東宝(9602)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


東宝(9602)の株価チャート 東宝(9602)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

東宝の企業集団は、東宝、子会社55社、関連会社9社(うち連結子会社48社、持分法適用関連会社4社)で構成され、映画事業、IP・アニメ事業、演劇事業、不動産事業及びその他の事業に携わっております。

各々の事業内容と、東宝及び東宝の関係会社の、当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。

なお、東宝の企業集団が営んでいる事業内容と、セグメントにおける事業区分は同一であります。

また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](セグメント情報等)[セグメント情報]」の「1 報告セグメントの概要」をご参照ください。

 

映画事業

東宝、子会社16社(うち連結子会社14社)、関連会社5社(うち持分法適用関連会社1社)で構成されております。

事業の内容は、①映画営業事業と②映画興行事業及び③映像関連事業であります。

①映画営業事業

東宝、子会社3社(東宝東和㈱等)、関連会社2社で構成され、東宝は、製作した映画の他、国内の製作会社から配給業務を委託された映画を、東宝東和㈱は海外の映画を、当企業集団を始めとする国内の興行会社に配給しております。また、共同製作した劇場用映画の映像配信権の許諾を行っております。

②映画興行事業

子会社2社(TOHOシネマズ㈱等)で構成され、経営する映画館等で、東宝及び東宝東和㈱並びに当企業集団以外の配給会社が配給する映画を上映しております。

③映像関連事業

東宝、子会社11社(㈱東宝映像美術、東宝舞台㈱等)、関連会社3社で構成され、映画などの美術セット等の製作、各種イベント、広告等の企画・製作から販売に至る各分野に携わっております。

IP・アニメ事業

東宝、子会社10社(うち連結子会社10社)、関連会社2社(うち持分法適用関連会社2社)で構成されております。

テレビアニメ作品等の映像の利用・許諾、商品化権等の利用・許諾、商品の販売等を行っており、TOHO Global㈱は東宝グループの扱うIP及び映像作品の海外展開を行っております。

演劇事業

東宝、子会社3社(うち連結子会社3社)、関連会社1社で構成されております。

演劇の製作及び興行は主に東宝が行っており、㈱東宝エージェンシーは東宝が公演する演劇の入場券販売を、東宝芸能㈱は芸能プロダクションの経営を行っております。

不動産事業

東宝、子会社24社(うち連結子会社20社)、関連会社1社(うち持分法適用関連会社1社)で構成されております。

事業の内容は、①不動産賃貸事業と②道路事業及び③不動産保守・管理事業であります。

①不動産賃貸事業

東宝、子会社4社、関連会社1社で構成され、保有不動産の賃貸を主体とする不動産業に携わっております。

②道路事業

子会社17社で構成され、スバル興業㈱とスバル興業㈱の企業集団が、道路の維持管理・清掃等を主たる事業としております。

③不動産保守・管理事業

子会社3社で構成され、東宝ファシリティーズ㈱及び東宝ビル管理㈱がビルの管理・清掃・警備等に携わっております。

その他事業

子会社3社(うち連結子会社2社)で構成され、東宝共榮企業㈱はスポーツ施設等の経営に、TOHOリテール㈱は物販業に携わっております。その他で㈱東宝ビジネスサポートが会計業務のコンサルティング及び指導等に携わっております。

 

 

以上に述べた事項の、東宝を中心とした概要図は次のとおりであります。

 


 

セグメントごとの非連結子会社及び関連会社の会社数と会社名は次のとおりであります。

(連結子会社については、第1 企業の概況 4 関係会社の状況を参照。)

 

セグメント

主要な事業内容

非連結子会社(7社)

関連会社(9社)

会社数

会社名

会社数

会社名

映画事業

映画の製作・配給

1社

東和ピクチャーズ㈱

2社

マイシアターD.D.㈱

 

㈱シネマコネクト ※

映像の製作・販売

1社

㈱東和ミュージック

3社

㈱アイ・エス・シー

 

㈱ニュージャパンフィルム

㈱映像衣裳サービス

IP・アニメ事業

映像の製作・許諾

・商品販売

 

2社

CJ ENM FIFTH SEASON LLC ※

IGLOO STUDIO CO., LTD. ※

演劇事業

演劇の製作・興行

 

1社

㈱シアター・コミュニケーション・システムズ

不動産事業

不動産の賃貸等

 

1社

㈱錦糸町ステーションビル ※

道路の維持管理・清掃等

4社

㈱環境清美

 

㈱名古屋道路サービス

 

㈱水質研究所

 

スバルケミコ㈱

 

