安川電機(6506)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


安川電機(6506)の株価チャート 安川電機(6506)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

安川電機グループは、安川電機を中核として子会社71社および関連会社13社(2025年2月28日現在)により構成され、「モーションコントロール」、「ロボット」、「システムエンジニアリング」および「その他」の各セグメントにおいて様々な分野で製造、販売、据付、保守およびエンジニアリング等の事業展開を行っております。

各セグメントにおける主な製品ならびに安川電機および主要な関係会社の当該セグメントにおける位置付けは概ね以下のとおりです。なお、安川電機を除く以下の会社はすべて連結子会社です。

また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。

セグメントおよび主要製品

安川電機および主要な関係会社の位置付け

〔モーションコントロール〕

ACサーボドライブ、リニアモータ、コントローラ、工作機械用AC主軸モータ、PMモータ、デジタルガルバノスキャナ、汎用インバータ、電源回生コンバータ、マトリクスコンバータ、太陽光発電用パワーコンディショナ

安川電機〔製造・販売・サービス〕

安川オートメーション・ドライブ㈱〔販売・サービス〕

安川メカトレック末松九機㈱〔販売〕

米国安川㈱〔製造・販売・サービス〕

欧州安川㈲〔製造・販売・サービス〕

安川電機(中国)有限公司〔販売・サービス〕

安川アジアパシフィック㈲〔販売・サービス〕

韓国安川電機㈱〔販売・サービス〕

〔ロボット〕

アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、自律ロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム、セルシミュレータ

安川電機〔製造・販売・サービス〕

安川メカトレック末松九機㈱〔販売〕

米国安川㈱〔製造・販売・サービス〕

欧州安川㈲〔製造・販売・サービス〕

安川電機(中国)有限公司〔販売・サービス〕

安川アジアパシフィック㈲〔販売・サービス〕

韓国安川電機㈱〔販売・サービス〕

〔システムエンジニアリング〕

鉄鋼プラント用電気システム、上下水道用電気計装システム、各種産業用電気システム、高圧インバータ、高圧マトリクスコンバータ、産業用モータ・発電機、小水力発電用発電機

安川電機〔製造・販売・サービス〕

安川オートメーション・ドライブ㈱〔製造・販売・サービス〕

安川メカトレック末松九機㈱〔製造・販売・サービス〕

米国安川㈱〔製造・販売・サービス〕

安川アジアパシフィック㈲〔販売・サービス〕

〔その他〕

物流サービス ほか

安川電機〔販売〕

㈱安川ロジステック〔サービス〕


有価証券報告書(2024年2月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において安川電機グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

安川電機グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを経営理念といたしております。

また、グループ経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を安川電機グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1. 最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2. 世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3. 世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。

このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

安川電機グループは、長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)においてメカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域と定め、経営目標については営業利益を最も重要な経営指標とし、「質」の向上にこだわることで経営体質の強化を目指しています。

この「2025年ビジョン」の期間における最後の中期経営計画「Realize 25」(2023年度~2025年度)を2023年度より始動いたしました。「Realize 25」では、安川グループ経営理念を基本にソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」(※1)を中心とした事業活動を強化し、「2025年ビジョン」の達成を目指すとともに、お客さまの経営課題の解決とサステナブルな社会の実現に寄与してまいります。

なお、「2025年ビジョン」および「Realize 25」の詳細は、以下のURLからご覧いただくことができます。

 

2025年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/Vision2025_Revision.pdf

Realize 25    :https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/realize25.pdf

 

(※1)i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):安川電機が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語)」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト。

 

(3) 中期経営計画「Realize 25」の概要

① 財務目標

安川電機グループは「2025年ビジョン」において、営業利益を最も重要な経営指標に据え、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指しております。「Realize 25」においては、i3-Mechatronicsの展開とロボティクスの進化により新たな価値を創出し、収益および生産性を高めることで、「2025年ビジョン」の達成を目指します。

[参考]

2022年度実績為替レート 134.12円/米ドル、139.84円/ユーロ、19.68円/元、0.103円/ウォン

2025年度想定為替レート 130.00円/米ドル、140.00円/ユーロ、19.00円/元、0.100円/ウォン

 

 

② 基本方針

方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出

 「i3-Mechatronics」のコンセプトを軸に、お客さまが求める「コト」、すなわち「改善や進化」へのソリューションの価値を最大化することで、お客さまへの貢献性を高めます。この「お客さまへのソリューション」を実現するために、技術・生産・販売・品質機能の強化を図ってまいります。

