スターフライヤーは、既存の航空会社にはない、高品質・高付加価値サービスを提供する「感動のあるエアライン」を目指して設立された新規航空会社であります。2024年3月31日現在、スターフライヤーグループは、スターフライヤーおよび非連結子会社1社(株式会社スターフライヤービジネスサービス)により構成されており、航空運送事業並びにそれに付随する附帯事業を営んでおります。スターフライヤー事業の概要並びに特徴は以下のとおりであります。
なお、スターフライヤーは、航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでおり、また、経営資源の配分の決定や業績評価は、スターフライヤー全体で行っております。したがって、事業セグメントは単一であるため、セグメント情報との関連は記載しておりません。
(1)スターフライヤー事業の概要
① 航空運送事業
スターフライヤーの航空運送事業は、航空機による旅客・貨物運送事業の総称であり、その概要は以下のとおりであります。なお、国際線は全便運休しております。
事業 |
概要 |
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旅客運送事業 |
定期旅客運送事業 |
国内定期便として、以下の路線を運航しております。 北九州-羽田線(1日11往復) 関西-羽田線(1日4往復) 福岡-羽田線(1日8往復) 福岡-中部線(1日6往復) 山口宇部-羽田線(1日3往復) 国際定期便として、以下の路線を運航しております。(注) 北九州-台北(台湾桃園)線(1日1往復) 中部-台北(台湾桃園)線(1日1往復) (2024年3月31日現在) |
不定期旅客運送事業 |
北九州空港を中心に国内外への不定期旅客(チャーター)便を運航しております。 |
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貨物運送事業 |
定期旅客便の一部を活用して、航空貨物運送を行っております。 |
(注)国際線は2020年3月より運休しております。
② 附帯事業
スターフライヤーの附帯事業は、①航空運送事業に付随する業務を総称しており、その概要は以下のとおりであります。
業務 |
概要 |
教育・研修業務の受託 |
スターフライヤーのサービスノウハウを基にした「おもてなし研修」をはじめ、格納庫やトレーニングセンターの見学などを実施しております。 |
広告宣伝業務 |
スターフライヤーの運航する航空機の機体並びに機内のタッチパネル式液晶モニター等を活用した広告枠の販売を行っております。 |
施設貸出業務 |
スターフライヤー所有の訓練施設貸出およびフルフライトシミュレーターの操縦体験プランの販売等を行っております。 |
(2)スターフライヤー事業の特徴
スターフライヤー事業の主な特徴は以下のとおりであります。
① 安全への取り組み
スターフライヤーは、安全・安心を提供する航空会社として、日々安全運航に努めております。
安全運航の基本方針をはじめ、安全管理体制など、安全への取り組みをまとめた安全報告書を毎年作成しており、スターフライヤーのホームページからご覧いただけます。
② 高品質な顧客サービス
スターフライヤーは、最上級のホスピタリティを提供できる航空会社をめざし、以下のような顧客サービスを提供しております。(エアバス社製A320neo型機は一部仕様が異なります。)
・全ての座席をレザーシートとし、座席数を最大座席数(180席仕様)から約2割減らすことで座席の前後間隔を広くとり、お客様が機内で快適に過ごせる仕様にしております。
・電源コンセント、コートフックなどビジネスユーザーを意識した機内装備としております。
・全座席にタッチパネル式液晶モニターを設置し、動画配信によるエンターテイメントをお楽しみいただけます。
・全座席にヘッドレストやフットレストを装備し、お客様が機内でゆっくりとくつろげるように工夫しております。
・スターフライヤー客室乗務員が選び抜いたドリンクを無料でご提供しております。
・航空機及び機内等は、スターフライヤーコーポレートカラーのひとつである黒を基調とした独自性の高いデザインとなっております。また、制服から機内用品に至るまでスターフライヤー独自のデザインでコーディネートされ、他の航空会社とは差別化されたブランドの確立を目指しております。
・国内線では日本初である機内ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」を展開し、ペットオーナーの方も長距離のご旅行をお楽しみいただけます。
・株式会社ジャパネットホールディングスと業務提携し、BS Japanextで放送している番組を機内のモニターでもお楽しみいただけます。
・スターフライヤー・マイレージプログラム「STAR LINK」のサービスでは、年間搭乗回数に応じてステイタスが段階的にランクアップし、ステイタス獲得条件を達成されたスターリンク会員のお客様は、ベガ/アルタイルのご優待サービスや特典をご利用いただけます。貯まったマイルはマイル数に応じて、特典航空券・アイテム・提携会社のポイントへ交換可能で、公式アプリでは店舗でご利用いただけるマイルクーポンも配信しております。
③ 運航コストの削減と運航の効率化
