ウェルネス・コミュニケーションズ(366a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


ウェルネス・コミュニケーションズ(366a)の株価チャート ウェルネス・コミュニケーションズ(366a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

ウェルネス・コミュニケーションズは、疾病予防と健康増進の領域において、その役割を担うことを使命として2006年7月に設立され、「ウェルネス・データで、未来をつくる。」というパーパスの下、データに基づき、組織や個人に最適なウェルネスソリューションを届ける役割を担い、「企業と人を元気にする。」ことで、あらゆる組織や地域、異なる世代や性別の人たちとの間でのコミュニケーションを通じて、便利で、ユニークで、継続してもらえるウェルネス・サービスを創造し、企業と人を元気にすることを目指してまいりました。

これら理念をもとにウェルネス・コミュニケーションズは、従業員数100人以上1,000人未満の中規模から従業員数1,000人以上の大規模企業並びに健康保険組合向けに、健康診断・人間ドック等の予約、精算代行、健康診断結果一元化等を行うネットワーク健康診断サービス(以下、「NW健診」と記載の箇所あり)を提供する健診ソリューション事業、及び、 SaaS 型の健康管理クラウドサービス(以下、「Growbase」と記載の箇所あり)を提供する健康管理クラウド事業を展開しております。

 

 


 

労働安全衛生法により、事業拠点単位で50人以上の従業員を抱える企業は、雇用時及び年1回の健康診断及びストレスチェックを従業員に受診させる義務があり、職域における健康管理(コーポレート・ウェルネス)を川の流れに喩えると、その健康診断は、最上流・源流に位置します。企業は、健康診断結果の保管・報告、産業医(※1)の選任も義務付けられており、健康診断の受診を起点として、健康診断結果から下流に向かってストレスチェック、精密・再検査、産業医面談、就業判定(※2)、保健指導、衛生委員の実施、最終的には労働基準監督署へ提出する定期健康診断結果の報告等、法令で定められている様々な対応を求められます。また、必要に応じて、労働者に対し、休職・残業禁止・労働時間の短縮・作業の転換等、適切な就業上の措置を行わなければなりません。

 

以上に述べた内容を図によって示すと、次の通りであります。

 


 

ウェルネス・コミュニケーションズは、主要事業で、それぞれのソリューションプラットフォームを推進し、健康診断を起点として、職域における健康管理(コーポレート・ウェルネス)の課題に対応するためのサービスを提供しております。ウェルネス・コミュニケーションズは20年近く健康診断に関するサービスを専業として提供してきた実績があり、創業時からエンタープライズ企業を開拓しており、2025年3月末時点では、従業員数1,000~50,000人規模の大企業を中心に3,540社(※3)との取引を行っております。契約企業グループ数では、健診ソリューション事業が216企業グループ、健康管理クラウド事業が232企業グループ(※4)となります。健診ソリューション事業と健康管理クラウド事業別の2025年3月末時点での顧客規模(※5)は以下の通りです。

顧客規模構成率

健診ソリューション事業

健康管理クラウド事業

5,000ID~

73%

84%

1,000~4,999ID

22%

15%

1~999ID

5%

1%

 

なお、ウェルネス・コミュニケーションズでは、市場を5つに分類し、従業員数が5,000人以上をEnterprise、1,000人~4,999人をLarge、100人~999人をMedium、50人~99人をSmall、49名以下をFutureと定義しており、総務省統計局の「令和3年経済センサス-基礎調査」(2024年6月25日公表)によると、企業数、従業員数は以下の通りです。

市場

企業数(社)

従業員数(万人)

Enterprise

653

881

Large

3,975

778

Medium

58,727

1,475

Small

62,268

432

Future

3,558,426

1,423

 

労働安全衛生法において健康診断の受診が義務となっていることからも、ネットワーク健康診断サービス及びGrowbaseを継続してご利用いただく顧客が多く、ストック売上高比率(※6)は両事業の平均で94.7%であり、契約継続率(※7)は99.6%であります。

また、その他として、がんなどの病変を検査する画像診断法の一つである PET関連事業等を手掛ける医療機関等支援事業があります。

 

※1:産業医とは、日本医師会や産業医科大学等が行う研修や専門課程等を修了した医師であり、労働者の健康管理等を担っております。

※2:就業判定とは、企業として労働者の安全と健康に配慮する役割から、定期健康診断の結果に基づき、労働者の就業継続可否を産業医が判断すること。

※3:健診ソリューション事業の会社属性及び健康管理クラウド事業の会社マスタの登録数のうち、現在取引中の健診ソリューション事業1,710社及び健康管理クラウド事業1,830社の合算値であり、両事業で取引している場合は、複数カウントしております。

※4:健診ソリューション事業及び健康管理クラウド事業の企業グループ数であり、両事業で顧客企業となっている場合は、複数カウントしております。

※5:健診ソリューション事業は健康診断対象者数、健康管理クラウド事業は登録対象従業員数(ユーザーID数)

※6:2025年3月末現在における健診ソリューション事業及び健康管理クラウド事業の売上高に占めるストック型課金売上高の比率の平均

※7:2025年3月末現在における前年から継続利用いただく企業グループの比率

 

(1)健診ソリューション事業

 健診ソリューション事業は、企業・健康保険組合(以下、顧客)が行う健康診断の各種工程(医療機関との契約締結・健康診断の予約・医療機関への精算代行・健康診断結果のデータ化等)をウェルネス・コミュニケーションズが一括して受託することで、ワンストップでネットワーク健康診断サービスの提供を主に行う事業です。ウェルネス・コミュニケーションズでは、全国の2,164件(※1)の医療機関と業務提携契約を締結しており、顧客は、個別に医療機関と契約することなく、これらの医療機関より希望する医療機関を選択することが可能です。

 当事業では、顧客向けに基幹システムに紐づけたi-Wellnessという健康診断のソリューションプラットフォームを用意しております。なお、i-Wellnessは、健康診断の予約・受診結果を確認することができる受診者用及び受診対象者の予約状況・各受診者の健康診断結果を確認できる顧客担当者用があります。 

 ネットワーク健康診断サービスの流れは、まず、ウェルネス・コミュニケーションズが健康診断を行う受診対象者の全属性情報を顧客より預かり、健康診断の案内を送付します。その後、受診者からWEB(受診者用i-Wellnessのマイページ)もしくは電話により希望の日程・医療機関を受付け、医療機関と日程調整を行います。健康診断受診後2週間程で、医療機関から受診者宛に紙の健康診断結果が送付されますが、ウェルネス・コミュニケーションズでも同じものを受領いたします。受領した健康診断結果をウェルネス・コミュニケーションズ内でデータ化し、判定の標準化並びにデータのエラーチェック(※2)を行い有効化した上で、プラットフォーム上で顧客へ納品します。この健康診断結果データの標準化・有効化は、顧客が、従業員の健康管理のデジタル化・個別化を実現する上で、最も重要な役割・機能となります。一般的に医療機関から届く健康診断の結果は、医療機関毎に不規則な判定記号となっておりますが、当事業では、医療機関と契約締結時に各医療機関の判定基準とウェルネス・コミュニケーションズの判定基準の整合を行い、データ化した際に、各医療機関の同意のもと、健康診断結果の判定をウェルネス・コミュニケーションズの判定基準に変換しております。そのため、i-Wellnessの顧客担当者向けページに納品される健康診断結果は、全て統一基準に標準化されており、顧客内での有所見者・特定保健指導対象者の抽出、労働基準監督署への報告書の作成が容易になり、事後措置の対応強化が可能となります。なおウェルネス・コミュニケーションズでは、AI-OCR(※3)を活用した独自の入力ツールを活用した体制を社内に構築しており、この標準化・有効化のオペレーションにより、精度が高い健康診断結果を迅速に顧客に納品することが可能となっております。

 

以上に述べた内容を図によって示すと、次の通りであります。

 


 

最後に、ウェルネス・コミュニケーションズは健康診断費用の精算代行業務を行っており、各医療機関への支払いはウェルネス・コミュニケーションズが行い、各顧客へは健康診断結果の納品毎に受診医療機関を問わず、まとめて請求します。

 なお、ウェルネス・コミュニケーションズにて予約調整を行っているため、顧客側では、i-Wellnessの顧客担当者向けページを通じ、予約の進捗状況をリアルタイムで把握可能であり、適時適切に未受診者に対し受診の勧奨を行うことで、受診率向上を図ることが可能となります。また、基幹システム上で医療機関からの健康診断結果の返却期日を管理することにより、受診後4週間程度での健康診断結果データの顧客納品を可能としています。

 このように、プラットフォームを通して健康診断に関するワンストップ型のサービスを提供することにより、①健康診断結果の管理等煩雑な業務から解放することで顧客担当者の業務を効率化、②受診案内・受診勧奨により健康診断受診率向上、③担当者リソースの集中により健康診断後の事後措置対応強化が可能となり、「企業と健康保険組合、そこで働く従業員や家族」と「医療機関・健康診断センター」をつなぎ、利便性、生産性の向上に寄与していると考えております。ワンストップ型のサービスの提供を可能にするため、ウェルネス・コミュニケーションズでは、コールセンター業務、問診票の印刷・発送、システムの構築・保守をパートナー企業へ委託しております。

