乾汽船(9308)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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乾汽船(9308)の株価チャート 乾汽船(9308)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

乾汽船の企業集団は、乾汽船と子会社3社で構成され、その業務は外航海運事業、倉庫・運送事業、不動産事業を展開しております。
 乾汽船は子会社3社を連結決算上の対象子会社としております。
 乾汽船グループの事業内容及び乾汽船と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
 

外航海運事業(ロジスティクス)

子会社または船主(同業他社)より定期用船した船舶による貨物輸送(自社運航)と、用船者(同業他社)への定期用船を行っております。また、主に乾汽船への定期用船を行っているのが、DELICA SHIPPING S.A.であります。

(連結子会社)

DELICA SHIPPING S.A.

 

② 倉庫・運送事業(ロジスティクス)

・倉庫保管事業

顧客のために物品を倉庫に保管し、その対価として保管料等を収受する事業であります。普通倉庫業のほかに保税蔵置場の許可を受け関税未納輸出入貨物の保管業務を行っています。また、主に庫内作業を行っているのが、イヌイ倉庫オペレーションズ㈱であります。

・文書保管事業

国土交通省の認定を受け文書箱や什器等を倉庫に保管し、その対価として保管料等を収受する事業であります。

・貨物運送事業

乾汽船倉庫他の寄託貨物を運送する事業であります。また、主として乾汽船倉庫の受寄物の自動車運送に係る業務を行っているのが、イヌイ倉庫オペレーションズ㈱であります。また、自動車運送に係る業務や引越し業務を行っているのが、イヌイ運送㈱であります。

(連結子会社)

イヌイ運送㈱、イヌイ倉庫オペレーションズ㈱

 

③ 不動産事業

勝どきエリアを中心に、自らが所有する住宅及び事務所等を賃貸する施設賃貸業を行っております。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 乾汽船は、2023年4月に新中期経営計画「不易流行」(計画期間:2023年4月~2026年3月)を策定しております。計画の詳細は、乾汽船ホームページをご参照ください。

(https://www.inui.co.jp/ir/library/managementplan.html)

 本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において乾汽船グループが判断したものであります。

1.経営の基本方針

 乾汽船の経営の基本方針については、①資産の力を事業の力に、②FUN to WORK、③「らしさ」の追求、という3つを定めております。

 ① 資産の力を事業の力に

 未来に向かって進化を続ける勝どき・月島は施設賃貸業の適地であり、乾汽船の収益と財務基盤を支えます。この優良な資産がさらに成長する機会が到来します。再開発の期間は事業が資産を支えます。強化される資産の力は更なる基盤の強化となります。

 ② FUN to WORK

 やりがい×いきがい=FUN、としました。そもそも小さい会社です。人と人とが支え合って、助け合って此処まで来ました。新しい働き方や、Digitalの力もうまく使っていきますが、ひとり一人のニンゲン力、これからも大切にしていきます。

 ③ 「らしさ」の追求

 われらの「らしさ」は、実業に向き合い、地道な努力を練り込みながら生まれます。「らしさ」は差別化の源泉です。他と違うことを恐れず、素直に独自性を追求する、それがわれらの不易流行です。

2.経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、インバウンド需要の拡大や商品価格の見直しによる堅調な企業業績により、景気は緩やかながらも持ち直し傾向が見られました。一方で、中東情勢の緊迫化、資源価格や原材料価格の高騰、円安基調の長期化など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 外航海運事業においては、乾汽船の業容であるハンディ船の輸送能力は、今後も続く大型環境規制への技術的・経済的な対応の難しさから船腹の緩やかな減少が予想されることや、船舶燃費規制下での省エネ運航により、減少もしくは停滞していくことが予想されます。世界に遍在しており、世界人口の増加と強い相関を持つバルク資源材は、世界の平和を前提とした場合には緩やかに需要が増加します。ハンディ船輸送能力の停滞・減少と、バルクハンディ需要の緩やかな増加から、乾汽船の外航海運事業における事業環境は長期的には明るいと考えております。一方で短期的には、世界経済の動向、地政学的な要因や、自然災害など、さまざまな要因の影響を受けます。パナマ運河の通航制限などの市況引き締め要因もありますが、中東情勢の緊迫化、中国経済の減速停滞、インフレや金融引き締めによる投資抑制など世界的な経済活動の低迷が懸念されます。

