アルファポリス(9467)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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アルファポリス(9467)の株価チャート アルファポリス(9467)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 アルファポリスは創業以来「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新エンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業を営んでおります。

 

1.ビジネスモデル

 アルファポリスは、Webサイト及びアプリ上においてアルファポリスが運営する小説・漫画等の投稿サイトに投稿されたコンテンツの内から、サイト内でのユーザー評価を参考に、書籍として出版すべきコンテンツを調達しております。調達後は、編集部において、コンテンツの品質・商品力を向上させた後、書籍として出版することで収益をあげております。そのビジネスモデルのイメージは次のとおりです。

 アルファポリスのビジネスモデルは既存の出版社と、①書籍となるコンテンツの調達元、及び、②書籍化すべきコンテンツの選定方法が異なっていることが特徴です。

 

①書籍となるコンテンツの調達元

 インターネット環境が整備されることで、個人が作成したコンテンツをインターネット上に公開することが容易となり、インターネット上には多くのコンテンツが現れてきております。アルファポリスは、そのインターネット上からコンテンツを調達することにより安定的に多点数の書籍化が可能となっております。

 

②書籍化すべきコンテンツの選定方法

 アルファポリスはインターネット上での多数のユーザー評価を参考に、一定以上の読者ニーズを見極めた上で、アルファポリス編集部内でアルファポリス刊行書籍のジャンルとの親和性や書籍市場の動向等もあわせ総合的に判断し、書籍化すべきコンテンツの選定を行っております。そのため、書籍刊行に要した費用を回収するだけの売上高が確保できないリスクの低減が可能となっており、また、そのような不用意な書籍化を回避することにより、限りある経営資産の有効活用が図れております。

 

 一方で、アルファポリスのビジネスモデルは、インターネット上にて良質なコンテンツが数多く収集でき、かつ、多くのユーザーにより多角的に評価されることで出版時の成功率が事前に高められることを前提に成り立っておりますので、継続的な新規コンテンツ及びユーザーの確保が必要不可欠となっております。

そのため、アルファポリス投稿サイトでは、作家及びユーザーの双方にとって魅力的なサービスである「Webコンテンツ大賞(毎月、ジャンルを変えて最も読者に人気のあるコンテンツ及びアルファポリス編集部内で最も評価の高いコンテンツを選出し、賞金の贈呈に加えて受賞作として書籍化を検討。加えて、投票したユーザーに対しても抽選で賞金を贈呈。)」の実施や、書籍化を目指す作家の積極的なチャレンジを促す「出版申請制度(アルファポリス投稿サイト内で、一定以上の人気を博しているコンテンツの場合、その作家はアルファポリスに対して書籍化の検討を依頼することができる制度。)」及び「投稿インセンティブ(投稿作品の人気度に応じ、その作家に対して報酬(Amazon ギフト券など)をお支払いする制度。)」の実施等、作家にとって魅力的なサービスやイベントを開催することにより、コンテンツの拡充に努めております。

また、2017年2月からは、アルファポリス投稿サイト内において、これまで書籍化に伴い非公開処理又はダイジェスト化していたコンテンツを一定期間に限り閲覧することが出来る「レンタル」サービスを開始し、さらに2021年7月には海外向けの漫画アプリ「Alpha Manga」を配信してサービスのグローバル展開をしております。これらにより、アルファポリス投稿サイトは、コンテンツの調達機能だけでなく、販売サイトとしての機能が加わることで、調達から販売までの垂直の幹を太くすることも目指しております。

 

2.取扱書籍

 アルファポリスが取り扱っている書籍は(1)ライトノベル(表紙や挿絵にアニメ調のイラストが用いられており、また一般の小説より軽妙な文体でストーリーが描かれている小説)、(2)漫画、(3)文庫、(4)その他、の4つのジャンルに分けられます。

 

(1) ライトノベル

 ライトノベルは、売上高の約23%を占め、のちに漫画化される作品も数多く存在する重要なジャンルとなります。なお、アルファポリスライトノベルは文庫本サイズではなく、単行本サイズ(文庫本より大きく、高価格)であることが特徴となっております。
 当ジャンルに含まれる主力レーベル等は次のとおりです。

