名村造船所(7014)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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名村造船所(7014)の株価チャート 名村造船所(7014)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

当企業集団は、株式会社名村造船所(名村造船所)、子会社14社および関連会社3社より構成されており、船舶、機械および鉄鋼構造物の製造販売ならびに船舶の修繕を主な事業内容としているほか、これらに付帯する業務等を営んでおります。

当企業集団の事業に係る位置づけおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。

なお、次表の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメント区分と同一であります。

 

(新造船事業)

名村造船所および函館どつく㈱(連結子会社)が、各種船舶の製造販売をおこなっております。
製造につきましては、鋼材ショット加工を㈱伊万里鉄鋼センター(連結子会社)に委託しております。
船舶資材の一部につきましては、名和産業㈱(連結子会社)を通じて仕入をおこなっております。
船型の技術開発の一部につきましては、名村エンジニアリング㈱(連結子会社)がおこなっております。

(修繕船事業)

佐世保重工業㈱(連結子会社)および函館どつく㈱(連結子会社)は、船舶の修繕をおこなっております。

名村マリン㈱(連結子会社)は、名村造船所より船舶の修繕を受託しております。

(鉄構・機械事業)

名村造船所および函館どつく㈱(連結子会社)が、製造販売をおこなっております。
資材の一部につきましては、名和産業㈱(連結子会社)を通じて仕入をおこなっております。

佐世保重工業㈱(連結子会社)において、クランク軸等の船舶用機器などの製造をおこなっております。

(その他事業)

名村情報システム㈱(連結子会社)は、ソフトウェア開発、情報機器の販売を名村造船所および関係会社に対しておこなっております。
玄海テック㈱(連結子会社)は、名村造船所および関係会社より、設備の保全、保安業務を受託しております。
名村マリン㈱(連結子会社)は、名村造船所より船舶の保守およびアフターサービスを受託しております。
モーニング ダイダラス ナビゲーション社(連結子会社)、アイボリーホワイト ナビゲーション社(連結子会社)およびコバルトブルー ナビゲーション社(連結子会社)は、船舶貸渡業を営んでおります。
佐世保マリン・アンド・ポートサービス㈱(連結子会社)は、曳船業務に従事、また佐世保重工業㈱(連結子会社)より設備の保全、保安業務を受託しております。
函館ポートサービス㈱(関連会社)は、曳船業務および内航運送業務に従事しております。

 

 

以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 



有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、名村造船所グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

ダイヘングループは、名村造船所を取り巻くステークホルダー(お客様、社員と家族、株主、資材取引先、地域社会)の皆様により多くの幸せを感じていただくこと(「みんなの幸せ同時達成」)を会社の目的とし、各ステークホルダーごとの具体的な目標(「幸せの目標値」)を明確に定め、その実現を目指しております。

事業の基本方針である名村造船所独自の価値を持つ「ならでは製品」開発により、社会課題解決に貢献する製品を創出することで社会のサステナビリティに貢献し、その結果が売上高・利益の増加に結びつきます。そして「幸せの目標値」に沿って利益の分配を充実させることが、企業としてのサステナビリティの基盤であるステークホルダーとの信頼関係の強化につながるものと考えております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

名村造船所は、社会課題解決に積極的に貢献する「研究開発型企業」となることを目指し、次の4つの基本方針からなる2026年度中期計画に取り組んでおります。

 

■ 基本方針

① 社会課題解決に資する開発の領域拡大

② 代理店販売の革新と新領域の販売拡大

③ 自動化追求と最適生産体制の構築

④ 長期人材育成計画に基づく人的資本の充実

 

 

①  社会課題解決に資する開発の領域拡大

・「脱炭素社会の実現」、「労働力不足の解消」、「デジタル化の推進」の3つの社会課題解決を重点分野と定義して、既存の事業の枠組みにとらわれず開発の領域を拡大させることにより、当該分野での貢献度を高めます。

 

②  代理店販売の革新と新領域の販売拡大

・新たな領域でのビジネス拡大に向け自社営業マンの技術営業力・分析力・市場調査力を高めると共に新商材の市場浸透を図るための広報を強化いたします。また、国内販売ルートの活性化に向けたインセンティブプランの刷新に加え、その活動を支える販売ツール・教育プログラムの充実に取り組みます。

・海外ではこれまでに買収したグループ各社の製品・販売ルートの相互活用による欧州事業拡大を重点テーマと位置付けます。同様に米国でのビジネス拡大に向けた体制強化を進めます。

 

③  自動化追求と最適生産体制の構築

・前中計で取り組んだモジュール設計推進の成果として、主要標準製品生産の完全自動化を目指し大幅なコスト削減を実現します。また、生産自動化を前提として世界最適地生産体制の構築を目指します。