スターフライヤーでは、使用する航空機並びにエンジンの種類を限定することで、運航乗務員や整備要員の効率的な体制の実現や整備部品在庫等のコストの削減に努めております。またこれにより整備に係る作業を標準化し、整備時間の短縮化も図ることができるため、1機・1日当たりの運航回数や飛行時間を高水準で維持し、収益性を高めることを実現しております。更に使用する航空機並びにエンジンの種類を限定することは、整備要員の機材整備技量の向上、運航乗務員の運航技量の向上、運航・整備・運送にかかわるスタッフ業務の標準化などにより、安全性の向上に寄与しております。
また、機材の導入にあたっても、中古機ではなく新造機を調達することを基本としており、経年に伴う故障等の発生の極小化を図っております。
更に、燃料消費量及びCO₂排出量が最大20%削減、騒音影響が約50%低減できる、環境にやさしい最新鋭の機材、エアバス社製A320neo型機に順次更新をしております。
こうしたコスト削減並びに効率化によって、低廉な運賃と上記②に記載の顧客サービスの充実の両立を図っております。
④ 需要が見込める路線への就航
定期旅客運送事業においては、国内5路線のうち4路線は主に東京国際空港(羽田)を発着する定期便を運航しており、ビジネスとレジャー利用双方の面で幅広いお客様にご利用いただけると見込んでおります。今後の需要回復を見据えながら、柔軟な生産体制を構築し、需要喚起へ向けた施策を展開してまいります。特にレジャー利用のお客様の獲得に向けた取り組みとしては、お子様連れのお客様にも安心してご利用いただける「Fly with Smile Kids!」を2022年11月より開始し、北九州-羽田線において国内線で日本初となる機内ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」を2024年1月より全路線に拡大しました。また“進撃の巨人”やスターフライヤーの就航17周年と関連した“SEVENTEEN”とのコラボレーションを行うなど、様々な分野で提携を行いながら、お客様にお選びいただける施策を展開しております。今後については、まずは国内線において回復する需要を捉え、早朝深夜の時間帯で国際線チャーター便の運航を検討してまいります。
⑤ 他社との提携
スターフライヤーでは、定期旅客運送事業の国内5路線において、全日本空輸株式会社との共同運航(コードシェア)を行っております。共同運航は、スターフライヤー座席の一定割合を全日本空輸株式会社に卸売りするものであり、スターフライヤー営業収入の安定化に寄与するものと考えております。またこれに加えて、スターフライヤーは、同社の予約販売システムを用いて定期旅客運送事業における航空券の販売を行っております。これにより、全日本空輸株式会社の代理店網を活用した航空券販売が可能となっております。スターフライヤーの営業未収入金のうち当該事業の販売額は、別途契約のある一部の販売代理店や法人顧客向けのものを除き、全日本空輸株式会社より回収することとなっております。
また、定期旅客運送事業以外にも、貨物運送事業において全日本空輸株式会社との共同運航を行っております。
[事業系統図]
※1 航空運送事業並びに附帯事業の内容は(1)スターフライヤー事業の概要に記載のとおりであります。
※2 航空運送事業のうち、株式会社スターフライヤービジネスサービスは主としてスターフライヤー便の予約受付等のコールセンター業務を行っております。
スターフライヤーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてスターフライヤーが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
スターフライヤーは、「安全運航」を至上の責務とし、安全・確実な輸送(旅客・貨物)と快適かつ質の高い移動空間・サービスの提供に努め、他社にはない新たな価値を創造し、企業理念である『感動のあるエアライン』を目指してまいります。
企業理念
私たちは、 安全運航のもと、 人とその心を大切に、 個性、創造性、ホスピタリティをもって、 『感動のあるエアライン』 であり続けます。
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行動指針
1.安全運航に徹します。 2.コンプライアンスを徹底します。 3.自らの仕事に責任と誇りを持ちます。 4.お客様の視点から発想し、創造します。 5.仲間とともに輝き、ともに挑戦します。 6.感謝の気持ちと謙虚さをもって、 人と社会に接します。
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(2)経営環境および中長期的な会社の経営戦略
航空業界は、為替相場や原油価格の急激な変動、地政学リスク、他の航空会社や新幹線等の交通機関との競争激化等、常に対処すべき課題の多い環境下におかれています。
特に、他の航空会社にはないスターフライヤーの特徴的な経営方針に対して、LCC(格安航空会社)のみならず大手航空会社も攻勢を強めており、競争環境はますます厳しさを増すと考えられます。
このような状況のなか、スターフライヤーは、2020年3月期に2020年度から2025年度までのありたい姿として新中期経営戦略を策定しましたが、コロナ禍に伴う経営環境の大きな変化や、お客様のニーズ、生活の変化などへ対応するため、2024年3月期を初年度とする中期経営戦略(2023~2025)「中期経営戦略2025~国内線で経営基盤を確立し、次の飛躍へ~」を策定いたしました。
