丸建リース(9763)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


丸建リース(9763)の株価チャート 丸建リース(9763)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

丸建リースグループは、丸建リース、連結子会社8社及び関連会社3社で構成され、重仮設事業では建設用重量仮設鋼材(鋼矢板、H形鋼、鋼製山留材、路面覆工板、鉄板等の建設機材)の賃貸、販売、修理、加工等を主な内容とし、重仮設等工事事業では建設用重量仮設鋼材の杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事及び場所打ち杭工法を中心とした基礎工事、障害物撤去工事等を、土木・上下水道施設工事等事業では土木・上下水道施設工事、建築設備工事及び工場プラント工事の事業活動を行っております。これらの事業を展開し、建設業界のニーズに素早く応え、社会資本整備の一端を担っております。

丸建リースグループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。

なお、次の事業区分は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げる区分と同一であります。

 

区分

事業内容

会社名

重仮設

建設用重量仮設鋼材等の賃貸、
販売、修理、加工等

丸建リース・丸建投資合同会社・東北工業㈱・東播工業㈱
九州レプロ㈱・協友リース㈱・タイ丸建㈱
瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司

重仮設等工事

建設用重量仮設鋼材の杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事及び場所打ち杭工法を中心とした基礎工事、障害物撤去工事等

丸建リース・丸建基礎工事㈱・竹本基礎工事㈱
マルケンテックジャパン㈱・丸建投資合同会社
タイ丸建㈱・瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司

土木・上下水道
施設工事等

土木・上下水道施設工事、建築
設備工事及び工場プラント工事

興信工業㈱

 

 

丸建リースグループの事業系統図は次のとおりであります。

 


 

(注) 上記子会社8社は全て連結しており、また関連会社3社も全て持分法を適用しております。


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、丸建リースグループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

丸建リースは、土木建築工事に欠かせない建設用重量仮設鋼材(建設機材)の賃貸、販売、工事などを主たる事業として展開しており、取引先である建設業界のニーズに応え、社会資本整備の一端を担ってまいります。

丸建リースは、経営の基本理念として以下の三項目を掲げ、役員、従業員一丸となって経営環境の変化に対応し、迅速かつ適切な意思決定が行われるべく、企業体質の強化に取り組んでおります。

① 社会・株主に対して存在価値の高い会社を目指します。

② 顧客より高い評価と信頼を受ける会社を目指します。

③ 厳しい中にも公正で夢と誇りを持てる会社を目指します。

 

(2)経営環境

丸建リースグループを取り巻く経営環境は、個人消費の回復やインバウンド需要の高まりに加え、企業の生産活動に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調で推移しました。一方で世界的な金融引き締め政策やウクライナ・中東情勢不安の長期化による資源・エネルギー価格の高止まり、物価上昇の継続等の影響により、依然として先行き不透明な状況となっております。

建設業界におきましては、建設投資は底堅く推移し、設備投資も持ち直しの動きが見られますが、資機材価格の高止まりや物流コスト、労務費等の高騰により、厳しい受注環境が続いております。

 

(3)現中期経営計画 「未来への変革と創造への挑戦」(2019-2023)のレビュー

①顧客ニーズに応えられる価値あるサービスの提供

工期短縮や作業性向上を目的に開発したタフシリーズ(大型覆工板や高強度腹起し材、コラム切梁材)の運用を開始しました。また、打設時間の短縮による施工の効率化および工期短縮を図り、環境に配慮した燃料を使用した高性能杭打機を導入しました。

②国内収益基盤整備

タフシリーズの推進と高性能杭打機の導入に加えて、保有鋼材の戦略的な工場間移管の実施と地域性を考慮した保有構成の見直しを行っており、さらに加工業取り組み強化として、鋼製構造品製造分野での受注拡大を図りました。

③海外積極展開

アジア周辺地域での事業拡大を図りました。具体的には、中国では伊藤忠丸紅鉄鋼㈱と共同で環境に配慮した鋼製山留工法の拡販を目的に、瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司に出資いたしました。また、ODA案件への取り組みとして、大型プロジェクトへ材料を供給いたしました。

