建設技術研究所グループは、建設技術研究所(株式会社建設技術研究所)及び子会社により構成されており、河川、ダム、道路、環境、情報などの公共事業及び民間事業の社会資本整備に関する建設コンサルタント業を営んでおります。なお、当連結会計年度において連結子会社は25社、持分法適用会社はありません。
建設技術研究所グループの事業内容及び建設技術研究所と主要な子会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
主要な事業は、国内における公共事業の企画、調査、計画、設計、発注者支援、施工管理、運用維持管理などの総合コンサルティング業務及び付随するシステム開発、保守管理、一般事務処理受託、土地区画整理業務、地質調査業務、建築設計・監理業務並びに環境計量証明業務・環境調査・分析業務であります。土地区画整理業務、地質調査業務、建築設計・監理業務及び環境計量証明業務・環境調査・分析業務を除く業務は主に建設技術研究所及び子会社広建コンサルタンツ株式会社、土地区画整理業務は子会社日本都市技術株式会社、地質調査業務は子会社株式会社地圏総合コンサルタント、建築設計・監理業務は子会社株式会社日総建、環境計量証明業務・環境調査・分析業務は子会社株式会社環境総合リサーチが担当しております。
主要な事業は、海外におけるプロジェクトの発掘、マスタープランの策定、企画、調査、計画、設計、施工管理、運用維持管理など建設プロジェクト全般にわたる総合コンサルティング事業並びに構造設計、設備設計を含むビルディング関連事業、技術者派遣事業であります。総合コンサルティング事業は建設技術研究所、子会社株式会社建設技研インターナショナル及び子会社Waterman Group Plc、ビルディング関連事業は子会社Waterman Group Plc及び子会社Waterman Group (Aus) Pty Limited、技術者派遣事業は子会社Waterman Aspen Limitedが担当しております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
(注) 1 *印の子会社は、規模の重要性が乏しいため、連結の範囲から除外しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
株式会社建設技術研究所は、1945年に前身である財団法人建設技術研究所が創立されて以来、「誠実」と「技術」を社是として社会資本整備の一翼を担ってきました。
近年、世界中で地球温暖化の進行により、気象災害が激甚化・頻発化しており、日本ではインフラ施設老朽化や少子高齢化による担い手不足など、様々な社会課題に直面しています。
私たちCTIグループは、「世界に誇れる技術と英知で、安全で潤いのある豊かな社会づくりに挑戦する」という経営理念に基づき、これまで築いてきた皆さまからの「信頼」をさらに高めながら、建設技術研究所のブランドフレーズである『未来につづく安全・安心を』のもと、災害への備え、地球環境問題への対応、安全で安心できる社会の構築、そして世界の持続可能な社会の形成に貢献していきます。
(2)目標とする経営指標
建設技術研究所グループは、2024年12月期における業績目標を売上高89,000百万円、営業利益8,400百万円、経常利益8,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,100百万円としております。
なお、 中期経営計画2024における2024年12月期の業績目標を次のとおりとしております。
(連結) 売上高85,000百万円、営業利益7,700百万円、営業利益率9.1%、ROE10%以上
(個別) 売上高55,000百万円、営業利益6,400百万円、営業利益率11.6%
(3)経営戦略
建設技術研究所グループは、2030年を目標年次としたCTIグループ中長期ビジョン「SPRONG2030」に基づき、国内外のインフラに関わるあらゆる課題を解決に導き、SDGs目標の達成に向けて貢献する「グローバルインフラソリューショングループ」として飛躍していくことを目指しています。
また、「SPRONG2030」の実現にむけて、中期経営計画2024(2022年1月~2024年12月)を策定し、企業価値を向上させ、社会の持続的な発展に貢献するため、グループ一丸となって「グローバルインフラソリューショングループ」として成長することを目指し、具体的な経営数値目標及び施策のもと、推進しています。
さらに、飛躍のための取り組みの1つとして、2022年6月に「CTIグループ・サステナブルチャレンジ」を策定し、公表しました。「CTIグループ・サステナブルチャレンジ」では、インフラ整備を通じた「サステナビリティ」実現に向けて、多様な主体が共創すること、自然の力を巧みに活かすことにより、地域の「防災」、「環境保全」、「地域活性化」の同時達成に寄与する新しい価値を提案・開示することとしています。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が継続しています。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響、中国経済の先行き等が経済状況を下押しするリスクとして存在しています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響については、継続的に注視していく必要があります。
建設技術研究所グループを取り巻く経営環境は、国内建設コンサルティング事業では、政府が推進している防災・減災対策の強化、インフラ老朽化対策に関わる国土強靭化推進などを背景として、引き続き堅調に推移しています。海外建設コンサルティング事業では、アジア市場及び英国市場ともに、新型コロナウイルス感染症による影響がほぼ解消し以前の事業環境に戻りつつある一方、中東及びウクライナ情勢による不確実性の高まりのほか、世界的なインフレの進行や金融引締め等の懸念すべき事象も発生しています。