(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化

安川テクノロジーセンタで業界をリードする製品・技術を創出し、お客さまの価値向上を実現します。

(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化

i3-Mechatronicsソリューションを自社の生産現場で実践し、生産性向上・生産管理高度化を追求することで、安川電機製品の競争力向上を図ります。

(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化

エンドユーザや装置メーカ等のお客さまと連携強化を図り、最適なソリューションを提供するとともにビジネスの領域拡大を目指します。

(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新

YDX(※2)を通じて蓄積される膨大なデータを活用して「お客さまの設備を止めない」サービスをグローバルで展開します。

 

(※2)YDX:YASKAWA Digital Transformationの略。第1フェーズである「YDX-I」では、経営資源の可視化・一元化とその最適配置を目指した活動を実施。「YDX-Ⅱ」では、製品・サービス視点でのお客さまへの価値創出を実施。

 

方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略

 自動化コンポーネントを中心としたグローバルでの市場別戦略を展開し、最適な生産体制を構築することで、成長市場の需要を確実に捉えます。

(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築

拡大する需要に対して生産能力・生産性の向上を図るとともに、環境変化やリスクに強いグローバル生産体制を構築します。

 

方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献

(a) Energy Saving

グリーンプロダクツの拡販によりお客さまの省エネ性向上と環境負荷軽減を実現します。

(b) Clean Power

新製品を軸に事業を本格拡大させ、世界トップクラスの創エネを実現します。

(c) Food & Agri

コア技術を結集し、食の安全と安定供給を実現します。

(d) Biomedical Science

ゲノム解析や再生医療分野における自動化等を通じて、すべての人が人間らしく、より豊かに、輝ける未来を実現します。

 

方針4 YDXとサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化

(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供

YDXの第2フェーズとなる「YDX-Ⅱ」ではPLM再構築によるお客さまへの価値を創出します。

(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進

サステナビリティ課題に対するマテリアリティを設定し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えるサステナブルな経営を実践します。

 

③ 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況

財務実績

 

2023年度実績

売上収益: 5,756億円

営業利益: 662億円

営業利益率:11.5%

ROE:    13.6%

ROIC:   11.8%

配当性向: 33.0%

 

2023年度の主な取り組み

中期経営計画「Realize 25」の達成に向けた2023年度の主な取り組みは以下のとおりです。

 

方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出

(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化

未自動化領域の開拓を狙った新型自律ロボット「MOTOMAN NEXTシリーズ」と生産現場のセルを統合制御しi3-Mechatronicsを実現するYRMコントローラ「YRM1010」の販売を開始しました。

(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化

内製化拡大を実現する国内ロボット機械加工工場の建設を完了しました。

(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化

i3-Mechatronicsを実現するキープロダクトによるお客さまへのアプローチを強化し、各業界のトップメーカーとの協業を通じた実績を拡大しました。

(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新

市場サービスデータの一元化・構造化を行い、製品品質状況・市場稼働状況の集約管理を開始しました。

 

方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略

(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築

グローバルにおける主要部品の内製化や事業部共通の重点部品の一括調達により、生産/調達体制および需要地生産体制の強化を推進しました。

 

方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献

(a) Energy Saving

安川インバータGA700シリーズの大容量帯の販売を開始し、大型の一般産業用機械や設備への適用を可能としました。

 

(b) Clean Power

脱炭素社会実現に向けて新型の太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3A」の市場投入を行い、国内における自家消費市場での取り組みを強化しました。

(c) Food & Agri

米国でいちごの植物工場を展開しているOishii Farm Corporationとの資本業務提携により植物工場の自動化を推進しました。また、JA全農と協業開発を進める「きゅうりの葉かき作業の自動化」は本格的な導入フェーズに移行しました。

(d) Biomedical Science

再生医療分野におけるロボットを活用した自動化プラットフォームの構築に向け、外部パートナーとの共同研究を進めました。

 

方針4 YDXとサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化

(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供

PLM再構築のベースとなる安川データレイクの基盤整備を進めました。

(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進

「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(4) 経営環境および優先的に対処すべき課題

 2024年度の安川電機グループを取り巻く経営環境は、半導体・電子部品市場の投資再開が見込まれる等、製造業における自動化・省力化に関する設備投資が回復する見込みです。

 2024年度は中期経営計画「Realize 25」そして長期経営計画「2025年ビジョン」の確実な達成に向けて、DX(Digital Transformation)をベースにソリューションコンセプトである「i3-Mechatronics」をもう一段進化させるとともに、市場の変化を捉えた戦略をグローバルに展開し、更なる収益性の向上に努めてまいります。