 当事業の料金体系につきましては、顧客毎に健康診断コースや受診医療機関等を決定した上で、健康診断の受診費用(以下、健康診断費用)を算出し、受診者数に応じて発生する、i-Wellness利用を含む事務手数料(以下、i-Wellness費用)とともに、受診者一人あたりの年間サービス料を課金いたします。なお、データ化・判定の統一化後に、健康診断結果を出荷(システム上でデータを登録)した日が属する月の末日締めにて、各顧客に請求いたします。また、これとは別に、受診者数より多い人数の母集団に対して、健康診断の案内を送付することや、健康診断の未予約者(未受診者)に対する受診勧奨等を代行する場合があり、サービスの対象となる人数に応じた課金を行います。大別して2つの料金体系から、受診者一人に対して、年額で課金される健康診断費用とi-Wellness費用を基本利用料とするストック型課金、基本利用料の課金対象とは異なる数量の対象者に対して課金する受診案内や受診勧奨代行等の費用をアップセル利用料(フロー型課金)として区分しており、2025年3月末現在における当事業のストック売上高比率(※4)は98.4%となっております。また、同時期現在の契約継続率は99.5%(※5)となっていることから、基本利用料に関する売上高は安定的且つ継続的に伸長しております。

基本利用料(ストック型課金)の概要は次の通りであります。

項目

利用料金

健康診断費用

平均 26,900円/受診者1人あたり(1ID) ※6

i-Wellness費用

年額利用料 4,300円/受診者1人あたり(1ID)

 

 

※1:2025年3月31日現在

※2:前年度の健康診断結果からの差分チェックなど約6,000通りに上るエラーチェックを実施

※3:AI技術を活用した光学文字認識機能(Optical Character Recognitionの略)

※4:健診ソリューション事業の売上高に占めるストック型課金売上比率

※5:健診ソリューション事業で前年から継続利用いただく企業グループの比率

※6:2023年3月期から2025年3月期までの平均金額

 

以上に述べた内容を事業系統図によって示すと、次の通りであります。

 


 

 

(2)健康管理クラウド事業

 ウェルネス・コミュニケーションズが提供するGrowbaseは、企業(人事部・産業保健スタッフ(※1))及び企業とコラボヘルス(※2)を行っている一部健康保険組合向けのSaaS型健康管理クラウドサービスです。

 企業においては、労働安全衛生法により、安全配慮義務の観点から長時間残業時の産業医が行う心身の状況把握及び面接指導や、健康診断受診後のフォローが必要な方への事後措置等を行う事が義務づけられております。健康保険組合においても、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防と改善を目的とした特定健康診査・特定保健指導が2008年から義務化され、また、2014年には、労働者の心理的な負担の程度を把握するストレスチェックが義務化されております。

 これら諸制度に対応すべく、Growbaseは、健康診断結果、就労データ、ストレスチェックデータ及び各種面談の記録を個人単位にて紐づけ、心と身体に関するデータを一元管理・可視化できる機能を有しております。また、健康診断後の各種集計・抽出機能、労働基準監督署等への定期健康診断結果報告書等各種報告書(※3)の作成機能、産業医との面談(対面・オンライン)スケジュール管理のほか、従業員自身の健康診断結果を経年にて確認可能なマイページ機能も備えております。ダイバーシティの推進・働き方の多様化等により、変化・多様化する健康課題・ニーズに対して最適な打ち手をつなぐ健康管理プラットフォームを展開するため、法令対応や顧客要望に応じた機能充実を図っております。

 また、Growbase上には、紙の健康診断結果をデータ化する無料の画像自動読み取り機能も付属しており、この機能もしくは別途料金にてお申込みいただくデータ化オプションを利用いただくことで、手元に届く紙の健康診断結果をGrowbaseに反映することが可能です。さらには、ネットワーク健康診断サービスと併せて利用いただくことにより、ウェルネス・コミュニケーションズで標準化・有効化された健康診断結果の自動連携が可能になり、健康診断の案内から予約、経年でのデータ管理から事後措置に至るまで、健康診断に関する管理を一元化いただくことが可能になります。

 システム利用に関する料金体系は、ストック売上として顧客企業の対象従業員数であるID数に応じた①システムの基本利用料、②従業員データの保管料、③産業保健スタッフが利用する管理者サイトへのセキュリティ認証利用料、フロー売上として④オプション機能利用料、⑤顧客の要望に応じて機能改修をする個別カスタマイズ料に大別されます。加えて導入時に、要求仕様や従業員数などの規模により変動するサーバセットアップ費用や過去データ移行などの初期設定費用が必要になります。なお、2025年3月末現在における当事業のストック売上高比率は90.9%(※4)、契約継続率は99.7%(※5)、CCRは、0.28%(※6)NRRは114.0%(※7)であります。

 当事業における月額利用料の概要は下記の通りであります。

 

項目

利用料金

基本利用料

月額平均 60円/ID ※8

 

 

 なお、当事業においては、事業拡大や資本業務提携も含めたアライアンスパートナーとの販売業務提携戦略を目的に、販売代理店として、ITを通じて社会課題の解決に取り組む伊藤忠テクノソリューションズ㈱、最新のテクノロジーを活用したヘルスケアサービスを提供するSOMPOヘルスサポート㈱、企業のメンタルヘルスケア対策を行う㈱アドバンテッジ リスク マネジメント、福利厚生や健康支援サービスを提供する㈱イーウェルと契約を締結しております。ウェルネス・コミュニケーションズの営業部門による直販の増加に加えてアライアンスパートナー経由の契約も増加しており、ウェルネス・コミュニケーションズの成長を後押ししております。なお、代理店各社はそれぞれ大規模企業や健康保険組合等をターゲット市場としております。

 

※1:産業保健スタッフとは、労働者の健康を確保し、安全な職場環境を維持するために、事業場で働く産業医、衛生管理者、保健師、看護師等の医療・保険専門職や、その業務をサポートするスタッフのことです。

※2:コラボヘルスとは、企業と健康保険組合等の保険者が積極的に連携し、従業員やその家族の健康増進を効率的・効果的に図ることです。

※3:企業は、労働者の死傷病報告や定期健康診断結果、ストレスチェック、産業医選任等に関する内容を所轄の労働基準監督署に対して報告する義務があります。

※4:健康管理クラウド事業の売上高に占めるストック型課金売上比率

※5:健康管理クラウド事業で前年から継続利用いただく企業グループの比率

※6:健康管理クラウド事業の2025年3月期における当月度解約顧客数÷前月度利用顧客数により算出された月次チャーンレートの平均値

※7:健康管理クラウド事業の2025年3月期における既存顧客のストック型売上高継続率。2025年3月期ストック型売上高÷2024年3月期ストック型売上高で計算。なお、2024年3月末時点の既存顧客のストック型売上高のみから算出しております。

※8:2023年3月期から2025年3月期までの平均金額

 

以上に述べた内容を事業系統図によって示すと、次の通りであります。

 


 

 

また、料金体系を図によって示すと、次の通りであります。


 

(3)医療機関等支援事業

その他のサービスとして医療機関等支援事業があります。主なサービスとしては、地域中核病院に対して当該病院敷地内にあるPET検査用の建物・装置などの賃貸借を行うPET関連事業、協会けんぽや総合健康保険組合に加入している企業を対象とした健康診断のBPOサービス(※1)です。

PET関連事業については、健診ソリューション事業拡大の一環として、2016年10月にIML㈱より譲り受けました。

BPOについては、健診ソリューション事業と同じ健康診断に関するサービスですが、単一健康保険組合及び単一健康保険組合加入企業を対象としたネットワーク健康診断サービスとは違い、協会けんぽ及び総合健康保険加入企業を対象とした健康診断の予約や精算代行等を行うサービスになります。また、ネットワーク健康診断サービスでは、ウェルネス・コミュニケーションズオリジナルの健康診断コースを全国の医療機関と契約し、顧客に対しては、コース毎に統一した顧客毎の価格で提供を行っておりますが、協会けんぽ及び多くの総合健康保険組合では、健康診断コース及び価格(企業負担額)が決まっているため、各健康保険組合が元々医療機関と契約している内容を、そのまま引き継いで対応しております。さらに、健康診断をワンストップで代行するネットワーク健康診断サービスとは違い、BPOサービスでは、健康診断の予約のみ等、顧客が要望・必要とするサービスのみ対応が可能です。

 

※1:BPOサービスは、企業の業務プロセスの一部を外部委託することを言い、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)の略です。ウェルネス・コミュニケーションズにおいては、健康診断に関する業務を受託しております。

 

上記の通り、ウェルネス・コミュニケーションズが行う健診ソリューション事業、並びに健康管理クラウド事業は、顧客における保健事業を支える基盤となっており、企業における健康経営(※1)の根幹となっております。また、かかる機能を有していることにより、継続利用をいただく顧客も多く、前段でも記載の通り、健診ソリューション事業及び健康管理クラウド事業における2025年3月末日時点での契約継続利用率の平均は99.6%(※2)です。それら継続利用による情報の蓄積もウェルネス・コミュニケーションズの強みとなっております。ウェルネス・コミュニケーションズとしましても、それら重責を担っている使命を理解し、顧客における健康増進に寄与すべく、サービスメニュー・機能の拡充を継続して行っております。また、今後も顧客企業の規模等に応じた新たなサービス体制構築なども見据え、顧客の健康管理の実践におけるニーズを的確に捉えるとともに、スピーディーな対応をしてまいります。

 

※1:健康経営®は、従業員の健康管理を経営課題と捉え、戦略的に実行するということを意味する、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

※2:健診ソリューション事業及び健康管理クラウド事業の前年から継続利用いただく企業グループの比率の両事業の平均です。



事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、ウェルネス・コミュニケーションズが判断したものであります。

 

(1) システム上の問題について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、インターネットを利用して、顧客・受診者(従業員・家族)に対して各種サービスを提供しております。このため、業務においてコンピューターシステムに依存する部分が多く、以下のリスクが存在します。
  

