インフキュリオン(438a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


インフキュリオン(438a)の株価チャート インフキュリオン(438a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

(1)インフキュリオングループの概況

インフキュリオン及び連結子会社3社(以下、総称して「インフキュリオングループ」という。)は、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げ、消費者向け(BtoC)から事業者間(BtoB)まで、あらゆる産業の事業者や金融機関に決済・金融機能を実装することにより、経済活動の変革を支える「決済イネーブラー」(注1)として事業を展開しております。

大手金融機関から新たにフィンテック(注2)市場に参入する新興企業まで、あらゆる事業者のフィンテック・パートナーとして、次世代型の決済システムを中心とした金融サービスを機能単位で柔軟に利用するためのプラットフォームを提供するとともに、インフキュリオンプラットフォームの導入支援を含む決済・金融領域全般に関するコンサルティングサービスを提供しております。これまで国内の金融機関や大手企業で用いられてきた決済・金融基盤よりも柔軟性が高くコスト効率に優れた次世代型のインフラ提供者として、決済・金融領域を起点に、従来よりも効率的で利便性の高い社会の実現に貢献することを目指しております。

 

インフキュリオングループが事業を展開する決済・金融領域では、コロナ禍に端を発した社会構造の変革やデジタル化・キャッシュレス化の潮流により、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。また、国策による電子帳簿保存法の改正、インボイス制度開始のほか、近年のAI技術のめざましい発展によって企業のバックオフィス業務は定常業務の省力化やペーパーレス化をはじめとした効率化が急速に進んでおり、これらを実現する業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。

 

インフキュリオングループは創業以来、このような事業者の課題解決に向けて、決済手段の多様化や効率化を実現するプラットフォームの拡充に取り組んでまいりました。インフキュリオングループが提供するプラットフォームはクラウド上で構築されており、多様な外部システムと連携可能な拡張性に加えて、初期導入時及びメンテナンスにおけるコストメリットを有するという特徴があります。これにより現在では、消費者向け決済及び事業者間決済の双方にプラットフォームを提供する総合型の決済イネーブラーとしての事業基盤を築いております。

 

2024年8月には、事業者間決済領域において、事業者の経営改革やデジタル・トランスフォーメーション(以下、「DX」という。)を総合的に支援するプラットフォームの構築を目指し、株式会社三井住友銀行及び三井住友カード株式会社(以下、総称して「SMBCグループ」という。)との資本業務提携契約を締結し、2025年4月には、SMBCグループが提供する法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk(トランク)」の開発への参画を発表いたしました。インフキュリオングループは、SMBCグループへの決済領域における専門的なナレッジ及びノウハウの提供のほか、AIを活用した先進的な決済基盤の開発を担うとともに、インフキュリオングループが持つ次世代カード発行プラットフォーム及び請求書支払いプラットフォームをSMBCグループの法人カードとシームレスに融合することで、決済・金融の枠にとどまらないソリューションを提供するなど、企業の経営を多角的に支援するプラットフォームの構築に取り組んでおります。

 

このようにインフキュリオングループは、重厚なシステムを基盤に拡大してきた日本の決済・金融業界を変革し得る、優れた拡張性や連携性を有する軽量な決済プラットフォームを提供することで成長を続けてまいりました。あらゆる事業者を支える決済イネーブラーとして、日本全体の産業・サービスの競争力向上に貢献してまいります。

 

インフキュリオングループは、以下の3つの事業セグメントに区分し事業運営しております。以下に示す区分は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

セグメント名

事業内容

① ペイメントプラットフォーム事業

・国際ブランド(注3)カード発行プラットフォーム

・請求書のカード支払いプラットフォーム

・金融機関や大手企業におけるオリジナルPay(注4)を

 はじめとした自社決済手段構築プラットフォーム

② マーチャントプラットフォーム事業

・加盟店とカード会社等とを接続するための決済端末、

 決済アプリ、ゲートウェイの提供プラットフォーム

③ コンサルティング事業

・金融機関や大手企業に対する決済・金融領域における

 コンサルティングサービス

 

(2)事業及びサービスの概要

インフキュリオングループの事業は、事業持株会社であるインフキュリオンが中心となり、グループシナジーを追求しながら各事業を展開しております。各事業の内容は以下のとおりであります。

 

① ペイメントプラットフォーム事業

金融機関や事業者のサービスに、クラウド上で構築されたインフキュリオングループの決済・金融ソリューションをAPIで接続し、機能を組み込むことにより、各社サービスへクレジットカード発行機能や、アプリへのキャッシュレス決済機能の搭載など、先進的な組込型のファイナンス機能をオープンプラットフォーム上で提供しております。

本事業は、株式会社インフキュリオン及び株式会社ネストエッグが提供しております。

 

 

(ⅰ)Wallet Station

「Wallet Station」は、金融機関自身のデジタル化やリテール企業におけるオリジナルPayをはじめとした自社決済手段の構築をサポートするためのプラットフォームを提供しております。金融機関においてはWallet Stationを活用することで、自身のデジタル化のみに留まらず、金融機関の顧客である事業会社、系列金融機関などに対するウォレット機能を提供することができます。また、導入企業は、二次元コード決済や個人間送金のみならず、会員管理からクーポンやポイントの発行まで行うことができるため、Wallet Stationを通じて自社の顧客経済圏を構築することが可能となります。

 

(ⅱ)Xard

「Xard」は、フィンテック企業、金融機関、SaaS(注5)事業者、WEBサービス事業者など、国際ブランドカードの発行ニーズがある法人顧客に対して、自社オリジナルの国際ブランドカード発行の基盤となるプラットフォームを提供しております。国際ブランドカードの発行においては、カード発行ライセンスの取得、プリペイドバリューとしてチャージされた残高の管理や明細照会、カード発行や決済に関わるミッションクリティカルなシステムプロセシング等、必要となるプロセスが多岐にわたりますが、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、国際ブランドカード発行プロセスに掛かる一連のプロセスやコストを大きく低減させることができます。

 

(ⅲ)Winvoice

「Winvoice」は、法人間における請求書払いのクレジットカード決済を実現するために必要な業務プロセス、システムをワンストップで提供する請求書支払いプラットフォームを提供しております。導入企業は、経費精算や会計システムをはじめとした提供サービスに、Winvoiceを利用して機能を拡張することで低価格かつ迅速に請求書カード払いサービスを提供することができます。また、Winvoiceの利用企業は、請求書をクレジットカードにより支払うことによって、30日間から60日間支払いサイクルを延長できるほか、請求書をデジタルプラットフォーム上で一元管理することにより、請求書管理に要する業務負担を軽減することが可能となります。

 

 

そのほか、ペイメントプラットフォーム事業として以下のサービスを提供しております。

サービス名

サービス概要

CharG

自社オリジナルPayや地域通貨などに、銀行口座からのリアルタイムチャージやコンビニATMチャージなど希望にあわせた新たなチャージ手段を低コストかつ短期間で追加構築できる連携サービス

finbee

個人又はグループの貯金をサポートする自動貯金アプリサービス

ユーザーが貯金目標と貯金ルールを設定することで、ゲーム感覚で自動的に銀行口座からお金が貯金される

 

② マーチャントプラットフォーム事業

マーチャントプラットフォーム事業では、キャッシュレス社会の拡大に必要不可欠な要素である店舗のキャッシュレス化・デジタル化を推進するためのプラットフォームを展開しております。具体的には、あらゆるキャッシュレス手段を単一デバイスで解決するマルチ決済機能に加えて、継続課金業務や店頭オペレーションのデジタル化を実現する端末の提供、加盟店におけるキャッシュレス決済の処理等を行うアクワイアリングシステム(注6)の開発、運営などを行っております。

本事業は、株式会社インフキュリオン及び株式会社リンク・プロセシングが提供しております。

 

 

マーチャントプラットフォーム事業の主要プロダクトである「Anywhere」は、加盟店とカード会社等を接続するために必要な決済端末、決済アプリ、ゲートウェイまでをワンストップで提供しております。Anywhereには、加盟店のタブレットやスマートフォンと組み合わせて決済端末化する簡易型決済端末(mPOS)と、単体で利用可能な決済専用端末(EFT-POS)があり、加盟店の業種・業態・規模に応じて最適な決済端末を選択できるラインナップを揃えております。2025年8月時点において、国内で利用されるキャッシュレス決済手段39種に対応しており、POSレジ、顧客管理、予算管理といった他のAndroidアプリを搭載することで、加盟店のオペレーションを効率化する業務端末となっております。また、アプリなどフロントエンドシステムの開発のみならず、決済情報処理センターなどバックエンドシステムの開発及び24時間365日対応のヘルプデスクも含めて運用を行い、加盟店向けに安心・安全な決済処理サービスを提供しております。

2025年3月末現在、保険業界における保険外交員の決済端末やタクシーの車載タブレット用の端末等への導入が進んでおり、インフキュリオン決済情報処理センター接続の稼働決済端末ID数は16万件以上となっております。

 

③ コンサルティング事業

インフキュリオングループは創業以来、金融機関や大手企業に対する決済・金融領域におけるコンサルティングサービスを提供しております。決済・金融領域と先端テクノロジーに精通した事業開発のプロフェッショナルチームにより、新規事業開発時の課題抽出から企画立案、実行までの各フェーズにおける支援を行うとともに、金融機関や大手企業と共創して社会のデジタル化の推進に取り組んでおります。また、コンサルティングサービスを起点として、ペイメントプラットフォーム事業及びマーチャントプラットフォーム事業で提供するプロダクトの導入に繋がる入口としても機能するなど、コンサルティングとプロダクト間におけるグループシナジーを発揮しております。

本事業は、株式会社インフキュリオンコン サルティングが提供しております。

 

(3)売上高の区分

インフキュリオングループの売上高は、サービス導入時や決済端末の販売に伴って受け取る「フロー収入」、固定額を定期的に受け取る月額基本料、及び決済処理金額等に応じて課金される従量型の収入で構成される「ストック収入」、コンサルティングサービスの対価として受け取る「コンサルティング収入」に区分されます。

2025年3月期時点で、フロー収入が連結売上高の約47%を占めておりますが、今後の業績成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において提供する各プロダクトは決済処理金額等の増加に伴いストック収入の割合が逓増する収益構造であるため、業容の拡大に伴う継続的な収益成長を見込んでおります。

コンサルティング収入は、80%以上が既存顧客からの12か月以内の継続的な受注に起因する売上となっており、ストック収入とあわせて、インフキュリオングループにおける安定的な収益基盤として位置付けております。

 

事業セグメント

売上高区分

主な内容

ペイメント

プラットフォーム事業

フロー収入

・初期導入時の開発等に伴う収入

・追加開発及び機能強化等の支援に伴う収入

ストック収入

・基本機能の使用対価として固定額で受領する基本料収入

・決済処理金額または件数に応じて課金する従量型収入

マーチャント

プラットフォーム事業

フロー収入

・決済端末の販売によって得られる収入

・端末の実用化に向けた開発に伴う収入

・その他システム開発に伴う収入

ストック収入

・基本機能の使用対価として固定額で受領する基本料収入

・決済処理金額または件数に応じて課金する従量型収入

コンサルティング事業

コンサルティング収入

・コンサルティングサービスの対価として顧客から受領

 する収入

 

(4)事業系統図

 インフキュリオングループの事業系統図は、次の通りであります。

 

(注1)イネーブラー(Enabler)

他社のビジネスが成長する上で不可欠なインフラ基盤の一部として機能し、後方支援をする立場・企業

(注2)フィンテック(FinTech)

金融を意味するファイナンス(Finance)と技術を意味するテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語。金融と情報技術を融合した金融工学分野の技術革新や関連するビジネス

(注3)国際ブランド

VISA、JCB、Mastercardなど世界中の国や地域で利用できるクレジットカードのブランド

(注4)オリジナルPay

スマートフォンやタブレットを用いた事業者独自の電子決済サービス

(注5)SaaS(Software as a Service)

インターネットを経由してソフトウエアを利用するサービス

(注6)アクワイアリングシステム

クレジットカードやデビットカードによる決済を受け付け、加盟店に売上金を支払うまでの処理を行うシステム

 

 


有価証券届出書の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、インフキュリオングループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

インフキュリオングループは、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げるとともに、その先で実現したい未来を「あしたの世界に、いくつもの自由を。」というビジョンに込めております。あらゆる産業・事業者のフィンテック・パートナーとして、全ての商流に関わる決済を起点にシームレスな社会を実現し、これまで不可能であったビジネスの実現を支援するとともに、様々なサービスと金融機能を繋ぐことで、より豊かで利便性の高い、スマートで持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。

これらの経営方針に基づき、経営戦略及び諸施策を推進することで、インフキュリオングループの中長期的な株主価値及び企業価値の最大化に努めております。

 

(2)経営環境

インフキュリオングループを取り巻く事業環境は、近年、インフキュリオングループを含めたフィンテック関連の事業者が台頭し、ITを活用することで、既存の金融機関が提供し得ない革新的な金融サービスを世の中に提供する動きが活発化しております。また、コロナ禍に端を発した社会構造の変革や、デジタル化及びキャッシュレス化の潮流によって、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。

 

決済・金融領域の法整備に目を向けると、欧米を中心に、政府主導でフィンテック事業者に対し金融機関の基幹システムへのアクセスを開放する動きが加速しております。日本でも2017年5月成立の改正銀行法により、銀行が外部事業者との安全なデータ連携のためにAPIを公開することが努力義務化されたほか、ユーザーからの委託で金融機関のシステムに接続できる業者を「電子決済等代行業者」として金融庁に登録する制度が制定されました。加えて、2022年1月に改正電子帳簿保存法、2023年10月にインボイス制度が施行されたほか、2026年には手形・小切手の全面的な電子化の方針が示されるなど、政府主導による金融領域のデジタル化が急速に進んでおり、企業のバックオフィスは業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。

 

① 消費者向け(BtoC)決済市場

およそ330兆円(注1)とされるBtoC決済市場では、2018年4月公表の「キャッシュレス・ビジョン」にて示された政府目標であるキャッシュレス比率40%が1年前倒しで達成されるなど(注2)、日本におけるキャッシュレスの普及は新たなステージへと突入しております。しかしながら、主要諸外国と比較しその比率は依然として低く(注3)、将来的な政府目標である80%(注4)への到達に向けては、引き続き官民が一体となり日本のキャッシュレス社会実現に向けた環境整備が推し進められるものと認識しております。

