移動平均線は、もっともメジャーかつポピュラーなテクニカル指標で、短期から長期までのトレンドを分析したり、売買のタイミングをみつける指標として広く利用されています。
移動平均線は、過去にさかのぼって株価の終値を合計し平均したものを線で結んでいったものです。
合算に使う日数には、5日、25日、75日、100日、200日などがよく使われます。5日は株式市場が開いている月曜日から金曜日までのおよそ1週間をあらわす単位で、25日はおよそ1か月をあらわす単位、75日はおよそ3か月を表す単位、200日はおよそ1年を表す単位と言われています。
移動平均線を見ながら株の練習ができるページを用意しました。無料で利用できますので、お気軽にご活用ください。
1・移動平均線の見方
25日を例に説明すると、25日移動平均線は、過去25日間の終値の平均値なので、
25日移動平均線よりも株価が上にあるときは、過去25日間にその銘柄を買った人は平均するとだいたい利益を出しているととらえることができます。
25日移動平均線よりも株価が下にあるときは、過去25日間にその銘柄を買った人は平均するとだいたい損が出ているととらえることができます。
そして移動平均線に使う日数が長ければ長いほど、株価がその移動平均線を上回っていれば、より多くの投資家が利益を出していることを表しています。
株価チャート以外に材料がないと仮定した場合、含み益を出している人が多いときほど、投資家心理は強気に傾きやすくなります。
この移動平均線が右肩上がりにあるときは上昇トレンドにあるといい、右肩下がりにあるときは下降トレンドにあるといいます。
そして移動平均線に使う日数が短いものは、短期の上昇トレンドを表す線となり、日数が長いものは長期のトレンドを表す線となります。
上昇トレンド銘柄一覧はこちら 下降トレンド銘柄一覧はこちら
2・移動平均線を下値支持線として使う方法
赤が5日移動平均線、青が25日移動平均線です。
上図のように、株価が上昇トレンドを描いているときは、短期的に買われすぎて調整売りが入り、株価が25日移動平均線に近づくたびに反発することがあります。
このように移動平均線が株価を下支えすることがあり、これを下値支持線(またはサポート)といいます。また株価が移動平均線よりも上方向に離れていることを上方にかい離しているといいます。
25日移動平均線は、過去25日間にその銘柄を買った人の平均株価なので、このあたりの株価をみんなが適正または割安と考えていた水準と仮定すれば、株価がこれを割り込んだということは、適正水準よりも割安になったととらえることができます。
株価が下値支持線を割り込んで反発したタイミングは、買いのタイミングの一つとなります。
2・移動平均線を上値抵抗線として使う方法
上図のように、株価が下降トレンドを描いているときは、短期的に売られすぎて調整買いが入り、株価が25日移動平均線に近づくたびに反落することがあります。
このように移動平均線が株価を上値で押さえつけることがあり、これを上値抵抗線(またはレジスタンス)といいます。また株価が移動平均線よりも下方向に離れていることを下方にかい離しているといいます。
株価が上値抵抗線を突破して反落したタイミングは、売りのタイミングの一つとなります。
また移動平均線から株価が上方に大きく乖離したり、下降に大きく乖離したときも、短期的なトレンドの転換点になりやすいので、売買タイミングの一つとなります
このような移動平均線と株価の特性をまとめた法則をグランビルの法則といいます。グランビルの法則に関しては左記ページにて図をつけて詳しく解説しています。
株価チャートは日足だけでなく、分足や時間足、週足などもあります。このようなとき移動平均線の計算に使う数字は、日数でなく、分や時、週などの単位が使われます。
分足チャートはデイトレードでよく使われ、移動平均線の計算には、12本、24本、48本の数字がよく使用されます。5分単位で計算すると、1時間は12本、2時間は24本、4時間は48本にあたります。週足チャートでは、13週、26週、52週、月足チャートでは、12か月、24か月、60か月がよくつかわれます。
3・ゴールデンクロスとデッドクロス
下落トレンドが続いていた長期移動平均線が、横ばいまたは上向き基調に転じ、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜けてクロスすることをゴールデンクロス(GC)といいます。
ゴールデンクロスは、
上昇トレンドに転換するサインのひとつです。
逆に上昇トレンドが続いていた長期移動平均線が横ばいまたは下向き基調に転じ、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下へと抜けてクロスすることをデッドクロス(DC)といいます。
デッドクロスはは、
下降トレンドに転換するサインのひとつです。
ゴールデンクロスが出現した銘柄一覧はこちら (※必ずトレンドが変わるわけではないのであらかじめご了承ください)
下図のように、もう一本移動平均線を追加して、短期、中期、長期の3本描画してみましょう。株価が短期・中期・長期すべてのラインを上抜けたとき、短期・中期・長期すべての投資家がもうかっている状態を表しています。売り勢がすくなくなり、より強固な上昇トレンドに変わったととらえることもできます。
移動平均線をはじめとするテクニカル分析は、株価を動かす材料(業績悪化に直結するニュースなど)がないときに効果を発揮しやすいトレード手法です。株価を強力に押し上げたり押し下げたりする材料が飛び込んできたときは、どんなテクニカル指標も機能せず、ろうばい売りが殺到することがあります。
4・移動平均乖離率を使って売買シグナルをみつける方法
ローソク足チャートの下に表示されている赤色の折れ線チャートを移動平均乖離率といいます。黄色のラインは移動平均線を横にまっすぐのばしたもので、乖離率がこれよりも上や下に大きく離れると株価は反転・反落しやすくなります。
5・計算方法
3分でわかる移動平均線の解説と計算方法の動画
移動平均線の計算式は次のようになります。(5日間を平均する場合)
日付 | 1/5 | 1/6 | 1/7 | 1/8 | 1/9 | 1/10 | 1/11 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
株価(終値) | 230 | 256 | 224 | 274 | 310 | 324 | 356 |
- 1月9日の移動平均 (310+274+224+256+230)÷5=258円
- 1月10日の移動平均 (324+310+274+224+256)÷5=277円
- 1月11日の移動平均 (356+324+310+274+224)÷5=297円
12日以降も同じように計算していき、これを線で結んでいきます。
このような計算方法を単純移動平均といいますが、これ以外に直近の株価をより重視して計算する加重移動平均や指数平滑移動平均などの計算方法もあります。