日本空港ビルデング(9706)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 日本空港ビルデンググループ(日本空港ビルデング及び日本空港ビルデングの関係会社)は、日本空港ビルデング(日本空港ビルデング株式会社)及び子会社24社、関連会社16社から構成されており、羽田空港における旅客ターミナルの管理運営及び国内線、国際線利用者に対するサービスの提供を主たる事業とする施設管理運営業をはじめ、物品販売業及び飲食業等を営んでおります。また、成田空港、関西空港、中部空港等において物品販売業等を営んでおります。 日本空港ビルデンググループ各社の位置づけと事業内容との関連は次のとおりであります。 施設管理運営業 … 日本空港ビルデング及び子会社である東京国際空港ターミナル株式会社は、旅客ターミナルの施設管理運営業を行っており、主に航空会社を中心とする航空関連企業への施設の賃貸や、整備運営事業を行っております。 これに付随して、子会社である日本空港テクノ株式会社ほか3社及び関連会社7社は、旅客ターミナル施設等の保守・営繕、運営、警備、清掃、旅客輸送及びグランドハンドリング事業を行っております。子会社である株式会社ビッグウイングほか2社は、旅客ターミナルにおける広告代理業及び旅客サービス等の役務の提供を行っております。 また、子会社である株式会社羽田未来総合研究所及び関連会社5社は主として国内外の空港運営コンサルティング事業等を行っております。 物 品 販 売 業 … 日本空港ビルデング及び子会社である東京国際空港ターミナル株式会社ほか9社及び関連会社3社は、物品販売業を行っており、主として羽田空港国内線、国際線及び成田空港並びに関西空港を中心に航空旅客等への商品販売及び中部空港をはじめ空港会社等に対する商品卸売等を行っております。 これに付随して、子会社である株式会社日本空港ロジテムは、商品の運送、倉庫管理等を行っております。 飲 食 業 … 日本空港ビルデング及び子会社である東京国際空港ターミナル株式会社ほか3社は、主に羽田空港国内線、国際線及び成田空港の利用者等に対する飲食サービスの提供を行っております。 また、子会社であるコスモ企業株式会社及び関連会社1社は、羽田空港及び成田空港において主として国際線航空会社に対する機内食の製造・販売及び冷凍食品製造・販売を行っております。 以上に述べた事項を事業系統図によって示しますと、次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】日本空港ビルデンググループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本空港ビルデンググループが判断したものであります。(1) 経営方針・経営戦略等日本空港ビルデンググループは、国内航空輸送網の拠点である羽田空港における旅客ターミナル等を建設、管理・運営する企業として、「公共性と企業性の調和」を経営の基本理念としております。この基本理念の下、今後とも、旅客ターミナルにおける絶対安全の確立、お客様本位の、安定的かつ効率的な旅客ターミナル運営に努めることにより確実に社会的責任を果たしてまいります。また、グループ全体の継続的な企業価値の向上を図るため、戦略的かつ適切な投資の実行及び投資管理によるさらなる旅客ターミナルの利便性、快適性及び機能性の向上や顧客ニーズの高度化・多様化に的確に対応するとともに、航空会社、空港利用者、取引先、株主等関係者への適切な還元を心がけることを経営の基本方針としております。 (2) 経営環境認識国内外の航空需要はコロナ禍から着実に回復し、羽田空港における当連結会計年度の旅客数は9,000万人を超え、2020年3月の国際線発着枠の拡大を背景に、コロナ前を上回る水準となりました。日本空港ビルデンググループでは、2022-2025年度の中期経営計画に基づく取組を推進し、インバウンド等の急激な需要回復や想定を上回る物価高騰にも着実に対応することで、コロナ前以上に収益力を高め、利益成長を実現しました。中長期的には、日本全体における訪日需要は今後も増加し、羽田空港の航空需要も堅調に推移することが見込まれます。一方で、航空業界においては、地方における労働人口の減少や人流の偏在、航空会社における国内線事業の収益性悪化などの課題が顕在化しております。羽田空港では、航空便数は発着枠の上限水準に達しており、需要回復期から需要安定期へと移行しつつあります。旅客数の量的拡大による成長余地が限定される中、羽田空港単独で安定需要を享受する限りでは、航空業界・日本経済全体にとってマイナスとなり、将来的に日本空港ビルデングの成長も頭打ちとなることが懸念されます。