また、日本国民一人あたりが保有するキャッシュレス決済手段の数は、主要諸外国と比べて突出して多いことが特徴として挙げられており(注3)、多様な決済手段を選好する国民性にあわせた事業者の対応も急速に進むことが見込まれます。

 

② 事業者間(BtoB)決済市場

インフキュリオングループが成長領域として軸足を置くBtoB決済市場において、2023年の市場規模は1,163兆円(注5)とされておりますが、依然として銀行振込による支払いが中心であり、日本国内の法人カード利用率は米国の7%(注6)に対し10分の1程度(注7)と広大な拡大余地が見込まれる市場であると捉えております。

昨今、大企業においては、会計ソフトや経費精算システムと連携させることで業務効率化が実現されるコーポレートカードの導入が進んでいるほか(注7)、インフキュリオンプロダクト導入企業のサービス利用者であり国内法人数の99.7%を占めるといわれる中小企業(注8)では、支払いサイトが最大60日程度延長できることにより毎月の資金繰り改善に繋がるパーチェシングカード(注9)の利用が増加しております(注7)。これらの利便性の向上から事業者間におけるクレジットカード払いが急速に普及することに伴い、インフキュリオングループのプロダクトに対する需要は今後も継続的に高まるものと考えております。

 

③ クレジットカード業界の構造

クレジットカードは、現代のキャッシュレス社会において欠かせない決済手段であり、消費者と企業の双方にとって利便性の高い経済インフラとなっております。その一方で、業界の構造には様々な課題が内在しており、これらは業界全体の持続的な成長やユーザー体験の向上を阻害する要因となっております。クレジットカード取引は主に下記の主体によって成り立っております。

消費者(カード会員)

カードを使用して商品やサービスの支払いを行う消費者

事業者(加盟店)

カードによる支払いを受け入れる小売業者・サービス提供者

イシュア

カード会員にクレジットカードを発行する金融機関・カード会社

アクワイアラ

加盟店と契約し、決済処理を行う決済代行業者や銀行

国際ブランド

Visa、Mastercard、JCBなど、決済ネットワークを提供するブランド運営会社

 

<クレジットカード業界の構造(5パーティーモデル)>

加盟店は、カード決済金額に応じた一定の手数料をアクワイアラに支払いますが、この手数料の多くはイシュアへ分配される仕組みとなっており、加盟店にとっては大きな負担となっていることが経済産業省により指摘されております(注10)。また、イシュアはカード利用を促進するため、ポイント還元やキャッシュバックなどのインセンティブ施策を強化しており、これにより消費者(カード会員)の利用意欲は高まりますが、そのコストは最終的に加盟店が負担する手数料に含まれております。

現在、決済業界ではデジタル化やリアルタイム決済、バイオメトリクス認証など新技術の導入が進んでおりますが、それぞれが独自のシステムを維持していることにより、システムの相互運用性が低く、全体最適なサービス開発が難しい状況となっていると考えられます。特に、伝統的なイシュアやアクワイアラは、旧来技術によるシステムを用いているケースが多く、コスト上の問題に加え、新たなサービスとの競争において後れを取る例も見られます。

インフキュリオングループでは、このような主要なプレーヤーが複雑に連携しながら機能するクレジットカード業界の構造的な課題を打破し、決済をシームレスに繋げるプラットフォームの提供に取り組んでおります。

 

(注1)内閣府「国民経済計算」民間最終支出(2024年度)

(注2)経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2025年3月)

(注3)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2024」

(注4)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」

(注5)経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より、「BtoB-EC市場規模の業種別内訳」における2023年 EC市場規模合計額を、同年の合計(その他を除く)EC化率にて除して算出

(注6)Insider Intelligence | eMarketer (Forecast, Aug 2023)

(注7)矢野経済研究所「国内キャッシュレス決済市場の実態と将来予測(2024年版)」

(注8)総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」

(注9)パーチェシングカード

企業における固定費や企業間の購買活動の決済に特化したカード

(注10)経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」とりまとめ

 

(3)経営戦略等

インフキュリオングループは次のような事業上の優位性を有しており、これらの優位性を踏まえて、中長期的な経営戦略を策定しております。

 

① イネーブラー型のビジネスモデル

キャッシュレス化の急速な進展により、国内ではカードやウォレット、コード決済など、様々な決済サービスを提供する事業者が勃興しておりますが、インフキュリオングループは、そのような事業者を含め決済に関わるあらゆる企業に最先端の決済基盤や技術を提供するイネーブラーとしてのポジションを築いております。産業の垣根を超えて、あらゆる事業者や金融機関へ広くインフキュリオングループのプロダクトを提供することができるビジネスモデルにより、BtoC・BtoB双方の決済市場すべてが事業領域としてリーチできることから、決済市場全体の成長がインフキュリオングループの成長に繋がる特徴がございます。

 

② 決済全域を一気通貫でカバーする決済プラットフォーム

前述のクレジットカード業界の構造で例示したとおり、日本における決済の仕組みは役割が細分化された複雑な業界構造となっております。インフキュリオングループは、カード発行をはじめとしたイシュイング(注11)の領域から、加盟店管理や決済代行といったアクワイアリング(注12)の領域まで、決済に関わるすべての機能を一気通貫で提供しております。決済全域をカバーするオープンプラットフォームにより、様々な事業者が介在する従来の決済システムに比べて高い価格優位性を有するほか、これまでの分断されたシステム構造では実現し得なかった一元的なデータ蓄積が可能となる為、導入企業は、マーケティング活動に必要なデータを適切に活用いただくことができます。

 

③ フルクラウド・APIベースのオープンプラットフォーム

従来の決済システムは、決済手段ごとに縦割りで設計・開発されていたことにより、システムの維持管理や機能拡張に係る費用は莫大な金額となっておりました。インフキュリオングループが提供するオープンプラットフォームは、フルクラウドかつAPIベースで構築していることから、導入事業者が必要な機能を、低コストかつ短納期で実装することができるほか、追加の機能実装やアップデートも容易に実施できる拡張性を有しております。これにより大手金融機関であっても低コストかつスピーディーな商品拡張が可能となり利用者の利便性を向上することができます。加えて、これまでシステム開発等に要する費用の観点で、決済・金融事業への参入は資本力を持つ大手金融機関や大企業に限られておりましたが、インフキュリオングループが提供するオープンプラットフォームにより、新興企業や中堅中小事業者の決済・金融事業への参入障壁を大きく低下することができる為、キャッシュレス決済市場の活性化に繋がっております。

 

④ コンサルティングとプロダクトとの両輪による顧客基盤の拡大

「キャッシュレス」「フィンテック」といった言葉が生まれる以前の2006年から、インフキュリオングループは決済・金融領域に特化したコンサルティングサービスを提供し、金融機関や大手企業の課題解決に取り組んでまいりました。コンサルティングサービスを通じて培った知見や深い専門性は、現在ではインフキュリオングループのコアコンピタンスとしてプロダクト開発にも強く活かされております。

決済・金融領域のコンサルティング・ファームとして長年積み上げた実績により、コンサルティングサービスを起点として決済システムの導入や事業参入に関するご相談をいただくことが多々ありますが、そのなかでインフキュリオングループのプロダクト導入に至るケースが多くあるほか、プロダクト導入後に、コンサルティング側に更なるご要望をいただき、そのフィードバックによりプロダクトの継続的な改善・進化に繋げる好循環を実現しております。このように、コンサルティングとプロダクトが連動することで、広告宣伝費を低い水準で維持しながらも、持続的に顧客基盤を拡大し、着実に信頼と取引拡大を実現する成長モデルを確立しております。

 

以上の優位性を踏まえたインフキュリオングループの経営戦略は以下のとおりです。

 

① 全方位アプローチによる顧客基盤の拡大

現在、インフキュリオングループの決済プラットフォームは、新たに決済・金融領域に参入しようとする会計システムや経費精算システムをはじめとしたSaaS企業を中心に導入が進んでおります。加えて、すでに膨大な顧客基盤を有する大手企業や従来の金融システムを運用する金融機関においても、柔軟で拡張性が高いインフキュリオングループのプラットフォーム導入が進んでおり、いずれも今後の成長ドライバーになると見込んでおります。

導入先であるSaaS企業を中心としたインフキュリオンプラットフォームの決済処理金額(BtoB GTV)は、2023年3月期から2025年3月期にかけての年平均成長率が150%以上と急速に増加しているほか、ペイメントプラットフォーム利用企業数も2023年3月末から2025年3月末にかけて2.5倍以上に増加するなど高成長を実現しております。インフキュリオングループでは、今後も提供するサービス領域や機能の拡張に継続的に取り組むことにより、これまで取り込めていなかった事業者の需要も満たし導入企業の拡大を進めるとともに、導入先であるSaaS企業自体の高い成長をドライバーにインフキュリオングループの成長に繋げてまいります。

大手企業や金融機関においては、エンドユーザーによる便利な決済・金融サービスを受けたいというニーズが高まる一方、従来のシステムでは柔軟性の欠如や大規模開発の必要性から、ニーズへの対応が困難になっているという課題が顕在化しており、インフキュリオンプロダクトの導入に関する相談が増加しております。この要望に対し、大手企業特有のニーズである導入時におけるプロジェクトマネジメント、品質管理、リソース配分などを担うインテグレーション機能を強化し、顧客におけるインフキュリオンプロダクトの組み込みを支援するとともに、既存システムとインフキュリオンプロダクトの連携を実現する懸け橋となることで、大手企業や金融機関への導入を進めてまいります。

 

② サービス・機能の領域拡張によるプラットフォーム付加価値の向上

クレジットカードを発行する場合、カード発行ライセンスの取得や、カード発行・決済に関するミッションクリティカルなシステムプロセシング、その他残高管理、明細照会等、必要となる業務が多岐にわたります。インフキュリオングループの主力プロダクトの一つであるXardでは、SaaS企業や金融機関など、クレジットカードの発行ニーズがある事業者に対して、国際ブランドカードの発行を実現するプラットフォームを提供しており、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、クレジットカード発行に関連する業務やコストを大きく低減させることが可能となります。

現状では、プロセシング基盤、金融機能、オペレーション領域におけるコアとなる機能を提供しておりますが、一方で、イシュア固有の金融業務や、AIを活用した業務等、更なる高機能化及び領域拡張の余地があると考えております。また、足もとではAIによる付加機能として、クレジットカード決済における不正利用の検知、与信の付与及び審査などの機能追加、並びにクレジットカードに関連するオペレーションの自動化及び効率化などにAI技術の活用を進めており、これらの早期実装に向けて取り組んでおります。

こうした新たな価値創造を通じてイシュイング領域の機能をワンストップで提供することにより、付加価値を通じた収益性の向上と新たな顧客層の獲得を実現するとともに、進化し続けるカード基盤による顧客満足とエンゲージメントの向上を目指してまいります。

 

③ SMBCグループとの共同事業推進

インフキュリオングループは2024年にSMBCグループとの資本業務提携を行い、BtoB決済・BtoC決済領域における共同事業を開始、2025年4月には法人向けプラットフォーム「Trunk」を共同で発表し、中小企業を対象に、法人口座、カード、請求書発行、ファクタリング、経理業務の効率化等を統合したサービスを開始しております。

インフキュリオングループは「Trunk」の中核的機能を担うとともに、Xard、Winvoiceといったプロダクトを「Trunk」上で提供していく予定であり、今後は「Trunk」の拡大がインフキュリオングループの成長に大きく寄与するものと見込んでおります。SMBCグループは「Trunk」の目標として、リリースから3年間で30万口座、預金3兆円の獲得を掲げており、インフキュリオングループにおいてもその達成に向けて強固なアライアンス関係を構築し、SMBCグループとの事業共創を実現してまいります。

 

(注11)イシュイング

ユーザーに対するクレジットカードの発行のほか、カードの引き落とし情報及び利用状況の管理、利用明細の発行、請求などを行う業務

(注12)アクワイアリング

キャッシュレス決済における取引処理のほか、加盟店の審査及び管理、支払取次ぎなどを行う業務

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

重要な対処すべき課題として以下の事項に取り組んでまいります。

 

① ストック収入の積み上げによる収益基盤の強化

インフキュリオングループは、長期的な企業価値の向上には安定した収益基盤の強化が不可欠であると認識しており、システム開発及びプロダクト導入時の対価であるフロー収入を確保しつつ、インフキュリオングループのプロダクトが継続的に利用されることで将来にわたるストック収入が積み上がる収益構造を構築しております。

2025年3月期現在における連結売上高のうちフロー収入が5割程度を占めておりますが、ペイメントプラットフォーム事業におけるプロダクトを中心とした決済処理金額の積み上げに注力することにより、従量型で得られるストック収入の拡大を図るとともに、各プロダクトにおける機能拡張やサービス領域の拡大による付加価値の向上に取り組み、売上の高成長の実現と収益性の向上を目指してまいります。

 

② 優秀な人材の確保

インフキュリオングループでは、これまでにない新たなサービスを社会に提供するため、優秀な人材を採用し育成していくことが重要な課題であると認識しており、採用力の強化と従業員のモチベーション向上に向けた体制整備、仕組み作りを続けております。今後も継続的に人材採用と育成に対する投資を継続し、強固な事業基盤を確立することを目指してまいります。

 

③ 社会基盤に資する安定したサービスの提供

インフキュリオングループの提供するサービスは、社会インフラとしての重要性が増しており、システム障害発生などによるサービスの停止、遅延が様々な利用者に影響を与える可能性があります。インフキュリオングループはその役割の重要性に鑑み、システムの安定運用を重要課題と捉え、更なるサービス向上及び基盤強化を念頭にビジネスを遂行してまいります。

 

④ 情報管理の更なる強化

クレジットカードの不正使用、オンラインアカウントの乗っ取りなどが年々増加しており、キャッシュレス決済に関するセキュリティ問題への注目が集まっております。インフキュリオングループは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら万全なセキュリティを確保すべく、様々な手段及び対策の検討を行っております。情報漏洩をはじめとした情報セキュリティリスクを低減するため、リスク管理態勢の強化を目的に、必要とされる事業領域において、ISO/IEC 27001:2013(国内規格 JIS Q 27001:2014)への適合認証を取得し、情報セキュリティマネジメントシステムの適正な運用を行っております。更に、国際クレジットカードブランド5社が共同で策定したPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)基準にも、必要とされる事業領域において認証を取得しております。今後もセキュリティ強化に重点的に取り組んでまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