「中期経営戦略2025」では、目指すものとして、「コロナ禍前水準以上の回復と成長」を掲げ、その達成のために以下に取り組んでおります。
・収入拡大による利益創出と財務体質の健全性向上
・「THE STARFLYER人財」の育成・採用
・ESG経営の推進
・新規事業領域の拡大
・事業構造改革推進プロジェクトの立ち上げ
・環境にやさしい航空機(エアバス社製A320neo型機)の新規導入
現在の中期経営戦略の3カ年はその先の「次の飛躍」への助走期間でもあります。この3カ年で国内線を主体にしっかりとした“基盤作り”と“成長への準備”を行ってまいります。
(3)目標とする経営指標
スターフライヤーは、「中期経営戦略2025」に沿って、経営指標の改善・向上を目指してまいります。「中期経営戦略2025」の詳細については、以下のページからご覧いただけます。
https://www.starflyer.jp/starflyer/corporate/mid-term-plan.html
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてスターフライヤーが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント体制
スターフライヤーは、企業活動の持続的発展の実現を阻害するリスクに対処するため、日常的にリスクを識別し、社内規程等に従い、損失の危険を回避・予防しております。また、重大なリスクが顕在化したときは、被害を最小限に留めるための適切な措置を講じてまいります。
スターフライヤーは、「リスク管理規程」を制定し、同規程においてリスクカテゴリごとの責任部署を定め、スターフライヤーのリスクを統括的に管理しております。
スターフライヤーにおけるリスクマネジメントの中心は、運航の安全の維持・向上です。スターフライヤーは「安全管理規程」に従い、フライトセーフティレビュー委員会を定期的に開催し、安全管理システム(SMS:Safety Management System)が正しく有効に機能し、安全運航の基本方針である「安全憲章」および「安全運航のための行動指針」が、業務全般にわたり、具体的な安全施策に結びついていることを確認しております。
(2)航空業界に関連するリスク
航空業界に関連するリスクとしてスターフライヤーが認識しているものは、以下のとおりです。
リスクの内容 |
当該リスクに対する対応策等 |
① 景気動向 スターフライヤーが属する航空業界は、旅客需要等について景気動向等の変動による影響を受けております。景気低迷が長期化する場合には、レジャー需要とともに、企業の出張抑制等によりスターフライヤーの主要顧客であるビジネス旅客が減少する可能性があり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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イベントリスク等不確実性の高い要素に大きく影響を受ける状況下において経営を持続させるため、純資産の積み上げを計画的に行っています。 |
② 国際情勢の変化 国際紛争、大規模なテロ事件および伝染病の流行等が発生した場合、航空需要に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するための保安等の規制強化による利便性の低下も航空需要に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらに関連して航空保険料や保安対策費用等が増加する可能性があり、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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③ 公租公課 航空運送事業に関する公租公課には、着陸料や航行援助施設利用料をはじめとする空港使用料並びに国内線運航に使用する航空機燃料に賦課される航空機燃料税があります。 現在、空港使用料については2020年8月より2025年2月末まで、航空機燃料税については2011年4月より2028年3月末まで国による軽減措置が実施されています。このため、当該対象期間におけるスターフライヤー事業費が軽減されることとなりますが、今後政策の転換等によって当該軽減措置に変更が生じた場合にはスターフライヤー業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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④ 将来の環境規制 スターフライヤーが属する航空業界は、航空機の騒音、排気、有害物質の使用及び環境汚染等を管理・統制する様々な環境関連法規制の制約を受けております。現在、これらに関する法令遵守等に対して適確に取り組んでおりますが、これらに関する法令遵守又は環境改善のための追加的な義務が求められることとなった場合、関連する費用がスターフライヤーの事業、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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環境改善のための追加的な義務が生じた場合は適切に対応し、事業、業績に大きな影響を及ぼさないよう関連各所と連携して対応してまいります。なお、2023年7月に燃料消費量及びCO₂排出量が最大20%削減、騒音影響が約50%低減できる、環境にやさしい最新鋭の機材、エアバス社製A320neo型機を導入しました。 |