④就労環境の整備と人材育成

スキルや才能、知識・経験に裏打ちされた職務・職責や期待役割に応じた人事制度に改定し、社員のモチベーション向上を図りました。また、人材育成施策を策定し、施策に沿った研修プログラムを階層別に実施いたしました。

 

 

・主要係数目標値と進捗状況は下表の通りであり、売上高以外の項目は目標を達成しました。

 

2023年度
目標

2020年度
実績

2021年度
実績

2022年度
実績

2023年度
実績

収益目標
(連結)

売上高

250億円

200億円

191億円

201億円

213億円

親会社株主に帰属
する当期純利益

11億円

9.11億円

10.03億円

11.11億円

11.61億円

財務目標
(連結)

自己資本比率

45%

44.5%

44.4%

46.3%

48.7%

ネット有利子負債

83億円

56.58億円

50.65億円

46.46億円

48.38億円

株主還元
方針

配当性向(連結)

27%

29.3%

26.6%

28.9%

31.4%

年間配当金

90円

80円

80円

100円

115円

 

 

(4)新中期経営計画 『共に築こう、未来のインフラ都市創出』(2024年度~2028年度)

丸建リースは、2024年5月10日開催の取締役会において、下記のとおり、新たに2024年度から2028年度の5カ年を対象とする中期経営計画を策定しております。

①経営ビジョンに基づく6つの成長戦略

(ⅰ)収益力の更なる強化

営業力強化と顧客満足度向上のため、タフシリーズのラインナップ増強を中心とした保有鋼材の拡大・工事機械の拡充および工事売上・加工売上の増を目指し、人的投資とM&A投資、ITツールの活用により収益を拡大し、営業力強化と顧客満足度の向上を図ります。

(ⅱ)新商品・新工法の開発、工場の機械化・自動化・省力化の推進、安全で安心な作業環境の構築

環境に配慮した商品の開発や工期短縮、コストダウンにつながる新工法の開発、工場作業自動化による工場オペレーションの効率化、労働災害の撲滅(作業環境の改善と安全性の向上に寄与する商品の改良や開発)、アンチエイジング対策を進めてまいります。

(ⅲ)人的資本経営の推進

会社の持続的成長には人材強化が必要不可欠であり、多様な人材の採用と就労環境や処遇の改善を推進し、社員のスキル・能力及び仕事に対するやりがいを向上させ、ワークエンゲージメントを高める施策を検討・実行してまいります。

(ⅳ)サステナブルへの取り組みと2024年問題への対応

重仮設鋼材を繰り返し使用する事業モデルを通じてサステナブルな社会へ貢献し、温室効果ガス排出量を算出し、削減策を具体化します。また、2024年問題に対応するため在庫管理の最適化と複数の配送を集約することや共同配送の実施により運送回数を削減し、ITやAIを活用して、積卸時間および待機時間の可視化や走行距離の削減など物流の効率化を図ってまいります。

(ⅴ)海外事業の強化

拠点を有する日本、タイ(タイ丸建㈱)・中国(瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司)を軸として、東アジア諸国との取引拡大と拠点毎における保有鋼材等の最適化と収益拡大を図り、海外事業に関連する収益の連結全体の収益に占める割合を20%以上とすることを目指します。

(ⅵ)DXへの取り組み推進

情報連携に資する共通プラットフォームの構築とIT環境のリプレイスをすることにより、利便性の高いシステムを導入し、セキュリティ対策とBCP対策を強化するとともに、デジタル人材の確保と従業員のITスキルの向上を図ります。

 

 

②資金配分について

(ⅰ)~(ⅵ)の成長戦略・アクションプランを実行するため、営業キャッシュ・フロー(5期累計)が75~85億円と想定した場合の資金配分を以下のとおり計画いたしました。

・成長投資(25~35億円)

・設備投資(20~30億円)

・人的投資(5~10億円)

・株主還元(22~25億円)

 

