当連結会計年度において、インプレスホールディングスグループ(インプレスホールディングス及びインプレスホールディングスの関係会社)が営む事業の内容について、事業セグメント区分及び主要な関係会社の異動は以下のとおりであります。
航空・鉄道セグメントの㈱天夢人は、2024年4月にイカロス出版㈱に吸収合併されたことに伴い、連結の範囲から除外しております。
山岳・自然セグメントの㈲原の小屋は、2025年2月に保有株式を全株売却したことにより、連結の範囲から除外しております。
また、インプレスホールディングスは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。
以上の事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてインプレスホールディングスグループが判断したものであります。
インプレスホールディングスグループは、良質で魅力ある専門コンテンツをベースに、デジタル技術を活用した次世代パブリッシングモデルを実現し、それらの活動を通して、知恵と感動のある豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えております。
IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道、モバイルサービス等の専門分野ごとの個性的なメディアブランドによる雑誌・書籍等の出版を中心に、電子出版、Webメディア、SNS、イベント・セミナー等、「紙・デジタル・リアル」の多面的な展開により、読者やユーザーに対し「実体験に基づいた、臨場感ある魅力的なコンテンツ」を届け、共通体験の場を増やしていくことを目指します。
また、これまで培ってきたパブリッシングモデルやメディア技術、マーケティング手法をコンテンツパートナーに提供するプラットフォーム事業を展開することで、ユーザーとの「知恵と感動の共有の輪」を広げていきます。
これらのビジョン実現のため、専門分野ごとの比較的小規模の事業会社と、財務・経営管理及びインキュベーション機能を集約した持株会社によるグループ経営によって、個々の事業会社の魅力とともに、相互連携によるグループ全体の企業価値を高めてまいります。
(2) 経営戦略及び経営環境等
インプレスホールディングスグループは、持株会社であるインプレスホールディングスを中心にグループ各社が事業の独自性を活かし、顧客ニーズにあった製商品を機動的に提供していくことで、各社及びグループ全体の企業価値の増大を図る分社経営方針をとっており、IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道及びモバイルサービス等の専門分野で構成されたそれぞれの分野でコンテンツ事業、プラットフォーム事業を行っております。
出版業界を取り巻く事業環境は、紙の出版物の販売額が19年連続で減少していることに加えて、用紙の調達コストや印刷等の原材料費の高騰、残業規制強化による物流価格の上昇、物価高騰を考慮した従業員の報酬水準の引き上げ等のコスト上昇も見込まれ、依然として厳しい状況が続いております。インプレスホールディングスグループでは、このような事業環境の中、「企業価値の向上」に向けて収益及び事業のポートフォリオを抜本的に見直し、出版事業の構造改革と中長期の成長基盤の開発促進に継続的に取り組んでまいります。
インプレスホールディングスの事業ポートフォリオにおいて、重要な収益基盤である出版事業の収益力の回復を最重点課題とし、出版・電子出版事業については、不採算な製品ラインナップの整理、IPの競争力の強化、商品価格の引上げ、返品率の改善、生産性の向上等の課題に取り組んでまいります。ネットメディア・サービス事業については、優良なオーディエンスを抱える専門メディアの強みに加えて、収益モデルの多角化、DtoCの事業モデルの開発等の施策により、事業規模と収益力の維持に努めます。また、当事業年度が調整局面となったターゲットメディア事業については、事業規模の回復に向けた取り組みを強化、投資フェーズのDtoC事業モデル、新規プラットフォーム事業の開発による、新規売り上げの創出成果の獲得を進めます。
なお、中期経営計画に掲げている事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築する取り組みを着実に進めており、事業区分別売上構成比率及び紙の出版物の売上比率が下図のように変化し、一定の成果が表れております。同様に紙の出版物の売上比率も減少傾向にあります。
(注)事業区分別売上構成比は、連結消去前の数値で算出しております。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