(3)その他の主要なリスク
その他の主要なリスクとしてスターフライヤーが認識しているものは、以下のとおりです。
リスクの内容 |
当該リスクに対する対応策等 |
① 原油価格、為替相場の変動 スターフライヤーの行う航空運送事業は、航空機燃料を使用するため、原油価格変動の影響を受けます。今後の国際的な原油市場の需給バランス、産油国の政情不安および投機資金の原油市場への流入等に伴う原油価格水準の変動によっては、燃料費が増加し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、航空機賃借料や整備費等の一部費用について、外貨建取引(主としてドル建て)を行っているため、為替相場変動の影響も受ける環境にあり、今後の為替相場に大幅な変動が生じた場合にも、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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これらの変動リスクをヘッジ(減殺)すべく、航空機燃料関連として商品スワップ取引等、通貨関連として為替予約取引等のデリバティブ取引を行っております。 なお、スターフライヤーでは「市場リスク管理に関する規程」を制定し、デリバティブ取引は、市場における相場変動に対するリスクヘッジ目的のみに利用し、投機的な目的では行わない方針を定めております。 |
② 限定された機材数と航空事故 スターフライヤーは、当事業年度末現在、航空機11機により運航しております。万が一重大な航空事故が発生した場合は、安全が確認されるまで、当初計画どおりの運航は困難となります。 また、他社で重大な航空事故が発生した場合にも、その後の航空需要の低下など、利用者数の減少によりスターフライヤーの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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運航の安全性の維持・向上のため、全社をあげて安全管理システム(SMS)を構築し、管理、推進して有効に機能させております。また自発報告(ヒヤリハット報告)制度を「STV」と称して促進するなどの取り組みにより安全運航に関する意識の更なる醸成を図っております。 万が一重大な航空事故が発生した場合、損害賠償、運航機材等の修理・修復等の費用は、主に航空保険にて填補されます。
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③ 多頻度運航について スターフライヤーでは、収益性を高めるため、1機・1日当たりの運航回数や飛行時間を高水準で維持することに努めております。 しかしながら、天候、安全対応等の様々な要因によって長期間欠航せざるを得ない場合や、航空機に重大な故障が生じた場合、機材の使用水準が当初計画を下回り、スターフライヤーの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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機材や社内の生産体制を全体最適の観点で調整し、効率的なダイヤを作成するよう、努めております。 |
④ 特定航空機材への依存と機齢上昇による整備コスト増加 スターフライヤーでは使用する航空機並びにエンジンの種類を限定しており、整備要員の機材整備技量の向上、運航乗務員の運航技量の向上、運航・整備・運送にかかわるスタッフ業務の標準化などにより、安全性の向上に寄与しております。 また、運航乗務員や整備要員の効率的な体制、整備部品在庫等のコストの削減にもつながっております。 しかしながら、限定しているが故に当該機種・エンジンに係る仕様上の重大な欠陥等が発覚した場合、スターフライヤーの運航継続について重大な懸念が生じうる可能性があります。過去における同型機の運航実績等を踏まえると、スターフライヤーが使用している機種等に重大な欠陥等が存在する可能性は低いものと考えておりますが、万が一そのような事態が生じた場合はすみやかに代替できる機材がなく、スターフライヤーの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、現在のところ平均機齢は約8年で、機材の経年に伴い、将来において修繕維持費用が増加する可能性があり、スターフライヤーの業績に影響を及ぼす可能性があります。
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仕様上の重大な欠陥等が発覚するなどの事態が発生した場合には、機体及びエンジンのメーカー等から実施期限を設けた適切な整備プログラムが提供されます。スターフライヤーはこれに基づき速やかに対応し、運航が継続できないリスクを軽減してまいります。 また、経年に関しては、機体メーカーは機材のライフサイクルを考慮した整備プログラムを用意しています。これにより将来発生する整備内容を予測し、整備機会を計画的に設定することによって、一定期間に整備費用が集中することを抑制してまいります。