 

① 男性向けのライトノベル

10代向けの文庫ライトノベルを卒業したと言われる、20代後半から30代の男性をターゲットとした単行本書籍を刊行しております。代表作としては、シリーズ発行部数累計(注)730万部を超え、2015年7月にTVアニメ化された『ゲート』や、同累計500万部を超え、TVアニメ第3期を制作中の『月が導く異世界道中』が挙げられます。

 

② エタニティブックス

2009年9月に創刊したレーベルで、30代から40代の女性向け恋愛小説を刊行しております。代表作としては、シリーズ発行部数累計33万部の『152センチ62キロの恋人』、同累計29万部の『君が好きだから』、同累計27万部の『ナチュラルキス』が挙げられます。

 

③ レジーナブックス

2010年11月に創刊したレーベルで、20代から30代の女性向け新感覚ファンタジー小説を刊行しております。代表作としては、シリーズ発行部数累計247万部を突破した『異世界でカフェを開店しました。』、同累計245万部を超え、2026年のTVアニメ化が決定した『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』、同累計154万部を超え、2025年秋にTVアニメ放送を予定している『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』が挙げられます。

 

④ ノーチェブックス

2014年2月に創刊したレーベルで、20代から30代の女性をターゲットとした煌びやかな世界で繰り広げられる甘く切ないラブロマンス小説を刊行しております。

 

⑤ アンダルシュノベルズ

2021年3月に創刊したレーベルで、ファンタジー世界を舞台としたボーイズラブ小説を刊行しております。

 

(2) 漫画

 2012年から本格的に取り扱いを開始しているジャンルとなります。

 漫画ジャンルでは、アルファポリスのライトノベルで人気を博した作品(『ゲート』、『月が導く異世界道中』、『異世界でカフェを開店しました。』、等)の漫画化(二次出版)を行っております。二次出版に至るまでには、原作であるライトノベルの人気を確認するだけではなく、漫画化された作品をアルファポリスWebサイト上で公開し、一定以上の人気があることを確認するプロセスを踏んでおりますので、出版時の成功率が事前に高められていることが特長といえます。また、漫画として二次出版することにより、原作であるライトノベルの売上高の増加が期待できることも特長といえます。

 その一方で、漫画を更に成長させるためには「オリジナル漫画」の育成が必要であるとの考えから、アルファポリスビジネスモデルを漫画にも適用することで、Web発となる次世代作家の発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。

 また、当ジャンルは電子書籍との親和性が非常に高く、加えて戦略的に電子書籍販売の体制強化を図っていることから、当事業年度においては、アルファポリス売上高の約75%を占めるジャンルに成長しております。

(3) 文庫

 当ジャンルでは、市場において単行本ではなく文庫本での販売が主流となる「キャラ文芸」や「時代小説」等のジャンルに属する作品を文庫本として刊行しております。アルファポリスでは更なる業績拡大及びポートフォリオ最適化の観点から、特定ジャンルに依存しないよう取扱いジャンルの拡大に注力しており、文庫において幅広いジャンルの書籍刊行を推進することで、新規ジャンルの開拓、強化に取り組んでおります。

 さらに当ジャンルでは、ライトノベルやその他のジャンルから刊行された単行本の廉価版として、文庫本化を行っております。文庫本化することで、単行本の価格帯では躊躇していた読者層に対しても販売機会を逃さず、収益の最大化に努めております。

 

(4) その他

 その他には、ライトノベルに属さない一般文芸書、ビジネス書、絵本等が含まれます。

 一般文芸書の代表作としては、2014年5月に刊行した『居酒屋ぼったくり』(2018年4月にTVドラマ化。シリーズ発行部数累計150万部。)、絵本の代表作としては、「絵本・児童書大賞」に応募された文字のみのストーリーであったものに、人気イラストレーターの絵を付けることで誕生した『わたしのげぼく』(同6万部)が挙げられます。

