古河電気工業(5801)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】当企業集団は、インフラ、電装エレクトロニクス、機能製品の各事業において培われた技術を発展、応用した製品の製造販売を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びその他のサービス等の事業活動を展開しております。当連結会計年度末における当企業集団の事業内容、各関係会社の当該事業に係わる位置づけ及び報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。 インフラ古河電気工業、Lightera, LLC、Lightera LatAm S.A.、ライテラジャパン㈱、古河電工メタルケーブル㈱他が製造及び販売を行っております。電装エレクトロニクス古河電気工業、古河AS㈱、古河マグネットワイヤ㈱他が製造及び販売を行っております。機能製品古河電気工業、Trocellen GmbH、古河銅箔股份有限公司、台日古河銅箔股份有限公司他が製造及び販売を行っております。サービス・開発等古河電気工業、古河日光発電㈱他が各種サービス事業及び新製品研究開発等を行っております。 なお、販売会社については、主に取り扱う製品の種類により、各セグメントに区分しております。以上の項目を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において古河電気工業グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針■古河電工グループの理念体系古河電気工業グループは、古河電工グループ パーパス(以下、パーパス)「『つづく』をつくり、世界を明るくする。」を軸とした経営を推進しています。古河電気工業グループのパーパスは、「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、ビジョン2030)に向けた全社戦略及び全ての経営判断・戦略立案の起点となる概念です。古河電工グループ理念体系において、「パーパス」は私たちの存在意義、「ビジョン」は目指す姿を示し、「Core Values」は全社員が共有する共通の価値観として基盤を形成するものです。これらは、全体が関係し合い、古河電気工業グループの持続的成長を支える枠組みです。 ■古河電工グループ パーパス*古河電気工業グループのパーパスは、経営の判断軸となり、多様なステークホルダーから真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業グループとして認知され、従業員が誇りを持って挑戦し続けるために定めた古河電気工業グループの存在意義を明文化したものです。創業以来磨き続けてきた技術力と提案力を強みとし、さまざまな社会課題に向き合い挑戦することで、よりよい未来へとつながる「つづく」をつくることが古河電気工業グループの存在意義である、との思いを込めています。また、創業者である古河市兵衛の「日本を明るくしたい」という思いを継承しつつ、グローバルに事業を展開していることを鑑みた表現にしています。 *「古河電工グループ パーパス」は、2024年3月に制定され、2024年4月19日から施行されています。 ■古河電工グループ ビジョン2030ビジョン2030は、古河電気工業グループが目指す姿を示しています。急速に大きく変化する社会に貢献し続けるには、どう変わっていけばよいか、グループが一丸となって何をしていくべきか、そのゴールを明確に共有できるように、将来社会像やパーパスを踏まえて描いた古河電気工業グループの将来のありたい姿の時間軸と領域を明確にしたものです。ビジョン2030で古河電気工業グループは「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ため、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において社会基盤を創り、また、更なる成長に向けては、新領域におけるこれまでにない新たな事業の創出にも取り組み、社会課題の解決を目指しています。古河電工グループは「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ため、情報 / エネルギー / モビリティが融合した社会基盤を創る。 ■Core Values(コア・バリュー)パーパスを体現し、古河電気工業グループが持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観としての5つを定め、「Core Values」としています。 ■古河電工グループのサステナビリティ基本方針古河電気工業グループは、パーパスのもと、ビジョン実現に向けた取組みを実行し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指します。こうした基本的な考え方を、「古河電工グループ サステナビリティ基本方針」と制定しています。 古河電工グループ サステナビリティ基本方針古河電工グループは、「古河電工グループ パーパス」に基づき、収益機会とリスクを踏まえて設定した経営上の重要課題に取組み、社会課題の解決を通じて持続的な成長を目指します。 社会課題を解決する事業の強化・創出に向けて、資本効率を重視しつつ、技術力と提案力を強みとした絶え間ないイノベーションや多様なステークホルダーとの共創により事業を変革し続けます。 国内外の法令、社会規範や倫理に従うとともに、適切な情報開示と積極的なコミュニケーションを通じて、全てのステークホルダーとの健全で良好な関係を維持・向上させ、社会の持続的な発展に貢献します。 (2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題本項は、古河電気工業グループの経営全体の方向性を示すものです。25中計の振り返り、外部環境認識と古河電気工業が取り組むべき課題(対処すべき課題)、パーパスを軸としたサステナブルな経営、ビジョン2030実現及び持続的な成長に向けた経営方針と取組み、実行を支える体制、を記載しております。また、これらのうち、サステナビリティ関連のリスク及び機会として重要性が高い「気候変動」及び「人的資本」については、「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」において詳細を記載しております。 1)25中計振り返り古河電気工業グループでは、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その実現に向け2025年度を最終年度とする4か年の中期経営計画「Road to Vision 2030 -変革と挑戦-」(以下、25中計)を2022年度に策定し、各施策に取り組んでまいりました。具体的には、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進、また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいりました。また、ビジョン2030を実現するために古河電気工業グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面でマテリアリティを特定し、それぞれに指標・目標を「サステナビリティ指標・目標」と設定しました。この目標達成により、ビジョン2030を実現するとともに、SDGsの達成にも寄与すること、さらには、古河電気工業グループの中長期的な企業価値向上を目指して取り組んでまいりました。 (ⅰ)資本効率重視による既存事業の収益最大化成長性と収益性の指標を用いて事業の位置付けを可視化し、その結果に応じて経営資源を成長が見込まれる分野に集中して配分することにより、資本効率性を意識した経営管理を推進するとともに事業ポートフォリオの見直しを図ってまいりました。事業ポートフォリオ最適化のため、事業の再編・撤退、企業買収等の事業ポートフォリオの変革を推進し、戦略投資枠の活用による積極的なM&Aや資本提携などを実施してまいりました。 〔主な事業ポートフォリオの最適化の取組み〕・光ファイバ・ケーブル事業の運営体制を刷新し、各地域における事業を統合。新ブランド「Lightera*」のもと、一体となったグローバル経営により効率的かつ迅速な意思決定を可能とする体制を整備。・メタル電線事業を再編し、事業運営の効率化による相乗効果を発揮することで、多様化・高度化するニーズに迅速に対応。・光コネクタにおいて開発力・コスト競争力に強みを持つ会社や高速光変調器において世界トップレベルのシェアを有する会社を子会社化し、シナジーの発揮による成長市場における古河電気工業の優位性を確立。