これらの観点を踏まえ、羽田空港での共創・全体最適を通じて、日本全体の航空成長を支えることが、日本空港ビルデンググループの役割であると認識しております。 (3) 経営戦略①長期ビジョン日本空港ビルデンググループは経営環境認識に基づき、羽田空港の目指すべき姿を、日本の玄関口・乗継の結節点として日本全体の移動・人流を活性化し、日本の航空旅客数最大化に貢献する空港であると定めました。この目指すべき姿を実現するための方向性として、「首都圏空港の最大活用」「アジアの経済成長の取込」「国内移動需要の創造」の3点を掲げ、日本空港ビルデンググループの新たな長期ビジョンを、従来の「需要享受型」の空港ターミナル会社から、需要を自ら生み出し、共創と全体最適を牽引する「需要創造型」の空港の要(Anchor Role)と再定義いたしました。日本空港ビルデングが要の役割(Anchor Role)を果たし、共創・全体最適に取り組むことで、旅客には安心で快適な空港体験を、地域社会や事業パートナーには持続的な成長を、従業員には挑戦を通じた成長を、環境には着実な配慮を提供しながら、すべてのステークホルダーへの価値向上に繋げてまいります。日本の航空旅客数最大化に向けた長期戦略において、ハード面では従来の基幹事業の進化として、国が進める人工地盤整備等と連動したターミナル施設の増改修を検討しています。国内線と国際線の機能融合を進め、スムーズな乗継環境の実現により地域送客力を強化するとともに、運営効率の向上を通じて発着処理能力の向上に寄与してまいります。ソフト面では新たな成長の軸として、関係事業者との全体最適を支える空港運営基盤「Total Airport Management(TAM)」を構築し、ナレッジを全国へ共有・活用することで、日本全体の人流創出へと繋げることを目指します。ハードとソフトとの両輪を推進することで取組みの効果を最大化し、収益ポテンシャルを拡大してまいります。 ②中期経営計画(2026-2030年度)2026-2030年度の新中期経営計画においては、長期的な将来像を実現するための企業変革期と位置付け、航空需要の享受にとどまらず、羽田空港全体を最適化し需要創造を牽引する「羽田空港の要」となることを目指します。羽田空港の要としてすべてのステークホルダーへの貢献を果たすために、日本空港ビルデングが2030年に実現すべき項目を整理し、マテリアリティ(重要課題)を再編いたしました。再編したマテリアリティへの対応を前提に、戦略の方向性として、将来の大規模投資の遂行へ向けたキャッシュ・フロー創出力の強化と関係者牽引力の強化を掲げ、「効率」「付加価値」「共創」の3つを中核戦略に据えて取り組んでまいります。 「効率」では、資本コストを意識した経営を徹底し、成長性・収益性の観点から経営資源を配分します。投資リターン管理の強化や、不採算事業の整理、非事業資産の圧縮等を通じて筋肉質な経営体質を築くとともに、グループ事業を再編し成長分野に経営資源を集中することで、資本効率の向上を図ります。「付加価値」では、旅客動線や滞在時間、個々の多様なニーズを柔軟に捉えて、「稼ぐ力」を多角的に強化してまいります。内際一体での商業機能配置や乗継需要の取込、CRM強化、EC拡充などを通じてトラベルリテールを高度化し、施設サービスでは、先端技術を活用してターミナル機能の強化やサービスレベルの向上を図ります。これらの取組みによってターミナル滞在時間の価値密度を高め、旅客一人当たり及び施設面積当たりの収益向上を目指します。「共創」では、空港全体の運営基盤となるTotal Airport Management(TAM)の構築を進めます。事業者間の連携高度化・空港全体の最適化を推進することで生み出だされる、時間・スペース・人員の余剰を、新たな価値創造に活かし、さらなる空港評価と収益機会に繋げます。また、世界のエアラインから選ばれ続けるべく、旅客ターミナルにとどまらず、羽田空港全体の脱炭素化計画を着実に推進します。さらに、周辺地域や全国各所との連携を深めることを通じて事業領域を拡張し、羽田空港ターミナル外での収益規模を拡大します。これら中核戦略の推進と合わせて、戦略推進の土台となる人的資本経営を強化することで、持続的な企業価値向上を目指します。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2025年度を最終年度とする中期経営計画におけるガイドライン及び達成状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②経営成績の分析」に記載しております。