③経営数値目標

資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、以下の経営数値目標の達成を目指します。

経営指標

目標値

補足説明等

ROE

8.5%以上

将来的には資本コスト約7%(現時点)+スプレッド2%の9.0%以上を目指す

ネットD/Eレシオ

0.3倍程度

現状数値と適切なキャッシュポジションを維持

配当性向(連結)

35%以上

2023年度実績31.4%

2028年度連結純利益

15億円以上

中期経営計画最終年度に15億円以上の達成を目指す

自己資本を180億円前後と想定し当期純利益15億円を達成した場合1株当たり配当は165円以上を想定

 

 

(5)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

丸建リースは、2024年5月10日開催の取締役会において、会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るべく、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について現状を分析・評価し、改善に向けた今後の取組方針について、下記のとおり決議しております。

①現状認識

経営指標

現状の数値

PBR

直近5期平均は0.45倍、株価上昇により2023年度末は0.61倍

ROE

直近5期平均は6.9%、2022年度・2023年度は株主資本コスト(約7%)を上回る

配当性向(連結)

2021年度を除き、2019~2023年度は現中期経営計画の目標値27%以上を達成

 

②PBRの改善=1倍以上を目指す各施策

施策

目標値、施策内容

収益拡大

当期純利益15億円以上の達成

資本効率改善

ROE8.5%以上

株主還元方針

配当性向35%以上(状況に応じて自己株式取得を検討)

成長及び設備投資

新規事業投資と既存事業の拡大、工場設備の機械化等、環境対策関連への投資

人的資本経営の推進

ワークエンゲージメントを高める施策、人材開発支援の拡充と多様な社員の活躍

社会課題への取り組み

サステナブルへの取り組み、2024年問題への対応

 

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において丸建リースグループが判断したものであります。

丸建リースグループでは、これらのリスクの発生を十分に認識した上で、その発生を極力回避し、また、発生した場合には適確な対応を継続してまいります。

 

(1) 建設市場という特定の市場への依存について

丸建リースグループの主たる取引先は国内の建設会社であり、丸建リースはこの建設市場への依存度が高いため、丸建リースグループの経営成績及び財政状態は今後この市場の動向により影響を受ける可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、国内市場では、各地区別の需要動向を把握して人的資源を適正に配置し、建設用重量仮設鋼材の適切な移管・購買により収益を確保しました。海外ではタイ国のタイ丸建㈱、中国の瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司において東アジア市場への更なる展開を図りました。

また、新商品として現場作業性効率改善に資する大型覆工板をはじめとする「タフシリーズ」の展開やBIM・CIMを活用した設計などを推進することで、顧客への価値提供の幅を広げました。

今後も東アジアを中心とした海外展開、M&A、ODA案件や新商材開発などについても幅広く検討し、収益拡大を図ります。

 

(2) 鋼材価格の変動について

丸建リースグループの主要取扱品目である建設用重量仮設鋼材の価格は、建設需要動向や製鉄原料の相場変動の影響を受けることが予測され、2024年度も鋼材価格の高騰により丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは、鉄鋼業界を中心に各方面からの情報収集を行い鋼材価格の動向を注視し、仕入先であるメーカー・商社等との関係を強化して安定的に建設用重量仮設鋼材の購入を行っております。また必要に応じて中古品鋼材の購入や山留材・覆工板等の加工鋼材の調達の一部を、タイ丸建㈱、瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司などの海外グループ会社を活用することも視野に入れており、幅広い調達先の確保に努めております。引き続き賃貸重視の経営方針を推進し、建設需要動向などに応じた効率的な購入を行うなどの諸施策により、原価上昇の抑制に努めております。

 

(3) 有利子負債、金利及びキャッシュ・フローの状況について

丸建リースグループの事業活動資金の一部は金融機関からの借入により調達しているため、有利子負債の増加や金利及びキャッシュ・フローの変動がある場合、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、より効率的な資金管理を行い、キャッシュ・フロー経営を徹底しております。具体的には、取締役会において各年度の資金調達方針を審議の上決定しております。その中で、資金予算制度を充実させ、安定資金である長期借入金を中心に設備投資資金を確保しつつ、財務体質の強化を図ります。

 