その他事業

会計業務コンサルティング業

1社

㈱東宝ビジネスサポート

 

 

 

(注) ※持分法適用会社

 


有価証券報告書(2024年2月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において東宝グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

東宝グループは、小林一三により設立されて以来、映画・演劇を中心に、幅広い層のお客様に夢や感動、喜びをもたらす数多くのエンタテインメント作品をお届けしてまいりました。

その経営理念は、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を企業の存在意義(パーパス)とし、「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観(バリュー)とし、「朗らかに、清く正しく美しく」を行動の理念(モットー)としております。

これらの理念に基づき、公明正大な事業活動に取り組むとともに、常にお客様の目線に立ち、時代に即した新鮮な企画を提案し、世の中に最高のエンタテインメントを提供し続ける企業集団でありたいと考えております。

 

(2)「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」について

東宝グループは2022年4月に、創立100周年に向けた「長期ビジョン 2032」と、最初の3カ年の具体的な施策である「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を策定いたしました。現在、本経営戦略に基づく様々な施策を展開して、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて取り組んでおります。その体系と骨子は、以下の通りです。

 

1.長期ビジョン 2032

(1) コーポレート・スローガン

 


 

(2) 3つの重要ポイント

① 成長に向けた「投資」を促進  ②「人材」の確保・育成に注力  ③ アニメ事業を「第4の柱」に

 

(3) 成長戦略の4つのキーワード

① 企画&IP  ② アニメーション  ③ デジタル  ④ 海外

 

「企画&IP」をあらゆる価値の源泉として、その中でも「アニメーション」を成長ドライバーにし、「デジタル」の力で時間・空間・言語を超え、「海外」での飛躍的成長を実現すべく、果敢に挑戦していく

 


 

(4) 目指す姿(2032年の財務イメージ)

営業利益 750億円~1000億円

ROE    8%~10%程度

 

(5) 事業ポートフォリオの方向性

既存事業の3本柱である映画事業、演劇事業、不動産事業に加え、「アニメ事業」を第4の柱とする

 

2.中期経営計画 2025

 


 

3.人材と組織/サステナビリティの方針

(1) 人材と組織の戦略

基本方針

成長戦略の推進役となる多様で優秀な外部人材の採用を強化するとともに、よりクリエイティブな組織に進化すべく人材育成と働く環境の整備を推進していく

 

具体的施策

キャリア採用の拡大・強化、エキスパート社員制度の拡充

多様なキャリアパスと成長支援、公正な評価と成果に報いる処遇

エンゲージメントを高める以下の環境整備の推進

・朗らか健康経営

・TOHO WORK STYLE

・ダイバーシティ&インクルージョン

・オフィス改革

 

(2) サステナビリティの方針

基本方針

東宝グループは、エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します

 

4つの重要課題

朗らかに ① 誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります

清く   ② 地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します

正しく  ③ 人権を尊重し、健全で公正な企業文化を形成します

美しく  ④ 豊かな映画・演劇文化を創造し、次世代への継承に努めます

 

 

(3)経営環境についての認識

東宝グループを巡る経営環境は、2024年に入り日経平均株価が34年ぶりの最高値を更新し、賃金の持続的上昇に勢いが見られ、日銀がマイナス金利を解除するなど、経済の好循環が日本全体へ波及していくことが期待されています。一方で、世界的な物価高や深刻さを増す人手不足、ウクライナや中東情勢の緊迫化など、様々な影響も懸念されております。また、東宝グループの事業環境においては、約3年に及んだ新型コロナウイルス感染症の影響は払拭されたものの、エンタテインメントを巡る選択肢は多様化し、お客様の嗜好やライフスタイルの変化のスピードは加速しているものと考えられます。

そのような情勢下で、東宝グループの2024年2月期の通期業績は、主力の映画事業において、東宝オリジナルIPであるゴジラの70周年記念作品『ゴジラ-1.0』を製作し、日本での大ヒットのみならず北米においても自社配給を行い、邦画実写作品として歴代最高の北米興収を記録するなど、大きな話題となりました。さらにTOHO animationの期待作『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』や『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』も大ヒットとなり、TOHO animationのラインナップを充実させるとともに、動画配信、商品化権、キャラクターグッズ、ゲーム等の展開を含めて、IPの価値向上につながる多面的な事業展開が会社業績に大きく寄与しました。そのほか、共同製作や配給した作品のうち『名探偵コナン 黒鉄の魚影』が興行収入138億円のシリーズ最高興収を記録、宮崎駿監督の10年ぶりの最新作『君たちはどう生きるか』も夏興行を牽引、洋画では東宝東和㈱配給の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が興行収入140億円以上を記録する大ヒットとなりました。