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リスクの内容 |
当該リスクに対する対応策等 |
⑤ 競合について スターフライヤーはLCC(格安航空会社)を含めた他の航空会社や新幹線等の交通機関と競合関係にあります。また今後スターフライヤーが新規路線を開設する場合、当該路線にすでに就航している他の航空会社等との競合関係が生じることが想定されます。さらに、昨今のLCC(格安航空会社)の参入により、同業者間における競合関係が激化しております。こうした競合激化に伴い、販売価格が低下しもしくは計画した旅客数が確保できなかった場合は、スターフライヤーの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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スターフライヤーでは、競合する他の航空会社や新幹線等の交通機関との競合において、適正な価格と旅客動向を見極めつつ、需要喚起やイールドコントロール等を適切に行い、収入機会を確保しております。 |
⑥ 特定地域への路線集中と災害リスク スターフライヤーは、現在、国内線5路線(北九州-羽田線、関西-羽田線、福岡-羽田線、福岡-中部線、山口宇部-羽田線)および国際線2路線(北九州-台北線、中部-台北線)を運航しております。なお、国際線は2020年3月より運休しております。 就航地域における大規模な地震、台風その他の自然災害等が生じた場合、運航及び経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、スターフライヤーの本部機能が集積している北九州空港または路線が集中している羽田空港が使用不能に陥った場合、運航及び経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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特定路線の収入に依存しすぎることのないよう、中長期的な経営戦略において、収益源の多様化を検討し、リスクの分散を図っております。 また、大規模な地震など事業継続に大きな影響を及ぼす規模の災害が歴史的に少ない北九州に本社を置き、堅牢なデータセンターにおける安定的なシステム運用などの対策により、事業の継続が瞬時に停止するリスクの低減を図っております。
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⑦ 路線展開に関するリスク スターフライヤーは、航空機材の導入、運航便数の増加、新たな路線展開により収益拡大を図っていく計画でありますが、これらが計画どおりに進捗しない場合、将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 航空機は発注から受領までに一定の期間を要するため、当初計画していた路線展開が何らかの要因により不調となった場合、特に、空港発着枠を希望どおりに獲得できない場合、路線展開に大きな制約が課せられ、航空機が過剰となり、以後の計画の大幅な見直しが必要となる可能性があります。また、将来的に、羽田空港、福岡空港及び関西国際空港の発着枠の見直し等が生じた場合は、事業計画に大きな影響を受ける可能性があります。
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スターフライヤーでは、路線展開について、十分な計画と複数の展開案を検討し、空港発着枠が取得できなかった場合でも検討した代替案に速やかに変更できるようリスク分散を行っております。 また、スターフライヤーは国際および国内チャーターの実績も過去に十分に積んでおり、早朝深夜便運航、臨時便を含め、柔軟な運航体制の構築が可能です。 |
⑧ 専門的な人材の確保 スターフライヤーの行う航空運送事業は、運航乗務員、運航管理者および整備士等の専門性を有した資格保持者の確保が必要です。これらの有資格者は、雇用市場が航空業という限られたものであるため、主に同業他社からの転職者となっております。 これらの専門性を有した資格保持者の確保が計画どおりにできなかった場合、又はこれらの専門性を有した資格保持者が大勢、何らかの理由により業務に就くことができなくなった場合は、スターフライヤーの安定的な運航や路線展開に大きな影響を受ける可能性があります。
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専門性を有した資格保持者の確保のため、採用・養成計画は常に複数年先を見据えた対応を図っております。 運航乗務員については、必要数に応じた採用活動を行っております。今後も運航計画に基づいて、適切に採用を実施し、養成していく方針です。 他職種につきましても、資格保持者の養成などにより人材を確保しております。
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リスクの内容 |