・間接業務においては、RPAやBIツールに加えて文書生成AI活用推進による単純業務削減を徹底し、社員の力を付加価値が高くやりがいのある業務へ集中させます。

 

④  長期人材育成計画に基づく人的資本の充実

・企業の競争力の源泉である人材の確保・育成に向け長期人材育成計画を定め、以下のテーマに取り組みます。

・社員の帰属意識・経営への参画意識向上に向けた株式報酬制度の導入

・次世代幹部、女性管理職候補の選抜と育成

・博士号取得支援制度の活用促進

・グローバル人材の育成

・育児と仕事の両立支援(企業内こども園の設置)

・社員一人ひとりのキャリアプランに基づく成長促進(教育費3倍以上)

・定期的な社員エンゲージメントサーベイと具体的改善策実施の徹底

 

<2026年度中期計画>

 

 

 

(2026年度)

(2030年度)

・売    上    高

2,500億円以上

3,000億円以上

・営 業 利 益 率

10%以上

12%以上

・R    O    E

12%以上

12%以上

・開  発  費  率  (注)

6%以上

6%以上

・配  当  性  向

30%以上

30%以上

 

(注)  連結売上高に対する開発費の比率。開発費は研究開発費だけでなく特許料などの開発関連費用を含む。

 

(3) 対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、生成AIの需要増加等を背景とする半導体関連投資の回復や生産自動化・脱炭素関連投資が堅調に推移することが見込まれる一方、地政学的リスクに伴う物価上昇などが懸念されます。

このような事業環境の下、引き続きコスト削減の取り組みを推進し、社会課題の解決に資する開発投資に重点的に振り向けるとともに、新規連結子会社とのシナジー創出を図ることにより、各事業の強化、業績の向上に努めてまいる所存でございます。

なお、各事業セグメントの主な課題への取り組み状況は以下のとおりであります。

 

・  エネルギーマネジメント

脱炭素社会の実現に貢献する系統用蓄電池や自家消費太陽光発電に最適なパッケージやEVの普及に貢献するプラグイン急速充電器及びワイヤレス充電システムなどの開発・市場投入に取り組んでおります。

 

・  ファクトリーオートメーション

世界各地で労働力不足の問題が進む中、工場全体の自動化ニーズに応えるべく、ハンドリングロボット、アーク溶接用協働ロボットや自律搬送台車の品揃え拡充とアーク溶接の前後工程で必要な各種アプリケーションへの対応力強化に努めております。加えて、半導体製造装置向けの省スペースウエハ搬送ロボットの開発・市場投入を推進しております。

 

・  マテリアルプロセシング

AIなどの情報通信技術の普及に不可欠な半導体製造プロセスの微細化、多層化及び省エネ生産に貢献する高機能・高効率な高周波電源システム等の開発及び市場投入を推進するとともに、需要増加に対応するため工場の増築や工程の自動化による生産能力増強を進めております。また、EVの軽量化に不可欠な異材接合の適用材・接合範囲の拡大及び溶接機の省エネ化や溶接作業の脱技能化に資する開発に取り組んでおります。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、名村造船所グループが判断したものであります。

 

① 政治・経済情勢

グループの中核事業である新造船事業におきまして、新造船の需要は海運市況に大きく左右されるため、世界経済の悪化や地政学的リスクの高まりなどの影響により海運市況が低迷した場合、新造船需要が後退し、受注の確保が難しくなります。また、修繕船事業や鉄構・機械事業におきましても、国内外の政治・経済情勢の動向を受けて受注環境が変化します。

 

② 事業環境・競争環境

世界の新造船需要は堅調な海運市況を背景に回復基調にあり、新造船の受注価格も改善するとともに為替も円安に進行しておりますが、世界的なインフレなど不安要素も多く、引き続き緊張感を持った事業経営が求められます。

新造船事業においては、受注から竣工引渡しまで通常およそ2~3年の期間を要します。厳しい受注環境下において仕事量確保のためやむを得ず受注する場合や将来を見据えて戦略的に受注する場合などは赤字受注となることもあり、受注時点で工事損失引当金を計上する場合があります。船価の建値はほぼ米ドルであり、売上高および工事損失引当金の計上額は、為替レート変動の影響を受けます。

 

③ 気候変動対応

地球環境問題への対応の一環として、船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO)などに対して、国際海事機関(IMO)が具体的な排出制限目標を定めるなど建造船における環境規制への対応が必須となっており、従来燃料に代わる新燃料船等に対するニーズが高まっています。

名村造船所は顧客等と共同し環境対応型船型の開発等に積極的に取り組んでおりますが、これら規制対応や新燃料船にかかる効率的な研究開発体制および生産体制が確立できない場合には、名村造船所グループの主力事業である新造船事業における技術的優位性の観点から不利になり、競争力が低下するリスクがあります。