演劇事業では、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」に引き下げられて以降、正常な公演が安定的に可能となり、帝国劇場を中心に全席完売となる公演が多く見られるなど、お客様の演劇公演に対する期待が好調な業績に結びつく状況となりました。また、不動産事業は新規物件を含む全国に所有する不動産が堅調に稼働し、人手不足や資材価格の高騰の影響はあるものの、事業収益に大きく貢献しました。これらにより連結営業利益は592億円となり、「中期経営計画 2025」の2年目において、数値目標の一つであった営業利益の最高益(528億円)の更新を達成することができました。

そしてこれらの結果は、東宝グループの成長戦略の4つのキーワードである①企画&IP、②アニメーション、③デジタル、④海外の4つが、今後も積極果敢にチャレンジすべきキーワードであることを証明しており、そのチャレンジを続けることで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資することができるとの認識を新たにしています。

一方で、冒頭にも記した通り世界的な物価高や深刻さを増す人手不足、ウクライナや中東情勢の長期化による影響など、経営環境は依然として先行き不透明な状況が続いており、それらの影響についても十分に注視する必要がありますが、これらの不透明な要素が東宝業績に与える影響は、今のところ軽微との認識です。

以下、セグメント別に現在の経営環境等に対する認識について簡潔な説明を記します。

 

[映画事業]

映画営業事業においては、実写、アニメの両方で興行力のある邦画コンテンツを継続的に提供できる配給会社としての東宝の国内シェアは、2023年(自然暦)において約35%を占め、競合他社との間で圧倒的な競争優位性を維持しています。さらに『ゴジラ-1.0』を北米において自社配給することで大ヒットに結びつけることに成功するなど、オリジナルIPを良質のコンテンツとして製作することで、今後は海外の映画市場においても競争力を発揮する可能性を示すことができました。一方で、公開される作品の興行力には大きな差が見られ、いわゆる作品の“優勝劣敗”を左右するコンテンツ力とマーケティング力の強化が大きな課題です。また、コロナ禍を経て急速に会員数を増やした動画配信プラットフォームについては、競争力のある東宝作品の二次利用等の機会創出と付加価値を高めることにつながる反面、それら配信プラットフォーマーが日本国内において自ら作品製作に乗り出すことにより、映画等の製作における影響力を強めていく懸念があります。さらに、東宝東和㈱等が国内配給を担当するハリウッドメジャーの新作についても、100億円を超える大ヒット作品が公開される反面、ハリウッドスタジオにおけるストライキの影響が徐々に顕在化して、短期的には十分な洋画のラインナップを確保することができないなどの影響が予想されます。

映画興行事業においては、自然暦における2023年の全国興行収入は2,214億円(前年比3.9%増)、映画入場者数は1億5,553万人(同2.3%増)と微増になりましたが、コロナ禍前の過去最高であった2019年の全国興行収入との比較では84%に留まっています。そのような状況下にあって、TOHOシネマズ㈱は全国の主要都市の好立地にシネマコンプレックスを展開し、スクリーンシェアでは約19%、興行収入のシェアは約27%と業界トップを維持しており、競合他社との競争優位性に揺るぎはありません。今後も東宝配給作品を中心にバラエティ豊かな強力作品を用意すること、的確な出店戦略により競争優位性を維持すること、適切な映画鑑賞料金施策を実施すること等が重要な課題です。一方で、エネルギー価格や人件費、建設コストなどの上昇傾向が映画館の収支構造に与える影響や、動画配信市場の動向が映画興行事業へ与える影響については、懸念すべき課題として認識しています。また、長期的には国内の人口減の影響や公開される作品の興行力の二極化のように、将来の成長を鈍化させる可能性のある要因についても注視する必要があります。

映像事業においては、「長期ビジョン 2032」において「映画・演劇・不動産」に加えて「第4の柱」としたアニメ事業がさらなる成長を続けております。東宝のアニメーションレーベル「TOHO animation」は、10周年の節目を経て、「SPY×FAMILY」や「ハイキュー!!」が劇場版として大ヒット、加えて「僕のヒーローアカデミア」「呪術廻戦」といった充実したコンテンツの厚みをさらに増すべく、新たなTVシリーズとして製作した「薬屋のひとりごと」「葬送のフリーレン」等の作品もその第一期を好評のうちに終えました。またゲーム事業では、TOHO Gamesの「呪術廻戦 ファントムパレード」が400万ダウンロードを突破するなど好調に推移しました。このように、TOHO animationレーベルの各作品は、パッケージ・配信・商品化ライセンス等の幅広い事業を国内に留まらず海外にも展開することによって、東宝グループ全体の業績を大きく牽引しています。また、㈱東宝ステラの運営するECサイト「TOHO animation STORE」は、アニメ関連グッズの売上の拡大に貢献しています。以上のように、国内外の多くの熱心なファン層に支えられ、アニメ関連市場は中・長期的な成長が期待できるものと認識しており、東宝グループの成長ドライバーとして引き続き経営資源を集中し、多面的・重層的・長期的なビジネス展開に注力していくこととしています。