2026-2030年度の中期経営計画においては、業績成長目標として、2030年度に売上高3,400億円・営業利益550億円を目標としております。質的成長の成果として、売上高以上の伸び幅で営業利益を拡大することを目指します。また、業績目標に加えて、すべてのステークホルダーへの貢献を可視化すべく、ガイドラインを以下のとおり設定しております。 (5) 対処すべき課題日本国内のインバウンド需要は引き続き堅調に推移する一方で、羽田空港においては発着枠の制約が顕在化しており、旅客数の大幅な増加による量的成長は見込みにくい状況となっています。また、物価上昇や人件費の増加、地政学リスク等を背景とした為替・エネルギー価格の変動などにより、航空需要及びコスト構造の両面において不確実性が高まっています。2026年度は、日本空港ビルデンググループにおいては、中期経営計画の初年度として、需要享受から需要創造へ転換する、企業変革の起点となる一年です。地政学的リスクや国際情勢の変動による影響を注視しつつ、不採算事業の整理や収益力の強化に努め、利益創出を図ります。また、日本空港ビルデング子会社の取引先事業者の選定等に関して、日本空港ビルデングが定める日本空港ビルグループコンプライアンス基本指針に照らして不適切な対応が行われていた事実が判明した事案(以下、「不適切事案」という。)を踏まえ、コーポレート・ガバナンス強化を引き続き経営上の重要な課題として認識しています。継続的なモニタリングのもと、2025年6月12日付「再発防止策の策定及び取締役の処分に関するお知らせ」で策定した再発防止策(以下、「再発防止策」という。)を着実に遂行し、信頼回復に努めてまいります。ターミナル運営では、資材や人件費単価の増加に加えて、第1ターミナル北側サテライト施設の供用開始に伴い、減価償却費やターミナル運営コスト等の不可避な費用増加が見込まれます。また、国際線における旅客数の増加に伴う混雑の解消や、際内乗り継ぎ利便性のさらなる強化に対応するためのターミナル整備が課題となります。このような中で、将来を見据えた施設整備を着実に進めるとともに、PSFC単価改定のほか、継続的な賃料の見直しや、前年度に実施した各サービス料金の改定効果の通年寄与により、増加するコストの吸収を図ります。リテール運営においては、旅客数の増加が限られる中で、展開ブランドの入れ替えや店舗改装、CRMの強化等により旅客一人当たりの収益の向上を図ります。また、銀座市中免税店を撤退する一方で、ECサイトでの免税品事前予約サービスを強化するなど、拠点・店舗単位で採算性を重視した資源配分を行い、高効率リテールを推進します。さらに、グループ全体で投資規律を徹底し、業務委託費や諸経費等のコストを精査することで、利益率及び資本効率の向上を図ります。日本空港ビルデンググループは、中期経営計画で掲げる“羽田空港の要=Anchor Role”となることを目指して、「効率」「付加価値」「共創」をキーワードに各施策を着実に実行し、企業価値の持続的な向上へと繋げてまいります。(6) 不適切事案に関する再発防止策における信頼回復への取り組み日本空港ビルデングは、不適切事案については再発防止策に基づき、各施策の推進を図ってまいりました。今後は整備した制度・体制を監査等委員会と取締役会がモニタリングし、継続的な運用等を通じることで実効的なコーポレート・ガバナンスの構築、内部統制及びコンプライアンスの強化に努めてまいります。主な取り組み内容は、次のとおりであります。 ①経営体制の刷新経営トップへの権限集中及び牽制機能の欠如を是正し、経営の透明性及び監督機能を確保しました。今後の運用及び定着への取り組みとしては、取締役会の実効性評価等を通じて、経営監督機能の継続的な検証及び改善を行ってまいります。 ②最高経営責任者の後継者育成計画の策定及び指名プロセスの透明化及び指名諮問委員会の在り方の見直し指名・報酬諮問委員会の委員長を独立社外取締役とし、委員会の独立性・客観性を高めました。また、後継者育成計画(サクセッションプラン)の策定に向けた検討を行い、役員指名プロセスの公平性・客観性・透明性を確保する運用体制を構築しました。今後の運用及び定着への取り組みとしては、後継者育成計画では、社長に求める人材要件、候補者の考え方、評価の枠組みを整理し、その運用を着実に進めることで、経営環境の変化に対応した実効性ある人材育成・選任を継続してまいります。 ③経営トップへの牽制機能の強化常勤の監査等委員の選任と監査等委員会室の新設により監査の実効性を確保し、内部統制・内部監査部門の担当役員を明確化し、さらには、主要グループ会社に常勤監査役を配置し、グループ監査体制を強化しました。