不動テトラ(1813)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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不動テトラ(1813)の株価チャート 不動テトラ(1813)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

不動テトラグループは、不動テトラ、子会社7社、関連会社1社で構成され、土木事業、地盤改良事業及びブロック事業を主な事業内容としている。

(土木事業)

     不動テトラ、高橋秋和建設㈱が土木工事の施工を行っており、両社は相互に工事の発注又は受注を行っている。

(地盤改良事業)

     不動テトラ、㈱ソイルテクニカ、Fudo Construction Inc.、愛知ベース工業株式会社、日本土質試験センター株式会社、Advanced Geosolutions Inc.が地盤改良工事の施工等を行っており、㈱ソイルテクニカは不動テトラより建設機械を賃借している。

(ブロック事業)

     不動テトラ、㈱三柱が消波・根固ブロック用鋼製型枠の賃貸等を行っており、不動テトラは土木事業においてこれらの会社より消波・根固ブロック用鋼製型枠を貸借している。

(その他事業)

     福祉商事㈱が保険代理等のサービスの提供を行っており、不動テトラグループ各社はこれらのサービスを受けている。

  事業の系統図は次のとおりである。


 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

       文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、不動テトラグループが判断したものである。

 

   (1) 経営の基本方針

不動テトラグループは国土づくりを通じて社会に貢献し続けるという使命をステークホルダーの皆様に広くご理解いただき、それに向けた価値観、目標を不動テトラグループ内で共有するため、以下の通り経営理念を定めている。

  <経営理念>

       Mission (使 命): 豊かで安全・安心な国土づくりに貢献します

         Value   (価値観): あらゆる変化を進化に換えて未来に向かって歩み続けます

        Vision  (目 標): 世代を超えて生き続ける独自の技術を提供します 

 

また、この経営理念を実現すべく、「土木、地盤改良、ブロックの3事業が協調し、海に陸に、持続的な成長を目指します」を経営方針としている。

 

   (2) 経営環境及び対処すべき課題

国内の景気は引き続き緩やかな回復が続くことが期待されるが、海外景気の下振れが日本の景気を下押しするリスクとなっている。建設市場においては、建設投資は引き続き堅調に推移していくものと想定されるが、資材価格や人件費の高騰に加えて、次期から適用される時間外労働の上限規制への対応が課題となる。

また、不動テトラグループの持続的な成長・発展のためには、建設需要の新規建設から維持管理・リニューアル事業への転換、建設物価上昇による事業量の減少、少子高齢化に伴う担い手不足など建設業界でおこる変化に対応して、市場ニーズに応じた技術開発、建設DXを軸とした生産性向上、働き方改革と人材確保などに加えて、カーボンニュートラルへの対応など地球環境や社会の持続性を重視する施策も取り入れながら対処していくことが課題となる。

このため2018年度より、長期的視点に立ち中期経営計画を3期に分け遂行することとし、3期目(2024~2026年度)は「収穫・実現」の期間と位置づけ、その基本方針に基づいて各種施策の展開に取り組む。

 

  (3) 目標とする経営指標

     <長期目標>

 

2017年度

2027年度

売上高

(既存分野)

628億円

800億円

(新規分野)

+α

営業利益率

 

5.9%

5.0%以上

 

 

   ◆前中期経営計画の成長・拡大に引き続き、更なる経営資源への投資、収益基盤の多様化に取り組む。

 


 

<新中期経営計画(2024~2026年度)の概要と経営目標>

 ○基本方針

基本方針①

新規事業の創出と事業領域の拡大

建設産業のライフサイクル・長期化を踏まえ、事業ポートフォリオマネジメントの高度化から、事業領域の拡大、新規事業の創出を目指す。

 

 

基本方針②

経営理念を基盤としたESG(環境・社会・ガバナンス)経営の実践

経営理念に基づき新たに制定した「サステナビリティに関する基本方針」に沿って、優先的に取り組む重点施策(マテリアリティ)を特定。各施策でKPIを設定・管理しESG経営を実践する体制を構築する。

(サステナビリティ基本方針)

不動テトラグループは経営理念に基づき、さまざまな社会基盤の整備を通じて豊かで安心・安全な国土づくりを促進し、持続可能な社会の実現を目指します

 