また、TOHOスタジオ㈱では、映画・映像制作及びスタジオ事業の一体化を図り、外資系動画配信プラットフォームのスタジオ賃貸を誘致するなど、順調に稼働しました。また、㈱東宝映像美術や東宝舞台㈱では、コロナ禍において中断していたテーマパークにおける展示物の製作業務や音楽ライブイベントが復活したことで、美術製作・舞台製作における受注の回復傾向が顕著に見られます。

 

[演劇事業]

演劇事業においては、2023年5月より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられ、すべての劇場において正常な公演が安定的に可能になるとともに、主力の帝国劇場では「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となったほか、大人気コミック「SPY×FAMILY」の初ミュージカル化など、他ジャンルの作品を演劇化することで新しいお客様を開拓するなど、シアタークリエやその他の劇場も含め積極的な営業展開に努めました。さらに本年は、2025年2月をもって建て替えのため休館となる帝国劇場のクロージング・ラインナップを上演、熱心なファンの来場が見込まれます。一方で、2025年3月以降の帝国劇場休館中においては、代替劇場での公演数の確保や建て替え後の新劇場での劇場運営等の課題に注力する必要があります。さらに、コロナ禍において積極的活用が始まった演劇の動画配信、公演関連グッズ販売などの二次利用展開、さらに本年4月から上演されている「千と千尋の神隠し」のロンドン公演のような演劇コンテンツの海外展開についても、演劇事業における今後の業績拡大の機会になると認識しております。また、東宝芸能㈱では、所属俳優がCM・TV・映画出演等で順調に稼働しております。

 

[不動産事業]

不動産賃貸事業においては、足元の不動産市況では、東京都心地区のオフィス空室率が約2年ぶりに5%台に低下するなどオフィスの移転・拡張需要は底堅く、空室率の上昇は限定的なものに留まると見込まれており、成約賃料についても下げ止まり感が見られます。一方で、好立地が多い東宝グループ保有物件の空室率は1%未満の低い水準で推移しており、賃料も比較的底堅い状況にあります。しかしながら、建築コストの高騰、エネルギー価格や租税公課などの上昇傾向、さらには金融政策の変更等に伴う金利上昇が不動産賃貸事業に与える影響について、注視していく必要があります。

道路事業においては、老朽化による道路関連のインフラ整備をはじめとする公共投資の受注は引き続き堅調であり、当面は順調に推移すると思われます。スバル興業㈱と同社の連結子会社が積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注による業績拡大に努めてまいります。

不動産保守・管理事業においては、連結子会社である東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱が厳しい競争環境の中でも受注を回復させるとともに、価格転嫁についても積極的な営業展開に努めております。

なお、道路事業、不動産保守・管理事業の両事業においては、深刻な人手不足やインフレによる賃金上昇の影響について、注視していく必要があります。

 

[その他事業]

その他事業においては、「東宝調布スポーツパーク」でゴルフ練習場、テニスクラブ等を運営する東宝共栄企業㈱が、コロナ禍における屋外スポーツの一時的な”特需“は過ぎたものの、利用者数は堅調に推移しています。また、TOHOリテール㈱は、演劇事業のグッズ販売等を積極的に展開することで業績を回復しております。

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

東宝グループは、経営目標の達成状況を判断するための指標として「営業利益」を最も重視しております。

創立100周年を迎える2032年をターゲットとした「長期ビジョン 2032」においては、営業利益750億~1000億円の企業集団への成長を目指すとしております。なお、その際のROEのイメージを8%~10%程度とし、利益だけでなく資本効率を意識した経営を行ってまいります。

「中期経営計画 2025」では、営業利益において過去最高益(528億円)の更新に挑戦するとしておりましたが、この数値目標については、2年目に当たる当連結会計年度の営業利益が592億円となり、目標を達成しております。また、本期間においては、コロナ禍からの回復を見極めつつ、次の「成長」を実現すべく「投資」を重視し、成長投資の金額として3カ年合計で1,100億円程度を見込むとしております。その他の数値目標では、株主還元として年間40円の配当をベースに配当性向30%以上、かつ機動的な自己株式取得の実施、資本効率の指標としてROE8%以上を掲げております。