 

 (注)シリーズ発行部数累計:同作品の続編に加え同作品の漫画及び文庫を含み、部数は電子書籍販売数を含む。

 

3.他メディア展開作品

 アルファポリスの作品のうち、他のメディアに展開した作品は以下のとおりです。なお、アルファポリスは作品の二次的利用に関する権利を有しており、他メディア展開の際にはそのメディア媒体と交渉する窓口となっております。

作品名

作家

ジャンル

実績

Separation

市川拓司

一般文芸書

日本テレビ系列にて

連続テレビドラマ化(2003年7月)

発行部数累計16万部

虹色ほたる

川口雅幸

一般文芸書

・漫画(児童書)

東映アニメーションにより映画化(2012年5月)

シリーズ発行部数累計50万部

THE QUIZ

椙本孝思

男性向けライト

ノベル・漫画

日本テレビにてドラマ化(2012年9月)

シリーズ発行部数累計7万部

ゲート

柳内たくみ

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2015年7月)

シリーズ発行部数累計730万部

居酒屋ぼったくり

秋川滝美

一般文芸書

・漫画

BS12にてドラマ化(2018年4月)

シリーズ発行部数累計150万部

とあるおっさんの

VRMMO活動記

椎名ほわほわ

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2023年10月)

シリーズ発行部数累計208万部

月が導く異世界道中

あずみ圭

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化 第1期(2021年7月)

TVアニメ化 第2期(2024年1月)

シリーズ発行部数累計500万部

Re:Monster

金斬児狐

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2024年4月)

シリーズ発行部数累計192万部

THE NEW GATE

風波しのぎ

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2024年4月)

シリーズ発行部数累計320万部

異世界ゆるり紀行

水無月静琉

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2024年7月)

シリーズ発行部数累計158万部

さようなら竜生、

こんにちは人生

永島ひろあき

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2024年10月)

シリーズ発行部数累計120万部

いずれ最強の

錬金術師?

小狐丸

男性向けライト

ノベル・漫画

TVアニメ化(2025年1月)

シリーズ発行部数累計120万部

 

4.アルファポリス投稿サイトの総コンテンツ数

アルファポリスビジネスモデルの基幹となるアルファポリス投稿サイトの総コンテンツ数は、タグ機能の追加や、新たなジャンル「ライト文芸」等の追加に代表される様々な施策を展開することで順調に推移しております。

当事業年度末時点において、アルファポリスWebサイト内のコンテンツ数累計は233,231点となっております。

 

5.紙書籍の販売物流業務

アルファポリスは、将来的にはコンテンツを活かした多角展開を見据えておりますので、限られた経営資源は編集等に注力すべきだとの考えから、紙書籍に関する書店と出版社をつなぐ流通業者(以下、「取次」という。)との取引業務は、仲介業者(以下、「中取次」という。)を介して行っております。

なお、各書店への販促活動、市場動向の調査を主な目的とした書店営業は、基本的にはアルファポリスで実施しております。(首都圏以外の地方営業は効率性の観点から外部業者に委託しております。)

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 アルファポリスの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてアルファポリスが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネットを軸に新しいエンターテインメントを生み出し、提供する、最強のエンターテインメント企業を目指しております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 アルファポリスオリジナルのビジネスモデルを活かして、より一層、出版事業の拡大を図ると共に、出版事業を通して蓄積した自社IP(小説・漫画・キャラクターなど)を活用して、映像事業、キャラクター事業、ゲーム事業などの分野にも積極的に展開することを目指しております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 アルファポリスは、より高い成長性を確保する観点から「売上高」の伸び率において、市場全体の伸び率を上回ることを重視しております。加えて、企業価値の拡大を図るという観点にも立ち、「営業利益」及び「当期純利益」も重要な経営指標としております。

 

