電源開発(9513)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】電源開発グループは、電源開発、子会社109社及び関連会社86社(2026年3月31日現在)によって構成されており、主に、水力、火力、風力など電源開発又は関係会社で保有する発電所による発電事業及び卸電力取引市場等から調達した電力の販売事業を行っているほか、送電事業として子会社で保有する送・変電設備により、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送を行っております。 電源開発グループの事業の内容としては、電源開発又は関係会社が行う「発電事業」、関係会社が行う「送変電事業」、発電事業及び送変電事業を補完し円滑かつ効率的な遂行に資する「電力周辺関連事業」、海外における発電事業及びその関連事業を行う「海外事業」並びに電源開発グループの保有する経営資源、ノウハウを活用して行う「その他の事業」があります。また、次の5部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。 [発電事業]電源開発は、水力、火力、風力など電源開発又は関係会社が行う発電事業及びその保守運営、並びに卸電力取引市場等から調達した電力の販売を行っております。 [送変電事業]電源開発の子会社で保有する送・変電設備による、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送事業を行っております。 [電力周辺関連事業]発電事業及び送変電事業を補完し、その円滑かつ効率的な遂行に資する事業を行っております。 [海外事業]海外における発電事業及びその関連事業を行っております。 [その他の事業]電源開発グループの保有する経営資源、ノウハウを活用して行う石炭等販売事業等を行っております。 電源開発グループを事業系統図によって示すと次頁のとおりです。 [事業系統図]
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において電源開発グループが判断したものです。(1) 経営の基本方針電源開発グループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」というミッション達成のため、2050年に向けて発電事業のカーボンニュートラル実現に挑んでいくこと、そのマイルストーンとする2030年までのCO2排出削減目標の達成に一定の見通しを得て、2030年以降の世界も見据えたカーボンニュートラル化の加速に向けて、資本効率も意識しつつ国内外においてカーボンニュートラルアセット中心となる事業ポートフォリオへの変換を目指します。また、電力安定供給やレジリエンス(強靭性)強化の要請に応えつつカーボンニュートラル実現に取り組んでいくために、それを支える強固な事業基盤の構築を図っていきます。電源開発グループは、サステナブルな成長を実現し、その成果を全てのステークホルダーと共に分かち合い、持続可能な社会の発展に貢献していきます。 (2) 電源開発グループを取り巻く経営環境と対処すべき課題世界情勢が不安定・不透明となる中、世界の電力需要は引き続き増加が見込まれ、エネルギー安全保障の重要性が一層強く認識される状況にあります。その一方、カーボンニュートラルに向けた現実的な解も求められています。わが国では、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、S+3E(安全性を前提に、安定供給、経済効率性の向上、環境への適合を図る)という基本的視点のもと、DXやGXの進展による電力需要増加への対応とエネルギー安全保障の観点から、脱炭素電源を最大限活用しつつ、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとされました。加えて、2025年5月に改正された脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)により、2026年度からCO2直接排出量が10万t-CO2/年以上の事業者に対して排出量取引制度(GX-ETS)への参加が義務付けられました。本制度により排出削減に向けた先行投資などの取組みを促進することで、脱炭素と産業競争力強化の同時実現を社会全体で目指していくことになります。電源開発グループは、カーボンニュートラル実現による企業価値向上を目指す2050年に向けた長期ビジョンとしてJ-POWER“BLUE MISSION 2050”を策定しています。中期経営計画(2024-2026)では、2030年以降のカーボンニュートラル化の加速に対応するため、5つの重点項目を示しています。この取組みに注力することで、事業ポートフォリオとビジネスモデルの変換を進め、上述のように変化する環境の中で、電力安定供給と気候変動対応の両立を図り、企業価値の向上を目指します。 ※1 電源開発送変電ネットワーク㈱(J-POWER送変電)の取組み。 ① 持続可能な収益源の確立と成長a.国内再生可能エネルギー事業電源開発グループではカーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーの開発を加速してきましたが、競争が増す中、規模拡大だけでなく収益性を向上させる必要性もますます高まっています。このため、新規開発に加え、既存の発電所をより効率的な発電所に更新する取組みや稼働率の向上など既存資産を最大限に活用する取組みにより再生可能エネルギーの発電電力量を増大しつつ、コーポレートPPA※2など新たな販売方法の導入により環境価値の実現を目指します。