① システムセキュリティについて
 ウェルネス・コミュニケーションズが運営する、i-Wellness、Growbaseにおいては、ウェルネス・コミュニケーションズのサーバーに受診者の属性情報や健康診断結果データなど様々な情報が蓄積されるため、これらの情報の保護が極めて重要になります。ウェルネス・コミュニケーションズのセキュリティマネジメントの基準は国際標準であるISMS認証(ISO27001)に適合するものとして2007年から継続運用しています。ウェルネス・コミュニケーションズでは、社長を委員長とし、関係する役員及び各部門長並びに各部署からメンバーを集めたISMS推進事務局で構成された情報セキュリティ委員会で、情報セキュリティ対応方針を定めております。対応方針は認証取得しているISMSに沿った運用をしており、セキュリティに関する方針や規定はISMSの規程として整備しています。また対象システムの利用顧客から契約締結時や年次でシステムセキュリティに関するチェックを受けており、顧客の基準に対する不備や改善要望の指摘を受けて、継続してシステムセキュリティ強化を行う運用を実施しています。加えて、最近では医療情報の取扱いに関わる厚生労働省、経済産業省、総務省のガイドライン(3省2ガイドライン)を目安にISMSの適用範囲の見直しを伴うセキュリティ強化の取り組みを継続実施しています。

 さらに機微情報の消失や外部への漏洩、改ざんがないよう、データベースの暗号化やファイアウォールシステムによる不正アクセスの防止を行うとともに、堅牢な外部サーバーを活用し、24時間体制で監視等を行っております。また、24時間に一度のデータバックアップを実施する等データの喪失を防いでおります。しかし、自然災害や事故、ウェルネス・コミュニケーションズ社員の過誤・過失、不正アクセスやコンピュータウイルスなどの要因によって、データの漏洩、データの破壊や誤作動が起こる可能性があります。ウェルネス・コミュニケーションズでは、社内啓蒙・社員教育の徹底やシステムの脆弱性診断を定期的に行い、当該リスクへの対策を講じておりますが、このような場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの信頼を失うばかりでなく、顧客企業・健康保険組合など、サプライヤーを含めた顧客等からの損害賠償請求、訴訟による責任追及を受ける事態が発生する場合があり、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムダウンについて

 ウェルネス・コミュニケーションズの事業の根幹となるi-Wellness及びGrowbaseは、通信ネットワークに依存しています。従って、自然災害や事故などにより、通信が切断された場合にはウェルネス・コミュニケーションズの営業は不可能となります。また、一時的な過負荷によってウェルネス・コミュニケーションズ又はデータセンターの通信機器が機能不全に陥ることや、外部からの不正侵入・社員の誤操作によるネットワーク障害やシステムダウンが発生する可能性があります。これらの対策として、機器障害又はシステムダウン時には、予備の機器又はシステムが作動し、サービス停止時間を最小限にとどめるように設計されております。また、24時間に1回、定期的にリモートバックアップサイトにバックアップを実施しており、システム障害によるデータの損失を極力少なくする運用が行われております。ウェルネス・コミュニケーションズでは、事故の発生やアクセスの集中にも耐えうるようにシステムの冗長化や負荷分散などのインフラ整備を継続的に行っていく所存ですが、これらの障害が生じた場合にはウェルネス・コミュニケーションズに対する訴訟や損害賠償などで、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 個人情報保護について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズが取り扱う情報は、健康診断結果を含む要配慮個人情報であることから、「情報セキュリティマネジメントシステム」を導入し、ISO/IEC 27001のISMS認証を2007年3月に取得し、JIS Q 14001を2016年2月に取得しました。情報セキュリティマネジメントシステムは、ISMSに沿う形で整備と運用をしています。ウェルネス・コミュニケーションズは、情報セキュリティ基本方針に則り、安全、安心及び顧客からの信頼の下に事業を進めるため、適切な対策を継続的に実施し、情報セキュリティレベルの向上に努めています。かかる状況下、個人情報保護に対する取り組みを一歩間違えれば、企業としての存続に影響を及ぼす大事故となりうる可能性があります。ウェルネス・コミュニケーションズとしましては、上記問題を特に重視し、以下の通りの取り組みを行っております。

 

 1. ウェルネス・コミュニケーションズで業務に従事する全ての者は、個人情報の保護に関する法令、「個人情報管理規則」、「特定個人情報管理規則」及びISMS規程である「個人情報保護方針」を遵守しております。なお、「個人情報保護方針」は外部向けにもURL:https://wellcoms.jp/privacy/ にて公開しています。さらには、JIS Q 27001に即した情報セキュリティマネジメントシステムを作成し、それに基づいてユーザーの情報を管理しており、この情報セキュリティマネジメントシステムは適宜見直し、継続的な改善を図っております。

 2. ユーザーの健康情報の管理及び維持を安全に行い、また、その情報をもとにより良い商品、サービスを提供させていただくため、利用目的を事前にお知らせしたうえで、ユーザーに関する必要最低限の情報を収集させていただいております。

  3. ユーザーの個人情報を適正に取り扱うために、事業部毎に責任者を置き、継続的に社員教育を行っております。社員教育についてはISMSの要求事項の一つであるためISMS文書の一つである「ISMSマニュアル」の中で全従業員を対象に年1回の定期的な教育実施、力量テスト(情報セキュリティに関する理解度テスト)の合格を業務従事するための必須事項とすることなどを定め、その運用と記録管理をISMS事務局で行うことにしています。

 4. ユーザーの個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん及び漏洩を防止し、安全で正確な管理に努めております。なお、アクセス制限についてもISMSの要求事項の一つであるため「アクセス管理規程」及び「データ管理規程」をISMS文書と定め、情報資産を取扱うシステムへのアクセスを管理するIDの新規発行、変更、削除、パスワードの設定、管理方法等についてルールを定めています。システムIDの発行や変更については人事総務部への申請制としており、人事総務部長の承認を必須として運用をしています。

 5. 一部のデータ処理及びサービスを外部の専門会社等に委託する場合があります。この場合、適切に個人情報を保護できることを条件として施設を選定し、ユーザーの個人情報が不適切に扱われないように機密保持に関する契約を締結し、ユーザーの個人情報保護に努めております。また、業務委託先の選定方法や管理方法等についてもISMSの要求事項の一つであるため「業務委託管理規程」にて選定基準や契約内容等を定めており、例えば取引開始時には自社で作成した基準の適合度を図る「情報セキュリティ業務委託先監査チェックシート」を用いて確認を実施することや最終的には情報セキュリティ責任者の承認を得て契約を実施することなどを規定しています。
 またISMSで運用している「内部監査」ではすべての業務委託先に対して前述のチェックシートを用いてセキュリティ管理状態の最新情報の提供を求めることにしており、経年でのセキュリティ劣化を防ぐ運用も実施しています。 

 

ウェルネス・コミュニケーションズは今後、大企業のみならず中小企業向けのサービス展開も進めており、いわゆる企業の健康関連プラットフォーム化を推し進めてまいります。従って、企業における人事情報を始めとした情報全般についても個人情報と同様に最重要情報として扱いを徹底してまいります。

 

 上記の通り、個人情報の取得・運用には細心の注意を払っておりますが、ウェルネス・コミュニケーションズからの個人情報の漏洩・流出を完全に防止できる保証は存在しません。今後何らかの理由により、ウェルネス・コミュニケーションズが保有する個人情報が社外に漏洩・流出した場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの社会的信頼の失墜、また、それにより顧客の減少、当該対象者からの損害賠償請求等が発生し、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

  ウェルネス・コミュニケーションズは、長期的な安定成長を牽引する優秀且つ多様な人材の確保・育成のため、様々な働き方において従業員パフォーマンスを最大化する環境、意欲を高めるための人事評価制度、階層別研修含めた各種研修制度を用意し、スペシャリストの育成に取り組んでおります。今後もウェルネス・コミュニケーションズ業容拡大のためには、優秀且つ多様な人材の確保、ならびに従業員の能力向上、次世代マネジメントの育成が必須と考えますが、多くの人材が退社した場合、又は、人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)自然災害発生等によるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

  ウェルネス・コミュニケーションズのネットワーク健康診断サービスにおきましては、全国の医療機関と提携し、健康診断の実施をいただいておりますが、災害等により健康診断自体が実施できない状況が発生した場合は、ウェルネス・コミュニケーションズの売上(健康診断結果報告)に影響を及ぼすため、今後の事業展開にも影響を及ぼす可能性が生じます。また、ウェルネス・コミュニケーションズは各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)を整備して、被災時でも重要な事業を継続し、早期に復旧できるよう準備を行っておりますが、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業においても取引の縮小や延期、オペレーションの縮小や停止の影響が考えられ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)感染症パンデミック発生等によるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 新型コロナウイルス感染症の流行により、ウェルネス・コミュニケーションズにおいて2020年4月~6月にかけては、受診控えが発生し、結果、ウェルネス・コミュニケーションズのネットワーク健康診断サービスの業績にも大きな影響を及ぼしました。対応策として、ウェルネス・コミュニケーションズは事業継続計画(BCP)を整備して、感染症パンデミック発生による業績への影響を最小限に抑えるよう準備をおこなっておりますが、この様に新型コロナウイルス感染症の流行をはじめとする感染症流行等、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、取引の縮小や延期、オペレーションの縮小や停止の影響が考えられ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)その他の関係会社との関係について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 SOMPOホールディングス㈱は、ウェルネス・コミュニケーションズ株式の45.9%を有し、LHP Holdings,L.P.はウェルネス・コミュニケーションズ株式の41.0%を有するその他の関係会社であります。ウェルネス・コミュニケーションズとSOMPOホールディングス㈱及びLHP Holdings,L.P.との人的関係、取引関係については、以下の通りであり、これらについて変動又は問題が生じた場合、ウェルネス・コミュニケーションズの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、筆頭株主であるSOMPOホールディングス㈱は、本書提出日現在で、ウェルネス・コミュニケーションズ発行済株式総数5,448,200株の45.9%(2,500,800株)を所有しております。同社は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。本書提出日現在においては競合する事業はありませんが、何らかの要因により同社の経営方針や事業戦略(ウェルネス・コミュニケーションズ株式の保有方針も含む。)を変更した場合、将来的に類似する事業を営まれる可能性、競合する可能性、ウェルネス・コミュニケーションズの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性、株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。なお、事前承認事項・事前協議事項は定められておりません。