・一部の関係会社に関する株式売却により、成長分野への再投資に向けてノンコア事業や不採算事業を切り離すことで、資本効率を改善。 また、拡大が続くデータセンタ関連需要を確実に取り込むため、高速大容量・低遅延通信等の実現に貢献する製品群、及びサーバ等の高発熱化に対応する放熱・冷却製品群の製造能力を増強するとともに、これらの高付加価値製品の開発や増産、拡販を通じた収益基盤の拡大に取り組んでまいりました。このほか、販売価格の適正化及び業務プロセス改善の取組みによる原価低減を図ってまいりました。* Lightera: 古河電気工業グループの光ファイバ・ケーブル事業におけるブランド名称。 (ⅱ)開発力・提案力の強化による新規事業創出に向けた基盤整備素材力を核として長年培ってきた「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を活用するとともに、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスの開発・提供を通じて、新たな社会課題解決型事業創出に向けた基盤整備を図ってまいりました。情報領域において、B5G*社会に対応するため、データトラフィックの増加への対応やデータセンタの高速大容量化・低消費電力化の推進が求められるなか、古河電気工業のコア技術であるフォトニクス技術及び高周波技術を生かし、光電融合を実現する高機能なフォトニクス製品を開発することにより、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現を図ってまいりました。加えて新領域においては、市場視点でのマーケティング活動を通じて、自社技術に基づく知見を生かし国内外のパートナー企業と共創するとともに、部門横断的な事業開発を促進してまいりました。具体的なテーマとして「ライフサイエンス」、「レーザ応用」、「超電導」及び「グリーンLPガス*」に注力し、事業化に向けた取組みを加速してまいりました。「ライフサイエンス」については、医療・産業機器向け光ファイバ及び光関連部品を製造する会社を子会社化してフォトニクス技術の活用による非通信領域に関する事業の強化を進めてまいりました。「レーザ応用」については、環境負荷の低減及び作業環境の安全性・快適性向上に貢献し、金属表面の塗膜や錆を非接触で除去できるレーザ施工システムに関して、複数の顧客との共同開発や実証実験を進め、大手鉄道会社において実運用が開始されました。「超電導」については、次世代のエネルギー源として期待される核融合*炉の開発を進める英国の顧客に対する高温超電導線材の供給や同社への出資を通じたパートナーシップの強化などを推進してまいりました。「グリーンLPガス」については、独自開発したラムネ触媒®をはじめとする複数の触媒及びこれらを用いたバイオガスの分子構造を変更するプロセスを開発することにより、高効率にグリーンLPガスを合成できる基盤技術の構築に取り組んでおり、さらに世界に先駆けてグリーンLPガスの量産に向けた実証プラントの建設を進めてまいりました。* B5G(Beyond5G):5G(第5世代移動通信システム)を引き継ぎ高度化した次世代移動通信システム。5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)の更なる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼等の特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。* グリーンLPガス:バイオガス(家畜の排泄物や生ゴミなどを発酵させた際に発生するメタンガスと二酸化炭素の混合ガス)やDAC(Direct Air Capture(直接空気回収技術))から得られる二酸化炭素、再生可能エネルギーを用いた水電解による水素など、これらの環境負荷の低い原料をもとに生成したLPガスのこと。* 核融合:強力な超電導マグネットで高温プラズマ(数億度)を閉じ込め、核融合反応でエネルギーを発生させる。核融合の燃料の元は海水(重水素(2H))であり、二酸化炭素(CO₂)を排出せずに発電可能で環境負荷も低いことから、核融合による発電は次世代のエネルギー源として期待されている。 (ⅲ)ESG経営の基盤強化環境(Environment)に関する取組みとして、脱炭素社会及び水・資源循環型社会への貢献等を掲げた「古河電工グループ環境目標2030」の各目標を達成するための施策に取り組んでまいりました。太陽光発電設備の導入を進めるなど電力消費量に占める再生可能エネルギー比率の向上への取組みなどにより、温室効果ガス排出量削減率に関する目標値の早期達成につながりました。このような施策への取組みが認められ、企業や自治体の環境情報開示を促進する国際的な非営利団体であるCDPから、2025年度に気候変動と水セキュリティの2分野で「Aリスト」、サプライヤーエンゲージメント評価で「リーダーボード(A)」に選定をされたほか、2026年1月には、環境省から非鉄金属業界初となる「エコ・ファースト企業」の認定を受けました。社会(Social)に関する取組みとして、古河電気工業グループの存在意義を表す古河電工グループ パーパス「『つづく』 をつくり、世界を明るくする。」を2024年3月に制定し、このパーパスについて従業員の理解促進及び共感の醸成を目的とした活動を実施し、これにより従業員が古河電気工業グループで働くことへの誇りをもつことにつなげることで従業員エンゲージメントの向上を推進してまいりました。また、従業員個々人と組織がともに実行力を向上させ成長するため、現状をモニタリングする調査を実施し、その結果を踏まえた改善施策に取り組んでまいりました。これらの取組みにより、「人材・組織実行力の強化」を着実に進め、人的資本投資を通じた持続的な企業価値向上を図ってまいりました。ガバナンス(Governance)に関する取組みとして、コーポレートガバナンスの一層の充実を推進するため、2025年6月に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。また、ESGの取組みを一層推進するための仕組みとして、ESG連動報酬を加えた役員報酬制度を2023年7月から運用しております。さらに、国際的な行動規範に基づき人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、従業員及びサプライチェーンにおける人権リスクの再評価により新たに特定したリスクについて、それらを低減させる施策に取り組んでまいりました。 〔経営指標の振り返り〕25中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、投下資本利益率(ROIC)や自己資本利益率(ROE)等を経営指標として重視してまいりました。これらの取組みの結果、2025年度に達成すべき基準として設定した各財務目標値は全て達成いたしました。また、サステナビリティ目標値(25中計期間において毎年度達成すべき基準として設定した目標値を含む)についても概ね達成いたしました。なお、目標が未達となった「従業員エンゲージメントスコア」についてはその改善に向けてパーパスの浸透活動を通じた組織風土の醸成を、「管理職層に占める女性比率」については管理職層の労働環境改善及びキャリアデザインに関する教育機会の提供等の取組みを、引き続き実施してまいります。 2025年度の財務目標値及び実績値 目標値実績値ROIC(税引後)6%以上12.2%ROE11%以上19.1%Net D/Eレシオ0.8以下0.6自己資本比率35%以上39.1%連結売上高1.1兆円以上1.3兆円連結営業利益580億円以上639億円親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上725億円 2025年度のサステナビリティ目標値及び実績値サステナビリティ指標2025年度 目標2025年度 実績結果 (*7)環境調和製品売上高比率70%72.1%達成新事業研究開発費増加率 (2021年度基準)(※)125%156%3年間達成事業強化・新事業創出テーマに対するIPランドスケープ実施率100%(*1)100%(*1)達成温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)(2021年度基準)(*2)△18.7%△44%(見込)達成見込電力消費量に占める再生可能エネルギー比率(*2)30%53%(見込)達成見込従業員エンゲージメントスコア(*3) 8076未達成(単体)管理職層に占める女性比率7.0%6.3%未達成(単体)新規採用者に占めるキャリア採用比率(管理職層、総合職、一般職)(※)30% (*4)52.8%毎年達成全リスク領域に対するリスク管理活動フォロー率(※)100%100%毎年達成主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ(*5)実施率100%100%達成管理職に対する人権リスクに関する教育実施率(※)(*6)100%100%毎年達成 ※:単年度別目標型の指標。