2025年度には北九州響灘洋上ウインドファーム、北九州市響灘太陽光発電所、奥只見発電所(水力)などの新設・更新による設備出力の拡大に加えて、稼働率向上などに取組みました。また、電源開発初となる水力発電所由来の環境価値に係る長期販売契約を締結しました。今後も発電電力量増大と環境価値実現に向けた取組みを進めてまいります。 ※2 企業や自治体などの需要家が、発電事業者から再生可能エネルギーの電力・環境価値を長期に亘って購入する契約。 b.海外事業世界では今後も多くの事業機会が見込まれるため、それを取り込むことにより電源開発グループの成長につなげてまいります。発電事業のみならず、再生可能エネルギーなどの開発者利益の獲得を軸に、資本効率を改善しながら事業セグメントと事業エリアを拡大し、多様な時間軸で利益創出できるビジネスモデルへのトランジションを目指します。2025年度には、北米ガス火力権益売却による利益獲得が実現した一方で、豪州再生可能エネルギープロジェクトにおいて減損損失の計上が発生しました。個別プロジェクトの進捗としては、電源開発出資先が米国の大規模太陽光発電所やインドネシア国の水力発電所の建設に着手したほか、フィリピン国での複数の水力発電所を譲受し、事業運営を開始しました。また、スペイン国における浮体式洋上風力発電の実証試験プロジェクトに参画し、その開発に向けた知見の獲得を図っています。今後も海外事業全体としての収益拡大を目指し、多様な事業を各国で機動的・効率的に推進してまいります。 ② 2030年代事業ポートフォリオへの布石電源開発グループは2030年以降のカーボンニュートラル化の加速に向けて国内火力のトランジションを進め、資本効率も意識しながら、2030年代に国内外でカーボンニュートラルアセットが中心となる事業ポートフォリオへの変換を目指します。 a.CO2フリー水素・アンモニア戦略電源開発グループは、将来的なCO2フリー水素発電の実現に向け、石炭ガス化発電(IGCC)技術※3の商用化を目指すGENESIS松島計画※4の検討を行っています。また、水素やアンモニア、CCS※5などサプライチェーンの上流から下流にわたる多様な可能性を追求する観点で、2025年4月にはCCSに関する組織・機能を集約した新組織を設置し、西日本におけるCCS事業の事業化検討、豪州沖・マレー半島沖でのCCS事業の検討・調査などを進めています。このような取組みにより、脱炭素技術の確保を図り、確実な火力トランジションを目指します。 ※3 ガス化炉で石炭から水素や一酸化炭素などのガスを生成し、発電に利用する技術。※4 経年化した松島火力発電所に新技術の石炭ガス化設備を付加。※5 Carbon dioxide Capture and Storage、CO2の分離・回収・貯留。 b.電力ネットワーク増強への貢献※6これからの再生可能エネルギーの大量導入に向けて、再生可能エネルギーの適地(北海道、東北、九州など)で発電された電気を消費地まで届けるための電力ネットワークの増強が要請されています。電源開発グループは、保有する佐久間周波数変換所の保守を通じて東西日本を結ぶ電力運用に貢献していますが、佐久間周波数変換所増強計画を推進することで、電力系統の広域的運用に貢献します。また、これまでの実績を基に電力ネットワーク増強に貢献する事業機会を追求し、収益への貢献を図ります。 ※6 電源開発送変電ネットワーク㈱(J-POWER送変電)の取組み。 c.安全を大前提とした大間原子力発電所計画の推進電源開発グループは、青森県下北郡大間町にて、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する大間原子力発電所の建設を進めています。同発電所は、エネルギー安定供給を支えるベースロード電源であり、気候変動問題対応の社会的要請に応えるCO2フリー電源としての役割に加えて、日本政府がプルトニウムの保有量減少を求める中でフルMOX運転により多くのプルトニウム消費が可能となる原子燃料サイクルの中核を担う発電所として重要性が高まっています。現在実施中の原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査は、2024年11月に基準津波、2025年5月に基準地震動について概ね妥当と評価されるなど、着実に進展しており、新たな工事の開始・終了時期についてはしかるべき時期に公表することを見込んでおります。また、長期脱炭素電源オークション制度※7については2025年度に応札し、落札しており、活用してまいります。引き続き必要な安全対策などを着実に実施することで早期の建設工事本格化を目指し、大間原子力発電所計画を着実に推進します。 ※7 カーボンニュートラル実現に資する新規電源投資を促すため、原則20年間にわたり落札価格が交付される入札制度。 d.新たな事業領域の創造カーボンニュートラルへの移行やデジタル技術をはじめとするイノベーションの進展により、社会・経済構造の大きな変革が想定されています。電源開発グループはスタートアップなどへの投資と連携を通じ、電源開発グループが有する技術・ノウハウとの融合による価値創造を目指します。2025年度には、カーボンニュートラルやエネルギー分散化、及びデータセンター需要の取り込みの観点で、新規事業創出に資する複数のスタートアップに出資を行ったほか、環境配慮型高機能リサイクル繊維の量産化検証など、複数の既存出資先において共同実証事業を開始しております。引き続き、幅広い領域でのさらなる価値の探索と事業開発に向けた取組みを進めてまいります。 ③ 収益力・投資効率の向上電源開発グループはROIC(投下資本利益率)を資本効率を測る指標とし、セグメント別ROICを算定、公表しています。設備運用見直しや環境価値実現などによる利益の拡大、高収益・成長分野への資本重点投下、アセットの入れ替えを通じた資金回収の早期化など、事業特性を踏まえた資本効率向上策の検討・実践を各事業部門に促し、全社ROICの向上を目指します。 ④ グループ競争力の強化個人を尊重し、多様な業務経験機会を確保し、従業員のチャレンジを支援する人財制度を整備・充実し、知恵と技術のさきがけとなる多彩な人財を育成し続けることで、日本と世界が直面する様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の向上を目指します。また、電源開発グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進ビジョン“DX 3S×AI”※8の実現に向けた具体的施策の推進により人財の「よりょく」(余力(ゆとりの力)、与力(新たな力)、予力(見通す力))を創出し、グループ競争力の強化を目指します。 ※8 「Safety 安全・安心」「Smartness 効率性・即応性」「Strength 稼ぐ力」×AI ⑤ ESG経営の深化電源開発グループはESG経営推進体制を整備し、また5つのマテリアリティを特定してESG経営を推進してきました。今後もPDCAサイクルを回しながらESG経営の深化を図ります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標電源開発グループは、中期経営計画において、2030年代に実現を目指す財務目標として「ROE8%以上」を設定しています。当財務目標の実現に向けては、ROIC(投下資本利益率)の導入を通じて、資本効率を高めることを意識しつつ、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として2026年度「連結経常利益900億円」を採用しています。2025年度の連結経常利益は1,585億円となりました。また、2025年度の国内発電事業のCO2排出量(速報値)は3,577万t(2013年度実績比 △1,300万t)となり、非財務の目標を達成しました。引き続き経営目標達成に向けて取り組んでまいります。 項目経営目標連結経常利益 2026年度 900億円 項目経営目標達成時の主な経営指標水準親会社株主に帰属する当期純利益 2026年度 620億円ROE 2026年度 5.0%程度稼働資産ROIC※9 2026年度 3.5%程度 (注)上記財務目標は、有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において予測できる事情等を基礎とした電源開発グループの合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。 項目非財務の目標国内発電事業CO2排出量(2013年度実績比)2025年度 △920万t(達成)2030年 △2,250万t(△46%)国内再生可能エネルギー発電電力量(2022年度比) 2030年度までに年間+40億kWh ※9 (NOPAT+持分法投資損益)/(有利子負債+株主資本−非稼働資産)、NOPAT(税引後営業利益)には事業部門に直課可能な営業外損益・特別損益を含む。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】以下には、電源開発の財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2026年6月24日)において電源開発が入手可能な情報等に基づいて判断したものです。また、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、電源開発が必ずしも重要なリスクとは考えていない事項であっても、事業等のリスクを理解する上で投資家にとって参考となる情報は記載しております。また、以下の記述は、別段の意味に解される場合を除き、連結ベースでなされており、「電源開発」には電源開発並びに電源開発の連結子会社及び持分法適用会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)の定義に従います。)が含まれております。 (1) 気候変動問題について電源開発は、LNG等他の化石燃料を使用する発電所と比較して、発電量当たりのCO2排出量が相対的に多い石炭火力発電所を多数有しておりますが、化石電源のゼロエミッション化を2050年に向けた目標として掲げ、その実現に向けて石炭火力の高効率化・低炭素化等に取り組んでおります。また、CO2フリー電源である再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電の開発などにも取り組んでおります。さらに、2015年7月に電源開発を含む電気事業者により策定された「電気事業における低炭素社会実行計画」に基づき、電気事業全体での目標の達成に向けて最大限努力しております。日本国内では、2050年のカーボンニュートラル実現を目指すという政府目標が示され、第7次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することに加え、火力発電について、安定供給に必要な発電容量を維持・確保しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量を減らしていくことが示されています。カーボンニュートラル目標と安定供給の両立に資する電源を対象に、新規の設備投資に対して長期予見性を付与する仕組みである「長期脱炭素電源オークション」が2023年度より導入されました。また、2025年5月に改正された「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)」に基づき、2026年度からCO2排出量が一定規模以上の事業者に対して、排出量取引制度(GX-ETS)への参加が義務付けられています。