インプレスホールディングスグループは、良質で魅力ある専門コンテンツの強みを追求し、コンテンツ事業において堅実かつ着実な利益成長により安定した収益基盤を確保するとともに、中期的な視野で、新しい事業モデル、メディアビジネスのプラットフォームの創出に取り組み、コンテンツ事業とのシナジーを追求することで、新たな価値創造に取り組むことを基本戦略としております。また、同取り組みにより、事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築することを中期経営課題として掲げております。
このような中、2023年度の状況といたしましては、前年度に巣ごもり需要の反動で落ち込んだネットメディアは2021年度の事業規模を超える水準まで回復したものの、出版事業環境の変化や前期のヒットタイトルの不足等により、収益基盤である出版・電子出版の事業規模は縮小かつ収益性が大きく低下いたしました。また、市場成長に陰りが見え始めたことで増収基調を維持していたターゲットメディアが調整局面となり、連結売上高は9期ぶりの減収に転じ、営業利益は損失を計上、不採算事業の整理や人員合理化施策や収益性の悪化に伴う固定資産の減損で、大きな特別損失を計上する厳しい状況となりました。
2024年度におきましては、出版事業環境の変化や原材料費や物流経費の持続的な上昇等、当期に引き続き厳しい事業環境が想定されますが、短期的には、出版事業の収益力の回復を最重点課題としながら、成長基盤の開発を目的とした投資及び事業開発を継続して推進し、企業価値の向上に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
① 目標とする中期経営指標
中期経営計画において、出版事業の事業規模及び収益力の維持を収益ポートフォリオの基盤としつつ、電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、プラットフォーム(以下、「PF」といいます。)事業の拡大による事業ポートフォリオの構造転換を進めることで、企業価値の向上に取り組む方針を掲げておりますが、2023年度の出版事業等の収益力の悪化により、前提に大きな乖離が生じております。まずは、2024年度に出版事業の収益力の回復に努め、着実な黒字転換を果たすことを最優先の課題とし、あわせて中期的な企業価値の向上に向けた基盤の整備に取り組んでまいります。
② 出版・電子出版事業の収益力の回復
当期に収益力が低下した出版事業につきましては、デザイン、航空・鉄道セグメントにおいて人員合理化等の事業構造改革の施策を実施いたしました。同施策による固定費の削減をベースに、全社的に不採算の商品群を整理、商品のポートフォリオを組み替えながら、より付加価値の高い商品開発に努めるとともに商品価格の引上げ等の取り組みを進めてまいります。また、あわせて出版業界共通のテーマでもある返品・物流効率の改善、生産性の向上等の課題に取り組むことで、収益性の回復に努めてまいります。
また、電子出版におきましては、航空・鉄道セグメント等で規模の拡大を図るほか、モバイルサービスセグメントで投資を継続しているマンガコンテンツの自社開発において、外部との協業も模索しながら、事業化の促進に取り組みます。
③ 事業ポートフォリオの構造転換の促進
電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、PF事業等の出版事業以外の事業規模につきましては拡大基調を維持しておりましたが、2023年度においては調整の局面となりました。同テーマにつきましては、堅調な推移を続けているネットメディア事業の成長を持続しつつ、ターゲットメディア、PF事業等を再成長のフェーズに移行させるべく、事業開発に取り組んでまいります。
また、新たな収益モデルとして投資・事業開発を進めておりますダイレクトチャネル(DtoC)での、ユーザー課金型のモデルにつきましては、会員サービスやマーケティング基盤開発について、一定の整備も完了したことから、2024年度より、メディアミックスをテーマとした付加価値の高い会員サービスの創出、会員基盤をベースとした(ファン)コミュニティーの構築及びエンゲージメントを高めることで、収益化の取り組みを強化します。
④ 外部との協業による事業規模の拡大・事業開発力の強化
事業ポートフォリオの構造転換を一層促進させるために、外部との協業(事業及び業務提携)について積極的な検討を進めます。出版事業においては、業界の共通課題でもある生産・販売・物流等のサプライチェーンに加え、メディアミックス展開の促進に寄与する協業関係を模索、またネットメディア、ターゲットメディア、PF事業領域を対象に成長促進・規模拡大のための協業関係の構築を模索いたします。内部成長だけでは限定されるリソースを外部との協業で補完することで、事業基盤を強化するとともに、事業展開の幅を広げ、企業価値の向上に取り組んでまいります。
インプレスホールディングス及びインプレスホールディングスグループの事業上のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております
インプレスホールディングスグループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し適切なコントロールを行うため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を配置の上リスク&オポチュニティマネジメント事務局を設置、インプレスホールディングスおよびグループ会社に「リスク&オポチュニティマネジメント担当者」を任命し、主体的・自主的に対応できる体制を整備しております。
なお、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
インプレスホールディングスグループが制作、販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第23条の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が認められております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって、出版物は書店においては定価販売が行われております。また、インプレスホールディングスグループは取次との取引価格の決定は、定価に対する掛け率によっております。
この再販制度について、公正取引委員会は2001年3月23日に「著作物再販制度の取扱いについて」を発表しており、当面、再販制度は存置される見通しでありますが、一方で業界に対して同制度下における消費者利益のための弾力的な運用を要請していくことを公表しております。
インプレスホールディングスグループにおきましては、事業ポートフォリオの構造転換を進めており、従来の紙の出版事業から、電子出版、ネットメディア・サービス及びターゲットメディアのコンテンツ事業とプラットフォーム事業へと転換を図っております。しかしながら、従来の紙の出版事業についてはインプレスホールディングスグループの売上高の45.8%を占めており、当該制度が廃止された場合には、出版競争の激化等により、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスグループは、出版業界の慣行に従い、原則としてインプレスホールディングスが取次経由で書店に配本した出版物(書籍、雑誌)については、配本後、約定期間(委託期間)内に限り、返品を受け入れることを販売条件とする委託販売制度を採用しております。
インプレスホールディングスグループの書籍は、次の委託方法となっております。
新刊委託…主として新刊時の書籍が対象とされ、委託期間は通常5ヶ月であります。
また、雑誌の委託期間は以下の通りであります。
月刊誌…発売日より3ヶ月
インプレスホールディングスグループは、返品による損失に備えるため、出荷時に将来返品が見込まれる部分については、会計上、収益を認識せず返品資産および返金負債を計上しております。また、返品抑制のため、販売予測の精査による製造・出荷部数の適正化、マーケティングデータに基づいた書店への配本調整等を行っておりますが、返品率の変動は、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 出版業界の市場環境について
インプレスホールディングスグループにおきましては、事業ポートフォリオの構造転換を進めており、従来の紙の出版事業から、電子出版、ネットメディア・サービス及びターゲットメディアのコンテンツ事業とプラットフォーム事業へと転換を図っております。しかしながら、従来の紙の出版事業についてはインプレスホールディングスグループの売上高の45.8%を占めております。市場が縮小傾向にある中、書店の休業や廃業が発生した場合、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります 。また、好調な電子コミックプラットフォーム事業におきましては、競合他社との競争激化や漫画違法サイトによる需要低下によっては、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
広告市場は、景気変動の影響を大きく受けると考えられております。
インプレスホールディングスグループの2024年3月期の売上高に占める広告収入の比率は18.1%を占め、コンテンツ事業の利益の大きな変動要素であり、景気の悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記「出版業界の市場環境について」で記載のとおり、紙の出版市場が19年連続で減少しており、インプレスホールディングスグループにおきましても、雑誌広告を中心とした出版広告は年々減少しております。一方で、ネットメディアにおけるデジタル広告や、ターゲットメディアと連携したターゲット広告へシフトを進め、順調に推移しており、eSports関連等の動画コンテンツを活用したデジタル広告については、今後のメディアミックス戦略において重要なテーマと認識しております。