その他は2025年度到達目標型の指標。*1:2022年度に設定したテーマに関して全件実施を意味する100%を目標としたが、2024年度において達成済み。*2:環境目標2030改定(2022年度)に伴い基準年度や目標値を改定。*3:2022年度に目標値設定。2023年度に対象範囲を国内外グループ会社に拡大、単体目標からグループ目標に変更。*4:各年度30%程度を維持する事を意味する。*5:SAQ(Self-Assessment Questionnaire):自己評価アンケート。*6:2022年度に国内開始を目標として開始したが、毎年グループで100%達成。*7:到達目標の場合は2025年度時点、各年目標の場合は達成年数を記載。 2)外部環境認識と古河電気工業グループが取り組むべき課題(対処すべき課題)(ⅰ)外部環境認識古河電気工業グループを取り巻く外部環境は、大きな変化が生じています。これらは古河電気工業グループにとって大きな成長機会である一方、供給責任・人材確保などの重大リスクの増大を意味すると捉えています。 (ⅱ)経営上の重要課題これらを踏まえ、ビジョン2030を実現する経営戦略を具体化すべく、古河電気工業グループでは、約2年間にわたり、経営会議及び取締役会メンバーで約20回の討議機会を設け議論してまいりました。その議論を経て、収益機会とリスク、財務と非財務の双方で、ビジョン2030の実現やその先の持続的な成長に大きく影響を与える可能性のある課題として優先的に対処すべき経営上の重要課題を、社会課題解決による価値創造を推進するための2項目、その価値創造を持続可能にする経営基盤を確立するための4項目、合わせて6項目に設定しました。 〔社会課題解決による価値創造を推進するための経営上の重要課題〕▷ 情報をベースとした社会基盤の創出▷ 社会課題解決に資する新しい事業への挑戦〔価値創造を持続可能にする経営基盤を確立するための経営上の重要課題〕▷ 事業・製品ポートフォリオの最適化▷ 労働生産性の向上▷ 人的資本の最大化▷ ガバナンスの強化・リスク耐性の向上 〔経営上の重要課題特定プロセス〕経営上の重要課題の特定は、Step1~Step4のプロセスで行いました。まず、Step1では「外部要因」と「内部要因」に基づき社会課題を洗い出し、重要項目リストを作成しました。Step2では「株主・投資家にとっての重要度」を高・中・低 で評価しました。Step3では「ビジョン2030実現にとっての重要度」 をリスクと機会の発生可能性や時期、財務影響度などで高・中・低で評価しました。Step4では、Step2~3で評価した優先度の高い項目を、「ビジョン2030実現にとっての重要課題」と「企業の社会的責任を果たしステークホルダーとの信頼関係強化に向けた重要課題」に分類し、さらに前者を整理し、ビジョン2030実現に向けた経営上の重要課題を特定しました。なお、今後は定期的にこれらのステップを行い必要に応じて重要課題の見直しを行います。 ※なお、従来古河電気工業グループでは、ビジョン2030を実現するために古河電気工業グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義してまいりましたが、このたび、ビジョン2030の実現や持続的な企業価値向上に大きく影響を与える可能性のある課題(機会とリスク)(財務・非財務)を優先すべき「経営上の重要課題」と設定しました。 3)パーパスを軸としたサステナブルな経営古河電気工業グループは、25中計期間において、資本効率を重視した収益最大化のための事業構造改革、新事業創出の基盤整備を進めてまいりました。また、ESG経営の基盤強化を重点施策の1つとし、価値創造プロセス設計のなかで、財務目標に加えて、環境・社会・ガバナンスに関する非財務項目についても目標を掲げ、持続可能な企業価値向上に向けて取り組んでまいりました。2026年度以降は、パーパスに基づくサステナブルな経営を実践してまいります。近年の外部環境変化を踏まえると、企業価値に影響する要素は財務・非財務の両面にまたがり、また、収益機会とリスクは一体的に追求していく必要性が増していることから、経営上の重要課題ごとに機会とリスク双方の戦略・施策・指標を明確化し、また、財務だけでなく非財務事項の将来財務価値を踏まえて総合的に管理し、企業価値向上に結び付けてまいります。これらの考え方は、サステナビリティ基本方針に則るものであり、古河電気工業グループのパーパスに基づく経営の実践そのものでもあります。古河電気工業グループはESG経営を超え、パーパスに基づいた経営を実現し、ビジョン2030の実現と持続的な成長を目指します。 4)ビジョン2030実現及び持続的な成長に向けた経営方針急速に変化する外部環境、それに伴う社会課題、そして古河電気工業グループの特徴、事業機会・リスクを総合的に勘案し、優先的に対処すべき経営上の重要課題を選定し、それらに注力することで、社会課題解決による価値創造の推進と持続的な価値創造の経営基盤の確立を目指します。具体的には以下の通りです。 (ⅰ)基本戦略(26年度以降の価値創造戦略)古河電気工業グループは、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を保有し、それら個々の領域に加え、特定市場に限定されない融合領域で社会課題解決に貢献できることを強みとしています。またそれら幅広い領域でのステークホルダーとの信頼関係構築により、長年開発力・提案力を磨いてまいりました。これらが古河電気工業グループの競争力の源泉です。そこで、古河電気工業グループの持続的な事業成長のため、特に2030年に向けては、需要拡大が続くデータセンタ領域に経営資源を集中し、高速・大容量通信基盤の構築、情報の高度化とエネルギー問題の両立に貢献することによる価値創造を通じて、企業価値を向上します。加えて、2030年以降のさらなる成長に向けて新領域での新事業創出にも果敢に挑戦し、社会課題解決による価値創造を継続してまいります。また、これら注力領域の事業拡大を実現するため、競争力強化につながる様々な対応や長期的な視点での資本効率向上、資本コスト低減、ガバナンス体制・リスク耐性の強化を徹底し、2030年以降にもつづく価値創造を持続可能とする経営基盤を確立してまいります。そして、これらの実効性を高めるため、2026年度から執行力を強化する組織体制に変更しました。事業の組み替えや研究開発や営業などの本部機能を事業部門へ大幅移管するとともに、CXO*制を導入し経営上の重要課題ごとに担当CXOを置きました。各重要課題には2030年の到達状態を示す成果指標とその実現のために日常的に管理・改善すべき行動・プロセス・結果を測る指標を設定します。各CXOが経営者として経営全体に責任を持ちつつ、実効性ある取組みをスピード感を持って推進し、担当する経営上の重要課題の解決にあたります。* CXO(Chief X Officer):各機能・重要課題に責任を持つ役員体制。 (ⅱ)経営上の重要課題に対する取組みビジョン2030の実現やその先の持続的な成長に大きく影響を与える可能性のある課題として優先的に対処すべき経営上の重要課題に設定した全6項目の考え方や具体的な取組みは次の通りです。「社会課題解決による価値創造」と「価値創造を持続可能にする経営基盤確立」に分けて記載します。 〔社会課題解決による価値創造〕AIの急速な拡大・普及により世界のデータセンタ市場は高成長が見込まれ、大容量化・高密度化が加速しています。これに伴い、電力消費量の増加も課題になっています。こうした社会課題解決に貢献できる古河電気工業グループは、データセンタ関連市場を重要な収益機会と捉え、当該領域における事業の拡大を重点的に推進します。加えて増加する電力消費量に伴うエネルギー問題の解決に資する領域への取組みも加速します。さらに、中長期的な成長事業を一層強化・創出するため、人と社会の「つづく」をつくる、社会課題解決に資する新たな価値の創出、事業化を進めます。 ① 情報をベースとした社会基盤の創出データセンタ市場拡大を捉えることが当面の競争力の源泉です。具体的には、データセンタ向け光関連製品等の拡販を継続するとともに、高付加価値製品へのシフト及びソリューション提供の拡充を進め、付加価値の向上を図ります。また、データ処理量の爆発的増加に伴う電力需要拡大を背景とした脱炭素・電力レジリエンス強化の潮流が加速する中で、HVDC*や再エネ系統の大型投資が見込まれています。古河電気工業グループは長期視点で、送電インフラ強化需要を捉えこの領域への貢献を進め、2030年以降の持続的成長の柱も構築します。