 倉庫・運送事業においては、乾汽船事業は一般倉庫、文書倉庫、引越事業の3領域で構成されており、一般倉庫においては売上高の約1/3を紙の荷主に依存している状況です。こうした事業構成に対し、一般倉庫・文書倉庫においては急激なペーパーレス化により取扱量は減少しており、電子帳簿保存法、インボイス制度等により、こうした潮流は今後更に加速していくと考えております。また、引越事業においてもコロナ禍での働き方の変化により需要が減少しており、今後もコロナ前の水準に戻ることはないと予測していることから、核となってきた一般倉庫の紙、文書倉庫、引越の何れもが、厳しい将来に直面するものと想定しております。

 不動産事業においては、乾汽船主要施設の立地する勝どきエリアと隅田川対岸に位置する築地市場跡地再開発計画が始動することや、都心部・臨海地域地下鉄構想による交通インフラの進化、また勝どき・月島エリアには今後新たに約13,000戸の住宅供給計画があることから、乾汽船主要施設の立地するエリアは都心にある水辺のResidence Zoneとして継続発展し、ますます便利で魅力的な住む街へ進化していくと想定しております。

 

 

3.中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ① 中長期的な会社の経営戦略

 乾汽船の祖業は、海運業であり、倉庫業です。乾汽船グループの仕事は、人の営みに欠かすことのないモノを運ぶ実業の一端を担っており、産業や社会を支えている自負と共にあり、この想いは不易です。

 不易であるために、地球環境問題を考え、より良い社会の実現を願い、よく制御された統治の中で、より良い物流、より良い経営を目指します。

 世界の海で「よくはこぶ」外航海運セグメント、日本の「よくはこぶ」を支える倉庫・運送セグメント、乾汽船グループの「よくはこぶ」を支える不動産セグメントという、「よくはこぶ」が礎にある3つの事業を通じて社会に貢献する、その実践が乾汽船グループの存在理由です。

 Sustainableな実業に向かい実現可能な提案と実践を重ねることで「よくはこぶ」を実現するため、多種多様な要求から、如何に持続的価値を導き出すかという挑戦を続けていく、こうした思いから長期ビジョンとして「よくはこぶ」を掲げ、2023年4月に新中期経営計画「不易流行」(計画期間:2023年4月~2026年3月)を策定しております。

 配当方針については、「事業特性」、「中長期的成長を重視した経営資源の配分」、「財務基盤」の3つのバランスがとれた株主還元策であることを基本とし(株式市場環境等を踏まえ自己株式取得する場合を含む)、以下に記載の従来の方針を継続します。

・従来どおり「良いときは笑い、悪いときにも泣かない」方針とします。

・業績に応じて、良いとき、悪いときの判断基準および最低配当額を定め、「悪いとき」にも無配を前提にはしません。

・また、「良いとき」には配当性向の累進による増配を提案してまいりたいと考えます。

② 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 1)外航海運事業

・事業方針

ご長寿お達者

航行のムダ排除と安心安全

徹底した効率配船

・施策

 地球環境を考えると新造船の発注は難しくなりました。しかし、船稼業には船舶が必要です。船隊整備の要諦は、勇気と資金と長期目線と心得ます。

 そして、世界の変異に激しく振り回されるのが外航海運業です。予測不能の事態が、しばしば勃発しますが、鍛え続ける地力で対応します。

 

 乾汽船外航海運事業の事業領域であるハンディ船においては、今後も船腹の供給が難しい状況が継続すると考えております。そうした状況下で、船価動向や環境規制対応をにらみながらフレキシブルに船隊を整備すること、既存スクラバー搭載船を延命し、既存燃料でも「よくはこぶ」力を維持することにより船隊規模を確保することで効率航行にも寄与することは、温暖化ガス排出量/輸送量の削減へつながります。環境にも配慮しつつ、「よくはこぶ」力を削がずに更に強化し、Handy市場での存在感を増していきながら、長期的に「よくはこぶ」Handy船隊を運営してまいります。短期的な見通しの難しさに対しては、変事には予測力より対応力を重視してまいります。