(4)経営環境

 アルファポリスが属する出版業界におきましては、紙の出版物の市場は厳しい状況が続いているものの、一方で電子出版の市場は堅調な成長を続けております。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2023年(1月から12月まで)の紙と電子を合算した推定販売金額は前年比2.1%減の1兆5,963億円となり、その内訳は、紙の出版物については同6.0%減の1兆612億円、電子出版については同6.7%増の5,351億円となっております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 アルファポリスは、更なる成長に向け、激しく変容する出版市場を好機と捉え、素早く対応することで出版事業の増強をはかるとともに、将来的には出版事業にとどまらずエンターテインメント企業として出版事業で蓄積したIPを活かした他事業展開を目指しております。その目的に際して、アルファポリスが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりです。

 

① 優秀な人材の確保・育成

 アルファポリスの編集担当者は書籍ごとに配置され、その担当者の受け持つ領域は、企画、編集、販促ツール制作、広告出稿等、書籍の制作から売上に結びつくまでに必要な全ての業務となります。そのため、担当者ごとの成果がわかりやすく、モチベーションが維持しやすい仕組みとなっておりますが、同時に幅広い知識とスキルが求められます。

 その一方で、昨今の読者ニーズは非常に移り変わりが激しく、出版するタイミングが極めて重要となってきております。更に、今後は取扱ジャンルの拡大を目指しているため、編集担当者を増強し、ヒットが見込まれる作品はタイミングを逃すことなく確実に刊行していくことが必要となります。

 加えて、取扱ジャンルを拡大するためには、スマートフォンアプリを含めたアルファポリスWebサイトのサービスを充実させ、調達可能なコンテンツの種類が拡大していることが前提となりますので、Webサイトサービスの速やかな対応を行うためにも、エンジニアをはじめとするWeb開発人員の増強も必要となってきます。

 アルファポリスといたしましては、即戦力となる中途人材の確保を促進することに加え、積極的な新卒採用活動を行うことにより、将来の飛躍的な成長を担う人材を確保することに努めております。また同時に、社内教育の充実及びアルファポリス並びにアルファポリスサービスの知名度を向上させるための施策を継続的に実施することにより、志望者を引き付ける企業作りも行っております。

 

② 作家・ユーザー数の拡大

 アルファポリスのビジネスモデルは、インターネット上にて良質なコンテンツが数多く収集でき、かつ、多くのユーザーにより多角的に評価されることで出版時の成功率が事前に高められることを前提に成り立っておりますので、継続的な新規コンテンツ及びユーザーの確保が必要不可欠となっております。

 そのためには、作家・ユーザーの方の満足度向上が重要であると認識しておりますので、アルファポリスといたしましては、投稿作品の閲覧数等に応じてギフト券や現金を得られる「投稿インセンティブ」の実施や出版物に対するプロモーション等を積極的に実施することに加えて、作家・ユーザーの方からのアルファポリスWebサイトに対するリクエストにも適宜対応することで、その実現を目指しております。

 

③ 取扱書籍のジャンル拡大

 アルファポリスの売上高の約24%はライトノベルが占めており、また売上高の約74%を占める漫画につきましても原作がライトノベルであるコミカライズ作品が多く、ライトノベルへの依存度は高いものとなっております。そのため、更なる業績拡大及びポートフォリオ最適化の観点から、特定のジャンルに依存しないよう、取扱書籍のジャンル拡大を課題の一つに位置付けております。

 アルファポリスといたしましては「キャラ文芸大賞」、「歴史・時代小説大賞」、「絵本・児童書大賞」等幅広いジャンルでのWebコンテンツ大賞を開催、強化することを通じて、新たなジャンルの開拓にも積極的に取り組んでおります。

 

④ 電子書籍市場への対応

 アルファポリスの属する出版業界におきましては、電子書籍市場は堅調に拡大しており、アルファポリスにおきましても電子書籍販売を本格的に開始した2015年度以降、電子書籍売上は順調に増加し続けております。

 その一方で、電子書籍の市場環境は紙書籍に比して変化が激しいことから、従来の紙書籍コンテンツとは異なる、環境変化に応じた柔軟な対応を取ることが電子書籍売上の維持・拡大には必要となります。