 

① 人的関係について

 本書提出日現在、取締役の並木洋平氏につきましては、経営企画や事業開発等の業務を経験し、それら業務における高い知見・知識や、ウェルビーイング領域における事業開発経験をウェルネス・コミュニケーションズ経営に活かすことを目的とし、SOMPOホールディングス㈱と職務を兼任しております。なお、ウェルネス・コミュニケーションズと当該取締役との間に取引関係はありません。

 本書提出日現在、ウェルネス・コミュニケーションズ従業員のうち、SOMPOホールディングス㈱及びLHP Holdings,L.P.からの出向者はおりません。ただし、SOMPOホールディングス㈱の子会社であるSOMPOひまわり生命保険㈱から1名受け入れており、現在主要サービスであるGrowbaseの運営を行うヘルスケアクラウド本部で本部長代行を担っております。

 

② 取引関係について

 ウェルネス・コミュニケーションズは、SOMPOホールディングス㈱並びにグループ会社と取引を行っております。ウェルネス・コミュニケーションズとの取引に関しては、ウェルネス・コミュニケーションズの独立性確保の観点から、関連当事者取引等に該当する取引を行う場合は、関連当事者取引規程に則り、取引の合理性、条件の妥当性等を慎重に検討した上で、取締役会の承認を得ることとしており、取引の適法性を確保する体制を築いております。

 本書提出日現在、LHP Holdings,L.P.との取引はありません。

 

 

(7)市場動向について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズの健診ソリューション事業においては、近年の企業における生産性向上や法改正対応、健康経営の高まりにより、企業側の健診代行事業者への委託は一定程度増加傾向にあるものと想定しておりますが、他方、健康保険組合においては、医療費高騰による財政悪化の影響もあり、健康診断事業の見直しや項目の見直し等、厳しい経営環境となっております。今後、これら健康保険組合の財政悪化に伴い顧客である健康保険組合が解散となった場合には、当該健康保険組合ならびに所属する企業についても同時に失う可能性があり、ウェルネス・コミュニケーションズ業績に影響を及ぼす可能性があります。また、近年厚生労働省にて議論がされております「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」や、健康診断情報の統一化などの議論において、これらの検討が進む際には、ウェルネス・コミュニケーションズのサービスの優位性が損なわれることになるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 他方、健康管理クラウド事業においては、企業の働き方の変革、在宅ワーク等も踏まえたデジタルシフト(HRテック)が加速しており、Growbaseの市場動向としては追い風となっております。一方で、上記市場動向を受けて、様々な企業が産業保健分野に進出し健康管理システムの提供を始めており、市場環境の激化が予想されます。これら市場環境の激化により、製品の優位性が損なわれた際には、期待通りの収益があがらず事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクへの対応策として情報の収集を第一とし、ウェルネス・コミュニケーションズでは市場のコーポレート部門においてツールを使用した企業情報・業界動向の調査を行っております。

 

(8)競合状況について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

  ウェルネス・コミュニケーションズの競合他社において、技術開発力・価格競争力・営業力等に関して競合他社が優位な場合には、その優位性を活かしてサービスや商品の提供が行われる可能性があります。その際には、ウェルネス・コミュニケーションズが販売競争で劣勢に立たされ、ウェルネス・コミュニケーションズの期待通りにサービス・商品を提供できない、又は顧客を維持・獲得できないことも考えられます。ウェルネス・コミュニケーションズでは、引き続きデジタルマーケティングの活用や代理店との連携等を用いた営業及び顧客のニーズを汲んだサービスの開発・提供を進める方針ではありますが、競合企業がより優れたサービスを提供した場合、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 上記でも記載の通り、健康管理クラウド事業は、企業の産業保健担当者や健康保険組合向けの健康管理システムを提供しておりますが、昨今のHRテックの流れや規制改革等を受け、健康管理分野においては様々なシステムやツールが開発されております。ウェルネス・コミュニケーションズでは、顧客の要望に柔軟に対応するべく、最新のテクノロジーの知見やノウハウの蓄積を積極的に推進していく方針ではありますが、今後、これらの技術革新により、製品の優位性が損なわれた際には、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)業績の季節変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 健診ソリューション事業におきましては、例年、健康診断の受診者数が夏から増加する傾向にあり、秋にピークに達した受診者数は、春にかけて減少いたします。そのため、健康診断結果の引渡しが完了した時点で収益を認識している当事業では、第1四半期の売上高及び営業利益が他の四半期と比較して低くなる傾向にあり、ウェルネス・コミュニケーションズの業績も同様でありますが、顧客毎の健康診断時期の前倒しや効果的な受診勧奨を行うことで、平準化を図っております。

 また、健康管理クラウド事業は一部新規顧客のサービス開始が年度初めになることが多く、第4四半期に開発が伴うことがありますが、サービス開始後は月額課金であるため、一定額が毎月計上され、健診ソリューション事業にみられる業績の季節変動はありません。

 

2024年3月期健診ソリューション事業の業績推移は以下の通りであります。

                  (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

1,682

3,576

3,812

2,786

営業利益又は営業損失(△)

△115

167

201

23

 

 

 

(11)法的規制の変更リスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 ウェルネス・コミュニケーションズの健診ソリューション事業は、顧客が行う健康診断の予約・精算代行・健康診断結果一元化等のサービスを提供するものであり、また、健康管理クラウド事業は企業の健康管理を支援するシステム提供を行うものとなっております。これら事業に関連する法的規制としては、健康保険法、健康増進法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律、国民健康保険法等があります。ただし、あくまでウェルネス・コミュニケーションズは、顧客企業・健康保険組合が当該法律を受けて行う健康診断に関する各種支援を行う立場、ないしは健康管理支援システムの提供を行う立場にあり、当該法的規制に関し直接の責任を有するものではありません。また、当該事業に関しての許認可等もありません。しかしながら、これら関係法令が変更されたことにより、顧客である企業や健康保険組合側の運用等が変更になった場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 同様にウェルネス・コミュニケーションズでは、顧客企業の従業員・被扶養者に関する個人情報(氏名、生年月日、住所、所属、連絡先等)、健康診断結果情報などの機微情報を取り扱うため、個人情報保護法等の遵守が必要となります。上記、関連法規制(健康保険法、健康増進法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律、国民健康保険法、個人情報保護法)が変更された場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、ウェルネス・コミュニケーションズでは、PET関連事業も行っておりますが、同事業においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(いわゆる薬機法)に基づく、高度管理医療機器等販売業・貸与業許可により事業を行っております。従って、同法律が変更された場合には、PET関連事業そのものの事業推進可否に関係してまいりますため、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 これらの法的規制の変更リスクの対策として、ウェルネス・コミュニケーションズでは法令リストを作成しており、各部署において関連する法令動向を各種媒体(新聞・業界紙・Web)を通じて適時把握することに努め、全社的に原則半期に1回法令リストの見直し・更新を行っております。

 

(12)新規事業への投資に係るリスクについて(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、ネットワーク健康診断サービスやGrowbase等の大企業向け健康管理支援事業にて培った経験を活用し、「企業と人を元気にする。」新たなサービスやパッケージの開発等を検討しており、継続的なシステム投資を行っております。

 これら新規事業の立ち上げに際しては、投資リスクを抑えるため、事業計画の妥当性を十分に検討した上で投資を行っております。また、事業の立ち上げ後は、事業計画の進捗状況の把握に努め、必要に応じて事業計画の見直しや社内体制の整備・強化を行っております。これまでのところ、ウェルネス・コミュニケーションズ業績において重大な影響を及ぼすような事象は発生しておりませんが、今後、一定規模の投資を実施する可能性もあり、対象の事業が期待した収益を生まない場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)代表取締役への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 現在の代表取締役社長である松田泰秀は、設立以来ウェルネス・コミュニケーションズに携わり、職域における健康管理業務、ならびに健康診断業界における高い知見を有しており、広い視野と経験に基づいた経営全般の提言を得ております。また、今日に至るまで事業の推進・拡大、人材の採用、事業戦略立案など重要な役割を果たしており、今後ともこの状態は継続するものと考えられます。ウェルネス・コミュニケーションズでは、執行役員の拡充により代表取締役からの権限委譲を進める他、経営会議などの合議制による意思決定体制を整えて、当該リスクへの対策を講じておりますが、何らかの理由により、代表取締役の業務執行が困難になった場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業推進に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:不明、影響度:小)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、ウェルネス・コミュニケーションズ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。一方で、役員及び従業員に対するインセンティブの一つであり、発行予定数も限られていることから、希薄化への影響は限定的であります。

 なお、本書提出日現在でこれらの新株予約権による潜在株式数(自己新株予約権を含む)は443,000株であり、発行済株式総数5,448,200株の8.1%に相当しております。 

 

(15)ウェルネス・コミュニケーションズ株式の流通性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、東京証券取引所グロース市場への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによってウェルネス・コミュニケーションズ株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所が上場維持基準として定める流通株式比率25%の水準に近接していることから、当該上場維持基準に抵触するリスクがあります。今後は、ウェルネス・コミュニケーションズの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、大株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針であります。

 

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、ウェルネス・コミュニケーションズが判断したものであります。

 

(1) システム上の問題について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、インターネットを利用して、顧客・受診者(従業員・家族)に対して各種サービスを提供しております。このため、業務においてコンピューターシステムに依存する部分が多く、以下のリスクが存在します。
  