 

④ 為替動向

新造船事業は輸出比率が高く、受注の大半は米ドル建ての契約であり、売上高および入金額や工事損失引当金は為替レートの変動の影響を受けます。為替レート変動の影響を軽減する対策として、為替動向を考慮しながら取締役会で定めた一定の方針に基づき計画的に為替予約を実施しております。しかしながら、急激な円高が生じた場合には、業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 個別受注契約

新造船事業では受注から竣工引渡しまでの期間が長期間に亘るため、その間の経済情勢の変化の影響を受けて当初見積りより建造コストが増加する可能性があり、見積精度の向上に努めています。また、建造船は、顧客ごとの仕様要求に応じた受注生産となっているため、受注契約時に十分な事前検討を行っておりますが、当初予期されなかった事柄が後日発生し設計変更や工程遅延等により、建造コストが増加する可能性があります。

また、名村造船所は受注に際して顧客の信用力や風評について情報を収集し、案件によっては商社を主契約者として顧客の信用リスクを軽減するなど、個別の対応を行っております。

 

⑥ 資材調達

主要な原材料・資機材において、価格の急激な変動、地政学的リスクや災害等による供給不足の問題が生じた場合、製造原価が上昇するのみならず、調達品の納期遅れによる工程遅延等の問題が発生する可能性があります。

特に新造船事業においては主要原材料である鋼材価格の動静が製造原価の大きな変動要因になっているほか、世界的なインフレ傾向等により鋼材以外の資機材についても価格上昇の影響が懸念されます。このような状況下、資機材の確実な調達と情報収集のために大阪本社と東京事務所にも資材部員を常駐させ、調達部門と営業部門・設計部門やグループ各社との連携を強化し、各種合理化策、VA/VE活動等を一層深化させることで最大限の調達コスト削減を目指すとともに、従来の取引実績には拘らない内外サプライチェーンの見直しと再編に積極的に取り組んでまいります。

 

⑦ 人材確保・育成

名村造船所グループにおいて人材は重要な経営資源であり、女性・外国人材の活用を含めて将来を担う人材の採用・育成と円滑な技術・技能の伝承に努めておりますが、労働市場の動向によっては計画通りの人材確保ができず、名村造船所グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 品質保証

名村造船所グループは、品質や安全に関する法令等を遵守し、製品の品質向上に常に努めておりますが、過失等により大きな不具合が発生した場合、損害賠償や訴訟費用等により多額の費用が発生し、名村造船所グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 労働安全衛生

名村造船所グループは、事業所および建設工事現場等における労働安全衛生管理に様々な対策を講じていますが、不測の事故等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動に支障をきたし、名村造船所グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ コンプライアンス

名村造船所グループは、法令遵守がすべての基本であるとの認識のもと、グループESG委員会における議論を通じて従来の「株式会社名村造船所 行動憲章および行動指針」を改め、新たに「名村造船所グループ行動憲章」として定めるとともに、グループESG委員会・ESG委員会を中心とした活動により、各階層にわたるコンプライアンス教育・研修を実施するなどコンプライアンスの推進・実行を図っています。

このような活動にも関わらず、コンプライアンスに関わる重大な事案が発生した場合には、名村造船所グループの信用力低下や当局からの処分等により、多額の費用や損失が発生し、名村造船所グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑪ 危機管理

名村造船所グループは、大規模な地震や風水害等の自然災害や火災・その他の災害等の発生に備えて設備の点検、訓練の実施、連絡体制の整備などを進めておりますが、このような災害等による生産設備の損壊、物流機能の麻痺等の直接的な被害や、電力不足が解消されないこと等の間接的な被害が発生した場合、また予期せぬ感染症の拡大により操業への影響などが生じた場合には、名村造船所グループの事業活動に支障をきたし、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 情報セキュリティ

名村造船所グループは、事業を通じて入手した取引先等の機密情報や名村造船所グループの設計・技術・営業等に関する機密情報を保有しており、これらの情報の保護に努めておりますが、コンピュータウィルスの感染や不正アクセス等によりこれらの情報が流出・消失した場合やシステムが停止した場合、名村造船所グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 投資有価証券の減損

名村造船所グループが保有する投資有価証券のうち、時価を有するものについては時価が著しく下落した場合に、時価のないものについては実質価額が著しく低下した場合に、投資有価証券評価損を計上することがあります。

保有する投資有価証券については継続保有に資するかを毎年検討しており、保有の意義・合理性が乏しくなったと判断される株式については、適宜、縮減を図ってまいります。

 

⑭ 固定資産の減損

名村造船所グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローの見通しが低下した場合等に減損損失を計上することがあります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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