 アルファポリスといたしましては、組織体制の整備及び社員への意識改革を適宜実施し、そのような市場環境の変化に迅速に対応できる体制構築を行っております。

 

⑤ 新たな販路の確保・拡大

 現在、アルファポリスを取り巻く出版業界は厳しさを増し、とりわけ書店数の減少が顕著であります。このような環境の中、アルファポリスの書籍コンテンツの販売チャネルを確保・拡大すること、並びにそうしたチャネルの収益力の高さを追い求めることが必要となっております。

 アルファポリスといたしましては、好調な電子書籍市場における販売を拡大するため、販売チャネルとなる電子取次及び各電子ストアとの連携を強化するとともに、活況な海外漫画市場の開拓として海外電子ストアとの新規契約を推進する等、販路の拡大に努めております。

 さらに、アルファポリスでは2017年2月より課金サービス「レンタル」を開始し、2021年7月には海外向けの漫画アプリ「Alpha Manga」を配信してサービスをグローバル展開する等、アルファポリスが一般消費者に書籍コンテンツを直接販売する仕組みを構築、強化し、投稿サイトという源泉から販売サイトという出口までの垂直の幹を太くしていくことにも取り組んでおります。

 

⑥ 自社IPを活かした事業拡大

 アルファポリスといたしましては、更なる事業拡大を図るため、出版事業のみに留まらず、出版事業により蓄積された自社IPを活用した事業の多角展開を目指しております。具体的には、映像等の出版事業以外のメディア展開、グッズ販売、ゲーム事業、スマートフォン向けの新たなアプリサービス等への展開を目指しております。

 

⑦ 生成系AIへの対応

 近年AI技術の著しい進化に伴い、生成系AIの利用が急速な広がりをみせておりますが、アルファポリスにおきましてもクリエイティブ面において大きな影響を与えるものであり、その効果的な活用について迅速な対応が求められます。また一方で、生成系AIによる著作権についてはそのルールが国内のみならず海外においても定まっておらず、著作権問題から生じるリスクに備える必要があります。

 アルファポリスといたしましては、これらの課題に対処するため、生成系AIの動向や法規制に関する情報を常に収集し、生成系AIを巡る社会のルール形成に速やかに対応することに取り組んでおります。

 

⑧ 内部管理体制の強化

 アルファポリスは、市場動向、競合企業、顧客ニーズ等の変化に対して速やかに対応し、持続的に成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要であると考えております。そのため、アルファポリスといたしましては、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部管理体制の強化に努めてまいります。これにより、組織的な統制・管理活動を通じてリスク管理の徹底とともに、業務の標準化と効率化を目指しております。

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてアルファポリスが判断したものであります。

 

1. 事業環境に関するリスク

(1) 市場環境について

① 他社との競合について

 インターネット上の小説や漫画等のコンテンツを書籍化するビジネスモデルにより、各社から大型のヒット作が相次ぎ出版され、一部のメディアでもそのビジネスモデルが取り上げられていることから、今後はより一層、アルファポリスと類似したビジネスモデルにて多くの新規参入等があると考えられます。
 アルファポリスといたしましては、アルファポリスならびにアルファポリスサービスの知名度向上、及び作家・ユーザーの満足度向上のための施策を継続的に実施することで、競合他社に対する優位性を確保することに努めてまいりますが、見込みどおりの効果が得られない場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

② 原材料市況について

 近年における原油価格等の高騰や円安の進行に伴う物価上昇等が出版物の原材料となる紙のコストにも影響を与えております。アルファポリスにおきましては、出版物の印刷・製本業務は複数の取引先に分散して委託することで安定的な供給量とコストのコントロールを行っておりますが、原材料価格の想定を超える急騰や長期にわたって高騰が続く場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

③ 出版市場について

 アルファポリスは、デジタルネットワークの発展に伴う情報メディアの多様化等による書籍の市場規模の縮小、顧客ニーズの細分化に対応するため、魅力ある書籍の拡充・強化を進めております。しかし、顧客ニーズに合致する書籍の拡充・強化が想定どおりに進まない場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 業界慣行及び法的規制について