一方で、市場環境の変動リスクが大きいため、市況をいち早く捉え即座にアクションを起こせるように、主要顧客からの信頼感を一層高め共創関係の構築を強化します。また、生産量拡大基調でも温室効果ガス排出量は抑制されている状態が主要顧客との取引前提条件となりつつあることや、炭素税や証書購入などによるコスト増抑制のため、生産体制の強化とともに温室効果ガス排出量抑制や再エネ比率向上などにも取り組みます。こうして足元の成長機会を確実に収益拡大につなげます。本課題の進捗については、注力領域における事業拡大、収益性、顧客基盤、供給体制、技術開発の進捗等を総合的に確認し、成長機会の獲得と資本効率の向上につながっているかを継続的にモニタリングしています。* HVDC(High Voltage Direct Current):長距離・大容量送電に適した高電圧直流送電方式。 データセンタ領域の圧倒的拡大に関する施策:古河電気工業グループは、データセンタ関連市場の拡大を着実に取り込むため、ヒートシンク、 DFBレーザ*チップ・モジュール、超多心RRケーブルソリューション*、高周波基板用銅箔等、データセンタ領域の製品群を中心に、供給能力の増強及び事業基盤の強化を進めています。25中計期間中には、サーマル製品の水冷モジュール工場拡張投資(フィリピン・平塚)や、ファイテルのDFBレーザチップ工場新設投資(FFTタイ)等を決定しました。今後も、投資効果を確認しつつ必要な投資を段階的に実施していきます。加えて、大手クラウド事業者(ハイパースケーラー)を含む主要顧客との直接的な接点を拡大し、製品仕様の検討段階から古河電気工業の技術・製品を提案することで、採用機会の拡大及び取引関係の強化を図ります。さらに、CPO*(光電融合)や次世代サーマル等については、需要動向を踏まえた先行的な取り組みを進め、中長期の成長機会に備えた基盤整備を行ってまいります。* DFB(Distributed Feedback):レーザ:特定波長の安定した発振に適した半導体レーザ。* 超多心RR(Rollable Ribbons):ケーブルソリューション:細径高密度ケーブルソリューション。* CPO(Co-Packaged Optics):半導体と光通信部品を近接実装し高速大容量通信と低消費電力化を図る技術。 再エネ・HVDC領域の成長基盤構築に関する施策:古河電気工業グループは、データセンタにおける情報の高度化とエネルギー問題の両立にも貢献すべく、再エネ・HVDC領域における事業成長基盤の構築も進めています。広域系統・HVDC案件の需要拡大を見据え、25中計期間中には、HVDCケーブルの国内生産拠点の新設(千葉県富津市)を決定しました。新工場の立上げを進めるにあたっては、主要工程に係る設備投資を機動的に実施し、AI/DX技術の適用による工程の自動化等による抜本的な生産性の向上と生産能力の増強、及び超長尺直流海底ケーブルの技術確立を進めていきます。同時に、布設・工事に係るパートナー体制の確立を進め、供給から施工までの遂行力の向上を図ります。 ② 社会課題解決に資する新しい事業への挑戦古河電気工業グループは、中長期全社戦略の実現に向け、社会課題の解決を起点として新たな事業を創出・育成し、中長期での持続的な成長を支える新たな収益源の確立を目指しております。25中計期間中は、ソーシャルデザイン統括部の新設、IPランドスケープ*の活用、外部連携・M&A・コーポレート・ベンチャー投資の活用等により、新規事業創出に向けた基盤整備を進めました。今後は、有望な注力テーマとして設定したスケールアップテーマ(ライフサイエンス、超電導、レーザ応用)について事業化を加速するとともに、将来のスケールアップテーマへの移行を企図するインキュベーションテーマ(グリーンLPガス他)についても事業性の仮説検証と判断ゲート管理を通じて育成を進めてまいります。本課題の進捗については、研究開発、顧客・パートナーとの共創、事業化に向けた検証、知的財産の活用、投資判断の進捗等を確認し、将来の事業化可能性と中長期的な企業価値への貢献を見極めながら管理しています。 * IPランドスケープ:経営戦略又は事業戦略の立案に際し、(1)経営・事業情報に知財情報を取り込んだ分析を実施し、(2)その結果(現状の俯瞰・将来展望等)を経営者・事業責任者と共有すること(引用:特許庁「経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究報告書」)。 スケールアップテーマ候補に関する施策:医療機器CDMO*への進化を通じて成長加速を図るライフサイエンスライフサイエンス領域では、古河電気工業グループの光・メタル技術を基盤として、医療用部材の供給にとどまらず、医療機器CDMO(開発製造受託)事業への展開を進めております。25中計期間中は、MFオプテックスの子会社化、ISO13485*の取得、製造能力及び設計開発能力の強化等を進め、品質・開発・製造を一体で担う体制整備を推進しました。今後は、形状記憶合金や光技術を活かして医療機器メーカーとの共創を深めるとともに、必要に応じてM&Aも活用しながら、従来にない事業成長の加速を図ってまいります。* CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization):製品の開発から製造までを受託する事業形態。* ISO13485:医療機器に関する品質マネジメントシステムの国際規格。 核融合関連需要と応用市場の拡大を捉える超電導超電導領域では、高温超電導(HTS)線材、HTS応用製品及び低温超電導(LTS)線材を中心に事業展開を進めております。各国における核融合発電実現に向けた技術検証の進展に伴い、高温超電導線材の需要拡大が見込まれており、古河電気工業グループは、米国Super Power Inc.社を中心にHTS線材供給能力の拡充と高性能差別化の両立を図っております。25中計期間中には、トカマクエナジー社への出資を通じて市場開拓を加速するとともに、コイル事業の強化や関連用途の開発を進めました。今後は、核融合発電関連の市場創成と需要伸長に貢献し続けるとともに、高磁場マグネットや電力供給ケーブル用途等への展開を通じて適用市場の拡大を図り、事業化を加速してまいります。 インフラ保全と産業高度化の両面で市場を拓くレーザ応用レーザ応用領域では、インフラ保全向けの「インフラレーザ®」と産業用途向けレーザ装置の双方を成長機会として捉え、事業展開を進めております。インフラレーザ®は、環境負荷が低く母材を傷めにくい高精度加工技術を特徴に、鉄道、電力、船舶等の分野で採用拡大が進んでおります。また、日亜化学工業(株)殿との共同運営ラボ「CELL」の設置により、顧客との共創体制を強化しました。今後は、グループ内商流も活用しながら注力市場での拡販を進めるとともに、道路・橋梁等への適用に向けた高出力機開発、海外展開、レンタル等を含む新たなビジネスモデルの構築を通じて、事業のスケールアップを図ってまいります。 インキュベーションテーマ候補に関する施策:実証を通じて商用化への移行を見極めるグリーンLPガスグリーンLPガス領域では、脱炭素化と地産地消型エネルギー供給の実現に向け、グリーンLPガス製造プロセスの事業化を目指しております。25中計期間中は、北海道においてベンチプラント建設を進めるとともに、道内製バイオガスを原料としたフィールド実証に着手し、実証段階への移行を進めました。今後は、実証実験を通じて技術成立性及び事業性を見極めるとともに、パートナーとの連携によりビジネスモデルの構築を進め、商用化に向けた基盤整備を進めてまいります。 新規テーマ探索と知財戦略の活用により将来の成長機会を育成するその他インキュベーション上記テーマに加え、古河電気工業グループは、中長期での収益源を継続的に創出するため、新規テーマ探索を進めております。25中計期間中は、全テーマでのIPランドスケープ活用の他、次世代フォトニクス事業創造プロジェクトの推進等により、新規テーマの探索・選別・育成基盤を強化しました。また、知財を単なる権利保全の手段としてではなく、市場・競争環境の把握、注力領域の見極め、外部との連携先探索、事業化シナリオの具体化に活用することで、新規事業創出の実効性向上を図っております。加えて、コーポレート・ベンチャー投資枠を活用し、スタートアップとの出資・提携を通じて必要な技術・人材・市場接点の獲得を進めております。現時点でその他のインキュベーションテーマとしては、ソーシャルDX(「みちてん」「てつてん」*等)やエアロ・スペース(LiDAR*、ヒートパイプ等)の育成を進めております。今後も、事業開発・知財・研究開発・外部連携を一体的に運用しながら、将来のスケールアップテーマにつながるテーマの継続的な創出を進めてまいります。*「みちてん」「てつてん」:古河電気工業グループ独自のソーシャルDX関連事業。道路付帯物や鉄道沿線設備の維持管理ソリューションを提供。