今後の運用及び定着への取り組みとしては、監査等委員会による定期的なレビューを継続し、内部統制システムに係るグループ監査機能の実効性強化を図ってまいります。 ④組織風土の改革社内通報窓口、社外弁護士事務所による外部通報窓口、監査等委員(社外取締役)への直接通報制度を整備しました。また、内部通報制度の周知・教育を実施するとともに、法令・規程違反等が本社及び監査等委員会に迅速かつ適切に報告される体制を構築しました。今後の運用及び定着への取り組みとしては、通報制度の実効性を検証し、継続的な教育を通じてコンプライアンス意識の定着を図り、さらにはコンプライアンス推進委員会を中心に事案の背景・真因を分析し、その結果を教育・研修に反映することで、職場・組織風土の改善と透明性・信頼性の高い企業運営に繋げてまいります。 ⑤経営改善委員会の設置再発防止策を単なる形式的・一過性な対応にとどまらず、実効性をもって機能させるために横断的に検証・議論する場として経営改善委員会を設置し、組織風土、ガバナンス、調達、後継者育成等に関する課題について継続的な審議を行っております。今後も引き続き経営課題の早期把握及び改善に繋げてまいります。 ⑥コーポレート・ガバナンス委員会の設置取締役会の実効性及びガバナンス体制の継続的な改善を図るために、コーポレート・ガバナンス委員会を設置し、取締役会実効性評価の実施及び社外取締役による意見交換の場を整備しました。今後の運用及び定着への取り組みとしては、取締役会の更なる機能強化を図るため、取締役会実効性評価の結果を踏まえ、指名・報酬諮問委員会と連携した対応策を議論し、取締役会への提言を行うことを通じてガバナンス体制の継続的な改善を図ってまいります。 ⑦継続的なモニタリング監査等委員会及び取締役会において、再発防止策の実施状況及び運用状況について定期的な報告及びレビューを実施しました。今後も定期的なモニタリングを継続し、必要な改善を機動的に実施してまいります。 今後は、各施策の実効性を監査等委員会と取締役会が継続的に検証し、必要な改善を行うことで、コンプライアンス最優先の企業文化の定着に努めてまいります。日本空港ビルデングは、公共性の高い空港施設を運営する企業としての社会的責任を改めて認識し、法令遵守と健全な事業運営を徹底するとともに、空港利用者をはじめとする全てのステークホルダーの皆様の信頼回復に向け、継続的に取り組んでまいります。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは日本空港ビルデンググループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されていない他の事項が影響を及ぼす可能性もあります。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本空港ビルデンググループが判断したものであります。日本空港ビルデンググループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めるとともに、これらのリスクが日本空港ビルデンググループの事業戦略の遂行能力及び中長期的な企業価値に与える影響を考慮し、リスク管理体制の強化と適切な情報開示にも努めてまいります。なお、日本空港ビルデングは、不適切事案については再発防止策に基づき、各施策の推進を図ってまいりました。今後は整備した制度・体制を監査等委員会と取締役会がモニタリングし、継続的な運用等を通じて実効的なコーポレート・ガバナンスの構築、内部統制の強化及びコンプライアンスの強化に努めてまいります。(注)主な取り組み内容については、「第2.事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 (1) 日本空港ビルデンググループの営業基盤について 日本空港ビルデンググループは、羽田空港において空港法に基づく空港機能施設事業者としての指定を受けており、旅客ターミナル3棟及び立体駐車場2棟を建設・所有し、管理・運営する企業として、事務室等の賃貸のほか、空港内店舗における物品販売(食料品を含む)、飲食店舗の運営、機内食の製造・販売や旅行サービスの提供等を行っております。 また、成田空港等の拠点空港においても、物品販売や機内食の製造・販売等の飲食サービスの提供を行うほか、空港外に保有する社有地を有効活用した不動産賃貸等を行っており、長年培ってきた経験を生かして空港内外における新たな事業展開についても取り組んでおります。 (2) 日本空港ビルデンググループのリスク管理体制について公共性の高い旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う日本空港ビルデンググループにとって、事業の継続性を確保することは社会的使命であり、新たなリスクが顕在化する不確実な社会において、事業を取り巻くリスクを把握し、対策を講じることは組織のレジリエンス確保において重要な課題であると認識しております。代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、全社的なリスク情報を集約・評価し、優先的に対応すべきリスク(以下「優先リスク」)を特定しております。リスク管理委員会は、定期的に(年2回以上)開催され、優先リスクへの対応状況の確認、効果検証、及び新たなリスクの評価を行っております。審議内容は経営会議での承認を経て、取締役会へ半期ごとに報告され、取締役会はこれらのリスク管理状況を監督する体制となっております。また、リスク管理委員会は、サステナビリティ委員会やコンプライアンス推進委員会等の関連委員会と連携し、気候変動や人権、サプライチェーンといったサステナビリティ関連リスクを含む全社的リスクマネジメントを推進しております。 (3) リスクマネジメントの全体プロセス 日本空港ビルデンググループは、リスク管理委員会を中心に、以下のPDCAサイクルに基づいたリスク管理プロセスを実施し、優先リスクへの対応策の進捗状況は半期に一度確認しております。 計画 (Plan):リスクの調査・識別、評価、対応計画の策定国内外の社会経済情勢や事業環境の変化、中期経営計画及びマテリアリティ等を踏まえ、リスク管理委員会事務局が網羅的なリスク調査を実施します。特に人権・環境リスクは必須調査項目としております。リスク管理委員会は、識別されたリスクを「影響の大きさ」と「発生頻度」で評価し優先順位付けを行い、「純粋リスク」と「戦略リスク」等に分類します。特定された優先リスクに対し、リスク所管部門が対応策を策定し、リスク管理委員会が年度計画として承認します。この計画は経営会議での整合性確認後、取締役会に報告・審議され監督を受けます。 実行 (Do):対応計画の実行リスク所管部門は、承認された年度計画に基づきリスク対応策を実行します。 評価 (Check):モニタリングと評価リスク管理委員会は、各対応策の進捗及び有効性を半期ごとにモニタリング・評価し、必要に応じて計画や評価基準等を見直します。結果は経営会議及び取締役会に報告され監督を受けます。 改善 (Action):対応計画の改善と実行評価結果に基づき、対応計画の改善策を策定・実行し、リスク管理態勢の継続的な改善を図ります。 情報開示本リスク管理プロセス及び主要リスクへの対応状況は、本有価証券報告書、統合報告書、日本空港ビルデングウェブサイト等を通じて適時適切に開示・発信します。 (4) 日本空港ビルデンググループの事業等のリスクについてリスク管理プロセスにて記述のとおり、日本空港ビルデンググループではリスクを性質により「純粋リスク」(危機管理、業務プロセス、経営基盤)と「戦略リスク」(事業環境変化)に大別しております。この分類の考え方及び概要を下表に示します。表の分類に従い、2025年度に特定・更新した優先リスク18項目及び主な対応状況は以下のとおりです。これらは、日本空港ビルデンググループの経営戦略及び事業継続に重要な影響を与える可能性があると認識しており、影響を最小限に留めるべく取り組んでおります。 1.純粋リスク 純粋リスクは、事業運営上、顕在化を抑止する必要のあるリスクであり、ハード(施設設備)・ソフト(仕組み・計画)・ヒューマン(訓練)の対応策により影響の極小化を図るものです。また、経営基盤に関するリスクは、構築が不十分な場合にそれ自体がリスクとなる項目です。 ①危機管理(外的要因)・テロ・破壊活動リスク概要:空港又は旅客ターミナルにおけるテロ・破壊活動の発生は、人的・物的損害に加え、空港機能の停止や社会的信用の失墜等、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。主な対応策:関係機関との連携による警備体制の強化や、ハード・ソフト両面からの継続的な対策として、最新技術を活用した防犯システムの強化、従業員への教育・訓練を継続実施しております。 ・空港機能の著しい低下(自然災害・事故)リスク概要:大規模地震、異常気象等の自然災害や、航空機事故、大規模停電等の事故発生により、空港施設やライフラインに甚大な被害が生じ、空港機能が長期間停止した場合、日本空港ビルデンググループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。