インフキュリオングループは、企業価値を高めるため、株式会社インフキュリオンを中核として経営戦略を立案し、グループ内でのシナジー効果の追求、事業運営の効率化、子会社に対する管理・監督機能を適正かつ有効に発揮すべく、今後もグループの業務や組織運営、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。そして企業の社会的責任の高まりに継続的にこたえ、意思決定の透明性・公正性確保と企業経営の効率性向上に注力していくために、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの充実を図ってまいります。

 

⑥ 財務基盤の強化

インフキュリオングループは2025年3月期に単年度黒字化し、今後も継続的な利益成長を見込んでおりますが、事業成長を更に加速させる上では、既存プロダクトの機能拡張や新規事業開発などの成長投資のほか、事業基盤を支える人材の採用、事業拡大に伴う運転資金など、一定の資金需要が生じることが考えられます。インフキュリオングループでは、収益性の向上を重視したキャピタルアロケーションを実施するとともに、最適な資本構成を踏まえた外部調達も検討し、財務基盤の強化を進めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

インフキュリオングループは、売上高、売上総利益における成長率に加え、EBITDAを経営上の重要な指標として位置付けております。インフキュリオングループの中長期的な企業価値を牽引する各プロダクトは、立ち上げのフェーズから、事業として軌道に乗り成長フェーズへと移行しておりますが、今後のより高い成長の実現に向けては更なる機能拡張及び利便性の向上等を企図した継続的なシステム開発が必要不可欠であると考えております。今後、このような成長投資に伴う減価償却費の増加が見込まれることから、インフキュリオングループの収益性及び現金創出力をより適切に把握することを目的として、減価償却費による影響を除いた指標であるEBITDAを経営判断に用いております。

 

また、インフキュリオングループでは、目標の達成状況を判断するための客観的な指標として「BtoB GTV」及び「ペイメントプラットフォーム利用企業数」を設定しております。「BtoB GTV」は、Xard及びWinvoiceにおいて取り扱う決済処理金額で構成されております。インフキュリオングループの中長期的な成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において、今後の業績成長の中核となる従量型ストック収入の算出基礎であり、その成長性を的確に示すことから、重要な指標として位置付けております。「ペイメントプラットフォーム利用企業数」は、インフキュリオングループが提供する決済プラットフォームを、導入先企業のサービスを通じて利用いただくユーザーの事業者数を示しており、BtoB GTVの拡大に不可欠な要素として積み上げに取り組んでおります。

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結売上高

4,902

5,836

7,174

前期比成長率

24.1%

19.1%

22.9%

連結売上総利益

2,235

2,727

3,189

前期比成長率

25.8%

22.0%

16.9%

連結EBITDA(注)1

△676

△481

188

前期比成長率

BtoB GTV

331億円

1,012億円

2,182億円

前期比成長率

335.9%

205.3%

115.5%

ペイメントプラットフォーム

利用企業数(注)2

25,988社

45,156社

70,036社

(注)1.EBITDA=営業利益(又は営業損失)+減価償却費

2.ペイメントプラットフォーム利用企業数は、Xard及びWinvoiceの各導入先企業におけるサービス利用事業者数の単純合算であり、重複してサービスを利用する事業者につきましては相殺しておりません。

 

・中期的な成長目標

インフキュリオングループでは、経営戦略等の遂行を通して目指す中期的な成長目線として下記の数値目標を掲げ、事業拡大に取り組んでおります。

経営指標

目標数値

BtoB GTV 成長率

年平均成長率  約50%

連結売上高

年平均成長率  約25%

セグメント売上

ペイメントプラットフォーム事業

同 35%以上

マーチャントプラットフォーム事業

同  約15%

コンサルティング事業

同   約5%

連結売上総利益

年平均成長率 30%以上

利益率 50%以上

連結EBITDA

利益率 15%以上

 

 

 

有価証券届出書の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、インフキュリオングループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

インフキュリオングループは、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げるとともに、その先で実現したい未来を「あしたの世界に、いくつもの自由を。」というビジョンに込めております。あらゆる産業・事業者のフィンテック・パートナーとして、全ての商流に関わる決済を起点にシームレスな社会を実現し、これまで不可能であったビジネスの実現を支援するとともに、様々なサービスと金融機能を繋ぐことで、より豊かで利便性の高い、スマートで持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。

これらの経営方針に基づき、経営戦略及び諸施策を推進することで、インフキュリオングループの中長期的な株主価値及び企業価値の最大化に努めております。

 

(2)経営環境

インフキュリオングループを取り巻く事業環境は、近年、インフキュリオングループを含めたフィンテック関連の事業者が台頭し、ITを活用することで、既存の金融機関が提供し得ない革新的な金融サービスを世の中に提供する動きが活発化しております。また、コロナ禍に端を発した社会構造の変革や、デジタル化及びキャッシュレス化の潮流によって、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。

 

決済・金融領域の法整備に目を向けると、欧米を中心に、政府主導でフィンテック事業者に対し金融機関の基幹システムへのアクセスを開放する動きが加速しております。日本でも2017年5月成立の改正銀行法により、銀行が外部事業者との安全なデータ連携のためにAPIを公開することが努力義務化されたほか、ユーザーからの委託で金融機関のシステムに接続できる業者を「電子決済等代行業者」として金融庁に登録する制度が制定されました。加えて、2022年1月に改正電子帳簿保存法、2023年10月にインボイス制度が施行されたほか、2026年には手形・小切手の全面的な電子化の方針が示されるなど、政府主導による金融領域のデジタル化が急速に進んでおり、企業のバックオフィスは業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。

 

① 消費者向け(BtoC)決済市場

およそ330兆円(注1)とされるBtoC決済市場では、2018年4月公表の「キャッシュレス・ビジョン」にて示された政府目標であるキャッシュレス比率40%が1年前倒しで達成されるなど(注2)、日本におけるキャッシュレスの普及は新たなステージへと突入しております。しかしながら、主要諸外国と比較しその比率は依然として低く(注3)、将来的な政府目標である80%(注4)への到達に向けては、引き続き官民が一体となり日本のキャッシュレス社会実現に向けた環境整備が推し進められるものと認識しております。

また、日本国民一人あたりが保有するキャッシュレス決済手段の数は、主要諸外国と比べて突出して多いことが特徴として挙げられており(注3)、多様な決済手段を選好する国民性にあわせた事業者の対応も急速に進むことが見込まれます。

 

② 事業者間(BtoB)決済市場

インフキュリオングループが成長領域として軸足を置くBtoB決済市場において、2023年の市場規模は1,163兆円(注5)とされておりますが、依然として銀行振込による支払いが中心であり、日本国内の法人カード利用率は米国の7%(注6)に対し10分の1程度(注7)と広大な拡大余地が見込まれる市場であると捉えております。

昨今、大企業においては、会計ソフトや経費精算システムと連携させることで業務効率化が実現されるコーポレートカードの導入が進んでいるほか(注7)、インフキュリオンプロダクト導入企業のサービス利用者であり国内法人数の99.7%を占めるといわれる中小企業(注8)では、支払いサイトが最大60日程度延長できることにより毎月の資金繰り改善に繋がるパーチェシングカード(注9)の利用が増加しております(注7)。これらの利便性の向上から事業者間におけるクレジットカード払いが急速に普及することに伴い、インフキュリオングループのプロダクトに対する需要は今後も継続的に高まるものと考えております。

 

③ クレジットカード業界の構造

クレジットカードは、現代のキャッシュレス社会において欠かせない決済手段であり、消費者と企業の双方にとって利便性の高い経済インフラとなっております。その一方で、業界の構造には様々な課題が内在しており、これらは業界全体の持続的な成長やユーザー体験の向上を阻害する要因となっております。クレジットカード取引は主に下記の主体によって成り立っております。

消費者(カード会員)

カードを使用して商品やサービスの支払いを行う消費者

事業者(加盟店)

カードによる支払いを受け入れる小売業者・サービス提供者

イシュア

カード会員にクレジットカードを発行する金融機関・カード会社

アクワイアラ

加盟店と契約し、決済処理を行う決済代行業者や銀行

国際ブランド

Visa、Mastercard、JCBなど、決済ネットワークを提供するブランド運営会社

 

<クレジットカード業界の構造(5パーティーモデル)>

加盟店は、カード決済金額に応じた一定の手数料をアクワイアラに支払いますが、この手数料の多くはイシュアへ分配される仕組みとなっており、加盟店にとっては大きな負担となっていることが経済産業省により指摘されております(注10)。また、イシュアはカード利用を促進するため、ポイント還元やキャッシュバックなどのインセンティブ施策を強化しており、これにより消費者(カード会員)の利用意欲は高まりますが、そのコストは最終的に加盟店が負担する手数料に含まれております。

現在、決済業界ではデジタル化やリアルタイム決済、バイオメトリクス認証など新技術の導入が進んでおりますが、それぞれが独自のシステムを維持していることにより、システムの相互運用性が低く、全体最適なサービス開発が難しい状況となっていると考えられます。特に、伝統的なイシュアやアクワイアラは、旧来技術によるシステムを用いているケースが多く、コスト上の問題に加え、新たなサービスとの競争において後れを取る例も見られます。

インフキュリオングループでは、このような主要なプレーヤーが複雑に連携しながら機能するクレジットカード業界の構造的な課題を打破し、決済をシームレスに繋げるプラットフォームの提供に取り組んでおります。

 

(注1)内閣府「国民経済計算」民間最終支出(2024年度)

(注2)経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2025年3月)

(注3)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2024」

(注4)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」

(注5)経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より、「BtoB-EC市場規模の業種別内訳」における2023年 EC市場規模合計額を、同年の合計(その他を除く)EC化率にて除して算出

(注6)Insider Intelligence | eMarketer (Forecast, Aug 2023)

(注7)矢野経済研究所「国内キャッシュレス決済市場の実態と将来予測(2024年版)」

(注8)総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」

(注9)パーチェシングカード

企業における固定費や企業間の購買活動の決済に特化したカード

(注10)経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」とりまとめ

 

(3)経営戦略等

インフキュリオングループは次のような事業上の優位性を有しており、これらの優位性を踏まえて、中長期的な経営戦略を策定しております。

 

① イネーブラー型のビジネスモデル

キャッシュレス化の急速な進展により、国内ではカードやウォレット、コード決済など、様々な決済サービスを提供する事業者が勃興しておりますが、インフキュリオングループは、そのような事業者を含め決済に関わるあらゆる企業に最先端の決済基盤や技術を提供するイネーブラーとしてのポジションを築いております。産業の垣根を超えて、あらゆる事業者や金融機関へ広くインフキュリオングループのプロダクトを提供することができるビジネスモデルにより、BtoC・BtoB双方の決済市場すべてが事業領域としてリーチできることから、決済市場全体の成長がインフキュリオングループの成長に繋がる特徴がございます。

 

② 決済全域を一気通貫でカバーする決済プラットフォーム

前述のクレジットカード業界の構造で例示したとおり、日本における決済の仕組みは役割が細分化された複雑な業界構造となっております。インフキュリオングループは、カード発行をはじめとしたイシュイング(注11)の領域から、加盟店管理や決済代行といったアクワイアリング(注12)の領域まで、決済に関わるすべての機能を一気通貫で提供しております。決済全域をカバーするオープンプラットフォームにより、様々な事業者が介在する従来の決済システムに比べて高い価格優位性を有するほか、これまでの分断されたシステム構造では実現し得なかった一元的なデータ蓄積が可能となる為、導入企業は、マーケティング活動に必要なデータを適切に活用いただくことができます。

 

③ フルクラウド・APIベースのオープンプラットフォーム

従来の決済システムは、決済手段ごとに縦割りで設計・開発されていたことにより、システムの維持管理や機能拡張に係る費用は莫大な金額となっておりました。インフキュリオングループが提供するオープンプラットフォームは、フルクラウドかつAPIベースで構築していることから、導入事業者が必要な機能を、低コストかつ短納期で実装することができるほか、追加の機能実装やアップデートも容易に実施できる拡張性を有しております。これにより大手金融機関であっても低コストかつスピーディーな商品拡張が可能となり利用者の利便性を向上することができます。加えて、これまでシステム開発等に要する費用の観点で、決済・金融事業への参入は資本力を持つ大手金融機関や大企業に限られておりましたが、インフキュリオングループが提供するオープンプラットフォームにより、新興企業や中堅中小事業者の決済・金融事業への参入障壁を大きく低下することができる為、キャッシュレス決済市場の活性化に繋がっております。

 

④ コンサルティングとプロダクトとの両輪による顧客基盤の拡大

「キャッシュレス」「フィンテック」といった言葉が生まれる以前の2006年から、インフキュリオングループは決済・金融領域に特化したコンサルティングサービスを提供し、金融機関や大手企業の課題解決に取り組んでまいりました。コンサルティングサービスを通じて培った知見や深い専門性は、現在ではインフキュリオングループのコアコンピタンスとしてプロダクト開発にも強く活かされております。

決済・金融領域のコンサルティング・ファームとして長年積み上げた実績により、コンサルティングサービスを起点として決済システムの導入や事業参入に関するご相談をいただくことが多々ありますが、そのなかでインフキュリオングループのプロダクト導入に至るケースが多くあるほか、プロダクト導入後に、コンサルティング側に更なるご要望をいただき、そのフィードバックによりプロダクトの継続的な改善・進化に繋げる好循環を実現しております。このように、コンサルティングとプロダクトが連動することで、広告宣伝費を低い水準で維持しながらも、持続的に顧客基盤を拡大し、着実に信頼と取引拡大を実現する成長モデルを確立しております。

 

以上の優位性を踏まえたインフキュリオングループの経営戦略は以下のとおりです。

 

① 全方位アプローチによる顧客基盤の拡大

現在、インフキュリオングループの決済プラットフォームは、新たに決済・金融領域に参入しようとする会計システムや経費精算システムをはじめとしたSaaS企業を中心に導入が進んでおります。加えて、すでに膨大な顧客基盤を有する大手企業や従来の金融システムを運用する金融機関においても、柔軟で拡張性が高いインフキュリオングループのプラットフォーム導入が進んでおり、いずれも今後の成長ドライバーになると見込んでおります。