 

基本方針③

資本コストを意識した経営の実践

事業成長の実現に資する財務戦略・資本戦略を実行。資本コストを意識し、事業ポートフォリオの高度化を図るなど持続的成長を追求することで、最終年次の2026年度にはROE9.0%の達成を目指す。

 

 

基本方針④

人的資本経営の推進

従業員の働きやすさ(ウェルビーイング)、働きがい(エンゲージメント)を追求し、魅力ある会社、選ばれる会社の実現。

人材採用、人材育成、最適配置を通じて、人的資本の最大化、企業価値の向上を目指す。

 

 

○経営目標(連結ベース)

 

 

 

 

項目

目標

 

 

 

①業績目標

3ヵ年累計営業利益

120億円以上

 

 

 

②資本効率目標

2026年度 自己資本当期純利益率(ROE)

9%以上

 

 

 

③株主還元目標

配当性向

40%程度、60円以上

 

 

 

 

 

○全社数値目標(連結ベース)

(単位:億円)

 

前中期経営計画実績
 (3ヵ年累計)

新中期経営計画

2024年度

2025年度

2026年度

受注高

2,071

750

765

775

売上高

2,052

715

745

780

営業利益

96

30

42

48

営業利益率

4.7%

4.2%

5.6%

6.2%

ROE

6.3~7.1%

6%

8%

9%

 

 

 

       ○セグメント別の事業方針と戦略

事業

セグメント
 

新中期経営計画(2024~2026年度)

事業方針

事業戦略

土木事業

新たな挑戦へのリ・スタート

~成長路線に向けた事業基盤の強化~

 

①事業規模拡大

・既存領域における差別化戦略

・リニューアル事業への積極的参画

・環境関連事業の強化(研究開発・調査・設計・施工体制整備)

②積極的成長投資

・自社独自技術の開発促進(差別化戦略)

・環境性能及び作業性能の高い作業船新造による他社との差別化

・業務提携、M&A及び関連会社との連携強化を積極的に推進

③生産性向上

・DXソリューションの積極的取り組み

・生産性と安全性を向上させるための新技術導入

・社員の意識改革による時間管理の最適化

④人的投資

・施工要員の確保と離職率低減

・人材育成・教育研修の充実

・中堅・若手技術者の育成強化(早期戦力化)

地盤改良事業

・必要な経営資源への投資と展開による事業の持続的発展

・社会課題解決による存在意義向上と地盤を礎とした新たな領域の拡大

①民間事業の拡大

・民間事業への重点営業

・改善/開発された工法(リソイルProなど)による営業展開

・グループ会社(愛知ベース工業等)との連携強化による建築市場の拡大

②成長市場への展開と事業領域の拡大

・新たに開発する工法による市場の創出

・エネルギー関連施設など拡大市場への売込み強化

・バイオマス混合CPによるカーボンニュートラル市場への事業展開

③海外事業の安定化

・AGIとの連携強化によるアメリカでの受注拡大

・アジアでのローカル人材の育成による体制強化

④社内体制・システムの効率化

・ICT技術による業務効率化、DXの推進など

ブロック事業

・安定的黒字化を目指した事業の再構築

・既存事業にとらわれない各種施策や新規事業への取り組み

①事業モデルの変換と収益源の確保

・3Dプリンタなどをベースとした事業の模索(製品・施工)

・環境配慮型コンクリートなどをベースとした事業の模索(材料)

・他企業との業務提携の拡大・促進、洋上風力発電事業への参画

②分野別シェアの維持・拡大

・ICT技術を活用した老朽化対策需要の取込

・高波浪領域での競争力強化、河川・砂防市場でのシェアアップ

・防衛関連プロジェクトへの参画

・海外展開(ライセンス事業の拡充・ODA案件の取込)

③収益力の向上

・市場規模に見合う型枠保有適正化

 -事業規模に則した適正な要員体制、設備投資水準

 -物価高を反映した適正な賃貸料の追求(賃料アップ)

④ESG経営を意識した企業価値向上

・施策:ブルーカーボン・グリーンインフラ関連事業への取組推進

 (産学共同事業への参画、民間企業・漁協等との協業)