建設技術研究所グループは、このような経営環境のもと、「中期経営計画2024」の中間年である2023年において、①事業構造変革の促進、②生産システム改革の促進、③ガバナンスの強化、④サステナビリティ経営の推進の4点をグループ全体の取組として掲げ、多くの施策を実行してまいりました。
国内建設コンサルティング事業では、2023年6月に改正国土強靱化基本法が施行され、2024年度における国の公共事業関係費予算及び防災・減災、国土強靭化のための推進予算が前年並みに確保される見込みで、流域治水等の防災・減災対策、河川や道路のメンテナンス事業等のインフラ老朽化対策などが引き続き進むものと想定されます。さらに、災害への対応、DX推進、カーボンニュートラルへの対応など、社会からの要請が一層高まると予想されます。
海外建設コンサルティング事業では、株式会社建設技研インターナショナルの所管する東南アジアの事業が引き続き改善傾向にあるものの、Waterman Group Plcの所管する英国やオーストラリアでは、高騰するインフレ率、賃金上昇などを背景とする景気動向により受注環境は不確実な状況であり、今後も注視していく必要があります。
以上の経営環境のもと、「中期経営計画2024」の最終年となる2024年では、積み残した課題の改善と「中期経営計画2024」の目標達成に向けて、以下の重点テーマに基づく取組を推進します。
(a) 事業構造変革の促進
防災・減災などコア事業の競争力を一層高めるとともに、情報システム開発や都市・建築、エネルギーなどの重点事業分野の受注拡大を図ります。また、ウェビナー等を活用した営業活動を進め、地方自治体や民間、海外等への市場展開を促進します。
(b) 生産システム改革の促進
成長の原動力である人材の強化を図り、そのための人材確保、人材育成、人材活用を重点的に実施します。さらに、プロジェクトマネジメント強化とDXの推進によって品質確保と生産性向上を図ります。
(c) リスクマネジメントによるガバナンスの強化
前年より強化したリスクマネジメント体制のもと、コンプライアンスを徹底するとともに、事業リスクや成果品質、労務管理及び情報セキュリティ等、建設技術研究所グループを取り巻く俯瞰的かつ重点的なモニタリングを行うことにより、グループ全体の内部統制を一層強化します。
(d) サステナビリティ経営の推進
サステナブルチャレンジ推進計画に沿った施策、エンゲージメント向上に資する取組、ダイバーシティに関する取組などを引き続き推進するとともに、これらの取組の積極的な開示に努めてまいります。
(5)不適切な原価管理の発生
2024年2月6日、建設技術研究所従業員より、建設技術研究所が受託した業務において生じた人件費等を、当該業務以外の業務に付け替えた旨の自己申告がなされました。
建設技術研究所は、本申告の内容を調査するため、社内調査委員会を設置し、本事案の詳細及び類似案件の有無について調査を実施いたしました。
調査にあたっては、関係者ヒアリング調査、デジタルフォレンジック調査、アンケート調査等の各種調査方法を用いております。また、調査対象としては、自己申告のあった従業員の所属する部室の部員のほか、建設技術研究所及び建設技術研究所の主要なグループ会社の中から予算管理権限のある管理職832名(内グループ会社116名)を選定いたしました。
各種調査の結果、複数拠点にて、主に赤字の回避や予算原価率との乖離の回避を目的として、業務月報上について、本来付けるべき業務ではない業務に記録して申請する等の手段を用いて、売上等の計算の基礎である原価を操作するという、不適切な原価管理がなされていることを確認いたしました。
建設技術研究所は、本事案の再発防止策として、原価管理に関するチェック機能の強化及びコンプライアンス研修の徹底等の実施に取り組みます。
今後とも再発防止を徹底するとともに、信頼回復に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、建設技術研究所グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、建設技術研究所グループが判断したものであります。また、以下の記載は、建設技術研究所グループのリスクの全てを網羅するものではないことにご留意ください。
(1)市場
建設技術研究所グループの受注は公共事業に大きく依存しており、その動向により建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、技術革新により事業環境が大きく変化する可能性があります。
これらのリスクに対して、新技術の開発・導入やDXの推進によって競争力を更に高めるとともに、グループ会社間の連携強化などを通じて民間市場など事業領域の拡大に取り組むことにより、受注確保に努めております。
(2)基準、法的規制
建設技術研究所グループは、国内事業及び海外事業において様々な法的規制の適用を受けております。近年、変化の著しい社会・経済環境に応じてしばしば基準・法律が制定・改正されており、これらへの対応が遅れる事態が発生すれば、社会的信用の失墜等により、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対し、基準・関係法令等の最新情報を収集・分析し、速やかな対応に努めております。
(3)気候変動、自然災害、パンデミック