導入先であるSaaS企業を中心としたインフキュリオンプラットフォームの決済処理金額(BtoB GTV)は、2023年3月期から2025年3月期にかけての年平均成長率が150%以上と急速に増加しているほか、ペイメントプラットフォーム利用企業数も2023年3月末から2025年3月末にかけて2.5倍以上に増加するなど高成長を実現しております。インフキュリオングループでは、今後も提供するサービス領域や機能の拡張に継続的に取り組むことにより、これまで取り込めていなかった事業者の需要も満たし導入企業の拡大を進めるとともに、導入先であるSaaS企業自体の高い成長をドライバーにインフキュリオングループの成長に繋げてまいります。

大手企業や金融機関においては、エンドユーザーによる便利な決済・金融サービスを受けたいというニーズが高まる一方、従来のシステムでは柔軟性の欠如や大規模開発の必要性から、ニーズへの対応が困難になっているという課題が顕在化しており、インフキュリオンプロダクトの導入に関する相談が増加しております。この要望に対し、大手企業特有のニーズである導入時におけるプロジェクトマネジメント、品質管理、リソース配分などを担うインテグレーション機能を強化し、顧客におけるインフキュリオンプロダクトの組み込みを支援するとともに、既存システムとインフキュリオンプロダクトの連携を実現する懸け橋となることで、大手企業や金融機関への導入を進めてまいります。

 

② サービス・機能の領域拡張によるプラットフォーム付加価値の向上

クレジットカードを発行する場合、カード発行ライセンスの取得や、カード発行・決済に関するミッションクリティカルなシステムプロセシング、その他残高管理、明細照会等、必要となる業務が多岐にわたります。インフキュリオングループの主力プロダクトの一つであるXardでは、SaaS企業や金融機関など、クレジットカードの発行ニーズがある事業者に対して、国際ブランドカードの発行を実現するプラットフォームを提供しており、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、クレジットカード発行に関連する業務やコストを大きく低減させることが可能となります。

現状では、プロセシング基盤、金融機能、オペレーション領域におけるコアとなる機能を提供しておりますが、一方で、イシュア固有の金融業務や、AIを活用した業務等、更なる高機能化及び領域拡張の余地があると考えております。また、足もとではAIによる付加機能として、クレジットカード決済における不正利用の検知、与信の付与及び審査などの機能追加、並びにクレジットカードに関連するオペレーションの自動化及び効率化などにAI技術の活用を進めており、これらの早期実装に向けて取り組んでおります。

こうした新たな価値創造を通じてイシュイング領域の機能をワンストップで提供することにより、付加価値を通じた収益性の向上と新たな顧客層の獲得を実現するとともに、進化し続けるカード基盤による顧客満足とエンゲージメントの向上を目指してまいります。

 

③ SMBCグループとの共同事業推進

インフキュリオングループは2024年にSMBCグループとの資本業務提携を行い、BtoB決済・BtoC決済領域における共同事業を開始、2025年4月には法人向けプラットフォーム「Trunk」を共同で発表し、中小企業を対象に、法人口座、カード、請求書発行、ファクタリング、経理業務の効率化等を統合したサービスを開始しております。

インフキュリオングループは「Trunk」の中核的機能を担うとともに、Xard、Winvoiceといったプロダクトを「Trunk」上で提供していく予定であり、今後は「Trunk」の拡大がインフキュリオングループの成長に大きく寄与するものと見込んでおります。SMBCグループは「Trunk」の目標として、リリースから3年間で30万口座、預金3兆円の獲得を掲げており、インフキュリオングループにおいてもその達成に向けて強固なアライアンス関係を構築し、SMBCグループとの事業共創を実現してまいります。

 

(注11)イシュイング

ユーザーに対するクレジットカードの発行のほか、カードの引き落とし情報及び利用状況の管理、利用明細の発行、請求などを行う業務

(注12)アクワイアリング

キャッシュレス決済における取引処理のほか、加盟店の審査及び管理、支払取次ぎなどを行う業務

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

重要な対処すべき課題として以下の事項に取り組んでまいります。

 

① ストック収入の積み上げによる収益基盤の強化

インフキュリオングループは、長期的な企業価値の向上には安定した収益基盤の強化が不可欠であると認識しており、システム開発及びプロダクト導入時の対価であるフロー収入を確保しつつ、インフキュリオングループのプロダクトが継続的に利用されることで将来にわたるストック収入が積み上がる収益構造を構築しております。

2025年3月期現在における連結売上高のうちフロー収入が5割程度を占めておりますが、ペイメントプラットフォーム事業におけるプロダクトを中心とした決済処理金額の積み上げに注力することにより、従量型で得られるストック収入の拡大を図るとともに、各プロダクトにおける機能拡張やサービス領域の拡大による付加価値の向上に取り組み、売上の高成長の実現と収益性の向上を目指してまいります。

 

② 優秀な人材の確保

インフキュリオングループでは、これまでにない新たなサービスを社会に提供するため、優秀な人材を採用し育成していくことが重要な課題であると認識しており、採用力の強化と従業員のモチベーション向上に向けた体制整備、仕組み作りを続けております。今後も継続的に人材採用と育成に対する投資を継続し、強固な事業基盤を確立することを目指してまいります。

 

③ 社会基盤に資する安定したサービスの提供

インフキュリオングループの提供するサービスは、社会インフラとしての重要性が増しており、システム障害発生などによるサービスの停止、遅延が様々な利用者に影響を与える可能性があります。インフキュリオングループはその役割の重要性に鑑み、システムの安定運用を重要課題と捉え、更なるサービス向上及び基盤強化を念頭にビジネスを遂行してまいります。

 

④ 情報管理の更なる強化

クレジットカードの不正使用、オンラインアカウントの乗っ取りなどが年々増加しており、キャッシュレス決済に関するセキュリティ問題への注目が集まっております。インフキュリオングループは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら万全なセキュリティを確保すべく、様々な手段及び対策の検討を行っております。情報漏洩をはじめとした情報セキュリティリスクを低減するため、リスク管理態勢の強化を目的に、必要とされる事業領域において、ISO/IEC 27001:2013(国内規格 JIS Q 27001:2014)への適合認証を取得し、情報セキュリティマネジメントシステムの適正な運用を行っております。更に、国際クレジットカードブランド5社が共同で策定したPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)基準にも、必要とされる事業領域において認証を取得しております。今後もセキュリティ強化に重点的に取り組んでまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

インフキュリオングループは、企業価値を高めるため、株式会社インフキュリオンを中核として経営戦略を立案し、グループ内でのシナジー効果の追求、事業運営の効率化、子会社に対する管理・監督機能を適正かつ有効に発揮すべく、今後もグループの業務や組織運営、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。そして企業の社会的責任の高まりに継続的にこたえ、意思決定の透明性・公正性確保と企業経営の効率性向上に注力していくために、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの充実を図ってまいります。

 

⑥ 財務基盤の強化

インフキュリオングループは2025年3月期に単年度黒字化し、今後も継続的な利益成長を見込んでおりますが、事業成長を更に加速させる上では、既存プロダクトの機能拡張や新規事業開発などの成長投資のほか、事業基盤を支える人材の採用、事業拡大に伴う運転資金など、一定の資金需要が生じることが考えられます。インフキュリオングループでは、収益性の向上を重視したキャピタルアロケーションを実施するとともに、最適な資本構成を踏まえた外部調達も検討し、財務基盤の強化を進めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

インフキュリオングループは、売上高、売上総利益における成長率に加え、EBITDAを経営上の重要な指標として位置付けております。インフキュリオングループの中長期的な企業価値を牽引する各プロダクトは、立ち上げのフェーズから、事業として軌道に乗り成長フェーズへと移行しておりますが、今後のより高い成長の実現に向けては更なる機能拡張及び利便性の向上等を企図した継続的なシステム開発が必要不可欠であると考えております。今後、このような成長投資に伴う減価償却費の増加が見込まれることから、インフキュリオングループの収益性及び現金創出力をより適切に把握することを目的として、減価償却費による影響を除いた指標であるEBITDAを経営判断に用いております。

 

また、インフキュリオングループでは、目標の達成状況を判断するための客観的な指標として「BtoB GTV」及び「ペイメントプラットフォーム利用企業数」を設定しております。「BtoB GTV」は、Xard及びWinvoiceにおいて取り扱う決済処理金額で構成されております。インフキュリオングループの中長期的な成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において、今後の業績成長の中核となる従量型ストック収入の算出基礎であり、その成長性を的確に示すことから、重要な指標として位置付けております。「ペイメントプラットフォーム利用企業数」は、インフキュリオングループが提供する決済プラットフォームを、導入先企業のサービスを通じて利用いただくユーザーの事業者数を示しており、BtoB GTVの拡大に不可欠な要素として積み上げに取り組んでおります。

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結売上高

4,902

5,836

7,174

前期比成長率

24.1%

19.1%

22.9%

連結売上総利益

2,235

2,727

3,189

前期比成長率

25.8%

22.0%

16.9%

連結EBITDA(注)1

△676

△481

188

前期比成長率

BtoB GTV

331億円

1,012億円

2,182億円

前期比成長率

335.9%

205.3%

115.5%

ペイメントプラットフォーム

利用企業数(注)2

25,988社

45,156社

70,036社

(注)1.EBITDA=営業利益(又は営業損失)+減価償却費

2.ペイメントプラットフォーム利用企業数は、Xard及びWinvoiceの各導入先企業におけるサービス利用事業者数の単純合算であり、重複してサービスを利用する事業者につきましては相殺しておりません。

 

・中期的な成長目標

インフキュリオングループでは、経営戦略等の遂行を通して目指す中期的な成長目線として下記の数値目標を掲げ、事業拡大に取り組んでおります。

経営指標

目標数値

BtoB GTV 成長率

年平均成長率  約50%

連結売上高

年平均成長率  約25%

セグメント売上

ペイメントプラットフォーム事業

同 35%以上

マーチャントプラットフォーム事業

同  約15%

コンサルティング事業

同   約5%

連結売上総利益

年平均成長率 30%以上

利益率 50%以上

連結EBITDA

利益率 15%以上

 

 

 

有価証券届出書の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、インフキュリオングループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

インフキュリオングループは、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げるとともに、その先で実現したい未来を「あしたの世界に、いくつもの自由を。」というビジョンに込めております。あらゆる産業・事業者のフィンテック・パートナーとして、全ての商流に関わる決済を起点にシームレスな社会を実現し、これまで不可能であったビジネスの実現を支援するとともに、様々なサービスと金融機能を繋ぐことで、より豊かで利便性の高い、スマートで持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。

これらの経営方針に基づき、経営戦略及び諸施策を推進することで、インフキュリオングループの中長期的な株主価値及び企業価値の最大化に努めております。

 

(2)経営環境

インフキュリオングループを取り巻く事業環境は、近年、インフキュリオングループを含めたフィンテック関連の事業者が台頭し、ITを活用することで、既存の金融機関が提供し得ない革新的な金融サービスを世の中に提供する動きが活発化しております。また、コロナ禍に端を発した社会構造の変革や、デジタル化及びキャッシュレス化の潮流によって、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。

 

決済・金融領域の法整備に目を向けると、欧米を中心に、政府主導でフィンテック事業者に対し金融機関の基幹システムへのアクセスを開放する動きが加速しております。日本でも2017年5月成立の改正銀行法により、銀行が外部事業者との安全なデータ連携のためにAPIを公開することが努力義務化されたほか、ユーザーからの委託で金融機関のシステムに接続できる業者を「電子決済等代行業者」として金融庁に登録する制度が制定されました。加えて、2022年1月に改正電子帳簿保存法、2023年10月にインボイス制度が施行されたほか、2026年には手形・小切手の全面的な電子化の方針が示されるなど、政府主導による金融領域のデジタル化が急速に進んでおり、企業のバックオフィスは業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。

 

① 消費者向け(BtoC)決済市場

およそ330兆円(注1)とされるBtoC決済市場では、2018年4月公表の「キャッシュレス・ビジョン」にて示された政府目標であるキャッシュレス比率40%が1年前倒しで達成されるなど(注2)、日本におけるキャッシュレスの普及は新たなステージへと突入しております。しかしながら、主要諸外国と比較しその比率は依然として低く(注3)、将来的な政府目標である80%(注4)への到達に向けては、引き続き官民が一体となり日本のキャッシュレス社会実現に向けた環境整備が推し進められるものと認識しております。

また、日本国民一人あたりが保有するキャッシュレス決済手段の数は、主要諸外国と比べて突出して多いことが特徴として挙げられており(注3)、多様な決済手段を選好する国民性にあわせた事業者の対応も急速に進むことが見込まれます。

 

② 事業者間(BtoB)決済市場

インフキュリオングループが成長領域として軸足を置くBtoB決済市場において、2023年の市場規模は1,163兆円(注5)とされておりますが、依然として銀行振込による支払いが中心であり、日本国内の法人カード利用率は米国の7%(注6)に対し10分の1程度(注7)と広大な拡大余地が見込まれる市場であると捉えております。

昨今、大企業においては、会計ソフトや経費精算システムと連携させることで業務効率化が実現されるコーポレートカードの導入が進んでいるほか(注7)、インフキュリオンプロダクト導入企業のサービス利用者であり国内法人数の99.7%を占めるといわれる中小企業(注8)では、支払いサイトが最大60日程度延長できることにより毎月の資金繰り改善に繋がるパーチェシングカード(注9)の利用が増加しております(注7)。これらの利便性の向上から事業者間におけるクレジットカード払いが急速に普及することに伴い、インフキュリオングループのプロダクトに対する需要は今後も継続的に高まるものと考えております。

 

③ クレジットカード業界の構造

クレジットカードは、現代のキャッシュレス社会において欠かせない決済手段であり、消費者と企業の双方にとって利便性の高い経済インフラとなっております。その一方で、業界の構造には様々な課題が内在しており、これらは業界全体の持続的な成長やユーザー体験の向上を阻害する要因となっております。クレジットカード取引は主に下記の主体によって成り立っております。

消費者(カード会員)

カードを使用して商品やサービスの支払いを行う消費者

事業者(加盟店)

カードによる支払いを受け入れる小売業者・サービス提供者

イシュア

カード会員にクレジットカードを発行する金融機関・カード会社

アクワイアラ

加盟店と契約し、決済処理を行う決済代行業者や銀行

国際ブランド

Visa、Mastercard、JCBなど、決済ネットワークを提供するブランド運営会社

 