(4) 事故等について

丸建リースグループでは、建設用重量仮設鋼材の修理・加工を行う工場及び杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事等を行う工事現場での事故発生、及びそれに伴う鋼材の納入遅延や工期の遅れ等により損失補償を負う場合、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、各種保険に加入するとともに、各工場部門では、墜落・転落防止をはじめとした安全対策の設備投資を継続して行い、各工事部門では事前施工検討会や安全パトロールを行うなどの対策を講じております。新中期経営計画では、作業環境の改善やアンチエイジング対策の推進により、安全で安心な作業環境を構築いたします。また、各部門では安全衛生管理に関する諸規程に基づいて日常の業務を遂行するとともに、安全関係の規程全般と現場管理マニュアル等の業務手順を定期的に見直しており、環境安全部においては全事業所を対象として、安全衛生管理の徹底、啓蒙活動の推進などを通じて安全衛生管理業務全般を行っております。タイ丸建㈱、瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司など海外のグループ会社については、災害等発生時の報告体制を整備し、丸建リース工務統括本部の指導の下安全対策を構築しております。

 

(5) 与信管理について

丸建リースグループの主たる取引先である建設業界を含め、2023年度の全国企業倒産件数は前年度に比べ増加しており、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクを管理するため、取引先のランク付けを行い、そのランク付けに応じた信用限度額、鋼材貸出数量限度、及び貸倒引当率を定めるとともに、定期的にかつ信用状態の変化に応じて機動的に取引先の見直しを行っております。また、一部取引先については、個別保証委託付保の活用により信用リスクの低減を図っております。

 

(6) 海外事業に関するリスクについて

丸建リースグループは、中期経営計画の具体的施策の一つとして更なる海外積極展開を掲げており、タイ国のタイ丸建㈱や中国の瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司を中心に東アジアで海外事業を展開しております。

今後、これらの対象国の政治経済情勢や外国為替相場等の変動や法改正により、海外の事業が計画通り進捗しなかった場合は、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、各海外拠点スタッフの情報網を整備するとともに、海外進出に関する豊富な知見と情報網を有する丸紅㈱をはじめとする同グループ会社や外部コンサルタント等を活用して、現地の最新情報を入手するなどの対策を講じるとともに、海外事業会社への投資規模を、同事業が計画通りとならなかった場合でも丸建リースグループの財政状態に重要な影響が及ばない範囲内とする様に適切に管理しております。また、為替変動リスクに対しては、状況に応じて為替予約の導入を検討しております。

 

(7) 関係会社管理リスクについて

丸建リースグループの関係会社において、丸建リースが認識していない投資・契約・制度設計・会計処理等により、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、丸建リースから取締役を派遣して取締役会に出席するなど業務執行状況の監督を行うとともに、関係会社連絡会を定期的に開催し業績推移や業務執行の状況をモニタリングしております。関係会社を統括管理する経営企画部は、関係会社管理規程の重要事項決裁基準を見直し、与信・安全・コンプライアンス・財務などについて、丸建リースと同等の管理を行っております。また、丸建リースの常勤監査等委員と監査部は合同で連結子会社・関係会社を対象に年一回の頻度で業務監査等を実施しております。

 

(8) 人材の確保について

丸建リースグループは、最近の少子高齢化による労働人口の減少などにより必要な人材を確保できない場合、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、採用に関する内規を制定し、年1回総務人事部長は経営会議において年間採用活動方針を報告しており、その方針に基づき新卒定期採用だけでなくキャリア採用活動を継続して実施しております。また、リファラル採用や外国人の採用も随時行っており、多様性に富んだ人材の確保に努めております。

新中期経営計画では、成長戦略として人的資本経営の推進を掲げ、人材強化が必要不可欠として、多様な人材の採用と就労環境や処遇改善を推進し、ワークエンゲージメントを高める施策を行うことなどにより、これらの人材リスクに対応いたします。

 

(9) 重要な訴訟について

丸建リースグループの国内及び海外における営業活動が、訴訟等の法的手続きの対象となる可能性が有り、これらの訴訟等の内容や結果によっては丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、コンプライアンス教育の実施による法令遵守の意識付けと基本動作の徹底に努めております。

