ストキャスティクスは、株式やFXなどのテクニカル分析でよく使われる、強力なオシレーター系指標の一つです。
ストキャスティクスとは?
**ストキャスティクス (Stochastics)** は、ジョージ・レーン氏によって開発されたテクニカル指標で、現在の株価が、ある一定期間の価格変動幅のどこに位置しているかを示すことで、**買われすぎ**や**売られすぎ**を判断するために使われます。
株価は、上昇局面では高値付近で推移しやすく、下降局面では安値付近で推移しやすいという性質があります。ストキャスティクスはこの性質に着目し、0%から100%の範囲で推移する2本の線で、現在の価格が過去の一定期間のレンジに対してどのくらいの位置にあるかを示します。
主に以下の2本の線で構成されます。
1. **%K (パーセントK)**:
* メインの線で、現在の価格が一定期間の価格変動幅に対して相対的にどの位置にあるかを示します。
2. **%D (パーセントD)**:
* %Kをさらに平滑化した線で、%Kの移動平均線のような役割を果たします。これにより、%Kの細かい動きをならし、ダマシを減らす効果があります。
ストキャスティクスの計算式は以下のようになります:
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%K: $$(当日終値 - 過去n日間の最安値) \div (過去n日間の最高値 - 過去n日間の最安値) \times 100$$
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%D: $$%Kのm日間の移動平均$$
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スロー%D: $$%Dのn日間の移動平均$$
ストキャスティクスの見方と使い方
ストキャスティクスは、売られすぎや買われすぎを判断するためのテクニカル指標で、相場の過熱度や転換点を見極めるのに役立ちます!以下にその基本的な使い方をまとめました:
- **売られすぎのサイン**: Slow%Dが0~20%の範囲にある場合は売られすぎと見なされ、買いシグナルとなります。また、この状態で%DがSlow%Dを下から上にクロスする場合、強い買いシグナルが発生します。
- **買われすぎのサイン**: Slow%Dが80~100%の範囲にある場合は買われすぎと見なされ、売りシグナルとなります。同様に、この状態で%DがSlow%Dを上から下にクロスする場合、強い売りシグナルと判断されます[^6^][^8^]。
- **ダイバージェンスの確認**: 株価とストキャスティクスの動きが逆行する場合(たとえば株価が上昇しているのにストキャスティクスは下落している)、転換点の兆候と捉えることができます。
強いトレンドが発生している場合、指標が効きにくくなる可能性もあるので、他のテクニカル指標(例:ボリンジャーバンドやMACDなど)と組み合わせて使うと、さらに精度の高い判断が可能です!
* **買われすぎ・売られすぎの判断**:
* 一般的に、**80%以上**で推移している場合は「**買われすぎ**」の状態と判断され、売りのシグナルと見なされることがあります。
* **20%以下**で推移している場合は「**売られすぎ**」の状態と判断され、買いのシグナルと見なされることがあります。
* **ゴールデンクロス・デッドクロス**:
* **ゴールデンクロス**: %Kが%Dを下から上に突き抜けた場合。上昇トレンドへの転換や買いのシグナルとして捉えられます。
* **デッドクロス**: %Kが%Dを上から下に突き抜けた場合。下降トレンドへの転換や売りのシグナルとして捉えられます。
* **ダイバージェンス**:
* 株価が安値を更新しているにもかかわらず、ストキャスティクスは安値を更新せず、上昇傾向にある場合(逆行現象)。これは、売り圧力が弱まり、上昇への転換を示唆する買いシグナルとなることがあります。
* 逆に、株価が高値を更新しているにもかかわらず、ストキャスティクスが高値を更新せず、下降傾向にある場合も、反転を示唆する売りのシグナルとなることがあります。
以下は、上場インデックスファンド日経レバレッジ指数(1358)のストキャスティクスと株価チャートです。ストキャスティクスは指数の取引において割と使いやすいです。こちらのページでは、ストキャスティクスを使って株の練習ができます。
### ストキャスティクスの注意点
* **ダマシ**: 特に相場に大きなトレンドが出ている時は、ストキャスティクスが買われすぎや売られすぎを示し続けても、トレンドが継続することがあります。他の指標(例えば移動平均線など)と組み合わせて使うことが重要です。
* **短期的な動き**: 短期的な売買のタイミングを捉えるのに有効ですが、長期的なトレンドを判断するには向いていません。
ストキャスティクスは、オシレーター系の指標の中でも特に人気があり、多くのトレーダーに活用されています。ご自身のトレードスタイルに合わせて、ぜひ他の指標と組み合わせて使ってみてくださいね。