<クレジットカード業界の構造(5パーティーモデル)>

加盟店は、カード決済金額に応じた一定の手数料をアクワイアラに支払いますが、この手数料の多くはイシュアへ分配される仕組みとなっており、加盟店にとっては大きな負担となっていることが経済産業省により指摘されております(注10)。また、イシュアはカード利用を促進するため、ポイント還元やキャッシュバックなどのインセンティブ施策を強化しており、これにより消費者(カード会員)の利用意欲は高まりますが、そのコストは最終的に加盟店が負担する手数料に含まれております。

現在、決済業界ではデジタル化やリアルタイム決済、バイオメトリクス認証など新技術の導入が進んでおりますが、それぞれが独自のシステムを維持していることにより、システムの相互運用性が低く、全体最適なサービス開発が難しい状況となっていると考えられます。特に、伝統的なイシュアやアクワイアラは、旧来技術によるシステムを用いているケースが多く、コスト上の問題に加え、新たなサービスとの競争において後れを取る例も見られます。

インフキュリオングループでは、このような主要なプレーヤーが複雑に連携しながら機能するクレジットカード業界の構造的な課題を打破し、決済をシームレスに繋げるプラットフォームの提供に取り組んでおります。

 

(注1)内閣府「国民経済計算」民間最終支出(2024年度)

(注2)経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2025年3月)

(注3)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2024」

(注4)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」

(注5)経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より、「BtoB-EC市場規模の業種別内訳」における2023年 EC市場規模合計額を、同年の合計(その他を除く)EC化率にて除して算出

(注6)Insider Intelligence | eMarketer (Forecast, Aug 2023)

(注7)矢野経済研究所「国内キャッシュレス決済市場の実態と将来予測(2024年版)」

(注8)総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」

(注9)パーチェシングカード

企業における固定費や企業間の購買活動の決済に特化したカード

(注10)経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」とりまとめ

 

(3)経営戦略等

インフキュリオングループは次のような事業上の優位性を有しており、これらの優位性を踏まえて、中長期的な経営戦略を策定しております。

 

① イネーブラー型のビジネスモデル

キャッシュレス化の急速な進展により、国内ではカードやウォレット、コード決済など、様々な決済サービスを提供する事業者が勃興しておりますが、インフキュリオングループは、そのような事業者を含め決済に関わるあらゆる企業に最先端の決済基盤や技術を提供するイネーブラーとしてのポジションを築いております。産業の垣根を超えて、あらゆる事業者や金融機関へ広くインフキュリオングループのプロダクトを提供することができるビジネスモデルにより、BtoC・BtoB双方の決済市場すべてが事業領域としてリーチできることから、決済市場全体の成長がインフキュリオングループの成長に繋がる特徴がございます。

 

② 決済全域を一気通貫でカバーする決済プラットフォーム

前述のクレジットカード業界の構造で例示したとおり、日本における決済の仕組みは役割が細分化された複雑な業界構造となっております。インフキュリオングループは、カード発行をはじめとしたイシュイング(注11)の領域から、加盟店管理や決済代行といったアクワイアリング(注12)の領域まで、決済に関わるすべての機能を一気通貫で提供しております。決済全域をカバーするオープンプラットフォームにより、様々な事業者が介在する従来の決済システムに比べて高い価格優位性を有するほか、これまでの分断されたシステム構造では実現し得なかった一元的なデータ蓄積が可能となる為、導入企業は、マーケティング活動に必要なデータを適切に活用いただくことができます。

 

③ フルクラウド・APIベースのオープンプラットフォーム

従来の決済システムは、決済手段ごとに縦割りで設計・開発されていたことにより、システムの維持管理や機能拡張に係る費用は莫大な金額となっておりました。インフキュリオングループが提供するオープンプラットフォームは、フルクラウドかつAPIベースで構築していることから、導入事業者が必要な機能を、低コストかつ短納期で実装することができるほか、追加の機能実装やアップデートも容易に実施できる拡張性を有しております。これにより大手金融機関であっても低コストかつスピーディーな商品拡張が可能となり利用者の利便性を向上することができます。加えて、これまでシステム開発等に要する費用の観点で、決済・金融事業への参入は資本力を持つ大手金融機関や大企業に限られておりましたが、インフキュリオングループが提供するオープンプラットフォームにより、新興企業や中堅中小事業者の決済・金融事業への参入障壁を大きく低下することができる為、キャッシュレス決済市場の活性化に繋がっております。

 

④ コンサルティングとプロダクトとの両輪による顧客基盤の拡大

「キャッシュレス」「フィンテック」といった言葉が生まれる以前の2006年から、インフキュリオングループは決済・金融領域に特化したコンサルティングサービスを提供し、金融機関や大手企業の課題解決に取り組んでまいりました。コンサルティングサービスを通じて培った知見や深い専門性は、現在ではインフキュリオングループのコアコンピタンスとしてプロダクト開発にも強く活かされております。

決済・金融領域のコンサルティング・ファームとして長年積み上げた実績により、コンサルティングサービスを起点として決済システムの導入や事業参入に関するご相談をいただくことが多々ありますが、そのなかでインフキュリオングループのプロダクト導入に至るケースが多くあるほか、プロダクト導入後に、コンサルティング側に更なるご要望をいただき、そのフィードバックによりプロダクトの継続的な改善・進化に繋げる好循環を実現しております。このように、コンサルティングとプロダクトが連動することで、広告宣伝費を低い水準で維持しながらも、持続的に顧客基盤を拡大し、着実に信頼と取引拡大を実現する成長モデルを確立しております。

 

以上の優位性を踏まえたインフキュリオングループの経営戦略は以下のとおりです。

 

① 全方位アプローチによる顧客基盤の拡大

現在、インフキュリオングループの決済プラットフォームは、新たに決済・金融領域に参入しようとする会計システムや経費精算システムをはじめとしたSaaS企業を中心に導入が進んでおります。加えて、すでに膨大な顧客基盤を有する大手企業や従来の金融システムを運用する金融機関においても、柔軟で拡張性が高いインフキュリオングループのプラットフォーム導入が進んでおり、いずれも今後の成長ドライバーになると見込んでおります。

導入先であるSaaS企業を中心としたインフキュリオンプラットフォームの決済処理金額(BtoB GTV)は、2023年3月期から2025年3月期にかけての年平均成長率が150%以上と急速に増加しているほか、ペイメントプラットフォーム利用企業数も2023年3月末から2025年3月末にかけて2.5倍以上に増加するなど高成長を実現しております。インフキュリオングループでは、今後も提供するサービス領域や機能の拡張に継続的に取り組むことにより、これまで取り込めていなかった事業者の需要も満たし導入企業の拡大を進めるとともに、導入先であるSaaS企業自体の高い成長をドライバーにインフキュリオングループの成長に繋げてまいります。

大手企業や金融機関においては、エンドユーザーによる便利な決済・金融サービスを受けたいというニーズが高まる一方、従来のシステムでは柔軟性の欠如や大規模開発の必要性から、ニーズへの対応が困難になっているという課題が顕在化しており、インフキュリオンプロダクトの導入に関する相談が増加しております。この要望に対し、大手企業特有のニーズである導入時におけるプロジェクトマネジメント、品質管理、リソース配分などを担うインテグレーション機能を強化し、顧客におけるインフキュリオンプロダクトの組み込みを支援するとともに、既存システムとインフキュリオンプロダクトの連携を実現する懸け橋となることで、大手企業や金融機関への導入を進めてまいります。

 

② サービス・機能の領域拡張によるプラットフォーム付加価値の向上

クレジットカードを発行する場合、カード発行ライセンスの取得や、カード発行・決済に関するミッションクリティカルなシステムプロセシング、その他残高管理、明細照会等、必要となる業務が多岐にわたります。インフキュリオングループの主力プロダクトの一つであるXardでは、SaaS企業や金融機関など、クレジットカードの発行ニーズがある事業者に対して、国際ブランドカードの発行を実現するプラットフォームを提供しており、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、クレジットカード発行に関連する業務やコストを大きく低減させることが可能となります。

現状では、プロセシング基盤、金融機能、オペレーション領域におけるコアとなる機能を提供しておりますが、一方で、イシュア固有の金融業務や、AIを活用した業務等、更なる高機能化及び領域拡張の余地があると考えております。また、足もとではAIによる付加機能として、クレジットカード決済における不正利用の検知、与信の付与及び審査などの機能追加、並びにクレジットカードに関連するオペレーションの自動化及び効率化などにAI技術の活用を進めており、これらの早期実装に向けて取り組んでおります。

こうした新たな価値創造を通じてイシュイング領域の機能をワンストップで提供することにより、付加価値を通じた収益性の向上と新たな顧客層の獲得を実現するとともに、進化し続けるカード基盤による顧客満足とエンゲージメントの向上を目指してまいります。

 

③ SMBCグループとの共同事業推進

インフキュリオングループは2024年にSMBCグループとの資本業務提携を行い、BtoB決済・BtoC決済領域における共同事業を開始、2025年4月には法人向けプラットフォーム「Trunk」を共同で発表し、中小企業を対象に、法人口座、カード、請求書発行、ファクタリング、経理業務の効率化等を統合したサービスを開始しております。

インフキュリオングループは「Trunk」の中核的機能を担うとともに、Xard、Winvoiceといったプロダクトを「Trunk」上で提供していく予定であり、今後は「Trunk」の拡大がインフキュリオングループの成長に大きく寄与するものと見込んでおります。SMBCグループは「Trunk」の目標として、リリースから3年間で30万口座、預金3兆円の獲得を掲げており、インフキュリオングループにおいてもその達成に向けて強固なアライアンス関係を構築し、SMBCグループとの事業共創を実現してまいります。

 

(注11)イシュイング

ユーザーに対するクレジットカードの発行のほか、カードの引き落とし情報及び利用状況の管理、利用明細の発行、請求などを行う業務

(注12)アクワイアリング

キャッシュレス決済における取引処理のほか、加盟店の審査及び管理、支払取次ぎなどを行う業務

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

重要な対処すべき課題として以下の事項に取り組んでまいります。

 

① ストック収入の積み上げによる収益基盤の強化

インフキュリオングループは、長期的な企業価値の向上には安定した収益基盤の強化が不可欠であると認識しており、システム開発及びプロダクト導入時の対価であるフロー収入を確保しつつ、インフキュリオングループのプロダクトが継続的に利用されることで将来にわたるストック収入が積み上がる収益構造を構築しております。

2025年3月期現在における連結売上高のうちフロー収入が5割程度を占めておりますが、ペイメントプラットフォーム事業におけるプロダクトを中心とした決済処理金額の積み上げに注力することにより、従量型で得られるストック収入の拡大を図るとともに、各プロダクトにおける機能拡張やサービス領域の拡大による付加価値の向上に取り組み、売上の高成長の実現と収益性の向上を目指してまいります。

 

② 優秀な人材の確保

インフキュリオングループでは、これまでにない新たなサービスを社会に提供するため、優秀な人材を採用し育成していくことが重要な課題であると認識しており、採用力の強化と従業員のモチベーション向上に向けた体制整備、仕組み作りを続けております。今後も継続的に人材採用と育成に対する投資を継続し、強固な事業基盤を確立することを目指してまいります。

 

③ 社会基盤に資する安定したサービスの提供

インフキュリオングループの提供するサービスは、社会インフラとしての重要性が増しており、システム障害発生などによるサービスの停止、遅延が様々な利用者に影響を与える可能性があります。インフキュリオングループはその役割の重要性に鑑み、システムの安定運用を重要課題と捉え、更なるサービス向上及び基盤強化を念頭にビジネスを遂行してまいります。

 

④ 情報管理の更なる強化

クレジットカードの不正使用、オンラインアカウントの乗っ取りなどが年々増加しており、キャッシュレス決済に関するセキュリティ問題への注目が集まっております。インフキュリオングループは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら万全なセキュリティを確保すべく、様々な手段及び対策の検討を行っております。情報漏洩をはじめとした情報セキュリティリスクを低減するため、リスク管理態勢の強化を目的に、必要とされる事業領域において、ISO/IEC 27001:2013(国内規格 JIS Q 27001:2014)への適合認証を取得し、情報セキュリティマネジメントシステムの適正な運用を行っております。更に、国際クレジットカードブランド5社が共同で策定したPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)基準にも、必要とされる事業領域において認証を取得しております。今後もセキュリティ強化に重点的に取り組んでまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

インフキュリオングループは、企業価値を高めるため、株式会社インフキュリオンを中核として経営戦略を立案し、グループ内でのシナジー効果の追求、事業運営の効率化、子会社に対する管理・監督機能を適正かつ有効に発揮すべく、今後もグループの業務や組織運営、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。そして企業の社会的責任の高まりに継続的にこたえ、意思決定の透明性・公正性確保と企業経営の効率性向上に注力していくために、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの充実を図ってまいります。

 

⑥ 財務基盤の強化

インフキュリオングループは2025年3月期に単年度黒字化し、今後も継続的な利益成長を見込んでおりますが、事業成長を更に加速させる上では、既存プロダクトの機能拡張や新規事業開発などの成長投資のほか、事業基盤を支える人材の採用、事業拡大に伴う運転資金など、一定の資金需要が生じることが考えられます。インフキュリオングループでは、収益性の向上を重視したキャピタルアロケーションを実施するとともに、最適な資本構成を踏まえた外部調達も検討し、財務基盤の強化を進めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

インフキュリオングループは、売上高、売上総利益における成長率に加え、EBITDAを経営上の重要な指標として位置付けております。インフキュリオングループの中長期的な企業価値を牽引する各プロダクトは、立ち上げのフェーズから、事業として軌道に乗り成長フェーズへと移行しておりますが、今後のより高い成長の実現に向けては更なる機能拡張及び利便性の向上等を企図した継続的なシステム開発が必要不可欠であると考えております。今後、このような成長投資に伴う減価償却費の増加が見込まれることから、インフキュリオングループの収益性及び現金創出力をより適切に把握することを目的として、減価償却費による影響を除いた指標であるEBITDAを経営判断に用いております。

 

