況が影響を受ける可能性があります。 ③ 燃料価格の変動による影響について 日本郵船グループは、世界中で日本郵船グループが運航する船舶に使用される燃料を常時購入しています。 燃料費は、日本郵船グループの定期船事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業における費用の大きな割合を占めています。燃料の価格水準及び入手可能量は、世界的な原油・天然ガス需給、外国為替市場の変動、産油国やOPEC及び産ガス国の動向、環境規制の状況、その他の多くの要因により変動し、特に26年2月に勃発した中東域での戦争による広範な影響から、これらの動向を正確に予測することは更に困難です。日本郵船グループとして、燃料調達地域の分散及び燃料サーチャージの適用、ヘッジ手段としてのデリバティブ取引の利用、燃料の消費量節減等の対策を講じて業績に与える影響の軽減に努めていますが、価格の変動又は供給不足から十分に影響を軽減できない可能性があります。 ④ 金利動向による影響について 日本郵船グループは、船舶、輸送関連施設等の取得に係る設備投資需要や事業活動に係る運転資金需要に対し、内部資金を充当する他、外部から資金を調達しています。 これらの外部資金については、現在、変動金利調達と固定金利調達があり、金利環境を勘案の上その割合を注視し金利変動による影響の軽減に努めていますが、将来の金利変動によっては、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (8)投資有価証券における評価損による影響について 日本郵船グループは、有価証券の評価基準及び評価方法として、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては決算期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。株式市況の変動等により、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (9)人権問題について 日本郵船グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を尊重し、多様な価値観や異文化を認め合い、尊重することを日本郵船の行動規準でも謳い、その責務を果たす指針として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「日本郵船グループ人権方針」を2022年11月に定めました。社内委員会を設置し、専門的知見を有する第三者機関からの助言を定期的に受けつつ、人権デュー・ディリジェンスをはじめとした人権尊重の取組みを推進しています。 また、企業活動が社会にもたらす影響の重要性への認識が高まる中、日本郵船グループはサプライチェーン全体で、強制労働、児童労働、環境破壊行為などによる人権・環境への負の影響を防止・軽減するため、サプライヤーの皆さまと共に目指す基準を示す「日本郵船グループ サプライヤー行動規範」を策定しています。日本郵船グループの取引先に日本郵船グループサプライヤー行動規範の配布・説明を行い、人権にも配慮した調達活動を推進しています。 しかしながら、日本郵船グループの事業活動において人権問題が発生した場合、日本郵船グループの社会的信用やブランドイメージの低下により、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (10)従業員の人命安全危機に関するリスクについて 日本郵船グループは、世界各地で事業を展開しており、従業員(駐在員及びその家族、出張者、現地従業員を含む)が、戦争、紛争、テロ、暴動、治安悪化、感染症の流行、自然災害その他の突発的な事象に巻き込まれることにより、従業員の生命又は身体に重大な危険が生じ、日本郵船グループの事業活動に支障を来す可能性があります。 日本郵船グループでは、従業員の安全確保を重要な経営課題の一つとして認識し、海外情勢や各地域におけるリスク動向の把握に努めるとともに、リスクが高まった場合には、現地の状況や他社動向等を含めた情報収集を行い、従業員の安全確保策の検討・実施を行う体制を整備しています。 しかしながら、これらの対応を講じていたとしても、突発的かつ大規模な事態が発生した場合には、従業員の安全を十分に確保できない可能性があり、その結果、日本郵船グループの事業運営、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (11)感染症(新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ等)の流行によるリスクについて 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザを含む感染症の蔓延は、依然として、日本郵船グループの全ての事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。日本郵船グループは引き続き社内外への感染拡大防止と社員の安全確保を最優先に、船舶の安全運航を継続し、生活を支えるエネルギー、資源、その他物資の安定輸送に従事します。客船では、従前からの感染症対策プランに則り手洗い、手指消毒などを実施し、商業クルーズを実施しています。 しかしながら、特定の事務所において従業員の病欠者が増加し、サービスの提供が一時的に滞ることや、個別の船舶等において感染拡大することによって運航に影響が出ること、また、感染拡大地域へのサービスの提供に影響が出ることなど、日本郵船グループの事業運営、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (その他経営全般に係るリスク)(12)日本郵船グループの重要課題「安全」「環境」「人材」について 日本郵船グループの船舶の安全な運航のためには、優秀な船員を確保することが特に重要となります。