 

 2024年度の重点実施項目は以下のとおりです。

 

① お客さまの“コト”を実現するi3-Mechatronicsの進化

 徹底したお客さまの“コト”(改善・進化)の理解に基づくソリューション提案、そして、それを実現する

“モノ”(製品・技術)の提供を拡大させるとともに、自社の生産現場におけるi3-Mechatronicsの実践による自動化領域の拡大とモノづくりの高度化を進めていきます。また、グローバルでの協創によるi3-Mechatronicsの進化を目指し、i3-Mechatronicsプロジェクトで実証したソリューションの水平展開や、YRMコントローラを基軸としたグローバル展開を実行していきます。

 

② グローバル成長市場の動向を捉えた戦略展開によるビジネス拡大

 グローバルにおける主要なお客さまとの連携強化を通じ、半導体市場の投資の再開を確実に捕捉します。また、国内中核販社および拡販パートナーの役割連携による国内半導体市場でのプレゼンスを向上させるとともに、拡大が期待されるBEV(二次電池式電気自動車)領域のモノづくりやサプライチェーンの変化に追随した自動化ソリューションの提供を目指してまいります。

 製品面では、2023年度に市場投入した「MOTOMAN NEXT」の拡販を加速させるとともに、サーボ・インバータ市場におけるお客さまの“コト”の理解に基づく製品戦略を再強化していきます。

 

③ メカトロニクス応用領域の事業拡大に向けたパートナー戦略の推進

 カーボンニュートラルに向けて拡大する創エネ・省エネ需要をしっかりと捉え、新型の太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3A」を拡販していきます。また、メカトロニクス応用領域におけるアライアンスとして、“食”や“農業”、そして“バイオメディカル”における自動化領域でパートナーとの協業を進めていきます。

 

④ 「YDX-Ⅱ」プロジェクト推進強化によるサステナビリティ経営の実践

 生・販・技・サービスのデータ連携によるPLM再構築、そして、その基盤となる安川データレイクの構築等、

全社一丸となって「YDX-Ⅱ」プロジェクトを推進していきます。

 また、「One YASKAWA」の確立に向けた安川グループ経営理念の理解深化を継続し、安川グローバルにおいて、集約したデータに基づくサステナビリティ経営の実践を通じ、企業価値の更なる向上を目指してまいります。

 

 各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。

 

〔モーションコントロール〕

 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、半導体市場等の立ち上がりを確実に捕捉するため、販売活動を強化します。また、i3-Mechatronicsを実現させる「YRMコントローラ」やACサーボ「Σ-X」(シグマ・テン)シリーズなどを軸としてグローバルに展開し、収益のさらなる拡大を図ります。生産については、i3-Mechatronicsを実践した変種変量に追従できる自動化ラインを進化させて生産性向上を図ります。

 インバータ事業においては、ターゲット市場におけるお客さまの“コト”の徹底した理解に基づく販売活動の強化を図るとともに、グローバルでの需要地生産や部品内製化等により生産力の強化を進めていきます。太陽光発電市場においては、パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3A」を中心に国内の自家消費市場の攻略を強化して売上拡大を図ります。

 

〔ロボット〕

 i3-Mechatronicsソリューションの実践・展開による提供価値を進化させるとともに、市場の変化に追従した事業展開を加速してまいります。

 また、2023年度に市場投入した「MOTOMAN NEXT」の拡販パートナーとの連携活動の強化を通じてプレゼンスの向上を図るとともに、多様化する市場ニーズを捕捉します。加えて、半導体やEVなどの注力市場においては、市場の立ち上がりを確実に捉え、事業拡大を進めていきます。

 生産については、国内外の生産拠点の自動化・省人化を拡充し、需要変動に強い効率的な生産体制を構築します。

 

〔システムエンジニアリング〕

 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、AI・IoT技術によりカーボンニュートラル需要に対応した付加価値の高いサービスの提供に努めます。クレーン分野では、アジアを中心とする港湾クレーン等の成長市場への追従を図ります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