① システムセキュリティについて
 ウェルネス・コミュニケーションズが運営する、i-Wellness、Growbaseにおいては、ウェルネス・コミュニケーションズのサーバーに受診者の属性情報や健康診断結果データなど様々な情報が蓄積されるため、これらの情報の保護が極めて重要になります。ウェルネス・コミュニケーションズのセキュリティマネジメントの基準は国際標準であるISMS認証(ISO27001)に適合するものとして2007年から継続運用しています。ウェルネス・コミュニケーションズでは、社長を委員長とし、関係する役員及び各部門長並びに各部署からメンバーを集めたISMS推進事務局で構成された情報セキュリティ委員会で、情報セキュリティ対応方針を定めております。対応方針は認証取得しているISMSに沿った運用をしており、セキュリティに関する方針や規定はISMSの規程として整備しています。また対象システムの利用顧客から契約締結時や年次でシステムセキュリティに関するチェックを受けており、顧客の基準に対する不備や改善要望の指摘を受けて、継続してシステムセキュリティ強化を行う運用を実施しています。加えて、最近では医療情報の取扱いに関わる厚生労働省、経済産業省、総務省のガイドライン(3省2ガイドライン)を目安にISMSの適用範囲の見直しを伴うセキュリティ強化の取り組みを継続実施しています。

 さらに機微情報の消失や外部への漏洩、改ざんがないよう、データベースの暗号化やファイアウォールシステムによる不正アクセスの防止を行うとともに、堅牢な外部サーバーを活用し、24時間体制で監視等を行っております。また、24時間に一度のデータバックアップを実施する等データの喪失を防いでおります。しかし、自然災害や事故、ウェルネス・コミュニケーションズ社員の過誤・過失、不正アクセスやコンピュータウイルスなどの要因によって、データの漏洩、データの破壊や誤作動が起こる可能性があります。ウェルネス・コミュニケーションズでは、社内啓蒙・社員教育の徹底やシステムの脆弱性診断を定期的に行い、当該リスクへの対策を講じておりますが、このような場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの信頼を失うばかりでなく、顧客企業・健康保険組合など、サプライヤーを含めた顧客等からの損害賠償請求、訴訟による責任追及を受ける事態が発生する場合があり、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムダウンについて

 ウェルネス・コミュニケーションズの事業の根幹となるi-Wellness及びGrowbaseは、通信ネットワークに依存しています。従って、自然災害や事故などにより、通信が切断された場合にはウェルネス・コミュニケーションズの営業は不可能となります。また、一時的な過負荷によってウェルネス・コミュニケーションズ又はデータセンターの通信機器が機能不全に陥ることや、外部からの不正侵入・社員の誤操作によるネットワーク障害やシステムダウンが発生する可能性があります。これらの対策として、機器障害又はシステムダウン時には、予備の機器又はシステムが作動し、サービス停止時間を最小限にとどめるように設計されております。また、24時間に1回、定期的にリモートバックアップサイトにバックアップを実施しており、システム障害によるデータの損失を極力少なくする運用が行われております。ウェルネス・コミュニケーションズでは、事故の発生やアクセスの集中にも耐えうるようにシステムの冗長化や負荷分散などのインフラ整備を継続的に行っていく所存ですが、これらの障害が生じた場合にはウェルネス・コミュニケーションズに対する訴訟や損害賠償などで、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 個人情報保護について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズが取り扱う情報は、健康診断結果を含む要配慮個人情報であることから、「情報セキュリティマネジメントシステム」を導入し、ISO/IEC 27001のISMS認証を2007年3月に取得し、JIS Q 14001を2016年2月に取得しました。情報セキュリティマネジメントシステムは、ISMSに沿う形で整備と運用をしています。ウェルネス・コミュニケーションズは、情報セキュリティ基本方針に則り、安全、安心及び顧客からの信頼の下に事業を進めるため、適切な対策を継続的に実施し、情報セキュリティレベルの向上に努めています。かかる状況下、個人情報保護に対する取り組みを一歩間違えれば、企業としての存続に影響を及ぼす大事故となりうる可能性があります。ウェルネス・コミュニケーションズとしましては、上記問題を特に重視し、以下の通りの取り組みを行っております。

 

 1. ウェルネス・コミュニケーションズで業務に従事する全ての者は、個人情報の保護に関する法令、「個人情報管理規則」、「特定個人情報管理規則」及びISMS規程である「個人情報保護方針」を遵守しております。なお、「個人情報保護方針」は外部向けにもURL:https://wellcoms.jp/privacy/ にて公開しています。さらには、JIS Q 27001に即した情報セキュリティマネジメントシステムを作成し、それに基づいてユーザーの情報を管理しており、この情報セキュリティマネジメントシステムは適宜見直し、継続的な改善を図っております。

 2. ユーザーの健康情報の管理及び維持を安全に行い、また、その情報をもとにより良い商品、サービスを提供させていただくため、利用目的を事前にお知らせしたうえで、ユーザーに関する必要最低限の情報を収集させていただいております。

  3. ユーザーの個人情報を適正に取り扱うために、事業部毎に責任者を置き、継続的に社員教育を行っております。社員教育についてはISMSの要求事項の一つであるためISMS文書の一つである「ISMSマニュアル」の中で全従業員を対象に年1回の定期的な教育実施、力量テスト(情報セキュリティに関する理解度テスト)の合格を業務従事するための必須事項とすることなどを定め、その運用と記録管理をISMS事務局で行うことにしています。

 4. ユーザーの個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん及び漏洩を防止し、安全で正確な管理に努めております。なお、アクセス制限についてもISMSの要求事項の一つであるため「アクセス管理規程」及び「データ管理規程」をISMS文書と定め、情報資産を取扱うシステムへのアクセスを管理するIDの新規発行、変更、削除、パスワードの設定、管理方法等についてルールを定めています。システムIDの発行や変更については人事総務部への申請制としており、人事総務部長の承認を必須として運用をしています。

 5. 一部のデータ処理及びサービスを外部の専門会社等に委託する場合があります。この場合、適切に個人情報を保護できることを条件として施設を選定し、ユーザーの個人情報が不適切に扱われないように機密保持に関する契約を締結し、ユーザーの個人情報保護に努めております。また、業務委託先の選定方法や管理方法等についてもISMSの要求事項の一つであるため「業務委託管理規程」にて選定基準や契約内容等を定めており、例えば取引開始時には自社で作成した基準の適合度を図る「情報セキュリティ業務委託先監査チェックシート」を用いて確認を実施することや最終的には情報セキュリティ責任者の承認を得て契約を実施することなどを規定しています。
 またISMSで運用している「内部監査」ではすべての業務委託先に対して前述のチェックシートを用いてセキュリティ管理状態の最新情報の提供を求めることにしており、経年でのセキュリティ劣化を防ぐ運用も実施しています。 

 

ウェルネス・コミュニケーションズは今後、大企業のみならず中小企業向けのサービス展開も進めており、いわゆる企業の健康関連プラットフォーム化を推し進めてまいります。従って、企業における人事情報を始めとした情報全般についても個人情報と同様に最重要情報として扱いを徹底してまいります。

 

 上記の通り、個人情報の取得・運用には細心の注意を払っておりますが、ウェルネス・コミュニケーションズからの個人情報の漏洩・流出を完全に防止できる保証は存在しません。今後何らかの理由により、ウェルネス・コミュニケーションズが保有する個人情報が社外に漏洩・流出した場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの社会的信頼の失墜、また、それにより顧客の減少、当該対象者からの損害賠償請求等が発生し、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

  ウェルネス・コミュニケーションズは、長期的な安定成長を牽引する優秀且つ多様な人材の確保・育成のため、様々な働き方において従業員パフォーマンスを最大化する環境、意欲を高めるための人事評価制度、階層別研修含めた各種研修制度を用意し、スペシャリストの育成に取り組んでおります。今後もウェルネス・コミュニケーションズ業容拡大のためには、優秀且つ多様な人材の確保、ならびに従業員の能力向上、次世代マネジメントの育成が必須と考えますが、多くの人材が退社した場合、又は、人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)自然災害発生等によるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

  ウェルネス・コミュニケーションズのネットワーク健康診断サービスにおきましては、全国の医療機関と提携し、健康診断の実施をいただいておりますが、災害等により健康診断自体が実施できない状況が発生した場合は、ウェルネス・コミュニケーションズの売上(健康診断結果報告)に影響を及ぼすため、今後の事業展開にも影響を及ぼす可能性が生じます。また、ウェルネス・コミュニケーションズは各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)を整備して、被災時でも重要な事業を継続し、早期に復旧できるよう準備を行っておりますが、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業においても取引の縮小や延期、オペレーションの縮小や停止の影響が考えられ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)感染症パンデミック発生等によるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 新型コロナウイルス感染症の流行により、ウェルネス・コミュニケーションズにおいて2020年4月~6月にかけては、受診控えが発生し、結果、ウェルネス・コミュニケーションズのネットワーク健康診断サービスの業績にも大きな影響を及ぼしました。対応策として、ウェルネス・コミュニケーションズは事業継続計画(BCP)を整備して、感染症パンデミック発生による業績への影響を最小限に抑えるよう準備をおこなっておりますが、この様に新型コロナウイルス感染症の流行をはじめとする感染症流行等、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、取引の縮小や延期、オペレーションの縮小や停止の影響が考えられ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)その他の関係会社との関係について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 SOMPOホールディングス㈱は、ウェルネス・コミュニケーションズ株式の45.9%を有し、LHP Holdings,L.P.はウェルネス・コミュニケーションズ株式の41.0%を有するその他の関係会社であります。ウェルネス・コミュニケーションズとSOMPOホールディングス㈱及びLHP Holdings,L.P.との人的関係、取引関係については、以下の通りであり、これらについて変動又は問題が生じた場合、ウェルネス・コミュニケーションズの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、筆頭株主であるSOMPOホールディングス㈱は、本書提出日現在で、ウェルネス・コミュニケーションズ発行済株式総数5,448,200株の45.9%(2,500,800株)を所有しております。同社は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。本書提出日現在においては競合する事業はありませんが、何らかの要因により同社の経営方針や事業戦略(ウェルネス・コミュニケーションズ株式の保有方針も含む。)を変更した場合、将来的に類似する事業を営まれる可能性、競合する可能性、ウェルネス・コミュニケーションズの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性、株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。なお、事前承認事項・事前協議事項は定められておりません。