 

(5)東宝グループが優先的に対処すべき課題

東宝グループは、2022年4月に公表した「長期ビジョン 2032」と、最初の3カ年の「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しております。

「長期ビジョン 2032」においては、東宝グループのパーパスである「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を再定義した「Entertainment for YOU 世界中のお客様に感動を」というコーポレート・スローガンのもと、成長に向けた「投資」を推進すること、「人材」の確保・育成に注力すること、アニメ事業を「第4の柱」にすることを、3つの重要ポイントとし、さらに「企画&IP」「アニメーション」「デジタル」「海外」の4つを成長戦略のキーワードとして掲げ、積極果敢にチャレンジを続けております。

「中期経営計画 2025」の2年目にあたる当連結会計年度においては、それら挑戦のいくつかが実を結び、数値目標の一つであった営業利益の最高益の更新を達成することができました。映画事業においては、「ゴジラ-1.0」において国内のみならず海外への配給を自ら手掛けた結果、世界的な大ヒットとなり、ゴジラIPと東宝ブランドのグローバルな価値向上につながりました。アニメ事業においては、「SPY×FAMILY」や「ハイキュー!!」の映画版が大ヒットし、「呪術廻戦」のスマホゲームへのチャレンジが成功を収めるなど、TOHO animationの作品ラインナップの充実のみならず、IPの価値向上につながる多面的な事業展開が会社業績に大きく寄与しました。

そして次期連結会計年度は、「中期経営計画 2025」の最終年度に当たります。東宝グループは、映画、アニメ、演劇、不動産の「事業の4本柱」それぞれにおいて、積極的な投資や着実な事業展開により、さらなる成長を目指してまいります。映画事業においては、引き続き充実したラインナップを提供するとともに、将来的な海外展開も視野に入れ、自社企画・製作体制のさらなる強化を図ります。アニメ事業においては、新規IPを加えラインナップのさらなる拡充を図るほか、オリジナル作品の開発にもチャレンジし、持続的な収益拡大に努めてまいります。演劇事業では、帝国劇場のラストイヤーを大盛況で終えることを目指すとともに、舞台「千と千尋の神隠し」のロンドン公演を大成功に導くべくチャレンジします。不動産事業においては、市況の変化に注意深く対応し、保有賃貸不動産の賃料アップに努めるほか、現在進めている複数の再開発プロジェクトを着実に推進することを目指します。

また、これら成長戦略を推進していくためには、多様な人材の積極的な採用と育成、誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境の整備が極めて重要と考えております。東宝本社では現在、通年でのキャリア採用を大幅に拡充するとともに、多様なキャリアパスと成長支援、公正な評価と処遇を実現するための人事制度改革、エンゲージメントを高める環境整備の推進を課題として取り組んでおります。さらに、「エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します」という「サステナビリティの基本方針」に基づき、さまざまな社会課題に対し、エンタテインメント企業ならではのアイデアで解決策を見出して行きたいと考えています。

最後に、取締役会の実効性の確保など、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に努め、成長戦略の推進による収益性の向上に加え、適切な株主還元を通じて資本効率の向上を図ってまいります。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が東宝グループの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び事業運営に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

東宝グループでは、「リスクマネジメント基本規程」に基づき、代表取締役社長を議長とする「リスクマネジメント会議」を設置し、グループ全体にわたるリスクの洗い出しと評価、連絡・報告体制の整備、対応策の検討等を実施し、これら主要なリスク発生の回避及び発生時の迅速かつ適切な対応に向け、全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。

なお、文中における将来に関する事項は東宝グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 映画、アニメ、演劇公演等に係る事業の不確実性に基づくリスク

東宝グループの以下の事業において、作品によっては十分な観客動員を果たせないリスク、作品の製作遅延や公開延期、公演中止等のリスクが存在します。

 映画事業:公開作品によっては興行収入が想定を下回るリスク。また、出演者・スタッフ等のトラブルや撮影時の事故等による公開予定作品の製作遅延や公開延期・中止等のリスク。

 アニメ事業:出資作品によっては興行収入や配信等の各種利用料が想定を下回るリスク。また、声優・スタッフ等のトラブル等により製作遅延や公開延期、放映・配信の中止等のリスク。さらには、作品内容や表現等によって海外での利用に支障が発生し、十分な収入が得られないリスク。

 演劇事業:新作公演等の作品によっては十分な観客動員を果たせないリスク。また、制作スケジュールの遅延や俳優の健康上の理由・トラブル等により出演が不可能になり、公演が延期・中止となるリスク。