① 再販売価格維持制度について

 アルファポリスが販売している書籍等の著作物は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下、「独占禁止法」という。)第23条の規定により、再販売価格維持契約制度(以下、「再販制度」という。)が認められております。
 再販制度とは、一般的にはメーカーが自社の製品を販売する際に、「卸売業者がその商品を小売業者に販売する価格」、「小売業者が消費者に販売する価格」を指定し、その価格(以下、「再販売価格」という。)を卸売業者、小売業者にそれぞれ遵守させる制度であります。独占禁止法は、再販制度を不公正な取引方法の1つであるとして原則禁止しておりますが、著作物については再販制度が認められております。
 公正取引委員会は2001年3月23日付「著作物再販制度の取扱いについて」において、「競争政策の観点からは同制度を廃止し、著作物の流通において競争が促進されるべき」としながらも、「同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない」と指摘しており、当面、当該再販制度が維持されることとなっております。しかし、当該制度が廃止された場合、販売価格の値引きなどの価格競争に陥る可能性があるため、業界全体への影響も含め、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 委託販売制度について

 法的規制等には該当いたしませんが、再販制度と並んで出版業界における特殊な慣行として委託販売制度があります。委託販売制度とは、アルファポリスが取次及び書店に配本した出版物について、配本後も返品を受け入れることを条件とする販売制度であります。
 アルファポリスは発生し得ると考えられる予想返金額を返品率等を計算基礎として算出し、収益より控除するとともに、返金負債として計上しておりますが、今後の返品実績の動向によっては、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 著作権、商標権、知的財産権等について

 アルファポリスは、著作権、商標権、知的財産権等の法令等の下、事業活動を行っており、現段階において事業及び業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。しかし、アルファポリスと作家との間において著作権に関するトラブルが生じた場合、又はアルファポリスと他社間において著作権又は商標権等に関するトラブルが発生した場合においては、訴訟等が発生する可能性があります。アルファポリスでは、知的財産権に関する専門の弁護士と顧問契約を締結し、常にトラブルが無いよう努めておりますが、万一訴訟等が発生し、アルファポリスの信頼を大きく毀損する事態に至った場合には、アルファポリスの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
 また、著作権、商標権、知的財産権等の法令等に重大な変更やアルファポリス事業に関係する重大な法令等の新設がある場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

④ 個人情報等について

 アルファポリスでは、多数の作家及びユーザーの個人情報をお預かりしております。個人情報保護につきましては全社的な対策を継続的に実施しておりますが、万一個人情報の漏洩等が発生した場合には、アルファポリスの信頼を大きく毀損することとなり、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

2.事業に関するリスク

(1)取引依存の高い主要な取引先について

 アルファポリスは、将来的には出版事業を通して蓄積した自社IPを活かした多角展開を見据えておりますので、限られた経営資源は編集等に注力すべきだと考えております。そのため、紙の書籍に関する取次(出版社と書店の間をつなぐ流通業者)との取引業務(書籍の販売・流通業務)は全て中取次(出版社と取次の間をつなぐ流通業者)である株式会社星雲社を介して行っており、当事業年度の売上高の18%が同社に対するものとなっております。

 また、電子書籍の販売に関しては、主に電子書籍取次の大手である株式会社メディアドゥを介して行っており、当事業年度の売上高の55%が同社に対するものとなっております。

 両社とはそれぞれ良好な関係を構築、維持しておりますが、何らかの理由により取引が継続できなくなった場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 新規事業への取組について

 アルファポリスは、出版事業のみに留まらず、出版事業により蓄積された自社IPを活用して、映像等の出版事業以外のメディア展開、グッズ販売、ゲーム事業、スマートフォン向けアプリサービス(情報提供サービス等)の開始等、多角的に事業展開することを目指す方針であります。