 

(10) 退職給付債務について

丸建リースグループの退職給付制度は確定給付企業年金制度等でありますが、その年金資産の時価や運用利回りの変動、割引率などの数理計算上の計算基礎の変更等により、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、確定給付企業年金の運用担当部門では年金資産運用委託先である金融機関から定期的に運用状況の報告を入手し、その内容を四半期毎に経営会議で報告しております。その中で、目標とする長期期待運用収益率が達成できたか確認するとともに、年金資産の運用方針をローリスク型とし、また適正なポートフォリオの検討など運用方法を随時見直しており、安定運用を目指しております。

 

(11) 株価の変動について

丸建リースグループは、市場価格のある投資有価証券を当連結会計年度末現在9銘柄9億40百万円保有しており、その株価が変動した場合、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、コーポレートガバナンス・コードに従い、年一回経営会議および取締役会で、保有する投資有価証券の全銘柄を対象として個別具体的に保有の可否を判定するとともに、一部銘柄については売却による保有の圧縮についても検討しております。また、社内で定めた議決権行使基準に従って各政策保有株式を議案毎に精査した上で、その議決権を行使しております。

 

(12) 工場設備等の固定資産について

丸建リースグループが保有する工場設備などの固定資産は、収益性の低下や工場等土地の時価の下落により減損損失計上を余儀なくされ、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 繰延税金資産について

丸建リースグループが当連結会計年度末において計上している繰延税金資産は、今後の利益(課税所得)により全額回収可能性があると判断しておりますが、今後の税率変更などの税制改正や、利益計画の修正によりその回収可能性の見直し(繰延税金資産の取崩し)が必要となった場合には、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 建設機材及び棚卸資産の評価について

丸建リースグループが保有する建設用重量仮設鋼材及び棚卸資産は総資産のうち重要な割合を占めております。賃貸、販売、返却等による建設機材及び棚卸資産の動きはシステムで管理し、保有在庫については定期的に棚卸しを実施しております。

建設機材は購入年度別総平均法による原価から定額法による減耗費を控除した額により評価し、商品・材料貯蔵品は総平均法による原価法により評価しております。鋼材市況価格が上昇した場合は建設機材及び棚卸資産の仕入価格も連動して上昇するため、売却時の払出原価と建設機材減耗費が増加し売上原価が押し上げられ、逆に下落した場合は収益性低下による簿価切り下げを行う可能性があり、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、建設需要動向に応じた建設機材の効率的な購入を行うことなどにより、原価上昇の抑制に努めております。

 

(15) 工事契約における収益認識について

丸建リースグループの「重仮設工事」・「土木・上下水道施設工事等」の各セグメントでは、一部取引を除き工事契約取引について見積総原価に対する実際発生原価の割合に基づき一定の期間にわたり履行義務が充足されるためその履行義務の充足に係る進捗度により収益を認識しておりますが、予定外の追加工事原価の発生や工事期間の大幅な延長などによりこれらの見直しが必要となった場合には、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、工事契約案件毎に請負金額だけでなく、見積総原価、予定工事期間を随時見直すなど適切な工事採算管理を行っております。

 

(16) 丸建リースグループの売上取引内容について

丸建リースグループは、建設用重量仮設鋼材の賃貸・販売・修理・加工、杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事等、及び土木・上下水道施設工事等の事業活動を行っており、都市部の地下空間や河川・港湾などの地下工事が主な工事対象現場であります。

その中で、事前に予測不能な地盤の沈下や崩落、地下水の出水、岩盤層の発生などにより、工事期間の予定外の延長や追加工事費用が発生する可能性があり、顧客である建設会社から追加工事契約が取得できない場合は、工事採算の悪化により丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、工事現場毎に地質資料などの工事現場の情報を入手した上で見積金額を適切に算定するとともに、回収遅延を防止するために売上債権の年齢毎の管理を行い、営業経理室はその結果を毎月開催の経営会議に報告しております。

 