主な対応策:施設の耐震化・防災対策の推進や重要施設の二重化・分散化を含む長期修繕計画の着実な実行に加え、実効性のある事業継続計画(BCP)を策定し、災害対策マニュアルの整備・周知や航空機事故対応訓練を含む各種訓練の実施、非常時備蓄品の確保などを通じて、その検証・更新を行っております。 ・重大な感染症のまん延リスク概要:国内外での新たな感染症の発生・まん延は、渡航制限や航空需要の著しい減少、従業員の感染による事業運営体制の縮小等を通じて、日本空港ビルデンググループの事業活動全般に広範かつ長期的な影響を及ぼす可能性があります。主な対応策:旅客及び従業員の安全確保を最優先とした感染拡大防止対策を継続的に実施しており、非接触技術の活用や施設内の衛生管理の徹底、従業員の感染予防策の強化を図っております。感染症対応版BCPに基づく行動計画の周知徹底や、航空需要の変動に対応した柔軟な事業運営体制の構築にも努めております。 ・サイバーセキュリティ対策不備リスク概要:日本空港ビルデンググループが保有する顧客情報・技術情報・経営情報等の機密情報漏洩、基幹システムの停止、ランサムウェア攻撃等、サイバー攻撃の脅威はますます高度化・巧妙化しております。これらの攻撃により、事業運営の混乱、社会的信用の失墜、経済的損失、法的責任等が発生する可能性があります。主な対応策:24時間365日の監視体制、クラウド化の基盤整備に加え、サイバーセキュリティに関する訓練・教育の継続実施、規程整備等の人的対策にも取り組み、セキュリティ強化対策を進めております。 ②業務プロセス(内部要因)・商品管理不備(食の安全・過剰在庫)リスク概要:空港内店舗における食料品販売や飲食店舗運営、機内食製造において、食中毒や異物混入等の品質保証問題が発生した場合、顧客の健康被害、行政処分、ブランドイメージの毀損、売上減少等に繋がる可能性があります。また、不適切な在庫管理は、キャッシュ・フローの悪化や廃棄ロス増加による環境負荷増大を招く恐れがあります。主な対応策:衛生管理手法に基づく品質管理体制の強化、従業員への衛生教育の徹底、サプライヤー管理の強化を実施しております。需給予測精度向上による適正在庫の管理、食品ロス削減にも取り組んでおります。 ・サプライチェーンマネジメントの不備リスク概要:日本空港ビルデンググループの事業活動は、多数の国内外の取引先に依存しており、自然災害、感染症、地政学的リスク、人権侵害(強制労働・児童労働等)、環境規制強化等によるサプライチェーンの途絶や混乱は、商品・原材料の調達難、コスト上昇、レピュテーション低下等を引き起こす可能性があります。主な対応策:サステナブル調達ガイドラインの遵守要請や、主要取引先へのアンケート調査、対話を通じた適合状況の確認等のサプライヤーに対するESGプログラムを継続実施しております。加えて、調達業務のガバナンス強化を目的とした方針を策定し、実行に向けた取り組みを推進し、サプライチェーン全体の強靭化と持続可能性向上に努めております。 ③経営基盤(人財・財務)・人財不足・育成不足、エンゲージメント低下リスク概要:少子高齢化に伴う労働力人口の減少や働き方の多様化が進む中、事業拡大やサービス品質維持に必要な人財の獲得競争が激化しております。人財の不足や育成の遅れ、従業員エンゲージメントの低下は、店舗運営の制約、新規事業推進の遅延、イノベーション創出の阻害、企業文化の劣化等を通じて、中長期的な競争力低下に繋がる可能性があります。主な対応策:多様なスキル・経験を持つ人財の採用・人事制度の再整備及び多様な人財が互いを高め合う企業風土醸成に取り組んでおります。複線型人事制度の導入や各種セミナーの実施、メンター制度の運用など、働きがいのある職場環境整備も推進しております。従業員エンゲージメントサーベイの結果を活用し、課題把握と改善施策へ繋げ、PDCAサイクルで人財施策の効果を管理することとしております。 ・グループガバナンスの機能不全・コンプライアンス意識の欠如リスク概要:日本空港ビルデンググループは多岐にわたる事業を複数のグループ会社を通じて展開しており、グループ全体としての一体的な経営戦略の推進や内部統制システムの実効性確保が不可欠です。グループ会社間での情報連携不足や日本空港ビルデング方針の浸透不足、各社における不正行為やコンプライアンス違反等が発生した場合、グループ全体の信用失墜や経営効率の低下を招く可能性があります。主な対応策:内部統制システムに関する基本方針を改定し、日本空港ビルデンググループの内部統制を適切に整備・運用するとともに、健全で透明性の高いガバナンス体制の構築に努めております。また、日本空港ビルデング内にグループ各社の「事業計画」と「事業運営」を一体的に管理する「主管部」を指定して、グループ管理体制の強化、グループ経営の高度化に向けた会議体の新設や見直しを検討し、グループガバナンスの強化・充実に継続的に取り組んでおります。