 2)倉庫・運送事業

・事業方針

自動化・ロボ化が入りにくいニッチな実需に対応

足・手・倉の進化⇒2027年、新たな「業」へ

・施策

 核となってきた紙製品、文書保管業、引越の何れもが、厳しい未来に直面しようとしています。縮みゆく消費は、弱者の敗退を加速させます。

 FUN to WORKを実践する現場のためにも、新しい「よくはこぶ」をつくり上げねばなりません。

 

 

 乾汽船の倉庫・運送事業の事業領域は、多様な小口荷主が主体で、標準化が難しいニッチな領域であるため、大型投資を前提とした自動化、ロボ化は適しません。また倉庫の多くが人を集めやすい市街地に立地していることも特性です。こうした特性の中、①カイゼン+FUN to WORKの更なる追求により現場力、働きやすさを更に向上させること、②これまでも取り組んできたSOS(倉庫オペレーションシステム)をデジタル化への導管として更に進化させること、③Advanceへの実証実験を行うことで実業実務の効率化検証をおこなうことと業務設計力を強化させること、の3つを「Basic」と定義し、更に進化しながら、自動化・ロボ化が入りにくいニッチな実需に引き続き対応してまいります。

 また、①足(配送力):NPO法人が提供する配送マッチングサービスを活用し、求荷求車の新しい仕組みを提案・実践していくこと、②手(現場力):現場の業務要件をアンバンドル/リバンドルすることでギグワーカーなどさまざまな働き方の人材を活用可能にすること、③倉(展開力):既存の倉庫業ネットワークのデジタル結合で境目を低くすることで、倉庫を立地に縛られずもっとムダなく活用するべく試みていくこと、の3つの取組みを「Advance」と定義し、足(配送力)・手(現場力)・倉(展開力)の進化に取り組んでまいります。「Basic」+「Advance」をテーマに、2023年度から5年間(2027年度まで)を目途に新たな業域を開拓していきます。

 3)不動産事業

・事業方針

既存物件での実証実験を経て、この街での新しい「住みごこち」を実現

・施策

 築地市場跡地の再開発が動き出しました。この対岸、隅田川・勝どき橋を挟んだわれらの既存施設は、この時を待っていました。巨大開発に呼応しながら、構想10年のわれらの再開発がはじまります。

 

 乾汽船不動産事業が長く根差してきた勝どきは、築地市場跡地再開発計画の隅田川対岸に位置しております。築地市場跡地再開発という巨大計画に呼応し、構想10年を要してきた、乾汽船既存物件であるプラザ勝どき再開発計画(Neo Plaza Kachidoki~NPK~)が始動します。既存の物件では安定高稼働に向けた目標設定と実践を行いながら、これまでも居住者と一体になった防災への取り組みなど、様々な取り組みを通して構築してきた乾汽船独自の価値観・ノウハウ・リソースに基づく事業コンセプトに基づいた事業を展開してまいりました。これからもこうした取り組みを続け、「住まう人とつくる住みごこち」を指向し高めてまいります。既存物件での取り組みを「NPK」の実証実験の場ともすることで、NPKにおける事業コンセプトを洗練化し、また広域エリアの進化を見据えた事業計画を詳細化してまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

乾汽船グループの経営成績、財政状態及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、乾汽船グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1)船舶の安全運航、環境問題によるリスク、または、海難事故によるリスク

乾汽船グループは、SOLAS条約(海上人命安全条約)に基づくISMコード(International Safety Management Code/国際安全管理規則)及びISPSコード(International Ship and Port Facility Security Code/国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律)等の条約適合証書を取得し、それらをグループ内に浸透させ運用しております。海難事故発生時には、乾汽船グループの主要な事業資産である船舶の破損により物理的被害が生じると同時に、人的被害及び環境破壊が発生する可能性があります。

また、油濁事故等による海洋汚染が発生した場合、乾汽船グループの外航海運事業及び業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業環境変動のリスク

外航海運事業においては、世界各国の経済動向、政治的・社会的要因が事業に影響を及ぼす可能性があります。特に主要な船舶の就航区域である、中国、アメリカ、大洋州(またはオセアニア)、ASEANの景況は運賃及び不定期船市況に影響を及ぼします。また、特に乾汽船の扱い船舶であるハンディサイズ船においては、今後の環境規制への技術的・経済的な対応の困難さから、船腹供給が滞る可能性があります。乾汽船では、船価動向や環境規制の動向をにらみながら、フレキシブルに船隊を整備してまいります。

 

