現物取引では、株価が安いときに買って高いときに売ることで利ザヤが得られますが、信用売りでは、逆に高いときに売って安いときに買い戻すことで利ザヤが得られます。株価の下落局面で儲けることができる取引です。信用売りをする銘柄を証券会社(実際には同銘柄の買い方)から借りて売却し、株価が下落して安くなったところで同じ銘柄を同じ株数買戻し証券会社に返す仕組みです。持っていない株を売るのでカラ売りとも言われています。証券会社に貸し出す株がない場合は、証券金融会社から株を貸し出します。
信用取引をはじめるにあたっては、現物取引用の口座のほか、証券会社で信用取引用の口座を開設する必要があります。悪材料が飛び出したり調整局面で株価の下がりそうな銘柄を探し、売り注文(信用新規注文)をだします。利益を確定する場合は、買い注文(信用返済注文)を出して返済に充てます。下落した差額分が信用取引の口座に振り込まれます。実際に動くお金はこのような差額に相当する部分のみであることから、差金決済とも言われています。信用取引を始めるにあたって必要となる委託保証金や追証の仕組みは信用買い入門で説明していますので、参考にしてください。また信用取引には制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。一般的によく利用される取引は制度信用取引で、空売りでは、貸株銘柄と書かれている銘柄に限り取引ができます。
カラ売りに必要なコストには、注文を出す際に必要な委託手数料のほか、株を借りるときに発生する貸株料が発生します。年利○%という形で表示され、これを日割り計算して毎日発生する費用です。年利1%の貸株料で50万円の株を売り建てした場合、1日約14円のコストが発生します。1カ月持ち続けると約420円、6か月持ち続けた場合、約2500円のコストがかかります。このように信用取引は長く持てば持つほどコストがかさむので注意が必要です。空売り注文が殺到して証券会社から貸し出す株が足りなくなってきたときは、証券金融機関から株を借りることになりますが、このときに逆日歩(ぎゃくひぶ)と呼ばれる金利が別途発生することがあります。逆日歩には空売りの過熱感を抑える効果もあります。また信用管理費(1カ月ごとの事務管理費)や配当金調整額(権利確定日をまたいだ場合のみ発生する)が発生する場合もあります。これは証券会社によって異なるので、はじめるまえに信用売りに必要なコストを確認しておきましょう。
空売りは、現物買いと異なり青天井であるためにリスクが大きいと言われています。どういうことかというと、現物買いの場合、株価がマイナスになることはないため、その銘柄を買いつけたときの金額以上の損失を被ることはありませんが、信用売りの場合、株価が上がると損をする仕組みであるため、株価の上昇には制限がなく、上昇が続く限り永遠に損失が拡大していくことがあります。また信用取引は手持ちの金額の3倍にあたる取引ができることから信用売りはリスクが大きいと言われています。ただし損切りラインをあらかじめ設定し、これを超えたら必ず手仕舞うなど計画的なトレードを実行すれば、それほど心配することはありません。
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株式相場が全体的に下降局面にあるときは、現物買いだけでなく、下落局面も含めて利益が上げられる信用売りもあわせたトレードスタイルのほうがキャピタルゲインを上げやすいです。上で紹介した株の練習ができるアプリを使って、どのような投資スタイルがもっともキャピタルゲインを上げやすいのかいろいろと検証してみてください。