また、インフキュリオングループでは、目標の達成状況を判断するための客観的な指標として「BtoB GTV」及び「ペイメントプラットフォーム利用企業数」を設定しております。「BtoB GTV」は、Xard及びWinvoiceにおいて取り扱う決済処理金額で構成されております。インフキュリオングループの中長期的な成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において、今後の業績成長の中核となる従量型ストック収入の算出基礎であり、その成長性を的確に示すことから、重要な指標として位置付けております。「ペイメントプラットフォーム利用企業数」は、インフキュリオングループが提供する決済プラットフォームを、導入先企業のサービスを通じて利用いただくユーザーの事業者数を示しており、BtoB GTVの拡大に不可欠な要素として積み上げに取り組んでおります。

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結売上高

4,902

5,836

7,174

前期比成長率

24.1%

19.1%

22.9%

連結売上総利益

2,235

2,727

3,189

前期比成長率

25.8%

22.0%

16.9%

連結EBITDA(注)1

△676

△481

188

前期比成長率

BtoB GTV

331億円

1,012億円

2,182億円

前期比成長率

335.9%

205.3%

115.5%

ペイメントプラットフォーム

利用企業数(注)2

25,988社

45,156社

70,036社

(注)1.EBITDA=営業利益(又は営業損失)+減価償却費

2.ペイメントプラットフォーム利用企業数は、Xard及びWinvoiceの各導入先企業におけるサービス利用事業者数の単純合算であり、重複してサービスを利用する事業者につきましては相殺しておりません。

 

・中期的な成長目標

インフキュリオングループでは、経営戦略等の遂行を通して目指す中期的な成長目線として下記の数値目標を掲げ、事業拡大に取り組んでおります。

経営指標

目標数値

BtoB GTV 成長率

年平均成長率  約50%

連結売上高

年平均成長率  約25%

セグメント売上

ペイメントプラットフォーム事業

同 35%以上

マーチャントプラットフォーム事業

同  約15%

コンサルティング事業

同   約5%

連結売上総利益

年平均成長率 30%以上

利益率 50%以上

連結EBITDA

利益率 15%以上

 

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に投資家の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてインフキュリオングループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

① 技術革新への対応について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループが事業展開しているキャッシュレス決済及び金融DX関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インフキュリオングループもその変化に柔軟に対応する必要があります。最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、インフキュリオングループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、finbeeを展開する㈱ネストエッグにおいて、電子決済等代行事業者としての登録を行っております。また、Wallet Stationを手掛ける㈱インフキュリオン及びAnywhereを展開する㈱リンク・プロセシングにおいて電気通信事業者としての届出を行っているほか、Wallet Station及びXardを展開する㈱インフキュリオンにおいて、資金決済に関する法律に基づく第三者型前払式支払手段を発行する事業者としての登録を行っております。本書提出日現在において認識している限りでは、インフキュリオングループは法令に定める欠格事由に該当する事実を有しておらず、また、所属する団体の自主規制規則に抵触する事実も有しておりません。しかしながら、将来、法律の改正、関連当局の指導、自主規制規則の改正などにより登録の取消等が発生した場合には、インフキュリオングループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競争環境の変化について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、日本においてまだ草創期にあるEnbedded Finance(組込型金融)事業を展開しております。本分野は急速に拡大していく分野であるため、今後競合企業が参入する可能性があります。インフキュリオングループは、これまで培った決済・金融領域の知見、ノウハウをもとに、これまでにないフィンテックサービスを逐次提供していくとともに、コンサルティング事業を通じた早期の顧客ニーズ把握による研究開発及び先行サービスの導入を梃に、アライアンス先及び資本提携先との顧客獲得のための戦略的な施策を展開することで、継続的な事業成長に努めてまいります。しかしながら、競合企業の競争力向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化に伴い、インフキュリオングループやインフキュリオングループのサービス等に対する評価や信頼性を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ ペイメントプラットフォーム事業の営業損失について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、2025年3月期に連結業績における各段階損益において黒字化を達成するなど成長フェーズに移行しております。なかでも、ペイメントプラットフォーム事業の各プロダクトが順調に立ち上がっており、インフキュリオングループの成長を牽引する事業として積極的な投資を継続しております。当該事業は、現在セグメント単位で営業損失を計上しておりますが、各プロダクトにおいては毎月固定で受領する基本料等のほか、決済処理金額等に応じて受領する従量型のストック収入が業績成長を牽引していることから、今後も顧客の積み上げによる売上高の拡大及び収益性の向上に伴い黒字化を見込んでおります。インフキュリオングループでは、事業又はプロダクト単位での収益性及び成長性をもとにした事業ポートフォリオ管理を実施するとともに、資本効率を意識したキャッシュアロケーションを行い、成長可能性が高い事業への資源分配に取り組むことで業績リスクの低減と高成長の実現に取り組んでおります。しかしながら、顧客獲得活動に遅れが生じた場合、又は事業拡大に必要な人材の獲得が想定通り進まず、当該事業の赤字が継続又は拡大する場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 大型案件による売上高等の変動について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、金融機関や大企業をはじめとした幅広い顧客から受注しており、特定の取引先に依存しない収益構造となっておりますが、一部のプロジェクトについては大型案件となり、年度によって特定の取引先からの受注金額が多くなる場合がございます。そのため、インフキュリオングループではプロジェクトごとの進捗を管理し、計画どおりに売上高及び利益の計上ができるように努めております。しかしながら、プロジェクトの進捗如何では、業績が特定の四半期に偏る可能性がございます。また、納期の変更により顧客の検収タイミングが事業年度を前後することでインフキュリオンの売上が変動し、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 決済端末の製造・調達・販売について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

マーチャントプラットフォーム事業において事業者に対し提供する決済端末について、インフキュリオングループは、中国を中心にグローバルでPOS端末等のOEM提供を行う海外メーカー等から、品質・セキュリティ面で精査・管理を行ったうえで端末を仕入れております。仕入元である当該海外メーカーはいずれも世界的な大規模端末メーカーであることから生産能力に問題はないほか、顧客へ安定供給できる程度の在庫を常時保有できるよう、良好な関係を構築しております。しかしながら、メーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を生じるような事態が発生した場合のほか、メーカーの事業撤退など予期せぬ事象の発生によって決済端末の調達が困難になった場合、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 他社との業務・資本提携等について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし)

インフキュリオングループは、業務提携、資本提携等を通じた事業の拡大及び成長加速に取り組んでいく方針であり、インフキュリオングループの持つ技術やノウハウと提携先の持つ顧客網などを融合することにより、事業シナジーを発揮することを目指しております。M&Aを行う場合には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを回避するように努めておりますが、時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない可能性のほか、買収後に偶発債務の発生等の可能性があります。また、新サービスを目的とした提携においてはその性質上、当該新サービスによるインフキュリオングループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、当初見込んだ効果が発揮されない場合やこれらの提携等が何らかの理由で解消された場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 事業投資について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし)

インフキュリオングループは、事業シナジーのあるスタートアップ企業及び事業への投資、子会社設立などを行っております。投資先選定にあたっては当該企業の財務内容など、詳細なデューデリジェンスを行い、また投資先については経営陣が定期的にモニタリングを行うことにより可能な限りリスクを早期に把握し回避するよう努めておりますが、今後の投資先の業績が計画通りに進捗せず経営状態が悪化した場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)システム及びセキュリティに関するリスク

① 不正アクセスへの対応について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、多くの事業において個人情報や機密情報を扱っていることから、データを不正に取得すること、なりすましによる悪用を目的とした悪意の第三者によるシステムへの不正アクセス等を受ける可能性があります。キャッシュレス決済に関するセキュリティの問題は、電子決済サービスを通じた銀行からの不正出金事故などにより世論の注目が高まっており、FISC(金融情報システムセンター)やキャッシュレス推進協議会等の業界団体、API接続先と協働して更なるセキュリティ強化対策を推進してまいります。

インフキュリオングループでは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら、サービスを提供するシステムや社内情報システム等に対して、ファイアウォールやWAFなどのセキュリティ機器の設置、外部のセキュリティ診断会社から客観的独立性をもった評価の実施・指摘箇所に対する対応等により、外部からの不正アクセスの予防を図っております。また、重要なデータは電子政府推奨暗号を用いて暗号化し、データの送受信も現時点で推奨される暗号化方式で暗号化するなど適切なセキュリティ対策を実施したうえで監視体制を強化しております。これに加え、従業員端末の振る舞い検知型のウィルス対策ソフトの導入や、個人情報を取り扱う保守作業を行う専用の環境を設置するなどの対策、コロナ下におけるリモートワークを前提とした堅牢かつ安定的な保守運用環境の確立、最新の攻撃動向の情報や脆弱性情報の収集・評価と必要な対策を実施することなどで万全なセキュリティを確保することを目指しております。しかしながら、インフキュリオングループが提供したサービスに対し、外部からの不正アクセス又は不正利用等が生じる可能性があり、そのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、インフキュリオングループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムトラブルについて

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループの事業の多くはインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、インフキュリオングループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは事業運営上、多くの顧客情報(一部個人情報を含む)及び機密情報を保有しております。そのため、機密情報の保護に紐づく社内規程の厳格な運用、機密情報の取り扱いに関する定期的な社内教育の実施、委託先管理の強化徹底など、セキュリティシステムの整備を行っております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、インフキュリオングループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、インフキュリオングループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム開発について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループにおける事業のなかには、顧客のサービス利用に先立って、システム開発を実施するものがあります。システム開発にあたっては、品質管理基準にもとづく品質管理体制を構築し、開発プロセスの標準化等を実施しております。しかしながら、システム開発が高度化するなか、計画通りの品質を確保できない場合等には、プロジェクト完了のための追加対応費用や顧客からの損害賠償請求等により、インフキュリオングループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営管理体制に関するリスク

① 人材の採用・育成について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループが、今後更なる事業拡大を実現するためには、優秀な人材の確保が必要不可欠となります。人材の獲得及び社内人材の育成に加え、人材の外部流出を防止することが重要な課題であり、採用による人材の獲得を積極的に行うとともに、各種勉強会の開催や福利厚生の充実等の施策を行っております。しかしながら、インフキュリオングループが必要な人材を十分に確保できなかった場合、又は社内の重要な人材が外部に流出してしまった場合には、人材の充実及び育成が計画どおりに進まず、事業規模に応じた適正な人材配置が困難になることから、事業拡大の制約要因となり、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するためには、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大にあわせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針でありますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ コンプライアンス体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図るなどコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、今後のインフキュリオングループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権の管理について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、知的財産を企業の重要な経営資源と位置付けております。このため、第三者の知的財産権に対する侵害予防及び保有している知的財産権の保護に努めております。しかし、第三者よりその知的財産権をインフキュリオンが侵害したとして訴訟を受け、商品・サービスの提供中止あるいは損害賠償等が必要になる場合、又は、インフキュリオングループの知的財産権への第三者による侵害について、インフキュリオングループからの主張が認められず、競争優位性が確保できなくなる場合が考えられ、結果としてインフキュリオングループの業績及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定人物への依存について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンの代表取締役社長CEOである丸山弘毅は、インフキュリオン設立以来インフキュリオングループの事業に深く関与しており、また、決済・金融領域における豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。インフキュリオングループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏のインフキュリオングループにおける業務執行が困難になった場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥子会社管理について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンは連結子会社3社を有しております。連結子会社の管理体制については関係会社管理規程を整備するとともに、インフキュリオンから取締役を派遣し経営指導するなど、実際の企業運営において深く連携しております。また、月次での業績管理、外部環境の変化及び財政状況のモニタリングなど、適切な管理及び支援を実施しております。しかしながら、各社の損益状況は、インフキュリオングループの連結財務諸表に結合されるため、インフキュリオングループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、連結子会社の業績の悪化、不祥事などの発生、外部環境の急速な悪化などが、インフキュリオンの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 大規模な自然災害及び新型感染症の拡大について

<影響度:大/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しております。しかしながら、地震、台風、津波、豪雨、洪水等の自然災害、火災、停電等が発生した場合、インフキュリオングループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、新たな感染症等の拡大により都市封鎖、外出制限等が実施された場合、インフキュリオングループの事業活動が計画どおりに進捗しない可能性や経済へ与える影響によりインフキュリオンサービスの需要減少をもたらし業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

② ソフトウエア資産の減損について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは今後の業容拡大を図るため、継続的にソフトウエアの設計・開発に向けた投資を行っております。各事業の実績が事業計画を大きく下回り、期末時点での業績見通しから、当該ソフトウエアの資産価値が著しく低下したと判断した場合には、減損損失を計上しております。このような状況になった場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 訴訟について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

当連結会計年度においてインフキュリオングループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかしながら、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、インフキュリオングループに不利な判断がなされた場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 親会社等との関係について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンは、SMBCグループと、法人向け決済を起点とした企業のDXを総合的に支援するソリューション・プラットフォームの構築・提供を目的として、資本業務提携契約を締結しております。

インフキュリオンは、本提携によりSMBCグループと共同で新たなプロダクトの開発を行い、共同事業から得られる収益については貢献度に応じた分配を受けることで合意しております。また、当該共同事業に必要なコンサルティング及びシステム開発については、原則としてインフキュリオングループが受託することとなっており、特にコンサルティング業務については固定のリテイナー・フィーを受領することに合意しております。加えて、インフキュリオンの既存プロダクトを共同事業に組み込む予定であり、これに係る従量課金収入は別途発生する見込みであります。

インフキュリオンは、㈱三井住友フィナンシャルグループ(以下、「SMFG」といいます。また、SMBCグループとあわせて「SMFGグループ」といいます。)が発行済株式総数の29.0%(本書提出日現在)を間接的に保有する持分法適用会社であり、SMFGはインフキュリオンの「その他の関係会社」に該当いたします。SMFGグループはインフキュリオンの筆頭株主でありますが、インフキュリオングループの経営の自主性及び独立性を維持することについて資本業務提携契約にて合意しており、インフキュリオングループの経営方針、政策決定及び事業展開に関する意思決定は、独立役員及び専任役員を中心とした経営陣により独自に行っております。

なお、SMFGグループとの取引は関連当事者取引に該当し、2025年3月期において343百万円の取引が発生しております(詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」をご参照ください)。これらの取引におきましては、一般株主との間に利益相反が生じる可能性があることを認識しており、インフキュリオンは実効的なガバナンス体制を構築することにより、一般株主の利益に十分配慮した対応を行っております。