倉庫・運送事業においては、景気動向の変化及び顧客企業の物流コスト抑制・事業再編等が、乾汽船グループの業績に影響を与える可能性があります。また、特に一般倉庫・文書倉庫事業においてはペーパーレス化による紙取扱量減少、引越事業においては働き方改革による需要減少の影響が想定されます。

 

不動産事業においては、首都圏における賃貸市場の需給バランスの変化や市況動向等の影響を受ける可能性があります。

 

(3)自然災害、人災等によるリスク

乾汽船グループは、外航海運事業、倉庫・運送事業、不動産事業を展開するにあたり、多くの船舶や施設を有しております。そのため、地震、暴風雨、洪水その他の自然災害、事故等が発生した場合には、船舶や施設の毀損等により、乾汽船グループの事業に悪影響を及ぼし、また、所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

特に、不動産事業においては、所有する施設が勝どき・月島エリアに集積していることから、このエリアで大規模災害が発生した場合には、不動産事業に甚大な支障を来たす可能性があります。そのような状況において、乾汽船は、収益の多くを勝どき・月島エリアに頼る構造となっているため、会社事業への影響悪化も甚大となる可能性があります。再開発時には、地震に対して強い構造への変換(2004年制震、2013年低層)を念頭におき、次なる再開発の計画を進めております。また、主導的積極的に、住民と共に災害への備えを行っております。

 

(4)資産価格変動のリスク

乾汽船グループが保有する資産(船舶、土地、建物、投資有価証券等)の収益性や時価が著しく下落した場合には、減損または評価損が発生する可能性があります。

また、不動産資産については、その担保価値を利用して資金調達を行っており、資産価値が下落した場合には資金調達へ影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

(1)各種規制変更のリスク

乾汽船グループは、現時点の規制及び基準等に従って事業を展開しております。将来における規制及び基準等の変更並びにそれらによって発生する事態が、乾汽船グループの業務遂行及び業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

(2)金利変動のリスク

乾汽船グループの設備資金及び運転資金は、その大部分を金融機関より調達しております。調達した資金の金利リスクについては、金利スワップ取引による金利の固定化や有利子負債の削減等でヘッジするべく努めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利変動の影響を受ける可能性があります。また、金利の変動により、将来の資金調達コストに影響を与える可能性があります。

 

(3)情報システムのリスク

乾汽船グループは、基幹業務システムについて情報セキュリティや自然災害に対する安全対策をとる等、コンピューターの運用を含めた安全管理を図り不正アクセスを防止・監視する管理体制をとっておりますが、外部からの不正侵入により乾汽船に重大な損害が発生する可能性があります。

 

(4)為替レートの変動

乾汽船グループにおける外航海運事業の売上高の大部分は、米ドル建ての運賃及び定期貸船料が占めております。一方で、運航費や用船料(借船料)、船員費・潤滑油費等の主な費用については米ドル建ての割合が高いものの、国内で発生した船舶修繕費や一般管理費の多くが円建てであります。費用のドル化を進めているものの、米ドル建て収入と米ドル建て費用の収支のバランスによって、米ドル建て取引の円換算時において、為替変動が損益に悪影響を及ぼす可能性があります。

乾汽船グループは、為替換算の実現差損の縮小を図るため、円売りドル買いやドル売り円買いの為替取引を極力行わないよう円資金とドル資金それぞれでの資金繰り管理を行っております。一方で、急激な円安局面は、将来の円資金需要確保のためのドル売り円買いを行う好機であると認識しております。

また、乾汽船グループは、外貨建ての資産及び負債を保有しており、その資産と負債の差額が、為替変動によって、決算時評価損益として収支に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)船舶燃料価格の変動

船舶運航に必要な船舶燃料については、SPOT契約においては都度足元の燃料価格あるいは船舶が保有する燃料価格に基づき運賃を算出しているため、燃料価格変動を運賃へ転嫁しております。しかし、急激に変動した場合は、運賃へ転嫁できず運航船の収支に影響を及ぼす可能性があります。そのため、燃料価格が国内に比べ安価なシンガポール等で調達することや、先物予約によるヘッジにより、燃料費の安定化に努めております。

 

(6)借入金の財務制限条項

乾汽船グループの借入金の一部には、財務制限条項が付されているものがあり、これに抵触した場合には、期限の利益喪失等、乾汽船グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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