当該リスクに対する対応策等 |
⑨ 企業文化が維持できないリスク 運航乗務員等の専門性を有した資格保持者だけではなく、スターフライヤーの運営に必要な人材の確保も重要です。景気の拡大や労働人口の減少による人材獲得競争がいっそう激しくなり、人材を確保できない場合は、人件費の上昇の可能性も含め、スターフライヤーの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、スターフライヤーは、快適かつ質の高い移動空間・サービスの提供に努め、他社にはない新たな価値を創造し、企業理念である『感動のあるエアライン』を目指しております。このような企業理念を堅守する文化が、コストを低く抑えながらも高品質のサービスの提供につながるものと考えております。 スターフライヤーの持続的な成長のために人員の採用を行っておりますが、教育および企業風土や文化の浸透が不足した場合には、この企業文化が薄れ、スターフライヤーの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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社員の流失防止のため、処遇の改善だけではなく、スターフライヤーの一員としての自覚、帰属意識を醸成することで会社に対するエンゲージメントの強化を図っております。社員研修や全社プロジェクトへの参画等、乗務や専門業務だけでなく「企業理念を体現し一翼を担う社員」であることを自覚する機会の創出につながる取り組みを実施しております。 各種社内取り組みへの参画等により社内の意識醸成を進め、企業風土や文化の継承に努めております。 |
⑩ 人事・労務に関するリスク スターフライヤーの従業員の多くは労働組合に所属しており、スターフライヤーの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、スターフライヤーの航空機の運航に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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集団的な闘争行為が発生しないよう、日ごろから良好な労使関係を築くようにしております。 |
⑪ 特定会社への依存 スターフライヤーは、全日本空輸株式会社との間で以下の取引を行っております。 イ)コードシェア協力契約を締結して国内線の共同運航(コードシェア)を行っております。 ロ)予約販売業務請負契約ならびに情報システム利用に関する契約を締結し、国内線のスターフライヤー航空券の販売ならびに空港ハンドリング業務等について同社の情報システムを用いており、またスターフライヤーの営業未収入金のうち当該事業の販売額は、別途契約のある一部の販売代理店や法人顧客向けのものを除き、同社より回収することとなっております。 ハ)空港ハンドリング業務のうち一部を同社に委託しております。 また、ANAホールディングス株式会社はスターフライヤーの筆頭株主であり、航空機リース契約を締結しております。 このようにスターフライヤーは、航空運送事業において特定会社に依存しております。提携等を解消するような状況となった場合には、運航に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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当該の特定会社とは良好な関係を維持しております。 なお、国際線につきましては、2020年3月より運休しておりますが、全日本空輸株式会社とのコードシェアは実施しておらず、旅客システムも別会社のものを使用しております。 |
⑫ 情報システムへの依存 スターフライヤーは、予約販売、搭乗手続き及び運航管理等の業務を情報システムにより管理・運用しております。当該システム及び情報システムを支える通信インフラ等に障害が生じた場合には、運航に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
予約販売、搭乗手続き及び運航管理等の基幹業務は全日本空輸株式会社の情報システムを使用しており、同社により様々な障害対策が講じられております。また、スターフライヤーシステムであるWEBサイトや会員管理システム等についてはハードウェアやネットワークを二重化するなどの障害対策を講じております。
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リスクの内容 |
当該リスクに対する対応策等 |