また、人的関係として、インフキュリオン役員のうち徳田勝之は三井住友カード㈱の代表取締役専務を兼務しておりますが、これはインフキュリオン事業に対する助言を得ることを目的としております。更にインフキュリオンの事業遂行において、SMFGグループの事前承認又は事前報告を必要とする事項はなく、インフキュリオンの独立性及び自立性は確保されていると認識しており、今後についても同様の関係性を維持する方針であります。

現在、SMFGグループとの関係は良好ですが、仮に関係が悪化するような事態が発生した場合、インフキュリオンに対するSMFGグループ関連の取引の減少等によりインフキュリオングループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

<影響度:小/顕在可能性:大/発生時期:中期>

インフキュリオングループでは、役員、従業員等に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しているほか、資金調達の多様化を目的として転換社債型新株予約権付社債を発行しております。現在付与している新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,918,400株であり、発行済株式総数18,669,600株の15.6%に相当しております。

 

⑥ 配当政策について

<影響度:小/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、企業価値を最大限にし、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現時点においては、財務体質の強化と事業拡大のため内部留保の充実を図り、収益基盤の整備や収益力強化を当面の優先事項とすることが株主に対する最大の利益還元に繋がると認識しております。

将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

事業等のリスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に投資家の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてインフキュリオングループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

① 技術革新への対応について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループが事業展開しているキャッシュレス決済及び金融DX関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インフキュリオングループもその変化に柔軟に対応する必要があります。最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、インフキュリオングループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、finbeeを展開する㈱ネストエッグにおいて、電子決済等代行事業者としての登録を行っております。また、Wallet Stationを手掛ける㈱インフキュリオン及びAnywhereを展開する㈱リンク・プロセシングにおいて電気通信事業者としての届出を行っているほか、Wallet Station及びXardを展開する㈱インフキュリオンにおいて、資金決済に関する法律に基づく第三者型前払式支払手段を発行する事業者としての登録を行っております。本書提出日現在において認識している限りでは、インフキュリオングループは法令に定める欠格事由に該当する事実を有しておらず、また、所属する団体の自主規制規則に抵触する事実も有しておりません。しかしながら、将来、法律の改正、関連当局の指導、自主規制規則の改正などにより登録の取消等が発生した場合には、インフキュリオングループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競争環境の変化について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、日本においてまだ草創期にあるEnbedded Finance(組込型金融)事業を展開しております。本分野は急速に拡大していく分野であるため、今後競合企業が参入する可能性があります。インフキュリオングループは、これまで培った決済・金融領域の知見、ノウハウをもとに、これまでにないフィンテックサービスを逐次提供していくとともに、コンサルティング事業を通じた早期の顧客ニーズ把握による研究開発及び先行サービスの導入を梃に、アライアンス先及び資本提携先との顧客獲得のための戦略的な施策を展開することで、継続的な事業成長に努めてまいります。しかしながら、競合企業の競争力向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化に伴い、インフキュリオングループやインフキュリオングループのサービス等に対する評価や信頼性を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ ペイメントプラットフォーム事業の営業損失について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、2025年3月期に連結業績における各段階損益において黒字化を達成するなど成長フェーズに移行しております。なかでも、ペイメントプラットフォーム事業の各プロダクトが順調に立ち上がっており、インフキュリオングループの成長を牽引する事業として積極的な投資を継続しております。当該事業は、現在セグメント単位で営業損失を計上しておりますが、各プロダクトにおいては毎月固定で受領する基本料等のほか、決済処理金額等に応じて受領する従量型のストック収入が業績成長を牽引していることから、今後も顧客の積み上げによる売上高の拡大及び収益性の向上に伴い黒字化を見込んでおります。インフキュリオングループでは、事業又はプロダクト単位での収益性及び成長性をもとにした事業ポートフォリオ管理を実施するとともに、資本効率を意識したキャッシュアロケーションを行い、成長可能性が高い事業への資源分配に取り組むことで業績リスクの低減と高成長の実現に取り組んでおります。しかしながら、顧客獲得活動に遅れが生じた場合、又は事業拡大に必要な人材の獲得が想定通り進まず、当該事業の赤字が継続又は拡大する場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 大型案件による売上高等の変動について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、金融機関や大企業をはじめとした幅広い顧客から受注しており、特定の取引先に依存しない収益構造となっておりますが、一部のプロジェクトについては大型案件となり、年度によって特定の取引先からの受注金額が多くなる場合がございます。そのため、インフキュリオングループではプロジェクトごとの進捗を管理し、計画どおりに売上高及び利益の計上ができるように努めております。しかしながら、プロジェクトの進捗如何では、業績が特定の四半期に偏る可能性がございます。また、納期の変更により顧客の検収タイミングが事業年度を前後することでインフキュリオンの売上が変動し、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 決済端末の製造・調達・販売について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

マーチャントプラットフォーム事業において事業者に対し提供する決済端末について、インフキュリオングループは、中国を中心にグローバルでPOS端末等のOEM提供を行う海外メーカー等から、品質・セキュリティ面で精査・管理を行ったうえで端末を仕入れております。仕入元である当該海外メーカーはいずれも世界的な大規模端末メーカーであることから生産能力に問題はないほか、顧客へ安定供給できる程度の在庫を常時保有できるよう、良好な関係を構築しております。しかしながら、メーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を生じるような事態が発生した場合のほか、メーカーの事業撤退など予期せぬ事象の発生によって決済端末の調達が困難になった場合、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 他社との業務・資本提携等について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし)

インフキュリオングループは、業務提携、資本提携等を通じた事業の拡大及び成長加速に取り組んでいく方針であり、インフキュリオングループの持つ技術やノウハウと提携先の持つ顧客網などを融合することにより、事業シナジーを発揮することを目指しております。M&Aを行う場合には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを回避するように努めておりますが、時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない可能性のほか、買収後に偶発債務の発生等の可能性があります。また、新サービスを目的とした提携においてはその性質上、当該新サービスによるインフキュリオングループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、当初見込んだ効果が発揮されない場合やこれらの提携等が何らかの理由で解消された場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 事業投資について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし)

インフキュリオングループは、事業シナジーのあるスタートアップ企業及び事業への投資、子会社設立などを行っております。投資先選定にあたっては当該企業の財務内容など、詳細なデューデリジェンスを行い、また投資先については経営陣が定期的にモニタリングを行うことにより可能な限りリスクを早期に把握し回避するよう努めておりますが、今後の投資先の業績が計画通りに進捗せず経営状態が悪化した場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)システム及びセキュリティに関するリスク

① 不正アクセスへの対応について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、多くの事業において個人情報や機密情報を扱っていることから、データを不正に取得すること、なりすましによる悪用を目的とした悪意の第三者によるシステムへの不正アクセス等を受ける可能性があります。キャッシュレス決済に関するセキュリティの問題は、電子決済サービスを通じた銀行からの不正出金事故などにより世論の注目が高まっており、FISC(金融情報システムセンター)やキャッシュレス推進協議会等の業界団体、API接続先と協働して更なるセキュリティ強化対策を推進してまいります。

インフキュリオングループでは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら、サービスを提供するシステムや社内情報システム等に対して、ファイアウォールやWAFなどのセキュリティ機器の設置、外部のセキュリティ診断会社から客観的独立性をもった評価の実施・指摘箇所に対する対応等により、外部からの不正アクセスの予防を図っております。また、重要なデータは電子政府推奨暗号を用いて暗号化し、データの送受信も現時点で推奨される暗号化方式で暗号化するなど適切なセキュリティ対策を実施したうえで監視体制を強化しております。これに加え、従業員端末の振る舞い検知型のウィルス対策ソフトの導入や、個人情報を取り扱う保守作業を行う専用の環境を設置するなどの対策、コロナ下におけるリモートワークを前提とした堅牢かつ安定的な保守運用環境の確立、最新の攻撃動向の情報や脆弱性情報の収集・評価と必要な対策を実施することなどで万全なセキュリティを確保することを目指しております。しかしながら、インフキュリオングループが提供したサービスに対し、外部からの不正アクセス又は不正利用等が生じる可能性があり、そのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、インフキュリオングループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムトラブルについて

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループの事業の多くはインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、インフキュリオングループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは事業運営上、多くの顧客情報(一部個人情報を含む)及び機密情報を保有しております。そのため、機密情報の保護に紐づく社内規程の厳格な運用、機密情報の取り扱いに関する定期的な社内教育の実施、委託先管理の強化徹底など、セキュリティシステムの整備を行っております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、インフキュリオングループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、インフキュリオングループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム開発について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループにおける事業のなかには、顧客のサービス利用に先立って、システム開発を実施するものがあります。システム開発にあたっては、品質管理基準にもとづく品質管理体制を構築し、開発プロセスの標準化等を実施しております。しかしながら、システム開発が高度化するなか、計画通りの品質を確保できない場合等には、プロジェクト完了のための追加対応費用や顧客からの損害賠償請求等により、インフキュリオングループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営管理体制に関するリスク

① 人材の採用・育成について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループが、今後更なる事業拡大を実現するためには、優秀な人材の確保が必要不可欠となります。人材の獲得及び社内人材の育成に加え、人材の外部流出を防止することが重要な課題であり、採用による人材の獲得を積極的に行うとともに、各種勉強会の開催や福利厚生の充実等の施策を行っております。しかしながら、インフキュリオングループが必要な人材を十分に確保できなかった場合、又は社内の重要な人材が外部に流出してしまった場合には、人材の充実及び育成が計画どおりに進まず、事業規模に応じた適正な人材配置が困難になることから、事業拡大の制約要因となり、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するためには、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大にあわせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針でありますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ コンプライアンス体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図るなどコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、今後のインフキュリオングループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権の管理について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、知的財産を企業の重要な経営資源と位置付けております。このため、第三者の知的財産権に対する侵害予防及び保有している知的財産権の保護に努めております。しかし、第三者よりその知的財産権をインフキュリオンが侵害したとして訴訟を受け、商品・サービスの提供中止あるいは損害賠償等が必要になる場合、又は、インフキュリオングループの知的財産権への第三者による侵害について、インフキュリオングループからの主張が認められず、競争優位性が確保できなくなる場合が考えられ、結果としてインフキュリオングループの業績及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定人物への依存について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンの代表取締役社長CEOである丸山弘毅は、インフキュリオン設立以来インフキュリオングループの事業に深く関与しており、また、決済・金融領域における豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。インフキュリオングループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏のインフキュリオングループにおける業務執行が困難になった場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥子会社管理について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンは連結子会社3社を有しております。連結子会社の管理体制については関係会社管理規程を整備するとともに、インフキュリオンから取締役を派遣し経営指導するなど、実際の企業運営において深く連携しております。また、月次での業績管理、外部環境の変化及び財政状況のモニタリングなど、適切な管理及び支援を実施しております。しかしながら、各社の損益状況は、インフキュリオングループの連結財務諸表に結合されるため、インフキュリオングループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、連結子会社の業績の悪化、不祥事などの発生、外部環境の急速な悪化などが、インフキュリオンの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 大規模な自然災害及び新型感染症の拡大について

<影響度:大/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しております。しかしながら、地震、台風、津波、豪雨、洪水等の自然災害、火災、停電等が発生した場合、インフキュリオングループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、新たな感染症等の拡大により都市封鎖、外出制限等が実施された場合、インフキュリオングループの事業活動が計画どおりに進捗しない可能性や経済へ与える影響によりインフキュリオンサービスの需要減少をもたらし業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

② ソフトウエア資産の減損について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは今後の業容拡大を図るため、継続的にソフトウエアの設計・開発に向けた投資を行っております。各事業の実績が事業計画を大きく下回り、期末時点での業績見通しから、当該ソフトウエアの資産価値が著しく低下したと判断した場合には、減損損失を計上しております。このような状況になった場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 訴訟について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

当連結会計年度においてインフキュリオングループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかしながら、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、インフキュリオングループに不利な判断がなされた場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 親会社等との関係について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンは、SMBCグループと、法人向け決済を起点とした企業のDXを総合的に支援するソリューション・プラットフォームの構築・提供を目的として、資本業務提携契約を締結しております。

インフキュリオンは、本提携によりSMBCグループと共同で新たなプロダクトの開発を行い、共同事業から得られる収益については貢献度に応じた分配を受けることで合意しております。また、当該共同事業に必要なコンサルティング及びシステム開発については、原則としてインフキュリオングループが受託することとなっており、特にコンサルティング業務については固定のリテイナー・フィーを受領することに合意しております。加えて、インフキュリオンの既存プロダクトを共同事業に組み込む予定であり、これに係る従量課金収入は別途発生する見込みであります。

インフキュリオンは、㈱三井住友フィナンシャルグループ(以下、「SMFG」といいます。また、SMBCグループとあわせて「SMFGグループ」といいます。)が発行済株式総数の29.0%(本書提出日現在)を間接的に保有する持分法適用会社であり、SMFGはインフキュリオンの「その他の関係会社」に該当いたします。SMFGグループはインフキュリオンの筆頭株主でありますが、インフキュリオングループの経営の自主性及び独立性を維持することについて資本業務提携契約にて合意しており、インフキュリオングループの経営方針、政策決定及び事業展開に関する意思決定は、独立役員及び専任役員を中心とした経営陣により独自に行っております。

なお、SMFGグループとの取引は関連当事者取引に該当し、2025年3月期において343百万円の取引が発生しております(詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」をご参照ください)。これらの取引におきましては、一般株主との間に利益相反が生じる可能性があることを認識しており、インフキュリオンは実効的なガバナンス体制を構築することにより、一般株主の利益に十分配慮した対応を行っております。

また、人的関係として、インフキュリオン役員のうち徳田勝之は三井住友カード㈱の代表取締役専務を兼務しておりますが、これはインフキュリオン事業に対する助言を得ることを目的としております。更にインフキュリオンの事業遂行において、SMFGグループの事前承認又は事前報告を必要とする事項はなく、インフキュリオンの独立性及び自立性は確保されていると認識しており、今後についても同様の関係性を維持する方針であります。

現在、SMFGグループとの関係は良好ですが、仮に関係が悪化するような事態が発生した場合、インフキュリオンに対するSMFGグループ関連の取引の減少等によりインフキュリオングループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