安川電機は、経済・市場の状況等を含む経営の遂行状況に係るリスクについては、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングしております。加えて、直接的または間接的に安川電機グループの経営あるいは事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処することを目的に危機管理基本規程を定め、この規程に従い社長が指名した危機管理委員長が運営する危機管理委員会とその傘下に各専門委員会を設置しております。危機管理委員会では、リスク管理体制の整備に関する事項やリスク管理教育の企画・推進およびリスクの評価と、発生した場合のレベルに応じた対策本部の設置など適切な対応を実施しております。また、これらのリスク管理状況は経営会議等の執行会議、取締役会およびサステナビリティ委員会に定期的に報告することで全社の危機管理について監督およびモニタリングを実施し、リスク管理の強化を図っております。

安川電機グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある重要なリスクおよびそれらの対策については下表のとおりです。その他、コンプライアンス、品質問題、自然災害(地震・水害等)、テロ・紛争および法規制についてもリスクとして認識のうえ、対策を講じていきます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において安川電機グループが判断したものです。

 

(1) 経営環境に関する項目

 

地政学リスク(国際関係変化)

リスクの説明

 安川電機グループは日本・中国を中心に7カ国に生産拠点を持ち、グローバル30カ国に展開している営業拠点を通じ、日々お客さまに製品・サービスを提供しています。このことから、米中やロシア・ウクライナ情勢などの国際関係の変化やそれに起因する社会・環境の変化、法規制の変更などは事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、各国の輸出規制、技術移転の制限、関税の引き上げ等により、開発、生産、物流や営業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、安川電機グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えています。

 地政学リスクに起因する多岐に渡る事業活動リスクが顕在化した際には、本社の危機管理委員会を通じ迅速な初動対応を講じるとともに、各専門委員会および経営会議等の執行会議との連携を図りながら、グローバルにおける効果的なインシデント対応体制を構築することで被害や損害を最小限とすることに努めています。

 特に、近年では変化による事業への影響が大きいグローバルにおける法制変化などのモニタリングを強化するため、国内における各事業・本社部門に加え、海外子会社を始めとしたグローバル拠点にコンプライアンス担当者を設置することで、本社の法務部門を中心としたグローバルでの統制体制を整備しています。

 

(2) 事業環境に関する項目

 

部材調達・物流に係るリスク

リスクの説明

 安川電機グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先から調達していますが、価格の高騰や業界の需要増によっては、継続的な必要量の確保が困難となる可能性があります。また、取引先において、自然災害、感染症の拡大、事故、経営状況の悪化等により、安川電機グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難になる可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、安川電機グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応を強化するなど調達機能の強化に努めています。

 また、リスク部品の早期発見と全社対策の強化を図るとともに、入荷困難な状況が継続する部品に関しては、入手可能な部品への設計変更を行う等、対応を強化しています。

 

 

 

 

為替相場の変動に係るリスク

リスクの説明

 安川電機グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。安川電機グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、安川電機グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、安川電機グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される安川電機グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2024年2月29日に終了した連結会計年度の為替感応度(実績為替平均レート(米ドル:143.2円、ユーロ:155.1円、中国人民元:20.02円、韓国ウォン:0.109円)から1%変動した場合の業績影響額)は、売上収益については、米ドル:約13.9億円、ユーロ:約9.0億円、中国人民元:約12.5億円、韓国ウォン:約3.6億円となり、営業利益については、米ドル:約3.4億円、ユーロ:約1.7億円、中国人民元:約2.8億円、韓国ウォン:約1.8億円となります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、安川電機グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。

 

 

競争の激化に係るリスク

リスクの説明

 安川電機グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。安川電機グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、安川電機グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、安川電機グループの製品等に対しては、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。安川電機グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、安川電機グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、安川電機グループはi3-Mechatronicsを通じて、最適なソリューションをお客さまに提供することにより、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。安川テクノロジーセンタを中心として部門横断的な研究開発の継続的な強化を図り、世界初・世界一にこだわった画期的な製品開発を進めるとともに、徹底した効率化を図ることで開発期間の短縮を図り、コスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めています。

 

 

サステナビリティ課題に係るリスク(気候変動・人権)

リスクの説明

 気候変動について、政策や規制など気候変動対策や社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスクが考えられます。例えば、炭素価格・各国政府による炭素税の導入による燃料調達コストや材料調達コストの増加、各国の炭素排出政策・排出権取引の導入や排出規制の強化に伴うグリーン電力購入等のコスト増加が挙げられます。