* LiDAR(Light Detection and Ranging):レーザ光を用いて距離や形状を計測する技術。 〔価値創造を持続可能にする経営基盤確立〕注力領域へのリソース確保のため、全事業での製品ポートフォリオ最適化を徹底し資本効率の向上を図ってまいります。また、労働人口減少傾向下でも事業拡大を実現するため、生産性向上や人的資本最大化に取り組み、さらにはガバナンス強化、リスク耐性の向上などにより、長期的な資本コスト低減や持続的な価値創造につながる経営基盤を強化します。 ① 事業・製品ポートフォリオの最適化市場環境の変化への対応や成長戦略の推進のため、事業や製品ごとの収益性・成長性の強化と全社視点での経営資源の最適配分を進めます。本課題の進捗については、各事業の収益改善、資本効率、投資回収、成長領域へのリソース配分状況等を確認し、全社として最適なポートフォリオの実現に向けてモニタリングしています。 資本効率化のためのポートフォリオに関する施策:古河電気工業グループにおける多様な事業のなかで、2030年に向けて成長が加速することが見込まれるデータセンタ関連事業を注力分野と位置付け経営資源を集中するとともに、全社の事業ポートフォリオ最適化に向けた検証を不断に続けてまいります。製品ポートフォリオについては、既存事業を中心に環境の変化を先取りした新製品の創出と低収益化・不採算化した製品の縮小・撤退を実施することで、最も良好な状態を維持し、収益の最大化を図ってまいります。 ② 労働生産性向上注力領域における事業機会獲得と事業規模拡大を、人員増加のみに依存せずに実現するため、DX/AIの活用により工場の次世代化、設備の自動化、間接業務の効率化を強力に進め、労働生産性を抜本的に向上します。本課題の進捗については、生産体制、業務効率、設備稼働、品質、安全、人的リソースの活用状況等を総合的に確認し、成長戦略の実行力向上と収益性改善につながっているかを管理しています。 労働生産性の抜本的向上に関する施策:DXと技術をフル活用した次世代工場の実現による生産性の飛躍的向上、安全・保全機能の強化を前提とした既存設備の稼働率最大化、生産ルールやプロセス改革を通じた品質・生産性向上、生成AI活用やAIエージェント強化、作業の見直しや自動化によるスタッフ業務効率化を進めます。また、グローバル市場における営業チャネルの最適化を図り、営業生産性の向上にも取り組んでまいります。 ③ 人的資本の最大化注力領域の急拡大に対応するため、事業戦略と人材戦略を連動させ注力領域への人員確保や組織実行力の向上を進めます。また、ジョブ型制度導入などによりマネジメント機能を強化、パーパスの共感・行動促進、従業員エンゲージメント向上などにより、多様な人材が各々の役割期待を理解し能力を発揮して事業拡大に貢献する人的資本の最大化を進めます。本課題の進捗については、従業員エンゲージメント、採用・配置・育成の状況、人材定着、組織課題、働きやすい職場環境の整備状況等を総合的に確認し、経営戦略と人材戦略の連動を高めています。 人的資本の最大化と組織実行力の強化に関する施策:注力領域における事業機会の獲得と事業規模拡大を実現するため、事業戦略に基づく人事戦略を計画的に進めてまいります。具体的には、HRBP*体制に変更し人事部門が各職場へ入り込み、パフォーマンス向上に向けて注力事業の人員確保とリソースシフトを機動的に運用、生成AIと人の最適な役割分担を前提とした業務再設計等を進めていきます。さらに、ジョブ型人材マネジメントの基盤整備を進め、事業戦略の達成に必要な役割・職務を明確化し、適材適所の人材配置や計画的な育成を行うとともに、人材の能力発揮を高めます。また、パーパス浸透活動を「認知・理解」から「行動・体現」フェーズへ転換し、パーパスと組織や一人ひとりとのつながりを示していくことで、持続的な企業価値向上に貢献しチームで成果を上げていく人材・組織実行力の強化を図っていきます。詳細は「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」を参照してください。* HRBP(Human Resources Business Partner):事業部門に入り込み、人材配置・育成・組織課題解決を支援する人事機能。 ④ ガバナンスの強化、リスク耐性の向上2026年度よりCXO制を導入し、各CXOが経営者として経営全体に責任を持ちつつ、担当する経営上の重要課題の解決に向け、スピード感ある意思決定と実効性の高い取組みを推進する体制へ変更しました。これに伴い会議体も見直し、ガバナンスを強化します。具体的には、各CXOが責任と権限を持って諸施策を遂行するとともに、新たにCXO会議を設置し、重要案件に関する論点整理と全社的視点での議論、リスク認識を考慮した課題解決策等の検討を行います。CXO会議の結果を経営会議に提言することで、経営会議における意思決定の迅速化及び高度化を図ります。また、不確実性が高まる環境下においても重大リスクを顕在化させず価値創造を継続・推進するため、変化を先取りした重要リスクの特定や是正、適切なリスクテイクの促進などを行います。役員・従業員においてはCSR行動規範の徹底を継続し、さらに、調達・生産・物流などサプライチェーン全体でも人権尊重のための人権デューディリジェンスの実施やコンプライアンス対応力強化、安全衛生・品質・情報セキュリティ等の重要リスク領域の管理水準の向上を図り、強靭かつ安定したサプライチェーンの構築に取り組みます。以上により、安定的な事業運営を支える組織基盤の強化を図り、成長フェーズにおける迅速で適切な意思決定とリスク耐性の向上を図ります。本課題の進捗については、事業戦略・設備投資等の実施状況や、重要リスクの識別・評価及び対応策の実施状況、内部統制・コンプライアンス・サステナビリティ関連課題の進捗等を確認し、経営会議及び取締役会においてモニタリングを行っています。 (ⅲ)執行力強化のための体制ビジョン2030実現に向けた施策・目標の解像度を高めるとともに、注力分野で勝ち切るための実行力を確保する必要があるとの認識のもと、2026年度より執行力強化に向けた組織の見直しと会議体の再設計を実施しました。 ① 事業の組み換え・新事業の部門化データセンタ事業への取組み強化と新規事業育成加速のため、より迅速な対応を可能にする執行体制に変更しました。事業の組み換えを通じて、事業ポートフォリオを柔軟に再編し、成長領域へのリソース集中を加速します。具体的には、ビジョン2030で掲げる社会課題ごとに領域(セグメント)として組成し、事業戦略と組織体制の整合性を高めました。また、各領域長及び各組織に明確なミッションを設定することで、事業・製品ポートフォリオの最適化を進めます。加えて、新規事業育成を加速し注力領域の新事業部門化により、中長期での持続的な成長を支える新たな収益源を確立します。これらにより、収益機会の最大化、新事業の育成を実現してまいります。 ② 本部機能の事業直結化注力領域の事業収益最大化のため、経営戦略や研究開発、営業や人事機能の一部を本部から事業部門へ移管しました。従来の本部機能は全社的な視点で全体最適を推進できる一方で、顧客ニーズや市場変化への即応性に課題がありました。そのため、事業戦略との一体化を図り、市場や顧客起点の計画立案や製品開発、スピード感ある提案や施策実行を実現し、価値創造を拡大していきます。 ③ CXO制導入と権限移譲による執行力強化経営上の重要課題は、事業部門・本部機能・サステナビリティ・リスク管理を横断する論点であり、従来の組織単位管理のみでは責任の所在や意思決定が曖昧になりやすかったことが課題でした。そこで、各重要課題に対して担当CXOを置き役割とミッションを明確にしました。経営上の重要課題の解決に向け、戦略立案から実行、モニタリング、軌道修正までの執行権限と、成果指標達成の責任を各CXOが一貫して担います。各CXOが経営者として経営全体に強い責任感を持ちグループ全体最適の視点で重要課題を解決する責任者としてこれにあたります。また、経営会議における意思決定の迅速化及び高度化のため、CXO会議を設置し、重要案件に関する論点整理と全社的視点での議論、リスク認識を考慮した課題解決策等の検討を行います。これにより、データセンタ領域の伸長、再エネ・HVDCの推進、新規事業育成、生産性向上・人的資本最大化・ガバナンス強化を、横串で推進してまいります。 CXOと名称CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)CFO(チーフ・フィナンシャル・オフィサー)CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)CHRO(チーフ・ヒューマンリソース・オフィサー)CPO(チーフ・プロダクティビティー・オフィサー)CSCO(チーフ・サプライチェーン・オフィサー)CGO(チーフ・ガバナンス・オフィサー) ④ サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会古河電気工業グループでは、サステナビリティに関する事項と、コンプライアンス・リスクを含むリスク管理事項について、実行の質・スピードを高めることを目的に、それぞれ「サステナビリティ委員会」「リスクマネジメント委員会」を設置し議論を集約しています。