これらのリスクが顕在化する可能性は、映画事業、アニメ事業、演劇事業が不確実性を本質的な事業特性とする限り、一定程度、常に存在すると言えます。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、製作投資の回収可能性の低下による棚卸資産の評価減等、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、常に幅広い種類の良質なコンテンツの獲得に努め、映画事業・演劇事業においては、年間を通じてバランスの取れたラインナップを編成してボラティリティの高い興行リスクを軽減しております。また、コンテンツの制作段階におけるトラブルの発生や、制作スケジュールの遅延を防止するため作品ごとの管理を徹底するとともに、万が一の場合には、速やかな代替策や対応策の実施を検討してまいります。

 

(2) 物価、人件費等の高騰による収益構造悪化のリスク

東宝グループの以下の事業において、エネルギー費・原材料費などを含む物価や人件費の高騰といった要因がもたらす収益構造悪化のリスクが存在します。

 映画事業:物価・人件費の高騰による全国各地に保有する映画館のランニングコスト増、及び新規出店に伴う出店費といったコスト増に伴う収益構造悪化のリスク。

 演劇事業:直営劇場として保有する帝国劇場・シアタークリエに係るランニングコスト増による収益構造悪化のリスク。

 不動産事業:全国各地に保有する不動産物件に係るエネルギーコストの高騰による収益構造悪化のリスク。

これらのリスクは、地政学上のリスク発生も含めた世界経済、社会環境の変化が発生要因であるためにコントロールが難しく、常にリスクとして存在します。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、設備投資の回収可能性の低下による固定資産の減損等、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対しては、可能な限り適切な方法で価格転嫁して収入の増加に努めるとともに、一層の運営効率化とコスト節減に努めリスクの低減を図ります。

 

(3) 自然災害及び事故、火災等の発生によるリスク

東宝グループの以下の事業において、不特定多数のお客様が来場される事業場における自然災害(大規模な地震・風水害など)や事故、火災等の発生により事業活動の継続に支障をきたすリスクが存在します。

 映画事業:全国各地に保有する映画館での自然災害や事故、火災等の発生リスク。

 演劇事業:直営劇場として保有する帝国劇場・シアタークリエ及び直営劇場以外での東宝主催公演時の自然災害や事故、火災等の発生リスク。

 不動産事業:全国各地に保有する不動産物件に入居する商業・オフィステナント等に係る自然災害や事故、火災等の発生リスク。

これらのリスクが顕在化する可能性については、自然災害については近年の気候変動による風水害の激甚化、度重なる地震の発生等の傾向から見て、顕在化する可能性が高まりつつあると考えられます。また、事故、火災の発生に関しては、長年にわたり各種予防策を徹底してきたことにより、昭和33年の東京宝塚劇場での死者3名を出した火災以降、東宝グループの事業場において重大事故の発生に至った事例はありません。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、固定資産の滅失・毀損等、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、防火・防災に対応した施設・設備管理を徹底するとともに、緊急時の連絡報告体制やお客様及び従業員の人命・安全を第一にした各種マニュアルの整備等に努めております。また、火災保険等の加入により経済的損害の発生に備えています。

 

(4) 知的財産権の侵害や不正転売に係るリスク

東宝グループの以下の事業において、「ゴジラ」など東宝が保有するIPや東宝が出資した各種コンテンツの知的財産権が侵害されるリスクや、演劇公演の鑑賞券等の不正転売によるリスクが存在します。

・ 映画事業:映画、映像作品の違法動画配信や海賊版パッケージ商品の流通、またキャラクターグッズ等での無許諾商品、模倣品等による東宝知的財産権が侵害されるリスク。

 アニメ事業:アニメ作品の違法動画配信や海賊版パッケージ商品の流通、またキャラクターグッズ等での無許諾商品、模倣品等による東宝知的財産権が侵害されるリスク。

 演劇事業:演劇公演の鑑賞券の不正転売リスク、演劇公演の盗撮や違法配信などによる東宝知的財産権が侵害されるリスク。

これらのリスクが顕在化する可能性は、様々な対策を講じても一定程度発生することが見込まれ、根絶することはなかなか困難と考えられます。

これらのリスクが顕在化した場合は、損益において逸失利益が発生します。特に海外やインターネット上での知的財産権の侵害は、侵害行為の停止措置が困難な場合もあり、被害が拡大する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、著作権、商標権等の保護に関する各種対策を強化するとともに、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)等の業界団体とも連携し、仮にリスクが顕在化した場合は、法的措置を前提に毅然とした対応をとることを徹底しております。また、鑑賞券等の不正転売に関しては、電子チケットの導入を推進していくとともに、行政機関とも協力して可能な限りの対策を講じてまいります。