 これらの新規事業への取組に際して、新たな人材の確保、システム投資及び広告宣伝等のため追加的な支出が発生する場合、またアルファポリスがこれまで想定していない新たなリスクが発生する場合、あるいは事業展開が想定どおりに進捗しない場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 書籍の刊行時期について

 書籍の刊行に関しては綿密な刊行計画を設定しておりますが、作家の執筆過程、及び編集者の編集過程等における予測不能の事態の影響から、当初の刊行計画から変更が生じることがあります。その結果、アルファポリス書籍の販売時期が延期等となった場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(4) サイトの健全性の維持について

 書籍化の源泉となるコンテンツが投稿されるアルファポリスWebサイトは、不特定多数のユーザーがコンテンツを投稿することができ、また独自にコミュニケーション等を図っているため、こうした場においては、公序良俗に反する行為や、他人を不快にさせる行為等が生じる危険性が存在しております。そのため、アルファポリスは、Webサイト内における禁止事項を明記すると共に、アルファポリスにおいても不適切なコンテンツや書き込み等がないかの確認を行っております。

 しかし、急速な利用者の増加等により、Webサイト内における全ての不適切な行為を取り締まることができない場合には、Webサイトの安全性及び健全性が確保できず、アルファポリスのブランドや信頼が毀損する可能性があります。その場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(5) システムの安定的な稼働について

 アルファポリスWebサイト及びアプリはウェブ上で運営されており、快適な状態でユーザーにサービスを提供するためにはシステムを安定的に稼働させ、問題が発生した場合には適時に解決する必要があると認識しております。そのため、新システムまたは機能導入時における十分な検証、及びシステム運用後においてはシステムを安定的に稼働させるための人員確保等に努めております。

 しかし、アルファポリスが提供する各サービスへの急激なアクセス数の増加や災害等に起因したサーバーの停止に伴うシステムダウンが生じた場合、またはコンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

3.事業体制に関するリスク

(1) 人材採用と育成について

 アルファポリスの事業運営に当たっては、人材の確保・育成が重要課題であると認識しております。そのため、アルファポリスは採用活動に注力し、人材の確保に努めるとともに、社内教育・研修制度の充実を図ることで、実務スキルに加えて、アルファポリスの経営理念や行動規範を理解した責任のある社員の育成を行っていく方針であります。
 しかし、人材を適時確保できない場合や人材が大量に社外へ流出してしまった場合、あるいは人材の育成がアルファポリスの計画どおりに進捗しない場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 代表取締役社長への依存及びアルファポリスの事業推進体制について

 アルファポリスの代表取締役社長である梶本雄介は、アルファポリスの創業者であり、設立時より最高経営責任者であります。同氏は、企業経営に関する豊富な経験と知識を有しており、現在においても経営方針や事業戦略等の立案及び決定を始め、取引先やその他各分野に渡る人脈等、アルファポリスの事業推進の中心的役割を担っており、アルファポリスにおける同氏への依存度は高いものとなっております。
 そのためアルファポリスでは、同氏に過度に依存しないよう、経営幹部、ならびに業務推進役の拡充、育成、及び権限委譲による分業体制の構築等を進めておりますが、現時点においては、何らかの理由により同氏がアルファポリスの経営者として業務遂行が継続出来なくなった場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 小規模組織における管理体制について

 アルファポリスは、小規模な組織であり、現在の内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。アルファポリスでは今後、事業の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充を図る予定です。しかし、事業の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、アルファポリスの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

4.その他

(1) 配当政策について

 アルファポリスは株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置付けております。アルファポリスは、未だ成長過程にあることから、経営基盤の強化と事業拡大のための成長投資に必要な内部留保の充実を図ることが株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、創業から当事業年度まで配当は実施しておりませんでした。

 次期以降につきましては、堅調な業績推移により内部留保の充実を図るとともに、将来の成長投資と株主に対する利益還元を両立することが可能と判断したことから、配当を実施することといたします。

 なお、今後の配当方針につきましては、業績や企業価値向上のための成長投資、経営基盤強化のための内部留保の充実等を総合的に勘案したうえで、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針といたします。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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