文渓堂グループ(文渓堂及び文渓堂の関係会社)は、文渓堂及び連結子会社2社、非連結子会社1社で構成されており、教育図書の出版及び教材の製造・販売を主な事業としております。
事業の内容と文渓堂及び連結子会社の当該事業に係る位置付け及び事業セグメントとの関連は、次のとおりであります。
(出版) 文渓堂は、小学校教育図書及び市販図書を製造販売しております。
㈱学宝社は、中学校教育図書を製造販売しております。
また、文渓堂と㈱学宝社との間に一部商品の売買があります。
(教具) 文渓堂が裁縫セット・家庭科布教材等の教具品を製造販売しております。製造及び発送の一部を㈱ロビン企画に委託しております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
文渓堂グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において文渓堂グループが判断したものであります。
(1)経営方針
文渓堂の企業理念であります「21世紀の人づくりを通じて、社会に貢献する教育と文化の創造企業をめざそう」を常に念頭に置き、現場第一主義の姿勢を堅持し、社内外の英知を結集して多様化する教育現場のニーズに対応した教材づくりに邁進してまいります。
また、“若さとアイデアに生きる文溪堂”に相応しい行動力とアイデアを駆使し、株主様はもとより、お客様やお取引先様からの信頼と期待に応えるべく、企業変革の必要性を認識しつつ、常に活性化した“ゆめ企業=文溪堂”を目指して鋭意努力してまいります。
(2)経営戦略等
新学習指導要領が小学校では2020年度から、中学校では2021年度から完全実施されました。文渓堂グループとしましては、新しい教育の方向性を見定めながら、社会の変化や教育現場のニーズを的確に捉え、下記の5項目に重点をおいた経営を進めてまいります。
① 文渓堂グループの主体事業である出版部門においては、児童・生徒や教師を支えるための良質で有益な教材やサービスの提供を目指し、従来からの教材の既成概念にとらわれない新しいタイプの教材を開発してまいります。
② 出版以外の部門においては、教材・教具の商品企画の充実や販売網の拡充を図るとともに、中学校・高等学校への教材・教具の販路拡充を推進してまいります。
③ 学校のICT環境の整備の充実に対応し、ペーパーとデジタルを融合させたハイブリッド型教材や、校務の負担を軽減し教師を支援するソフトウエアなどの開発・販売に取り組んでまいります。また、販売網の拡充を目指してまいります。
④ 知的所有権がますます尊重されるなか、文渓堂グループの商品開発力を駆使してアイデア性、独創性の高い教材・教具類の開発と、その権利化を図ってまいります。
⑤ 文渓堂グループの連結経営機構の発展を推進し、業務の効率化や収益力の向上を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
文渓堂グループの主力商品であるテスト・ドリル等の出版物、裁縫セット・家庭科布教材等の教材・教具の販売市場である小学校及び中学校においては、少子化傾向が進み、児童・生徒数の減少という構造的な課題を抱えております。そのような状況のなか、2021年3月期(売上高130億円、売上高経常利益率6.7%)から売上高135億円、売上高経常利益率8%を目標値としてまいりました。
そして、2024年3月期は売上高128億円、売上高経常利益率8.1%となりました。売上高経常利益率は目標値を達成できたものの売上高は目標値に至っていないため、今後はGIGAスクール構想実現の加速化に対応したデジタルの特性を生かした企画の提案や他社との差別化を図った教材の研究開発と提供に努めてまいります。また、業務の効率化や商品ラインナップの精選などによる製造原価の低減にも力を入れ、グループ全体での売上高135億円、売上高経常利益率は小学校・中学校教材の各会計年度における教科書改訂に伴う編集費用負担額の増減により変動はあるものの、8%の維持を目指してまいります。
(4)経営環境
わが国においては、様々な社会的要因により出生数が減少しており、少子化傾向がさらに進行しております。そのために教育現場では学校の統廃合が進んでおります。
教育界においては、変化が激しく予測困難な社会のなかでも、子供たちが未来を切り拓いていくために必要な資質・能力を着実に身に付けることが求められております。情報社会に続く超スマート社会で活躍できる人材の育成を目指して、これらの変化に対応した教育現場への提案がますます重要性を増しております。