 また、人権については強制労働、児童労働などの問題に対し、自社だけではなく取引先も含めた対応が社会的な要請として求められています。

 これらのリスクについて、対応が適切でない場合、企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、安川電機グループは気候変動についてTCFD提言への賛同を表明し、環境省のTCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業へ参加をするなど様々な活動を進め、TCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示しました。今後も引き続き気候変動関連の情報開示を充実させ、より一層環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値のさらなる向上を図ります。また、体制として、社長を委員長とするサステナビリティ委員会にてモニタリングを図るとともに、リスク評価とマテリアリティ分析の整合性を確認し、それ以外の施策を含む全体遂行については、社長が任命した環境推進統括者が運営する環境推進体制においてPDCAを回しながら活動の質の向上を図っています。

 人権については、「世界人権宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などに基づき、人権の尊重を安川グループ企業行動規準に定め、すべての人々の人権を尊重する対応を推進しています。推進体制として、サステナビリティ担当部門、総務担当部門および調達担当部門が中心となり、安川電機グループおよびサプライチェーンにおける人権の尊重に取り組んでいます。これらの取組みについて、サステナビリティ委員会において施策の審議やモニタリングを定期的に行っています。これらの取組みを通じて、常に変化する人権に関する社会的要請や課題に継続的に対応していきます。

 

 

 

情報セキュリティに係るリスク

リスクの説明

 安川電機グループ事業の活動において、お客さま・取引先の個人情報あるいは機密情報を入手・保有することがあります。これらの情報は厳重に扱っておりますが、サイバー攻撃などの不測の事態により不正アクセスやデータ破壊、搾取、紛失等が発生する可能性があります。重大セキュリティリスクとしてサイバー攻撃、ランサムウェア・ウイルス感染、不正アクセスなどを起因とするサーバ・システムダウンやネットワーク障害により事業継続への支障や生産力低下などを引き起こす可能性があります。また、安川電機が保有・管理する情報が社外に漏洩した場合や安川電機に関わる虚偽の風説をSNSなどで流布された場合、お客さまを含む市場との信頼が失われ、安川電機の事業継続に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 安川電機は情報セキュリティリスクを重要経営課題と捉え、経営トップダウンによる体制・運用に取り組んでいます。平時では情報セキュリティ基盤の強化活動を推進しており、高度化・巧妙化する最新サイバー攻撃や日々発生する脆弱性情報の動向、ブランド調査をグローバルで監視・情報収集しています。安川電機に関わる情報セキュリティリスクが予見・発見された場合は、速やかにリスク管理体制が適切な対応を指示し、CSIRT体制(Computer Security Incident Response Team)と連携してインシデント対応を行い、リスク被害の最小化と早期対策・回復できるレジリエントな情報システムの維持・強化を進めています。近年では生成AI技術の台頭やOSS(Open Source Software)を活用した開発業務が増え、情報漏洩や間違った情報の利用、権利侵害などのリスク管理にも十分配慮した仕組みを取り入れています。これらの活動により安川電機の情報セキュリティに関するリスクを最小限に抑え、お客さまに信頼性の高い製品・サービスを提供していきます。

 

 

人材確保に係るリスク

リスクの説明

 労働力不足がグローバルで進行する中で、高度な専門性を持った人材を含め、その獲得の競争が激化しています。

 また、従業員一人ひとりが主体性を持って能力を発揮し続けるためには、文化・慣習・言葉等の壁を越えてグローバルにビジネスの拡大に寄与できる人材の育成と心身ともに健康に過ごせる労働環境の整備がより重要となっています。

 このような状況の中、人材の採用・育成が遅れたり、優秀な人材が流出したりする場合、安川電機グループの競争力が低下する可能性があります。

リスクへの対策

 「2025年ビジョン」の実現に向けた人的資本経営の取組みの中で、従業員との対話を重視しつつ、併せて事業戦略遂行に必要な人材要件の策定と人材データの可視化に基づいた人的投資や多様な人材の活躍を促す人材マネジメントを強化することで、経営戦略に連動した人材戦略を実行していきます。また、持続的な経営戦略を策定し、高い成果を創出していくために、安川グループの将来を担う次世代の経営幹部候補者を早期に選抜し、研修プログラムなどを通じて育成・登用しています。

 具体的には、特に「経営理念の理解深化」、「ダイバーシティとインクルージョンの進化」、「働きやすい職場環境の実現」を重点項目として取り組みます。これらの取組みをESアンケートや経営層との直接対話といった従業員との積極的なコミュニケーションを通じて常時モニタリングすることにより、素早く人事施策の改善に反映し、生産性と働きがいの向上を加速させます。このように、人的資本である「人(従業員)」の求心力をグローバルに向上させ、ブランド力(選ばれる・信頼される)を強化することで人材の獲得・確保につなげていきます。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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