不適切事案の再発防止策については、「第2.事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、取り組みを進めております。 ・DEI推進・人権尊重の不足 リスク概要:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)への取り組みの遅れや、サプライチェーンを含む事業活動全体における人権侵害(強制労働、児童労働、ハラスメント等)の発生は、従業員のモチベーション低下、採用競争力の低下、企業イメージの失墜、顧客や投資家からの評価低下、不買運動や訴訟等に繋がる可能性があります。 主な対応策:「多様な人財が互いを高め合う企業風土の醸成」を掲げ、DEI推進体制の強化、各種研修の実施、相談窓口の設置、働きやすい環境整備等を進めております。「人権方針」に基づき、人権デューデリジェンスの仕組みを構築・運用し、サプライヤーに対しても人権尊重を働きかけるとともに、外部専門機関(JaCER)を通じた苦情処理メカニズムを構築し、サプライチェーン全体での救済アクセスを確保しております。また、カスタマーハラスメントに対する方針に基づく従業員教育を行い、従業員の安心と業務の質向上に努めております。 ・財務制限条項抵触リスク概要:大規模な設備投資等に伴う有利子負債の増加や、著しい収益性の悪化により、金融機関との借入契約に付されている財務制限条項に抵触した場合、当該借入金の一括返済を求められる等、日本空港ビルデンググループの資金繰り及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。主な対応策:中期経営計画に基づく着実な事業運営と収益力強化、資本コストを意識した投資判断、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。財務状況を定期的にモニタリングし、月次での収支・資金推移の確認や、グループ各社・金融機関・監査法人等との情報共有を強化しております。 ・同意なき買収 リスク概要:日本空港ビルデング株式の大量買付行為等により、日本空港ビルデンググループの企業価値ひいては株主共同の利益を害する者が経営支配権を取得しようとする場合、日本空港ビルデンググループの経営方針に重大な影響が生じる可能性があります。 主な対応策:企業価値及び株主共同の利益の継続的な向上に努めるとともに、平時から株主との建設的な対話を促進し、経営方針への理解を深めていただく活動を推進しております。買収の対応方針については株主総会での決議に基づき継続するとともに機関投資家とのエンゲージメント強化や政策保有株に関する方針決定、大株主の動向分析など、ステークホルダーとのコミュニケーションを重視した対応を行っております。大量買付行為等への対応方針については、その是非や具体的な対応策を適宜検討しております。 2.戦略リスク 戦略リスクは、外部環境の変化による顕在化が想定され、経営戦略において損失の防止もしくは機会の伸長及び転換が求められるリスクです。 ④事業環境変化(外部環境変化への経営戦略対応)・環境課題への対応リスク概要:気候変動に伴う物理的リスク(異常気象による施設被害等)及び移行リスク(炭素税導入等の規制強化、省エネ・再エネ導入コスト増、顧客や社会からの脱炭素要請の高まり等)は、日本空港ビルデンググループの事業運営コストの増加、設備投資負担の増大、企業評価の低下、資金調達への悪影響等をもたらす可能性があります。また、廃棄物処理や水資源利用等、環境負荷低減への取り組みが不十分な場合も同様のリスクが想定されます。主な対応策:日本空港ビルデンググループ及び羽田空港の脱炭素目標達成に向け、脱炭素ロードマップ(移行計画)の策定、再生可能エネルギー導入拡大、省エネルギー設備の導入、空港内車両のEV化等を推進しております。加えて、循環型社会の実現に向け、廃棄物は発生抑制・再利用・再生利用(3R)を基本に適正処理と削減に努め、分別徹底とリサイクル率向上を推進します。水資源は節水設備導入や雨水・中水活用等により使用量削減と効率的な利用を図っております。 ・行動様式変化・技術革新への対応リスク概要:オンライン会議の普及やワーケーション等の新しい働き方の定着によるビジネス航空需要の構造的変化、ECサイト利用拡大やキャッシュレス化の進展による空港内店舗での購買行動の変化、自動化・省人化技術の急速な発展等、旅客の行動様式や関連技術は常に変化しております。