加えて、2028年度から化石燃料輸入事業者等を対象に炭素に対する賦課金(化石燃料賦課金)が導入され、2033年度から発電事業者を対象とした有償オークションが導入される予定です。電源開発としてもこれらの動向を注視しつつ、カーボンニュートラル目標に貢献する電源の開発や、気候変動問題の解決に資する事業の運営に取り組んでまいります。一方で、中長期的な温室効果ガス削減に向けた政策の進展を背景に、GX-ETSや今後導入が予定されている化石燃料賦課金及び有償オークションについて、制度運用の具体化や水準の見直しにより、電源開発の発電コストや設備投資計画等に影響が生じる可能性があります。加えて、気候変動問題への対応に関する新たな法的規制等が導入された場合には、電源開発の事業計画・事業運営に大幅な変更や制約等が生じ、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 電気事業制度改革の進展等による電源開発の料金収入等への影響について2013年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づく電気事業制度改革によって、電源開発を取り巻く事業環境は大きく変化しております。電気事業法改正により、2016年4月には電力小売参入が全面自由化されるとともに、卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)が撤廃されました。また、2020年4月には電源開発及び旧一般電気事業者は送配電部門の法的分離を実施しました。今後さらに、旧一般電気事業者に対する電気小売料金規制(経過措置)の見直しが行われる予定です。 制度改革における電気事業類型の見直しに伴い、2016年4月より電源開発は改正前の電気事業法で規定されていた卸電気事業者から、発電事業及び送電事業を営む電気事業者となりました。発電事業に関する料金は、原価主義に基づく料金規制等が撤廃され、市場競争環境下で販売先との協議により決定されることになります。また、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義に基づく料金制度となっております(電源開発の電気料金については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照)。電源開発の営業収益の大半は、国内における旧一般電気事業者への販売による料金収入であるため、電源開発は、市場競争が進んでいく発電事業分野で、持続的に電源開発の発電事業が価値を発揮できるような取組みを進めております。具体的には、旧一般電気事業者を主とする販売先との適切な料金協議や電力販売の多様化による収益基盤の安定化の取組みに加えて、発電設備の保守高度化による競争力の強化等の取組みも進めております。しかしながら、かかる取組みにもかかわらず、今後の長期的な電力需要の推移、更なる市場競争の進展、販売先との協議、法的規制等によって事業計画・事業運営に大幅な変更等が生じ、又は予期せぬ設備トラブル等により発電コストに見合った収益を確保できない場合、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 大間原子力発電所計画について大間原子力発電所計画は、1995年8月の原子力委員会決定によって、国及び電気事業者の支援の下、電源開発が責任を持って取り組むべきとされた全炉心でのMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料利用を目指した改良型沸騰水型軽水炉(フルMOX-ABWR)であり、軽水炉でのMOX燃料利用計画の柔軟性を広げるという政策的な位置付けを持つものとされております。このため、全炉心でのMOX燃料利用に関する技術開発部分について、「全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金交付要綱」に基づき、政府から補助金の交付を受けております。また、既に沖縄電力㈱を除く旧一般電気事業者9社と基本協定を締結しており、その中で旧一般電気事業者9社による適正原価等での全量受電が約されております。加えて、計画の現況についても旧一般電気事業者9社と定期的に確認しております。なお、電源開発は、大間原子力発電所について、2025年度の長期脱炭素電源オークションに応札し、落札しております。今後、長期脱炭素電源オークションを活用しつつ、旧一般電気事業者9社との協議を進めてまいります。大間原子力発電所計画は、全炉心でのMOX燃料利用の原子力発電所として、地元大間町、青森県の同意を得て、1999年8月に電源開発調整審議会により電源開発促進法で定める国の電源開発基本計画に組み入れられ、2008年4月には「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく原子炉設置許可、5月には電気事業法に基づく工事計画認可(第1回)を経済産業大臣から受け、着工に至っております。この時点で予定していた工事費は4,690億円でした。その後、2011年3月に発生した東日本大震災直後より工事を休止しておりましたが、2012年10月より工事を再開しております。電源開発は、2013年7月に施行された原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、2014年12月16日に原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書及び工事計画認可申請書を提出しました。具体的な取組みは多岐にわたりますが、シビアアクシデントを防止するために、設計基準事故対策の強化及び地震・津波等への想定や対応策の強化を行うとともに、新規制基準において新設された重大事故等対策として、炉心損傷の防止及び格納容器の破損防止のための対策を行っております。