また、文部科学省はこれからを生きる子供たちに必要な資質・能力の育成と学びを保障するため、GIGAスクール構想によりICT環境の整備を実施いたしました。学校では、学習用端末を効果的に活用すべく研究を重ねております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
教育界においては、2020年度から始まったGIGAスクール構想により1人1台の学習用端末が整備され、児童・生徒の学びの充実や教師の働き方改革への活用が進められております。
このような情勢のなか、文渓堂グループは教育現場から求められる様々な課題を解決するために、ICTの活用によるさらなる教育の充実に対応したペーパーとデジタルを融合させたハイブリッド型教材の開発、教師の業務の負担軽減を支援するソフトウエアの研究・開発・充実に取り組み、引き続き成長・発展を目指してまいります。さらに、当業界における先駆的な企業グループとしての自覚を持ち、商品ラインナップの精選、製作コストの削減、諸経費の見直しに向けて積極的に取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。
また、財務上の課題としましては、文部科学省が2024年度から段階的にデジタル教科書の導入を進めるなど学校のデジタル機器の活用への急激な傾斜により、従来のビジネスモデルの急激な変化による業績への大きな影響が発生した場合の対応として、自己資本の充実の重要性を認識しております。2024年3月期の自己資本比率は74.9%であり、70%以上の自己資本比率を維持してまいりたいと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において文渓堂グループが判断したものであります。
(1)主力商品の市場について
文渓堂グループの主力商品であるテスト・ドリル等の出版物、裁縫セット・家庭科布教材等の教材・教具の販売市場は、小学校及び中学校であります。当連結会計年度における文渓堂グループの売上高に占める小学校・中学校向けの出版物、教材・教具の売上の割合は約90%であり、今後も現場第一主義の姿勢を堅持し、教育のICT化を見据えつつ教育現場のニーズに対応した教材づくりに邁進してまいります。しかしながら、日本が抱える少子化傾向が予想以上に進行し市場が著しく縮小した場合や、デジタル教科書の本格導入などの影響により従来のビジネスモデルが急激に変化した場合、文渓堂グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)法的規制について
文渓堂グループの主力商品である出版物は、日本の教育・文化の普及のために、独占禁止法の再販売価格維持制度の対象となっておりますが、この制度が廃止された場合、文渓堂グループの業績(セグメントの出版)への影響はもちろんのこと、出版業界全体にも大きな影響を与える可能性があります。
(3)自然災害等に伴うリスクについて
文渓堂グループは、全国の小学校及び中学校に対して出版物、教材・教具の企画、製造、販売を行っております。その製造過程においては、大部分の工程を協力会社に委託しております。また販売においても、全国の特約代理店に販売を委託しております。各地域において、大規模な地震や風水害、気候変動を起因とする台風・豪雨等の自然災害等が発生した場合、協力会社や販売店等の建物や設備の損壊、交通経路の遮断等により、製造及び販売が困難となり、文渓堂グループの財務状況及び業績が影響を受ける可能性があります。
このような自然災害等に伴うリスクを回避するために、特に製造における委託先については、同じエリアに集中しないように分散化に取り組んでおります。
(4)原材料価格の高騰について
文渓堂グループは、セグメントの教具において、プラスチックを主原料とする製品を企画、製造、販売をしております。不安定な世界情勢や原油価格の上昇に起因する原材料価格の高騰への対策として、企画の見直しによる原材料の削減やプラスチック再生原料の採用等による使用量の削減を行っております。しかしながら、原油価格の上昇や円安によるプラスチックの高騰に加え、セグメントの出版における用紙代も高騰しており、該当セグメントにおける業績に影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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