大規模な地震、台風、豪雨等の自然災害や感染症の流行等の発生により、正常な事業活動が困難となり、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、プロジェクトの中断、新規案件での発注遅延等の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、気候変動対応策への対応の遅れにより、事業機会を喪失する可能性があります。
これらのリスクに対して、建設技術研究所グループでは、BCP(事業継続計画)を策定し、社員に周知しており、定期的に内容を点検・更新するなど、危機管理体制を整備して事業活動への影響を低減するように努めるとともに、気候変動関連の技術開発等により、気候変動関連事業への展開に努めております。
(4)投資
企業買収や新事業などへの投資による損失が業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対して、事業環境を見極め、投資した事業の継続的なモニタリングを実施し、より成長が期待できる分野等への投資を行ってまいります。
(5)人材確保・育成
建設技術研究所グループは、高度な専門性や公的資格及び実績を有した人材が、競争優位性を確保し、持続的な成長を可能とするための、唯一にして最大の経営資源と認識しております。必要とする人材の確保・育成ができなかったり、優秀な人材が流出したりした場合は、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、建設技術研究所グループは積極的かつ継続的な採用活動を行うことに加え、働き方改革を推進し、多様な働き方に対応する制度の充実等を図っております。さらに、社員のキャリアアップに資する各種研修・教育訓練などの人材育成に積極的に投資しております。
(6)情報セキュリティ
電子媒体やネットワークを介して取り扱う情報が拡大する中、災害、故障・障害、過失・故意等による情報の紛失、破壊、漏洩等により、社会的信用の失墜、顧客との取引停止、損害賠償等が発生し、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して、CTIグループ情報セキュリティポリシーをはじめとした規程類を整備し、建設技術研究所グループが取り扱う情報及び情報システムの適切な運用・管理を行うとともに、定期的に情報セキュリティ研修を実施して、社員の情報セキュリティに関する意識とリテラシーの向上に努めております。
(7)カントリーリスク
建設技術研究所グループが海外事業を行う国・地域において予期しえない法制度の変更や政治・経済情勢における不測の事態が発生した場合には、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、海外業務に従事する際の安全対策マニュアル策定による社員の安全の確保、海外の市場変化への柔軟な事業展開、与信管理の徹底による不払いや貸し倒れリスクの軽減等に努めております。
(8)品質・安全
建設技術研究所グループが行う業務は、公益性が高いことから、広範に及ぶ社会的影響などのリスクが潜在します。特に成果品に契約不適合箇所があった場合や安全管理不足による重大事故が生じた場合には、社会的信用の失墜、指名停止処分、損害賠償等により、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、潜在するリスクを評価・特定し必要な対策を講ずるために「技術リスクガイドライン」を策定して、品質環境管理システムとの一体的運用を行い、業務の品質管理を徹底し、成果品の社内照査を確実に行うための体制を構築し、契約不適合箇所発生等の技術リスクの低減に努めております。また、安全管理教育を徹底し、重大事故防止に努めています。なお、契約不適合責任に対する損害賠償請求に備えるため損害賠償責任保険に加入しております。
(9)技術力
社員の成長の停滞や研究開発の低迷等に起因する技術力の低下や生産性の低下により、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、事業環境の変化を見極め、研修等を通じた技術力の強化、計画的な研究開発の推進、生産システム改革の推進などを進めています。
(10)人事・労務
長時間労働や各種ハラスメント行為の発生により、社員の心身の健康等に悪影響を及ぼし、傷病の発生、生産性の低下、又は労働法令違反による社会的信用の失墜等により、建設技術研究所グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、長時間労働防止に向けた行動計画の策定とモニタリングの強化、テレワーク等を活用した新しい働き方の推進、深夜労働回避のための管理の強化、ハラスメント防止教育の実施、社内通報・相談窓口の設置等に取り組んでおります。
また、技術によって社会に貢献する建設技術研究所にとって、従業員が「幸福」であることが、創造性、生産性を高め、優秀な人材を引き付ける原動力との認識のもと、CTIウェルビーイング基本方針を策定し、トップマネジメントとして健康経営を推進しております。
(11)コンプライアンス
社員のコンプライアンス意識の薄さから、社員個人又は会社組織での会計不正、横領・贈収賄、独禁法違反、知的財産権侵害、インサイダー取引、機密情報・個人情報の持ち出し等の事態が生じる可能性があります。
これらのリスクに対して、コンプライアンス違反行為を発生させない職場環境づくりや意識向上に努めるとともに、社員に対するコンプライアンス研修・教育の実施、情報持ち出し防止策の徹底、内部監査体制の強化に努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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