 

以上のように、長期目標及び新中期経営計画を実現するため、様々な課題への対応と持続的成長に向けて掲げた方針に取り組み、投資と株主還元を両立させながら、更なる企業価値の向上を目指していく。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

不動テトラグループの事業に係るリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項は、以下のようなものがある。
 これらはリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていく。
 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、不動テトラグループが判断したものである。

(1) 市場及び事業に関するリスク

  ①建設市場の変動

不動テトラグループは社会資本の整備・維持に係る事業を主なターゲットとしており、政府建設投資の規模やその重点投資分野の変動または、政府及び地方公共団体等の発注内容や発注時期の変動等により、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、常に将来の需要動向をリサーチし、顧客のニーズ等への対応に注力することでシェアの拡大を図るとともに、必要に応じて人材・設備などの経営資源の適正配分を行うこととしている。また、得意とする「防災・減災」分野に加えて「維持補修」分野など今後有望視される市場への参入など、事業領域の拡大にも努めている。

 

  ②少子高齢化の進展等による担い手不足

少子高齢化が想定を超え進行しており、建設業界への就労人口の減少が一層深刻化していくことが予想されるなか、十分な担い手を確保できない場合には事業活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、中長期的な視点に立って経営・事業を支える人材を計画的に獲得するため新卒採用、中途採用を強化している。併せて、働き方改革をはじめ、多様な働き方に対応する制度などの充実を進め、「働きやすい」、「働きがいがあり・魅力のある安心して働くことができる会社」を目指し、人材の確保と社員教育の充実を図っている。(前記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」(3)人的資本・多様性に関する取組 参照)

また各事業部門においては、ICTの開発・利用促進を通じて担い手不足への対応も同時に進めている。

 

③建設資材・労務費等の価格変動・調達困難

建設資材価格・労務費等の急激な高騰により、工事原価の上昇を招く可能性があるが、これを請負代金に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、購買部門が工事の受注検討や施工計画の段階から参画し、適正な調達価格で安定した調達を図ることができるよう努めている。

 

  ④取引先の信用不安

不動テトラグループは国及び地方自治体等から発注される公共事業を主なターゲットとしているが、受注形態(元請・下請区分)により契約先の顧客は50%強が民間建設会社となる。

従って、これらの会社が信用不安に陥り、債権の回収遅延や貸倒れが発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、顧客のみならず協力業者や共同施工会社が信用不安に陥った場合にも、施工進捗の遅れや共同企業体メンバーからの出資債権の未回収、債務の負担から、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、取引先の与信管理については、日常的には信用情報を収集し、受注にあたっては信用調査機関からの調査書を基に社内審査を徹底するとともに、ケースに応じて債権に保証を付保する等の手段を講じ、信用リスクの回避に努めている。

 

  ⑤製品の欠陥

品質管理には万全を期しているが、工事目的及び商品について契約不適合責任などにより多額の損害賠償請求等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、品質マネジメントシステムにより事業活動における営業、設計、購買、施工の各段階で継続的改善を図るとともに、工法別作業マニュアルに基づき、工事現場での品質管理を徹底している。また、内部監査部門が適宜監査を実施することにより契約不適合発生の防止に努めている。

 

 

 

(2) 金融・政治・経済に関するリスク

  ①資金調達及び為替変動

金融危機が発生したり、急激な市場変動により業績が悪化した場合には、資金の調達に支障が出たり、調達コストが上昇し、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、複数年度にわたるコミットメントライン契約を結ぶことなどにより、上記リスクが発生した場合でも、適正な手元流動性を確保し、財政状況の健全化を維持できるよう努めている。

また、海外取引から発生する為替変動リスクに対しては必要に応じて為替予約等によりリスクの低減に努めている。

 

   ②海外事業

不動テトラグループは、主に東南アジア及び米国で事業を展開しているが、現地の政治・経済情勢、法規制に著しい変化が生じた場合や戦争・紛争・テロが発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、危険度が高いとされている国、地域の工事の受注については、予め、リスクの評価・分析を行い、受注を決定している。