⑬ 法的規制 スターフライヤーの行う航空運送事業は、各国との航空協定等の国際協定をはじめ航空法及び関係諸法令による規制を受けており、また、国土交通省航空局による監督を受けております。当該規制に基づきスターフライヤーは、航空運送事業運営者としての「事業許可証」、各空港における事業運営のための「事業場認定書」及び「業務規程認可書」、並びに運航する全ての航空機に対する「航空機登録証明書」及び「耐空証明書」を国土交通省航空局より交付されております。 航空機の安全性を示す「耐空証明書」については、原則1年単位での検査による更新手続きが必要となっているものの、スターフライヤーの整備体制が継続的に安全性を確保できるものと当局から評価されていることから、現状の整備体制を維持することで有効性が持続する「連続式の耐空証明」を維持しております。 これらの規制等を遵守できなかった場合には、行政処分によりスターフライヤーの事業活動が制限され、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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スターフライヤーでは、これらの規制に継続して適合させていくため、適材適所で専門性を有した人材を配置し、安全管理体制並びに品質管理体制を構築しております。なお、当事業年度末現在、許認可等の取消に係る事象はございません。 |
(主な許認可等の状況)
許認可等の名称 |
所管官庁 |
有効期限 |
事業許可 |
国土交通省 |
なし |
航空機登録証明 |
同上 |
なし |
事業場認定 |
同上 |
2026年1月 |
業務規程認可 |
同上 |
なし |
耐空証明 |
同上 |
原則1年 但し、スターフライヤーは連続式耐空証明を取得しているため有効期限なし |
リスクの内容 |
当該リスクに対する対応策等 |
⑭ 顧客情報の取扱い スターフライヤーは、顧客に関する個人情報を保有しております。不正アクセス等の巧妙化に伴いその対策としてのセキュリティに関する必要コストがさらに増加した場合、スターフライヤーの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、何らかの原因により個人情報が漏洩した場合、顧客からの信用不安や社会的信用の低下により、スターフライヤーの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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スターフライヤーは、個人情報保護法及び個人情報保護に関する社内規程に基づき、適切な管理・運用を行い情報セキュリティの強化に取り組んでおります。 個人情報のデータベースについては、アクセス権限や履歴の管理等を実施しております。また、サイバーセキュリティ対策についても適宜強化を図っており、不測の事態に備え専門事業者賠償保険(サイバーリスク保険)に加入し、情報漏洩時の賠償責任リスクに備えております。
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⑮ 業績の季節変動性について スターフライヤーが属する航空業界においては、夏季休暇、年末年始休暇、春季休暇に旅客需要が増大する傾向があるため、スターフライヤーの業績につきましても季節変動が生じる傾向があります。なお、今後の新規路線の就航や就航便数の増加、天候不順等により、当該季節変動とは異なる傾向となる可能性もあります。 |
スターフライヤーでは季節変動による需要の変化については、業績予想に織り込んでおります。 閑散期においては、プロモーションや各種キャンペーンなどを展開し、季節変動を最小限に抑えています。またビジネス需要の取り込みにより、年間を通じての安定的な収入確保に努めております。
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⑯ スターフライヤーの財政状態(有利子負債)について スターフライヤーでは現在、航空機を主にオペレーティング・リースにより調達し、財務諸表上はオフバランスとなっております。2024年3月期末における未経過リース料の総額は20,071百万円です。 スターフライヤーはこれまで必要資金を金融機関からの借入れやファイナンス・リースにより調達した結果、2024年3月期末における有利子負債残高が5,777百万円となり、総資産に占める割合が24.5%となっております。このため、今後金融情勢が悪化することで金利負担が増加した場合、スターフライヤーの業績に影響を与える可能性があります。
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各金融機関と良好な関係を維持するよう努めております。 スターフライヤーの業績が好調な時期には、繰上げ返済を行うなど、有利子負債の削減に努めております。 |
⑰ 将来の資金調達について スターフライヤーが事業を今後さらに拡大するためには、継続して航空機の導入等のための資金調達が必要であります。当該資金につきましては、外部からの資金調達(借入れ・リース)もしくは今後の内部留保によって確保する必要がありますが、今後適時に十分な資金を確保できない場合は、新たな路線展開等のビジネスチャンスを活かすことができなくなるため、将来のスターフライヤーの業績への影響並びにスターフライヤー事業計画の遅延や変更が生ずる可能性があります。
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航空機材の導入に当たっては、複数のリース会社より提案を受けるなどして、幅広い選択肢から妥当なものを選択するようにしております。 |
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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