これらの変化への対応が遅れた場合、既存ビジネスモデルの陳腐化や競争力の低下を招く可能性があります。主な対応策:顧客ニーズや市場トレンドの変化を的確に捉え、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略に基づき、非接触技術の導入、オンラインサービスの拡充、データ分析に基づくパーソナライズされたサービスの提供、スマートエアポート化の推進等に取り組んでおります。新たな技術の活用による業務効率化や新サービス開発にも積極的に挑戦し、変化を機会と捉えた事業変革を進めております。 ・政策(公的規制)の変更リスク概要:空港の管理・運営、保安、環境、労働等に関する法令・制度・政策の変更、新たな規制の導入は、日本空港ビルデンググループの事業活動や投資計画に影響を与える可能性があります。特に、国土交通省が進める空港経営改革の動向は、事業環境に大きな変化をもたらす可能性があります。主な対応策:関連省庁や業界団体との連携を通じて、政策動向に関する情報収集を常に行っております。航空保安体制の強化や効率的な空港運用への貢献など、社会的要請に応じた対応にも積極的に取り組んでおります。 ・新規事業・買収・設備投資の実施リスク概要:成長戦略の一環として行う新規事業への進出、M&A、大規模な設備投資は、期待した成果が得られない、投資回収が長期化する、あるいは市場環境の変化等により事業計画が未達に終わる等のリスクを伴います。海外事業においては、政局不安や法制度の変更等のカントリーリスクも存在します。主な対応策:投資案件については、資本コストを意識した事業評価の重要性を認識しており、十分な市場調査、事業性評価、リスク分析を行った上での投融資判断基準及び撤退基準の明確化を図るべく、新たに投融資委員会を設置いたします。 ・市況の急激・大幅変動リスク概要:原材料価格やエネルギー価格の高騰、為替レートの急変動、金利の上昇等は、日本空港ビルデンググループの調達コスト、運営費用、設備投資額の増加や、顧客の購買意欲低下を通じて、収益性や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢の長期化等に起因する資源価格高騰やサプライチェーンの混乱も注視が必要です。主な対応策:調達先の多様化等による価格変動リスクのヘッジ、効率的な在庫管理によるコスト負担軽減策を継続的に実施しております。経済動向や市場環境を注視し、事業計画、投資計画や価格戦略に柔軟に反映させる体制を構築しております。 ・売上構成多様化(航空依存緩和)リスク概要:日本空港ビルデンググループの収益は、航空旅客数や航空会社の事業活動に大きく依存しております。感染症の再流行、国際紛争、景気後退等による航空需要の急減が発生した場合に、非航空系事業(空港外事業等)による収益基盤が十分に確立されていない場合、経営成績が大きく変動するリスクがあります。主な対応策:これまでの事業で培ったノウハウを活かした新たな収益機会の創出(空港周辺開発、デジタルプラットフォーム事業、海外空港運営事業への参画等)を推進しております。 ・国際情勢の変化と国際社会の分断リスク概要:地政学的リスクの高まり、国家間の対立、テロリズムの頻発、保護主義的政策の台頭等は、国際的な人の往来や物流を停滞させ、国際線の航空需要減少やサプライチェーンの混乱を通じて、日本空港ビルデンググループの事業に影響を及ぼす可能性があります。主な対応策:主要な国際情勢や各地域の動向を継続的に注視し、情報収集・分析体制を強化しております。 ※2026年4月に開催したリスク管理委員会において、新たに「羽田空港の発着枠制限と競合空港の台頭」を優先リスク(戦略リスク)として特定いたしました。本リスクに対し、日本空港ビルデンググループはこれまでの需要享受型から需要創造型への企業変革を図るべく、発着枠拡大に依存しない収益基盤の強化及び高付加価値化を推進するとともに、ステークホルダーとの連携による共創を通じて、新たな需要創出と事業領域の拡大を図ります。 (5) 将来を見据えたリスク対応日本空港ビルデンググループは、上記のリスクに加え、今後顕在化しうる新たなリスク(エマージングリスク)についても継続的に注視し、その早期認識と迅速な対応に努めます。リスク管理体制及びプロセスは、事業環境の変化や日本空港ビルデンググループの成長に合わせて継続的に見直しを行い、実効性の向上を図る方針です。これらの取り組みを通じて、不確実性の高い事業環境においても、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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