サステナビリティ委員会には、経営上の重要課題の成果指標の進捗状況確認機能を付与しました。審議または確認した事項について経営会議へ報告、必要に応じてCXO会議へ課題提起を行います。経営会議が必要な議論や意思決定を行い取締役会に提案・報告、取締役会による監督を受けています。サステナビリティ委員会は、委員長を社長、副委員長をCSO、委員を全CXOで構成し、原則年に2回開催します。リスクマネジメント委員会は、リスクアセスメント結果を踏まえたリスク評価によりリスクを俯瞰し、経営上の重要課題と関連性の強いリスクを全社的に対応すべき重要リスクと定め、サステナビリティ委員会と連携して対応しています。また、企業の社会的責任を果たし、ステークホルダーとの信頼関係の強化に向けた重要課題につながるリスクについては、個別に委員会を設置して重点的に管理しています。リスクマネジメント委員会は、委員長を社長、副委員長をCGO、委員を経営層で構成し、古河電気工業グループのリスク管理・内部統制・コンプライアンスについての課題を審議し、監督・推進する体制をとっています。原則年に2回開催し、その活動内容を定期的に経営会議、取締役会に報告し、取締役会による監督を受けています。経営上の重要課題は、機会とリスク両方の影響を捉えて特定しており、想定される阻害要因や、戦略遂行に伴い発生する可能性のあるリスク等も経営上の重要課題の各施策に盛り込んで対応しています。リスク項目を担当する各部門は、年間の取組み計画と活動実績をリスクマネジメント委員会へ半期ごとに報告し、リスクマネジメント委員会はその取組み内容について、リスク管理が適切に行われているかを評価、必要に応じて指導を行っています。これまでも、適切なリスク認識と優先的に対応すべきリスクを見極めるために定期的にリスクアセスメントを実施し、それらを通じて経営視点とオペレーショナル視点でリスクを俯瞰して全社的に対応すべき重要リスクを定め取り組んでまいりましたが、加えて、経営上の重要課題の各施策の達成、成果指標の進捗確認も行うことで、一層のリスクマネジメントに取り組んでまいります。詳細については、「4[コーポレートガバナンスの状況等]」を参照してください。また、気候関連、人的資本のリスクマネジメント及びリスクマネジメント委員会の詳細についてはそれぞれ「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」「3[事業等のリスク]」を参照してください。 (3)2030年度財務到達水準、資本政策2030年度財務到達水準は、営業利益2,500億円、自己資本利益率(ROE)20%、投下資本利益率(ROIC)15%としています。パーパスを軸とした経営戦略のもと、データセンタ市場の伸張に合わせて関連事業を中心とした成長分野への投資を加速していきます。投下資本利益額(FVA*)をモニターしながら事業・製品ポートフォリオが常に最適化された状態を目指し、営業利益水準やROE、ROICのさらなる向上を目指します。なお、経営環境、財務状況を継続的に点検することで、その変化を経営上の重要課題に対する各施策の優先順位や資本配分に適切に反映し、必要に応じて、財務到達水準も見直してまいります。* FVA(Furukawa Value Added):EVAを古河電気工業向けにアレンジし、社内管理指標として2022年度より導入。 〔2030年度財務到達水準〕 営業利益 2,500億円ROE 20%ROIC 15% (ご参考)2028年度の営業利益・営業利益率の見通し ※ データセンタ関連事業には、Lightera、サーマル、ファイテル、AT(半導体製造用テープ)、MD(メモリーディスク)、銅箔、光電融合デバイスが含まれます。 〔資本政策〕2030年度までの5年間合計の投資額は6,500億円(うち注力分野投資は5,000億円)を予定しています。また、フリーキャッシュフローは5年間合計2,400億円です。2026、2027年度については、大型投資の実行のため一時的に資金調達が拡大する見込みですが、2030年度以降は、先行投資分の刈り取り等を踏まえて投下資本の増加を抑制しつつ収益性を高めます。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】古河電気工業グループの業績、財務状況等は、古河電気工業グループが製品販売・サービス提供をしている様々な市場における経済状況の影響を受けます。古河電気工業グループは、これらのリスクを認識した上で、リスクを最小化するためにリスク管理体制の整備・充実に努めており、詳細は以下「(1)リスクマネジメントの取組み」及び「(2)古河電気工業グループの重要なリスク」に記載しております。 (1)リスクマネジメントの取組み①リスク管理の基本方針古河電気工業グループは、パーパスのもと、ビジョン達成に向けた取組みを実行し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指す上でのリスクに対する姿勢を「リスク管理の基本方針」として制定しています。古河電工グループ リスク管理の基本方針(2026年4月制定)古河電工グループは、「古河電工グループ パーパス」に基づき、・経営上の重要課題に取組み、レジリエンスの強化を通じて企業価値の向上を目指します。・事業活動に伴うリスクを特定・評価し、重要リスクを識別した上で適切なリスク対応を継続的に行います。そのために、経営による定期的なレビューを行うとともに、ステークホルダーとの適時・適切なコミュニケーションを図ります。・戦略の実行に伴うリスクは適切な管理のもとに受け入れる一方、コンプライアンス違反は決して許容しません。 ②リスク管理体制古河電気工業グループは、「リスク管理・内部統制基本規程」を定め、委員長を社長、副委員長をCGO(チーフ・ガバナンス・オフィサー)、委員を経営層で構成した「リスクマネジメント委員会」を設置し、古河電気工業グループのリスク管理、内部統制、コンプライアンスについての課題を審議し、各担当部門の活動を監督・推進する体制をとっています。幹事はリスク管理部長が担当し、原則、年に2回開催しています。リスクマネジメント委員会では、リスクアセスメント結果等を踏まえたリスク評価によりリスクを俯瞰し、経営上の重要課題と関連性の強い「事業ポートフォリオ」、「気候変動(カーボンニュートラル)」、「人材・組織」、「政治経済情勢」及び「人権・労働慣行」等のリスクを全社的に対応すべき重要リスクと定め、サステナビリティ委員会と連携して対応しています。また、企業の社会的責任を果たし、ステークホルダーとの信頼関係の強化に向けた重要課題につながりのある「災害・感染症等の影響」、「品質管理」、「従業員の安全・衛生」等のリスクについては、個別に委員会を設置して重点的に管理する体制を敷いております。古河電気工業グループは、スリーラインモデルの考え方に基づき、リスク管理・内部統制に関する役割分担を整理しています。第1ラインである事業部門、事業所、関係会社、第2ラインである各担当部門及び第3ラインである内部監査部門が、それぞれの役割に応じて相互に連携し、リスク管理及び内部統制の実効性向上に取り組んでいます。 ③リスク管理活動とモニタリング古河電気工業グループは、グループ全体の事業リスクの評価を通じて優先対応すべきリスクを見極めるために、年に1回、事業部門・事業所・関係会社といった組織単位で網羅的なリスクの洗い出し及び発生可能性と影響度の評価(リスクアセスメント)を実施し、その結果をリスクマネジメント委員会へ報告しています。古河電気工業グループは、第1ラインとしてリスク対応を行う事業部門、事業所、関係会社に対して、第2ラインである各担当部門が「事業等のリスク」を含む各リスクへの対応の支援及び実施状況の確認を行うことでリスク管理の継続的な拡大と深化を図っています。リスクマネジメント委員会は、それらの取組状況を評価し、その結果を総合したリスク管理活動全体の評価を取締役会に毎年定期的に報告しています。さらに、第3ラインである内部監査部門による定期的な監査の実施により、第1ライン及び第2ラインの活動の有効性を検証し、監査結果を取締役会に報告しています。これらの体制に加え、取締役会、経営会議、稟議等により重要な意思決定を行う際には、当該事案から予測されるリスク等を資料等に明示し、これらを認識した上で判断することとしています。 (2)古河電気工業グループの重要なリスク古河電気工業グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、発生可能性と影響度の双方が中以上の重要なリスクをリスク項目として以下に示します。さらに、経営上の重要課題との関連性により、リスク項目を「経営視点のリスク」と「オペレーショナル視点のリスク」に分類しています。特に経営視点のリスクは、それぞれ単独のリスクではなく、相互に連関したリスクであるとの認識のもと、各リスクに対する取組みを進めています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において古河電気工業グループが判断したものであります。掲載順序リスク分類リスク項目影響度発生可能性関連する経営上の重要課題1経営視点のリスク事業ポートフォリオ大大②,③,⑥2新事業の創出大大①,②,⑥3気候変動(カーボンニュートラル)大大①,②,⑥4人材・組織大大④,⑤,⑥5政治経済情勢大大③,⑥6人権・労働慣行大中⑤,⑥7オペレーショナル視点のリスク災害・感染症等の影響大中⑥8品質管理大中⑥9法令違反等大中⑥10原料及び燃料価格の変動中大⑥11情報システム・情報セキュリティ中大⑥12為替・金利・株価変動中大⑥13研究開発・知的財産中大⑥14従業員の安全・衛生中中⑥15工事プロジェクトの採算悪化中中⑥16環境汚染・環境規制中中⑥17固定資産の減損中中⑥18資金管理中中⑥19開示・ブランド中中⑥ 関連する経営上の重要課題項目番号情報をベースとした社会の創出①社会課題解決に資する新しい事業への挑戦②事業・製品ポートフォリオの最適化③労働生産性の向上④人的資本の最大化⑤ガバナンスの強化・リスク耐性の向上⑥ 経営視点のリスクリスク項目リスクの内容主要な取組み事業ポートフォリオ・事業構成が経済動向や市場環境の変化に対応できないことによる、収益性・成長性の停滞・悪化・M&Aや外部との提携後に発生した市場環境の悪化等による、当初の期待水準に満たない収益又は効果・経営会議・取締役会等での定期的な事業ポートフォリオの構成の確認・検証、必要に応じた見直しの討議・実施・買収・提携の目的明確化と資産内容・リスクの事前把握・リスクと収益性を踏まえた適切な投下資本額での買収・提携・買収・提携後の投下資本の早期回収新事業の創出・新事業のテーマ探索及び技術開発と営業機能との連携不足から市場ニーズとの乖離が生じることによる新事業創出の遅延・新事業創出チームに営業機能を組み込み、テーマ探索及び技術開発と市場検証を一体で推進する体制の構築気候変動(カーボンニュートラル)・移行リスクとして、各国の温室効果ガス排出削減目標の引き上げ、政策による炭素税の負担増等による製造コストや材料調達コストの上昇・気候変動対策が不十分であることによるサプライチェーン、製品・サービス・労働市場からの排除・気候変動による洪水・渇水リスクの未認識による工場操業の停止・温室効果ガス排出削減についてバリューチェーン全体でネットゼロを目指すことを反映した環境ビジョン2050の改定、環境目標2030に則った削減の実行・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った気候移行計画の策定と情報開示の実施・日光地区の水力発電利用に加え、国内外での太陽光発電の設置と購入電力の再生可能エネルギーへの転換・気候変動による洪水・渇水リスクの把握と対応策の策定人材・組織・新規事業創出に向けた専門性を持つ人材や事業ポートフォリオマネジメントができる人材の不足・人材獲得や定着、育成、多様性が不十分なことによる人材の質的量的な不足・企業の持続的な成長の原動力である従業員エンゲージメントの低下・経営戦略と組織の不整合による人的資本の毀損・「古河電工グループPeople Vision」に基づく、個人と組織が成長ベクトルを合わせてともに成長し人材・組織の魅力を高める「人材・組織実行力」強化施策の実施・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン活動及び働き方改革の推進・従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査によるモニタリングとHRBPによる現場主導の向上施策実行・経営戦略と連動したジョブ型人材マネジメント基盤(採用・配置・育成)の整備と適正な運用政治経済情勢・国際紛争の影響拡大に伴う、国家群間での経済制裁の影響等によるサプライチェーンの寸断。特定の購入先への供給依存による供給不足、供給停止・各地域における政権交代や政策転換に伴う、関税政策や経済安全保障政策等の法規制の変更・強化の影響によるグローバル分業体制の見直し・景気悪化や顧客の設備投資、購買施策の変化による需要減退の影響が事業全体に及ぶことによる収益の低下・競争激化による製品及びサービスの優位性の低下・サプライチェーンの多重化(購入先の複数化、製造拠点の分散)、在庫数量の適正化、長期契約による安定調達・国際物流の主要ルートにおける潜在リスクの把握・政情変化や有事を想定したリスク分析と対応方針の策定・主要ビジネスの基盤強化による景気悪化に対する耐性強化、顧客動向や受注状況の定期的な把握・検証による急激な需要変動に対応できる体制の確立・価格競争力の維持強化に向けた効率的かつ合理的なものづくり体制の推進、高付加価値品の生産、製品ポートフォリオの最適化への積極的な取組み 経営視点のリスクリスク項目リスクの内容主要な取組み人権・労働慣行・企業としての人権尊重に対する責任を果たせず、潜在的又は実際に人権への負の影響が生じることに伴う、サプライチェーン、製品・サービス・労働市場からの排除・国連のビジネスと人権に関する指導原則が企業に求める3つの要件である「人権方針の策定」、「人権デューディリジェンスの実施」、「救済メカニズムの構築」に沿った取組みの推進・古河電気工業グループ人権方針に基づく、人権を尊重した事業活動の推進・古河電気工業グループの従業員を対象としたコンプライアンス意識調査結果等をふまえた改善策や人権リスクに対する教育の実施・主要取引先を対象とした、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)の実施・責任ある鉱物調達の推進・救済メカニズムとしての内部通報制度及び一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)の活用 オペレーショナル視点のリスクリスク項目リスクの内容主要な取組み災害・感染症等の影響・異常気象によって起きる大型台風等による建物被害や洪水による工場操業の停止・大規模な地震や津波、火災、感染症大流行等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断・従業員等の大規模クラスター発生による事業継続不能・ISO22301による事業継続マネジメント(BCM)の促進・事業継続計画の策定・ブラッシュアップ、安否確認システムの有効活用・耐震性と安定した通信環境が確保された施設におけるデータセンタの設置・サプライチェーンの多重化・納入先、調達先の製造拠点調査・従業員等の在宅勤務、会議等でのリモート活用品質管理・製品及びサービスでの不具合の発生等による将来に予期せぬ損失補償の発生(特に、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等の関連製品で、不具合等の内容により多額な追加コストの発生)・お客様の期待する品質の実現を目指し、不具合の未然防止を図る取組み、並びに問題解決力を向上する活動の継続・品質管理に関するガイドラインをベースとした品質マネジメントシステムの継続的な強化・損害賠償請求に備えるための生産物賠償責任保険や生産物回収費用保険等への加入・古河電気工業グループの損失補償責任を限定する契約条項の検討 オペレーショナル視点のリスクリスク項目リスクの内容主要な取組み法令違反等(注)・事業展開する国内外の法令や規則に関するコンプライアンス違反・事業展開する上で適用される国内外の法令改正、規制当局から受ける規制強化(恣意的執行を含む)や法令解釈の厳格化による、事業制限や費用の増加等・法令違反等の事象が生じた場合の、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等・禁輸国への輸出による行政処分、外国為替法違反、米中関係悪化による米国及び中国における輸出管理規則・法令の域外適用リスク・海外拠点での不適切会計や粉飾決算・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や移転価格税制等による税金コストの発生・各国の税務当局との見解の相違等による追加の税金コストの発生・「古河電工グループ パーパス」、「Core