 

① 人的関係について

 本書提出日現在、取締役の並木洋平氏につきましては、経営企画や事業開発等の業務を経験し、それら業務における高い知見・知識や、ウェルビーイング領域における事業開発経験をウェルネス・コミュニケーションズ経営に活かすことを目的とし、SOMPOホールディングス㈱と職務を兼任しております。なお、ウェルネス・コミュニケーションズと当該取締役との間に取引関係はありません。

 本書提出日現在、ウェルネス・コミュニケーションズ従業員のうち、SOMPOホールディングス㈱及びLHP Holdings,L.P.からの出向者はおりません。ただし、SOMPOホールディングス㈱の子会社であるSOMPOひまわり生命保険㈱から1名受け入れており、現在主要サービスであるGrowbaseの運営を行うヘルスケアクラウド本部で本部長代行を担っております。

 

② 取引関係について

 ウェルネス・コミュニケーションズは、SOMPOホールディングス㈱並びにグループ会社と取引を行っております。ウェルネス・コミュニケーションズとの取引に関しては、ウェルネス・コミュニケーションズの独立性確保の観点から、関連当事者取引等に該当する取引を行う場合は、関連当事者取引規程に則り、取引の合理性、条件の妥当性等を慎重に検討した上で、取締役会の承認を得ることとしており、取引の適法性を確保する体制を築いております。

 本書提出日現在、LHP Holdings,L.P.との取引はありません。

 

 

(7)市場動向について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズの健診ソリューション事業においては、近年の企業における生産性向上や法改正対応、健康経営の高まりにより、企業側の健診代行事業者への委託は一定程度増加傾向にあるものと想定しておりますが、他方、健康保険組合においては、医療費高騰による財政悪化の影響もあり、健康診断事業の見直しや項目の見直し等、厳しい経営環境となっております。今後、これら健康保険組合の財政悪化に伴い顧客である健康保険組合が解散となった場合には、当該健康保険組合ならびに所属する企業についても同時に失う可能性があり、ウェルネス・コミュニケーションズ業績に影響を及ぼす可能性があります。また、近年厚生労働省にて議論がされております「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」や、健康診断情報の統一化などの議論において、これらの検討が進む際には、ウェルネス・コミュニケーションズのサービスの優位性が損なわれることになるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 他方、健康管理クラウド事業においては、企業の働き方の変革、在宅ワーク等も踏まえたデジタルシフト(HRテック)が加速しており、Growbaseの市場動向としては追い風となっております。一方で、上記市場動向を受けて、様々な企業が産業保健分野に進出し健康管理システムの提供を始めており、市場環境の激化が予想されます。これら市場環境の激化により、製品の優位性が損なわれた際には、期待通りの収益があがらず事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクへの対応策として情報の収集を第一とし、ウェルネス・コミュニケーションズでは市場のコーポレート部門においてツールを使用した企業情報・業界動向の調査を行っております。

 

(8)競合状況について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

  ウェルネス・コミュニケーションズの競合他社において、技術開発力・価格競争力・営業力等に関して競合他社が優位な場合には、その優位性を活かしてサービスや商品の提供が行われる可能性があります。その際には、ウェルネス・コミュニケーションズが販売競争で劣勢に立たされ、ウェルネス・コミュニケーションズの期待通りにサービス・商品を提供できない、又は顧客を維持・獲得できないことも考えられます。ウェルネス・コミュニケーションズでは、引き続きデジタルマーケティングの活用や代理店との連携等を用いた営業及び顧客のニーズを汲んだサービスの開発・提供を進める方針ではありますが、競合企業がより優れたサービスを提供した場合、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 上記でも記載の通り、健康管理クラウド事業は、企業の産業保健担当者や健康保険組合向けの健康管理システムを提供しておりますが、昨今のHRテックの流れや規制改革等を受け、健康管理分野においては様々なシステムやツールが開発されております。ウェルネス・コミュニケーションズでは、顧客の要望に柔軟に対応するべく、最新のテクノロジーの知見やノウハウの蓄積を積極的に推進していく方針ではありますが、今後、これらの技術革新により、製品の優位性が損なわれた際には、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)業績の季節変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 健診ソリューション事業におきましては、例年、健康診断の受診者数が夏から増加する傾向にあり、秋にピークに達した受診者数は、春にかけて減少いたします。そのため、健康診断結果の引渡しが完了した時点で収益を認識している当事業では、第1四半期の売上高及び営業利益が他の四半期と比較して低くなる傾向にあり、ウェルネス・コミュニケーションズの業績も同様でありますが、顧客毎の健康診断時期の前倒しや効果的な受診勧奨を行うことで、平準化を図っております。

 また、健康管理クラウド事業は一部新規顧客のサービス開始が年度初めになることが多く、第4四半期に開発が伴うことがありますが、サービス開始後は月額課金であるため、一定額が毎月計上され、健診ソリューション事業にみられる業績の季節変動はありません。

 

2024年3月期健診ソリューション事業の業績推移は以下の通りであります。

                  (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

1,682

3,576

3,812

2,786

営業利益又は営業損失(△)

△115

167

201

23

 

 

 

(11)法的規制の変更リスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 ウェルネス・コミュニケーションズの健診ソリューション事業は、顧客が行う健康診断の予約・精算代行・健康診断結果一元化等のサービスを提供するものであり、また、健康管理クラウド事業は企業の健康管理を支援するシステム提供を行うものとなっております。これら事業に関連する法的規制としては、健康保険法、健康増進法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律、国民健康保険法等があります。ただし、あくまでウェルネス・コミュニケーションズは、顧客企業・健康保険組合が当該法律を受けて行う健康診断に関する各種支援を行う立場、ないしは健康管理支援システムの提供を行う立場にあり、当該法的規制に関し直接の責任を有するものではありません。また、当該事業に関しての許認可等もありません。しかしながら、これら関係法令が変更されたことにより、顧客である企業や健康保険組合側の運用等が変更になった場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 同様にウェルネス・コミュニケーションズでは、顧客企業の従業員・被扶養者に関する個人情報(氏名、生年月日、住所、所属、連絡先等)、健康診断結果情報などの機微情報を取り扱うため、個人情報保護法等の遵守が必要となります。上記、関連法規制(健康保険法、健康増進法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律、国民健康保険法、個人情報保護法)が変更された場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、ウェルネス・コミュニケーションズでは、PET関連事業も行っておりますが、同事業においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(いわゆる薬機法)に基づく、高度管理医療機器等販売業・貸与業許可により事業を行っております。従って、同法律が変更された場合には、PET関連事業そのものの事業推進可否に関係してまいりますため、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 これらの法的規制の変更リスクの対策として、ウェルネス・コミュニケーションズでは法令リストを作成しており、各部署において関連する法令動向を各種媒体(新聞・業界紙・Web)を通じて適時把握することに努め、全社的に原則半期に1回法令リストの見直し・更新を行っております。

 

(12)新規事業への投資に係るリスクについて(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、ネットワーク健康診断サービスやGrowbase等の大企業向け健康管理支援事業にて培った経験を活用し、「企業と人を元気にする。」新たなサービスやパッケージの開発等を検討しており、継続的なシステム投資を行っております。

 これら新規事業の立ち上げに際しては、投資リスクを抑えるため、事業計画の妥当性を十分に検討した上で投資を行っております。また、事業の立ち上げ後は、事業計画の進捗状況の把握に努め、必要に応じて事業計画の見直しや社内体制の整備・強化を行っております。これまでのところ、ウェルネス・コミュニケーションズ業績において重大な影響を及ぼすような事象は発生しておりませんが、今後、一定規模の投資を実施する可能性もあり、対象の事業が期待した収益を生まない場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)代表取締役への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 現在の代表取締役社長である松田泰秀は、設立以来ウェルネス・コミュニケーションズに携わり、職域における健康管理業務、ならびに健康診断業界における高い知見を有しており、広い視野と経験に基づいた経営全般の提言を得ております。また、今日に至るまで事業の推進・拡大、人材の採用、事業戦略立案など重要な役割を果たしており、今後ともこの状態は継続するものと考えられます。ウェルネス・コミュニケーションズでは、執行役員の拡充により代表取締役からの権限委譲を進める他、経営会議などの合議制による意思決定体制を整えて、当該リスクへの対策を講じておりますが、何らかの理由により、代表取締役の業務執行が困難になった場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業推進に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:不明、影響度:小)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、ウェルネス・コミュニケーションズ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。一方で、役員及び従業員に対するインセンティブの一つであり、発行予定数も限られていることから、希薄化への影響は限定的であります。

 なお、本書提出日現在でこれらの新株予約権による潜在株式数(自己新株予約権を含む)は443,000株であり、発行済株式総数5,448,200株の8.1%に相当しております。 

 

(15)ウェルネス・コミュニケーションズ株式の流通性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、東京証券取引所グロース市場への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによってウェルネス・コミュニケーションズ株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所が上場維持基準として定める流通株式比率25%の水準に近接していることから、当該上場維持基準に抵触するリスクがあります。今後は、ウェルネス・コミュニケーションズの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、大株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針であります。

 

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、ウェルネス・コミュニケーションズが判断したものであります。

 

(1) システム上の問題について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、インターネットを利用して、顧客・受診者(従業員・家族)に対して各種サービスを提供しております。このため、業務においてコンピューターシステムに依存する部分が多く、以下のリスクが存在します。
  