また、受注後においては、海外危機管理マニュアルに基づき、現地での医療リスクの回避やテロ・災害時の緊急避難体制について、危機管理会社への委託や海外安否確認システムを導入するなどにより、有事に備えた体制を構築し、社員ほか現地での従事者の安全を図っている。

 

(3) 事故・災害・環境問題に関するリスク

  ①事故及び災害

一般的に建設現場は、特定の期間に多様な会社の人材や機械が混在しながら作業するという特性から、他の産業に比べて事故及び災害の発生率が高いというリスクがあり、重大な事故及び災害が発生した場合には、工事の中断、発注官公庁からの指名停止等の行政処分に加えて社会的な評価の低下にも及び、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、安全品質環境本部が中心となり、安全週間等の運動、各拠点の安全大会、本社幹部パトロール等、定期的な安全衛生環境パトロールの実施をはじめ、若手の段階から安全衛生教育・啓蒙活動を継続的に実施し、事故及び災害の発生防止に努めている。

 

  ②自然災害

大規模な自然災害の発生により施工中の工事目的物が被災し、その修復や作業中断による工期の延長等により相応の費用が発生した場合や、社会インフラや会社施設に甚大な被害が及び長期にわたり事業が中断した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、後者に対しては事業継続計画を策定し、国からの災害時の基礎的事業継続力評価の認定を受けるとともに、非常時に事業の早期復旧を可能とする体制を整備し、定期的な訓練、備蓄や諸施設の耐震化、社内情報の外部データセンターへの保管などを行い、有事への備えを進めている。

 

③気候変動

脱炭素社会への移行に向けて、工事施工時に排出される温室効果ガス排出量の規制や炭素税が導入された場合、事業活動の抑制によるコスト増加等の業績への影響や、気候変動の物理的影響として、平均気温の上昇、気象災害の頻発、激甚化が継続した場合、事業活動に影響を及ぼす可能性がある。

このため、施工段階における排出量を2050年までに実質ゼロにすることを目指し、省燃費運転の励行や燃費効率の高い建機・省エネ機器の採用及び、資機材の運搬距離の短縮・運搬方法の改善、施工工法の変更等に取り組んでいる。

またオフィス活動においても、自社保有施設を中心に使用電力について再生可能エネルギーを利用した電力へと移行する取組みを進めている。

なお、不動テトラは、2023年2月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)への賛同を表明し、気候変動課題への対応についてTCFDの提言に則った開示を行っている。

(前記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」(2)気候変動に関する取組参照)

 

  ④感染症等

感染症(パンデミック)が発生し事業活動に制限を受ける事態となった場合には、受注の減少、工事進捗の遅れ、コスト上昇などにより業績に影響を及ぼす可能性がある。

不動テトラグループでは、新型コロナウイルス感染症に対しては、工事現場を除くオフィス勤務者については、在宅勤務の推進等により社員の安全を確保しつつ事業を継続する体制としている。

また、工事現場においては、協力会社を含めた社員の安全を確保しつつ施工を継続する体制としているが、施工中の現場内で感染症が発生した場合には現場が長期にわたり中断するなどの影響を受けることから、感染症対策の徹底を図った施工体制としている。

 

(4) 法的規制等に関するリスク

不動テトラグループの事業は、建設業法、労働安全衛生法等多数の法的規制を受けているが、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、関係部署による法改正等の動向をモニタリングし、事前に法改正等に向けた対応方針の策定と不動テトラグループとサプライチェーンへの具体策の展開に向けた体制を整備している。

また、法令等の改廃に伴う各種要領やマニュアルの整備と定期的な見直しを行い、説明会等を通じ不動テトラグループ及び協力会社への浸透を図っている。万一これらの法令等に違反する事態が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、法令遵守と企業倫理の追求を経営の最重要課題と位置づけ、コンプライアンス体制の充実を図るとともに、関係法令の遵守を目的とした研修会を継続的に実施し、コンプライアンスマニュアルを作成、配布するなどにより教育、啓蒙活動を拡充している。また、外部窓口を有した実効性のある企業倫理ヘルプラインを設置し、法令遵守と企業倫理に関する通報、相談を適切に受付けることにより、法令等違反行為の早期発見と是正を図ることができる体制を整備している。

 

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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