<影響度:小/顕在可能性:大/発生時期:中期>

インフキュリオングループでは、役員、従業員等に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しているほか、資金調達の多様化を目的として転換社債型新株予約権付社債を発行しております。現在付与している新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,918,400株であり、発行済株式総数18,669,600株の15.6%に相当しております。

 

⑥ 配当政策について

<影響度:小/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、企業価値を最大限にし、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現時点においては、財務体質の強化と事業拡大のため内部留保の充実を図り、収益基盤の整備や収益力強化を当面の優先事項とすることが株主に対する最大の利益還元に繋がると認識しております。

将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

事業等のリスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に投資家の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてインフキュリオングループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

① 技術革新への対応について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループが事業展開しているキャッシュレス決済及び金融DX関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インフキュリオングループもその変化に柔軟に対応する必要があります。最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、インフキュリオングループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、finbeeを展開する㈱ネストエッグにおいて、電子決済等代行事業者としての登録を行っております。また、Wallet Stationを手掛ける㈱インフキュリオン及びAnywhereを展開する㈱リンク・プロセシングにおいて電気通信事業者としての届出を行っているほか、Wallet Station及びXardを展開する㈱インフキュリオンにおいて、資金決済に関する法律に基づく第三者型前払式支払手段を発行する事業者としての登録を行っております。本書提出日現在において認識している限りでは、インフキュリオングループは法令に定める欠格事由に該当する事実を有しておらず、また、所属する団体の自主規制規則に抵触する事実も有しておりません。しかしながら、将来、法律の改正、関連当局の指導、自主規制規則の改正などにより登録の取消等が発生した場合には、インフキュリオングループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競争環境の変化について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、日本においてまだ草創期にあるEnbedded Finance(組込型金融)事業を展開しております。本分野は急速に拡大していく分野であるため、今後競合企業が参入する可能性があります。インフキュリオングループは、これまで培った決済・金融領域の知見、ノウハウをもとに、これまでにないフィンテックサービスを逐次提供していくとともに、コンサルティング事業を通じた早期の顧客ニーズ把握による研究開発及び先行サービスの導入を梃に、アライアンス先及び資本提携先との顧客獲得のための戦略的な施策を展開することで、継続的な事業成長に努めてまいります。しかしながら、競合企業の競争力向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化に伴い、インフキュリオングループやインフキュリオングループのサービス等に対する評価や信頼性を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ ペイメントプラットフォーム事業の営業損失について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、2025年3月期に連結業績における各段階損益において黒字化を達成するなど成長フェーズに移行しております。なかでも、ペイメントプラットフォーム事業の各プロダクトが順調に立ち上がっており、インフキュリオングループの成長を牽引する事業として積極的な投資を継続しております。当該事業は、現在セグメント単位で営業損失を計上しておりますが、各プロダクトにおいては毎月固定で受領する基本料等のほか、決済処理金額等に応じて受領する従量型のストック収入が業績成長を牽引していることから、今後も顧客の積み上げによる売上高の拡大及び収益性の向上に伴い黒字化を見込んでおります。インフキュリオングループでは、事業又はプロダクト単位での収益性及び成長性をもとにした事業ポートフォリオ管理を実施するとともに、資本効率を意識したキャッシュアロケーションを行い、成長可能性が高い事業への資源分配に取り組むことで業績リスクの低減と高成長の実現に取り組んでおります。しかしながら、顧客獲得活動に遅れが生じた場合、又は事業拡大に必要な人材の獲得が想定通り進まず、当該事業の赤字が継続又は拡大する場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 大型案件による売上高等の変動について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、金融機関や大企業をはじめとした幅広い顧客から受注しており、特定の取引先に依存しない収益構造となっておりますが、一部のプロジェクトについては大型案件となり、年度によって特定の取引先からの受注金額が多くなる場合がございます。そのため、インフキュリオングループではプロジェクトごとの進捗を管理し、計画どおりに売上高及び利益の計上ができるように努めております。しかしながら、プロジェクトの進捗如何では、業績が特定の四半期に偏る可能性がございます。また、納期の変更により顧客の検収タイミングが事業年度を前後することでインフキュリオンの売上が変動し、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 決済端末の製造・調達・販売について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

マーチャントプラットフォーム事業において事業者に対し提供する決済端末について、インフキュリオングループは、中国を中心にグローバルでPOS端末等のOEM提供を行う海外メーカー等から、品質・セキュリティ面で精査・管理を行ったうえで端末を仕入れております。仕入元である当該海外メーカーはいずれも世界的な大規模端末メーカーであることから生産能力に問題はないほか、顧客へ安定供給できる程度の在庫を常時保有できるよう、良好な関係を構築しております。しかしながら、メーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を生じるような事態が発生した場合のほか、メーカーの事業撤退など予期せぬ事象の発生によって決済端末の調達が困難になった場合、インフキュリオングループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 他社との業務・資本提携等について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし)

インフキュリオングループは、業務提携、資本提携等を通じた事業の拡大及び成長加速に取り組んでいく方針であり、インフキュリオングループの持つ技術やノウハウと提携先の持つ顧客網などを融合することにより、事業シナジーを発揮することを目指しております。M&Aを行う場合には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを回避するように努めておりますが、時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない可能性のほか、買収後に偶発債務の発生等の可能性があります。また、新サービスを目的とした提携においてはその性質上、当該新サービスによるインフキュリオングループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、当初見込んだ効果が発揮されない場合やこれらの提携等が何らかの理由で解消された場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 事業投資について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし)

インフキュリオングループは、事業シナジーのあるスタートアップ企業及び事業への投資、子会社設立などを行っております。投資先選定にあたっては当該企業の財務内容など、詳細なデューデリジェンスを行い、また投資先については経営陣が定期的にモニタリングを行うことにより可能な限りリスクを早期に把握し回避するよう努めておりますが、今後の投資先の業績が計画通りに進捗せず経営状態が悪化した場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)システム及びセキュリティに関するリスク

① 不正アクセスへの対応について

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、多くの事業において個人情報や機密情報を扱っていることから、データを不正に取得すること、なりすましによる悪用を目的とした悪意の第三者によるシステムへの不正アクセス等を受ける可能性があります。キャッシュレス決済に関するセキュリティの問題は、電子決済サービスを通じた銀行からの不正出金事故などにより世論の注目が高まっており、FISC(金融情報システムセンター)やキャッシュレス推進協議会等の業界団体、API接続先と協働して更なるセキュリティ強化対策を推進してまいります。

インフキュリオングループでは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら、サービスを提供するシステムや社内情報システム等に対して、ファイアウォールやWAFなどのセキュリティ機器の設置、外部のセキュリティ診断会社から客観的独立性をもった評価の実施・指摘箇所に対する対応等により、外部からの不正アクセスの予防を図っております。また、重要なデータは電子政府推奨暗号を用いて暗号化し、データの送受信も現時点で推奨される暗号化方式で暗号化するなど適切なセキュリティ対策を実施したうえで監視体制を強化しております。これに加え、従業員端末の振る舞い検知型のウィルス対策ソフトの導入や、個人情報を取り扱う保守作業を行う専用の環境を設置するなどの対策、コロナ下におけるリモートワークを前提とした堅牢かつ安定的な保守運用環境の確立、最新の攻撃動向の情報や脆弱性情報の収集・評価と必要な対策を実施することなどで万全なセキュリティを確保することを目指しております。しかしながら、インフキュリオングループが提供したサービスに対し、外部からの不正アクセス又は不正利用等が生じる可能性があり、そのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、インフキュリオングループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムトラブルについて

<影響度:大/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループの事業の多くはインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、インフキュリオングループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは事業運営上、多くの顧客情報(一部個人情報を含む)及び機密情報を保有しております。そのため、機密情報の保護に紐づく社内規程の厳格な運用、機密情報の取り扱いに関する定期的な社内教育の実施、委託先管理の強化徹底など、セキュリティシステムの整備を行っております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、インフキュリオングループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、インフキュリオングループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム開発について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループにおける事業のなかには、顧客のサービス利用に先立って、システム開発を実施するものがあります。システム開発にあたっては、品質管理基準にもとづく品質管理体制を構築し、開発プロセスの標準化等を実施しております。しかしながら、システム開発が高度化するなか、計画通りの品質を確保できない場合等には、プロジェクト完了のための追加対応費用や顧客からの損害賠償請求等により、インフキュリオングループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営管理体制に関するリスク

① 人材の採用・育成について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループが、今後更なる事業拡大を実現するためには、優秀な人材の確保が必要不可欠となります。人材の獲得及び社内人材の育成に加え、人材の外部流出を防止することが重要な課題であり、採用による人材の獲得を積極的に行うとともに、各種勉強会の開催や福利厚生の充実等の施策を行っております。しかしながら、インフキュリオングループが必要な人材を十分に確保できなかった場合、又は社内の重要な人材が外部に流出してしまった場合には、人材の充実及び育成が計画どおりに進まず、事業規模に応じた適正な人材配置が困難になることから、事業拡大の制約要因となり、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するためには、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大にあわせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針でありますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ コンプライアンス体制について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図るなどコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、今後のインフキュリオングループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権の管理について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、知的財産を企業の重要な経営資源と位置付けております。このため、第三者の知的財産権に対する侵害予防及び保有している知的財産権の保護に努めております。しかし、第三者よりその知的財産権をインフキュリオンが侵害したとして訴訟を受け、商品・サービスの提供中止あるいは損害賠償等が必要になる場合、又は、インフキュリオングループの知的財産権への第三者による侵害について、インフキュリオングループからの主張が認められず、競争優位性が確保できなくなる場合が考えられ、結果としてインフキュリオングループの業績及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定人物への依存について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンの代表取締役社長CEOである丸山弘毅は、インフキュリオン設立以来インフキュリオングループの事業に深く関与しており、また、決済・金融領域における豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。インフキュリオングループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏のインフキュリオングループにおける業務執行が困難になった場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥子会社管理について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンは連結子会社3社を有しております。連結子会社の管理体制については関係会社管理規程を整備するとともに、インフキュリオンから取締役を派遣し経営指導するなど、実際の企業運営において深く連携しております。また、月次での業績管理、外部環境の変化及び財政状況のモニタリングなど、適切な管理及び支援を実施しております。しかしながら、各社の損益状況は、インフキュリオングループの連結財務諸表に結合されるため、インフキュリオングループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、連結子会社の業績の悪化、不祥事などの発生、外部環境の急速な悪化などが、インフキュリオンの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 大規模な自然災害及び新型感染症の拡大について

<影響度:大/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しております。しかしながら、地震、台風、津波、豪雨、洪水等の自然災害、火災、停電等が発生した場合、インフキュリオングループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、新たな感染症等の拡大により都市封鎖、外出制限等が実施された場合、インフキュリオングループの事業活動が計画どおりに進捗しない可能性や経済へ与える影響によりインフキュリオンサービスの需要減少をもたらし業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

② ソフトウエア資産の減損について

<影響度:中/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは今後の業容拡大を図るため、継続的にソフトウエアの設計・開発に向けた投資を行っております。各事業の実績が事業計画を大きく下回り、期末時点での業績見通しから、当該ソフトウエアの資産価値が著しく低下したと判断した場合には、減損損失を計上しております。このような状況になった場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 訴訟について

<影響度:中/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

当連結会計年度においてインフキュリオングループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかしながら、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、インフキュリオングループに不利な判断がなされた場合、インフキュリオングループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 親会社等との関係について

<影響度:小/顕在可能性:小/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオンは、SMBCグループと、法人向け決済を起点とした企業のDXを総合的に支援するソリューション・プラットフォームの構築・提供を目的として、資本業務提携契約を締結しております。

インフキュリオンは、本提携によりSMBCグループと共同で新たなプロダクトの開発を行い、共同事業から得られる収益については貢献度に応じた分配を受けることで合意しております。また、当該共同事業に必要なコンサルティング及びシステム開発については、原則としてインフキュリオングループが受託することとなっており、特にコンサルティング業務については固定のリテイナー・フィーを受領することに合意しております。加えて、インフキュリオンの既存プロダクトを共同事業に組み込む予定であり、これに係る従量課金収入は別途発生する見込みであります。

インフキュリオンは、㈱三井住友フィナンシャルグループ(以下、「SMFG」といいます。また、SMBCグループとあわせて「SMFGグループ」といいます。)が発行済株式総数の29.0%(本書提出日現在)を間接的に保有する持分法適用会社であり、SMFGはインフキュリオンの「その他の関係会社」に該当いたします。SMFGグループはインフキュリオンの筆頭株主でありますが、インフキュリオングループの経営の自主性及び独立性を維持することについて資本業務提携契約にて合意しており、インフキュリオングループの経営方針、政策決定及び事業展開に関する意思決定は、独立役員及び専任役員を中心とした経営陣により独自に行っております。

なお、SMFGグループとの取引は関連当事者取引に該当し、2025年3月期において343百万円の取引が発生しております(詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」をご参照ください)。これらの取引におきましては、一般株主との間に利益相反が生じる可能性があることを認識しており、インフキュリオンは実効的なガバナンス体制を構築することにより、一般株主の利益に十分配慮した対応を行っております。

また、人的関係として、インフキュリオン役員のうち徳田勝之は三井住友カード㈱の代表取締役専務を兼務しておりますが、これはインフキュリオン事業に対する助言を得ることを目的としております。更にインフキュリオンの事業遂行において、SMFGグループの事前承認又は事前報告を必要とする事項はなく、インフキュリオンの独立性及び自立性は確保されていると認識しており、今後についても同様の関係性を維持する方針であります。

現在、SMFGグループとの関係は良好ですが、仮に関係が悪化するような事態が発生した場合、インフキュリオンに対するSMFGグループ関連の取引の減少等によりインフキュリオングループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

<影響度:小/顕在可能性:大/発生時期:中期>

インフキュリオングループでは、役員、従業員等に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しているほか、資金調達の多様化を目的として転換社債型新株予約権付社債を発行しております。現在付与している新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,918,400株であり、発行済株式総数18,669,600株の15.6%に相当しております。

 

⑥ 配当政策について

<影響度:小/顕在可能性:中/発生時期:特定時期なし>

インフキュリオングループは、企業価値を最大限にし、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現時点においては、財務体質の強化と事業拡大のため内部留保の充実を図り、収益基盤の整備や収益力強化を当面の優先事項とすることが株主に対する最大の利益還元に繋がると認識しております。

将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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