① システムセキュリティについて
 ウェルネス・コミュニケーションズが運営する、i-Wellness、Growbaseにおいては、ウェルネス・コミュニケーションズのサーバーに受診者の属性情報や健康診断結果データなど様々な情報が蓄積されるため、これらの情報の保護が極めて重要になります。ウェルネス・コミュニケーションズのセキュリティマネジメントの基準は国際標準であるISMS認証(ISO27001)に適合するものとして2007年から継続運用しています。ウェルネス・コミュニケーションズでは、社長を委員長とし、関係する役員及び各部門長並びに各部署からメンバーを集めたISMS推進事務局で構成された情報セキュリティ委員会で、情報セキュリティ対応方針を定めております。対応方針は認証取得しているISMSに沿った運用をしており、セキュリティに関する方針や規定はISMSの規程として整備しています。また対象システムの利用顧客から契約締結時や年次でシステムセキュリティに関するチェックを受けており、顧客の基準に対する不備や改善要望の指摘を受けて、継続してシステムセキュリティ強化を行う運用を実施しています。加えて、最近では医療情報の取扱いに関わる厚生労働省、経済産業省、総務省のガイドライン(3省2ガイドライン)を目安にISMSの適用範囲の見直しを伴うセキュリティ強化の取り組みを継続実施しています。

 さらに機微情報の消失や外部への漏洩、改ざんがないよう、データベースの暗号化やファイアウォールシステムによる不正アクセスの防止を行うとともに、堅牢な外部サーバーを活用し、24時間体制で監視等を行っております。また、24時間に一度のデータバックアップを実施する等データの喪失を防いでおります。しかし、自然災害や事故、ウェルネス・コミュニケーションズ社員の過誤・過失、不正アクセスやコンピュータウイルスなどの要因によって、データの漏洩、データの破壊や誤作動が起こる可能性があります。ウェルネス・コミュニケーションズでは、社内啓蒙・社員教育の徹底やシステムの脆弱性診断を定期的に行い、当該リスクへの対策を講じておりますが、このような場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの信頼を失うばかりでなく、顧客企業・健康保険組合など、サプライヤーを含めた顧客等からの損害賠償請求、訴訟による責任追及を受ける事態が発生する場合があり、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムダウンについて

 ウェルネス・コミュニケーションズの事業の根幹となるi-Wellness及びGrowbaseは、通信ネットワークに依存しています。従って、自然災害や事故などにより、通信が切断された場合にはウェルネス・コミュニケーションズの営業は不可能となります。また、一時的な過負荷によってウェルネス・コミュニケーションズ又はデータセンターの通信機器が機能不全に陥ることや、外部からの不正侵入・社員の誤操作によるネットワーク障害やシステムダウンが発生する可能性があります。これらの対策として、機器障害又はシステムダウン時には、予備の機器又はシステムが作動し、サービス停止時間を最小限にとどめるように設計されております。また、24時間に1回、定期的にリモートバックアップサイトにバックアップを実施しており、システム障害によるデータの損失を極力少なくする運用が行われております。ウェルネス・コミュニケーションズでは、事故の発生やアクセスの集中にも耐えうるようにシステムの冗長化や負荷分散などのインフラ整備を継続的に行っていく所存ですが、これらの障害が生じた場合にはウェルネス・コミュニケーションズに対する訴訟や損害賠償などで、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 個人情報保護について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズが取り扱う情報は、健康診断結果を含む要配慮個人情報であることから、「情報セキュリティマネジメントシステム」を導入し、ISO/IEC 27001のISMS認証を2007年3月に取得し、JIS Q 14001を2016年2月に取得しました。情報セキュリティマネジメントシステムは、ISMSに沿う形で整備と運用をしています。ウェルネス・コミュニケーションズは、情報セキュリティ基本方針に則り、安全、安心及び顧客からの信頼の下に事業を進めるため、適切な対策を継続的に実施し、情報セキュリティレベルの向上に努めています。かかる状況下、個人情報保護に対する取り組みを一歩間違えれば、企業としての存続に影響を及ぼす大事故となりうる可能性があります。ウェルネス・コミュニケーションズとしましては、上記問題を特に重視し、以下の通りの取り組みを行っております。

 

 1. ウェルネス・コミュニケーションズで業務に従事する全ての者は、個人情報の保護に関する法令、「個人情報管理規則」、「特定個人情報管理規則」及びISMS規程である「個人情報保護方針」を遵守しております。なお、「個人情報保護方針」は外部向けにもURL:https://wellcoms.jp/privacy/ にて公開しています。さらには、JIS Q 27001に即した情報セキュリティマネジメントシステムを作成し、それに基づいてユーザーの情報を管理しており、この情報セキュリティマネジメントシステムは適宜見直し、継続的な改善を図っております。

 2. ユーザーの健康情報の管理及び維持を安全に行い、また、その情報をもとにより良い商品、サービスを提供させていただくため、利用目的を事前にお知らせしたうえで、ユーザーに関する必要最低限の情報を収集させていただいております。

  3. ユーザーの個人情報を適正に取り扱うために、事業部毎に責任者を置き、継続的に社員教育を行っております。社員教育についてはISMSの要求事項の一つであるためISMS文書の一つである「ISMSマニュアル」の中で全従業員を対象に年1回の定期的な教育実施、力量テスト(情報セキュリティに関する理解度テスト)の合格を業務従事するための必須事項とすることなどを定め、その運用と記録管理をISMS事務局で行うことにしています。

 4. ユーザーの個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん及び漏洩を防止し、安全で正確な管理に努めております。なお、アクセス制限についてもISMSの要求事項の一つであるため「アクセス管理規程」及び「データ管理規程」をISMS文書と定め、情報資産を取扱うシステムへのアクセスを管理するIDの新規発行、変更、削除、パスワードの設定、管理方法等についてルールを定めています。システムIDの発行や変更については人事総務部への申請制としており、人事総務部長の承認を必須として運用をしています。

 5. 一部のデータ処理及びサービスを外部の専門会社等に委託する場合があります。この場合、適切に個人情報を保護できることを条件として施設を選定し、ユーザーの個人情報が不適切に扱われないように機密保持に関する契約を締結し、ユーザーの個人情報保護に努めております。また、業務委託先の選定方法や管理方法等についてもISMSの要求事項の一つであるため「業務委託管理規程」にて選定基準や契約内容等を定めており、例えば取引開始時には自社で作成した基準の適合度を図る「情報セキュリティ業務委託先監査チェックシート」を用いて確認を実施することや最終的には情報セキュリティ責任者の承認を得て契約を実施することなどを規定しています。
 またISMSで運用している「内部監査」ではすべての業務委託先に対して前述のチェックシートを用いてセキュリティ管理状態の最新情報の提供を求めることにしており、経年でのセキュリティ劣化を防ぐ運用も実施しています。 

 

ウェルネス・コミュニケーションズは今後、大企業のみならず中小企業向けのサービス展開も進めており、いわゆる企業の健康関連プラットフォーム化を推し進めてまいります。従って、企業における人事情報を始めとした情報全般についても個人情報と同様に最重要情報として扱いを徹底してまいります。

 

 上記の通り、個人情報の取得・運用には細心の注意を払っておりますが、ウェルネス・コミュニケーションズからの個人情報の漏洩・流出を完全に防止できる保証は存在しません。今後何らかの理由により、ウェルネス・コミュニケーションズが保有する個人情報が社外に漏洩・流出した場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの社会的信頼の失墜、また、それにより顧客の減少、当該対象者からの損害賠償請求等が発生し、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

  ウェルネス・コミュニケーションズは、長期的な安定成長を牽引する優秀且つ多様な人材の確保・育成のため、様々な働き方において従業員パフォーマンスを最大化する環境、意欲を高めるための人事評価制度、階層別研修含めた各種研修制度を用意し、スペシャリストの育成に取り組んでおります。今後もウェルネス・コミュニケーションズ業容拡大のためには、優秀且つ多様な人材の確保、ならびに従業員の能力向上、次世代マネジメントの育成が必須と考えますが、多くの人材が退社した場合、又は、人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)自然災害発生等によるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

  ウェルネス・コミュニケーションズのネットワーク健康診断サービスにおきましては、全国の医療機関と提携し、健康診断の実施をいただいておりますが、災害等により健康診断自体が実施できない状況が発生した場合は、ウェルネス・コミュニケーションズの売上(健康診断結果報告)に影響を及ぼすため、今後の事業展開にも影響を及ぼす可能性が生じます。また、ウェルネス・コミュニケーションズは各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)を整備して、被災時でも重要な事業を継続し、早期に復旧できるよう準備を行っておりますが、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業においても取引の縮小や延期、オペレーションの縮小や停止の影響が考えられ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)感染症パンデミック発生等によるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 新型コロナウイルス感染症の流行により、ウェルネス・コミュニケーションズにおいて2020年4月~6月にかけては、受診控えが発生し、結果、ウェルネス・コミュニケーションズのネットワーク健康診断サービスの業績にも大きな影響を及ぼしました。対応策として、ウェルネス・コミュニケーションズは事業継続計画(BCP)を整備して、感染症パンデミック発生による業績への影響を最小限に抑えるよう準備をおこなっておりますが、この様に新型コロナウイルス感染症の流行をはじめとする感染症流行等、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、取引の縮小や延期、オペレーションの縮小や停止の影響が考えられ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)その他の関係会社との関係について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 SOMPOホールディングス㈱は、ウェルネス・コミュニケーションズ株式の45.9%を有し、LHP Holdings,L.P.はウェルネス・コミュニケーションズ株式の41.0%を有するその他の関係会社であります。ウェルネス・コミュニケーションズとSOMPOホールディングス㈱及びLHP Holdings,L.P.との人的関係、取引関係については、以下の通りであり、これらについて変動又は問題が生じた場合、ウェルネス・コミュニケーションズの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、筆頭株主であるSOMPOホールディングス㈱は、本書提出日現在で、ウェルネス・コミュニケーションズ発行済株式総数5,448,200株の45.9%(2,500,800株)を所有しております。同社は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。本書提出日現在においては競合する事業はありませんが、何らかの要因により同社の経営方針や事業戦略(ウェルネス・コミュニケーションズ株式の保有方針も含む。)を変更した場合、将来的に類似する事業を営まれる可能性、競合する可能性、ウェルネス・コミュニケーションズの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性、株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。なお、事前承認事項・事前協議事項は定められておりません。