さらに、航空機衝突等のテロ対策として、原子炉格納容器の破損による外部への放射性物質の異常な放出を抑制するため原子炉の減圧等の遠隔操作を可能とする特定重大事故等対処施設を設置することとしています。電源開発は、上記申請の中で取り纏めた追加の安全強化対策工事をできるだけ早期に開始し、2029年後半に終了する目標を掲げておりますが、原子力規制委員会の審査の状況、新規制基準への追加の対応等を踏まえると、目標の達成は厳しい状況です。そのような中で、電源開発は、追加の安全強化対策工事に係る工程の精査を進めております。なお、安全強化対策工事については、先行して適合性審査に合格した同型炉の安全強化対策の内容や規模も参考に更なる対策の実施を検討しており、2014年12月16日の上記申請書に記載した工事費見通し約1,300億円についても、それに伴う相応の増額を見込んでおります。また、現在実施している安全強化対策工事に係る工程の精査が順調に進んだ場合には、しかるべき時期に具体的な工事の開始・終了時期を公表することができると見込んでおりますが、工程精査の結果、工事費が更に増額する可能性があります。加えて、原子力発電においては、国の原子力政策の見直しなど原子力事業を取り巻く状況の大幅な変化や更なる市場競争の進展、予期せぬ事態の発生等による計画変更等のリスク、また、運転開始後には、放射性物質の貯蔵と取扱いに関するリスク、他の発電設備と同様、自然災害、不測の事故等のリスクも存在します(「(7) 自然災害、疫病の流行等について」を参照)。一方で、全炉心でMOX燃料の利用が可能な大間原子力発電所は、国がエネルギー基本計画において基本的方針としている原子燃料サイクルに大きく貢献できる発電所です。年間最大6.6tPutのプルトニウムを回収可能な六ヶ所再処理工場が安定的に稼働するためには、フルMOX運転時に年間約1.7tPutのプルトニウムを消費できる大間原子力発電所は必要不可欠と考えております。電源開発は、これらの大間原子力の重要性を踏まえ、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応し、必要な安全対策等を着実に実施して全社を挙げて安全な発電所づくりに取り組むとともに、ここに記載した原子力発電事業の様々なリスクに対しても可能な限り対策を講じ、事業者として関係者とも協力しながら経済性を確認しつつ事業を推進していく所存ですが、仮にリスクが顕在化した場合、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 海外発電事業をはじめとする国内外での新たな事業への取組みについて電源開発は、収益基盤の強化を目指して、海外発電事業をはじめとする国内外での新たな取組みを進めております。具体的には、海外発電事業については、海外諸国でのコンサルティング事業の経験を活かしてIPP(独立系発電事業者)プロジェクトへの取組み等を進めております。また、国内電気事業については、高効率石炭火力発電所等の運営や、水力・風力・地熱等の再生可能エネルギーを利用した発電事業等に加えて、電力小売販売等にも取り組んでおります。しかしながら、これらの事業は、状況の大幅な変化、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生等により、電源開発が期待したほどの収益を生まない可能性があり、これらの事情により事業計画の変更、事業・建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等により、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、これらの事業の中には第三者との合弁形態で運営されているものがあり、事業環境の変化に伴う合弁形態の見直しや、電源開発が非支配持分保有者に留まる合弁形態のために経営統制等に関与できない事態等が生じた場合、合弁事業の結果が、必ずしも電源開発の業績に有益な貢献をもたらさない可能性があります。さらに、海外での事業については、為替リスクに加え当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在します。 (5) 資金調達について電源開発は、これまで発電所等への多額の設備投資を行っており、そのための設備資金を主として借入れ及び社債発行によって調達してきました。今後も、再生可能エネルギー発電設備や大間原子力発電所の新規開発をはじめとする国内外での新たな事業等への投資、既存の債務の償還等のための資金調達を必要とする見通しです。今後の資金調達にあたり、その時点における金融情勢、電源開発の信用状態又はその他の要因のために電源開発が必要資金を適時に適正な条件で調達することができなければ、電源開発の事業展開並びに財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) 石炭火力発電用燃料について電源開発の石炭火力発電所は海外炭を主たる燃料としております。電源開発は、海外炭の調達にあたっては、供給の安定性と経済性を同時に追求するため、オーストラリア、インドネシア、北米などに調達地域を多様化しております。また、石炭の安定確保のために、一部の炭鉱においては権益を保有しております。なお、電源開発による海外炭の調達は、主として長期契約又は期間1年程度の契約により行われており、補完的にスポットでの購入も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。