Values」、「古河電工グループCSR行動規範」を倫理法令遵守の基本とするコンプライアンス体制の構築・毎年の定期的なコンプライアンス自主点検とコンプライアンスセミナーやEラーニングを通じた、競争法上の規制や贈収賄防止等のテーマについての古河電気工業グループ内への教育、各所管部門による法改正情報の発信等・内部通報制度の運用によるコンプライアンス違反の防止、早期の発見及び是正・安全保障貿易管理や関税等に関して、関連する部署への教育及び内部監査の実施、海外輸出管理法令の専門弁護士との提携・国内領域の物流コンプライアンス違反の防止、物流効率化を目的とした特定荷主義務の履行・東南アジアや中国における地域統括会社による当該地域内の拠点における調達、経理、人事、法務等の業務統括の実施・データアナリティクスを活用した財務分析による統制の実施・税務に関する基本方針を定めることによる税務コンプライアンスに対する意識向上・各国における税法の遵守や税制や税務行政の変更への対応策の実行 原料及び燃料価格の変動・需給関係や投機的取引、世界情勢等の変動による、銅・アルミ等の非鉄金属やポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNG価格の急激な変動・市況を反映した非鉄金属、合成樹脂、燃料価格等の製品販売価格への転嫁・先物取引を利用したヘッジ・生産活動におけるコスト低減や省エネ化・複数購買化による価格変動リスクの分散情報システム・情報セキュリティ・サイバー攻撃や不正アクセス等の外的要因や人為的要因等に起因する情報流出による不正使用、システム障害・レガシーシステム利用によるセキュリティリスクの増加・情報セキュリティ基本方針のもと、グループ全体へのセキュリティガバナンス強化、教育・支援活動・ゼロトラスト視点でのネットワークセキュリティ強化等の対策による情報資産の保護・レガシーシステム更新の中期的な取組みの実施為替・金利・株価変動・輸出入等の国外取引、外貨建債権・債務の円換算金額の変動・在外連結子会社等の現地通貨建の個別財務諸表の円換算金額の変動(米ドルに対し1円円高につき年間で約5億円の減益を予想)・金利上昇による資金調達コストの増加(当連結会計年度末の有利子負債残高は3,167億円)・先物為替予約等の活用・外貨建取引額のバランス化・長期固定金利調達の活用による金利上昇時の資金調達コスト増加抑制・キャッシュマネジメントシステム(CMS)を通じた資金効率改善や、財務体質の改善方針に基づく有利子負債の削減研究開発・知的財産(研究開発)・技術開発の遅れ、他社新技術による代替製品の台頭・研究開発データの改ざんによる訴訟、認証のはく奪、会社、製品の評判低下(知的財産)・知的財産における第三者の権利侵害に関する交渉や係争、第三者との不十分な技術契約に伴う紛争により、事業における直接的な損害や機会損失が発生・技術の流出や第三者からの模倣による企業競争力の低下・高い専門性を持つ人材の確保、育成・社外との共創による、技術開発の優位性の確保・設計開発段階からの知的財産権取得、他社特許調査や他社による権利行使抑制のカウンター特許出願・技術資産の創出と保全(機密、社外秘、部外秘の区分、電子データ含む情報管理の徹底)、知的財産関係の法令遵守のための教育、秘密保持等の契約書締結 オペレーショナル視点のリスクリスク項目リスクの内容主要な取組み従業員の安全・衛生・労働災害、交通事故、疾病等による、従業員の死亡、就業不可、障害の残存、長期休業、体調不良・製造設備の維持更新投資計画の実行遅れを背景とした、老朽設備の故障に起因する災害・安全推進活動の3本柱(安全人間化教育による安全知識の付与と実践、本質安全化活動による設備の安全化推進、安全管理レベルの向上による安全組織の構築)の確実な実践・産業保健中期計画に基づく年度ごとの衛生管理指針による、ヘルスリテラシー向上・メンタルヘルス対策・身体機能向上施策・睡眠対策・生活習慣改善・熱中症対策及び化学物質管理体制構築施策の各拠点での展開・リスクの高い老朽化設備に対する維持更新投資計画の適正な実行 工事プロジェクトの採算悪化(国内外共通)・工事途中での設計変更、建設資材及び労務費の高騰・ケーブル敷設工事における災害、疫病の発生、海洋条件や台風等天候の影響による追加費用の発生・重大な瑕疵や事故の発生、それに伴う工期遅れが生じた場合の、修復費用や損害賠償金の支払、長期間に渡る瑕疵補修保証の延長・コンソーシアムを組成した場合におけるパートナー企業のプロジェクト遂行能力の不足、分担業務の不履行等が生じた場合、予想外の大幅な費用負担の増大、追加費用の発生(海外)・海外工事案件における当該国での法規制の変更や政情不安、為替レートの変動・物品・工事それぞれの責任分解点・仕様と保証範囲の厳格な見極め、プロジェクト固有のリスク分析、合理的な条件での契約を締結する活動の強化・遂行段階におけるプロジェクトの進捗、採算状況等を適切にモニタリングすることによるリスクの低減・建設工事保険等の付保によるリスクヘッジ・コンソーシアム組成時の契約における責任関係の明確化、パートナー所管を含む工事プロジェクト全体の工事進捗管理の徹底環境汚染・環境規制・製造工程における有害物質の漏洩による環境保全上の問題の発生や、環境関連法令の改正等による新たな設備投資や対策費用の発生・土地の使用・処分等に対する制限・過去の製造状況等に伴う土壌汚染やアスベスト・PCB等の有害物質の処理について、関連法規制の強化等による追加の対策費用の発生・世界各国におけるRoHS指令やREACH規制等の製品含有化学物質に関わる規制に違反した場合の製品リコール、生産・販売中止等の損失・費用の発生・古河電気工業グループの生産拠点における、環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づく、事業活動に関連する各種環境関連法規制の遵守と保全対策等の徹底・製品含有化学物質に関わる規制への対応としての、CSR調達ガイドライン及びグリーン調達ガイドラインの発行とパートナーの遵守状況の把握、並びに規制強化に対応した定期的な古河電気工業グループ内調査の実施固定資産の減損・市況や事業環境の悪化による収益性低下による固定資産の減損・投資委員会や経営会議等における投資計画の適切性に関する審議・投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップ オペレーショナル視点のリスクリスク項目リスクの内容主要な取組み資金管理(資金調達)・金融環境悪化により、資金調達困難に陥る可能性と資金調達条件の悪化・成長投資の拡大に伴い資金調達額が増大し、資金調達に制約が発生する可能性や資金調達条件が悪化する可能性(与信管理)・取引先の財政状態や資金繰りの悪化に伴い、売掛債権が回収困難となることによる貸倒損失の発生・多様な資金調達手段の確保と、返済時期の分散化・コミットメントラインの設定と一定水準の手元資金の確保・資金調達コスト低減と資金調達の安定性を踏まえた適切な長期借入割合の確保・財務体質の改善・与信管理規程に基づく、取引先各社の与信状況の定期的モニタリングと、グループ関係会社内での与信情報共有等による売掛金回収事故と回収遅延リスクの最小化開示・ブランド・適切な情報開示がなされないことによる、信頼の低下・一貫性あるコミュニケーションの不足による認知機会や、イメージ向上機会の損失・重要事象の一元的な集約・管理及び重層的な内部チェックを通じた適時適切な情報開示・統一的なメッセージの複数メディア活用による発信強化・グループ統一ブランド運用による認知・イメージ向上 (注)古河電気工業は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の審査を受けております。また、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟等において、古河電気工業や古河電気工業連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車メーカー等の顧客に対して、古河電気工業又は古河電気工業関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。なお、これまで複数の原告・顧客等との間で和解が成立し、上記継続案件の古河電気工業決算への潜在的な金額的インパクトは大きくないものと認識しております。今後も、これまでと同様、顧問弁護士とも連携しながら、早期解決、損失の最小化に向けて対応してまいります。また、上記継続案件はいずれも自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関するものであり、現時点においてはこれらの行為は行われておりません。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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