インプレスホールディングスグループは、出版物製造において用紙等を主要な原材料としております。インプレスホールディングスグループといたしましては、複数の取引先からの調達を行うことで、安定的な供給量の確保とコストコントロールを行っておりますが、原油等の商品市況等の変化により、原材料価格が高騰した場合、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスグループは提供する製品・サービスについて商標権を取得しております。また、他者の知的財産権の侵害を防止するため、社内での教育、研修の実施に加え、編集部門におけるチェック体制を整備しておりますが、特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権が、インプレスホールディングスグループの事業にどのように適用されるか想定するのは困難であり、第三者の知的財産権を侵害した場合には、インプレスホールディングスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスグループは、大手取次等の取引先4社によって連結売上高の51.0%が占められております。インプレスホールディングスグループにおきましては、中期的な視野で新しい収益及び事業モデルの創出に取り組むとともに、多面的な展開を図ることで、当該リスクへの対応を図っております。しかしながら、取引先4社の経営方針に大きな変更等があった場合、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスグループは、コンテンツの編集及びサービスの提供、取引・顧客データを管理するバックオフィス等のあらゆる業務において、情報システム及び通信ネットワーク等のインフラに依存しております。そのため、これらインフラに障害が発生した場合には、顧客からの信頼性低下等の事態を招き、インプレスホールディングスの事業に重大な支障が生じる可能性があります。インプレスホールディングスグループといたしましては、下記の事項を始めとする様々な要因に対処するための技術的な対応措置、モニタリング体制、社内運用マニュアルの整備等を行っておりますが、トラブルの発生を事前に完全に防止することは不可能であり、トラブル発生の場合、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・ハードウェア及びソフトウェアの不備
・外部からの不正な侵入行為
・アクセスの急激な増大
・自然災害、停電
・人的ミス、怠業、破壊行為
・コンピュータウイルス
インプレスホールディングスグループでは、オンライン直販等の顧客の会員登録情報/購入履歴をはじめ、読者サービスの向上のための会員組織にご登録頂いた会員情報等の各種個人情報をお預かりしております。インプレスホールディングスグループといたしましては、外部からのハッキングに対する技術的な対応措置・モニタリング体制を整備、また社内からの情報漏洩防止のため社員への教育・訓練、管理方法の検討・実施、関連規程の整備等により、情報管理体制の強化を進めております。しかしながら、万一個人情報が流出した場合には、インプレスホールディングスグループの信頼性が低下、賠償責任を問われる可能性があり、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスでは、子会社及び関連会社に対する投融資の他に、インプレスホールディングスグループの事業拡大のため、日本国内外のメディア関連企業等に投資を実施しております。
これら投融資は、投資の効果及びリスク等を慎重に検討した上で実施しておりますが、投資先企業が予想通りの業績や効果を生む保証はありません。よって、投資先企業の評価見直しに伴う損失、投資回収の遅延等により、インプレスホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスは、持株会社としてグループ会社の事業資金の調達を担っており、複数の金融機関と取引を行っております。インプレスホールディングスといたしましては、取引金融機関の確保、資金調達手段の多様化等により調達リスクを軽減するように努めておりますが、経済環境等の悪化による調達環境の変化、インプレスホールディングスの信用力の著しい低下等があった場合には、インプレスホールディングスグループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
インプレスホールディングスのファウンダー/最高相談役である塚本慶一郎と同氏が代表取締役を務める資産管理会社である㈲T&Co.及び同氏との間で管理信託契約を締結した㈱SMBC信託銀行の所有する株式で実質的に同氏が保有する株式は、インプレスホールディングスの発行済株式数(自己株式を除く)の49.5%(2024年3月31日現在)に相当しております。同氏及び同社のインプレスホールディングス株式の保有方針に変化等があった場合、インプレスホールディングスグループの経営に影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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