(17) 自然災害に関するリスクについて

地震や水害などの自然災害により事務所や工場設備に被害が及んだ場合やパンデミックが発生した場合は、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、BCP(事業継続計画)マニュアルを毎期更新し、安否確認システムを確実に運用するとともに、時差出勤や在宅勤務を推進するなどの対応策を講じて、災害時に遠隔地からの勤務が可能な体制を構築しております。

 

(18) IT(システム)リスクについて

丸建リースグループの事業活動において情報システムの重要性が増大する中で、大規模災害やサイバー攻撃などにより予期せぬシステム障害や丸建リースグループの機密情報や個人情報などの情報漏えいが発生した場合、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは当該リスクに対応するため、基幹系・情報系機器および基本ソフトの入替え、併せて災害対応設備の整ったデータセンターへの完全移設を行い、BCP対策を強化しております。また、一部システムのクラウド化と、多階層のメールチェック、不正侵入対策強化とセキュリティ対策を講じております。今後も情報資産の保護を目的とした対策を継続的に強化してまいります。

 

(19) 丸紅㈱との関係について

丸紅㈱は、丸建リースの議決権の37.03%を所有する株主であるため、この議決権を有する株主としての権利を行使することができます。また、監査等委員である取締役(非常勤)1名が、丸紅㈱の鉄鋼製品事業部長を兼任しているため、同社の金属セグメントに関する方針が、丸建リースの経営方針の決定等について影響を及ぼし得る状況にあります。一方、丸建リースは、経営の自主性・独自性を確保するために、丸紅㈱との間で経営の関与に関する覚書を2005年3月31日付で締結し、丸建リースの重要事項の決定に当たっては事前の承認・報告を要さない旨を合意しております。

当連結会計年度における丸建リースグループと丸紅㈱との取引関係について、特記すべき事項はありません。また、丸建リースと丸紅㈱を含めた丸紅グループ全体との間での当連結会計年度の取引高の割合は、売上高が4.2%、仕入高が7.2%でありますが、その取引は市場価格等を勘案し、一般取引と同様に公正かつ適切に行っております。

現在の丸紅㈱との人的関係は、役員8名のうち転籍者が1名、兼任者が1名であります。

 

(20) 法的規制について

丸建リースグループの事業のうち、丸建リース及び子会社の丸建基礎工事㈱・マルケンテックジャパン㈱が行う「建設用重量仮設鋼材の杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事等」や、子会社の興信工業㈱が行う「土木・上下水道施設工事、建築設備工事及び工場プラント工事」については、建設業法による許可を取得して業務を行うことが定められており、今後これらの許可の取消があった場合、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでの重要な許可の要件は有資格者でありますが、当該リスクに対応するため、経営業務の管理責任者、一級土木施工管理技士、一級建築施工管理技士などの有資格者の育成、確保等を行っております。

 

(21) 環境保全リスクについて

丸建リースグループは、工場・工事現場での作業時に産業廃棄物、泥水、泥土、汚泥の発生などの環境保全リスクにより、丸建リースグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

丸建リースグループでは、当該リスクに対応するため、産廃契約書、マニフェスト伝票の確認をはじめとした廃棄手続の管理と適切な実施を行っております。

 

(22) コンプライアンスリスクについて

丸建リースグループは、会社や役員・従業員による法令違反、不祥事の発生や反社会的勢力との関わりにより、法令による処罰や社会的制裁を受け社会や各利害関係者からの信用を失う可能性があります。

丸建リースグループでは、当該リスクに対応するため、コンプライアンス・マニュアルを制定しコンプライアンス講習会を開催するとともに、年一回全役員・全従業員がコンプライアンス宣誓書を提出しております。第56期は新たにコンプライアンス意識調査を実施し、そこでの課題を反映したコンプライアンス講習を行いました。また、丸建リースのコンプライアンス委員会、常勤監査等委員、社外弁護士を窓口とする内部通報制度を設けており、グループ会社を含めた役員・従業員への周知徹底により、その認知度を高めるとともに利用しやすい環境を作り、より意義のある制度構築を目指しております。反社会的勢力に対しては、取引先のネガティブデータチェックを行うなどの対策を講じ取引の遮断を図っております。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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