電源開発の燃料費は、海外炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等により影響を受けますが、主要な石炭火力発電所の電力料金の燃料費相当部分については、販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映することとしているため、電源開発の業績への影響は限定的です。ただし、石炭価格の急激な上昇等があった場合、これに伴う燃料費の上昇分を料金に反映させるまでにタイムラグがあるため、一時的に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、石炭価格が大幅に下落し、電源開発が権益を保有している炭鉱の業績に影響が生じた場合、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 自然災害、疫病の流行等について自然災害、人為的なミス、テロ、燃料供給の中断又はその他の不測の事態により、電源開発の発電設備若しくは送・変電設備等又はこれらの設備を運転制御する情報システム等に重大な事故等があった場合、電源開発の事業運営に支障を来たし、ひいては周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があります。電源開発は、電源開発が事業を実施している国及び地域における重要なインフラストラクチャーである発電設備及び送・変電設備の事故等の防止、関係者の安全確保並びに周辺環境の保全のため、保安・防災体制の確立、事故・災害の予防対策及び応急・復旧対策並びに環境モニタリング等に全社をあげて取り組んでおります。しかしながら、事故等のために電源開発の発電設備又は送・変電設備等が操業を停止した場合、さらには事故等のため周辺環境に悪影響を及ぼした場合には、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、電源開発は発電設備又は送・変電設備等の維持・運営等にあたり、電力安定供給のための対策を実施していますが、疫病の流行その他の不測の事態により、設備の運営、建設・補修工事又は大規模な点検等に必要な人員、原材料及び資機材等の確保が困難となる場合には、電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 法的規制について電源開発事業の大半を占める電気事業については、電気事業法による規制を受けております。2014年6月の電気事業法改正により、2016年4月以降、改正前の電気事業法で定められていた卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)は撤廃されましたが、電源開発は、引き続き同法に規定される発電事業及び送電事業を営む電気事業者として、事業規制及び保安規制、並びにこれらの規制に伴う変更・中止命令及び送電事業については許可の取消しに関する規定の適用を受けております。この他、電源開発の事業運営は様々な法令の適用を受けております。このため、電源開発がこれらの法令・規制を遵守できなかった場合、又はこれらの法令・規制の改正があった場合には、電源開発の事業運営や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、原子力事業者による相互扶助の考え方に基づいて、将来にわたって原子力損害賠償の支払等に対応できる支援組織を中心とした仕組みを構築することを目的とする「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」により、原子力事業者は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務に要する費用に充てるための負担金を納付することを義務付けられております。電源開発は、現在進めている大間原子力発電所計画について、同発電所が「原子力損害の賠償に関する法律」に定める原子炉の運転等を開始した後に、負担金を納付することとなりますが、かかる負担金の額によっては電源開発の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) コンプライアンス・人権尊重について電源開発は、事業を遂行するうえで守るべき遵法精神・企業倫理に則った行動の規範として、「企業行動規範」を制定し、社員への浸透を図っております。また、法令や社内規程、社会規範等のコンプライアンスを徹底し、全社のコンプライアンス活動を推進するため「コンプライアンス行動指針」を制定するとともに、コンプライアンス推進策の審議及び実施状況評価、対応を図る組織として会長を委員長とする「J-POWERグループコンプライアンス委員会」を設置しております。人権尊重の取組みについては、「J-POWERグループ人権基本方針」を制定し、社長を責任者とするサステナビリティ推進会議の下部に「人権部会」を設置して人権に関する課題を関係部で横断的に議論を行い、サプライチェーンを含むすべてのステークホルダーの人権尊重の取組みを推進しております。しかしながら、電源開発にて、人権侵害も含めたコンプライアンスに反した行為が発生した場合には、電源開発のレピュテーションや業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 業務情報の管理について電源開発は、個人情報をはじめ機密を要する多くの重要な情報を保有しています。これらの情報については情報セキュリティ対策の推進、従業員教育等の実施により厳重に管理しておりますが、外部に流出した場合、電源開発のレピュテーションや業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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