日本郵船グループは、優秀な船員を確保するために、教育と訓練の提供及び多様な国からの採用など、様々な手段を取ってきましたが、将来において、適切な費用で必要な技術水準を持った船員を十分に確保できるという保証はありません。新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症等の発生により、必要な船員を合理的な費用で雇用、維持、あるいは交代できない場合、日本郵船グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 日本郵船グループが事業を行う各地域において、日本郵船グループの船舶は安全運航及び海難事故の防止に関する国際法を遵守する必要があります。加えて、環境保護に関する地域固有の法令及び規制を遵守する必要があります。 日本郵船グループは、環境保全活動及び物流サプライチェーンの安全・保安対策の重要性を認識しつつ、グローバルに事業を展開・拡大しています。例えば、アンモニアや水素など将来代替燃料に向けた研究開発促進、LNG/LPG/メタノール/アンモニア燃料船建造の拡大、LNG/アンモニア燃料供給船建造の拡大、省エネ運航や風力利用、燃料制御技術によるGHG排出量削減、バラスト水管理のための処理装置の搭載、藻、貝類等の船体付着物の移動防止に関する規制への対応、サイバーセキュリティ対策導入などを実施しています。 今後、これらに関連する対策費用が増加した場合や、特定の地域における法令又は規制を遵守することが困難となった場合には、当該地域における日本郵船グループの事業運営が制限され、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 (13)グローバルな事業展開による影響について 日本郵船グループの活動の範囲は、世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。 ・政治的又は経済的要因 ・事業・投資許可、租税、為替管制、国際資産の没収、独占禁止、通商制限など公的規制の影響 ・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響 ・戦争、暴動、テロ、海賊、感染症、ストライキ、サイバー攻撃、その他の要因による社会的混乱 ・地震、津波、台風等の自然災害や異常気象の影響 ・各国規制・制裁などの把握不全 これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合には、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。船員を含む日本郵船グループの従業員の一部は、労働組合に所属しており、日本郵船グループの従業員によってストライキ、業務停止又はサボタージュが行われた場合、さらには北米の港湾施設など日本郵船グループ従業員以外の第三者によるストライキ又は業務停止によっても、日本郵船グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。加えて、戦争や政治的な要因も、日本郵船グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 日本郵船グループは、昨今のイラン、ロシア・ウクライナ情勢等、世界中の紛争やテロによる治安・情勢不安・各国規制・制裁の強化等の影響を受けます。海賊被害は近年減少していますが、今もなお海賊行為が発生するマラッカ・シンガポール海峡、西アフリカ沿岸及びソマリア海賊襲撃エリアであるアラビア海、インド洋などを航行しています。なお、情勢が緊迫化している紅海・アデン湾、ホルムズ海峡においては、日本郵船グループ船舶の航行を停止しています。日本郵船グループでは、関係機関からの情報収集を行い海賊行為について対策を講じていますが、テロ及び海賊の襲撃を受けた場合、あるいは政情不安及び戦闘などが起こった場合、日本郵船グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。今後、紅海、アデン湾、ソマリア沖及びペルシャ湾を含む周辺水域が通常の戦争保険除外地域として指定された場合(一部水域は既に指定されています。)には、情勢により保険料率は変動しうる状況でもあり、保険料の水準及び保険会社による保険金の支払いに影響を与える可能性があります。また、物流事業等、特定の国において行う事業活動は、当該事業を行う国の治安・情勢不安等による事業環境の悪化により、事業の縮小、廃止、撤退等を決定する場合があり、その場合日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。2025年1月に発足したトランプ米政権の通商政策等により世界経済の不確実性が高まっており、日本郵船グループの業績に影響を与える可能性があります。 (14)訴訟その他の法定手続の発生について 日本郵船グループの定期船事業、物流事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業、その他事業の事業活動において、各種の訴訟や規制当局による調査及び処分に関するリスクを有しています。以下の事例も含め、訴訟等の内容及び結果によっては、日本郵船グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。 日本郵船グループは、2012年9月以降完成自動車車両等の海上輸送について、主要自動車船社と共同して運賃を設定したとして、請求金額を特定しないまま損害賠償及び差し止め等を求める集団民事訴訟を、一部の地域にて提起されていますが、現時点ではこれらの訴訟の結果を合理的に予測することは困難です。 なお、上記は日本郵船グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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