 

① 人的関係について

 本書提出日現在、取締役の並木洋平氏につきましては、経営企画や事業開発等の業務を経験し、それら業務における高い知見・知識や、ウェルビーイング領域における事業開発経験をウェルネス・コミュニケーションズ経営に活かすことを目的とし、SOMPOホールディングス㈱と職務を兼任しております。なお、ウェルネス・コミュニケーションズと当該取締役との間に取引関係はありません。

 本書提出日現在、ウェルネス・コミュニケーションズ従業員のうち、SOMPOホールディングス㈱及びLHP Holdings,L.P.からの出向者はおりません。ただし、SOMPOホールディングス㈱の子会社であるSOMPOひまわり生命保険㈱から1名受け入れており、現在主要サービスであるGrowbaseの運営を行うヘルスケアクラウド本部で本部長代行を担っております。

 

② 取引関係について

 ウェルネス・コミュニケーションズは、SOMPOホールディングス㈱並びにグループ会社と取引を行っております。ウェルネス・コミュニケーションズとの取引に関しては、ウェルネス・コミュニケーションズの独立性確保の観点から、関連当事者取引等に該当する取引を行う場合は、関連当事者取引規程に則り、取引の合理性、条件の妥当性等を慎重に検討した上で、取締役会の承認を得ることとしており、取引の適法性を確保する体制を築いております。

 本書提出日現在、LHP Holdings,L.P.との取引はありません。

 

 

(7)市場動向について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズの健診ソリューション事業においては、近年の企業における生産性向上や法改正対応、健康経営の高まりにより、企業側の健診代行事業者への委託は一定程度増加傾向にあるものと想定しておりますが、他方、健康保険組合においては、医療費高騰による財政悪化の影響もあり、健康診断事業の見直しや項目の見直し等、厳しい経営環境となっております。今後、これら健康保険組合の財政悪化に伴い顧客である健康保険組合が解散となった場合には、当該健康保険組合ならびに所属する企業についても同時に失う可能性があり、ウェルネス・コミュニケーションズ業績に影響を及ぼす可能性があります。また、近年厚生労働省にて議論がされております「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」や、健康診断情報の統一化などの議論において、これらの検討が進む際には、ウェルネス・コミュニケーションズのサービスの優位性が損なわれることになるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 他方、健康管理クラウド事業においては、企業の働き方の変革、在宅ワーク等も踏まえたデジタルシフト(HRテック)が加速しており、Growbaseの市場動向としては追い風となっております。一方で、上記市場動向を受けて、様々な企業が産業保健分野に進出し健康管理システムの提供を始めており、市場環境の激化が予想されます。これら市場環境の激化により、製品の優位性が損なわれた際には、期待通りの収益があがらず事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクへの対応策として情報の収集を第一とし、ウェルネス・コミュニケーションズでは市場のコーポレート部門においてツールを使用した企業情報・業界動向の調査を行っております。

 

(8)競合状況について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

  ウェルネス・コミュニケーションズの競合他社において、技術開発力・価格競争力・営業力等に関して競合他社が優位な場合には、その優位性を活かしてサービスや商品の提供が行われる可能性があります。その際には、ウェルネス・コミュニケーションズが販売競争で劣勢に立たされ、ウェルネス・コミュニケーションズの期待通りにサービス・商品を提供できない、又は顧客を維持・獲得できないことも考えられます。ウェルネス・コミュニケーションズでは、引き続きデジタルマーケティングの活用や代理店との連携等を用いた営業及び顧客のニーズを汲んだサービスの開発・提供を進める方針ではありますが、競合企業がより優れたサービスを提供した場合、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 上記でも記載の通り、健康管理クラウド事業は、企業の産業保健担当者や健康保険組合向けの健康管理システムを提供しておりますが、昨今のHRテックの流れや規制改革等を受け、健康管理分野においては様々なシステムやツールが開発されております。ウェルネス・コミュニケーションズでは、顧客の要望に柔軟に対応するべく、最新のテクノロジーの知見やノウハウの蓄積を積極的に推進していく方針ではありますが、今後、これらの技術革新により、製品の優位性が損なわれた際には、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)業績の季節変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 健診ソリューション事業におきましては、例年、健康診断の受診者数が夏から増加する傾向にあり、秋にピークに達した受診者数は、春にかけて減少いたします。そのため、健康診断結果の引渡しが完了した時点で収益を認識している当事業では、第1四半期の売上高及び営業利益が他の四半期と比較して低くなる傾向にあり、ウェルネス・コミュニケーションズの業績も同様でありますが、顧客毎の健康診断時期の前倒しや効果的な受診勧奨を行うことで、平準化を図っております。

 また、健康管理クラウド事業は一部新規顧客のサービス開始が年度初めになることが多く、第4四半期に開発が伴うことがありますが、サービス開始後は月額課金であるため、一定額が毎月計上され、健診ソリューション事業にみられる業績の季節変動はありません。

 

2024年3月期健診ソリューション事業の業績推移は以下の通りであります。

                  (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

1,682

3,576

3,812

2,786

営業利益又は営業損失(△)

△115

167

201

23

 

 

 

(11)法的規制の変更リスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 ウェルネス・コミュニケーションズの健診ソリューション事業は、顧客が行う健康診断の予約・精算代行・健康診断結果一元化等のサービスを提供するものであり、また、健康管理クラウド事業は企業の健康管理を支援するシステム提供を行うものとなっております。これら事業に関連する法的規制としては、健康保険法、健康増進法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律、国民健康保険法等があります。ただし、あくまでウェルネス・コミュニケーションズは、顧客企業・健康保険組合が当該法律を受けて行う健康診断に関する各種支援を行う立場、ないしは健康管理支援システムの提供を行う立場にあり、当該法的規制に関し直接の責任を有するものではありません。また、当該事業に関しての許認可等もありません。しかしながら、これら関係法令が変更されたことにより、顧客である企業や健康保険組合側の運用等が変更になった場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 同様にウェルネス・コミュニケーションズでは、顧客企業の従業員・被扶養者に関する個人情報(氏名、生年月日、住所、所属、連絡先等)、健康診断結果情報などの機微情報を取り扱うため、個人情報保護法等の遵守が必要となります。上記、関連法規制(健康保険法、健康増進法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律、国民健康保険法、個人情報保護法)が変更された場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、ウェルネス・コミュニケーションズでは、PET関連事業も行っておりますが、同事業においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(いわゆる薬機法)に基づく、高度管理医療機器等販売業・貸与業許可により事業を行っております。従って、同法律が変更された場合には、PET関連事業そのものの事業推進可否に関係してまいりますため、ウェルネス・コミュニケーションズの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 これらの法的規制の変更リスクの対策として、ウェルネス・コミュニケーションズでは法令リストを作成しており、各部署において関連する法令動向を各種媒体(新聞・業界紙・Web)を通じて適時把握することに努め、全社的に原則半期に1回法令リストの見直し・更新を行っております。

 

(12)新規事業への投資に係るリスクについて(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、ネットワーク健康診断サービスやGrowbase等の大企業向け健康管理支援事業にて培った経験を活用し、「企業と人を元気にする。」新たなサービスやパッケージの開発等を検討しており、継続的なシステム投資を行っております。

 これら新規事業の立ち上げに際しては、投資リスクを抑えるため、事業計画の妥当性を十分に検討した上で投資を行っております。また、事業の立ち上げ後は、事業計画の進捗状況の把握に努め、必要に応じて事業計画の見直しや社内体制の整備・強化を行っております。これまでのところ、ウェルネス・コミュニケーションズ業績において重大な影響を及ぼすような事象は発生しておりませんが、今後、一定規模の投資を実施する可能性もあり、対象の事業が期待した収益を生まない場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)代表取締役への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 現在の代表取締役社長である松田泰秀は、設立以来ウェルネス・コミュニケーションズに携わり、職域における健康管理業務、ならびに健康診断業界における高い知見を有しており、広い視野と経験に基づいた経営全般の提言を得ております。また、今日に至るまで事業の推進・拡大、人材の採用、事業戦略立案など重要な役割を果たしており、今後ともこの状態は継続するものと考えられます。ウェルネス・コミュニケーションズでは、執行役員の拡充により代表取締役からの権限委譲を進める他、経営会議などの合議制による意思決定体制を整えて、当該リスクへの対策を講じておりますが、何らかの理由により、代表取締役の業務執行が困難になった場合には、ウェルネス・コミュニケーションズの事業推進に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:不明、影響度:小)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、ウェルネス・コミュニケーションズ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。一方で、役員及び従業員に対するインセンティブの一つであり、発行予定数も限られていることから、希薄化への影響は限定的であります。

 なお、本書提出日現在でこれらの新株予約権による潜在株式数(自己新株予約権を含む)は443,000株であり、発行済株式総数5,448,200株の8.1%に相当しております。 

 

(15)ウェルネス・コミュニケーションズ株式の流通性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 ウェルネス・コミュニケーションズは、東京証券取引所グロース市場への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによってウェルネス・コミュニケーションズ株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所が上場維持基準として定める流通株式比率25%の水準に近接していることから、当該上場維持基準に抵触するリスクがあります。今後は、ウェルネス・コミュニケーションズの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、大株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針であります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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