 

(5) コンテンツの制作現場に係るリスク

東宝グループの映画事業、アニメ事業、演劇事業においては、コンテンツ制作を行う制作現場でのコンプライアンス違反、ハラスメント事案の発生、各取引業者との取引トラブル等のリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化することによって、当該コンテンツの利用に支障を来たす可能性が高く、また東宝が直接契約関係にない事業者においてリスクが発生する可能性もあり、常に一定程度のリスクは存在すると言えます。

これらのリスクが顕在化した場合は、東宝グループの信用を毀損するだけでなく、当該コンテンツの上映、上演や各種利用が行えないといった事態が生じる可能性があります。その場合は営業収入や営業利益が減少し、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、東宝グループが主導的に製作する実写映画の制作現場においては、一般社団法人日本映画制作適正化機構の審査基準を遵守することにより、適正な制作現場の実現を担保すべく努めてまいります。アニメ制作や演劇制作の現場においても、それぞれのコンテンツ制作の特性を勘案しながら、ハラスメントに関する啓発の実施や適正な就業環境や取引環境の実現を図り、持続的なコンテンツ制作が可能となるよう努めてまいります。

 

(6) 人権問題に係るリスク

旧ジャニーズ事務所における性加害問題は、決して許されるものではありません。しかしながら、東宝グループが当該事務所との間で長年の間、事業上の取引があったことも事実であり、その事実を改めて認識したうえで、東宝グループの役員、従業員もしくはその取引先において、性加害問題に限らず、何らかの人権に関する問題が発生するリスクは今後も一定程度存在していると言わざるをえません。

このようなリスクが顕在化した場合には、東宝グループの社会的信用が大きく毀損することになり、取引の停止など様々な事業活動に対して広範な影響が懸念され、営業収入、営業利益が減少するとともに、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策として、東宝グループでは人権方針を制定し、人権侵害を未然に防ぐための教育を継続的に行うとともに、人権デュー・ディリジェンスを実施して人権に関する課題の把握を行ってまいります。また、東宝グループもしくはその取引先において人権に関する問題が発生した場合には、適切な手段を通じ、その是正・救済に取り組みます。

 

(7) 不動産事業に係るリスク

東宝では全国各地に約130物件の不動産を保有しており、飲食・物販店舗やオフィスなどの様々なテナントに対する賃貸借契約によって収入を計上し、安定的なキャッシュ・フローを創出しております。コロナ禍を経て経済活動全般は回復しているものの、在宅勤務の普及に伴うオフィス需給環境の変化や、資材価格の高騰や人手不足等による建築・設備工事費の急騰など、不動産事業を巡る事業環境は大きく変化しつつあります。それらの影響により、東宝グループの既存保有物件においては、空室率の上昇や修繕費の高騰などによる賃貸収益の悪化、また、新規取得物件や再開発物件においては、工事費の高騰による投資回収期間の長期化といったリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対し、既存保有物件においては、経費節減に努めながら賃料改定などの営業努力を継続し、新規取得物件や保有物件の再開発においては、投資回収計画のより慎重な策定などによってリスクの低減を図ります。

 

(8) 海外展開に係るリスク

東宝グループでは、映画、アニメ事業において、コンテンツの海外展開(海外への映画配給、配信プラットフォームへの利用許諾、商品化権の許諾等)を積極的に行っているほか、演劇事業においても、自社製作作品の海外公演を実施する予定となっております。また、2023年にはタイのアニメスタジオIGLOO STUDIO CO., LTD.及び米国の映像製作会社CJ ENM FIFTH SEASON LLCに戦略的出資を行い、CJ ENM FIFTH SEASON LLCについては持分法適用会社としております。

これらの海外展開においては、戦争、政情不安や経済情勢の不確実性といった地政学上のリスクにとどまらず、各種コンテンツの表現に対する文化や慣習の違いに起因するリスク、知的財産権に関するリスク、SNS等における炎上リスク、各種法的規制の変更に関するリスク、為替リスクなど多岐にわたるリスクが存在します。また、海外を拠点とする子会社等においては、グループ・ガバナンスが十分に行き届かないことによるコンプライアンスリスク等が存在すると考えられます。さらに、戦略的出資をしている海外の会社については、当該会社の経営成績が投資時点で想定されていた事業計画を大きく下回って推移する際には、株式の評価損リスクが生じます。

これらのリスクが顕在化する可能性は、「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」に基づき、東宝グループが成長戦略の一環として、海外展開を積極的に拡大する中で増加しているものと考えられます。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入や営業利益が減少するとともに、東宝グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。また、訴訟コスト等が臨時に発生する可能性があります。

これらのリスクへの対応策として、2023年7月に海外事業を統括する100%子会社としてTOHO Global㈱を設立し、海外拠点等に対するリスク情報の収集とガバナンスの体制を構築するとともに、グループ内での知見の共有や経験豊富な専門家にアドバイスを得るなど、可能な限りリスクの低減に努めています。また、知的財産権に関するリスクについては、法的措置を前提に毅然とした対応を行っております。

 

(9) 道路事業に係るリスク

東宝グループの不動産事業において、スバル興業㈱と同社の連結子会社が道路事業に係わっており、これら事業においては、公共工事への高い依存に伴うリスク、人員不足のリスク、労務費及び資機材価格の高騰リスク、自然災害のリスク、建設業法等の規制に関するリスク等、道路事業特有のリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化する可能性は、それぞれ一定程度存在します。また、これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入や営業利益が減少する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、スバル興業㈱を中心に安全管理・品質管理の徹底、優れた技術者の採用・育成・配置等など、影響を最小限にするための具体的な施策を実施しております。

 

(10) 情報セキュリティに係るリスク

東宝グループでは、チケット販売やECサイトでの商品販売等で取得したお客様の個人情報や、映像素材のデジタルデータ、その他業務上の重要な情報等において、悪意の第三者からの不正アクセス、コンピュータウィルス侵入等による個人情報・機密情報の漏洩、設備の損壊、社内インフラの停止等のリスクが存在します。また、財務データを含む電子データが暗号化される等により、事業活動の継続ができなくなる等のリスクも存在します。

これらのリスクが顕在化する可能性は、様々な対策を講じても一定程度存在するものと思われます。また、業務のデジタル化、オンライン化が進むに連れ、顕在化する可能性が増加していくものと思われます。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入や営業利益が減少するとともに、顧客からの損害賠償請求等が発生する可能性があります。

これらのリスクへの対応策として、「情報セキュリティ基本方針」及び「情報セキュリティ対策規程」に則り情報セキュリティ委員会を設置して東宝グループの情報システムに関する運用ルールを整備することにより、東宝グループ全体の情報セキュリティマネジメント体制の構築に努めています。また、最新の技術に基づく可能な限りのセキュリティ対策やインシデント対応体制の整備、様々なユーザー教育を実施しているほか、サイバーリスク保険への加入により経済的損害の発生に備えています。

 

(11) 電子商取引(ECサイト等)に係るリスク

東宝グループでは、映画館や演劇においてインターネット上でチケットを販売しているほか、複数のECサイトでキャラクターグッズ等の商品を販売しております。これらの事業においては、第三者からの悪意ある攻撃によらずとも、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等の障害または人為的なミスにより、システムの運用が停止する事態が発生し、一定期間、チケットや商品の販売ができなくなるリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化した場合は、逸失利益が発生するとともに、復旧までに相当の時間を要した場合は、お客様からの東宝グループ事業に対する信用の失墜につながる可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、過去に発生した障害の分析に基づき、的確な対応策の実施により再発防止に努めるとともに、各ベンダー等との連携を強化し、障害発生時の迅速な復旧対応の体制整備を推進してまいります。

 

(12) 投資有価証券等に係るリスク

東宝グループは、重要な取引先との関係を強固にするため、上場株式および非上場株式を複数保有しておりますが、大幅な株式相場の下落や当該企業における企業価値の毀損が生じた場合には、保有有価証券を減損処理する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、有価証券の投資基準・保有意義を明確にするとともに、取締役会への報告を含む定期的なモニタリングを実施することで、リスクの軽減に努めています。

 

(13) 気候変動に係るリスク

近年、気候変動に伴う温室効果ガスの排出抑制の取り組みは世界中で進みつつあり、映画、アニメ、演劇等のエンタテインメントを主業とする東宝グループにおいても、企業の社会的責任として脱炭素や循環型社会に向けた取り組みを推進して行かなければ、信用の毀損に伴う収益の減少や株式市場における企業価値向上に支障が生じる可能性があります。

これらのリスクへの対応策として、東宝グループはサステナビリティの基本方針の中の重要課題の一つとして「地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します」を掲げ、脱炭素の実現に向けTCFDに基づく情報開示やCDP評価を受けるなど第三者からの評価や視点も取り入れながら取り組んでおり、今後も再生可能エネルギー等を活用したCO2排出量削減、事業活動における環境負荷の少ない素材の活用や廃棄物の削減等を推進してまいります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー